JP3642248B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に感熱記録体は、通常無色ないし淡色の塩基性無色染料とフェノール性物質等の有機顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後両者を混合し、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤その他の助剤を添加して得た塗液を紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したもので、熱ペン、感熱ヘッド、ホットスタンプ、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色記録を得るものである。これらの感熱記録体は計測用レコーダー、コンピュータの端末プリンター、ファクシミリ、自動券売機、バーコードラベルなど広範囲の分野に応用されている。
【0003】
このように感熱記録体の応用分野が広まるにつれて、光や熱に対する安定性への要求が高まり、感熱記録体が長期間に渡って室内光や太陽光に曝された場合における地肌部黄変や記録画像褪色等に対して改善が求められるようになってきた。
【0004】
感熱記録体の耐光性を向上させる目的で、紫外線吸収剤や紫外線遮断剤を感熱記録体に用いることは古くから行われており、紫外線遮断剤として二酸化チタンを使用する例が、特開昭62−244693号公報、特開平5−50751号公報、特開平7−223373号公報などに報告されている。
【0005】
しかしながら、これら従来の方法では、ある程度の耐光性は得られるものの十分ではなく、耐光性の向上目的で二酸化チタンの増配や微粒子二酸化チタンの使用を行うと、記録画像が白っぽくなる(靄がかかったようになる)白化カブリや、塗工層あるいは基紙の変色や劣化などの問題が生じやすく、満足のいく品質が得られていないのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、特に耐光性に優れるとともに、従来の問題点を改善した感熱記録体を提供することを課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の感熱記録体を得た。すなわち、本発明は、支持体上に無色ないし淡色の塩基性無色染料と有機顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録体において、アルミナ、シリカ及びジルコニアで表面処理した微粒子二酸化チタンを感熱記録層中に含有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明により耐光性に優れた感熱記録体が得られる理由は、明確には解明されていないが、次のように推測される。一般に、二酸化チタンは優れた紫外線遮断効果を持つ無機填料として知られている。しかしながら、粒径0.2〜0.5μm付近に隠蔽力(可視光散乱)の極大を持つため、この粒径域の二酸化チタンを感熱記録体に使用した場合、画像の白化カブリが生じやすい傾向がある。
【0009】
一方、微粒子二酸化チタンの場合は、可視光を透過するため白化カブリが生じにくく、さらに紫外線の散乱・吸収能が非常に高い。ところが、光触媒作用も強いため、感熱記録体に使用すると、塗工層や基紙の変色や劣化が問題となる。これに対し、本発明の微粒子二酸化チタンは、表面処理により光触媒作用が抑制されているため、これを用いることにより、塗工層や基紙の変色や劣化などが防止された、耐光性に優れた感熱記録体が得られるものと考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の微粒子二酸化チタンは、アルミナ、シリカ及びジルコニアを表面処理剤として用い表面処理されたものである。表面処理(表面改質)方法としては、一般的に、コーティングによる改質、トポケミカルな改質(表面化学的な手法)、メカノケミカルな改質、カプセル化による改質、放射線照射を併用する方法が知られている(「粉体−理論と応用− 改訂二版」久保輝一郎ら編、丸善株式会社発行、第204頁、「4.3表面改質」の項より)。例えば酸化チタンの場合、水に分散させた酸化チタンに水ガラスを加え、次にミョウバンの水溶液を加え、pHを調節して粒子表面にシリカやアルミナ等の層を作る方法などが適用される。
【0011】
本発明において、有機処理を併用しても良い。表面処理剤の比率は任意であるが、各材料とも全重量0〜30%、好ましくは1〜15%であり、表面処理剤トータルで全重量の1〜50%、好ましくは1〜30%である。
【0012】
また、本発明で用いられる微粒子二酸化チタンの平均粒径は、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは30〜50nmである。
【0013】
本発明の感熱記録体は、支持体上に塩基性無色染料と有機顕色剤とを含有する感熱記録層、および必要に応じて感熱記録層と支持体の間に下塗り層、感熱記録層の上に保護層、感熱記録層と保護層の間に中間層を設けた感熱記録体において、少なくとも感熱記録層中に表面処理された微粒子二酸化チタンを含有させることにより、従来提案されている技術に比べて、耐光性等の性能が顕著に改善されるものである。
【0014】
本発明で用いられる微粒子二酸化チタンは、感熱記録体を構成する感熱記録層と他の各層の二層以上に含有せしめることもでき、その含有せしめる層の組合せは特に制限されるものではない。また、感熱記録層、下塗り層、中間層、保護層は各一層のみに制限されることなく、それぞれ複数層設けることもできる。
