JP3640091B2 - 電子線滅菌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばクリーンルームや無菌室等に物品を搬入する際に、物品を滅菌するのに用いる電子線滅菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリーンルームや無菌室等に点滴用バッグ、医療用キット等の医療用器具等を搬入するには、予めこれ等の物品に滅菌処理を施す必要がある。このような滅菌処理を行う装置としては、紫外線、γ線、低エネルギー電子線又は高エネルギー電子線を用いた滅菌装置があるが、近年、作業環境、経済性、信頼性等の観点から低エネルギー電子線を用いた電子線滅菌装置が普及しつつある。
【0003】
ところで、電子が100kV以上500kV以下の電圧で加速された低エネルギー電子線は浸透力が小さいため、物品の被照射面しか滅菌することができない。このため、従来の低エネルギー電子線を用いた電子線滅菌装置では、低エネルギー電子線の照射領域を二度通過するように搬送経路を形成し、物品がこの照射領域を通過した後、再び照射領域を通過する前に、物品を挟持して反転させることにより、物品の全面に滅菌処理を施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の低エネルギー電子線を用いた電子線滅菌装置では、物品を搬送するトレイやコンベア等において照射領域通過時に物品の下になっていた部分については、低エネルギー電子線が照射されず滅菌処理が施されていない状態にある。このため、物品を反転させた際に、物品の滅菌処理が施された面がトレイやコンベア等の滅菌処理が施されていない面と接触して汚染されることがあるという問題がある。また、連続して滅菌処理を行えないという問題がある。
【0005】
尚、挟持された物品の上方及び下方の両方から低エネルギー電子線を同時に照射することにより、物品の全面に滅菌処理を施す方法も考えられるが、かかる方法を実現するためには、低エネルギー電子線を照射する電子線照射装置が二台必要となり、装置が非常に高価になるという問題がある。また、物品の被挟持部分に低エネルギー電子線が照射されないという問題もある。
【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、物品の全面を連続して効率よく滅菌することができる電子線滅菌装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の電子線滅菌装置は、電子が100kV以上500kV以下の電圧で加速された低エネルギー電子線を照射する電子線照射手段と、
前記電子線照射手段の電子線照射領域を二度通過するように搬送経路が形成され、且つ被処理物間に少なくとも被処理物と同等の大きさの空間部を保って被処理物を搬送する搬送手段と、
第一回目に通過する前記電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する前記電子線照射領域の手前側の前記搬送経路に設けられた、被処理物を反転して前記被処理物と隣り合う前記空間部に移動する反転手段と、
を具備することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の他の電子線滅菌装置は、低エネルギー電子線を照射する電子線照射手段と、前記電子線照射手段の電子線照射領域を通過するように搬送経路が形成された第一の搬送手段と、前記電子線照射手段の電子線照射領域を二度通過するように搬送経路が形成された第二の搬送手段と、前記第一の搬送手段により搬送されて前記電子線照射領域を通過した被処理物を反転して、前記第二の搬送手段の第一回目に通過する前記電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する前記電子線照射領域の手前側の前記搬送経路上に移動する反転手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の電子線滅菌装置では、前記の構成により、搬送手段上に空間部を保って載置された被処理物は、電子線照射領域を通過して滅菌処理が施された後、再び電子線照射領域を通過する前に、反転手段によって反転され、空間部に移される。そして、被処理物は、再び電子線照射領域を通過して滅菌処理が施され、これにより、全面が滅菌される。空間部は、最初に電子線照射領域を通過した際に低エネルギー電子線が照射されて滅菌されているので、被処理物の滅菌処理が施された面が搬送手段と接触することにより汚染されるのを防止することができ、これにより、物品の全面を連続して効率よく滅菌することができる。
【0010】
