JP3641137B2 - 分散制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多目的インテリジェントビル,オフィスビル,住居ビルなどの各種ビルや上・下水道プラント、空港システムなどの各種プラントの設備の監視および制御を行う分散制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種ビルや各種プラントの設備の監視および制御を行う監視制御システムでは、中央監視制御システムと設備機器を制御する複数のローカルコントローラが伝送路を介して接続されているが、中央監視制御システムである中央のコンピュータによる集中制御が主流となっている。従って、中央のコンピュータが集中制御を行うために必要なデータを全て保有し、かつ、設備機器の連動制御等の複雑な制御演算を実行し、ローカルコントローラに対して制御要求を送信する。各ローカルコントローラは、中央のコンピュータからの制御要求内容に応じて設備機器を制御する。
【0003】
また、予め定めた予約時刻もしくは予め定めた条件が成立したときに設備機器を運転する場合、中央のコンピュータは常時時間もしくは条件成立状態を監視し、その監視時間が予約時刻になったときまたは条件が成立したとき設備機器を運転させるための制御信号を該当するローカルコントローラに送信する。このローカルコントローラは制御信号に応じて設備機器を制御する。
【0004】
また、集中制御方式においては、中央のコンピュータが必要なデータを収集する必要から一定時間ごとに順次ローカルコントローラを選択しデータを収集するポーリング方式が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、以上のような監視制御システムは、中央のコンピュータによる集中制御方式であることから、集中制御に必要なデータを全て持ち、設備機器を制御するための演算制御を行っていることから、中央のコンピュータが異常または停止したとき、ローカルコントローラに対して制御要求を送信できなくなる。一方、このような事態に対してローカルコントローラだけでは設備機器を正しく制御できない。つまり、中央のコンピュータが異常になったとき、ローカルコントローラが独立して制御を行えないことから、システム全体として演算制御ができなくなり、現場の設備機器が運転停止となってしまう。
【0006】
また、中央のコンピュータによる集中制御においては、中央のコンピュータがポーリングによって各ローカルコントローラからデータを収集する必要から、伝送路および中央のコンピュータのCPUに定常的に負荷がかかり、システム運用上,全く余裕のない状態となる。
【0007】
さらに、中央のコンピュータは、例えば2台のローカルコントローラからデータを収集して所定の条件が成立したとき、ある設備機器を動作させるといった場合があるが、かかる場合には中央のコンピュータから設備機器への自動制御のタイミングが遅れないようにするため、常に2台のローカルコントローラの最新のデータを持っている必要があり、そのためにポーリング周期が短くなり、伝送路やCPUに益々負担がかかる問題がある。
【0008】
以上のような集中制御に対して分散制御システムでは、ローカルコントローラ単位で独立して制御を実施できるので、制御の危険分散が図れるメリットがあるが、各ローカルコントローラは他のローカルコントローラを含めてシステム全体を考慮しながら制御を実行できないので、集中制御の利点をいかせない問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ローカルコントローラが自身の制御対象範囲だけでなく、システム全体の動作を考慮しつつ制御を実行する分散制御システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ローカルコントローラ相互の連携を図りつつシステム全体にわたる制御を実現する分散制御システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、各種プラントの監視制御を行う分散制御システムにおいて、伝送路に分散接続され、制御対象の制御および制御結果の情報を計測する複数の制御用コンピュータと、これら制御用コンピュータとは同時期または異なる時期に前記伝送路に接続され、前記制御用コンピュータの制御に必要なデータ、制御結果の情報の管理、バックアップ、ダウンロード、アップロードを行うマルチウインドウ表示も必要に応じて可能なサーバステーションと、前記複数の制御用コンピュータに必要なデータの設定、前記プラントの計装データ表示、前記制御対象の遠隔操作を行うマルチウインドウ表示可能なヒューマンインタフェースステーションとを有し、前記各制御用コンピュータは、予め外部機器から前記制御対象を制御する制御用プログラムをダウンロードし、かつ、制御に必要なデータが設定されたときには自身で前記制御対象を制御する自立制御手段と、前記伝送路に前記サーバステーションが接続されたときには前記制御用プログラムもしくは制御結果の最新情報を当該サーバステーションにアップロードするアップロード手段と、前記伝送路に前記サーバステーションが接続されており、かつ、前記制御用プログラムのダウンロードもしくは制御に必要なデータが設定されていないとき、前記サーバステーションが前記制御用プログラムおよび制御に必要なデータをダウンロードするダウンロード手段とを設けた構成である。
【0011】
このような手段を講じたことにより、各制御用コンピュータは、サーバステーションから離れて所定の制御プログラムや制御に必要なデータを自立的に制御対象を制御できる。また、伝送路にサーバステーションが接続されたとき、何れが必要なデータを所有するかに応じ、制御用コンピュータはサーバステーションとの間でアップロードまたはダウンロードすることにより、相互にデータを享受しつつシステムの整合性をとって運用することができる。
【0012】
さらに、別の発明は、ヒューマンインタフェースステーションおよびサーバステーションが接続される第1の伝送路および前記制御用コンピュータが接続される第2の伝送路のプロトコルが異なるとき、前記第1の伝送路と前記第2の伝送路との間に伝送プロトコルを変換するゲートウェイ装置を設けることにより、ヒューマンインタフェースステーションおよびサーバステーションと制御用コンピュータとの間、各制御用コンピュータとの間で相互に必要な情報をスムーズに授受できる。
【0013】
さらに、別の発明としては、各制御用コンピュータュータは、自身が取り扱う入出力情報を他制御用コンピュータの制御に用いるために発報する場合、予め他制御用コンピュータに個別発報するか、全部同報送信するかのデータを設定する情報同報局設定手段を設けることにより、例えば全局同報送信を行う必要がないとき、伝送路だけでなく、サーバステーションにおいても負荷を軽減できる。
【0014】
