JP3640262B2 - コージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コージェネレーション・システムは、原動機で発電機を駆動して電力を供給すると共に、原動機の排熱を利用して熱供給も行う省エネルギシステムであり、従来の運転方式としては、原動機を常時電力負荷に追従させて運転する電力負荷追従運転が一般的である。
【0003】
しかし、例えば電力負荷に比較して熱負荷が小さい時間帯における電力負荷追従運転は排熱を廃棄する運転となるため、他の時間帯に得られる省エネルギ効果を相殺してしまう等、電力負荷追従運転だけでは本来の省エネルギ性、経済的メリット等の有効性を発揮させることができない。
【0004】
そこで省エネルギ性、経済性等の向上を図るべく、電力負荷、熱負荷等に対応して原動機の運転方式を、電力負荷追従運転方式、熱負荷追従運転方式等の複数の運転方式の中から選択して運用する試みが行われている。
このような運用方策の試みとしては、▲1▼電力負荷追従運転、熱負荷追従運転又は定格出力運転等の運転方式の運用ルールを年間を通して予め設定した上で、年間を通してのエネルギシミュレーションを行って経済性等の比較検討を行うもの、▲2▼コージェネレーション・システムを構成する各機器の性能特性を簡単な線形式で記述して、エネルギ消費量を目的関数とする線形計画問題に定式化し、これを解くことによりエネルギ消費量が最小となる最適な運用を決定するもの等がある。(伊東弘一・横山良平,「コージェネレーションの最適計画」,1990年,産業図書株式会社 等参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
また上述したものでは、次のような課題がある。
▲1▼では、年間を通して運用方式が一定なため、エネルギ消費量が最小となる運用を求めることがそもそも不可能である。
▲2▼のように線形計画問題を解くものでは、システムの特性の全てを簡単な線形式で表す必要があるため、原動機の部分負荷特性等の非線形要素が強く現れる動作領域においては、実態に合わない定式化となる恐れがあり、求めるべき結果によっては信頼性の面で問題が生じる可能性がある。また外気温度による原動機効率の変化や排熱の温度レベルの変化等の細かい部分までを定式化すると、問題のサイズが大きくなり、行列の反復計算を行う線形計画法の性質上、解を求めるのに要する計算回数(時間)が非常に大きくなり、実用的でない。従って実用上は上記のような非線形要因を省略しなければならず、精度的な問題がある。
【0006】
本発明者等は、以上の課題を解決するために、コージェネレーション・システムの各時点における最適な運転方式を、非線形要素の影響を考慮した運転方式を含む複数の運転方式の中から、エネルギシミュレーションに基づき目的関数を最小化するものとして選択する方法を提案している。(参考文献としては、例えば特願平6−222094号の願書に添付した明細書及び図面を参照。)この方法は、参考文献に示すように、コージェネレーション・システムのある時点における運転状態の測定量と、次の時点の推定量に基づいて、時々刻々と運転方式を選択する動的な運転制御に適用できる他、年間にわたる各時点の推定負荷のデータに基づき、年間にわたって各時点の運転方式を最適に決定する運用計画にも適用できるものである。
本発明は後者に関するもので、ランニングコストを目的関数として年間にわたる各時点の最適な運転方式を選択する際、電力の基本料金を低減することにより、年間ランニングコストの低減を図ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明では、年間にわたっての各時点の推定電力負荷及び熱負荷に対して、原動機の複数の運転方式の夫々についてのエネルギシミュレーションを行い、その結果から各運転方式のエネルギ消費量を算出すると共に、算出したエネルギ消費量に基づいて夫々の運転方式を比較して目的関数を最小化する運転方式を各時点において選択し、この各時点において独立した運転方式の選択を年間にわたって行う運用計画設定方法において、ランニングコストのうち電力基本料金を除いたものを目的関数として選択した年間にわたる各時点の運用計画から各時点における買電量を探索し、買電量が最大の時点の買電量を低減して、次に買電量が大きい時点の買電量と等しくなるように、買電量が最大の時点の発電量を増加させる運転を設定して電力基本料金の低減を図り、これに基づき、上記ランニングコストに電力基本料金を加えた年間ランニングコストを算出して前回の電力基本料金を加えた年間ランニングコストと比較し、今回のそれが前回よりも低い場合には、発電機の能力の範囲内で、再度上記買電量を低減する運用計画の変更に基づく電力基本料金の低減を図ることにより年間ランニングコストの低減を図る運用計画設定方法を提案する。
