JP3642669B2 - 生分解性ソフトルアー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性ソフトルアーに関する。
本発明の生分解性ソフトルアーは、生分解性であるにもかかわらず従来品の柔らかさ、透明性を供え持っている。
【0002】
【従来技術】
これまでソフトルアーはポリ塩化ビニルあるいはポリ酢酸ビニル等をベースポリマーとし、可塑剤としてDOPなどを添加していた。
ところが、これらの素材は生分解性を持たないため湖底、海底など、水中に残存した場合、いつまでも分解されぬまま膨潤したかたちで残り、湖沼や海を汚すばかりでなくそれを魚がエサと間違え食べてしまい死んでしまうこともあった。また、ポリ塩化ビニルについては焼却された場合には少量ではあるが非常に毒性の強いダイオキシンが発生すると言われている。
【0003】
このような事態に対して特開昭61−42534では非水溶性有機質ポリマーと水溶性有機質ポリマーとの混合物に親水性不溶性有機質ポリマーを含有させた組成物により対処しようとしたが、これらは物性的に柔軟性に欠け、水中でバラバラにはなるが完全に分解されることはないため環境に対して悪影響を与える。また、こんにゃくの原料であるマンナンを用いて作ったソフトルアーもでてきたが、これは食品素材を用いるためエサそのものという見方もあり、ルアーと呼べるのか疑問である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、食品素材をベースポリマーとしないのにもかかわらず、自然環境下、コンポスト条件下、あるいは加水分解条件下で完全に分解し、さらに、従来から使用されているポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等に可塑剤を加えたソフトルアーと同等の柔らかさ、透明性をもつ生分解性ソフトルアーを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、本発明者らにより完成された特開平7−228675号に開示した発明を完成させる基礎となった技術的思想を発展させて応用することにより、重合体構成成分として、少なくとも1種類の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルを重合して、高分子量の脂肪族不飽和ポリエステルを製造する方法を見い出し、既に出願している(特願平8−153988)。
本発明者らは、このようにして得られる脂肪族不飽和ポリエステルに可塑剤と開始剤を添加後、架橋することにより、生分解性ソフトルアーが得られることを見い出し本発明を完成した。
【0006】
例えば、トリエチレングリコールとアジピン酸とフマル酸を100対95対5のモル比で仕込み、触媒の存在下、有機溶媒中で加熱脱水反応させることにより得られる重量平均分子量が15,000以上である不飽和ポリエステルに不飽和ポリエステルと可塑剤の重量比が40対60になるように可塑剤を添加した後、型内に入れて100℃のオーブン中で硬化させることにより、柔らかさと透明性において従来使用されているものと同等であり、さらに生分解性を有するソフトルアーを得ることができる。
【0007】
本出願に係る発明は、以下の(1)〜(12)に記載された事項に特定される。
(1) 重合禁止剤の存在下合成した不飽和結合を含む脂肪族ポリエステルに可塑剤と開始剤を添加後、架橋した、25℃における弾性率が1×10 5 [Pa]以上1×10 8 [Pa]以下である生分解性弾性体を構成成分とする生分解性ソフトルアー。
(2) 重合禁止剤が、キノン類、ヒドロキノン類、フェノール類、アミン塩酸塩類の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ソフトルアー。
(3) 重合禁止剤が、ヒドロキノン類であることを特徴とする請求項2記載の生分解性ソフトルアー。
(4) 重合禁止剤が、ヒドロキノンであることを特徴とする請求項3記載の生分解性ソフトルアー。
(5) 不飽和結合を含む脂肪族ポリエステルの重合体構成成分として、脂肪族不飽和多塩基酸を含む請求項1記載の生分解性ソフトルアー。
【0008】
(6) 脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルが、
(a1) 脂肪族多価アルコール及び脂肪族不飽和多塩基酸、
(a2) 脂肪族不飽和オリゴエステル、
(a3) 脂肪族不飽和ポリエステル、
からなる群から選択された少なくとも1種(A)と、
(b1) 脂肪族多価アルコール及び脂肪族飽和塩基酸、
(b2) 脂肪族ヒドロキシカルボン酸
(b3) 脂肪族飽和オリゴエステル、
(b4) 脂肪族飽和ポリエステル、
からなる群から選択された少なくとも1種(B)を、
有機溶剤中、触媒の存在下、生成水分量及び/又は過剰モノマー量が500ppm以下で、加熱脱水反応させて得られた、重量平均分子量15,000以上の脂肪族不飽和ポリエステルである(1)記載した生分解性弾性体を構成成分とする生分解性ソフトルアー。
【0009】
(7) 5〜90重量%の可塑剤を含む請求項1記載の生分解性ソフトルアー。
(8) 沸点が100℃以上、SP値が18〜23(J/cm 3 ) 1/2 、25℃での粘度が1〜10,000センチポイズである可塑剤を用いる請求項4記載の生分解性ソフトルアー。
