JP3641062B2 - ロータリーアクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は種々の被駆動装置や被駆動部材を回転駆動する為に用いるロータリーアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
回転駆動用のデバイスとしては通電により一方向に連続回動を行うモータがある。このようなモータによって例えば図7に示す如き空気吹き出し口51の羽根板52を矢印方向に動かしたい場合、上記羽根板52の操作を行う為の操作軸54に対して、その操作の形態に応じた機構71を介してモータ72を接続している。
【0003】
例えば、吹き出し口51から空気を吹き出させたりその吹き出しを止めたりしたい場合には、上記機構71として、回転方向をそのままの状態で伝えたり反転させて伝えたりすることの切り換えが可能な機構を用いる。該機構71を用いることにより、モータ72の回動を例えば正転状態で操作軸54に伝えて羽根板52を開かせ、空気を吹出させたり、上記モータ72の回動を反転させて伝えて羽根板52を閉じさせ、上記吹き出しを止めたりすることが出来る。
【0004】
又上記吹き出し口51からの空気の吹き出し方向をスイングさせたい場合には、上記機構71として、一方向回動を一定角度範囲の往復回動の繰り返しに変換する機構(扇風機の首振り機構と同様な機構)を用いる。該機構71を用いることにより、操作軸54の往復回動を繰り返させて羽根板52を一方及び他方に交互に繰り返し動かすことが出来、空気の吹き出し方向をスイングさせることが出来る。
【0005】
又上記スイングの角度を変えられるようにしたい場合には、上記機構71として上記往復回動の角度の切替が可能な機構を用い、羽根板52の往復動の角度を変え得るようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記一方向回動のモータでは上記のように羽根板に夫々所望する動作をさせる場合、夫々の動作に応じた機構が必要となるという問題点がある。そのような機構を用いると、製品の価格を高くしてしまったり、或いは故障の機会を増加させてしまったりする問題点がある。
【0007】
本件出願のロータリーアクチュエータは上記従来技術の問題点を解決する為に用いることの出来るものであり、
その目的は、吹き出し口の羽根板を操作して空気の吹き出しを行わせたり止めたりしたい場合、単に通電極性の切り換えのみでそれを行い得るようにロータリーアクチュエータを提供することである。
他の目的は、吹き出し口からの空気の吹き出し量を調整したい場合、単に通電電流の大きさを変えるのみでそれを行い得るようすることの出来るロータリーアクチュエータを提供することである。
他の目的は、吹き出し口からの空気の吹き出し方向をスイングさせたい場合、通電極性の交互切り替えのみでそれを行い得るようにすることである。
他の目的は、上記吹き出し方向のスイングの角度を変更したい場合、上記極性の交互切り替えと通電電流の大きさの変更のみでそれを行い得るようにすることである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明におけるロータリーアクチュエータは、
一部に切れ目を有する環状のヨークと、上記ヨークに巻回したコイルと、上記ヨークに沿って往復回動自在でしかもヨークと対向する側に磁極を備えている回動子とを備え、上記コイルへの直流電流の通電により、上記ヨークの一方の端部と他方の端部が夫々磁極化されると共に、上記回動子の磁極からの磁束と上記コイルを流れる直流電流とが鎖交して、上記回動子がヨークの一方の端部の側又は他方の端部の側に向けて回動するようにしてあり、
上記ヨークの内側には、さらに一部に切れ目を有する環状のヨークを、ヨーク相互間に回動子の移動用の間隙を隔て、かつ切れ目の向きを揃えた状態で並設し、各々のヨークには夫々コイルを巻回し、上記回動子に備えさせる磁極は両コイルに対向するように形成して、上記ヨーク相互間の間隙に配設したしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本願発明の実施の形態を示す図面について説明する。図1乃至図4において、ロータリーアクチュエータ1は、基枠2と、該基枠2によって夫々保持された第1固定子3、第2固定子4及び回動体5とから成る。以下各々について説明する。
