JP3641850B2 - 冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷媒との相溶性が実質的に無くて冷媒よりも比重が小さい油を圧縮機の潤滑油として使用する冷凍機に関し、詳しくは圧縮機内での冷媒と油との二層分離を解消することができる冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷媒に対して相溶性の無い油を冷凍機に使用する場合、図8(A)に黒い点で示したように、油中に所定の冷媒分率以上の冷媒が溶解すると、油と冷媒とが二層に別れる二層分離が発生する。そして、このとき、(冷媒の比重)>(油の比重)であるならば、下層は油濃度がきわめて低い冷媒リッチ層になる。
【0003】
二層分離が発生する運転モードとしては、起動(寝込み起動)や発停やデフロスなどと言った過渡的に液バックが生じるモードがある。そして、冷凍機の圧縮機の油溜まり部で二層分離が生じると、条件によっては図8(B)に示すように、二層分離面Dが給油口Sを越える。すると、給油口Sからは油が吸い込まれずに、下層の液冷媒リッチ層Rの冷媒が給油口Sから吸い込まれて圧縮機Cの摺動部に供給される。すると、圧縮機Cの潤滑不良が発生して、摺動部摩擦や焼付が生じる問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、冷媒と潤滑油とが圧縮機内で二層分離したときに、この二層分離を解消して摺動部摩擦や焼き付きを防止することができる冷凍機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機1の潤滑油として用いている冷凍機において、
冷媒と潤滑油とが圧縮機1内で二層に分離していることを検出する二層分離検出手段21と、
上記二層分離検出手段21の出力に基づき、上記二層分離検出手段21が二層分離を検出したときから、上記二層分離検出手段21が二層分離を検出しなくなった後まで上記圧縮機1を連続運転させる圧縮機連続運転手段23とを備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項1の発明によれば、上記圧縮機連続運転手段23は、上記二層分離検出手段21が二層分離を検出したときに上記二層分離検出手段21が二層分離を検出しなくなる後まで上記圧縮機1を連続運転させる。圧縮機1を発停させずに連続運転させることによって、圧縮機1から冷媒を吐出させて圧縮機1内の冷媒量を減少させることができる。従って、圧縮機1内の二層分離を解消し、圧縮機1の底に冷媒が溜まることを防止できるから、圧縮機1の潤滑不足や焼き付きを防止できる。
【0007】
また、請求項2の発明は、冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機1の潤滑油として用いている冷凍機において、
外気温度を検出する外気温センサ31と、
上記外気温センサ31から上記外気温度を表す信号を受けて、上記外気温度が低いほど、圧縮機1の起動時に上記圧縮機1を長く連続運転させる圧縮機連続運転手段33とを備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記圧縮機連続運転手段33は、外気温センサ31から外気温度を表す信号を受けて、上記外気温度が低いほど、圧縮機1の起動時に圧縮機1を長く連続運転させる。この連続運転によって、圧縮機1内の冷媒量を減少させて、二層分離を解消することができる。また、外気温度が低いほど冷媒温度が低くて二層分離し易くなるので、外気温度が低いほど連続運転時間を長くすることによって、二層分離の解消を十分に行うことができる。
【0009】
また、請求項3の発明は、冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機1の潤滑油として用いている冷凍機において、
冷媒と潤滑油とが圧縮機1内で二層に分離していることを検出する二層分離検出手段51と、