(9) 可塑剤が、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、ジブチルセバケート、エポキシ化大豆油の群から選ばれた少なくとも1種である請求項5記載の生分解性ソフトルアー。
(10) 架橋が、熱重合によるものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ソフトルアーの製造方法。
(11) 架橋が、光重合によるものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ソフトルアーの製造方法。
(12) 重合開始剤及び/又は増感剤の使用量が脂肪族ポリエステルに含まれる重合禁止剤に対し等モル以上であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載した生分解性ソフトルアーの製造方法。
【0010】
本発明の生分解性ソフトルアーは、必要に応じて、着色剤、染色剤、ラメ、マイカ、繊維等の混合、味付け、匂い付け、塩、あるいは補強材、フィラー、離型剤、増粘剤、発泡剤等を併用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の生分解性ソフトルアーは、重合体構成成分として、少なくとも1種類の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルを可塑剤と混合した後、型内で、架橋(硬化)することにより得られる。
本発明に用いられる重合体構成成分として脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルは、多塩基酸として脂肪族不飽和多塩基酸または脂肪族不飽和多塩基酸と脂肪族飽和多塩基酸の混合物を、脂肪族多価アルコールと重縮合することにより得られる。さらに重合体構成成分として脂肪族ヒドロキシカルボン酸を含んでいてもよい。
【0012】
本発明に用いられる重合禁止剤は、ラジカル重合を抑制するものであり、具体的には、パラベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジフェニルパラベンゾキノン等のような、キノン系、ヒドロキノン、パラ−t−ブチルカテコール、モノ−t−ブチルヒドロキノン等のヒドロキノン類、ジ−t−ブチルパラクレゾール、α−ナフトール等のフェノール類、トリエチルアミン塩類、ジメチルアニリン塩酸塩等のアミン塩酸塩類等が挙げられる。
これら化合物を混合して用いても良い。好ましくは、ヒドロキノン系化合物。特に好ましくは、ヒドロキノンが用いられる。
重合禁止剤の使用量は、0.001〜5モル%であり、好ましくは、0.01〜3モル%であり、さらに好ましくは0.03〜2モル%である。使用量が少ないと重合中に液粘度が上がり攪拌が困難になり、可塑剤、パーオキサイド等との混合が困難になるばかりでなく、得られる成型物は不均一で引張強度等も低下してしまう。
本発明に使用するこのとできる脂肪族不飽和多塩基酸は、二塩基酸が好ましく、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸を用いることができる。
本発明の不飽和多塩基酸の使用量は、使用する多塩基酸の0.1〜20モル%が一般的であるが、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは1〜5モル%である。
また、脂肪族飽和多塩基酸類は、二塩基酸が好ましく、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、またはこれらの無水物である。さらに、ブタンテトラカルボン酸等の三官能以上の脂肪族多塩基酸を少量含んでいてもよい。
【0013】
本発明に使用する脂肪族多価アルコール類は、二官能アルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール等があげられる。特にジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールが特に好ましい。
さらに、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三官能以上の脂肪族アルコールを少量含んでいてもよい。
【0014】
本発明において使用するヒドロキシカルボン酸の具体例としては、例えば、グリコール酸、乳酸、6−ヒドロキシカプロン酸あるいは、これらの環状エステル類の少なくとも二種類以上の組合せが挙げられる。
特に、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸の構成成分の組合せが、好ましい。
また、その組成比としては、乳酸30〜70モル%と、6−ヒドロキシカプロン酸70〜30モル%が好ましく、乳酸50モル%と、6−ヒドロキシカプロン酸50モル%がより好ましい。
【0015】
これらの構成成分の組合せとしては、得られる脂肪族ポリエステルが結晶性ポリマーの場合には、その融点が25℃以下になるものが好ましく、また、得られる脂肪族ポリエステルが非晶性ポリマーの場合には、そのガラス転移点が、25℃以下になるものが好ましい。例えば、ジエチレングリコールとコハク酸とフマル酸の混合物の脂肪族ポリエステル、トリエチレングリコールとコハク酸とフマル酸の混合物の脂肪族ポリエステル、ジエチレングリコールとアジピン酸とフマル酸の混合物の脂肪族ポリエステル、トリエチレングリコールとアジピン酸とフマル酸の混合物の脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
