JP3640566B2 - 酸化チタン被覆粉体および化粧料 - Google Patents

酸化チタン被覆粉体および化粧料 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化チタン被覆粉体および化粧料に関する。さらに詳しくは、紫外線A波(UV−A)、紫外線B波(UV−B)の双方に対する紫外線防御効果に優れる酸化チタン被覆粉体、透明性の高い酸化チタン被覆粉体、さらにはUV−A、UV−B双方に対する紫外線防御効果に優れ、かつ透明性の高い酸化チタン被覆粉体、並びに酸化チタン被覆粉体を含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、サンスクリーンなどの日焼け止め化粧料に含まれる無機の紫外線散乱剤として、酸化チタンや酸化亜鉛がおもに用いられている。しかしながら、酸化チタンは波長280〜320nmの紫外線B波(UV−B)に対する防御効果は高いものの、可視領域における透明性が低く、肌に塗布した場合、不自然な白さが目立つ。一方、酸化亜鉛は、可視領域での透明性が高く、波長320〜400nmの紫外線A波(UV−A)およびUV−Bの両紫外線に対する防御が可能であるものの、その紫外線防御効果は酸化チタンには及ばない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、UV−AおよびUV−Bの両紫外線に対し原体である酸化亜鉛よりも優れた紫外線防御効果を有する酸化チタン被覆粉体、透明性の高い酸化チタン被覆粉体、さらにはUV−AおよびUV−Bの両紫外線に対し原体である酸化亜鉛よりも優れた紫外線防御効果を有し、かつ透明性の高い酸化チタン被覆粉体、並びに酸化チタン被覆粉体を含有する化粧料を提供することを目的とする。
【0004】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆した酸化チタン被覆粉体を化粧料中に配合することにより、透明性が高く使用時の不自然な白さがなく、また、紫外線防御効果に優れる化粧料を得られることを見出した。
【0005】
さらに、この酸化チタン被覆粉体の中でも、特に、原体である酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有する酸化チタン被覆粉体が特に優れた透明性を示し、また、280〜400nm波長領域において原体である酸化亜鉛よりも低い光透過率を有する酸化チタン被覆粉体が特に優れた紫外線防御効果を示すことを見出し、これらの特性を有する酸化チタン被覆粉体を化粧料中に配合することにより、透明性に極めて優れ、また、UV−A、UV−B両波長域において、酸化チタン、酸化亜鉛を配合した場合よりも格段に優れた紫外線防御効果を有する化粧料が提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体を含有する化粧料に関する。
【0007】
上記化粧料において、酸化チタンの被覆量が被覆粉体全量に対し10重量%以下、さらには0.01〜7重量%であるのが好ましい。
【0008】
また本発明は、酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体であって、該被覆粉体が、酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有することを特徴とする酸化チタン被覆粉体に関する。
【0009】
また本発明は、酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体であって、該被覆粉体が、280〜400nm波長領域において酸化亜鉛よりも低い光透過率を有することを特徴とする酸化チタン被覆粉体に関する。
【0010】
また本発明は、酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体であって、該被覆粉体が、酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有し、かつ、280〜400nm波長領域において酸化亜鉛よりも低い光透過率を有することを特徴とする酸化チタン被覆粉体に関する。
【0011】
また本発明は、酸化亜鉛とチタンアルコキシドを溶媒中で接触させてチタンアルコシドを酸化亜鉛表面に吸着させた後、該吸着粉体を加水分解処理してチタンアルコキシドを水酸化チタンとし、次いで、150℃以下の温度で該粉体を加温処理して酸化チタン被覆粉体を得る、上記酸化チタン被覆粉体の製造方法に関する。
