JP3641601B2 - 収穫作業機のフロントパネル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搭乗運転部に、該搭乗運転部の足下空間を覆う縦壁と該縦壁の上部に配備されるアーチ状の手摺りとを有するフロントパネルを立設してある収穫作業機のフロントパネル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような収穫作業機のフロントパネル構造においては、収穫作業時に、走行機体の前部に装備されている収穫装置への収穫作物の導入状態などを視認するために、搭乗運転部にて運転者が立ち上がった状態で操縦する立ち作業を行う場合が多いことから、その立ち作業時に支えとして把持可能なアーチ状の手摺りを縦壁の上部に立設配備することで、立ち作業時においても安定した姿勢で作業を行えるようにしていた。
【0003】
従来、上記のような収穫作業機のフロントパネル構造においては、例えば特開平9−205852号公報で開示されているように、走行機体に立設された鋼管材からなるアーチ状の支持フレームに、所定の形状にプレス成形された複数の板金部品を溶接やボルト連結することによって、フロントパネルを、搭乗運転部の足下空間を覆う縦壁とその上部に配備されるアーチ状の手摺りとを有するように構成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術のようにフロントパネルを構成すると、フロントパネルを構成する支持フレームや複数の板金部材などの各部材が金属製であることから、フロントパネルとしての重量が嵩むとともに、成形の面での自由度が低いことから外観の向上を図れるデザインの採用が困難となり、又、それらの各部材を所定の形状に成形する手間や溶接あるいはボルト連結する手間を要することから、フロントパネルの組み付けにかなりの手間を要するようになっていた。
【0005】
本発明の目的は、フロントパネルの軽量化や組み付けの容易化、並びに外観の向上を図れるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、搭乗運転部に、該搭乗運転部の足下空間を覆う縦壁と該縦壁の上部に配備されるアーチ状の手摺りとを有するフロントパネルを立設してある収穫作業機のフロントパネル構造において、前記フロントパネルをブロー成形品で構成し、前記手摺りに、該手摺りに連接した上部部品と、その上部部品に屈曲変形可能な薄肉のヒンジを介して連接した下部部品との前記ヒンジの屈曲変形による接合によって、メータパネルを収納する収納空間を有するように形成されるメータボックスを装備し、前記ヒンジの屈曲線が、前記メータパネルの表示面を臨ませるために前記メータボックスの上面に形成された開口の後端縁よりも前方に位置するように設定した。
【0007】
〔作用〕
上記請求項1記載の発明によると、フロントパネルを軽量で成形の面での自由度が高いブロー成形品で構成することから、フロントパネルの軽量化や成形の容易化を図れるとともに、外観の向上を図れるデザインの採用が可能になる。又、合理的な成形による部品点数の削減を図れることから、部品管理や組み付けの面で有利にすることができるようになる。
【0008】
又、縦壁の上部に配備される手摺りに装備したメータボックスにメータパネルを備えることから、縦壁の上部にメータパネルを装備する場合のように、メータパネルの表示を視認する際に手摺りが邪魔になる不都合を回避できるようになる。
【0009】
更に、手摺りには、メータボックスを構成する上部部品とヒンジと下部部品とが手摺りに対して一連に連なる展開状態で一体成形されることから、手摺りとメータボックスとを個別に成形する場合に比較して、それらの成形や組み付けに要する手間を削減できるとともに、部品点数の削減による部品管理の容易化を図れるようになる。
【0010】