または、例えば、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸とイタコン酸とトリエチレングリコールの混合物のポリエステル、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸とイタコン酸とジエチレングリコールの混合物のポリエステル、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸とフマル酸とトリエチレングリコールの混合物のポリエステル、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸とフマル酸とジエチレングリコールの混合物のポリエステル等が挙げられる。
【0016】
本発明の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルは、どのような方法で製造したものでもよい。例えば、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸とのエステル化およびこれに続く高減圧下における脱グリコール反応によって製造する方法、または米国特許第5,401,796号(特開平7−228675)に記載された脂肪族ポリエステルの製造方法に準じて、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸を、または、(a1)脂肪族多価アルコール及び脂肪族不飽和多塩基酸、(a2)脂肪族不飽和オリゴエステルおよび(a3)脂肪族不飽和ポリエステルからなる群から選択された少なくとも1種(A)と、(b1)脂肪族多価アルコール及び脂肪族飽和多塩基酸、(b2)脂肪族ヒドロキシカルボン酸、(b3)脂肪族飽和オリゴエステルおよび(b4)脂肪族飽和ポリエステルからなる群から選択された少なくとも1種(B)を、触媒の存在下、有機溶媒中で、脱水縮合する方法で製造することができる。
【0017】
この方法は、生成した水または過剰のモノマーを該有機溶媒と共に反応系外に留出させるとともに、留出した有機溶媒に溶解する水および/またはモノマーの量以下の水および/またはモノマー含有量を有する有機溶媒を追加溶媒として反応系に装入しながら反応することにより、高分子量の脂肪族ポリエステルを得るものである。
【0018】
この方法に使用できる有機溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、o−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、メトキシナフタレン等のエーテル系溶媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等のチオエーテル系溶媒、安息香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸エチル等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテル、アルキル置換ジフェニルエーテル、ハロゲン置換ジフェニルエーテル、アルコキシ置換ジフェニルエーテル、環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル系溶媒が挙げられる。アルキル置換ジフェニルエーテルは、ジ(4−メチルフェニル)エーテル、ジ(3−メチルフェニル)エーテル、3−フェノキシトルエン等を含み、ハロゲン置換ジフェニルエーテルは、ジ(4−ブロモフェニル)エーテル、ジ(4−クロロフェニル)エーテル、4−ブロモフェニルフェニルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニルエーテル等を含み、アルコキシ置換ジフェニルエーテルは、ジ(4−メトキシフェニル)エーテル、4−メトキシフェニルフェニルエーテル、ジ(3−メトキシフェニル)エーテル、4−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等を含み、環状ジフェニルエーテルは、ジベンゾフラン、キサンテン等を含む。これらは、混合して用いてもよい。そして、溶媒として容易に水と分液分離できるものが好ましく、特に重量平均分子量の高い脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルを得るためにはハロゲン系溶媒およびエーテル系溶媒が好ましいが、ジクロロベンゼン、ジフェニルエーテルが特に好ましい。
これらの溶媒の使用量は得られるポリマーの濃度で10〜80%であることが好ましい。
【0019】
この方法において、生成した水および/または過剰のモノマーを反応系外に留出させるには、用いた有機溶媒と水および/またはモノマーとの共沸によることが好ましい。共沸により留出した有機溶媒は、含有する水および/またはモノマーの量が該有機溶媒に対する水および/またはモノマーの溶解度より多い場合は分液により水および/またはモノマーを除去した後、反応系内に戻して良く、さらに有機溶媒に溶解した水および/またはモノマーを除くために、脱水剤、脱モノマー剤で処理したり、蒸留等により水および/またはモノマーの含有量を低下させた後、反応系内に戻してもよい。また共沸により留出した有機溶媒の代わりに、新たな水および/またはモノマーの含有量の低い有機溶媒を装入してもよい。また反応の始めの部分で、生成する水および/または過剰のモノマーを減圧により除去し、その後に有機溶媒を加え、有機溶媒を含む反応混合物より有機溶媒の一部を除去することにより、反応混合物の水および/またはモノマーの量を所定の値とすることもできる。