上記二層分離検出手段51の出力に基づき、上記二層分離検出手段51が二層分離を検出したときに、圧縮機1を駆動する電源の駆動周波数を二層分離を検出しなかったときの駆動周波数よりも上昇させて、上記二層分離検出手段51が上記二層分離を検出しなくなるまで、上記上昇させた駆動周波数で圧縮機1を連続運転する圧縮機制御手段55とを備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明によれば、上記圧縮機制御手段55は、上記二層分離検出手段51が上記二層分離を検出したときに、二層分離を検出しないときよりも、圧縮機1を駆動する電源の駆動周波数を上昇させて、上記上昇させた駆動周波数で圧縮機1を連続運転させる。この上昇させた駆動周波数での圧縮機1の連続運転によって、圧縮機1内の冷媒を早く排出することができる。従って、圧縮機1内の二層分離を早く解消することができる。したがって、圧縮機1に冷媒のみが供給されることを防いで、圧縮機1の潤滑不足や焼き付きを防ぐことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の形態例により詳細に説明する。
【0012】
〔第1参考例〕
図1(A)に、この発明の冷凍機の第1参考例の制御系の基本構成を示す。また、図2(A)に、この第1参考例の圧縮機1回りの構成を示す。この第1参考例の冷凍機は、圧縮機1の潤滑油として、冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機1の潤滑油として使用している。なお、上記圧縮機1は、モータMとこのモータMによって駆動される駆動部Aと、この駆動部Aに油を供給するための給油口1Aとを有している。
【0013】
図2(A)に示すように、この第1参考例は、バイパス配管2Aを備えている。このバイパス配管2Aは、圧縮機1の油溜まり部3の底部3Aと圧縮機1から延びている吐出配管5とを接続している。また、このバイパス配管2Aには、バイパス弁としての電磁弁6が設けられている。また、この電磁弁6の下流側には流量調節用キャピラリ7が設けられている。なお、11は吸入配管であり、12はアキュムレータである。また、L1は油リッチ層であり、L2は液冷媒リッチ層である。
【0014】
また、図1(A)に示すように、この第1参考例は、制御系として二層分離検出部8とバイパス回路電磁弁制御回路10とを備えている。上記二層分離検出部8は、圧縮機1内の二層分離を検出するものである。そして、上記バイパス回路電磁弁制御回路10は、上記二層分離検出部8が二層分離を検出すると上記電磁弁6を開ける一方、二層分離検出部8が二層分離を検出しないときに電磁弁6を閉じる。
【0015】
上記構成の冷凍機は、図3下段左に一点鎖線で示すように、起動時に圧縮機1の給油口1Aでの油濃度が低下して二層分離が発生すると、上記二層分離検出部8が二層分離を検出する。すると、上記電磁弁制御回路10が電磁弁6を開けて、上記バイパス配管2を連通させる。すると、このバイパス配管2を通って、圧縮機1の油溜まり部3の底部3Aから吐出配管5に冷媒が流れる。すると、上記油溜まり部3での冷媒が少なくなり、図3下段左に一点鎖線で示すように、給油口1Aでの油の濃度が急速に上昇して、冷媒の溶解域に達して二層分離が解消される。上記一点鎖線で示したこの例での油濃度推移と、図3下段左に破線で示した従来例の油濃度推移とを比較すれば分かるように、この例によれば、二層分離が発生してから解消させるまでの時間を従来例に比べて5分の1以下にすることができる。したがって、この例によれば、起動時の二層分離を速やかに解消することができる。従って、給油口1Aから冷媒が吸い込まれることを防止でき、圧縮機1の摺動部の摩耗や焼き付きを防止することができる。
【0016】
図3上段は、上記起動時の圧縮機内の油温の推移を示している。一点鎖線はこの例での油温の推移を示しており、破線は従来例での油温の推移を示している。また、図3上段の実線は、圧縮機1の高圧ドーム内の圧力によって決まる冷媒の飽和温度の推移を示している。図3上段を参照しても分かるように、一点鎖線で示したこの例の油温は、起動後2分以下で冷媒飽和温度を越えるのに対して、破線で示した従来例の油温は起動後10分経過しないと冷媒飽和温度を越えることができなかった。
【0017】
この例によれば、圧縮機1の油溜り部3に溜まった液冷媒を物理的に冷媒循環系内に排出するから、単に二層分離を回避できるのみならず、起動時の冷媒循環系内の冷媒不足を解消でき、圧縮機1のウォームアップを促進できる。したがって、速暖性を向上させることができる利点がある。
【0018】
なお、この例では、圧縮機1として高圧ドームタイプを使用したので、油溜まり部3の底部から配管5に圧力差によって自動的に冷媒を供給できたが、圧縮機1を低圧ドームタイプにした場合にはポンプが使用される。また、この第1参考例では、図2(A)に示すように、バイパス配管2を吐出配管5に接続したが、図2(B)に示すように、バイパス配管2‐Bを熱交換器13と膨張弁15とを接続している液ライン16に接続してもよい。さらには、図2(C)に示すように、アキュムレータ12に接続されている吸入配管11にバイパス配管2‐Cを接続してもよい。