【0015】
なお、微粒子二酸化チタンの感熱記録体への使用量および含有せしめる箇所(層)は、その感熱記録体に要求される性能品質に依るものであり、本発明の微粒子二酸化チタンは、光活性が小さく変色や劣化の原因となりにくいため、感熱記録層に使用しても、良好な耐光性を示す。紫外線の吸収および遮断効率の点では、下塗り層よりは感熱記録層、保護層への配合が好ましい。
【0016】
本発明の感熱記録体において、表面処理された微粒子二酸化チタンを下塗り層へ含有させる場合の使用量については、少なすぎると十分な耐光性が得られにくく、多すぎると下塗り層の強度が低下し、その結果感熱記録体としての表面強度が低下するので、セロピック強度、印刷適性等が要求される用途には不適当である。本発明においては、下塗り層の乾燥重量に対して5〜80重量%を含有させるのが好ましい。
【0017】
感熱記録層へ含有させる場合の使用量については、少なすぎると十分な耐光性が得られにくく、多すぎると発色感度が低下する。本発明においては、感熱記録層の乾燥重量に対して10〜40重量%を含有させるのが好ましい。
【0018】
保護層へ含有させる場合の使用量については、使用量が少なすぎると十分な耐光性が得られにくく、多すぎると保護層のバリア−性に劣ったり、隠蔽性によって発色感度が低下する傾向がある。本発明においては、保護層の乾燥重量に対して5〜60重量%を含有させるのが好ましい。
【0019】
本発明において、感熱記録層で用いられる塩基性無色染料としては、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系、フルオラン系、アザフタリド系、フルオレン系等のロイコ染料が好ましく、以下にこれらの具体例を示す。これらの塩基性無色染料は、単独又は二種以上を混合して使用することもできる。
【0020】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド[別名クリスタルバイオレットラクトン]
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
[別名マラカイトグリーンラクトン]
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ[c]フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
【0021】3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−(N−エチル−N−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
【0022】3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0023】
<フルオレン系ロイコ染料>
3、6、6´−トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3´−フタリド]
3、6、6´−トリス(ジエチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3´−フタリド]
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−[1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−[1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−[2´,2´,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−[2´,2´,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−[2´,2´,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−2,2−ジアセチルエタン
ビス−[2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル]−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0024】
本発明の感熱記録層で用いられる有機顕色剤としては、特に制限されるものではないが、例えば下記の如き公知の顕色剤が挙げられる。活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2’−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、およびこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの有機顕色剤は、単独又は二種以上を混合して使用することもできる。
【0025】
この他、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を使用することもできる。
【0026】