【0020】
つまり、少なくとも反応のある段階で溶媒を用いて水および/またはモノマーを除去しつつ縮合反応を進めるものであり、この実施態様としては、溶媒は水および/またはモノマーと共沸するものでもしないものでもよく、水および/またはモノマーと分液するものでもしないものでもよい。また、他の実施態様としては、過剰の溶媒を予め装入しておき、単に溶媒を抜き出すのみで脱水する方法、反応溶媒を他の溶媒を用いて乾燥する方法等も含まれる。またさらに変形として、反応溶媒自体を液状のまま水分を除去してもよい。また、本発明の反応温度については、溶媒が水と共沸するために、沸点が低下したとしても所定の温度で行われればよい。
【0021】
脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルの平均分子量は、反応系に装入する有機溶媒の水および/またはモノマー量にも依存し、溶媒の種類にもよるが、溶媒が400〜500ppmと高い水分量、モノマー量を有する場合、得られる脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、10,000以下である。上記高水分量、高モノマー量でもジフェニルエーテル系溶媒あるいはオルソジクロルベンゼン等を用いると15,000以上の重量平均分子量の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルが得られることは驚くべきことである。更に高い平均分子量の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルを得るためには、反応系に装入する有機溶媒中の水またはモノマー量が低いことが望ましく、共沸により留出した有機溶媒を脱水、脱モノマー剤で処理して水および/またはモノマーを除去または減少して反応系に戻すか、水分量の低い新たな有機溶媒を装入することにより、装入する水および/またはモノマー量を50ppm以下とすることにより、重量平均分子量Mw50,000以上の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルを得ることができる。
【0022】
重量平均分子量の高い脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルを得るために用いる脱水、脱モノマー剤としては、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13X等のモレキュラーシーブ類、アルミナ、シリカゲル、塩化カルシム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、濃硫酸、過塩素酸マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、あるいは水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素化物、または、ナトリウム等のアルカリ金属等があげられる。中でも、取扱いおよび再生の容易さからモレキュラーシーブ類が好ましい。
この方法における反応温度は、ポリマーの生成速度および生成したポリマーの熱分解速度を考慮して、好ましくは80〜200℃であり、より好ましくは、110〜170℃である。縮合反応は、通常、常圧下に使用する有機溶媒の留出温度で行われる。反応温度を好ましい範囲にするために高沸点の有機溶媒を用いる場合には、減圧下で行ってもよいし、低沸点の有機溶媒を用いる場合には、加圧下で行ってもよい。
【0023】
この反応においては、触媒を使用しても使用しなくてもよいが、触媒を用いる場合には、周期表のII、III、IV、V族の金属、その酸化物あるいはその塩等が挙げられる。具体的には、亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ゲルマニウム等の金属、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、酢酸錫、オクタン酸錫、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、メタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩が挙げられる。その他、ジブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、または、チタニウムイソプロポキサイド等の上記金属の金属アルコキサイド、または、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル金属、または、ダウエックス、アンバーライト等のイオン交換樹脂等があげられる。
【0024】
その使用量は、使用する脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸、またはそれらのオリゴマーの0.0001〜10重量%が良く、経済性を考えると、0.001〜2重量%が好ましい。
この反応を行なうには、系外から水分が入らないように、不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、不活性ガスで置換しながら又は不活性ガスでバブリングしながら行なってもよい。
