JP3638577B2 - 遠心分離式脱油装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、供給された被処理物(機械切削屑等)から油を回転により遠心分離する分離容器を改良した遠心分離式脱油装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開昭64−70157号公報に示す遠心分離機においては、同公報の図面に示すように、分離処理前の被処理物が上側のホッパ29から回転分離バスケット7に供給され、分離処理後の被処理物が下側の排出口9から排出されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の遠心分離機は下記*の問題点を有する。
* 分離処理前の被処理物が供給時にバスケット7の多孔板側壁8の内側に対し片寄って集まったり、被処理物の容積や密度が場所によって異なったりするおそれがあるため、多孔板側壁8からの脱水効率が下がるとともに、不つりあいになってバスケット7の振動が増す。
【0004】
* バスケット7の多孔板側壁8の内周面がバスケット7の回転中心線に対し平行になっているため、バスケット7に働く遠心力により、被処理物には多孔板側壁8に向かう分力が主に働き、多孔板側壁8に沿って下方へ向かう分力は極小さくなり、多孔板側壁8からの脱水効率が下がる。
【0005】
* 分離処理前の被処理物の供給部(ホッパ29)と分離処理後の被処理物の排出部(排出口9)とが別々になっているため、ホッパ29からの供給タイミングと排出口9における蓋体13の開閉タイミングとを確実に制御しない限り、分離処理前の被処理物と分離処理後の被処理物とが混合するおそれがある。従って、分離処理前の被処理物を分離処理後の被処理物に混ぜて排出してしまうおそれがあり、多孔板側壁8からの脱水効率が下がる。
【0006】
この発明は、油の遠心分離効率を高めることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
後記実施形態の図面(図1〜2に示す第一実施形態、図3に示す第一実施形態の別例1、図4に示す第一実施形態の別例2、図5に示す第二実施形態、図6に示す第三実施形態、図7に示す第三実施形態の別例)の符号を援用して本発明を説明する。
【0008】
* 請求項1の発明(第一実施形態及びその別例1,2、第二実施形態並びに第三実施形態及びその別例に対応)
この発明にかかる遠心分離式脱油装置は、下記のように構成されている。
【0009】
この遠心分離式脱油装置においては、供給された被処理物(例えば切削屑)から油を回転により遠心分離する分離容器(6)を備えている。この分離容器(6)にあって、回転中心線(5a)方向の上下両側のうち、上側に天壁部(7)を設けるとともに、下側には底壁部(17)により開閉し得る開口底部(9)をこの天壁部(7)に対向して設け、この天壁部(7)と開口底部(9)との間で設けた周壁部(8)には油排出路(油排出孔10)を設けている。この天壁部(7)には回転中心線(5a)上で拡散軸部(11)を開口底部(9)に向けて突設している。この拡散軸部(11)は、開口底部(9)から分離容器(6)内に供給されて底壁部(17)上に載せられた被処理物を回転中心線(5a)から離間する方向へ(例えば、周壁部8側へ、回転中心線5aに対し直交する方向や傾斜する方向へ)押し広げる拡散手段(拡散面12、膨張収縮体22、可動腕24)を有している。
【0010】
この発明では、例えば、被処理物が供給時に分離容器(6)内で底壁部(17)上の中央部に山状に片寄って集まっていても、上記拡散軸部(11)の拡散手段(12,22,24)によりこの被処理物を押し広げることができる。従って、被処理物からの油の遠心分離効率を高めることができる。
【0011】
* 請求項2の発明(第三実施形態及びその別例に対応)
この発明にかかる遠心分離式脱油装置は、下記のように構成されている。