【0010】
基枠2は上記各部材の保持とそれらの部材の収容保護の為のものであり、夫々硬質材料例えば鋼板で形成した第1基板10、第2基板11、ケース本体12とから構成している。13,14はそれらの部材を一体に結合する為の部材で、ボルトとナットを例示する。上記ケース本体12は後述するような構造によって第1固定子3の支持部材となっている。図3に示す15はケース本体12の周方向の一部に形成した切れ目で、第1固定子3における後述の磁極相互の磁気的短絡を防止する為のものである。これはケース本体12が上記のように鋼板(磁性材料)製であるが為に設けたものである。従って、ケース本体12を非磁性材料で形成する場合には設ける必要が無く、ケース本体12を図3に2点鎖線で示すように切れ目のない円筒状に形成しても良い。尚該ケース本体12の下端部12aは第1基板10に固着(例えば溶接、ロウ付け、接着など)させている。図2、図3に示す16は第2固定子4を支持する為の支持枠で、例えば鋼板製であり、下端部16aを第1基板10に固着させている。図3に示す17は支持枠16の周方向の一部に形成した切れ目で、第2固定子4における後述の磁極相互の磁気的短絡を防止する為のものである。該支持枠16における切れ目17は上記ケース本体12における切れ目15と同様の理由で設けたものであり、支持枠16を非磁性材料で形成する場合には設ける必要が無く、支持枠16を切れ目のない円筒状に形成しても良い。18は支持枠16に剛性を持たす為の補強板であり、外周縁を支持枠16の上端部に連結している。19,20は回動体5を回動自在に支持する為に基板10,11に取付けた軸受を示す。
【0011】
次に第1固定子3は回動体5に回動力を付与する為のものであり、以下の如く構成している。21はヨークで、回動体5に生ずる回転駆動力を大きくする為に設けたものであり、図3に示す如く一部に切れ目22を有する環状体に形成している。環状の形状は、回動体5がどの位置にあってもその回動体5における後述の磁極とヨーク21の内面21cとの距離を一定に保つ為に真円の形状にしている。回動体5の磁極とヨーク21の内面21cとの距離を一定に保つのは、回動体5がどの位置にあっても常に一定の回転駆動力がその回動体5に及ぶようにする為である。上記環状のヨークの断面は、真四角でもよいが、図示のものは、横幅に対して高さを著しく大きくなるように形成してある。上記ヨーク21は環状形状であるため斜め方向から見れば円筒状に形成されたようになる。このように円筒状にする目的は、回動体5において該ヨーク21からの電磁気的作用により回転駆動力を与えられる部分の回転半径を大きくとることが出来るようにし、その結果、回動体5に大きい回動トルクを得ることが出来るようにする為である。上記切れ目22はヨーク21における一方の端部21aと他方の端部21bとが、次に述べるコイルから与えられる磁束によって夫々磁極となるようにする為に形成したものである。該切れ目22は、上記端部21a,21bの磁極としての磁気的強さを強くして回動体5に与えられる回動力が大きくなるようにする為には、大きく形成するのがよい。しかし回動体5の往復回動が可能な角度を大きくする為には、小さく形成するのがよい。従って上記切れ目22の大きさは該アクチュエータの使用用途に応じて所要の回動力と所要の回動角度とが得られるように決めると良い。又この切れ目22の大きさは上記ヨーク21と後述するヨーク25との間隔以上の大きさに形成するのがよい。23はヨーク21に磁束を与える為のコイルで、一方の端部21aと他方の端部21bを夫々異極に磁極化する為の磁束を与えるように巻回している。例えば図2に示す如くヨーク21の内面21c、上面21d、外面21e、下面21fに順に沿わせて巻き、それをヨーク21の長手方向(ヨーク21の円弧の方向)に向けて次々と連続させた状態に巻いている。図4における23aは上記のように巻いたコイル23のうち上記内面21cに沿っている導体、23bは外面21eに沿っている導体を夫々示す。尚図4では隣接する導体23a,23a相互間に間隔がある状態を示すが、それらは密着していても良い(所謂密着巻き)。又コイル23は1層巻きの状態を示すが、2層或いはそれ以上の多層巻きであっても良い。コイル23の導線の線径及び巻き数は、必要とする回動体5の回転駆動力に応じて決めるのがよい。上記コイル23において回動体5における後述の回動子と対向する側の導体23aは、回動子に加わる後述の回転駆動力が回動子の回動の軸線を中心とする円周方向となって、回動子の回転駆動の効率が良くなるようにする為に、ヨークの軸線方向にほぼ平行状態となるようにしてある。
