JP3640670B2 - 単気筒ディーゼル・エンジン - Google Patents

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Description

この発明は新式のシリンダ・ヘッドを有する単気筒ディーゼル・エンジン並びにそのシリンダ・ヘッドを製造するための鋳型に関する。
この種のシリンダ・ヘッドにおいて、排気口の形状は鋳造技術的にそれ程困難ではないが、燃焼空気の吸気口はねじれ管として形成される部位があるため特殊な鋳造技術を要する。
この種のねじれ管は、渦巻き状の複雑な空間形状により、吸気行程において吸気される空気の渦巻き数を高めて燃焼室内での混合度を高めるという点で優れている。したがって、従来はディーゼル・エンジンのシリンダ・ヘッドは重力鋳造または砂型鋳造によって製造されており、ねじれ管の形成には砂中子が使用され、これは除去の際に破壊される。
この種のねじれ管を有するシリンダ・ヘッドを低コストなダイカスト法によって製造し鋳造後に中子を引き抜くことは、特にねじれ菅の形成が複雑であることから、従来は専門家によって不可能であると判断されていた。
本発明が提案する方法により、初めて、燃焼空気の吸気管がねじれ管からなり、これが吸気バルブの裏側に形成されたねじれ室に接合される単気筒ディーゼル・エンジンのシリンダ・ヘッドを単一部材として製造することが可能となる。
この種のシリンダ・ヘッドの形成に際して、本発明によれば、燃焼空気の吸気管がねじれ管からなり、このねじれ管がシリンダ軸方向に見て外側両方向に向かって基準線に沿ってその両側が次第に大きく広がり、この基準線は、ねじれ管によって包囲されかつ吸気バルブのバルブ・シャフトを含むシリンダ・ヘッドの核部材にかかる正接からなり、この正接は、ねじれ管の外郭とバルブ座内径に接続するねじれ室の基盤円との交点を通って伸びており、前記基盤円にねじれ管が流入する。この様な本発明に係るねじれ管の構造が、ある程度、シリンダ・ヘッドの製造にダイカスト鋳型を使用するための要件となり得る。本発明に係るねじれ管の形状は、その外郭が、前述と同様にシリンダ軸の方向に見て、従来の形式と比べて幾分伸長されている。これによって限定される多少低い渦巻き数は、ダイカスト法を使用することによる製造コストの削減を考慮すれば許容できるものである。ここで論点になるのは、単にコストの改善だけでなく、シリンダ・ヘッドをより高い精度をもってアルミニウム合金からなる単一鋳物として製造できることによる重量の改善であり、これによって燃焼室内の燃焼行程ならびに燃費の点での要件が有効に満たされる。
本発明において、燃焼空気の吸気口と排気ガスの排気口とを有する単気筒ディーゼル・エンジンのシリンダ・ヘッドを単一部材として製造するための鋳型の特徴としては、
− ダイカスト鋳型が使用され、
− 吸気口を形成するために二つの押し部材からなる中子を備え、
− 第一の押し部材はその側方引き出し方向が外側に伸びるねじれ管部分に実質的に相応し、
− 第二の押し部材はそのシリンダ軸に平行に走る引き出し方向が吸気バルブの裏側に形成されたねじれ室と、さらにねじれ室に流入するねじれ管の内側部分に実質的に相応する。
両方の押し部材の形成に関しては、これらの押し部材は実質的にシリンダ軸に平行な共通の仕切り面を介して接合している。シリンダ軸の方向に見て、この仕切り面はバブル座内径に接しているねじれ室の基盤円の内部に配置されている。
好適には、仕切り面は側方引き出し方向にほぼ平行な仕切り平面を有し、この仕切り平面は、さらなる構成形態として、シリンダ軸の方向に見て、ねじれ管の内郭から僅かな間隔をもって伸びるよう形成し、さらにこれに仕切り平面に垂直に伸びる横断平面を介して接合するよう構成することができる。後から記述した形態により、第二の押し部材の側面のねじれ管の内郭領域に微細な鋭角縁部を形成する必要性が排除される。
同様にして、排気管を形成するためにも二つの押し部材からなる中子が使用され、
− これは第三の押し部材を備え、その側方引き出し方向が直線的な流れ軸を有し外側方向に流出している管部分に実質的に適合し、
− さらに第四の押し部材を備え、そのシリンダ軸に平行な引き出し方向が排気バルブの裏側に形成された排気室に実質的に適合し、この排気室から前記管部分が流出している。
さらに排気管の形状において、前記管部分の内側端部が排気バルブのバルブ・シャフトを備えたシリンダ・ヘッドの核部分を半円形に包囲している。
さらに、シリンダ・ヘッドを単一部材として製造する際には、冷却空気を均等に配分するために、リブによって分離された冷却空気のための複数の中空スペースがシリンダ・ヘッドの領域で互いに連通しなければならないという問題がある。