この遠心分離式脱油装置においては、供給された被処理物(例えば切削屑)から油を回転により遠心分離する分離容器(6)を備えている。この分離容器(6)にあっては、回転中心線(5a)方向の両側(上下両側)のうち、一方の側(上側)に端面壁部(天壁部7)を設けるとともに、他方の側(下側)にはこの端面壁部(7)に対向する開口端面部(開口底部9)を設け、この端面壁部(7)と開口端面部(9)との間で設けた周壁部(8)には油排出路(油排出孔10)を設けている。この端面壁部(7)には回転中心線(5a)上で拡散軸部(11)を開口端面部(9)に向けて突設している。この拡散軸部(11)は、端面壁部(7)とともに一体的に回転し、開口端面部(9)から分離容器(6)内に供給された被処理物を回転中心線(5a)から離間する方向へ(例えば、周壁部8側へ、回転中心線5aに対し直交する方向や傾斜する方向へ)押し広げる拡散手段(拡散面12、膨張収縮体22、可動腕24)を有している。さらにこの拡散軸部(11)には、回転に伴う遠心力(F)により、回転中心線(5a)に対する離間距離が変化し得るとともに、開口端面部(9)から分離容器(6)内に供給された被処理物を押圧し得る重錘部(25)を有する可動押圧手段(可動腕24)を設けている。例えば、前記重錘部(25)は、開口端面部(9)または端面壁部(7)または周壁部(8)に向けて(回転中心線5aに沿ってまたは回転中心線5aに対し直交する方向や傾斜する方向へ)被処理物を押圧し得る。また、例えば、この端面壁部(7)と周壁部(8)と拡散軸部(11)とは一体的に回転する。
【0012】
この発明では、例えば、被処理物が供給時に分離容器(6)内の中央部に片寄って集まっていても、上記拡散軸部(11)の拡散手段(12,22,24)によりこの被処理物を押し広げることができる。従って、被処理物からの油の遠心分離効率を高めることができる。
【0013】
また、この発明では、例えば、被処理物が供給時に分離容器(6)内で周壁部(8)に対し片寄って集まって被処理物の容積や密度が場所によって異なっていても、上記可動押圧手段(24)の重錘部材(25)によりこの被処理物を押圧し、油排出路(10)を有する周壁部(8)の内側で被処理物の容積を減らして被処理物から油を押し出すことができる。従って、上記拡散軸部(11)の拡散手段(12,22,24)と相俟って、被処理物からの油の遠心分離効率を高めることができる。特に、被処理物が密度の低い切削屑である場合には、その容積の軽減度合が高くなるため、分離処理後の被処理物を運搬するスペースが少なくなってより多くのものを運搬することができ、運搬効率を高めて運搬コストの低減を図ることができる。
【0014】
さらに、上記可動押圧手段(24)の重錘部(25)により、回転中心線(5a)に対するこの重錘部(25)の離間距離が被処理物の量に応じて変化し、つりあい良さを維持することができる。従って、分離容器(6)の振動を抑制することができる。
【0015】
* 請求項3の発明(第一実施形態及びその別例1,2、第二実施形態並びに第三実施形態及びその別例に対応)
この発明にかかる遠心分離式脱油装置は、請求項1の発明を前提として下記のように構成されている。
【0016】
前記分離容器(6)において、底壁部(17)は、連結外周部(17b)で周壁部(8)に対し着脱し得るように摩擦接触により連結可能であって、周壁部(8)に対する連結状態(C)で天壁部(7)及び周壁部(8)とともに一体的に回転し、周壁部(8)に対する底壁部(17)の非連結状態(S)で天壁部(7)及び周壁部(8)と底壁部(17)とが相対回転し得る。例えば、周壁部(8)は開口底部(9)に向かうほど回転中心線(5a)から離間するように傾斜する連結内周面(8a)を有し、底壁部(17)の連結外周部(17b)はこの周壁部(8)の連結内周面(8a)に対し摩擦接触する。
【0017】
この発明では、周壁部(8)に対する底壁部(17)の摩擦接触により、上記非連結状態(S)では開口底部(9)から分離容器(6)内に被処理物を供給して底壁部(17)上に載せることができ、上記連結状態(C)では、底壁部(17)が天壁部(7)及び周壁部(8)と一体的に回転して被処理物からの油の遠心分離効率を高めることができる。さらに上記連結状態(C)では、天壁部(7)及び周壁部(8)の回転中心線(5a)と底壁部(17)の回転中心線(17a)との間に心ずれがあっても、それらの回転中心線(5a)(17a)を互いに一致させるように調節することが容易になる。例えば、可撓性を有する緩衝台(16)に底壁部(17)を支持すれば、その緩衝台(16)の可撓性の範囲で、底壁部(17)の偏心を許容することができる。
【0018】
* 請求項4の発明(第一実施形態及びその別例1,2、第二実施形態並びに第三実施形態及びその別例に対応)