【0012】
次に第2固定子4における25はヨーク、25a,25bはその端部、26は切れ目、27はコイルを夫々示す。これの切れ目26の向きはヨーク21の切れ目22と図示のように揃えた状態で並設してある。この第2固定子4はヨーク25と前記ヨーク21とが異径の筒状である点を除き上記第1固定子3におけるものと均等の構成であって説明が重複するのでその重複する説明を省略する。尚図3から明らかな如くヨーク21とヨーク25とは同心状態に間隙を空けて並設してある。
【0013】
G1は上記第1固定子3と第2固定子4との間の間隙を示し、回動体5における後述の回動子を該間隙G1に位置させてその回動移動を可能にする為に設けている。図1に示す28は上記第1固定子3及び第2固定子4の夫々のコイル23,27への給電用のリード線を示し、上記両コイル23,27の導線が該リード線28に接続してある。その接続の状態は、該リード線28への通電によって各ヨーク21,25の端部21a,21b,25a,25bが磁極化された場合、半径方向に重合状態となっている端部(例えば端部21aと端部25a)相互が逆極性となるようにしてある。30,31は第1固定子3及び第2固定子4を夫々ケース本体12及び支持枠16に固定し又両固定子3,4相互を機械的に一体に結合する為の部材で、ボルトとナットを例示する。尚32は両固定子3,4相互の間に上記間隙G1を保持させる為のスペーサ、33はケース本体12の内面とヨーク21の外面との間にコイル23の導体を存置させる為の空間を保持させる為のスペーサ、34は支持枠16の外面とヨーク25の内面との間に同様の空間を保持させる為のスペーサを夫々示し、何れもヨーク21,25の端部の磁極化状態を乱さぬようにする為に非磁性材料製である。35,36は回動体5の回動範囲を規定する為のストッパで、上記スペーサ32の一部をもって該ストッパとしている。
【0014】
回動体5は上記固定子3,4から回転駆動力を受け、その回転駆動力によって被駆動装置や被駆動部材を駆動する為のものであり、回動軸40とアーム41と回動子42とから構成している。回動軸40は上記回転駆動力を被駆動装置や被駆動部材に伝達する為のものであり、軸受19,20によってヨーク21,25と同心状態で回動自在に支えられている。アーム41は回動子42の受ける回転駆動力が、回動軸40には大きいトルクとして加わるよう、回動子42を回動軸40から半径方向に離れた位置に保持する為のものである。該アーム41の元部は連結用のボス43に固着し、ボス43は止付ねじ44でもって回動軸40に固定している。回動子42は上記固定子3,4から回転駆動力を受ける為のものであり、上記ヨーク21,25に沿って往復回動自在となっている。例えば上記アーム41でもって回動軸40に連結されて、ヨーク21の内面及びヨーク25の外面に沿って移動出来るようになっている。該回動子42は容易に製造出来るようにする為に、アーム41と一体の板体を折り曲げて形成した基板45と、その基板45の外面と内面とに夫々両コイル23、27に対向するように磁極を形成する。その手法は、例えば基板45の外面と内面とに夫々接着手段により止着した磁石46,47で形成している。しかし基板を用いることなく、アーム41の先に一つの板状の磁石を直接に取付け、その磁石をもって回動子としても良い。上記基板45は機械的には両磁石46,47を保持する為のものであり、磁気的には磁石46,47間のヨークである。従って該基板45は、機械的強度がありかつ磁石46,47相互間の磁束を磁気抵抗少なく通し得る磁性材料である材料例えば板状に鋼板で形成している。上記回動子の高さは図2のようにヨークの高さに対応する大きさに形成してある。磁石46,47としてはヨークの高さに対応させ磁束密度の有効範囲内に入るようにやや短めにしてある。材料としては大きい回動力を得ることが出来るようにする為に比較的小型で大きな磁束密度を有する磁石例えばネオジウム磁石を用いている。46aは回動子42においてヨーク21と対向する側例えば内面21cと対向する側に備えられている磁極で、コイル23におけるヨーク21の内面側の導体23aと鎖交する磁束を生ずる為のものである。該磁極46aは磁石46における一方例えばS極の磁極をもって構成しており、ヨーク21の内面21cに面する全面が同極となっている。