このことを確立するために、本発明においては、さらに、シリンダ軸に平行してシリンダ・ヘッドの天板部を通じて引き抜くことができる棒状の型中子(モールデッド・コア)を設け、これによって隣り合う冷却空気流路を互いに分離するリブ内に割れ目を形成する。この種の特に円筒状の型中子を使用することにより、リブ取付け部の領域に割れ目を形成することが可能となり、これがシリンダ・ヘッドの周囲の効果的な空気流と、個々の冷却空気通路からの冷却空気の合流を可能にする。棒状の型中子を引き抜くためにシリンダ・ヘッドの天板に設けられた穴は、ネジ栓部材によって、または栓部材を押し込むことによって気密性を保って有効に遮閉することができる。
吸気管においても、また排気管においても、両方の中子間の分離面の領域には、管の壁部材領域内に弱い角部が形成され、これは少なくとも排気管内においては問題でないが、吸気管内においては必要に応じてこの種の角を後処理によって除去することが有効である。
本発明は低コストな小型ディーゼル・エンジンの製造において進歩を示し、この種のエンジンは、例えば出力3kw以内の建設機械等の産業利用において特に需要がある。
以下に、本発明の実施例を添付図面を参照しながら説明する。ここで、
図1は、単気筒ディーゼル・エンジンのシリンダ・ヘッドの領域を図2中の線I−Iに沿ってシリンダ軸に平行に切断した断面図、
図2は、図1中の線II−IIに沿った断面図、
図3は、図2中の線III−IIIに沿った断面図である。
図1ないし3はそれぞれ単気筒ディーゼル・エンジンシリンダ・ヘッド1の切断面図であり、ここでシリンダ・ヘッド1はダイカスト法によって製造され得るように形成される。図1において、シリンダ・ヘッド1の下方に、シリンダ2の上端と、両方の部材の間に形成されたシリンダ・ヘッド・パッキング3とが図示されている。さらに、吸気管4側に燃焼空気用の接続管5が、排気管6側に排気ベンド7がそれぞれ略図として示されている。接続管5および排気ベンド7はそれぞれ適宜な環状パッキング8を用いてシリンダ・ヘッド1の対応する側壁部分に気密に接合されている。
シリンダ軸に平行な貫通穴部9の中にバルブ・ガイドスリーブ9aが挿入されており、この貫通穴部9がシリンダ・ヘッド1の上端10をねじれ室11と結合しており、このねじれ室11内に吸気用のねじれ管12が流入している。ねじれ室11の内側においてバルブ座環部材15の下側にバルブ座14を伴った吸気バルブ13が設けられ、ここで、吸気バルブ13およびバルブ座環部材15はいずれも点線で示されている。バルブ座環部材15はバルブ座穴部16内に挿入されており、これにねじれ室11の基盤円17が接続されている。ねじれ室11およびバルブ座穴部16の内部はシリンダ軸に平行な陰影線表示で示されている。貫通穴部9の内部には、バルブ・ガイドスリーブ9aおよび吸気バルブのバルブ・シャフト18が同様に点線で示されている。
さらに、シリンダ軸に平行な別の貫通穴部19がシリンダ・ヘッド1の上端10を排気ガス室20と結合し、この排気ガス室20の基盤円21が排気バルブ23のバルブ座穴部22の上端に接合している。排気バルブ23のバルブ座24は、図示されている排気バルブ23の閉鎖状態において、バルブ座穴部22内に挿入されたバルブ座環部材25に下側から接している。バルブ座環部材25、排気バルブ23、バルブ・ガイドスリーブ9a、ならびに排気バルブ23のバルブ・シャフト26は、いずれも点線で示されている。排気管6の管部分27の内側端部が排気ガス室20内に流入している。
図2により明解に示されるように、シリンダ・ヘッド1は中央空気流路28を備えており、これがシリンダ・ヘッド1の一方の前面部29から反対側の前面部30へ通じている。空気通路28の両方の側にリブ間に形成され別の空気流路が接続しており、すなわち、左方向にはリブ31、空気流路32、別のリブ33および中空角部34が形成され、右方向にはリブ35、空気流路36、別のリブ37、別の空気流路38、さらに別のリブ39および中空角部40が形成されている。同様な構成部品がシリンダ・ヘッド1の反対側の前面29にも存在し、これらは寸法的に多少異なっているものの同じ参照符号で示されている。シリンダ・ヘッド1の両方の前面29,30の間にある空気流路32,28,36,38が場合によっては強く絞り込まれた断面を有するにもかかわらず、良好な空気冷却を達成すべき点から、リブ31,37のそれぞれの内側端部に割れ目41を形成することによりシリンダ1の高温の各部材の回りに空気対流を付加することが好適である。このことは、図3に示されるように、鋳造後に引き抜かれる棒状の中子42を設け、これによってリブ31,37の領域に割れ目41を形成することによって鋳造技術的に達成される。この棒状の中子は図2中にやはり点線の円でで示されている。中子42はシリンダ・ヘッド1の天板43を通して引き抜かれ、その後天板43に残った穴は(図示されていない)栓部材を挿入することによって気密に閉鎖することができる。さらに、図3には、ネジ蓋45およびノズル・ホルダ46を備えた噴射ノズル44がリブ35の一部分47の内部に点線で示されている。これに応じて、シリンダ・ヘッド1の底部材48内には、後からフライス作業によって形成された、噴射ノズル44のネジ蓋45のための台座49と、これを底部材48に通すためのケース穴部50が示されている。