しかも、ヒンジの屈曲線を開口の後端縁よりも後方に設定した場合には、薄肉に形成されるヒンジの長さが長くなってブロー成形時に歪みが生じ易くなることから、ヒンジを屈曲変形させて上部部品と下部部品とを接合させる際に上部部品と下部部品とが合致し難くなる、あるいは、メータボックスの形状が歪になるなどの不都合を招くようになり、又、ヒンジの屈曲線を開口の後端縁の延長線上に設定した場合には、薄肉に形成されるヒンジに応力が集中して亀裂が入り易くなるなどの不都合を招くようになるのに対し、上記請求項1記載の発明では、ヒンジの屈曲線を開口の後端縁よりも前方に設定していることから、薄肉に形成されるヒンジの長さを短くすることができてブロー成形時における歪みの発生を大幅に抑制できるとともに、ヒンジの屈曲線が開口の後端縁の延長線上から外れることでヒンジへの応力集中を回避できるようになり、結果、メータボックスを形成する際には、ヒンジの屈曲変形によって上部部品と下部部品とを簡単に合致させることができて、メータボックスを歪みのない状態に容易に形成できるようになり、又、メータボックスの形成後にヒンジに亀裂が入る不都合の発生を効果的に防止できるようになる。
【0011】
〔効果〕
従って、フロントパネルの軽量化や外観の向上、並びに、部品点数の削減による成形や部品管理及び組み付けの容易化を図りながら、メータパネル表示の視認性の向上を図れるとともに、ヒンジの屈曲線の設定に工夫を凝らすことで、メータボックスにおける歪みや亀裂の発生を回避できる品質及び信頼性の高いものにすることができるようになった。
【0012】
〔構成〕
本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記メータパネルに面する前記下部部品の底面部に、前記メータパネルに向けて突出する凸状部分を形成した。
【0013】
〔作用〕
上記請求項2記載の発明によると、メータパネルを受け止める底面部の形状を、凸状部分を有する複雑で断面係数の大きい形状にすることができ、これによって、下部部品の底面部を、メータパネルの受け止めを安定して行える剛性の高いものにすることができるようになる。
【0014】
又、下部部品の底面部とメータパネルとの間に隙間が形成されるようになることから、メータパネルの放熱性を高めることができるようになる。
【0015】
〔効果〕
従って、メータボックスにメータパネルを放熱性の高い状態で安定性よく収納することができるようになった。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1には収穫作業機の一例である自脱形コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1の駆動で走行する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する収穫装置の一例である刈取搬送装置3を駆動昇降可能に連結するとともに、走行機体2に、刈取搬送装置3からの刈取穀稈に対して脱穀・選別処理を施す脱穀装置4や、脱穀装置4からの穀粒を貯留する穀粒タンク5などを搭載し、穀粒タンク5に、その内部に貯留された穀粒を機外に排出するスクリュー式の排出機構6を装備し、走行機体2における穀粒タンク5の前方箇所に搭乗運転部7を形成して構成されている。
【0017】
図1〜3に示すように、搭乗運転部7は、機体フレーム8における搭乗運転部形成箇所の前部にメータパネル9や操縦レバー10などを備えたフロントパネル11を立設し、搭乗運転部形成箇所の左側部に、主変速レバー12や副変速レバー13などを案内するレバーガイド14Aを備えたサイドパネル14を立設し、搭乗運転部形成箇所の後部に搭載されたエンジン15などを覆うエンジンカバー16の上部に運転座席17を配備し、搭乗運転部形成箇所におけるフロントパネル11とサイドパネル14とエンジンカバー16とで囲まれたフレーム部分に搭乗ステップ18を敷設して形成されている。
【0018】
ちなみに、図示は省略するが、メータパネル9には、走行速度などを表示する液晶表示器、エンジン回転計、及び燃料計などが装備されている。
【0019】