【0019】
〔第1の実施の形態〕
次に、図1(B)にこの発明の冷凍機の第1実施形態の制御系の構成を示す。尚、この第1実施形態の圧縮機および圧縮機回りの配管の構成は、図2(A)に示したバイパス配管2を備えていない点だけが第1参考例と異なっている。したがって、この第1実施形態は、制御系の構成について重点的に説明する。
【0020】
図1(B)に示すように、この第1実施形態は、制御系の構成として、二層分離検出部21と通常制御回路22と二層分離対策制御回路23とを備えている。この二層分離対策制御回路23が圧縮機連続運転手段を構成している。
【0021】
上記二層分離検出部21は、冷媒と潤滑油とが圧縮機1内で二層に分離していることを検出する。また、上記二層分離対策制御回路23は、二層分離検出部21からの出力に基づいて、二層分離検出部21が上記二層分離を検出したときに、圧縮機1を連続運転させ、この連続運転を上記二層分離検出部21が二層分離を検出しなくなった時刻t1からさらにΔt時間だけ経過した時刻まで続ける。
【0022】
上記構成の冷凍機は、図4下段左に示すように、起動時に、給油口1Aでの油の濃度が低下して二層分離が発生すると、二層分離検出部21が上記二層分離を検出する。すると、上記二層分離対策制御回路23は、上記二層分離検出部21から上記二層分離が発生したことを表す信号を受けて、圧縮機1を連続運転する。この連続運転の継続時間は二層分離が解消される時刻t1からさらにΔt時間だけ経過した時刻(起動開始時刻から10分目)まで続けられる。
【0023】
このように、この第1実施形態によれば、起動時に二層分離が発生すると圧縮機1を発停運転させずに圧縮機1を強制的に連続運転させる。このことによって、圧縮機1内から冷媒を速やかに排出することができる。したがって、圧縮機1内の冷媒濃度を速やかに減少させて二層分離を解消することができ、給油口1Aでの油の濃度を上昇させることができる。したがって、圧縮機1の潤滑不足を未然に防止できる。
【0024】
また、この連続運転は、圧縮機1の駆動周波数を60Hzに設定している。この60Hzの駆動周波数は、図4上段に破線で示したように、この圧縮機1の標準の駆動周波数40Hzに比べて20Hzだけ高い周波数である。このように、圧縮機1を標準よりも高い周波数で駆動することによって、圧縮機1から冷媒をより速やかに排出することができる。したがって、より速やかに二層分離を解消することができる。
【0025】
また、この実施形態によれば、従来例の冷媒配管系統を複雑化させることなく、制御系統の変更だけで、二層分離を回避することができるから、コストアップを招くことなく圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0026】
なお、図4上段に一点鎖線で示したのは圧縮機1内での油温であり、実線で示したのはドーム内圧力で決まる冷媒の飽和温度である。時刻t1において、油温が飽和温度に達している。
【0027】
〔第2実施形態〕
次に、図1(C)にこの発明の冷凍機の第2実施形態の制御系の構成を示す。この第2実施形態の圧縮機および圧縮機回りの配管の構成は、図2(A)に示したバイパス配管2を備えていない点だけが第1参考例と異なっている。したがって、この第2実施形態は、制御系の構成について重点的に説明する。
【0028】
図1(C)に示すように、この第2実施形態は、制御系の構成として、外気温センサ31と運転モード検出部32と連続運転時間算出部33と二層分離対策制御回路34と通常制御回路35を備えている。上記外気温センサ31は外気温度を検出して、この外気温度を表す信号を連続運転時間算出部33に出力する。また、上記運転モード検出部32は、この冷凍機が冷房運転および暖房運転のいずれを行っているのかを検出して、この検出を表す運転検出信号を連続運転時間算出部33に出力する。そして、上記連続運転時間算出部33は、上記外気温センサ31からの信号と上記運転検出信号とを受けて、上記圧縮機1を連続運転させる時間Tを算出する。この算出において、上記外気温度が低いほど連続運転時間Tを長く設定し、また、冷房運転時よりも暖房運転時に上記連続運転時間Tを長く設定する。そして、この算出部33は、算出した連続運転時間Tを表す信号を二層分離対策制御回路34に出力する。すると、対策制御回路34は、上記連続運転時間Tだけ圧縮機1を連続運転して、圧縮機1内で発生した二層分離を無くすることができるようにする。たとえば、上記連続運転時間Tを外気温度に応じて図6に示すように設定し、この設定した運転時間を冷房運転時であるのか暖房運転時であるのかに応じて修正を加えるようにしてもよい。