本発明の脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルは、前記方法によって得られた脂肪族ポリエステルをジイソシアネート化合物のような結合剤で鎖延長したものであってもよい。
【0025】
このようにして得られた脂肪族不飽和多塩基酸を含む重量平均分子量15,000以上の脂肪族ポリエステルを、可塑剤を用いないで、後述する架橋方法により架橋するこにより弾性体が得られる。脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が15,000より低い場合、架橋しても粘着性があり、弾性体が得られない。
このように架橋された脂肪族ポリエステル樹脂は、ゴム状弾性を持ち、ASTM D 676−58Tに規定される硬度試験により評価された硬度が80以下であり、その25℃における弾性率が、1×105 Pa以上、1×108 Pa以下であり、自然環境下、コンポスト条件下、あるいは加水分解条件下で容易に分解する生分解性弾性体である。
本発明ソフトルアーは、前述の脂肪族不飽和多塩基酸を含む、種々の組合せの線状に近い脂肪族ポリエステルに、可塑剤を加え、種々の型に入れ成形し、そのまま架橋(硬化)する方法によって得られる。
【0026】
本発明のソフトルアーを得るために用いられる可塑剤は、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジ−n−プロピルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチル アセチルリシノレート等の脂肪酸エステル、トリアセチン等のグリセリンエステル、ジエチルマレエート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート等のマレイン酸およびフマル酸エステル、アジピン酸−1,3−ブチレングリコール、エポキシ化大豆油等のポリエステル・エポキシ化エステル、トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル等である。好ましくはトリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、ジブチルセバケート、エポキシ化大豆油、ジエチルアジペートである。
また、脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルと可塑剤が互いに溶け合うために、可塑剤のSP値は、16〜25(J/cm3 )1/2 、好ましくは18〜23(J/cm3 )1/2 、より好ましくは19〜22(J/cm3 )1/2 である。
【0027】
可塑剤を添加する量は、ベースとなる脂肪族ポリエステルの分子量や組成により異なる。一般に脂肪族ポリエステルの分子量が高くなるに従い可塑剤の添加量は増え、また組成の違いにより硬くなるほど添加量は多くなる傾向があるが、架橋前の組成物全体に対し5〜95重量%が望ましい。更に望ましくは30〜75重量%である。
可塑剤を所定量添加した後、架橋させる前に、ポリマーと可塑剤が均一になるまで混合することが望ましい。また架橋反応させる際に酸素分子が存在すると架橋を阻害するため、成形する前に脱気しそのまま酸素を断ったまま、若しくは始めから酸素が混入しない条件、例えば、ポリマー製造から成形、架橋まで、窒素雰囲気下でを行うことが望ましい。
【0028】
重合架橋する方法としては、熱による熱重合、紫外線による光重合、ガンマー線による重合等を採用しうるが、光重合では着色剤を添加した場合に光エネルギーが全体に行き届かない場合があり、また、成形時の型をガラス等の光の透過するもので作らなければならないため、熱重合がより好適に用いられる。
【0029】
熱重合におけるラジカル発生剤、即ち、ラジカル開始剤は特に限定されず、過酸化ベンゾイル、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの過酸化物およびアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が用いられる。これらは1種または2種以上混合して用いられる。
これらのラジカル開始剤は、脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で用いられる。
熱重合法によって硬化する場合の重合温度、重合時間は、使用するラジカル重合開始剤、可塑剤添加量、硬化物の大きさ等により任意に決められる。
【0030】
紫外線による光重合におけるラジカル発生剤、即ち、増感剤は、特に限定されず、公知の4−フェノキシジシクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1オン、1−(4−ドデシルフェニル)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(O−エトキシカルボニル)オキシム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が用いられる。これらは1種または2種以上混合して用いられる。
【0031】
これらの増感剤は、脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で用いられるが、少なくとも脂肪族ポリエステルに含まれている重合禁止剤に対して等モル以上用いることが好ましい。