図1〜5に示すように、フロントパネル11は、搭乗運転部7の足下空間を覆う状態となるように機体フレーム8に連結される縦壁Aと、その上部に連接配備されるアーチ状の手摺りBとから構成され、縦壁A及び手摺りBには、ブロー成形された樹脂成形品が採用されている。つまり、フロントパネル11を構成する縦壁A及び手摺りBに、軽量で成形の面での自由度が高いブロー成形品を採用していることから、フロントパネル11全体としての軽量化を図れる上に、見栄えの良いデザインの採用が可能になって外観の向上を容易に図れるようになっている。又、フロントパネル11に、縦壁A及び手摺りBによる2分割構造を採用したことによって、単一のブロー成形品からフロントパネル11を構成する場合に比較して、成形の面での自由度をより高くすることができるとともに、人目に付く箇所などの表面精度を必要に応じて上げることも簡単に行えることから、より一層の外観の向上を容易に図れるようになっている。
【0020】
図3〜7に示すように、縦壁Aは、その高さ方向中間部位に、その中間部位の略横幅全域が前方に向けて突出するように表面側Aaを屈曲させた隆起段部a1を有するとともに、その略全域に、裏面側Abの複数箇所を局部的に凹入して表面側Aaに接合させた厚肉部19を備えるように、又、その左右の各側縁部20,21が後方に向けて膨出する中空状となるように、更に、その上部に、表面側Aaと裏面側Abとを接合させた厚肉で左右一対の連結部22を有するように、その上更に、その下端部に、裏面側Abを後方に向けて膨出させた足置き部23を備えるように形成されている。つまり、縦壁Aは、それ自体が高い剛性を有するように、左右の各側縁部20,21が後方に向けて膨出する平面視弓形状で、かつ、横幅の略全域にわたる隆起段部a1、複数の厚肉部19や連結部22、及び足置き部23などを備える比較的複雑な断面係数の大きい形状に形成されている。又、その下端部に足置き部23を形成したことによって、搭乗運転部7においてより楽な運転姿勢をとれることから、搭乗運転部7での居住性の向上を図れるようになり、更に、機体フレーム8に対する接合面積が大きくなることから、それ自体が立設姿勢において高い安定性を有するようになっている。
【0021】
図3、図6及び図7に示すように、縦壁Aの左側縁部20には、サイドパネル14の前端縁14aが係入される縦長の係止溝20aと、その裏面側Abの上下中央箇所を、係止溝20aの内壁部分が無くなる程度まで凹入させた凹部20bとが形成されており、これによって、左側縁部20自体の剛性を高めることができる上に、その係止溝20aにサイドパネル14の14aを係入することによって、縦壁A及びサイドパネル14を高い支持強度で安定性良く立設することができるとともに、縦壁Aとサイドパネル14との間に隙間が形成されることによる見栄えの低下や、その隙間からの洗浄水などの不測の浸入を回避することができ、更に、凹部20bを形成した分、搭乗運転部7の足下空間を広くすることができて、運転者に、その左膝が左側縁部20に当たることに起因した窮屈感を覚えさせ難くすることができるようになっている。
【0022】
図3、図5及び図7に示すように、縦壁Aにおける足置き部23の載置面23Aには、上方に向けて突出する左右向きの複数のリブ23aと、それらの各リブ23aと直交する方向の複数の溝リブ23bとが形成されており、各リブ23aによって、載置面23Aに乗せた足の滑りを抑制することができるとともに、載置面23Aに堆積した泥土などを溝リブ23bの後端から簡単に流し出すことができるようになっている。又、足置き部23の載置面23Aに複数のリブ23a及び溝リブ23bを形成したことによって、足置き部23自体が高い剛性を有するようになることから、縦壁A自体の立設姿勢での安定性を更に向上させることができるようになっている。
【0023】
図3、図4及び図6に示すように、縦壁Aにおいて、刈取搬送装置3側の端部となる左側の側縁部20には、刈取搬送装置3に向けて延出するカバー部24が一体形成されており、これによって、フロントパネル11にカバー部24を組み付ける手間を要することなく、刈取搬送装置3から搭乗運転部7側へのワラ屑などの流動を防止することができ、もって、搭乗運転部7での作業環境の向上を図れるようになっている。
【0024】