【0029】
そして、この対策制御回路34は、上記連続運転が終了したときに、連続運転が終了したことを表す信号を通常制御回路35に出力する。すると、この通常制御回路35は、圧縮機1の発停を含んだ通常の圧縮機制御を実行する。
【0030】
この実施形態によれば、連続運転時間算出部33は、外気温度と冷暖運転モードに対応して、二層分離を解消できるような圧縮機連続運転時間Tを設定するから、圧縮機1の潤滑不足を解消して摩耗や焼付を防止することができる。
【0031】
また、この実施形態によれば、従来例の冷媒配管系統を複雑化させることなく、制御系統の変更だけで、二層分離を回避することができるから、コストアップを招くことなく圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0032】
〔第2参考例〕
次に、この発明の第2参考例の制御系の構成を図1(D)に示す。この第2参考例は、発停モード判断部41と外気温度センサ42と通常膨張弁制御回路43と発停時膨張弁制御回路45を備えている。また、この第2参考例の冷媒循環系は、第1実施形態と同じ圧縮機1および圧縮機1回りの冷媒配管を備えている。さらに、この例の冷媒循環系は、図2(B)に示すように圧縮機1に接続されている熱交換器13と、この熱交換器13に接続されている電動膨張弁15を備えている。
【0033】
上記構成の冷凍機は、まず、上記発停モード判断部41が冷凍機が発停モードであるか否かを判断する。そして、この発停モード判断部41が、冷凍機が発停モードでなくて通常運転モードであると判断したときには、発停モード判断部41は、上記通常膨張弁制御回路43に通常運転モード信号を出力する。すると、上記通常膨張弁制御回路43は、電動膨張弁15にパルス信号を出力して電動膨張弁15の開度を通常運転において定められている膨張弁開度にする。
【0034】
一方、上記発停モード判断部41が、冷凍機が発停モードであると判断したときは、発停モード判断部41は上記発停時膨張弁制御回路45に発停モード信号を出力する。すると、発停時膨張弁制御回路45は、上記電動膨張弁15にパルス信号を出力して電動膨張弁15の開度を通常運転時での膨張弁15の開度に比べて小さくする。具体的には、図5に示すように、通常運転時での電動膨張弁開度は、電動膨張弁15に120パルスを出力しているときの電動膨張弁開度である。そして、この120パルスでの電動膨張弁開度において二層分離が発生したときには、発停時膨張弁制御回路45は、電動膨張弁15の開度が100パルスでの電動膨張弁開度になるように電動膨張弁15を絞る。電動膨張弁15を絞ると、過熱度が大きくなって冷媒温度が高くなるから、冷媒の溶解度を向上させることができる上に、圧縮機1に戻ってくる液冷媒量も少なくなる。したがって、二層分離を解消することができる。したがって、給油口1Aでの油濃度を上げることができ、圧縮機1の潤滑不足や焼き付きを防止することができる。
【0035】
また、この第2参考例では、上記発停時膨張弁制御回路45は、上記外気温センサ42からの外気温度を表す信号に応じて、上記膨張弁15の開度を小さくする量を修正する。つまり、上記発停時膨張弁制御回路45は外気温度が高いほど上記膨張弁15の開度を小さくする量を少なめにシフトする。その理由は、外気温度が高いほど、同じ電動膨張弁開度であっても冷媒の温度が高くなるからである。この外気温度の高低に応じた電動膨張弁開度絞り量の調節によって、電動膨張弁15の絞り過ぎおよび開き過ぎを防止することができる。
【0036】
また、この第2参考例によれば、従来例の冷媒配管系統を複雑化させることなく、制御系統の変更だけで、二層分離を回避することができるから、コストアップを招くことなく圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0037】
〔第3実施形態〕
次に、図1(E)にこの発明の冷凍機の第3実施形態の制御系の構成を示す。この第3実施形態は、二層分離検出部51と外気温センサ52と通常制御回路53と二層分離対策制御回路55とを備えている。上記二層分離対策制御回路55は、圧縮機周波数‐オン時間算出部56と対策運転部57とを有している。また、この第3実施形態は、上記第1実施形態と同様の圧縮機1および圧縮機回りの冷媒回路を有している。
【0038】