本発明では、感熱記録発色感度を向上させるために、感熱記録層中に感度向上剤を含有させることができる。感度向上剤としては、従来から感熱記録体で使用されている化合物であればいずれも使用しうる。例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド、エチレンビスアミド、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、p−ベンジルビフェニル、フェニルα−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、O−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド等を添加することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの感度向上剤は、単独または二種以上混合して使用してもよい。
【0027】
本発明においては、主に発色記録画像の保存性向上のために、感熱記録層中に画像安定剤を含有させても良い。このような画像安定剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、および4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた一種以上を含むものを用いることができる。これらの画像安定剤は、単独または二種以上を混合して使用することもできる。
【0028】
本発明の感熱記録体を製造するために、塩基性無色染料及び有機顕色剤を支持体上に結合支持させる場合、従来公知のバインダーを適宜用いることができる。その具体例としては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラールポリスチロールおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0029】
本発明における感熱記録体の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機充填剤、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン等の有機充填剤などを使用することが出来る。
【0030】
このほかに、脂肪酸金属塩などの離型剤、ワックス類などの滑剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等、感熱記録体に慣用の従来公知の材料を適宜使用することができる。耐光性を更に向上させる目的で、紫外線吸収剤や紫外線遮断剤を使用しても良い。
【0031】
本発明の感熱記録層用塗液の調製方法は特に限定されるものではないが、一般に記録体に使用する塩基性無色染料及び有機顕色剤の量、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能および記録適性に従って決定され、通常、塩基性無色染料1部に対して、有機顕色剤1〜8部、充填剤1〜20部を使用し、バインダーは全固形分中5〜25%が適当である。これらの塩基性無色染料、有機顕色剤並びに必要に応じて添加する材料はボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び必要に応じて本発明の微粒子二酸化チタン等、各種の添加材料を加えて塗液とする。
【0032】
感熱記録層の形成方法については特に限定されず、例えばブレードコーター、エアナイフコーター、バーコーター、リバースロールコーター等により上記組成から成る塗液を支持体上に塗布、乾燥することによって目的とする感熱記録体が得られる。
【0033】
本発明の感熱記録体において、感熱記録層と支持体との間に下塗り層を設ける場合、このような下塗り層は通常、バインダーと充填剤を含有するものである。バインダー、充填剤および各種助剤としては、感熱記録層の構成成分として例示された材料を要求品質に応じて適宜使用することができる。なお、特公平3−54074号公報記載の殻を有する微小中空球粒子や特開平10−258577号公報記載のお椀型状中空重合体粒子など従来感熱記録体の下塗り層に用いられている公知の中空粒子や、焼成カオリンは断熱効果が高く、下塗り層の充填剤としてより好ましい。本発明では、必要に応じ、本発明の微粒子二酸化チタンを下塗り層に適宜配合することができる。
【0034】
下塗り層用の塗液の調整方法については特に限定されるものではなく、一般に水を分散媒体とし、バインダー、充填剤の他に、必要に応じて添加される本発明の微粒子二酸化チタンや消泡剤等を混合して調製される。下塗り層の形成方法については特に限定されず、例えば前記感熱記録層の形成方法の如き各種の塗布方法により下塗り層用塗液を支持体上に塗布・乾燥するなどの方法で形成される。
【0035】
本発明の感熱記録体において、感熱記録層の上に保護層を設ける場合、このような保護層は通常、水溶性または水分散性バインダーと充填剤を含有するものである。バインダー、充填剤および各種助剤としては、感熱記録層の構成成分として例示された材料を要求品質に応じて適宜使用することができる。この時架橋剤を添加して、保護層に耐水性を付与することがより好ましい。本発明では、必要に応じ、本発明の微粒子二酸化チタンを保護層に適宜配合することができる。
【0036】
保護層用塗液の調製方法については特に限定されるものではなく、一般に水を分散媒体とし、水性バインダーの他に、必要に応じて添加される本発明の微粒子二酸化チタン、その他の充填剤および滑剤などを混合して調製される。保護層の形成方法については特に限定されず、例えば前記の如き各種の塗布方法により保護層用塗液を感熱記録層上に塗布・乾燥するなどの方法で形成される。
【0037】