さらに、図1および図2には、それぞれ二つの押し部材からなる、吸気管4および排気管6用の中子が示されている。吸気管4は右斜め上あがりの陰影線で示された第一の押し部材51を備え、これが実質的にねじれ管12を形成しており、さらに第二の押し部材52を備え、これは実質的にねじれ室11に相当する。両方の押し部材51,52は、それぞれその陰影線に平行する方向、つまり矢印S1およびS2の方向に引き抜かれる。これらは、共通の仕切り面53を有し、これが仕切り平面53aを有し、この仕切り平面53aは引き抜き方向S1に平行に、かつねじれ管12によって包囲さているシリンダ・ヘッドの核部材55に対して短い距離をおいて伸びている。核部材55またはねじれ管12の内郭56から仕切り平面53aまでの間隔は、仕切り平面53aに垂直な狭い横断平面57によって接続されている。これによって、第二の押し部材52の内側角部が鋭角に形成されることを防止できる。押し部材51は実質的にねじれ管12の外側部分51aに相応し、ここで、押し部材51の、図2に示された内側部分51bは第二の押し部材52に装着されており、そうでなければ押し部材51は鋳造品から引き抜くことができない。
排気管6については、押し部材の構造はねじれ構造の吸気管の物と比べて単純なものとなる。第三の押し部材58が排気管6の管部分を形成するために使用される。第三の押し部材58は第四の押し部材59に接しており、この第四の押し部材が排気ガス室20の中空室に相応する。後者はシリンダ軸に平行に矢印S4に沿って引き抜かれ、第三の押し部材58はその陰影線方向、すなわち矢印S3の方向に向かって横上方に引き抜かれる。
図2の平面図により、ねじれ管12を形成する第一の押し部材51の最も内側の点Pは、ねじれ管12の外郭60とねじれ室11の基盤円17との交点によって決定されることが明らかである。この点Pが同時に第一の押し部材51の最も内側の点を形成する。

Claims (3)

  1. 燃焼空気の吸気口(4)を備えこの吸気口(4)がねじれ管(12)を有しており、これが吸気バルブ(13)の裏側に形成されたねじれ室(11)に流入する単気筒ディーゼル・エンジンの一体型シリンダヘッド(1)を製造するための鋳型であり、
    吸気口(4)を形成するために二つの押し部材からなる中子を備え、
    第一の押し部材(51)はその側方引き出し方向(S1)が外側に伸びるねじれ管(12)の断片部分(51a)に符合し、
    第二の押し部材(52)はそのシリンダ軸に平行に走る引き出し方向(S2)が吸気バルブ(13)の裏側に形成されたねじれ室(11)と、さらにねじれ室(11)に流入するねじれ管(12)の内側部分(51b)に符合し、
    両方の押し部材(51,52)がシリンダ軸と側方引き出し方向(S1)とにほぼ平行な共通の仕切り平面(53a)に接合し、
    仕切り平面(53a)がシリンダ軸の方向に見てねじれ管(12)の内郭(56)から僅かな間隔をもって伸びており、さらにこの内郭(56)に仕切り平面(53a)に対して垂直な横断平面(57)を介して結合される、
    ことを特徴とする鋳型。
  2. 排気ガスのための排気口(6)を備えた単気筒ディーゼル・エンジンの一体型シリンダヘッド(1)を製造するための鋳型であり、
    排気口(6)を形成するために二つの別の押し部材(58,59)からなる中子を備え、
    第三の押し部材(58)はその側方引き出し方向(S3)が直線的な流れ軸を有していて外側方向に流出している管部分(27)に符合し、
    第四の押し部材(59)はそのシリンダ軸に平行な引き出し方向(S4)が排気バルブ(23)の裏側に形成された排気ガス室(20)に符合し、この排気ガス室から前記管部分(27)が流出し、
    管部分(27)の内側端部が排気バルブ(23)のバルブ・シャフト(26)を含んだシリンダ・ヘッド(1)の核部分(61)を半円形に包囲する、
    ことを特徴とする鋳型。
  3. シリンダ軸に平行してシリンダ・ヘッド(1)の天板部(43)を通して引き抜くことができる棒状の型中子(42)を設け、これによって隣り合う冷却空気流路(28,31;36,38)を互いに分離するリブ(31;37)内に割れ目(41)を形成する請求項1または2記載の鋳型。
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