上記構成の冷凍機の動作を、図7を参照しながら説明する。まず、起動時には、圧縮機1の給油口1Aでの油の濃度は約80wt%であり、冷媒の溶解域にあるから二層分離は発生していない。したがって、上記二層分離検出部51は二層分離を検出しない。したがって、二層分離検出部51は通常制御回路53に二層分離が発生していないことを表す信号を出力する。そして、通常制御回路53は圧縮機1を通常運転する。つまり、制御回路53は圧縮機1を通常の周波数で運転し、かつ、図7の下段左に示すように、圧縮機1をオンオフさせる通常の発停制御を実行する。
【0039】
次に、給油口1Aでの油の濃度が低下して約30%になると、二層分離検出部51は圧縮機1内で冷媒と油とが二層に分離する二層分離を検出し、二層分離が発生したことを表す信号を上記二層分離対策制御回路55に出力する。また、この対策制御回路55には、外気温センサ52から外気温度を表す温度信号が入力される。すると、この対策制御回路55の算出部56は、上記温度信号が表す外気温度に応じて、図6に示すように、圧縮機1の対策運転時間つまり連続運転時間を決定する。さらに、上記算出部56は、上記二層分離検出部51からの出力信号に基づいて、圧縮機1の駆動周波数を通常運転時の駆動周波数に比べて所定の割合だけ上昇させる。たとえば、通常運転時の駆動周波数が40Hzであれば上記対策運転時の駆動周波数を60Hzにする。
【0040】
このように、圧縮機1の駆動周波数を上昇させた上で圧縮機1を外気温度で決まっている連続運転時間だけ連続運転することによって、圧縮機1から排出させる冷媒量を増大させる。これにより、図7の中程に示すように、給油口1Aでの油の濃度を速やかに増大させることができ、二層分離面を上昇させて、ついには油濃度を冷媒の溶解域に到達させるから、二層分離を解消することができる。したがって、圧縮機1の給油口1Aから冷媒が吸い込まれることを防いで圧縮機1の摩耗や焼付を防止できる。
【0041】
そして、上記二層分離が解消されると、上記二層分離検出部51は二層分離を検出しなくなるから、通常制御回路53に二層分離が発生していないことを表す信号を出力する。すると、通常制御回路53は圧縮機1を通常の駆動周波数で運転するとともに強制連続運転を解除してオンとオフとを含んだ通常運転に復帰させる。
【0042】
この第3実施形態によれば、従来例の冷媒配管系統を複雑化させることなく、制御系統の変更だけで、二層分離を回避することができるから、コストアップを招くことなく圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明は、冷媒と潤滑油とが圧縮機内で二層に分離していることを検出する二層分離検出手段と、上記二層分離検出手段が二層分離を検出したときに、少なくとも上記二層分離検出手段が二層分離を検出しなくなる後まで上記圧縮機を連続運転させる圧縮機連続運転手段とを備えている。
【0044】
したがって、請求項1の発明によれば、上記圧縮機連続運転手段は、上記二層分離検出手段が二層分離を検出したときに上記二層分離検出手段が二層分離を検出しなくなるまで上記圧縮機を連続運転させる。圧縮機を発停させずに連続運転させることによって、圧縮機から冷媒を吐出させて圧縮機内の冷媒量を減少させることができる。したがって、圧縮機内の二層分離を解消し、圧縮機の底に冷媒が溜まることを防止できるから、圧縮機の潤滑不足や焼き付きを防止できる。
【0045】
また、請求項2の発明は、外気温度を検出する外気温センサと、上記外気温センサから上記外気温度を表す信号を受けて、上記外気温度が低いほど、圧縮機の起動時に上記圧縮機を長く連続運転させる圧縮機連続運転手段とを備えている。したがって、請求項2の発明によれば、上記圧縮機連続運転手段は、外気温センサから外気温度を表す信号を受けて、上記外気温度が低いほど、圧縮機の起動時に圧縮機を長く連続運転させる。この連続運転によって、圧縮機内の冷媒量を減少させて、二層分離を解消することができる。また、外気温度が低いほど冷媒温度が低くて二層分離し易くなるので、外気温度が低いほど連続運転時間を長くすることによって、二層分離の解消を確実に行うことができる。
【0046】
また、請求項3の発明は、冷媒と潤滑油とが圧縮機内で二層に分離していることを検出する二層分離検出手段と、上記二層分離検出手段が上記二層分離を検出したときに、圧縮機を駆動する電源の駆動周波数を上昇させて、上記二層分離検出手段が上記二層分離を検出しなくなるまで、上記上昇させた駆動周波数で圧縮機を連続運転する圧縮機制御手段とを備えている。
【0047】
