JP3638691B2 - 表皮一体成形用金型 - Google Patents

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表皮一体成形用金型に係り、特に表皮材が配設された製品をスタンピング成形によって一体成形するときに用いられる表皮一体成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車の内装部品は、高級感を出すために熱可塑性樹脂などからなる基材の表面に各種表皮材が貼合された表皮付成形製品が多用されている。この表皮付成形製品を製造するには、表皮一体成形用金型が用いられており、この表皮一体成形用金型は、2つの金型の間に表皮材を配置して、型締めと共に樹脂を供給して成形している。
【0003】
そして、基材に表皮材が配設されて構成される内装部品として、例えば、車両用座席が知られている。即ち、図5は従来例の座席Sの背もたれを示す説明斜視図であり、図5において、座席Sの背もたれSbの前面側にはクッション材が配設され、このクッション材の背面側(つまり座席の背面)にバックボードが配設される。そしてクッション材とバックボードとをシート表皮材Hで被覆している。なお図4中、記号Pはポケット部である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような製品には、凹部や、逆R形状等が形成されており、成形時に溶融樹脂が最後にまわる箇所において、成形時における表皮材とキャビティ型との間の空気が完全に抜けきれず、製品にエアー溜まり皺が生じでしまうという不都合がある。このエアー溜まり皺は、特に表皮材が通気性の悪い場合に顕著である。
【0005】
このような皺の発生は商品性を低下させることになり、凹部や、逆R形状のある成形品にエアー溜まりによる皺をなくした製品を形成できる表皮一体成形用金型が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、表皮材が配設された製品をスタンピング成形によって一体成形するときに、凹部や、逆R形状のある成形品にエアー溜まりによる皺の生じない表皮一体成形用金型を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る表皮一体成形用金型は、対向する第1及び第2の金型でキャビティを形成し、該対向する金型の間に表皮材を配置して且つ溶融樹脂を注入し型締めして表皮材を形成してなる成形品を製造する表皮一体成形用金型において、
前記溶融樹脂が最後に到達するキャビティの外側位置でキャビティ及び外部と連通した凹部又は切り欠きを前記金型のうちいずれか一方の金型側に形成し、該凹部又は切り欠きの底面に該底面より面積の小さいスペーサを配設して、一方の面がパーティングライン上に配置されたエアー抜き駒で前記スペーサを固定し、スペーサと金型との間で間隙を形成し、該間隙から空気を排除可能にしたことを特徴とする。
上記スペーサの板厚は、0.03ミリ乃至0.05ミリであると好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の表皮一体成型品は、樹脂からなる基材40に表皮材Hを一体に成形するものであり、これら基材40と表皮材Hとの接合部分には、凹部や、逆R形状等が形成されている。そして第1の金型10をコア型として、第2の金型20をキャビティ型として、これら金型10,20により所定形状のキャビティKを形成している。この金型10,20の間に表皮材を配設して、樹脂をキャビティK内に注入して、型締めすることにより表皮一体成形品を成形する。
【0009】
そして溶融樹脂(基材40となる)が最後に到達するキャビティKの外側位置で、キャビティK及び外部と連通した切り欠き21を一方の金型である金型20に形成し、この切り欠き21の底面21aに、この底面21aより面積の小さいスペーサ22を配設する。このときスペーサ22の固定は、一方の面がパーティングラインPL上に配置されたエアー抜き駒23で行なう。
【0010】
つまりパーティングラインPL上にあるエアー抜き駒23でスペーサ22を固定し、スペーサ22と金型20との間で間隙を形成し、この間隙から空気を排除する。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0012】
図1乃至図4は本発明に係る表皮一体成形用金型の実施例を示すものであり、図1は概略断面図、図2は図1の概略斜視図、図3はスペーサの組付けを説明する部分分解図、図4は型締め時における要部断面説明図である。