図3〜5に示すように、縦壁Aの各連結部22は、機体フレーム8に立設された角鋼管材からなる支持フレーム25に対する連結用の左右一対の貫通孔22aが穿設されており、これによって、縦壁Aの上部を、機体フレーム8に立設された金属製の支持フレーム25に支持させることができて、縦壁Aの支持強度を高めることができるようになっている。又、縦壁Aの表面側Aaと裏面側Abとを接合させた厚肉の連結部22に貫通孔22aを穿設して支持フレーム25に対する連結を行うことから、支持フレーム25による縦壁Aの支持をより高い支持強度で行えるとともに、縦壁Aの中空部分26に貫通孔22aを穿設した場合に生じる貫通孔22aから中空部分26への洗浄水やゴミなどの入り込みを阻止できるようになっている。
【0025】
尚、図3〜5に示す符号27は、縦壁Aの下端部において表面側Aaと裏面側Abとを接合させることで厚肉に形成された脚部であり、この脚部27が機体フレーム8にボルト連結されるようになっている。
【0026】
図2〜5及び図8〜17に示すように、手摺りBには、その上部略中央から後方に向けて延出する状態に連接された上部部品28Aに対して、その上部部品28Aに屈曲変形可能な薄肉の左右のヒンジ28Bを介して連接された下部部品28Cを、各ヒンジ28Bの屈曲変形によって接合するとともに、手摺りBに、下部部品28Cの遊端に備えられた左右の連結部28aを、ボルト29Aと手摺りBに埋設されたインサートナット29Bとからなる連結具29を介して連結することで、メータパネル9を収納する収納空間28Dを有する形状で手摺りBから後方に向けて膨出する状態となるメータボックス28が一体成形されている。尚、下部部品28Cの各連結部28aは、その表面側28Caを裏面側28Cbに接合させた高い剛性を有する厚肉に形成されている。
【0027】
つまり、縦壁Aの上部に配備される手摺りBに一体成形したメータボックス28にメータパネル9を装備できることから、縦壁Aの上部にメータパネル9を装備する場合のように、メータパネル9の表示を視認する際に手摺りBが邪魔になる不都合を回避できるようになっている。
【0028】
又、手摺りBにメータボックス28を一体成形することから、手摺りBとメータボックス28とを個別に成形する場合に比較して、それらの成形や組み付けに要する手間を削減できるとともに、部品点数の削減による部品管理の容易化を図れるようになっている。
【0029】
図3〜5及び図8〜16に示すように、手摺りBには、その左右の両下端から下方に向けて延出する脚部30が形成されており、これらの脚部30は、支持フレーム25の左右両端部に溶接された帯綱製で上向きのブラケット25Aにボルト連結されるようになっている。つまり、手摺りBは支持フレーム25に連結されるようになっており、これによって、手摺りBを樹脂製の縦壁Aに連結する場合に比較して、メータパネル9を収納することで重量が大きくなり、又、運転者が搭乗運転部7にて立ち上がった状態で操縦する立ち作業時には運転者の支えとなる手摺りBを高い支持強度で支持することができるようになっている。
【0030】
図4、図5、図10〜14及び図16に示すように、縦壁Aの上端には手摺りBを載置するための接合面31が、又、手摺りBの左右両下端には縦壁Aに載置される接合面32が、それぞれ前上がりに形成されており、これらの接合面31,32を接合して縦壁Aに手摺りBを載置することによって、立ち作業時に、手摺りBの後方に居る運転者に把持されることで比較的大きい荷重がかかる手摺りBを、そのときの荷重方向と略直交する比較的に広い接合面31,32による両持ち状の高い支持強度で縦壁Aに安定性良く受け止めさせることができるとともに、メータパネル9を収納することで重量が大きくなった手摺りBを縦壁Aの上部に安定性良く連接することができ、結果、手摺りBに掛かる荷重が左右の脚部30に集中することに起因した脚部30の変形や破損を回避できるようになっている。又、縦壁Aと手摺りBの各接合面31,32が前上がりであることによって、組み付け誤差などに起因して縦壁Aと手摺りBとの間に発生する隙間を隠すことができるので、精度の高い組み付けなどを行わなくても、縦壁Aと手摺りBとの間に隙間が形成されることによる見栄えの低下を回避できるようになっている。