また、本発明の他の電子線滅菌装置では、前記の構成により、第一の搬送手段上に載置された被処理物は、電子線照射領域を通過して滅菌処理が施された後、反転手段によって反転され、第二の搬送手段の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する前記電子線照射領域の手前側の搬送経路上に移される。そして、被処理物は、再び電子線照射領域を通過して滅菌処理が施され、これにより、全面が滅菌される。第二の搬送手段は、最初に電子線照射領域を通過した際に低エネルギー電子線が照射されて滅菌されているので、被処理物の滅菌処理が施された面が第二の搬送手段と接触することにより汚染されるのを防止することができ、これにより、物品の全面を連続して効率よく滅菌することができる。また、二つの搬送手段を用いることにより、被処理物を搬送手段上に密に配列することができる。
【0011】
【実施例】
以下に本発明の第一実施例について図1乃至図3を参照して説明する。
図1は本発明の第一実施例である電子線滅菌装置の概略構成図、図2は図1のA−A矢視方向概略断面図であり、本実施例装置に用いる電子線照射装置を説明するための図、図3は図2に示す電子線照射装置の電子線発生部の概略回路図である。
【0012】
本実施例の電子線滅菌装置は、図1に示すように、低エネルギー電子線を照射する電子線照射装置1と、搬送手段であるベルトコンベア2と、反転装置3と、を備えている。
【0013】
電子線照射装置1は、滅菌処理に用いるものであり、図2に示すように、低エネルギー電子線を発生する電子線発生部10と、照射室20と、照射窓部30と、を備えている。電子線発生部10は、電子線を発生するターミナル12と、ターミナル12から発せられた電子線を加速して低エネルギー電子線を生成する加速管14とを有する。ターミナル12は、加速管14に内設されており、熱電子を放出する線状のフィラメント12aと、フィラメント12aを支持するガン構造体12bと、フィラメント12aから発せられた熱電子の放射方向を制御するグリッド12cとを有する。加速管14の内部は、図示されていないポンプ等により1.3×10-4〜1.3×10-5Paの真空に保たれている。これは、フィラメント12aから発せられた熱電子が気体と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため及びフィラメント12aの酸化を防ぐためである。
【0014】
照射室20は、被処理物に低エネルギー電子線を照射する電子線照射領域22を含むものである。照射室20は窒素雰囲気に保たれている。これは、被処理物の表面に酸素が付着することにより、低エネルギー電子線を照射することによって得られる滅菌のための重合反応や架橋反応が停止するのを防ぐためである。尚、電子線発生部10の周囲及び照射室20の周囲には、電子線照射時に二次的に発生するX線が外部に漏れるのを防止するため、鉛遮蔽が施されている。
【0015】
照射窓部30は、窓箔32と、窓箔32を冷却すると共に支持する窓枠構造体34とを有する。窓箔32は、加速管14内の真空雰囲気と照射室20内の窒素雰囲気とを仕切るように設けられている。電子線発生部10で生成された低エネルギー電子線は、窓箔32を介して照射室20内に取り出される。窓箔32には、Ti箔等の金属箔が用いられる。通常は、機械的な扱いやすさから、厚さ約18μmのTi箔が最もよく使用される。
【0016】
また、電子線照射装置1には、図3に示すように、フィラメント12aを加熱する加熱用電源16aと、フィラメント12aとグリッド12cとの間に制御電圧を印加する制御用直流電源16bと、グリッド12cと窓箔32との間に加速電圧を印加する加速用電源16cとが接続されている。上記の電子線照射装置1は、加熱用電源16aによってフィラメント12aが熱せられると、フィラメント12aから熱電子を放出する。この熱電子は、フィラメント12aとグリッド12cとの間に印加された制御用直流電源16bの制御電圧によりグリッド12cに引き寄せられる。そして、グリッド12cに引き寄せられた熱電子のうちグリッド12cを通過したものは、グリッド12cと照射窓部30に設けられた窓箔32との間に印加された加速用電源16cの加速電圧により、加速管14内の加速空間で加速された後、窓箔32を突き抜けて低エネルギー電子線として照射室20の電子線照射領域に照射される。尚、一般に、低エネルギー電子線の照射量は、加熱用電源16aと加速用電源16cの電圧値を所定の値に設定し、制御用直流電源16bの電圧値を可変することにより調節している。また、加速用電源16cの電圧値は、低エネルギー電子線を実現するために100kV〜500kVであることが望ましい。
【0017】