さらに、別の発明としては、各制御用コンピュータュータは、自身が取り扱う入出力情報に自身が制御演算を行うために必要とする情報をもつ所在特定データを設定する所在特定データ設定手段を設け、制御演算に必要な情報が自身にある場合には自身の情報を用いて制御演算を実行し、他の制御用コンピュータにある場合には当該他の制御用コンピュータの制御演算に必要な最新情報があればその情報を用い、最新情報がなければ当該他の制御用コンピュータから制御演算に必要な情報を読み取ることにより、制御用コンピュータ相互間に他の制御用コンピュータのアドレスを問い合わせすることなく制御演算に必要な情報を授受することができ、伝送路の負荷を軽減できる。
【0015】
さらに、別の発明としては、各制御用コンピュータのうち、少なくとも任意の1つを親局制御用コンピュータとし、他の所要数を前記制御対象を制御する子局制御用コンピュータとし、前記親局制御用コンピュータは、親局のみで入力されるデータをもとに子局制御用コンピュータが必要とする制御用メッセージを送信し、前記子局制御用コンピュータはメッセージに応じて制御対象の動作状態を監視および制御を実施し、該当する制御対象を制御することにより、従来集中監視制御方式で行っている制御を分散制御システムにおいても実現できる。
【0016】
さらに、別の発明としては、サーバステーションは、各制御用コンピュータに親子関係がある場合、前記各制御用コンピュータごとの所在特定情報および各制御毎の親・子情報、各制御毎のグループ関連情報および各制御毎のヘルシー情報を格納する情報格納手段を設け、ヒューマンインタフェースステーションもしくは所定の外部ツールが親局制御用コンピュータに必要なデータを設定または表示する場合、前記ヒューマンインタフェースステーションもしくは所定の外部ツールから前記親局制御用コンピュータのアドレスの問い合わせを受けたとき、前記サーバステーションは前記親・子情報から親局に対応する前記記所在特定情報を返送することにより、前記ヒューマンインタフェースステーションもしくは所定の外部ツールが親局制御用コンピュータのアドレスを確認し、前記親局制御用コンピュータに対するデータの設定または表示を可能とするものである。
【0017】
これにより、ヒューマンインタフェースステーションは、各制御用コンピュータのアドレスを各制御用コンピュータでなく、サーバステーションに問い合わせればよく、全制御用コンピュータに対する問い合わせを行うよりも無駄な応答待ち処理がなくなり、迅速に該当する制御用コンピュータに対しデータ要求もしくは設定を行うことが可能となる。
【0018】
さらに、別の発明としては、サーバステーションは、制御用オブジェクトおよびそれの所在特定情報を格納する手段を設け、ヒューマンインタフェースステーションが分散接続される制御用コンピュータのもつ制御用オブジェクトデータの内容を表示または設定する場合、前記ヒューマンインタフェースステーションが前記サーバステーションに必要とする制御用オブジェクトデータをもつ制御用コンピュータのアドレスを問い合わせ、前記サーバステーションが該当制御用オブジェクトデータと対応する前記所在特定情報を返送するものである。
【0019】
従って、以上のような手段を講じたことにより、ヒューマンインタフェースステーションは、サーバステーションに制御用オブジェクトデータをもつ制御用コンピュータのアドレスを問い合わせることにより、意図した制御用オブジェクトデータを表示もしくは設定できる。
【0020】
さらに、別の発明としては、各制御用コンピュータは、各制御対象の入出力ポイントに対応させて、各制御の制御情報を必要とするか否かの情報を登録した制御登録情報テーブルおよび各制御の制御情報を設定した制御情報テーブルを設けることにより、制御対象設備機器と制御情報とを1対1に関連付けながら管理でき、設備機器単位の制御を迅速に行うことができる。
【0022】
さらに、別の発明としては、サーバステーションは、複数の制御対象の運転スケジュールもしくは制御内容の類似性からグループ分けし、各グループおよび各グループごとの制御対象の階層構造データを格納する手段を設け、また、各制御用コンピュータは、自身の制御対象が含まれる木構造情報を格納する手段を設け、前記サーバステーションのダウン時、前記ヒューマンインタフェースステーションは制御用コンピュータから前記木構造情報を収集し、前記グループおよび階層構造を編集可能としたことにより、サーバステーションが異常になっても、ヒューマンインタフェースステーションもしくはデータ設定表示ツールが各制御用コンピュータの木構造情報から容易にグループおよび各グループごとの制御対象の階層構造データを作成できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る分散制御システムの一実施の形態を示す構成図である。
同図において1,2はプラント設備機器を制御するための各種データの設定、プラントの構成を表すプラント計装データの表示、制御状態の表示、プラント設備機器の遠隔操作などを行う1台以上のヒューマンインタフェースステーション(以下、HISと略称する)である。
【0024】
これらステーションHIS1,HIS2は、図2に示すように例えばプラント計装フロー画面の作成表示、日報・月報の作成表示、各設備機器の状態やプロセスデータのグラフ表示その他必要な画面の作成表示を行う各種の画面作成用プログラム、さらに監視操作用プログラム等を格納するプログラムメモリ21、オペレータの指示の下に画面表示用プログラムメモリ21から適宜なプログラムを読み出して所定の処理を実行するCPUで構成されたデータ処理制御部22の他、複数のウインドウメモリ23,…を有し、CRT表示部24の表示画面に複数のウインドウ画面を同時に表示可能なマルチウインドウシステムが設けられている。つまり、ステーションHIS1,HIS2は、マルチウインドウ表示用OS(オペレーティングシステム)が用いられ、別々のプラント設備画面を同時に表示したり、プラント監視画面とトレンドグラフ画面とを同時に表示可能な構成となっている。
【0025】
25はデータ処理制御部22で作成される画面を格納したり、計装フロー画面上にウインドウ画面を重ね合わせるように格納し、表示制御部26の表示制御の下に表示部24に表示する画像メモリである。また、ステーションHIS1,HIS2には、マウス27によるマウス操作またはタッチパネル28によるタッチペン操作、キー入力回路をもつキーボード29によるキーボード操作等によって、日報・月報のデータ設定、グラフ作成用データの設定、グラフィック画面の作成/変更、印字要求、さらに画面表示用プログラムメモリ21に格納される各種自動制御アプリケーションの実行/中止の操作、表示画面の切り替え等を行うヒューマンマシンインタフェース機能が設けられている。
【0026】
30はマウス操作やタッチペン操作などの操作位置を確認しバスライン上に送出する操作入力部、31は予め定められた各種の画面表示用データ,例えば計装フロー画面、グラフ表示用画面データ等を格納する複数の画面表示用データメモリ31,…、監視操作,設備機器の制御および画面作成上の各種設定データを格納する設定データメモリ32、各種データを一時的に格納するデータバッフア33、伝送制御部34等が設けられている。
【0027】
これらHIS1,HIS2には伝送路3を介してサーバステーション(SVS)4、ネットワークプリンタ(PRT)5、複数の制御用コンピュータ(LOC)611,…,61n(61nは図示せず)、ダイレクトディジタルコントローラ(DDC)7およびリピータ8が接続されている。さらに、前記伝送路3にはリピータ8および伝送路9を介して複数の制御用コンピュータ(LOC)621,…,62n(62nは図示せず)が接続されている。