【0008】
上記構成において、本発明では、買電量を低減する運転の設定に基づく年間ランニングコストの低減動作は、その低減がなくなるまで、または買電量が最大の時点の発電量が定格に到達するまで繰り返す。
【0009】
そして本発明では、上記方法において、複数の運転方式は、電力負荷追従運転、熱負荷追従運転、複数台定格運転、1台部分負荷運転、原動機停止運転とすることを提案する。
【0010】
次に本発明では、原動機の電力負荷追従運転のエネルギシミュレーションは、推定電力負荷を初期値として電力負荷に対応する原動機負荷率を求めるステップと、求めた負荷率に応じて発電及び排熱回収効率を計算するステップと、原動機の排熱量を算出するステップと、排熱量と熱量需要とを比較して過不足を判定するステップと、過不足が生じる場合に原動機の発電量を変えずに、それ以外の機器による過不足解消運転を設定するステップと、過不足がない場合又は過不足解消運転を行う場合における補機の電力負荷を計算するステップと、補機の電力負荷と電力負荷とを加えて原動機の電力負荷を計算するステップと、原動機の電力負荷の収束を判定するステップと、収束していない場合に再度、原動機負荷率を求めるステップに移行するステップと、収束した場合に運転状態を保存してシミュレーションを終了するステップを有するものとすることを提案する。
【0011】
また本発明では、上記方法において、原動機の熱負荷追従運転のエネルギシミュレーションは、熱負荷追従運転の前時点における発電量を初期値としてその電力負荷に対応する原動機負荷率を求めるステップと、求めた負荷率に応じて発電及び排熱回収効率を計算するステップと、原動機の排熱量を算出するステップと、排熱量と需要熱量とを比較して過不足を判定するステップと、過不足が生じる場合に、能力の範囲内において原動機による発電量を変化させて過不足解消運転を設定するステップと、過不足がない場合又は過不足解消運転を行う場合において補機の電力負荷を含めた電力負荷を計算するステップと、電力負荷の収束を判定するステップと、収束していない場合に再度、原動機負荷率を求めるステップに移行するステップと、収束した場合に運転状態を保存してシミュレーションを終了するステップを有するものとすることを提案する。
【0012】
また本発明では、上記方法において、原動機の複数台定格運転のエネルギシミュレーションは、推定電力負荷に応じて設定される運転台数の定格運転において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出するステップを有するものとすることを提案する。
【0013】
また本発明では、上記方法において、原動機の1台部分負荷運転のエネルギシミュレーションは、原動機の最低出力から定格出力までの範囲において複数の動作点を設定すると共に、夫々の動作点における発電及び排熱回収効率を求め、夫々の部分負荷運転において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出するステップを有するものとすることを提案する。
【0014】
また本発明では、上記方法において、原動機の停止運転のエネルギシミュレーションは、原動機停止において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出するステップを有するものとすることを提案する。
【0015】
【作用】
年間の各時点における推定電力負荷及び熱負荷に基づいて複数の運転方式につきエネルギシミュレーションを行い、ランニングコストのうち電力基本料金を除いたものを目的関数として運転方式を選択することにより、年間にわたる各時点において独立して最小コストの運転方式を選択することができ、これから年間ランニングコストのうち電力基本料金分を除いたものを算出することができる。
【0016】
このようにして運転方式を選択した年間にわたる各時点の買電量を探索し、最大の時点の買電量が、次に買電量が大きい時点の買電量と等しくなるように発電量を増加した運転を設定した上で、今度は、電力基本料金を加えた年間ランニングコストの算出を行い、この動作を、電力基本料金を加えた年間ランニングコストが前回よりも低減されること、また発電量の増加が能力の範囲内であることを条件として繰り返す。このようにして最大買電量の低減による電力基本料金の低下と、発電量の増加による燃料コスト等の上昇との兼ね合いにより、年間ランニングコストが最小となる各時点の運転方式を選択することができる。
【0017】
【実施例】