ベルトコンベア2は、図1及び図2に示すように、搬送経路が電子線照射装置1の照射室20内に設けられた電子線照射領域22を二度通過するように形成されている。また、入口において所定時間毎に投入された被処理物4、例えば点滴用バッグ、医療用キット等の医療用器具を、クリーンルームや無菌室等への入口となる出口に搬送する。ここで、所定時間毎に被処理物4を投入するようにしたのは、被処理物4がベルトコンベア2上に載置されたときに、被処理物4と被処理物4との間に少なくとも被処理物4と同等の大きさの空間部5が形成されるようにするためである。ベルトコンベア2の空間部5は、図2に示すように、最初に電子線照射領域22を通過した際に、低エネルギー電子線によって滅菌処理が施される。尚、所定時間毎に被処理物4を投入する方法としては、入口にストッパーを設け、所定時間毎にこのストッパーを解除して被処理物4を一つずつ投入する方法等が考えられる。
【0018】
反転装置3は、図1に示すように、ベルトコンベア2の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する電子線照射領域の手前側の搬送経路2c上のいずれかの位置に近接して設置されている。また、反転装置3は、ベルトコンベア2によって次々と搬送されてくる被処理物4を持ち上げて反転した後、被処理物4間に確保された空間部5に移動する。
【0019】
次に、本実施例の電子線滅菌装置の動作について説明する。
先ず、被処理物4が入口からベルトコンベア1に所定時間毎に投入されると、被処理物4は前後に空間部5を確保してベルトコンベア2上に載置される。次に、被処理物4は、電子線照射装置1の照射室20内に設けられた電子線照射領域22(第一回目の電子線照射領域)を通過する。この際、被処理物4に低エネルギー電子線が照射され、被処理物4の被照射面についての滅菌処理が施される。同様に、ベルトコンベア2の空間部5についても滅菌処理が施される。尚、低エネルギー電子線は浸透力が小さいため、この時点では、被処理物4の裏面及びベルトコンベア2の被処理物4の下になっている部分は、滅菌処理が施されていない。
【0020】
次に、被処理物4は、再び電子線照射領域22(第二回目の電子線照射領域)を通過する前に、反転装置3によって反転され、ベルトコンベア2上に確保された空間部5に、すなわち、ベルトコンベア2の滅菌処理が施されている部分に移される。そして、被処理物4は、再び電子線照射領域22(第二回目の電子線照射領域)を通過して滅菌処理が施される。これにより、被処理物4の表面と裏面の全面が滅菌されると共に、ベルトコンベア2も、第一回目の電子線照射領域を通過した際に被処理物4の下になっていた部分について滅菌処理が施され、これにより、全面が滅菌される。
【0021】
本発明の第一実施例によれば、ベルトコンベア2上に空間部5を設けて載置された被処理物4は、電子線照射領域22を通過して滅菌処理が施された後、再び電子線照射領域22を通過する前に、反転装置3によって反転され、空間部5に移される。そして、被処理物4は、再び電子線照射領域22を通過して滅菌処理が施され、これにより、全面が滅菌される。空間部5は、最初に電子線照射領域22を通過した際に低エネルギー電子線が照射されて滅菌されているので、被処理物4の滅菌処理が施された面がベルトコンベア2と接触することにより汚染されるのを防止することができ、これにより、被処理物4の全面を連続して効率よく滅菌することができる。
【0022】
次に、本発明の第二実施例について図4を参照して説明する。
図4は本発明の第二実施例である電子線滅菌装置の概略構成図である。尚、本実施例装置において、図1に示す第一実施例の電子線滅菌装置と同一の機能を有するものには、同一の符号又は対応する符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施例の電子線滅菌装置は、図4に示すように、低エネルギー電子線を照射する電子線照射装置1と、搬送手段であるベルトコンベア6,7と、反転装置8と、を備えている。
【0024】
ベルトコンベア6,7は、図4に示すように、それぞれ搬送経路が電子線照射装置1の照射室20内に設けられた電子線照射領域22を二度通過するように形成されている。また、両者共、載置された物品を出口に搬送するように動作する。ベルトコンベア6には、被処理物4が入口から連続して投入される。尚、ベルトコンベア6は、搬送経路が電子線照射領域22を一度通過するように形成されているものでもよい。
【0025】