この発明にかかる遠心分離式脱油装置は、請求項1の発明を前提として下記のように構成されている。
【0019】
前記分離容器(6)において、周壁部(8)には、被処理物が供給される開口底部(9)に向かうほど回転中心線(5a)から離間するように傾斜角度(θ)で傾斜する内周面(8a)を設けるとともに、この傾斜内周面(8a)に前記油排出路として油排出孔(10)を設けている。例えば、回転中心線(5a)に対しなす傾斜角度(θ)は、1°≦θ≦15°の範囲に設定することが好ましく、さらには2°≦θ≦5°の範囲に設定することが好ましい。
【0020】
この発明では、分離容器(6)に働く遠心力(F)により、被処理物には油排出孔(10)に向かう分力(F10)と内周面(8a)に沿って下方へ向かう分力(F8)とが働く。油排出孔(10)に向かう分力(F10)により、分離処理前の被処理物が内周面(8a)に押さえ付けられて油が油排出孔(10)から排出され易くなる。さらに、内周面(8a)に押さえ付けられた被処理物は、内周面(8a)に沿って下方へ向かう分力(F8)により、被処理物の容積を減らして被処理物から油を押し出すことができる。従って、被処理物からの油の遠心分離効率を高めることができる。特に、被処理物が密度の低い切削屑である場合には、その容積の軽減度合が高くなるため、分離処理後の被処理物を運搬するスペースが少なくなってより多くのものを運搬することができ、運搬効率を高めて運搬コストの低減を図ることができる。
【0021】
* 請求項5の発明(第一実施形態及びその別例1,2、第二実施形態並びに第三実施形態及びその別例に対応)
この発明にかかる遠心分離式脱油装置は、請求項1の発明を前提として下記のように構成されている。
【0022】
前記分離容器(6)において、開口底部(9)は、底壁部(17)の開閉に伴い、分離処理前の被処理物を分離容器(6)内に供給する供給口部と、分離処理後の被処理物を分離容器(6)内から排出する排出口部として兼用されている。
【0023】
この発明では、分離処理前の被処理物の供給口部(開口底部9)と分離処理後の被処理物の排出口部(開口底部9)とを兼用しているので、分離処理後の被処理物を確実に排出してから分離処理前の被処理物を供給することとなり、分離処理前の被処理物と分離処理後の被処理物とが混合することはなくなる。従って、分離処理前の被処理物を分離処理後の被処理物に混ぜて排出してしまうことはなくなり、油の遠心分離効率を高めることができる。また、供給口部(開口底部9)と排出口部(開口底部9)との兼用により、分離容器(6)の構造を簡単にすることができる。
【0024】
* 請求項6の発明(第一実施形態及びその別例1,2、第二実施形態並びに第三実施形態及びその別例に対応)
この発明は、請求項5の発明を前提として下記のように構成されている。
【0025】
前記分離容器(6)の開口底部(9)に対する下方位置(分離処理位置P)に給排ケース(13)を備えている。前記底壁部(17)は、この給排ケース(13)内で昇降して、開口底部(9)を閉じる上昇位置(U)と、開口底部(9)を開く下降位置(D)とを取る。この発明では、分離容器(6)に対する被処理物の供給及び排出を容易に行うことができる。
【0026】
* 第7の発明(第一実施形態及びその別例1,2、第二実施形態並びに第三実施形態及びその別例に対応)
この発明において、請求項1または請求項2の発明にかかる拡散軸部(11)の拡散手段は拡散軸部(11)の外周に設けた拡散面(12)を有し、少なくとも拡散軸部(11)の先端部外周でこの拡散面(12)は開口底部(9)に向かうほど回転中心線(5a)に接近するように傾斜する先端面(円錐外周面12b)を有している。この発明では、簡単な構造の拡散手段(12)により、被処理物を周壁部(8)側へ押し広げることができる。
【0027】
* 第8の発明(第二実施形態に対応)
この発明において、請求項1の発明にかかる拡散軸部(11)の拡散手段は、流体圧の変化により回転中心線(5a)と周壁部(8)との間で膨張及び収縮し得る膨張収縮体(22)を有している。この発明では、被処理物を周壁部(8)側へ確実に押し広げることができる。
【0028】
* 第9の発明(第三実施形態及びその別例に対応)
この発明において、請求項2の発明にかかる可動押圧手段は、拡散軸部(11)に対し回動可能に支持した可動腕(24)である。