尚磁石46における反対面は上記磁極46aとは逆極性(例えばN極)の磁極46bとなっている。47aは回動子42においてヨーク25と対向する側例えばヨーク25の外面と対向する側に備えられている磁極で、コイル27におけるヨーク25の外面側の導体と鎖交する磁束を生ずる為のものである。該磁極47aは磁石47における一方例えばN極の磁極をもって構成しており、ヨーク25の外面に面する全面が同極となっている。尚磁石47における反対面は上記磁極47aとは逆極性(例えばS極)の磁極47bとなっており、上記ヨークとしての基板45は上記磁極46bと磁極47bとの間の磁束を通す。上記基板45の外側と内側の両側に磁石46,47を備えさせることは次のことも目的としている。即ち、ヨーク21に対する外側の磁極46aの磁気的な吸引力とヨーク25に対する内側の磁極47aの磁気的な吸引力とをバランスさせて、回動子42が外側にも内側にも曲がらないようにする為である。又そのバランスをとる為に両磁石46,47は各々の表面積を同一にしている。
【0015】
上記構成のロータリーアクチュエータの動作を説明する。回動子42における各磁極からの磁束は例えば次のような経路を通っている。即ち、N極の磁極47aから出た磁束は、コイル27におけるヨーク25の外面側の導体と鎖交してヨーク25に入る。該磁束は次にヨーク25とヨーク21との間隙を通ってヨーク21に至る。更にその磁束は、コイル23におけるヨーク21の内面21c側の導体23aと鎖交して磁極46aに至っている。この場合、磁性体であるヨーク21,25は、上記のような経路を通る磁束数を増大させ、上記各コイルの導体と鎖交する磁束数を増大させる。コイル23,25への直流電流の通電により、以下のような動作が行われる。先ず、上記ヨークの一方の端部と他方の端部が夫々磁極化され、又、上記回動子の磁極からの磁束と上記コイルを流れる直流電流とが鎖交して、上記回動子がヨークの一方の端部の側又は他方の端部の側に向けて回動する。例えばリード線28を通して直流の電流(例えば24V、8A)をコイル23,27に供給すると、電流はコイル23においては、図4にシンボルで示すように例えばヨーク21の内面21c側の導体23aには紙面と垂直で手前方向に流れ、外面21e側の導体23bには紙面と垂直で向こう方向に流れる。一方、図示はしないがコイル27においては、ヨーク25の外面側の導体には紙面と垂直で手前方向に流れ、内面側の導体には紙面と垂直で向こう方向に流れる。上記のような電流が流れることにより、ヨーク21はその一方の端部21aがS極、端部21bがN極に磁極化され、ヨーク25は端部25aがN極、端部25bがS極に磁極化される。又上記のように各コイル23,27に電流が流れることにより、その電流は上記のような経路を通っている回動子42の磁極46a,47aからの磁束と鎖交状態となる。このようにヨークの各端部が磁極化すること及び回動子42からの磁束とコイルの電流が鎖交することにより、回動子42には図3、図4の矢印48方向の回転駆動力が加わる。その結果、回動子42は矢印48方向に回動し、回動軸40が同方向に回動する。該回動は回動子42がストッパ35に当接する位置まで行われ、その当接によって回動が停止する。一方上記直流の通電の極性を反転させると上記電流の方向は反対方向となるので、回動子42に加わる回転駆動力は反対方向となり、回動子42は反対方向にストッパ36に当接する位置まで回動する。
【0016】
上記のように回動子42に回転駆動力が加わる場合、第1固定子3と第2固定子4とから夫々力が加わるので、上記回転駆動力はその分大きなものとなる。又回動軸40に現れる回動トルクは、次のような理由により比較的大きなものとなっている。即ち何れの固定子もヨークを円筒状に形成し回動子42はそれらに沿った板状に形成しているので、上記回転駆動力が加わる回動子は、そのどの小部分もヨークの半径に近い大きい回動半径を持つ。従って回動子42に加わる回転駆動力はアーム41を介することによりその大きい回動半径を経て回動軸40に加えられるので、回動軸40には大きい回動トルクを得ることが出来る。
【0017】
上記のようにコイルへの通電によって回動体5を回動させる場合、上記説明の如き作用によって回転駆動力が生ずるので、コイルに流す電流と回動軸40に生ずる回動トルクとの関係が定トルク特性になり、回動軸40には回動体の5の回動位置の如何に関わらず一定の大きさのトルク(電流の大きさに対応した大きさのトルク)を得ることが出来る。