反転装置8は、図4に示すように、ベルトコンベア6の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する電子線照射領域の手前側の搬送経路6c上のいずれかの位置に近接する位置であって、ベルトコンベア7の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する電子線照射領域の手前側の搬送経路7c上のいずれかの位置に近接して設置されている。また、反転装置8は、ベルトコンベア6によって次々と搬送されてくる被処理物4を持ち上げて反転した後、この被処理物4をベルトコンベア7に移動する。
【0026】
次に、本実施例の電子線滅菌装置の動作について説明する。
先ず、被処理物4が入口からベルトコンベア6に次々に投入されると、被処理物4はベルトコンベア6上に載置される。次に、被処理物4は、電子線照射装置1の照射室20内に設けられた電子線照射領域22(第一回目の電子線照射領域)を通過する。この際、被処理物4に低エネルギー電子線が照射され、被処理物4の被照射面についての滅菌処理が施される。尚、低エネルギー電子線は浸透力が小さいため、この時点では、被処理物4の裏面及びベルトコンベア6の被処理物4の下になっている部分は、滅菌処理が施されていない。一方、ベルトコンベア7は、何も載置されていない状態で電子線照射領域22(第一回目の電子線照射領域)を通過し、ベルト表面に滅菌処理が施されている。
【0027】
次に、ベルトコンベア6上の被処理物4は、再び電子線照射領域22(第二回目の電子線照射領域)を通過する前に、反転装置8によって反転され、ベルトコンベア7の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する電子線照射領域の手前側の搬送経路7c上に移される。そして、被処理物4は、電子線照射領域22(第二回目の電子線照射領域)を通過して滅菌処理が施される。これにより、被処理物4の表面と裏面の全面が滅菌される。
【0028】
本発明の第二実施例によれば、ベルトコンベア6上に載置された被処理物4は、電子線照射領域22(第一回目の電子線照射領域)を通過して滅菌処理が施された後、反転装置8によって反転され、ベルトコンベア7の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する電子線照射領域の手前側の搬送経路7c上に移される。そして、被処理物4は、再び電子線照射領域22(第二回目の電子線照射領域)を通過して滅菌処理が施され、これにより、全面が滅菌される。ベルトコンベア7は、第一回目の電子線照射領域を通過した際に低エネルギー電子線が照射されて滅菌されているので、被処理物4の滅菌処理が施された面がベルトコンベア7と接触することにより汚染されるのを防止することができ、これにより、被処理物4の全面を連続して効率よく滅菌することができる。また、二つのベルトコンベア6,7を用いることにより、被処理物4をベルトコンベア上に密に配列することができる。
【0029】
尚、本発明者等は、上記の第一実施例装置及び第二実施例装置の滅菌効果を確認するために、以下の要領で実験を行った。
【0030】
φ90mmのシャーレの表面及び裏面に菌数が106 オーダとなるように菌液を塗布し、塗布された菌液が完全に乾燥した後に、このシャーレを被処理物として実験に使用した。菌液は、放射線滅菌で指標菌となっているB.pumilusE−601を培地で2週間培養した後、滅菌済みの生理食塩水で回収して80℃で熱処理した芽包体(spores)を、水にエタノールを加えた揮発性の高い液で希釈することにより生成した。
【0031】
電子線照射装置1として岩崎電気株式会社製のCB250/15/180Lを用い、加速用電源16cの加速電圧を165kVに設定し、制御用直流電源16bの制御電圧を可変して、ビーム電流がそれぞれ0mA,1mA,2mA及び3mAのときの滅菌効果を比較した。
【0032】
ベルトコンベアの速度を20m/minに設定し、上記のシャーレを入口から投入して出口に搬送し、その後、このシャーレに寄生する菌の数を測定した。生菌数の測定は、シャーレを滅菌済みの生理食塩水で洗い出して、この生理食塩水に含まれる菌をメンブランフィルターにより捕集し、その後、培養して生菌数を測定した。但し、ビーム電流が0mAの場合、すなわち、低エネルギー電子線が照射されなかったシャーレに関しては、混釈培養により生菌数を測定した。
【0033】
実験の結果、ビーム電流が0mAの場合、すなわち、低エネルギー電子線が照射されなかったシャーレに関しては、生菌数が1×106 /サンプル〜7×106 /サンプルであった。一方、低エネルギー電子線が照射されたシャーレに関しては、ビーム電流が1mAのものについては生菌が数個〜数十個確認されたが、ビーム電流が2mA及び3mAのものについては生菌が確認されず、シャーレの表面及び裏面が効果的に滅菌されていることが確認できた。
【0034】