本発明の感熱記録体において、感熱記録層と保護層の間に中間層を設ける場合、このような中間層は通常、バインダーと充填剤を含有するものである。バインダー、充填剤および各種助剤としては、感熱記録層の構成成分として例示された材料を要求品質に応じて適宜使用することができる。この時架橋剤を添加して、中間層に耐水性を付与することもできる。本発明では、必要に応じ、本発明の微粒子二酸化チタンを中間層に適宜配合することができる。
【0038】
中間層用塗液の調製方法については特に限定されるものではなく、一般に水を分散媒体とし、水性バインダーの他に、必要に応じて添加される本発明の微粒子二酸化チタン、その他の充填剤および滑剤などを混合して調製される。中間層の形成方法については特に限定されず、例えば前記の如き各種の塗布方法により中間層用塗液を感熱記録層上に塗布・乾燥するなどの方法で形成される。
【0039】
本発明の感熱記録体に使われる支持体としては、紙(酸性紙、中性紙)、再生紙、プラスティックフィルム、合成紙、不織布、金属蒸着シート等、感熱記録層および必要に応じて設けたその他の層を保持できるものであればいずれも使用しうる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって説明する。尚、説明中、部は、特に断わらない限り、重量部を示す。
<感熱記録体の製造>
[実施例1]
実施例1は、感熱記録層に本発明の微粒子二酸化チタンを使用した例である。
(1)下塗り層の形成
10%ポリビニルアルコール水溶液 150部
焼成カオリン(40%分散液) 250部
上記の割合で材料を混合、撹拌し、下塗り層用塗液とした。この塗液を50g/m2の支持体上の片面に塗布量5.0g/m2となるように塗布乾燥して、下塗り層を形成した。
(2)感熱記録層の形成
下記の組成物の各液をサンドグライダーで平均粒子径1ミクロンまで磨砕した。
[ケミラ社製L530、粒径30−35nm](30%分散液) 上記塗液を下塗り層上に塗布量6.0g/m2になるように塗布乾燥して感熱記録層を得た。
【0042】
[比較例1]
実施例1の感熱記録層の形成において、感熱記録層用塗液からアルミナ・シリカ・ジルコニア処理二酸化チタン[ケミラ社製L530、粒径30−35nm](30%分散液)20.0部を抜いた以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
【0043】
[比較例2]
実施例1の感熱記録層の形成において、感熱記録層用塗液にアルミナ・シリカ・ジルコニア処理二酸化チタン[ケミラ社製L530、粒径30−35nm](30%分散液)20.0部の代わりに表面無処理微粒子二酸化チタン[テイカ社製MT−150W、粒径15nm](30%分散液)20.0部を配合した以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
【0044】
[耐光性の評価]
(1)得られた感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.42mJ/dotで印字した。記録部の濃度を、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した(濃度:Da)。
(2)上記条件で印字した感熱記録体をカーボンアークフェードメータ(東洋精機BH)により8時間処理し、記録部の濃度を上記条件で測定し(濃度:Db)、同時に白紙部の濃度を、使用フィルターをブルーに代えて測定した(濃度:Dc)。
(3)下記式により評価を行った。
記録部耐光性(残存率): Db/Da×100=Rd(%)
白紙部耐光性 : Dc
Rdの値が大きい程、記録部の耐光性が良いことを示す。実用的には80%以上が望ましい。また、Dcの値が小さいほど、白紙部の耐光性が良好であることを示す。実用的には0.15以下が望ましい。
【0045】
上記の結果を表1および表2に示す。なお、表1中のB、Cは、それぞれB:表面アルミナ・シリカ・ジルコニア処理二酸化チタン(ケミラ社製L530、粒径30−35nm)、C:表面無処理二酸化チタン(テイカ社製MT−150W、粒径15nm)を表す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
前記の表2から明らかなように、本発明のシリカ、アルミナ及びジルコニアで表面処理した微粒子二酸化チタンを使用すると、地肌部、画像部共に良好な耐光性が示される。比較例1のように、本発明の二酸化チタンを使用しない場合は、実施例と比較して耐光性が非常に劣る。また、比較例2のように、表面処理を行っていない微粒子二酸化チタンを用いた場合は、ある程度の耐光性は認められるものの、塗工層の劣化に因るものか、実施例と比較して画像部の褪色や地肌部の着色が大きく、十分満足な品質が得られない。このように、本発明のシリカ、アルミナ及びジルコニアで表面処理した二酸化チタンを使用することにより、弊害を伴うことなく特に耐光性に優れた感熱記録体が得られることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、特に耐光性が良好な感熱記録体が提供される。
Claims (1)
- 支持体上に無色ないし淡色の塩基性無色染料と有機顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、アルミナ、シリカ及びジルコニアで表面処理した微粒子二酸化チタンを感熱記録層中に含有することを特徴とする感熱記録体。
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