次に本発明を実施例を表した添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の運用計画設定方法の動作を概略的に表した流れ図であり、まずステップS1では、年間の各時刻につき推定される電力負荷及び熱負荷のデータ、コージェネレーション機器の構成、特性等のデータ、電力料金(基本料金、従量料金)、原動機の燃料ガスの料金等のデータを入力する。このように、この実施例では、上記年間における各時点は各時刻に対応している。次いで、ステップS2では、各時刻のシミュレーション等の対象の時刻を設定、即ち、年間の最初の時刻とする。
【0018】
次のステップS3では、上記年間の各時刻の推定負荷のデータ中、推定電力負荷を初期値として電力負荷追従運転についてのエネルギシミュレーションを行って運転状態を導出する。このエネルギシミュレーションの詳細については後述する。次いで、ステップS4において、ステップS3で導出した運転状態におけるエネルギ消費量を算出する。
【0019】
ステップS4以降は、夫々上記推定電力負荷を初期値として、各ステップS5,S7,S9,S11,S13,S15において、夫々熱負荷追従運転、複数台定格運転、1台部分負荷運転(負荷:75%)、1台部分負荷運転(負荷:50%)、1台部分負荷運転(負荷:25%)及び原動機停止運転の各運転方式についてのエネルギシミュレーションを行い、運転状態を導出する。そしてこれらの夫々のステップに続くステップS6,S8,S10,S12,S14,S16において、夫々の導出した運転状態におけるエネルギ消費量を算出する。この例では、1台部分負荷運転は1台運転の最小出力に対応する25%から、おおよそ非線形要素が強く現れる動作範囲において上述した3つの動作点を設定しているが、動作点の数は適宜である。
【0020】
以上のステップS3〜S16により夫々の運転方式のエネルギシミュレーションと、それらのエネルギ消費量の算出を行った後、これらのデータに基づき、次のステップS17において最小化すべき目的関数に合致する運転方式の選択動作を行う。本件の場合には目的関数は全てのランニングコストのうちから電力基本料金を除いたものであり、このステップS17では電力基本料金を含まない最小ランニングコストの運転方式を選択することとなる。
【0021】
次いでステップS18では、年間の全ての時刻につき運転方式の選択が完了したか否かを判定し、完了していない場合にはループとなり、ステップS19において時刻を歩進してステップS3に移行する。そして歩進された時刻について上述したと同様なエネルギシミュレーション、エネルギ消費量の算出、最小ランニングコストの運転方式の選択動作が行われる。
【0022】
年間の全ての時刻についての運転方式の選択動作が完了して、これをステップS18において判定した場合には、ステップS20に移行して年間のランニングコストの算出を行う。このランニングコストは、電力基本料金を含む全てのランニングコストである。次いでステップS21に移行して、今回算出した年間ランニングコストを前回算出した年間ランニングコストと比較する。今回の算出が最初の場合又は今回算出した年間ランニングコストが前回算出した年間ランニングコストよりも低い場合にはステップS22に移行して、年間にわたる各時刻の運転方式の運転状態のうち買電量を探索し、少なくとも買電量が最も大きい時刻と、次に買電量が大きい時刻を求める。尚、このステップS22は、最初の動作にのみ行って買電量の大きい順に各時刻を記憶して、後述の処理に適用することもできる。
【0023】
ステップS22に続くステップS23では、買電量が最大の時刻の買電量を、買電量が次に大きい時刻の買電量とするために必要な発電量を算出する。次いでステップS24に移行し、ステップS23で算出した発電量が定格発電量を越えているか、否かを判定する。そして算出した発電量が定格発電量を越えていない場合には、次のステップS25において前回の買電量が最大の時刻の発電量を、ステップS23において算出した値に設定し、ステップS26においてエネルギ消費量を算出した後、ステップS20に移行し、再度、年間ランニングコストの算出、即ち、上述したように買電量が低減された状態における年間ランニングコストの算出を行う。
【0024】
次いで、算出した年間ランニングコストをステップS21において前回の年間ランニングコストと比較する。そして今回の年間ランニングコストが前回算出した年間ランニングコストよりも低い場合、且つステップS23において算出した発電量が定格発電量を越えていない場合には、以上のループを繰り返して買電量が最大の時刻の買電量を、次に買電量が大きい買電量とする動作を次々に行う。
【0025】