【0012】
また本発明は、上記特性を有する酸化チタン被覆粉体を含有する化粧料に関する。
【0013】
上記化粧料において、酸化チタンの被覆量が被覆粉体全量に対し10重量%以下、さらには0.01〜7重量%であるのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0015】
本発明に用いられる酸化亜鉛は、一般に化粧料等の分野で用いられ得るものであれば特に限定されるものでないが、透明性などの点から、平均一次粒子径が1.0μm以下のものが好ましく、特には0.1μm以下のものが好ましい。
【0016】
本発明における被覆処理粉体は、この原体としての酸化亜鉛に酸化チタンを被覆してなるものである。
【0017】
酸化チタンの被覆は、例えば、酸化亜鉛とチタンアルコキシドを溶媒中で接触させてチタンアルコシドを酸化亜鉛表面に吸着させた後、該吸着粉体を加水分解処理してチタンアルコキシドを水酸化チタンとし、次いで、水酸化チタンを酸化チタンとするに必要最低限の温度で該粉体を加温処理して酸化チタン被覆粉体を得る方法が好ましいものとして挙げられる。
【0018】
すなわち、例えば酸化亜鉛をイソプロピルアルコール等の溶媒中に分散させた分散液(濃度3%程度)に、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4)等のチタンアルコキシドを加え、攪拌、混合して酸化亜鉛表面にチタンテトライソプロポキシドを吸着させる。ここに水や水性成分を徐々に加え(例えば、30%イソプロピルアルコール溶液を徐添する)、チタンテトライソプロポキシドを加水分解処理して水酸化チタン(Ti(OH4))とする。次いで濾過後、該水酸化チタンを脱水により酸化チタンとするに必要最低限の温度で乾燥させて、酸化チタン被覆酸化亜鉛を得る。
【0019】
上記において「水酸化チタンを酸化チタンとするに必要最低限の温度」とは、水酸化チタンを脱水処理により酸化チタンに変換せしめ、しかも得られる酸化チタン被覆粉体のヘイズの上昇、紫外線防御効果の低下を防止し、また溶媒の変質を起さない程度の低温度を意味する。本発明では、具体的には例えば150℃程度以下の温度が好ましく、特には130〜110℃程度である。このように低温で乾燥させることにより、得られる酸化チタン被覆粉体の透明性、紫外線防御効果の高いものが得られる。あまり高温で加熱処理や乾燥処理を行うと、得られる酸化チタン被覆粉体の透明性、紫外線防御効果が低くなり、好ましくない。
【0020】
上記製造方法としては、より具体的には以下の方法が例示的に挙げられる。
【0021】
例えば、酸化亜鉛500gに、イソプロピルアルコール 500gとチタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4) 55gとの混合溶液を加え、室温で混合、攪拌して酸化亜鉛表面にチタンテトライソプロポキシドを吸着させる。次に、ここにイオン交換水14gを徐々に加え、チタンテトライソプロポキシドを加水分解処理して水酸化チタン(Ti(OH4))とする。次いで濾過後、130℃の温度で乾燥させて、本発明の酸化チタン被覆酸化亜鉛を得る。
【0022】
あるいは、酸化亜鉛200gに、イソプロピルアルコール 130gとチタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4) 7.56gとの混合溶液に加え、室温で混合、攪拌して酸化亜鉛表面にチタンテトライソプロポキシドを吸着させる。次に、ここにイオン交換水1.93gとイソプロピルアルコール1.93gとの混合水溶液を徐々に加え、チタンテトライソプロポキシドを加水分解処理して水酸化チタン(Ti(OH4))とする。次いで110℃の温度で減圧乾燥させて、本発明の酸化チタン被覆酸化亜鉛を得る。
【0023】
上記方法において、加水分解処理に用いる水や水性成分の量をコントロールすることにより酸化チタンの被覆量をコントロールすることができる。本発明では、加水分解処理に水や水性成分をあまり多く用いずに反応当量程度用いるのが好ましい。加水分解処理に多量の水や水性成分を用いると、酸化亜鉛に被覆(吸着)されない遊離の微粒子酸化チタンが生成し、透明性が低下してしまう。具体的には、加水分解に用いる水や水性成分の量を反応当量の1〜10倍程度、より好ましくは1〜6倍程度用いるのが好ましい。
【0024】