【0031】
図5、図9、図10及び図12〜14に示すように、メータボックス28の下部部品28Cは、その底面部28bの前部側に、裏面側28Cbを上方に向けて局部的に突出させた2つの凸状部分28cが、その底面部28bの後部側に、下部部品28Cの裏面側28Cbを局部的に凹入して表面側28Caに接合させた3つの厚肉の凹状部分28dがそれぞれ形成されており、これによって、下部部品28Cの剛性を高めることができるようになっている。又、各凹状部分28dには水抜き孔28eが穿設されており、メータボックス28内に入り込んだ洗浄水や雨水などは、各凹状部分28dに流れ込んで水抜き孔28eから中空部分33に入り込むことなく、メータボックス28外に円滑に排出されるようになっている。しかも、凸状部分28cを形成したことによって、下部部品28Cの底面部28bとメータパネル9との間に比較的大きい隙間が形成されるようになり、又、その底面部28bは複数の水抜き孔28eを有することから、メータパネル9の放熱性を高めることができるようになっている。
【0032】
図2〜5、図8〜12及び図14に示すように、手摺りBには、その左側部から左外側方に向けて、サイドパネル14の前端部を覆う状態で延出するアーム34が一体成形され、そのアーム34の延出端には、支持フレーム25にボルト連結される連結部34Aが形成されている。又、アーム34の高さ位置は、その上縁34aが手摺りBの上縁Baよりも低くなる位置に設定されている。
【0033】
つまり、アーム34を手摺りBから刈取搬送装置3側に延出していることから、そのアーム34を把持することによって、搭乗運転部7からの刈取搬送装置3の覗き込みが行い易くなっており、これによって、収穫作業時における刈取搬送装置3への収穫作物の導入状態や刈取搬送装置3による収穫作物の刈り取り搬送状態などの視認を搭乗運転部7から容易に行えるようになっている。
【0034】
又、手摺りBにアーム34を一体成形することから、手摺りBとアーム34とを個別に成形する場合に比較して、それらの成形や組み付けに要する手間を削減できるとともに、部品点数の削減による部品管理の容易化を図れるようになっている。
【0035】
更に、アーム34の延出端を支持フレーム25に連結することで、アーム34を強度の高い両持ち状にすることができ、しかも、アーム34の高さ位置を、その上縁34aが手摺りBの上縁Baよりも低くなる位置に設定したことによって、手摺りBとアーム34との連接箇所35を、手摺りBの上縁Baとアーム34の上縁34aとの間に縦向きのリブ36を有する比較的複雑な断面係数の大きい形状にすることができ、もって、アーム34を含む手摺りB全体としての剛性を高くすることができるようになっている。
【0036】
図5及び図12〜14に示すように、手摺りBは、その下縁Bbが下部部品28Cの前下端よりも下方に位置する上下方向の幅広に形成されており、これによって、フロントパネル11の前方からの洗浄水が、手摺りBと下部部品28Cの遊端との隙間からメータボックス28内に入り込むことを防止できるようになっている。又、手摺りBの下縁Bbは、その中央側ほど下方に位置する状態に湾曲形成され、アーム34の下縁34bは、手摺りBの下縁Bbに連なる状態となるように湾曲形成されている。つまり、手摺りBとアーム34は、それらの下縁Bb,34bが一連の流れに沿って湾曲するように形成されており、これによって、アーム34を含む手摺りB全体としての外観の向上を図れるようになっている。
【0037】
図2、図3、図8〜10及び図16に示すように、メータボックス28の上部部品28Aにおける右側部と、手摺りBにおける上部部品28Aの右側部との隣接箇所とにわたって、メータボックス28側ほど手摺りBから大きく後方に向けて膨出する連接部37が形成されている。
【0038】
つまり、連接部37を形成したことによって、成形時における手摺りBとそれから膨出するメータボックス28とにわたる空気の流動を円滑にすることができて、空気の流動が滞ることに起因した偏肉や成形不良を回避することができるとともに、手摺りBにメータボックス28を膨出形成したことによって弱くなる手摺りBとメータボックス28との境界部分の強度を高めることができるようになっている。