さらに、上記増感剤に前述のラジカル重合開始剤を併用することもできる。ガンマー線による重合ではラジカル重合開始剤は特に必要としない。
【0032】
このように重合架橋された樹脂は、ゴム状弾性を持ち、柔らかく、透明でありソフトルアーとして各種のリグに対応できるだけではなく、スピナーベイト、バズベイト、ラバージグのトレーラーとしても用いることができる。色等を付けるには、あらかじめ架橋成形前に顔料、ラメ、マイカ、繊維を混合したり成形後に染色する方法がある。
形状としてはストレート、カーリーテール、パドルテール、シャッドテール、クロー、シュリンプ、チューブ、リザード、グラブ、ミノー、スチックベイト系等全てのものに対応することができる。
使用法は、テキサスリグ、キャロライナリグ、ノーシンカーリグ、フロリダリグ、ジグヘッドリグ、スプリットショットリグ、ダウンショットリグ等の全てのリグに対応することができる。
この生分解性ソフトルアーは、海、川、湖、池、沼等魚のいる場所であるならどこでも用いることができる。
対象魚は、ブラックバス、ブルーギル、レインボートラウト、ブラウントラウト、ナマズ、ライギョ、シーバス、カサゴ、ソイ、メバル、アイナメ、タチウオ、ヒラメ、マゴチ、シイラ等のいわゆるフィッシュイーターと呼ばれる全ての魚に用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
この実施例で用いた評価方法は、以下の通りである。
(1)重量平均分子量
脂肪族不飽和ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム温度40℃、クロロホルム溶媒)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
(2)示差熱分析
走査熱量計(DSC−3100、マックサイエンス社製)で、−100℃〜230℃の範囲で分析した。
(3)溶融粘弾性
粘弾性アナライザーRSA−II(レオメトリックサイエンティフィック社製)で測定。
測定条件
測定治具:φ4.78mmパラレルプレートコンプレッション
周波数 :w=6.28rad/s=1Hz
温度 :−70〜200℃
テストモード:温度依存性(Temperature Ramp Test)
(4)水中分解性
成型物を口の開いたポリビンに入れ、社内の屋外プールに投入した。投入の前後で目視により、現行品との比較を行った。
【0034】
[実施例1]
ポリエステルの製造
ジエチレングリコール106.1gとコハク酸116.3gとフマル酸2.4gと、酸化第1錫0.94g、さらにヒドロキノン0.01gを加え、窒素を流しながら150℃/1atmで2.5時間、次いで、150℃/15mmHgにして0.5時間、系外に水を流出しながら加熱攪拌しオリゴマー化した。これに、オルソジクロルベンゼン464gを加えモレキュラーシーブ5A、40gが充填された管を付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通って反応機に戻るようにした。その後、170℃/500mmHgで12時間反応を行った。その反応マスに660gのオルソジクロルベンゼンを加え、ピロリン酸10gを添加し110℃で2時間攪拌した後に炭酸カルシウム22.5gで中和し、熱濾過をした。
その濾液を減圧下に濃縮して溶媒を留去しポリマーを得た。得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は138,000であり、100万以上の超高分子量成分は見られなかった。該ポリマーを示差熱分析したところ、ガラス転移点−26.0℃の値を示した。このポリマー5gに、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、オーブン中で100℃、30分間熱架橋させた。この硬化ポリマーの25℃における弾性率は、1.5×105 〔Pa〕であった。
【0035】
サンプルの作成
得られた脂肪族不飽和ポリエステル5gに、トリエチレングリコールジアセテートを7.5g加え、均一になるまで混合してから開始剤(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.15ggを添加し、十分混合してから減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は完全に透明で十分柔らかかった。
【0036】
分解性
3ヶ月間屋外プールに沈めておいたところかなり小さくなり、表面はところどころ変色していた。そして6カ月後には殆ど消滅していた。一緒に沈めておいたポリ塩化ビニル製の現行品は白くなって少し膨潤していた。分解は全く認められなかった。
【0037】
[比較例1]
ポリエステルの製造
ジエチレングリコール106.1gとコハク酸116.3gとフマル酸2.4g、さらに酸化第1錫0.94gを加え、窒素を流しながら150℃/1atmで2.5時間、次いで、150℃/15mmHgにして0.5時間、系外に水を流出しながら加熱攪拌しオリゴマー化した。これに、オルソジクロルベンゼン464gを加えモレキュラーシーブ5A、40gが充填された管を付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通って反応機に戻るようにした。その後、170℃/500mmHgで5時間反応を行ったところで粘度が上がり攪拌が困難になったためここで反応を中止した。