【0028】
この伝送路3は、例えばイーサネットを採用し、その伝送プロトコルにはBACnet TMもしくはBACnet TMとTCP/IP、UDP/IPとの併用、もしくはオリジナルのプロトコルとTCP/IPまたはUDP/IPとの併用を用いる。ここで、BACnet TMは米国の学会ASHRAEで規格化されたプロトコルである。
【0029】
前記サーバステーション4は、1つのシステムに通常1台設置され、分散制御システムの全ての設定データの保存、プラント設備機器の状態データやプロセスデータの保存、これら状態データやプロセスデータの平均値,積算値データのファイリング、各種の設備機器の状態データやプロセスデータの履歴保存、各種自動制御パッケージへの設定データの保存、システムデータのバックアップ、日報/月報等の帳票データの保存、制御用コンピュータLOCの各種自動制御パッケージプログラムおよび設定データのバックアップおよびダウンロードなどを行うようになっている。
【0030】
前記ネットワークプリンタ5は、1つのシステムに複数台接続可能であり、HIS1,HIS2またはサーバステーション4からの印字制御指令に基づいて、制御メッセージ、警報もしくは異常発生/回復等の履歴印字や各種データの帳票印字をしたり、HIS1,HIS2の表示画面のハードコピーを印刷する。
【0031】
前記制御用コンピュータ611,…,621,…は、各種設備機器の自動制御に必要な設定データに基づき設備機器の監視・制御を行い、かつ、設備機器やプラントのプロセス入出力データの管理を行う。プロセスデータの種類は、アナログ入力、アナログ出力、アナログ入出力、ディジタル入力、ディジタル出力、ディジタル入出力、積算値などが挙げられる。これら制御用コンピュータ611,…,621,…は、設備機器からの状態データやプロセス入出力データが予め定めた許容値よりも大きく変化したとき状態データやプロセス入出力データを送信する差分発報方式が採用されている。通常のプログラム設定としては、HIS1,HIS2やサーバステーション4が接続されている伝送路4にのみ前記状態データやプロセス入出力データを同報送信する。
【0032】
これら制御用コンピュータ611,…,621,…は、例えば図3に示すように、各種自動制御に必要な監視制御用プログラムメモリ41、プラント設備機器,プロセス等の制御対象に対する操作データおよびプラント設備機器,プロセスからのデータを取込む入出力ポート42、この入出力ポート42から取込んだデータを一時保存したり、処理結果のデータを保存したり、他の制御用コンピュータから同報発報されてくるデータを記憶するデータバッファ43、各種データを入力したり、必要な指示を入力するキーボード44、各種の設定データ例えば監視制御用プログラムの処理上必要なデータを保存する設定データメモリ45、監視制御用プログラムメモリ41に保存される監視制御用プログラムのうち必要な監視制御用プログラムおよび設定データを用いながらプラント設備機器などを自動的に制御し、かつ、設備機器からの状態データやプロセス入出力データが予め定めた許容値よりも大きく変化したとき状態データやプロセス入出力データを同報発報するCPUで構成された監視・制御部46、制御対象ごとのデータを時系列的に記憶するデータ蓄積メモリ47および伝送制御部48等が設けられている。このとき、データ蓄積メモリ47にはプラント設備機器の状態データやプロセス入出力データをプラント管理用帳票データとして利用可能に時間単位,週単位,月単位,年単位にまとめて保存する。また、必要に応じて画面表示を行う機能をもち、設備機器の動作状態を表示してもよい。
【0033】
前記ダイレクトディジタルコントローラ7は、流量等の操作量の演算結果に基づいて、空調機,熱源機器,ポンプ等の制御を行う。このダイレクトディジタルコントローラ7は制御用コンピュータと同様に各種自動制御に必要な設定データを持ち、この設定データに基づいて設備機器を制御する。また、設備機器からの状態データやプロセス入出力データが予め設定したデータよりも大きく変化したときに状態データやプロセス入出力データを送信する差分発報方式を採用する。通常のプログラム設定としては、HIS1,HIS2やサーバステーション4が接続されている伝送路4にのみ前記状態データやプロセス入出力データを同報送信する。さらに、プロセス入出力データの管理を行うとともに、時間単位,週単位,月単位,年単位ごとのプラント管理票データを同様にデータ蓄積メモリ47に保存することができる。
【0034】
前記リピータ8は、伝送路3および伝送路9がともにイーサネットの場合には各伝送路のデータをそのまま通すが、例えば伝送路3がイーサネットであり、他方の伝送路9がイーサネットとは異なる他の伝送路例えばLON(LONは米国エシェロン社の登録商標であって、Local Operating Network の略である)を用いた場合、ゲートウェイと同様の機能,つまり相手側伝送路のプロトコルに変換し、データを送出する機能をもったものである。
【0035】
次に、以上のような分散制御システムの動作について説明する。
先ず、HIS1のデータ処理制御部22は、画面表示用データメモリ31から計装フロー画面、プラント設備監視画面を取り出し、かつ、必要な画面作成用プログラムを用いて、計装フロー画面もしくはプラント設備監視画面を作成し画像メモリ25に格納する。ここで、表示制御部26は、画像メモリ25から計装フロー画面を取り出し、表示部24に表示する。このとき、プラント監視画面その他の画面をウインドウ表示するとき、ウインドウメモリ23から必要なウインドウデータを読み出し、画像メモリ25の予め定められている座標位置に重ね合わせるように書き込み、表示部24に1つ以上のウインドウ画面を表示する。
【0036】
前記計装フロー表示画面の表示状態あるいはマルチウインドウ表示の状態において、プラント設備の操作やプロセス制御の各種設定データを送信する場合、タッチパネル28によるペンタッチ操作、マウス27によるマウス操作、さらにキーボード29による所定の指示を入力することにより、操作信号や設定データメモリ32の各種設定データを伝送制御部34を介してイーサネットなどの伝送路3に送出する。
【0037】
一方、制御用コンピュータ611,…,621,…は、システム運用当初には制御用コンピュータが数台設置され、設備機器の制御を行なう例が多い。この設置当初、例えば制御用コンピュータ611は、制御プログラムおよび制御に必要なデータが設定されていれば、設備機器やプロセスの制御が実行可能である。その後、例えば制御用コンピュータ611が伝送路4を介してサーバーステーション4と接続されたとき、制御用コンピュータ611は、自身が所有するデータが最新の運用データや設定データであるので、制御プログラムを含んで任意のデータをサーバーステーション4にアップロードする機能をもっている。
【0038】
一方、伝送路3,9の接続時、サーバーステーション4は、制御用コンピュータ611のステータスデータを受信するが、このステータスデータにデータ未設定というステータスが付加されているとき、サーバーステーション4が所有する各種データを制御用コンピュータ611にダウンロードする機能をもっている。