尚、本発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。たとえば、上記の各実施例では、被処理物の滅菌処理として、低エネルギー電子線を用いたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、高エネルギー電子線を用いた滅菌装置であってもよい。また、例えば紫外線を用いて被処理物の殺菌処理を行うものに適用できることは明らかである。
【0035】
また、上記の各実施例では、搬送手段としてベルトコンベアを用いたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、第一実施例において、ベルトコンベア2の代わりに搬送用トレイが一列に配置されたコンベアを用い、入口において、この搬送用トレイ上に被処理物を一つ置きに載置するようにしてもよい。この場合、被処理物が載置されていないトレイが空間部となる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の電子線滅菌装置によれば、前記の構成により、搬送手段上に空間部を保って載置された被処理物は、電子線照射領域を通過して滅菌処理が施された後、再び電子線照射領域を通過する前に、反転手段によって反転され、空間部に移されるので、被処理物の滅菌処理が施された面が搬送手段と接触することにより汚染されるのを防止することができ、これにより、物品の全面を連続して効率よく滅菌することができる電子線滅菌装置を提供することができる。
【0037】
また、本発明の他の電子線滅菌装置によれば、前記の構成により、第一の搬送手段上に載置された被処理物は、電子線照射領域を通過して滅菌処理が施された後、反転手段によって反転され、第二の搬送手段の第一回目に通過する電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する前記電子線照射領域の手前側の搬送経路上に移されるので、被処理物の滅菌処理が施された面が第二の搬送手段と接触することにより汚染されるのを防止することができ、これにより、物品の全面を連続して効率よく滅菌することができ、また、二つの搬送手段を用いることにより、被処理物を搬送手段上に密に配列することができる電子線滅菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である電子線滅菌装置の概略構成図である。
【図2】図1のA−A矢視方向概略断面図であり、本実施例装置に用いる電子線照射装置を説明するための図である。
【図3】図2に示す電子線照射装置の電子線発生部の概略回路図である。
【図4】本発明の第二実施例である電子線滅菌装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 電子線照射装置
2,6,7 ベルトコンベア
3,8 反転装置
4 被処理物
5 空間部
10 電子線発生部
12 ターミナル
12a フィラメント
12b ガン構造体
12c グリッド
14 加速管
16a 加熱用電源
16b 制御用直流電源
16c 加速用電源
20 照射室
22 電子線照射領域
30 照射窓部
32 窓箔
34 窓枠構造体

Claims (2)

  1. 電子が100kV以上500kV以下の電圧で加速された低エネルギー電子線を照射する電子線照射手段と、
    前記電子線照射手段の電子線照射領域を二度通過するように搬送経路が形成され、且つ被処理物間に少なくとも被処理物と同等の大きさの空間部を保って被処理物を搬送する搬送手段と、
    第一回目に通過する前記電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する前記電子線照射領域の手前側の前記搬送経路に設けられた、被処理物を反転して前記被処理物と隣り合う前記空間部に移動する反転手段と、
    を具備することを特徴とする電子線滅菌装置。
  2. 電子が100kV以上500kV以下の電圧で加速された低エネルギー電子線を照射する電子線照射手段と、
    前記電子線照射手段の電子線照射領域を通過するように搬送経路が形成された第一の搬送手段と、
    前記電子線照射手段の電子線照射領域を二度通過するように搬送経路が形成された第二の搬送手段と、
    前記第一の搬送手段により搬送されて前記電子線照射領域を通過した被処理物を反転して、前記第二の搬送手段の第一回目に通過する前記電子線照射領域の後側であって第二回目に通過する前記電子線照射領域の手前側の前記搬送経路上に移動する反転手段と、
    を具備することを特徴とする電子線滅菌装置。
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