したがって、請求項3の発明によれば、上記圧縮機制御手段は、上記二層分離検出手段が上記二層分離を検出したときに、上記二層分離検出手段からの出力に基づいて圧縮機を駆動する電源の駆動周波数を二層分離を検出しなかったときの駆動周波数よりも上昇させて、上記上昇させた駆動周波数で圧縮機を連続運転させる。この上昇させた駆動周波数での圧縮機の連続運転によって、圧縮機内の冷媒を早く排出することができる。したがって、圧縮機内の二層分離を早く解消することができる。したがって、圧縮機に冷媒のみが供給されることを防いで、圧縮機の潤滑不足や焼き付きを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)はこの発明の冷凍機の第1参考例の構成を示すブロック図であり、図1(B)は第1実施形態の構成を示すブロック図であり、図1(C)は第2実施形態の構成を示すブロック図であり、図1(D)は第2参考例の構成を示すブロック図であり、図1(E)は第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 図2(A)は第1参考例の要部構造を示す冷媒配管図であり、図2(B)は第1参考例の変形例の配管図であり、図2(C)はもう1つの変形例の配管図である。
【図3】 上記第1参考例および従来例によって起動時に時間の経過にしたがって二層分離が解消される様子を示す図である。
【図4】 上記第1実施形態によって、起動時の二層分離が時間の経過とともに解消される様子を示す図である。
【図5】 上記第2参考例において、電動弁の開度を絞れば絞るほど圧縮機内の給油口での油の濃度を高くすることができることを示す図である。
【図6】 上記第3実施形態において、外気温度が低いほど圧縮機の連続運転時間を長くする様子を示す図である。
【図7】 上記第3実施形態の運転タイムチャートである。
【図8】 図8(A)は温度と冷媒分率に対する二層分離域を示す二層分離線図であり、図8(B)は圧縮機内での二層分離状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、M…モータ、A…駆動部、1A…給油口、2…バイパス配管、
3…油溜まり部、3A…底部、5…吐出配管、6…電磁弁、
7…キャピラリ、8,21,51…二層分離検出部、
10…バイパス回路電磁弁制御回路、11…吸入配管、
12…アキュムレータ、13…熱交換器、15…電動膨張弁、
16…液ライン、22…対策制御回路、
23,55…二層分離対策制御回路、31,42,52…外気温センサ、
32…運転モード検出部、33…連続運転時間算出部、
34…二層分離対策制御回路、35,53…通常制御回路、
41…発停モード判断部、43…通常膨張弁制御回路、
45…発停時膨張弁制御回路、56…圧縮機周波数‐オン時間算出部、
57…対策運転部。
Claims (3)
- 冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機(1)の潤滑油として用いている冷凍機において、
冷媒と潤滑油とが圧縮機(1)内で二層に分離していることを検出する二層分離検出手段(21)と、
上記二層分離検出手段(21)の出力に基づき、上記二層分離検出手段(21)が二層分離を検出したときから、上記二層分離検出手段(21)が二層分離を検出しなくなった後まで上記圧縮機(1)を連続運転させる圧縮機連続運転手段(23)とを備えたことを特徴とする冷凍機。 - 冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機(1)の潤滑油として用いている冷凍機において、
外気温度を検出する外気温センサ(31)と、
上記外気温センサ(31)から上記外気温度を表す信号を受けて、上記外気温度が低いほど、圧縮機(1)の起動時に上記圧縮機(1)を長く連続運転させる圧縮機連続運転手段(33)とを備えていることを特徴とする冷凍機。 - 冷媒よりも比重が小さく、かつ、上記冷媒との相溶性が実質的に無い油を圧縮機(1)の潤滑油として用いている冷凍機において、
冷媒と潤滑油とが圧縮機(1)内で二層に分離していることを検出する二層分離検出手段(51)と、
上記二層分離検出手段(51)の出力に基づき、上記二層分離検出手段(51)が二層分離を検出したときに、圧縮機(1)を駆動する電源の駆動周波数を二層分離を検出しなかったときの駆動周波数よりも上昇させて、上記二層分離検出手段(51)が上記二層分離を検出しなくなるまで、上記上昇させた駆動周波数で圧縮機(1)を連続運転する圧縮機制御手段(55)とを備えていることを特徴とする冷凍機。
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