【0029】
例えば、この可動腕(24)を下記・のように構成する。
・ 可動腕(24)は、周壁部(8)側から拡散軸部(11)側へ回動するように付勢された状態で回動中心部(24a)から上方へ立ち上がり、その付勢力に抗して拡散軸部(11)側から周壁部(8)側へ突出するように回動し得る。
【0030】
・ 可動腕(24)は、拡散軸部(11)側から周壁部(8)側へ突出するように付勢された状態で回動中心部(24a)から周壁部(8)へ向けて突出し、その付勢力に抗して周壁部(8)側から拡散軸部(11)側へ回動し得る。
【0031】
・ 可動腕(24)は、回転中心線(5a)を含む面に沿って回動し得る。
この発明では、簡単な構造の可動押圧手段(可動腕24)により、重錘部(25)を構成することができる。
【0032】
* 第10の発明(第一実施形態及びその別例1に対応)
この発明において、請求項6の発明にかかる給排ケース(13)は、分離容器(6)の開口底部(9)に対する下方位置(分離処理位置P)と、その下方位置(P)から離間した給排位置(Q)との間で往復移動し得る。例えば、この給排ケース(13)は、給排位置(Q)で往復移動方向(A)に対し傾斜し得る。この発明では、分離容器(6)に対する被処理物の供給及び排出を容易に行うことができる。
【0033】
* 第11の発明(第一実施形態の別例2に対応)
この発明において、請求項6の発明にかかる給排ケース(13)は、分離容器(6)の開口底部(9)に対する下方位置(分離処理位置P)で、分離容器(6)の回転中心線(5a)に対し傾斜し得る。この発明では、分離容器(6)に対する被処理物の供給及び排出を容易に行うことができる。
【0034】
* 第12の発明
この発明において、請求項1または請求項4または請求項5または請求項6の発明、または第10の発明または第11の発明にかかる天壁部(7)と周壁部(8)と拡散軸部(11)とが一体的に回転する。例えば、天壁部(7)を回転させる駆動源(電動機3)を備えている。この発明では、被処理物からの油の遠心分離効率をより一層高めることができる。
【0035】
* 第13の発明
この発明において、請求項1または請求項4または請求項5または請求項6の発明、または第10の発明または第11の発明または第12の発明にかかる底壁部(17)は、周壁部(8)に対し着脱し得るように連結可能であって、周壁部(8)に対する連結状態(C)で天壁部(7)と周壁部(8)と拡散軸部(11)とともに一体的に回転し、周壁部(8)に対する底壁部(17)の非連結状態(S)で天壁部(7)と周壁部(8)と拡散軸部(11)とが底壁部(17)に対し回転する。例えば、天壁部(7)を回転させる駆動源(電動機3)を備えている。この発明では、上記非連結状態(S)で開口底部(9)から分離容器(6)内に被処理物を供給して底壁部(17)上に載せることができ、上記連結状態(C)で底壁部(17)が天壁部(7)及び周壁部(8)と一体的に回転して被処理物からの油の遠心分離効率を高めることができる。
【0036】
* 第14の発明
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6の発明、または第10の発明または第11の発明または第12の発明または第13の発明のうち、任意に選択した二以上の発明を互いに組み合わせた発明
【0037】
【発明の実施の形態】
〔第一実施形態及びその別例1,2〕
まず、本発明の第一実施形態にかかる遠心分離式脱油装置について図1〜2を参照して説明する。
【0038】
機台1に円筒状の集油カバー2が取着され、この集油カバー2の下端周縁部に脱油樋2aが設けられている。この機台1に電動機3(駆動源)及び軸受部4が設置され、この軸受部4に支持された駆動軸5がこの電動機3の出力軸3aに連結されている。前記集油カバー2内に収容された分離容器6にあっては、駆動軸5の回転中心線5a方向の上下両側のうち、上側で天壁部7(端面壁部)が駆動軸5に連結され、この天壁部7の外周縁部下側に周壁部8が設けられ、この周壁部8の下端周縁部内側に開口底部9(開口端面部)が天壁部7に対向して設けられている。この周壁部8には内周面8aと外周面8bとの間で多数の油排出孔10(油排出路)が貫設されている。この油排出孔10は断面円形状をなし、その中心線10aが内周面8aに対し直交している。この周壁部8の内周面8aは、天壁部7から開口底部9に向かうほど回転中心線5aから離間するように傾斜している。回転中心線5aに対しこの傾斜内周面8aがなす傾斜角度θは、約3°になっている。