【0018】
次に上記コイル23,27に対する直流電流の通電は、DCモータに対する通電方法として知られている次のような方法で行っても良い。例えば省電力化ドライブ法として知られているように、電流をPWM制御して流し、回動軸40に生ずるトルクの大きさを制御できるようにしても良い。或いは、ブレーキ作用を付ける通電方法によって、回動体5の上記の如き回動を所望の位置で停止させたり、ステップ及び低速駆動する通電方法によって、回動体5の回動をステップ的に或いは低速で行うようにしても良い。
【0019】
次に異なる実施形態を説明する。上記第1固定子3と第2固定子4とは何れか一方のみを備えるものであっても良い。その場合、回動体5は、備えられた固定子と対向する側の磁極を備えるものであればよい。
【0020】
次に上記ロータリーアクチュエータ1の利用例を示す図5について説明する。この例は例えば室内の壁面に設けられている送風ダクト50において、空気の吹き出し口51を開閉したり吹き出し口51からの空気の吹き出し方向を調節する為の羽根板52を、上記ロータリーアクチュエータ1によって操作するようにした例を示すものである。図においてロータリーアクチュエータ1における前記回動軸は上記羽根板52を操作する為の操作軸54に連結している。尚53は上下の羽根板52を連動作動させる為の連動機構を示す。
【0021】
上記構成のものにおいては、ロータリーアクチュエータ1に直流電流を通電することにより上記羽根板52を例えば矢印52a方向に動かして、吹出し口51を開かせることが出来る。その結果、空気の吹き出しを行わせることが出来る。又直流電流の極性を反転させることにより羽根板52を矢印52b方向に動かして、吹出し口51を閉じさせることが出来る。その結果、空気の吹き出しを止めることが出来る。又通電する直流電流の大きさを調節することにより、羽根板52を任意の開度の状態に保持することが出来る。即ち羽根板52が開いた状態では、その羽根板52の重量W0の一部の分力W1が羽根板52を矢印52b方向に閉じさせる力として作用する。この分力W1の大きさは羽根板52の開度が小さいほど小さく大きいほど大きい。この為、ロータリーアクチュエータ1に供給する直流電流の大きさの調節によって回動軸40のトルクを調節することにより、羽根板52を所望の開度の状態で上記分力W1と回動軸40のトルクとを釣り合わせ、羽根板52をその開度の状態に保持させることが出来る。その結果、空気の吹き出し量を所望量にすることが出来る。
【0022】
又上記構成のものにおいては、上記通電する直流電流の極性を交互に切替ることにより羽根板52を上下に交互に動かすことが出来、空気の吹き出し方向を上下にスイングさせることが出来る。その場合、夫々の極性で通電する直流電流の大きさを調節することにより羽根板52の上下の動き角度を変えて吹出し方向のスイングの幅を変えることが出来る。
【0023】
次に図6はロータリーアクチュエータ1を自動車のハンドル操作練習機56に用いた例を示すものである。図において、57はハンドル操作練習機の筐体、58はハンドル、61はハンドル58の回動角度を検出する為にハンドル軸59に連繋用の歯車60を介して連動させたエンコーダ、62は信号処理装置、63はディスプレー用のブラウン管を夫々示す。上記ロータリーアクチュエータ1は連繋用の歯車64を介して上記ハンドル軸59に連動させている。65はロータリーアクチュエータ1に通電する電流の極性や大きさを制御する為の制御装置である。
【0024】
上記構成のものにあっては、ハンドル58を回動操作すると、エンコーダ61によってその回動角度が検出され、信号処理装置62の動作によりブラウン管63には上記ハンドル58の操作角度に応じて自動車の向きが変わっていく状況が表示される。又このとき、信号処理装置62からの信号に基づき、制御装置65は上記ブラウン管63に表示される自動車の向きの変化の状況、自動車の速度、路面の状況等に応じて、ハンドル58に与えるべき負荷(手応えの感覚)を演算し、そのような負荷を与えるに適する極性及び電流値の直流電流をロータリーアクチュエータ1に供給する。その結果、ハンドル58には該ロータリーアクチュエータ1から上記のような負荷となる回転駆動力が加えられ、ハンドル58を操作する練習者は上記のような種々の状況に応じた手応えを得ることが出来る。