【0039】
また、制御用コンピュータによる制御プログラムの有無についても同様であって、サーバーステーション4が制御用コンピュータ611をチェックし、例えば制御プログラムが存在しない場合にはサーバーステーション4の所有する制御プログラムを制御用コンピュータ611に自動的にダウンロードする機能が設けられている。
【0040】
従って、制御用コンピュータ611,…およびサーバーステーション4が以上のような機能を有することにより、例えばサーバーステーション4の設置前であっても各制御用コンピュータ611,…自体で設備機器の制御を実行でき、また制御用コンピュータの増設の際にはサーバーステーション4からのダウンロードによって増設された制御用コンピュータがスムーズに設備機器の制御を開始でき、さらに制御用コンピュータが異常になったとき、サーバーステーション4側において制御用コンピュータのバックアップデータを確実に管理可能である。
【0041】
次に、図4は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を示す構成図である。
この分散制御システムは、HIS1,HIS2、サーバーステーション4が接続されている伝送路51の伝送プロトコルと例えば制御用コンピュータ(LOC)5211,5212、…、5221,5222,…が接続される伝送路531 ,532 ,533 ,534 の伝送プロトコルが異なる場合、これら伝送路51と伝送路例えば531 ,532 ,…との間にゲートウェイ装置(GW)541 ,542 を設け、互いに相手側伝送路のプロトコルに適合するように変換処理し、データ伝送可能とする。
【0042】
このゲートウェイ装置541 は、通常,他の制御用コンピュータ例えば5221から他のゲートウェイ装置542 を介して伝送されてくるデータを自ゲートウェイ装置541 に接続される制御用コンピュータ5211,5212,…の伝送路531 には通知しない。
【0043】
しかし、ゲートウェイ装置541 は、伝送データ内のフラグを確認し、伝送データを通知するか否かを判断するものとする。つまり、制御用コンピュータ例えば5221は、他の制御用コンピュータ5211にデータを通知したい場合には伝送データ内に通知用フラグを設定し、他のゲートウェイ装置542 を経由し、伝送路51を通してゲートウェイ装置541 に伝送する。
【0044】
このゲートウェイ装置541 は、伝送データ内のフラグから自身の伝送路例えば531 に接続される制御用コンピュータ5211であれば、伝送データを伝送路531 に送信し通知する。
【0045】
なお、HIS1,HIS2、サーバーステーション4、制御用コンピュータ(LOC)5211,5212、…は図1で説明したと同様の構成および機能を有する。
【0046】
従って、以上のような実施の形態によれば、HIS、サーバーステーション4が接続される伝送路51のプロトコルと制御用コンピュータが接続される伝送路531 ,533 のプロトコルとが異なっても、ゲートウェイ装置541 、542 を介して相互に相手側伝送路に適合するプロトコルに変換処理してデータを伝送可能とするので、図1と同様な機能を実現できるだけでなく、伝送路51を介して別々のゲートウェイ装置541 ,542 から導出される伝送路例えば531 と533 とに接続される制御用コンピュータどうしが必要なデータをやりとりできるので、各制御用コンピュータは他の制御用コンピュータを考慮しつつ制御を実行することができる。
【0047】
図5は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図であり、さらに詳しくは各制御用コンピュータの例えばデータバッフア43、設定データメモリ45、データ蓄積メモリ47の何れか1つのメモリに、自身の制御用コンピュータで所有するデータを、任意の制御用コンピュータに対し個別発報するか、或いは全局同報送信するかを設定するデータ配列例を示す図である。
【0048】
ここで、前記データバッフア43、設定データメモリ45、データ蓄積メモリ47の何れか1つのメモリに個別発報または全局同報送信するためのデータを設定することからデータ発報局設定手段と呼ぶことにする。
【0049】
このデータ発報局設定手段としては、例えばデータ蓄積メモリ47にアドレスを定めて、例えば他制御用コンピュータデータ受信テーブル、パルス入力テーブル、ディジタル出力データテーブル、ディジタル入力データテーブル、アナログ出力データテーブルおよびアナログ入力データテーブルが形成され、そのうちアナログ入力データテーブルに格納するアナログ入力データ1点分のデータサイズは256バイトで構成され、この1点分のアナログ入力データの一部に図5の図示右側に示すように、同報送信指定と同報送信指定とを設定するエリアが設けられている。
【0050】
つまり、1点分のアナログ入力データの一部は、4個の制御用コンピュータの送信先1〜4を規定する一方、同報送信先に例えば「1」を設定している場合には送信先1〜4の4局にデータを個別発報することを意味し、また「0」を設定している場合には全局同報送信することを意味する。なお、「1」設定時に4局ではなく、2局または3局であってもよい。また、同報送信指定として、例えば「1」設定の場合には同報送信指定有り、「0」設定の場合には同報送信指定なしを意味する。
【0051】
従って、制御用コンピュータとしては、アナログ入力データの変化が予め定める許容値を越えたとき、その変化したアナログ入力データを送信するといった差分発報を採用しているが、そのアナログ入力データの中に“同報送信指定”として「0」が設定されている場合には同報送信指定なしを意味する。4個という数値は設定によって4個以上とすることもできる。
【0052】
その結果、例えば制御用コンピュータ5221がアナログ入力データの変化に応じて差分発報するが、ゲートウェイ装置542 および伝送路51を介してゲートウェイ装置541 にデータが送信されても、当該ゲートウェイ装置541 は“同報送信指定”の「0」から同報送信指定なしと判断し、このゲートウェイ装置541 に接続される複数の制御用コンピュータ5211、5212,…の伝送路531 ,532 にデータを通知しない。これにより、制御用コンピュータが接続される伝送路には不必要に送信データが流れないことになり、負荷軽減に寄与する。
【0053】
なお、各種データの1点毎に同報送信指定エリアが設けられ、同報送信する場合には同報送信指定エリアに「1」を設定し、かつ、同報送信先を例えば「1」(4局)か「0」(全局)かを指定する。どの指定であっても、自制御用コンピュータが接続されているゲートウェイ装置を介してHIS、サーバステーション、ネットワークプリンタ5の接続される伝送路に送信されるので、HIS、サーバステーション、ネットワークプリンタ5はデータを受信できる。
【0054】
因みに、例えば複数の空調機を用いてビル内を外気冷房制御する場合、空調機毎に外気温度を計測せずに例えば屋上等に設置される1台の制御用コンピュータを用いて外気温度を計測し、各空調機を制御する複数の制御用コンピュータに外気温度を送信する場合があるが、このとき外気温度の計測および実行判断用の制御用コンピュータのメモリには予め図5に示すような同報送信先および同報送信指定を設定しておけば、同報送信先および同報送信指定に基づいて必要な制御用コンピュータに自動的に外気温度を送信できる。