【0013】
本例の表皮一体成型品は、樹脂からなる基材に表皮材を一体成形するもので、逆R(又は凹部)のある場所としては、背凭れ部の裏側肩の角部であり、この部分が溶融樹脂が最後に到達する部分として説明する。なお本例の表皮一体成形品は、基材40部分のうち表皮材Hが配置される基材部分41と、表皮材Hが配置されない基材部分42を有するものである。
【0014】
本例の表皮一体成形用金型は、図1で示すように、第1の金型10と第2の金型20と、を主たる構成要素としており、第1の金型10と第2の金型20とは、対向して配置されている。本例では第1の金型10を固定側金型とし、第2の金型20を可動側金型としている。そして、第1の金型10をコア型として、第2の金型20をキャビティ型として、これら金型10,20により所定形状のキャビティKを形成している。
【0015】
本例の第1の金型10は所定位置に、基材40となる溶融合成樹脂の通路が形成されており、この通路を通してバルブゲートから溶融合成樹脂がキャビティKへ射出される。
【0016】
そして本例では、図4で示すように、第1の金型10の所定箇所に、位置決めブロック11が設けられており、予定より第1の金型10が第2の金型20へ入りすぎたときには、この位置決めブロック11が、後述するエアー抜き駒に当接して、第1の金型10と第2の金型20で形成されるキャビティKの形状を確保している。なお位置決めブロック11には後述する針25の突出空間11aが形成されている。
【0017】
また本例では、第1の金型10及び第2の金型20により加圧型締めした後で、冷却等ができるように構成されている。これらの溶融合成樹脂の注入装置,型締め装置等は公知の技術を用いることが出来る。
【0018】
本例の第2の金型20は、凹型(キャビティ型)であり、本例のエアー抜きとしては、金型20に形成された凹部としての切り欠き21と、スペーサ22と、エアー抜き駒23と、を主要構成要素とする。
【0019】
本例の凹部は切り欠き21となっており、溶融樹脂が最後に到達するキャビティKの外側位置、本例では図2及び図3で示すように、第2の金型20の角部に形成する。つまり凹部(切り欠き21)は底面21aの位置でキャビティK側と連通している。この切り欠き(凹部)21の底面21aには、止めねじ用のねじ穴21bが所定数(本例では2つ)形成されている。また切り欠き21以外のキャビティKの外周には表皮材Hの保持具としての針25が立設されている。
【0020】
本例のスペーサ22は、上記キャビティK外に形成された切り欠き(凹部)21の底面21aより面積の小さい形状となった板体から構成され、切り欠き21の底面21aと同様な形状で若干小さい相似形状から構成されている。本例のスペーサ22の板厚は、0.03ミリ乃至0.05ミリの厚さで構成されている。このスペーサ22には取付け孔22aが形成されており、この取付け孔22aは上記ねじ穴21bと整合する位置に形成されている。
【0021】
本例のエアー抜き駒23は、前記した切り抜き(凹部)21の形状とほぼ同じ形状をしている。このエアー抜き駒23は金型20側の面がパーティングラインPLに配置されている。そしてこのエアー抜き駒23には、取付け孔23aが形成されている。この取付け孔23aは上記スペーサ22の取付け孔22aと切り欠き(凹部)21のねじ穴21bと整合するように構成されている。
【0022】
そして図3で示すようにスペーサ22と取付け駒23を切り込み(凹部)21の底面21aに配設して、止めねじ24を上記取付け孔23a,22a及びねじ穴21bで取り付け、スペーサ22をエアー抜き駒23で固定する。
【0023】
このように金型20の切り欠き21より小さいスペーサ22をエアー抜き駒23と切り込み底面21aとの間に配置することにより、スペーサ22と金型20との間で間隙を形成することができる。この間隙から空気を排除してエアー溜まりによる皺等の発生を防止することができる。またエアー抜き駒23の端面側(即ち金型10側)はパーティングラインPL上に配置されるため、成形品への影響がない。さらにスペーサ22と切り込み底面21aとの間に形成される間隙は、0.03ミリ乃至0.05ミリの間隙であるため、エアーの排除は行うことが出来るが、成形品の外観には影響されない程度のものとなる。
【0024】
上記実施例では、スペーサ22として切り欠き21の底面21aと同様な形状で若干小さい相似形状のスペーサ22を用いた例を示したが、スペーサ22としては、このような相似形以外の形状てあってもよく、エアー抜き駒23と切り込み21の底面21aとの間に上記0.03ミリ乃至0.05ミリの間隙を形成することができるスペーサであればよく、例えばワッシャ等で構成することもできる。