得られたポリマーをGPC測定にかけたが、超高分子量のポリマーのためカラムが詰まり測定できなかった。
このポリマー5gに、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、混合してから、減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は不均一で引張強度が低かった。
このポリマー5gに、トリエチレングリコールジアセテートを6.1g、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、混合しようとしたが混合することができなかった。
【0038】
[実施例2]
実施例1と同じ脂肪族不飽和ポリエステル5gに、トリアセチンを7.5g加え、均一になるまで混合してから開始剤(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.15gを添加し、十分混合してから減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は完全に透明で十分柔らかかった。
【0039】
[実施例3]
ポリエステルの製造
実施例1と同様にしてトリエチレングリコールとコハク酸とフマル酸のモル比が、100:95:5になるように仕込み、合成、精製、単離した。得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は105,000であった。該ポリマーを示差熱分析したところ、ガラス転移点は−32.6℃の値を示した。このポリマー5gに、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、オーブン中で100℃、30分間熱架橋させた。この硬化ポリマーの25℃における弾性率は、1.8×105 〔Pa〕であった。
【0040】
サンプルの作成
得られた脂肪族不飽和ポリエステル5gに、トリエチレングリコールジアセテートを7.5g加え、均一になるまで混合してから開始剤(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.15gを添加し、十分混合してから減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は完全に透明で十分柔らかかった。
【0041】
[実施例4]
ポリエステルの製造
実施例1と同様にしてトリエチレングリコールとアジピン酸とフマル酸のモル比が、100:95:5になるように仕込み、合成、精製、単離した。得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は125,000であった。該ポリマーを示差熱分析したところ、ガラス転移点は−48.7℃の値を示した。このポリマー5gに、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、オーブン中で100℃、30分間熱架橋させた。この硬化ポリマーの25℃における弾性率は、1.2×105 〔Pa〕であった。
【0042】
サンプルの作成
得られた脂肪族不飽和ポリエステル5gに、ジエチルアジペートを8.5g加え、均一になるまで混合してから開始剤(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.15gを添加し、ルートビアーと呼ばれる薄い茶色の着色剤と、赤、緑、黒のラメを少量加え十分混合してから減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は完全に透明で十分柔らかかった。
このサンプル(パドルテール)を持って茨城県北浦の金上ワンド内のオダ周りで実釣テストを行った。1/4ozのシンカーを付けたテキサスリグにより38cmのブラックバスが2投目で釣れた。
【0043】
[実施例5]
▲1▼ ポリマーの製造
88%乳酸102.3gと6−ヒドロキシカプロン酸131.4gとトリエチレングリコール6.26gとイタコン酸5.42gと酸化第1錫1.15g、さらにヒドロキノン0.01gを加え150℃/100mmHgで2時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。
これに、オルソジクロルベンゼン210gを加え、Dean Stark trapを取り付け、170℃/500mmHgで4時間、共沸脱水反応を行ない、水分を除去し、その後、Dean Stark trapを取り外して、モレキュラーシーブ5A、60gが充填された管を付け、還流により留出する溶媒が、モレキュラーシーブを通って再び反応器系内に戻るようにした。
その後、170℃/500mmHgで15時間反応を行った。なお、モレキュラーシーブ層中を通過後の溶媒中の水分量は2ppmであった。その反応マスに660gのオルソジクロルベンゼンを加え、ピロリン酸7.1gを添加し110℃で2時間撹拌した後に、熱濾過をした。
その濾液を減圧下に濃縮して溶媒を留去しポリマーを得た。
▲2▼ ポリマーの物性
得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は57,000であった。該ポリマーを示差熱分析したところ、ガラス転移点は−42.0℃の値を示した。
このポリマー5gに、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、オーブン中で100℃、30分間熱架橋させた。この硬化ポリマーの25℃における弾性率は、1.9×105 〔Pa〕であった。