以上のようにして年間の最大買電量を低下して行くと、最大買電量によって定まる電力基本料金が低下して行き、この面では年間ランニングコストが低下して行く。しかるに最大買電量を低下させるために発電量を増加して行くと、原動機の燃料コストが電力従量料金の減少と比較しても早く上昇するため、全体としての年間ランニングコストは、これらの兼ね合いとなり、単調に減少して行くものではない。一方、発電量の増加は原動機の容量により制限され、当然、定格発電量を越えることはできない。従って、今回ステップS20において算出した年間ランニングコストを前回算出した年間ランニングコストと比較し、今回算出した年間ランニングコストが前回算出した年間ランニングコストよりも低くならなくなった場合や、ステップS23で算出した発電量が定格発電量を越えている場合には、夫々ステップS21、ステップS24においてループから脱出して年間ランニングコストの最小化処理を終了する。
【0026】
図2は電力負荷追従運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図であり、まずステップS30において電力負荷の設定を行う。この電力負荷の初期値は、上記ステップS1において入力した推定電力負荷とし、また補機動力は最初の運転時は0とするが、運転継続時には、各時点で電力負荷が大幅に変らないということを前提として、前回の時点のシミュレーションにおいて収束した値を用いることにより、後述する収束を早くすることができる。
【0027】
ステップS31では推定電力負荷に基づき原動機負荷率を算出する。原動機負荷率は、電力負荷をn台の原動機に、例えば容量比例配分により割り振って求める。ステップS32では、ステップS31で算出した原動機負荷率により、発電及び排熱回収効率を算出し、次いでステップS33において排熱量を算出する。
【0028】
ステップS34ではステップS33において算出した排熱量と、ステップS1において設定した需要熱量を比較する。比較の結果、排熱量が過剰の場合にはステップS35において過剰熱量を回収せずに廃棄する運転を行い、また不足の場合にはステップS36においてボイラ等の補助熱源を運転して不足熱量を賄う。そして夫々のステップを経て次のステップS37に移行する。一方、排熱量と需要熱量とが等しい場合には、そのままステップS37に移行する。
【0029】
ステップS37では、以上の運転を行うための夫々の補機の電力負荷を算出し、次いでステップS38において補機を含めた電力負荷全体の収束を判定する。即ち、ステップS38では、ステップS37において算出した補機の電力負荷の値を、前回のループにおけるステップS37での算出値と比較し、これらの差が、予め設定している最小変動動力A、例えば0.5kW以下である場合には、収束と判定し、ステップS39において、この時の運転状態を保存してエネルギシミュレーションを終了する。一方、上記電力負荷の差が上記Aよりも大きい場合には、収束していないと判定して、次のステップS40に移行し、このステップS40において、これまでの電力負荷に補機の電力負荷の差を加えて新たな電力負荷とし、次いでステップS30に戻って、この値を電力負荷として設定して更にシミュレーションを継続する。
【0030】
図3は熱負荷追従運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図であり、ステップS41〜S45までのステップは、電力負荷追従運転におけるステップS30〜S34までと同様である。
【0031】
ステップS45における比較の結果、排熱量が過剰の場合にはステップS46において原動機負荷を低下させる運転を行い、また不足の場合にはステップS47において原動機負荷を上昇させる運転を行う。勿論、原動機負荷の変更は、能力範囲内において行い、能力範囲を越える場合には補助熱源により対応させる。こうして夫々のステップを経て次のステップS48に移行する。一方、排熱量と需要熱量とが等しい場合には、そのままステップS48に移行する。
【0032】
ステップS48では、以上の運転を行う際の電力負荷を、補機の電力負荷を加えて算出し、次いでステップS49において電力負荷の収束を判定する。即ち、ステップS49では、ステップS48において算出した電力負荷の値を、前回のループにおけるステップS48での算出値と比較し、差が、予め設定している最小変動電力負荷B、例えば0.5kW以下である場合には、収束と判定し、ステップS50において、この時の運転状態を保存してエネルギシミュレーションを終了する。一方、上記電力負荷の差が上記Bよりも大きい場合には、収束していないと判定して、ステップS41に戻って、今回の電力負荷の値をステップS41における電力負荷として設定して更にシミュレーションを継続する。
【0033】