【0039】
又、メータボックス28の下部部品28Cにおける右側の連結部28aと、手摺りBに埋設された右側のインサートナット29Bとからなる手摺りBと下部部品28Cとの右側の連結箇所は、それらを連結するボルト29Aが連接部37の下方に位置するように設定されており、これによって、メータボックス28を構成した状態では、そのボルト29Aが連接部37の下方に位置して隠れるようになることから、そのボルト29Aを隠すための専用部品を新たに設けることなく、そのボルト29Aが露出することによる見栄えの低下を回避できるようになっている。
【0040】
図2、図3、図9、図11、図15及び図16に示すように、手摺りBにおける左右の両後上部には前上がりの傾斜面38が形成されている。一方、アーム34は、その上面34Bが前上がりの傾斜面となるように形成されている。そして、これらの傾斜面38,34Bによって、手摺りBの後方に居る運転者が手摺りBやアーム34を把持する際には、手摺りB及びアーム34の各傾斜面38,34Bが、手摺りBやアーム34に向けて差し出した運転者の手の平を、その手の平に面する状態で受け止めるようになることから、手摺りBやアーム34を、無理なく簡単に安定性良く把持することができるようになり、これによって、手摺りBやアーム34を支えとしながら操縦する立ち作業をより安定性良く行えるようになっている。
【0041】
図4、図5、図9、図12〜14及び図16に示すように、メータボックス28が連接された手摺りBの上部略中央箇所は、その前上縁部Bcが前方に向けて膨出する形状となるように形成されており、これによって、手摺りBの後方に居る運転者が手摺りBの上部略中央箇所を把持する際には、その前上縁部Bcに指を無理なく簡単に掛けることができるようになって、メータボックス28が連接された手摺りBの上部略中央箇所の把持をも簡単に安定性良く行えることから、手摺りBの上部略中央箇所にメータボックス28を連接しているにもかかわらず、手摺りBを支えとしながら操縦する立ち作業を容易に安定性良く行えるようになっている。
【0042】
しかも、前述したように、フロントパネル11を軽量で成形の面での自由度が高いブロー成形品で構成することから、そのブロー成形品の成形に伴って、手摺りBを、その後上部に前上がりの傾斜面38を有するとともに、その前上縁部Bcが前方に向けて膨出する状態に容易に形成できるようになっている。
【0043】
要するに、上述したようにブロー成形品の縦壁Aと手摺りBとからフロントパネル11を構成して、フロントパネル11の軽量化や外観の向上などを図れるようにしながらも、フロントパネル11としての必要強度を十分に確保することができるようになり、又、搭乗運転部7にて運転者が立ち上がった状態で操縦する立ち作業時には、それ自身が高い剛性を有するとともに支持フレーム25や縦壁Aにより高い支持強度で好適に支持された手摺りBやアーム34を支えとして把持することができるので、立ち作業を安定した好適な状態で行えるようになっている。
【0044】
図5に示すように、縦壁Aの底面39は、その前半部39Aに、図外の金型を前方に向けて抜くための前上がりの抜き勾配を有するとともに、その後半部39Bに、図外の金型を後方に向けて抜くための後上がりの抜き勾配を有するように形成され、その前半部39Aが、搭乗運転部7への立設時に機体フレーム8に接合する接合面に設定されている。そして、その前半部39Aを機体フレーム8に接合した際に機体フレーム8と底面39の後半部39Bとの間に形成される隙間40は、搭乗運転部7に敷設される搭乗ステップ18の前部に形成された上向きの膨出部分18Aによって隠されるようになっており、これによって、その隙間40を隠すための専用部品を設けることなく、その隙間40が露出することに起因した見栄えの低下を回避できるようになっている。
【0045】