【0055】
以上の例では、空調機が4台以下の場合には同報送信先を4局に設定し、それら同報送信先のアドレスに対し外気温度を送信する。空調機が5台以上の場合には全局に同報送信する。
【0056】
従って、同報送信先が4局以下の場合は制御用コンピュータが接続された伝送路に不必要なデータを送信することがなくなり、外気温度を必要としない制御用コンピュータが存在しない伝送路の伝送負荷には影響を及ぼさない。
【0057】
また、図6に示すように、自制御用コンピュータ5211が他制御用コンピュータ例えば5212から送信されてくるデータ4を受信した場合、自制御用コンピュータ5211のメモリの他制御用コンピュータデータ受信テーブル(図5参照)にデータ4コピーとして格納するので、他制御用コンピュータ5212から受信したデータがあたかも自身のデータであるのと同様に扱って処理することが可能である。
【0058】
図7は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図であり、さらに詳しくは図4に示すごとく各制御用コンピュータがゲートウェイ装置を介して相互に制御演算に必要な情報を授受する場合、予め信号の種類、伝送路、ゲートウェイ装置および制御用コンピュータ等の番号を決めておき、これら番号からなる所在特定データを格納し、この所在特定データをもとに相互に必要な情報を授受可能とするための所在特定データ配列例図である。なお、ここでは、各制御用コンピュータのメモリに所在特定データを設定することから所在特定データ設定手段と呼ぶことにする。
【0059】
この所在特定データ設定手段としては、予め定める信号の種類、伝送路、ゲートウェイ装置および制御用コンピュータ等の番号に基づいて例えば適宜なメモリに例えば図7に示すような所在特定データを設定する。同図において「AI」は信号の種類例えばアナログ入力信号を意味し、この信号の種類に続く次の2桁の「01」はネットワーク番号を意味し、さらにネットワーク番号に続く次の2桁の「02」はGW(ゲートウェイ)番号を意味し、さらにGW番号に続く次の2桁の「05」は制御用コンピュータ番号を意味し、最後の2桁の「12」はアナログ入力信号の12番目のデータを意味する。つまり、ネットワーク番号はシステム内で唯一とし、GW番号は同一のネットワーク内で唯一とし、制御用コンピュータ番号は同一のGW内で唯一とし、アナログ入力信号番号は制御用コンピュータのアナログ入力信号で唯一とすることにより、信号データの種別および所在を特定できる番号となる。
【0060】
因みに、伝送路531 、ゲートウェイ装置541 および制御用コンピュータに図8に示すような番号を付けた場合、前記所在特定データである「010205」から伝送路531 に接続される5番目の制御用コンピュータであることが分かる。
【0061】
そこで、各制御用コンピュータの例えば入出力データの中に、予め制御演算を行うために必要とする上記所在特定データを設定しておく。この状態において制御用コンピュータは、予め設定されている所在特定データに基づき、制御演算上必要とするデータが自身の信号データの場合には自身の信号データを読み出して制御演算を実行し、一方、他の制御用コンピュータの場合には自身の制御用コンピュータのメモリの他の制御用コンピュータ該当データエリアにデータ有りかを検索し、データ有りの場合にはそのデータを用い、データなしの場合には所在特定データに基づいて他の制御コンピュータから該当データを読み出して制御演算を実行するものである。
【0062】
図9は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図である。
この実施の形態は、ある1つの制御用コンピュータを親局とし、他の制御用コンピュータを子局とし、親局制御用コンピュータは全体の状況を監視制御するために必要な設備と新郷を監視し、その監視結果に基づいて他の子局制御用コンピュータに必要なメッセージを伝送し、このメッセージを受けた他の子局制御用コンピュータがメッセージの内容に従って設備機器を制御する形態例である。
【0063】
このシステムは、伝送路4(または9,51)に複数の制御用コンピュータが分散配置されているが、そのうちの1つを親局制御用コンピュータ61とし、その他を子局制御用コンピュータ62,63,…とする。なお、親局制御用コンピュータ61は2台以上であってもよい。
【0064】
この親局制御用コンピュータ61は、予め一定のルールが設定されており、このルール条件が成立した時、ある子局を特定して所定のメッセージを他の子局制御用コンピュータ62,63,…に同報送信する。各子局制御用コンピュータ62,63,…は、同報送信されてくるメッセージの内容から自身であると判断すれば、メッセージの内容に従って設備機器等を制御する。
【0065】
ここで、火災発生制御を例に挙げて説明すると、親局制御用コンピュータ61は、各火災管理区画1〜5に設置される火災センサの出力を常時監視し、例えば火災管理区画1の火災センサから火災信号が入力されたとき(ルール条件成立)、どの程度のレベルの火災が火災管理区画1から発生しているので空調機停止というメッセージを伝送路4に同報送信する。子局制御用コンピュータ62は、同報送信されてくるメッセージの火災管理区画番号から自身であると判断したとき、空調機の運転を停止する。
【0066】
なお、子局制御用コンピュータ62,63,…は、予め火災発生時にいかなる制御を実行するかが設定され、火災発生のメッセージを受けたとき、自身の設定内容に従って空調機を運転停止する制御を行ってもよい。
【0067】
従来の一般的な集中監視制御方式の監視制御システムでは、中央のコンピュータが全てのデータを監視しているので、火災発生を検出したとき、火災発生区画に設置される例えば空調機の動作状態を判断し、さらに火災発生区画に該当するエリアから制御情報を取り出し、該当空調機を管理するローカルコントローラに制御情報を送信する。ここで、ローカルコントローラは、制御情報を受け取って初めて空調機を停止する。
【0068】
これに対して、本発明に係わる分散制御システムは、火災発生を検出する親局制御用コンピュータが伝送路上の全局に対して火災区間管理番号と火災発生のメッセージを同報送信する。ここで、子局制御用コンピュータは、受信したメッセージの火災管理区画番号から自身である場合、予め定める設定内容に基づいて空調機の制御を実行する。
【0069】
従って、以上のような実施の形態によれば、予め親と子の制御用コンピュータの動作、設備機器の属する区画もしくはグループおよびメッセージ受信時の出力を設定しておくことにより、分散制御システムにおいても集中監視制御方式で行っていると同様の制御を容易に実現できる。
【0070】
図10は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図であり、さらに詳しくはサーバステーション4に格納されている各制御用コンピュータごとの情報コピー配列例図である。同図は1つの制御用コンピュータの情報を示しており、このような情報が制御用コンピュータ合計数分保存されている。