図4は原動機の複数台定格運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図であり、ステップS51では推定電力負荷に応じて原動機の定格運転台数を設定する。この定格運転台数の設定は、対象とするコージェネレーション・システムに応じて適宜の手法を利用することができる。次いでステップS52において推定電力負荷と需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出し、この運転状態を保存してシミュレーションを終了する。
【0034】
図5は原動機の1台部分負荷運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図であり、ステップS61では選択された動作点における原動機の効率を設定する。即ち、この流れ図は図1のステップS9,S11,S13に対応するもので、動作点は1台運転の最小出力に対応する25%から、おおよそ非線形要素が強く現れる動作範囲において設定した3点であり、夫々の動作点における原動機の効率はデータテーブルとして記憶しておくこと等により、夫々のステップS9,S11,S13において、選択された原動機の部分負荷に応じて効率を導出し、設定することができる。次いでステップS62では、設定された原動機の効率に基づき、推定電力負荷と需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出して保存し、シミュレーションを終了する。
【0035】
図6は原動機停止運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図であり、ステップS71において、原動機停止において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出してシミュレーションを終了する。
【0036】
上述したように、原動機の複数台定格運転、1台部分負荷運転及び原動機停止運転のシミュレーションでは分岐及びループはなく、対象とするコージェネレーション・システムにおいて予め設定されたこれらの方式における具体的運転方法と、推定電力負荷及び需要熱量に応じて運転状態を導出することができる。
【0037】
以上のエネルギシミュレーションにより導出した各運転方式における運転状態、即ち、発電量、買電量又は売電量、排熱量、補助熱源への供給熱量、補機の電力等に基づき、上述したステップS4,S6,S8,S10,S12,S14,S16において適宜の手法によりエネルギ消費量を算出することができる。また、これらのステップでは、上述したとおり運用計画設定方法選択の目的関数に応じて、エネルギ消費量に対応するコスト等の算出を行わせることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであるので、以下に示す効果がある。
▲1▼コージェネレーション・システムにおいて、年間の各時点における最適な運転方式を複数の運転方式の中から選択して運用計画を設定することができる。
▲2▼ランニングコストを目的関数として年間にわたる各時点の最適な運転方式を選択する際、電力の基本料金を低減することにより、年間ランニングコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の運用計画設定方法の基本的動作の一例を表した流れ図である。
【図2】 電力負荷追従運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図である。
【図3】 熱負荷追従運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図である。
【図4】 原動機複数台定格運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図である。
【図5】 原動機1台部分負荷運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図である。
【図6】 原動機停止運転のエネルギシミュレーションの一例の基本的動作を表した流れ図である。
Claims (9)