図2、図8及び図17に示すように、手摺りBの左後方に位置するレバーガイド14Aには、主変速レバー12や副変速レバー13の操作位置などが付設されたガイドカバー41が、レバーガイド14Aの上方を覆う状態で装備されている。ガイドカバー41は、その前端部41Aが手摺りBとアーム34の延出端との間に入り込むようになっている。ガイドカバー41の前端部41Aは、その右側部分が、表面側28Caから裏面側28Cbに向けて凹入する下部部品28Cの左側の連結部28aに、その左側の連結部と手摺りBに埋設された左側のインサートナット29Bとを連結するボルト29Aに被さる状態で係入するように形成されており、これによって、左側のボルト29Aを隠すための専用部品を新たに設けなくても、ガイドカバー41によって左側のボルト29Aを隠すことができ、もって、部品点数の増加による部品管理や組み付けの複雑化などを招くことなく、そのボルト29Aが露出することによる見栄えの低下を回避できるようになっている。
【0046】
図2、図3、図9、図10、図12、図13及び図18に示すように、メータボックス28において、ヒンジ28Bの屈曲線28Baは、メータパネル9の表示面9Aを臨ませるためにメータボックス28の上面に形成された開口28Eの後端縁28fよりも前方に位置するように設定されている。つまり、ヒンジ28Bの屈曲線28Baを開口28Eの後端縁28fよりも後方に設定した場合には、薄肉に形成されるヒンジ28Bの長さが長くなってブロー成形時に歪みが生じ易くなることから、ヒンジ28Bを屈曲変形させて上部部品28Aと下部部品28Cとを接合させる際に上部部品28Aと下部部品28Cとが合致し難くなる、あるいは、メータボックス28の形状が歪になるなどの不都合を招くようになり、又、ヒンジ28Bの屈曲線28Baを開口28Eの後端縁28fの延長線上に設定した場合には、薄肉に形成されるヒンジ28Bに応力が集中して亀裂が入り易くなるなどの不都合を招くようになるのに対し、本実施形態では、ヒンジ28Bの屈曲線28Baを開口28Eの後端縁28fよりも前方に設定していることから、薄肉に形成されるヒンジ28Bの長さを短くすることができてブロー成形時における歪みの発生を大幅に抑制できるとともに、ヒンジ28Bの屈曲線28Baが開口28Eの後端縁28fの延長線上から外れることでヒンジ28Bへの応力集中を回避できるようになり、結果、メータボックス28を形成する際には、ヒンジ28Bの屈曲変形によって上部部品28Aと下部部品28Cとを簡単に合致させることができて、メータボックス28を歪みのない状態に容易に形成できるようになり、又、メータボックス28の形成後にヒンジ28Bに亀裂が入る不都合の発生を効果的に防止できるようになっている。
【0047】
図18〜20に示すように、メータパネル9は、左右一対の支持金具42を介してメータボックス28の上部部品28Aに支持固定されるようになっており、その固定状態では、メータパネル9の底壁9Bと下部部品28Cの凸状部分28cとの間に形成される隙間Saよりも、メータパネル9の側壁9Cと下部部品28Cの底面部28bとの間に形成される隙間Sbの方が大きくなるように設定されている。これによって、メータパネル9に、運転者の寄り掛かりなどに起因した鉛直方向の外力が掛かった場合には、メータパネル9の側壁9Cにストレスを掛けることなく、メータパネル9の底壁9Bを複数の凸状部分28cで安定性良く受け止めることができるようになっている。ちなみに、メータパネル9の底壁9Bと下部部品28Cの凸状部分28cとの間に形成される隙間Saは零であってもよい。
【0048】
各支持金具42は、その一端部が上部部品28Aに埋設されたインサートナット43にボルト44を介して連結され、その他端部に立設された係止ピン42Aが、メータパネル9の側壁9Cから左右外方に向けて延設されたフランジ9Eに穿設された係止孔9aに挿通されるようになっている。
【0049】
左側の支持金具42には、メータパネル9の左側部から延出されたメータパネル9に対する配線45と、メータパネル9の右側方に位置する状態でメータボックス28に収納された切換スイッチ46に対する配線47とを固定するバンド42Bが装備されている。一方、メータボックス28の上部部品28Aには、切換スイッチ46からの配線47をバンド42Bに向けて案内する溝28gが形成されている。