上記した製造方法により、原体である酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有する酸化チタン被覆粉体、280〜400nm波長領域において酸化亜鉛よりも低い光透過率を有する酸化チタン被覆粉体、あるいは原体である酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有し、かつ280〜400nm波長領域において酸化亜鉛よりも低い光透過率(平均値)を有する酸化チタン被覆粉体を有利に得ることができる。
【0025】
なお、「ヘイズ(曇価)」とは、光源からの全光線透過率に対し直進光線を除いた拡散光線の透過率の割合をいう。したがって、ヘイズが低くなればそれだけ透明性が高くなる。
【0026】
酸化チタン被覆粉体のヘイズ測定、光透過率測定については、後述の実施例において具体的に述べる。
【0027】
このようにして本発明の酸化チタン被覆粉体を得ることができるが、この場合、該被覆粉体が、原体である酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有するか、あるいは、280〜400nm波長領域において原体である酸化亜鉛よりも低い光透過率を有するような特性を有していればよく、被膜中に酸化チタンとしてTiO2、TiO(OH)2の状態のものが混在し、一部水酸基が残存していてもかまわない。
【0028】
酸化チタンの被覆量は、被覆粉体の透明性、紫外線防御性等の点から、被覆粉体全量に対し10重量%程度以下とするのが好ましく、特には0.01〜7重量%程度である。ここで「酸化チタンの被覆量」とは、上記したTiO2、TiO(OH)2の状態のものが混在している場合でも、すべてTiO2に換算したときの量をいう。
【0029】
本発明の酸化チタン被覆粉体は、原体である酸化亜鉛と同等あるいはそれ以上の透明性を有し、また、原体である酸化亜鉛よりもUV−BからUV−A領域に亘ってより向上した紫外線防御効果(紫外線散乱能および/または紫外線吸収能)を得ることができる。
【0030】
本発明では、酸化チタン被覆酸化亜鉛は疎水化処理(表面処理)して用いてもよい。
【0031】
疎水化処理方法としては、粉体に撥水性を付与できる方法であればいかなるものでもよく、その方法は問わないが、例えば気相法、液相法、オートクレーブ法、メカノケミカル法等、通常の表面処理方法を用いることができる。
【0032】
例えば疎水化処理剤を原料粉末(酸化チタン被覆粉体)に添加して処理を行う場合、適当な溶媒(ジクロルメタン、クロロホルム、ヘキサン、エタノール、キシレン、揮発性シリコーン等)に希釈して添加してもよく、あるいは直接添加してもよい。原料粉末と処理剤の混合攪拌には、ボールミル、ホジャーサイトボールミル、振動ボールミル、アトライター、ポットミル、ロッドミル、パンミル、ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等も使用することができる。この他にも、原料粉末表面の活性を利用し、気相反応により100℃以下の低温で環状オルガノシロキサンを粉体表面上で重合させる方法(特公平1−54380号)や、前記方法の後に表面のシリコーンポリマーのSi−H部分にグリセロールモノアリルエーテル等のペンダント基を付加させる方法(特公平1−54381号)等も用いることができる。
【0033】
疎水化処理剤としては、特に限定されるものではないが、脂肪酸デキストリン処理粉末、トリメチルシロキシ珪酸処理粉末、フッ素変性トリメチルシロキシ珪酸処理粉末、メチルフェニルシロキシ珪酸処理粉末、フッ素変性メチルフェニルシロキシ珪酸処理粉末、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の低粘度〜高粘度油状ポリシロキサン処理粉末、ガム状ポリシロキサン処理粉末、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理粉末、フッ素変性メチルハイドロジェンポリシロキサン処理粉末、メチルトリクロルシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルアルコキシシラン等の有機シリル化合物あるいはそれらのフッ素置換体による処理粉末、エチルトリクロルシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、長鎖アルキルトリクロルシラン、長鎖アルキルトリエトキシシラン等の有機変性シランあるいはそれらのフッ素置換体による処理粉末、アミノ変性ポリシロキサン処理粉末、フッ素変性ポリシロキサン処理粉末、フッ化アルキルリン酸処理粉末等が挙げられる。
【0034】
本発明の酸化チタン被覆粉体を化粧料に含有させて用いることにより、紫外線防御効果に優れ、また、透明性の高い化粧料を得ることができる。