【0044】
サンプルの作成
得られた脂肪族不飽和ポリエステル5gに、アセチルクエン酸トリブチルを6.0gとエポキシ化大豆油を2.5g加え、均一になるまで混合してから開始剤(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.15gを添加し、十分混合してから減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は完全に透明で十分柔らかかった。
【0045】
分解性
3ヶ月間屋外プールに沈めておいたところかなり小さくなり、表面はところどころ変色していた。そして6カ月後には殆ど消滅していた。一緒に沈めておいたポリ塩化ビニル製の現行品は白くなって少し膨潤していた。分解は全く認められなかった。
【0046】
[実施例6]
ポリエステルの製造
実施例6と同様にして、88%乳酸と、6−ヒドロキシカプロン酸と、トリエチレングリコールと、イタコン酸とが、49:49:1:1となるように仕込み、合成、生成、単離を行なった。
得られたポリマーのGPC測定による重量平均分子量は57,000であった。該ポリマーを示差熱分析したところ、ガラス転移点は−41.4℃の値を示した。
このポリマー5gに、t−ブチルパーオキシヘキサノエート0.15gを加え、オーブン中で100℃、30分間熱架橋させた。この硬化ポリマーの25℃における弾性率は、1.5×105 〔Pa〕であった。
【0047】
サンプルの作成
得られた脂肪族不飽和ポリエステル5gに、ジブチルセバケート5.2g、アセチルクエン酸トリブチル2.3g加え、均一になるまで混合してから開始剤(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)0.15gを添加し、十分混合してから減圧にして1分間脱気した。その混合物をシリコーンゴムでできたルアーの型に流し込み100℃に設定してあるオーブンに30分間入れ、硬化させた。
得られた成型物は完全に透明で十分柔らかかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明のソフトルアーは、従来から使用されているポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等に可塑剤を加えたソフトルアーと同等の柔らかさと透明性をもち、しかも、自然環境下、コンポスト条件下、あるいは加水分解条件下で完全に分解し、環境に優しい特徴を有する。
Claims (12)
- 重合禁止剤の存在下合成した不飽和結合を含む脂肪族ポリエステルに可塑剤と開始剤を添加後、架橋した、25℃における弾性率が1×10 5 [Pa]以上1×10 8 [Pa]以下である生分解性弾性体を構成成分とする生分解性ソフトルアー。
- 重合禁止剤が、キノン類、ヒドロキノン類、フェノール類、アミン塩酸塩類の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ソフトルアー。
- 重合禁止剤が、ヒドロキノン類であることを特徴とする請求項2記載の生分解性ソフトルアー。
- 重合禁止剤が、ヒドロキノンであることを特徴とする請求項3記載の生分解性ソフトルアー。
- 不飽和結合を含む脂肪族ポリエステルの重合体構成成分として、脂肪族不飽和多塩基酸を含む請求項1記載の生分解性ソフトルアー。
- 脂肪族不飽和多塩基酸を含む脂肪族ポリエステルが、(a1) 脂肪族多価アルコール及び脂肪族不飽和多塩基酸、(a2) 脂肪族不飽和オリゴエステル、(a3) 脂肪族不飽和ポリエステル、からなる群から選択された少なくとも1種(A)と、(b1) 脂肪族多価アルコール及び脂肪族飽和塩基酸、(b2) 脂肪族ヒドロキシカルボン酸(b3) 脂肪族飽和オリゴエステル、(b4) 脂肪族飽和ポリエステル、からなる群から選択された少なくとも1種(B)を、有機溶剤中、触媒の存在下、生成水分量及び/又は過剰モノマー量が500ppm以下で、加熱脱水反応させて得られた、重量平均分子量15,000以上の脂肪族不飽和ポリエステルである請求項1に記載した生分解性弾性体を構成成分とする生分解性ソフトルアー。
- 5〜90重量%の可塑剤を含む請求項1記載の生分解性ソフトルアー。
- 沸点が100℃以上、SP値が18〜23(J/cm 3 ) 1/2 、25℃での粘度が1〜10,000センチポイズである可塑剤を用いる請求項4記載の生分解性ソフトルアー。
- 可塑剤が、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、ジブチルセバケート、エポキシ化大豆油の群から選ばれた少なくとも1種である請求項5記載の生分解性ソフトルアー。
- 架橋が、熱重合によるものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ソフトルアーの製造方法。
- 架橋が、光重合によるものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ソフトルアーの製造方法。
- 重合開始剤及び/又は増感剤の使用量が脂肪族ポリエステルに含まれる重合禁止剤に対し等モル以上であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載した生分解性ソフトルアーの製造方法。
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