【0025】
上記ロータリーアクチュエータ1の他の利用例としては、ちょう形弁やロータリー弁の駆動に用いても良い。それらの場合、ロータリーアクチュエータ1の回動軸40をそれらの弁において回転動作をする弁体に接続し、それらの弁体の開閉操作或いは所望角度の回動操作をさせるようにする。
このように本件出願のロータリーアクチュエータは、直流電流の通電で被駆動物を回転駆動出来、また、上記被駆動物の回転駆動の場合、上記通電極性の反転のみで上記被駆動物を正方向或いは逆方向に任意駆動出来、上記被駆動物の回転駆動の場合、通電電流の大きさに対応した回転駆動力を得ることが出来る。また弁の開閉を通電電流の極性の切り替えのみで行い得るようにすることもできる。自動車のハンドル操作練習機に用いることにより、そのハンドルの操作に対して実際の自動車の運転時の状況に近いハンドルの重さの感覚を与えることを可能に出来る。またコイルへの通電によって回転駆動力の加わる回動子はそのどの部分もヨークの半径に近い回動半径を持たすようにして、直径の割に大きい回動トルクを得られるようにしたロータリーアクチュエータを提供することも出来る。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本願発明のロータリーアクチュエータにあっては、例えば、吹き出し口51の羽根板52の操作に用いた場合において、吹き出し口51から空気を吹出させたり吹き出しを止めたりしたい場合、コイル23,27への通電極性の切替という電気的操作のみで羽根板52を開かせたり閉じさせたりすることが出来る。
又上記羽根板52を操作して吹き出しの方向をスイングさせたい場合には、上記コイル23,27への通電極性の切替を繰り返し行うことにより、羽根板52を一方及び他方に交互に繰り返し動かすことが出来る。
更にそのスイングの幅を変えたい場合は、コイル23,27への通電電流を変えることによりその電流の大きさに応じて羽根板52の一方或いは他方に動く角度を変えることが出来る。
このように本願発明のロータリーアクチュエータ1によれば、コイル23,27への通電極性の切替という電気的操作のみで、或はその切替を繰り返し行うことにより、さらには コイル23,27への通電電流を変えることによる等の電気的操作のみで回動子に種々な動作を行なわせるようにすることが出来るので、簡易なロータリーアクチュエータとして他面的に活用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】分解斜視図。
【図2】縦断面図。
【図3】一部破断平面図。
【図4】図3におけるIV部分の拡大図。
【図5】ロータリーアクチュエータの用途の一例を示す斜視図。
【図6】ロータリーアクチュエータの用途の他の例を示す斜視図。
【図7】従来例を示す斜視図。
【符号の説明】
21,25 ヨーク
23,27 コイル
42 回動子
46a,47a 磁極
Claims (3)
- 一部に切れ目を有する環状のヨークと、上記ヨークに巻回したコイルと、上記ヨークに沿って往復回動自在でしかもヨークと対向する側に磁極を備えている回動子とを備え、上記コイルへの直流電流の通電により、上記ヨークの一方の端部と他方の端部が夫々磁極化されると共に、上記回動子の磁極からの磁束と上記コイルを流れる直流電流とが鎖交して、上記回動子がヨークの一方の端部の側又は他方の端部の側に向けて回動するようにしてあり、
上記ヨークの内側には、さらに一部に切れ目を有する環状のヨークを、ヨーク相互間に回動子の移動用の間隙を隔て、かつ切れ目の向きを揃えた状態で並設し、各々のヨークには夫々コイルを巻回し、上記回動子に備えさせる磁極は両コイルに対向するように形成して、上記ヨーク相互間の間隙に配設したことを特徴とするロータリーアクチュエータ。 - 上記環状のヨークの断面は、横幅に対して高さを著しく大きくなるように形成してあり、上記回動子は板状であってヨークの高さに対応する大きさに形成してあってヨークの内面又は外面に沿わせて移動させるようにしてあることを特徴とする請求項1のロータリーアクチュエータ。
- 上記二つのヨークにおける夫々の一方の端部と他方の端部 は夫々相互間の間隙を保持する状態で連結して、上記回動子が上記の切れ目から脱出しないようにしたことを特徴とする請求項1のロータリーアクチュエータ。
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