【0071】
同図において上から4段目までは該当制御用コンピュータを表すデータであって、LOCアドレスには図7に示す所在特定データ例えば「010205」が格納される。上から5段目以下の行は制御用コンピュータが所有する情報のコピーである。この5段目以下の各行の右側に「1」と「0」の数字が並んでいるが、それら1つ1つの数字は1つの制御を意味している。例えば各制御の親/子情報では、「100010000…」となっているが、第1番目の制御および第4番目野制御のとき「1」が立っているが、この「1」のときには親局制御用コンピュータであることを意味し、それ以外の「0」のときには子局制御用コンピュータであることを意味する。
【0072】
よって、この制御用コンピュータは、第1番目の制御のとき「1」となっているので、この情報をもつ制御用コンピュータは第1番目の制御のとき親局であり、かつ、LOCアドレスの所在特定データから何れの伝送路に接続されている親局制御用コンピュータであるかが容易に判断できる。
【0073】
例えば図9に示すように、親と子の制御関係があるとき、HIS1,HIS2や外部のパソコンの制御情報の設定表示用ツールから、親局制御用コンピュータの制御情報を表示し、或いは親局制御用コンピュータに制御情報を設定するとき、親局制御用コンピュータのアドレスを特定する必要があるが、かかる場合にはHIS1,HIS2や外部のパソコンの制御情報の設定表示用ツールからサーバステーション4に親局制御用コンピュータのアドレスを問い合わせる。このサーバステーション4は、図10に示す情報の中の各制御の親/子情報エリアと各制御のグループ/バンク/系統/レベル番号エリアを検索し、親局制御用コンピュータの所在特定データを探し出し、所在特定データつまり制御用コンピュータの番号を応答する。
【0074】
ここで、問い合わせを行ったHIS1,HIS2や制御情報の設定表示用ツールは、その応答結果から親局制御用コンピュータのアドレスを取得でき、親局制御用コンピュータの制御情報の表示および設定が可能となる。
【0075】
さらに、以上とは別の手段として、各制御用コンピュータが定周期で送信する例えば正常に動作しているとか異常であるといったヘルシー情報に、LOCアドレス、各制御の親/子情報、系統番号もしくはグループ番号もしくは区画番号を付加し送信すれば、HIS1,HIS2や外部のパソコンの制御情報の設定表示用ツールは、かかるヘルシー情報を受信して保持しておけば、親局制御用コンピュータのアドレスを特定でき、当該親局制御用コンピュータの制御情報を表示でき、また親局制御用コンピュータの制御情報を設定できる。
【0076】
図11および図12は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図である。
この実施の形態は、ヒューマンインタフェースステションや外部パソコンの制御情報の設定表示用ツールが制御用コンピュータの所有する各種オブジェクトデータを表示および設定するに際し、当該オブジェクトデータを所有する制御用コンピュータのアドレスを特定するための形態例である。
【0077】
図11において1はヒューマンインタフェースステション(HIS)、4はサーバーステーション、51は伝送路、541 はゲートウェイ装置、5211は各種オブジェクトデータを所有する制御用コンピュータである。
【0078】
サーバーステーション4は、常に全部の制御用コンピュータ5211,5212,…の最新の空調制御オブジェクトデータのコピーを保存している。
この状態においてHIS1からサーバーステーション4に対し、オブジェクトデータを所有する制御用コンピュータ例えば5211のアドレスを問い合わせると、サーバーステーション4は、オブジェクトデータのコピーから該当する制御用コンピュータ5211のアドレスを検索して応答する。
【0079】
HIS1は、応答結果から制御用コンピュータ5211のアドレスを受けると、当該アドレスを用いて制御用コンピュータ5211に対してオブジェクトデータの要求を行う。HIS1から要求を受けた制御用コンピュータ5211は、該当メモリからオブジェクトデータの内容を読み出して返送する。
【0080】
以下、図12を参照して具体的に説明する。なお、同図の図示左側のデータはサーバステーション4が保存するオブジェクトデータのコピー保存例であり、同図の図示右側のデータは制御用コンピュータ,特にLOC−010205が所有する空調オブジェクトデータ内容を示している。
【0081】
以上の状態において、HIS1がサーバーステーション4に対して空調制御オブジェクトACOBJ−21の所在を要求すると、サーバーステーション4は空調制御オブジェクトACOBJ−21とリンク関係にあるAIポイントデータからLOC番号,つまり所在特定データ「010205」を抽出し、HIS1に返送する。
【0082】
ここで、HIS1は、所在特定データ「010205」に基づいて空調制御オブジェクトのマスタデータを所有する制御用コンピュータLOC−010205に対して空調制御オブジェクトデータを要求する。この制御用コンピュータLOC−010205は、図12の図示右側に示す空調制御オブジェクトのマスタデータを応答データとして返送する。従って、HIS1は、受け取った空調制御オブジェクトデータの内容を表示し、必要なデータを設定することができる。
【0083】
ここでは、空調オブジェクトを例に説明したが、照明オブジェクト等、他の制御オブジェクトでもよい。
図13は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図であり、さらに詳しくは各制御用コンピュータ内に格納する信号ポイントと各制御ごとの制御情報とを紐付けした図である。
【0084】
すなわち、各制御用コンピュータは、複数の信号ポイント例えば同図(a)のごときディジタル出力信号DIOや同図(b)のごときアナログ出力信号AIOに対応してそれぞれ××制御を実行するが、このとき例えば各ディジタル出力ポイントDIO−1,DIO−2,…ごとに制御登録情報テーブルエリアおよび制御情報テーブルエリアを対応させ、例えばDIO−1に対し同じ並びで制御登録情報「010100」および〇〇制御,…,□□制御の例えばプログラムデータや設定データを設定し、制御登録情報の〇〇制御に対応する数値が「1」になっているとき〇〇制御のデータを読み込むことにより、設備機器単位の制御を実行可能とするものである。
【0085】
さらに、具体的にDIO−1について述べると、制御登録情報テーブルに「010100」の情報が登録されているが、この中の左から第2番目の制御と第4番目の制御に「1」が立っているので、かかる番目の制御のときには図示右側の2番目の制御情報テーブル、4番目の制御情報テーブルの××制御情報を用いて設備機器を制御することを意味する。
【0086】
従って、このような実施の形態によれば、各入出力ポイントに対し、各制御ごとに制御登録情報テーブルの登録情報に従って右側の該当番目の制御情報テーブルの制御情報を読み出して設備機器を制御すればよく、関連付けて制御情報を管理でき、また関連付けをもって制御情報を迅速に取り出すことができる。