【0035】
本発明化粧料においては、本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧料中に配合される他の成分を配合することができる。このような成分としては、例えばワセリン、ラノリン、セレシン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形または半固形油分、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、トリグリセライド等の流動油分、シリコーン油等の油分、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン等の保湿剤、界面活性剤、顔料、防腐剤、香料、賦活剤、本発明で得られる酸化チタン被覆粉体以外の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0036】
本発明化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、ステイック状、軟膏状、液体状等、任意の形態をとり得る。例えば、化粧水、乳液、クリーム等のフェーシャル化粧料;ファンデーション、口紅、アイシャドー、頬紅、アイライナー、ネイルエナメル、マスカラ等のメーキャップ化粧料;ヘアトリートメント、ヘアリキッド、セットローション等の毛髪化粧料;サンスクリーン等の日焼け止め化粧料などが本発明化粧料の適応対象となり得る。
【0037】
なお、上記酸化チタン被覆粉体を化粧料に配合する場合、その配合量は用いる化粧料の形態等により適宜変更し得る。通常、0.1重量%程度以上で目的に応じた量が配合され得るが、一般に0.1〜60重量%程度、好ましくは0.1〜40重量%程度である。
【0038】
本発明の酸化チタン被覆粉体を用いることにより、該被覆粉体自体、UV−A、UV−B領域を通じて紫外線防御効果に優れ、また透明性が高いことから、少ない配合量でも優れた紫外線防御効果を奏する化粧料を得ることができる。他方、透明性が高いことから、紫外線防御効果を高めるために従来に比べて多量に配合しても、透明性が高く、従来欠点とされていた白っぽい仕上がりになってしまう等の不具合も生じない。
【0039】
なお、本発明化粧料には、上記した特定のヘイズや特定の光透過率を有する紫外線防御効果に優れる本発明酸化チタン被覆粉体に限定されず、このようなヘイズや光透過率の限定を外れた酸化チタン被覆酸化亜鉛であっても、化粧料に配合した場合、透明性、紫外線防御効果に優れる化粧料を得ることができる。この場合、被覆粉体全量に対する酸化チタンの被覆量は10重量%程度以下とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜7重量%程度である。また所望により、他の紫外線吸収剤等とともに用いることができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り、重量%で示す。
【0041】
I.酸化チタン被覆粉体
(合成例1)
酸化亜鉛200gに、イソプロピルアルコール 130gとチタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4) 7.56gとの混合溶液に加え、室温で混合、攪拌して酸化亜鉛表面にチタンテトライソプロポキシドを吸着させた。次に、ここにイオン交換水1.93gとイソプロピルアルコール1.93gとの混合水溶液を徐々に加え、チタンテトライソプロポキシドを加水分解処理して水酸化チタン(Ti(OH4))とし、次いで110℃の温度で減圧乾燥させて、酸化チタン被覆酸化亜鉛(酸化チタン被覆量1重量%)を用いて、光透過率とヘイズを調べた。
【0042】
〈光透過率〉
[光透過率の測定方法]
試料粉末10%のヒマシ油分散体を5μmのアプリケーターを用いてドローダウンにより石英板に塗布することにより透過率測定用薄膜を作成した。得られた薄膜について積分球を装着した分光光度計(「U−3410」;(株)日立製作所製)で紫外〜可視領域(280〜700nm)の透過率を測定した。
【0043】
合成例1で得た酸化チタン被覆酸化亜鉛と、原体の酸化亜鉛の、それぞれヒマシ油10%分散体としたものの光透過率スペクトルを図1として示す。
【0044】
図1から明らかなように、酸化チタン被覆酸化亜鉛は、原体の酸化亜鉛に比べ、波長400〜700nmの可視領域では光透過率が高く、透明性が高いことがわかる。一方、波長280〜400nmの紫外領域では光透過率が低いことから、より紫外線を透過しにくい(すなわち、原体よりも紫外線遮断性が向上し、防御効果が高くなった)ことが認められた。