【0025】
また本例では凹部として切り欠き21の例を示したが、外部(例えば大気)と連通した文字通りの凹部であってもよい。
【0026】
本発明に基材として用いられる樹脂、即ち注入される溶融合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、ナイロン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー等圧縮成形、射出成形および押出成形に通常使用されるものを、いずれも用いることができる。また、これらに無機質充填剤,ガラス繊維等の充填剤、顔料、滑剤、帯電防止剤等の添加物を含有したものも適宜用いることができる。
【0027】
また本発明に用いられる表皮材Hの材質としては、ポリオレフィン、塩化ビニル、ナイロン等の熱可塑性樹脂及びポリオレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系、塩化ビニル系等の熱可塑性エラストマーのシート,フィルムが挙げられる。また上記材質を単独或は2種以上積層したものを表皮材Hとして使用することもできる。
【0028】
更にソフトな感触を出すために、表皮材Hの裏面にポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン等の発泡シートを貼合したもの、成形時において溶融合成樹脂の熱から保護したり、表皮材Hと芯材層の接着力を強化させる目的で布、またはシート等を裏面に貼合した積層体を使用することもできる。これらの表皮材Hの使用にあたっては、表皮材Hの引張応力、伸びを調整するために供給に先立って予備加熱を行ってもよい。
【0029】
本例の金型によって表皮一体成型品として、背面にポケット部を有する座席Sのバックボードと表皮材との一体成形について説明すると、一般に座席の背もたれの前面側には、クッション材が配設され、このクッション材の背面側(つまり座席の背面)にバックボードが配設される。そしてバックボードとシート表皮は一体成形される。
【0030】
このような成形品の場合には、背もたれの左右角部には、成形するときに樹脂が最終的に廻るため、キャビティK内の空気が最後まで残る箇所であり、この部分の空気溜まりが解消されて、成形品にエアー溜まりによる皺をなくして成形することができる。なお上記実施例では座席を例にして説明したが、本発明に係る金型は、凹部や、逆R形状等が形成される成形品である内装材(例えばドア等)にも好適である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明による表皮一体成形用金型によれば、部分的に表皮材が配設された製品をスタンピング成形によって一体成形するときに、成形品の端部等の樹脂が最後に廻る箇所におけるエアー溜まりによる皺の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表皮一体成形用金型の概略断面図である。
【図2】図1の概略斜視図である。
【図3】スペーサの組付けを説明する部分分解図である。
【図4】型締め時における要部断面説明図である。
【図5】製品の一例を示す説明斜視図である。
【符号の説明】
10 第1の金型
11 位置決めブロック
11a 突出空間
20 第2の金型
21 切り欠き(凹部)
21a 底面
22 スペーサ
21b ねじ穴
23 エアー抜き駒
23a,22a 取付け孔
24 止めねじ
25 針
H 表皮材
K キャビティ
PL パーティングライン

Claims (2)

  1. 対向する第1及び第2の金型でキャビティを形成し、該対向する金型の間に表皮材を配置して且つ溶融樹脂を注入し型締めして表皮材を形成してなる成形品を製造する表皮一体成形用金型において、
    前記溶融樹脂が最後に到達するキャビティの外側位置でキャビティ及び外部と連通した凹部又は切り欠きを前記金型のうちいずれか一方の金型側に形成し、該凹部又は切り欠きの底面に該底面より面積の小さいスペーサを配設して、一方の面がパーティングライン上に配置されたエアー抜き駒で前記スペーサを固定し、スペーサと金型との間で間隙を形成し、該間隙から空気を排除可能にしたことを特徴とする表皮一体成形用金型。
  2. 前記スペーサの板厚は、0.03ミリ乃至0.05ミリである請求項1記載の表皮一体成形用金型。
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