【0087】
図14は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図であり、さらに詳しくは親局制御用コンピュータ71から各子局制御用コンピュータ72,73,…に制御内容を含む制御出力権を与えながら制御を実行するシステム構成例図である。
【0088】
このシステムは、例えばグループ1に属する空調機1,空調機2,空調機3を一定周期または予め定める時間間隔でサイクリックに運転・停止する場合、親局制御用コンピュータ71側に空調機1,空調機2,空調機3に対する出力信号データ番号、設定時間間隔および運転順序等のデータを設定する。ここで、親局制御用コンピュータ71は、時間監視を行い、予め定める設定時間に達したとき、前記運転順序に基づいて次に制御すべき空調機をもつ子局制御用コンピュータ例えば72に対し、制御する空調機番号および制御指令のメッセージを送信し、制御出力権を与える。
【0089】
この子局制御用コンピュータ72は、メッセージから制御出力権を与えられたと解釈し、予め設定される制御情報に基づいて該当空調機を制御する。
従って、以上のような実施の形態によれば、複数の制御用コンピュータに散在する設備機器をサイクリックもしくは予め定める運転順序、かつ、設定時間間隔をもって自動的に運転できる。
【0090】
図15は本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を説明する図であり、さらに詳しくは複数の制御用コンピュータ間で各種設備機器を制御するに際し、設備機器の運転スケジュールに応じて階層構造化し、親局→子局制御用コンピュータへと運転スケジュールを移譲しつつ設備機器を制御する例である。
【0091】
すなわち、運転スケジュールに従ってグループ分けしたとき、例えば図15に示すように親局制御用コンピュータに運転スケジュールを設定したとき、設備機器1から設備機器12がほぼ類似する運転スケジュールで制御可能であるとき、これら設備機器1〜設備機器12を制御する制御用コンピュータを含んで親グループ1が管理する。
【0092】
この親グループ1の運転スケジュールの中において例えば子グループ1に属する制御用コンピュータに運転スケジュールを設定したとき、設備機器1〜設備機器3が同じ運転スケジュールで運転可能な場合がある。同様に子グループ2に属する制御用コンピュータに運転スケジュールを設定したとき、設備機器4〜設備機器6が同じ運転スケジュールで運転可能な場合がある。さらに、子グループ3に属する制御用コンピュータの運転スケジュールに対し、孫グループ1および孫グループ2に分けて運転スケジュールを設定すれば、設備機器7〜設備機器9と、設備機器10〜設備機器12の運転スケジュールと同じになる場合がある。
【0093】
このような場合、階層構造化し、親グループ1の制御用コンピュータをもつ運転スケジュールに従って子グループ1〜3の制御用コンピュータに制御設定を送出し、この子グループ1,2は親グループ1の制御用コンピュータからの制御設定を受けつつ、自身の運転スケジュールに基づいて設備機器1〜設備機器3、設備機器4〜設備機器6を制御する。一方、子グループ3の制御用コンピュータは、親グループ1の制御用コンピュータからの制御設定を受けて自身の運転スケジュールに基づいて孫グループ1,2に制御指令を送出する。孫グループ1,2の制御用コンピュータは子グループ3の制御用コンピュータの運転スケジュールに従いながら自身の運転スケジュールに基づいて設備機器を制御するものである。
【0094】
なお、設定は後優先であり、先ず、親グループ1に対しての設定は全ての機器に反映される。その後、機器7に対して設定を行えば、機器7だけ異なる設定となる。
【0095】
ところで、通常の分散制御システムでは、サーバステーション4などに各設備機器の各制御毎にグループ分けおよび階層構造情報を保存するが、例えばサーバステーションが異常となった場合でも、HIS1または外部パソコンの制御情報設定ツールからグループおよび階層構造情報を表示および設定する場合、各制御用コンピュータにグループおよび階層構造情報を定める何らかの情報が存在していなければならない。
【0096】
そこで、各制御用コンピュータは、3階層と決めている場合には、予め設備機器1の場合は「1−1−0」、設備機器7の場合は「1−3−1」という木構造情報を保持しておく。ここで、0は階層なしを意味する。また、1−1−0は2階層を意味する。
【0097】
よって、HIS1または外部パソコンの制御情報設定ツールは、サーバステーション異常時、各制御用コンピュータから木構造情報を収集すれば、サーバステーションで保持していたグループおよび階層構造情報を再編集可能となり、グループおよび階層構造情報を表示および設定できる。
【0098】
なお、本発明システムの他の形態例としては、設備機器の動作状態をLEDやランプで表示するグラフィックパネルが接続されていてもよい。その際、グラフィックパネルの制御はHIS1,2の表示機能と同等の機能をもつコンピュータが行ってもよい。また、伝送路3に適用するイーサネットは、一重化でも二重化されていてもよい。
【0099】
さらに、図1および図2は1つの分散制御システムを想定しているが、例えば伝送路3,51に他のシステムと接続するためのシステムインタフェースステーションを接続し、他のシステムとの連係接続する構成であってもよい。
また、プリンタを接続する構成であっても、接続しない構成であってもよい。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ローカルに分散された各制御用コンピュータが自身の制御対象範囲だけでなく、相互に必要なメッセージを送信しながら他の制御用コンピュータと連携をとりつつシステム全体の動作を考慮しつつ制御を実行できる分散制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる分散制御システムの一実施の形態を示す構成図。
【図2】 図1のヒューマンインタフェースステーションの一具体例を示す構成図。
【図3】 図1の制御用コンピュータの一具体例を示す構成図。
【図4】 本発明に係わる分散制御システムの他の実施の形態を示す構成図。
【図5】 ある制御用コンピュータから他の制御用コンピュータに同報送信する場合の各制御用コンピュータのメモリデータ配列例を示す図。
【図6】 ある制御用コンピュータから他の制御用コンピュータへのデータコピーレイを説明する図。
【図7】 制御に必要なデータの所在を設定する所在特定データの設定例を説明する図。
【図8】 図7の所在特定データとシステムとの対応関係を説明する図。
【図9】 各制御用コンピュータの間に親子関係がある場合の一制御例を説明する図。
【図10】 図1のサーバステーションにおいて保存する制御用コンピュータ毎の情報のデータ配列例を示す図。
【図11】 HISが制御用コンピュータのオブジェックトデータを表示するときの手順を説明する図。
【図12】 制御用コンピュータのオブジェックトデータの配列例を示す図。
【図13】 各制御用コンピュータ内の各信号ポイントと制御情報との紐付けを説明する図。