【0045】
〈ヘイズ測定〉
合成例1で得た酸化チタン被覆酸化亜鉛と、原体の酸化亜鉛のヘイズを測定した。
[測定方法]
測定試料1gをニトロセルロースラッカー15g中にディスパー分散し、透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに0.101mmのアプリケーターを用いてドローダウンにより塗工し、室温で12時間乾燥させることにより、膜厚30μmのヘイズ測定用塗膜を作成した。
【0046】
この塗膜を用いて、JIS K7105の方式に従い、「透過・ヘーズ・反射率計 HR−100;(株)村上色彩技術研究所製」によりヘイズ測定を行い、下記数1に示す計算式からヘイズ(曇価)を得た。
【0047】
【数1】
H=Td/Tt
(ただし、Hはヘイズ、Ttは全光線透過率、Tdは拡散透過率を示す)
【0048】
結果を下記表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003640566
【0050】
表1の結果から明らかなように、酸化チタン被覆酸化亜鉛のヘイズは、原体である酸化亜鉛のヘイズと同等またはそれ以下であり、酸化チタン被覆酸化亜鉛では原体である酸化亜鉛と同等またはそれ以上の透明性が得られることがわかる。
【0051】
II.酸化チタン被覆粉体を含む化粧料
上記の合成例1で述べた方法により得た酸化チタン被覆粉体を用いて、下記表2に示す組成でサンスクリーンを調製した(試料1)。また、コントロールとして、紫外線散乱剤として酸化チタン、酸化亜鉛を配合したものを用いた。これらを用いて、下記に示す評価方法により紫外線防御効果(光透過率の低下)と使用時の透明性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0052】
[紫外線防御効果]
試料を石英板に1mg/cm2塗布し、ソーラーシミュレーター(米国ソーラー・ライト社製)を照射し、スペクトルラジオメーター(ウシオ電気社製)にて透過紫外線(290〜400nm)を測定した。
【0053】
[使用時の透明性]
やや色黒のパネル(10名)の前腕内側に試料を25mg/25cm2塗布し、色差(ΔE)をCM−2002(ミノルタ社製)にて測定した。ΔE値が低いほど透明性が高いことを示す。
【0054】
【表2】
Figure 0003640566
【0055】
表2の結果から明らかなように、コントロールに比べ試料1では、より高い透明性と紫外線防御効果が得られることがわかる。
【0056】
III.処方例
以下に実施例1〜4の処方を示す。各処方中、酸化チタン被覆亜鉛は上記合成例1で得た粉体を用い、必要に応じ常法により表面処理(疎水化処理)を施した。
【0057】
実施例1 日焼け止めクリーム
(配合成分) (重量%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 28
(2)ジメチルポリシロキサン 3
(3)セチルイソオクタノエート 2
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 3
(5)ビタミンEアセテート 0.05
(6)パラベン 適 量
(7)香料 適 量
(8)有機変性粘土鉱物 1
(9)酸化チタン被覆酸化亜鉛(疎水化処理品) 18
(10)球状ポリエチレン 3
(11)ジプロピレングリコール 5
(12)エデト酸3ナトリウム 0.1
(13)精製水 残 余
[製法]
(1)〜(8)を70℃に加熱溶解し、(9)、(10)を加え、分散機で分散混合した(油相)。(10)〜(12)を混合して50℃に加熱し、これを油相にホモミキサーで攪拌しながら徐々に加え、十分均一に混合攪拌した後、冷却した。
【0058】
Figure 0003640566
[製法]
(1)〜(10)を70℃に加熱溶解し、(11)を加え、分散機で分散混合した(油相)。(12)〜(14)を混合して50℃に加熱し、これを油相にホモミキサーで攪拌しながら徐々に加え、十分均一に混合攪拌した後、冷却した。
【0059】
実施例3 日中用クリーム
(配合成分) (重量%)
(1)セタノール 2
(2)ステアリン酸 3
(3)スクワラン 5
(4)ホホバ油 10
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 3
(6)香料 適 量
(7)精製水 残 余
(8)ジプロピレングリコール 7