【0050】
これらの構成によって、メータパネル9や切換スイッチ46に対する配線45,47が邪魔になる不都合を招くことなく、メータボックス28に対するメータパネル9の組み付けを容易に行えるようになっている。又、メータボックス28の上部部品28Aに溝28gを形成したことによって、上部部品28Aをより複雑な断面係数の大きい形状にすることができ、もって、メータパネル9を支持する上部部品28Aの剛性を高くすることができるようになっている。
【0051】
ちなみに、切換スイッチ46は液晶表示器の表示モードを切り換えるためのものである。又、バンド42Bは、屈曲変形可能な金属板に樹脂コーティングして構成されたものである。
【0052】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)作業機としては、全稈投入形のコンバインあるいはニンジン収穫機や大根収穫機などであってもよい。
(2)フロントパネル11としては、縦壁Aと手摺りBとが一体成形されたものであってもよい。
(3)手摺りBとしては、アーム34が一体成形されていないものであってもよく、又、アーム34が、手摺りBの右側部から右外側方に向けて延出する状態に一体成形されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】自脱形コンバインの全体側面図
【図2】搭乗運転部の平面図
【図3】搭乗運転部の縦断背面図
【図4】(イ)フロントパネルの分解正面図
(ロ)フロントパネルの正面図
【図5】(イ)フロントパネルの縦断側面図
(ロ)フロントパネルの分解縦断側面図
【図6】縦壁における上部側の横断平面図
【図7】縦壁における下部側の横断平面図
【図8】手摺りの支持構造を示す横断平面図
【図9】手摺りの展開表面図
【図10】手摺りの展開裏面図
【図11】(イ)手摺りの展開側面図
(ロ)手摺りの側面図
【図12】(イ)手摺りの展開縦断右側面図
(ロ)手摺りの縦断右側面図
【図13】(イ)手摺りの展開縦断左側面図
(ロ)手摺りの縦断左側面図
【図14】手摺りの左側の支持構造を示す要部の縦断右側面図
【図15】手摺りの右側の支持構造を示す要部の縦断左側面図
【図16】メータボックスにおける上部部品と下部部品の連結構造を示す要部の縦断左側面図
【図17】手摺りとガイドカバーの位置関係を示す要部の横断平面図
【図18】メータボックスにメータパネルを組み付けた状態を示す要部の縦断側面図
【図19】メータボックスにメータパネルを組み付けた状態を示す要部の縦断背面図
【図20】上部部品にメータパネルを組み付けた状態を示す一部横断底面図
【符号の説明】
7 搭乗運転部
9 メータパネル
9A 表示面
11 フロントパネル
28 メータボックス
28A 上部部品
28B ヒンジ
28Ba 屈曲線
28C 下部部品
28D 収納空間
28E 開口
28b 底面部
28c 凸状部分
28f 後端縁
A 縦壁
B 手摺り
Claims (2)
- 搭乗運転部に、該搭乗運転部の足下空間を覆う縦壁と該縦壁の上部に配備されるアーチ状の手摺りとを有するフロントパネルを立設してある収穫作業機のフロントパネル構造であって、
前記フロントパネルをブロー成形品で構成し、前記手摺りに、該手摺りに連接した上部部品と、その上部部品に屈曲変形可能な薄肉のヒンジを介して連接した下部部品との前記ヒンジの屈曲変形による接合によって、メータパネルを収納する収納空間を有するように形成されるメータボックスを装備し、前記ヒンジの屈曲線が、前記メータパネルの表示面を臨ませるために前記メータボックスの上面に形成された開口の後端縁よりも前方に位置するように設定してある収穫作業機のフロントパネル構造。 - 前記メータパネルに面する前記下部部品の底面部に、前記メータパネルに向けて突出する凸状部分を形成してある請求項1記載の収穫作業機のフロントパネル構造。
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