【図14】 各制御用コンピュータのうち、親局制御用コンピュータが制御出力権を与えながら子局制御用コンピュータが設備機器を制御する手順を説明する図。
【図15】 設備機器のグループおよび階層構造化を説明する図。
【符号の説明】
1,2…ヒューマンインタフェースステーション
3,9,51,531 〜534 …伝送路
4…サーバステーション
611,612,…,621,622,… 制御用コンピュータ
5211,5212,… … 制御用コンピュータ
541 ,542 …ゲートウェイ装置
Claims (10)
- 各種プラントの監視制御を行う分散制御システムにおいて、
伝送路に分散接続され、制御対象の制御および制御結果の情報を計測する複数の制御用コンピュータと、これら制御用コンピュータとは同時期または異なる時期に前記伝送路に接続され、前記制御用コンピュータの制御に必要なデータ、制御結果の情報の管理、バックアップ制御を行うマルチウインドウ表示可能なサーバステーションと、前記複数の制御用コンピュータに必要なデータを設定および表示、前記プラントの計装データ表示、制御状態の表示、前記制御対象の遠隔操作を行うヒューマンインタフェースステーションとを有し、
前記各制御用コンピュータは、予め外部機器から前記制御対象を制御する制御用プログラムをダウンロードし、かつ、制御に必要なデータが設定されたときには自身で前記制御対象を制御する自立制御手段と、前記伝送路に前記サーバステーションが接続されたときには前記制御用プログラムもしくは制御結果の最新情報を当該サーバステーションにアップロードするアップロード手段と、前記伝送路に前記サーバステーションが接続されており、かつ、前記制御用プログラムのダウンロードもしくは制御に必要なデータが設定されていないとき、前記サーバステーションから前記制御用プログラムおよび制御に必要なデータをダウンロードし、起動および制御対象の制御を開始するダウンロード手段とを備えたことを特徴とする分散制御システム。 - 請求項1に記載する分散制御システムにおいて、
前記ヒューマンインタフェースステーションおよび前記サーバステーションが接続される第1の伝送路および前記制御用コンピュータが接続される第2の伝送路のプロトコルが異なるとき、前記第1の伝送路と前記第2の伝送路との間に伝送プロトコルを変換するゲートウェイ装置を設けたことを特徴とする分散制御システム。 - 請求項1または請求項2に記載する分散制御システムにおいて、
各制御用コンピュータは、自身が取り扱う入出力情報を他制御用コンピュータの制御に用いるために発報する場合、予め他制御用コンピュータに個別発報するか、全部同報送信するかのデータを設定する情報同報局設定手段を設けたことを特徴とする分散制御システム。 - 請求項1または請求項2に記載する分散制御システムにおいて、
各制御用コンピュータは、他制御用コンピュータが発報した入出力情報を用いる場合、自身のメモリの受信用データエリアに格納し、常に最新値に更新する手段を設けたことを特徴とする分散制御システム。 - 請求項1または請求項2に記載する分散制御システムにおいて、
各制御用コンピュータは、自身が取り扱う入出力情報に自身が制御演算を行うために必要とする情報をもつ所在特定データを設定する所在特定データ設定手段を設け、
制御演算に必要な情報が自身にある場合には自身の情報を用いて制御演算を実行し、他の制御用コンピュータにある場合には当該他の制御用コンピュータの制御演算に必要な最新情報が自身にあればその情報を用い、最新情報がなければ当該他の制御用コンピュータから制御演算に必要な情報を読み取ることを特徴とする分散制御システム。 - 請求項1または請求項2に記載する分散制御システムにおいて、
各制御用コンピュータのうち、少なくとも任意の1つを親局制御用コンピュータとし、他の所要数を前記制御対象を制御する子局制御用コンピュータとし、
前記親局制御用コンピュータは、親局のみで入力されるデータをもとに子局制御用コンピュータが必要とする制御用メッセージを送信し、子局制御用コンピュータはメッセージに応じて制御対象の動作状態を監視および制御を実施し、制御対象を制御することを特徴とする分散制御システム。 - 伝送路に分散配置される複数の制御用コンピュータ、サーバステーションおよびヒューマンインタフェースステーションが接続された分散制御システムにおいて、
前記サーバステーションは、各制御用コンピュータに親子関係がある場合、前記各制御用コンピュータごとの所在特定情報および各制御毎の親・子情報、各制御毎のグループ関連情報および各制御毎のヘルシー情報を格納する情報格納手段を設け、
前記ヒューマンインタフェースステーションもしくは所定の外部ツールが親局制御用コンピュータに必要なデータを設定または表示する場合、前記ヒューマンインタフェースステーションもしくは所定の外部ツールから前記親局制御用コンピュータのアドレスの問い合わせを受けたとき、前記サーバステーションは前記親・子情報から親局に対応する前記所在特定情報を返送することにより、前記ヒューマンインタフェースステーションもしくは所定の外部ツールが親局制御用コンピュータのアドレスを確認し、前記親局制御用コンピュータに対するデータの設定または表示を可能とすることを特徴とする分散制御システム。 - 伝送路に分散配置される複数の制御用コンピュータ、サーバステーションおよびヒューマンインタフェースステーションが接続された分散制御システムにおいて、
前記サーバステーションは、制御用オブジェクトおよびその所在特定情報を格納する手段を設け、
前記ヒューマンインタフェースステーションが分散接続される制御用コンピュータのもつ制御用オブジェクトデータの内容を表示または設定する場合、前記ヒューマンインタフェースステーションが前記サーバステーションに必要とする制御用オブジェクトデータをもつ制御用コンピュータのアドレスを問い合わせ、前記サーバステーションが該当制御用オブジェクトデータと対応する前記所在特定情報を返送することにより、制御用オブジェクトデータ内容の表示または設定を可能とすることを特徴とする分散制御システム。 - 伝送路に複数の制御用コンピュータが分散配置された分散制御システムにおいて、
各制御用コンピュータは、各制御対象の入出力ポイントに対応させて、各制御の制御情報を必要とするか否かの情報を登録した制御登録情報テーブルおよび各制御の制御情報を設定した制御情報テーブルを有し、各制御対象単位に分散制御可能とすることを特徴とする分散制御システム。 - 伝送路に分散配置される複数の制御用コンピュータ、サーバステーションおよびヒューマンインタフェースステーションが接続された分散制御システムにおいて、
前記サーバステーションは、複数の制御対象の運転スケジュールもしくは制御内容の類似性からグループ分けし、各グループおよび各グループごとの制御対象の階層構造データを格納する手段を設け、
また、各制御用コンピュータは、自身の制御対象が含まれる木構造情報を格納する手段を設け、
前記サーバステーションのダウン時、前記ヒューマンインタフェースステーションは制御用コンピュータから前記木構造情報を収集し、前記グループおよび階層構造を編集可能としたことを特徴とする分散制御システム。
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