- 年間にわたっての各時点の推定電力負荷及び熱負荷に対して、原動機の複数の運転方式の夫々についてのエネルギシミュレーションを行い、その結果から各運転方式のエネルギ消費量を算出すると共に、算出したエネルギ消費量に基づいて夫々の運転方式を比較して目的関数を最小化する運転方式を各時点において選択し、この各時点において独立した運転方式の選択を年間にわたって行う運用計画設定方法において、ランニングコストのうち電力基本料金を除いたものを目的関数として選択した年間にわたる各時点の運用計画から各時点における買電量を探索し、買電量が最大の時点の買電量を低減して、次に買電量が大きい時点の買電量と等しくなるように、買電量が最大の時点の発電量を増加させる運転を設定して電力基本料金の低減を図り、これに基づき、上記ランニングコストに電力基本料金を加えた年間ランニングコストを算出して前回の電力基本料金を加えた年間ランニングコストと比較し、今回のそれが前回よりも低い場合には、発電機の能力の範囲内で、再度上記買電量を低減する運用計画の変更に基づく電力基本料金の低減を図ることにより年間ランニングコストの低減を図ることを特徴とするコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 買電量を低減する運転の設定に基づく年間ランニングコストの低減動作は、その低減がなくなるまで繰り返すことを特徴とする請求項1記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 買電量を低減する運転の設定に基づく年間ランニングコストの低減動作は、買電量が最大の時点の発電量が原動機の定格に到達するまで繰り返すことを特徴とする請求項1記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- エネルギシミュレーションを行う原動機の複数の運転方式は、電力負荷追従運転、熱負荷追従運転、複数台定格運転、1台部分負荷運転、原動機停止運転である請求項1記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 原動機の電力負荷追従運転のエネルギシミュレーションは、推定電力負荷を初期値として電力負荷に対応する原動機負荷率を求めるステップと、求めた負荷率に応じて発電及び排熱回収効率を計算するステップと、原動機の排熱量を算出するステップと、排熱量と熱量需要とを比較して過不足を判定するステップと、過不足が生じる場合に原動機の発電量を変えずに、それ以外の機器による過不足解消運転を設定するステップと、過不足がない場合又は過不足解消運転を行う場合における補機の電力負荷を計算するステップと、補機の電力負荷と電力負荷とを加えて原動機の電力負荷を計算するステップと、原動機の電力負荷の収束を判定するステップと、収束していない場合に再度、原動機負荷率を求めるステップに移行するステップと、収束した場合に運転状態を保存してシミュレーションを終了するステップを有することを特徴とする請求項4記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 原動機の熱負荷追従運転のエネルギシミュレーションは、熱負荷追従運転の前時点における発電量を初期値としてその電力負荷に対応する原動機負荷率を求めるステップと、求めた負荷率に応じて発電及び排熱回収効率を計算するステップと、原動機の排熱量を算出するステップと、排熱量と需要熱量とを比較して過不足を判定するステップと、過不足が生じる場合に、能力の範囲内において原動機による発電量を変化させて過不足解消運転を設定するステップと、過不足がない場合又は過不足解消運転を行う場合において補機の電力負荷を含めた電力負荷を計算するステップと、電力負荷の収束を判定するステップと、収束していない場合に再度、原動機負荷率を求めるステップに移行するステップと、収束した場合に運転状態を保存してシミュレーションを終了するステップを有することを特徴とする請求項4記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 原動機の複数台定格運転のエネルギシミュレーションは、推定電力負荷に応じて設定される運転台数の定格運転において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出するステップを有することを特徴とする請求項4記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 原動機の1台部分負荷運転のエネルギシミュレーションは、原動機の最低出力から定格運転までの範囲において複数の動作点を設定すると共に、夫々の動作点における発電及び排熱回収効率を求め、夫々の部分負荷運転において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出するステップを有することを特徴とする請求項4記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
- 原動機の停止運転のエネルギシミュレーションは、原動機停止において、推定電力負荷及び需要熱量を賄う各機器の運転状態を導出するステップを有することを特徴とする請求項4記載のコージェネレーション・システムにおける運用計画設定方法
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