(9)モンモリロナイト 1
(10)エデト酸3ナトリウム 0.07
(11)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.1
(12)酸化チタン被覆酸化亜鉛 8
(13)トリエタノールアミン 1
[製法]
(1)〜(6)を70℃に加熱し、完全溶解した(油相)。(7)〜(12)を分散機にて分散混合し、70℃に加熱した(水相)。油相を水相に加えて、乳化機で乳化した後、熱交換器を用いて冷却した。
【0060】
実施例4 クリーム状ファンデーション
(配合成分) (重量%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 30
(2)ジメチルポリシロキサン 3
(3)流動パラフィン 2
(4)ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド 0.6
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 3
(6)ビタミンEアセテート 0.05
(7)パラベン 適 量
(8)香料 適 量
(9)酸化チタン被覆酸化亜鉛(疎水化処理品) 1
(10)金属石鹸処理タルク 1
(11)着色顔料 適 量
(12)グリセリン 5
(13)スメクトン 1
(14)エデト酸3ナトリウム 0.02
(15)精製水 残 余
[製法]
(1)〜(8)を70℃に加熱溶解し、次いでここに(9)〜(11)を加え、分散機で分散混合した(油相)。(12)〜(15)を混合して50℃に加熱し、これを油相にホモミキサーで攪拌しながら徐々に加え、十分均一に混合攪拌した後、冷却した。
【0061】
上記実施例1〜4はいずれも、塗布時、透明性に優れ、不自然な白さはみられなかった。また、いずれも紫外線防御効果に優れるものであった。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、透明性の高い酸化チタン被覆粉体、紫外線防御効果に優れる酸化チタン被覆粉体、透明性が高く、かつ紫外線防御効果に優れる酸化チタン被覆粉体、並びに、酸化チタン被覆粉体を含む透明性、紫外線防御効果に優れる化粧料が提供される。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化チタン被覆酸化亜鉛と、原体である酸化亜鉛の光透過率を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体を含有する、化粧料。
  2. 酸化チタンの被覆量が、被覆粉体全量に対し10重量%以下である、請求項1記載の化粧料。
  3. 酸化チタンの被覆量が、被覆粉体全量に対し0.01〜7重量%である、請求項1記載の化粧料。
  4. 酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体であって、該被覆粉体が、酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有することを特徴とする、酸化チタン被覆粉体。
  5. 酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体であって、該被覆粉体が、280〜400nm波長領域において酸化亜鉛よりも低い光透過率を有することを特徴とする、酸化チタン被覆粉体。
  6. 酸化亜鉛表面に酸化チタンを被覆してなる酸化チタン被覆粉体であって、該被覆粉体が、酸化亜鉛のヘイズ(曇価)と同等またはそれ以下のヘイズを有し、かつ、280〜400nm波長領域において酸化亜鉛よりも低い光透過率を有することを特徴とする、酸化チタン被覆粉体。
  7. 酸化亜鉛とチタンアルコキシドを溶媒中で接触させてチタンアルコシドを酸化亜鉛表面に吸着させた後、該吸着粉体を加水分解処理してチタンアルコキシドを水酸化チタンとし、次いで、150℃以下の温度で該粉体を加温処理して酸化チタン被覆粉体を得る、請求項4〜6のいずれか1項に記載の酸化チタン被覆粉体の製造方法。
  8. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の酸化チタン被覆粉体を含有する、化粧料。
  9. 酸化チタンの被覆量が、被覆粉体全量に対し10重量%以下である、請求項8記載の化粧料。
  10. 酸化チタンの被覆量が、被覆粉体全量に対し0.01〜7重量%である、請求項8記載の化粧料。
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