【0039】
前記分離容器6内で天壁部7には回転中心線5a上で拡散軸部11が開口底部9に向けて突設されている。この拡散軸部11の外周には拡散手段として拡散面12が形成されている。この拡散面12は、天壁部7側から延びる円柱外周面12aと、先端部外周でこの円柱外周面12aから開口底部9に向かうほど回転中心線5aに接近するように傾斜する円錐外周面12b(先端面)とを有している。前記電動機3により駆動軸5が回転すると、分離容器6で天壁部7と周壁部8と拡散軸部11とが一体的に回転する。
【0040】
前記分離容器6の開口底部9に対する下方位置である分離処理位置Pで円筒状の給排ケース13が可動載置台13a上に設置されている。この可動載置台13aの下側にエアシリンダ14(駆動部)が取り付けられ、そのピストンロッド14aが給排ケース13内に挿入されている。このピストンロッド14aの上端部に昇降台15が連結されている。この昇降台15に対し緩衝台16が回転可能に支持されている。この緩衝台16上には底壁部17が一体的に回転するように取着されている。この底壁部17の回転中心線17aは前記分離容器6の回転中心線5aに一致している。この緩衝台16は、可撓性を有し、昇降台15に対する底壁部17の偏心を許容する。給排ケース13の分離処理位置Pでピストンロッド14aにより昇降台15が昇降すると、底壁部17は、緩衝台16とともに昇降し、開口底部9に挿嵌される上昇位置Uと、開口底部9から離間する下降位置Dとを取る。この上昇位置Uにおいて、底壁部17は、連結外周部17bで周壁部8の傾斜内周面8aに対し着脱し得るように摩擦接触により連結され、その連結状態Cで天壁部7及び周壁部8とともに一体的に回転する。この連結状態Cで、分離容器6が回転すると、分離容器6に働く遠心力Fにより、分離処理前の被処理物から油が油排出孔10へ排出されるとともに、分離処理後の被処理物が開口底部9側の底壁部17上に溜まる。この下降位置Dにおいて、底壁部17は非連結状態Sとなり、天壁部7及び周壁部8と底壁部17とが相対回転し得る。この分離処理位置Pでは、給排ケース13内で底壁部17が被処理物を載せて昇降し、給排ケース13と分離容器6との間で分離処理前の被処理物の供給と分離処理後の被処理物の排出とが行われる。ちなみに、前記非連結状態Sから連結状態Cに至る過程においては、遠心分離処理時の回転数より低速で回転する分離容器6へ向けて底壁部17が上昇すると、まず、底壁部17上の被処理物が拡散軸部11または周壁部8と接触して底壁部17に予備回転が与えられる。その後、底壁部17の連結外周部17bが周壁部8の傾斜内周面8aに摩擦接触して振動の少ない円滑な連結が行われる。
【0041】
前記機台1にエアシリンダ18(駆動部)が取り付けられ、そのピストンロッド18aが前記可動載置台13aに連結されている。このピストンロッド18aにより可動載置台13aが機台1のレール19に沿って往復移動すると、前記給排ケース13は、前記エアシリンダ14や昇降台15や緩衝台16や底壁部17とともに、分離処理位置Pと給排位置Qとの間で往復移動する。この給排位置Qでは、給排ケース13内で底壁部17が被処理物を載せて昇降し、給排ケース13と給排装置20との間で分離処理前の被処理物の供給と分離処理後の被処理物の排出とが行われる。
【0042】
図3に示す第一実施形態の別例1において、給排ケース13は、分離処理位置Pから離間した給排位置Qで、可動載置台13a上のエアシリンダ21(駆動部)により、可動載置台13a上の支軸13bを中心に回動して、この両位置P,Q間の往復移動方向Aに対し傾斜し得る。傾斜位置Rの給排ケース13においても、分離処理前の被処理物の供給と分離処理後の被処理物の排出とを行うことができる。
【0043】
図4に示す第一実施形態の別例2において、給排ケース13は、分離処理位置Pで、載置台13a上のエアシリンダ21(駆動部)により、可動載置台13a上の支軸13bを中心に回動して、分離容器6の回転中心線5aに対し傾斜し得る。なお、この載置台13aは、往復移動しない点で、第一実施形態及びその別例1と異なる。傾斜位置Rの給排ケース13において、分離処理前の被処理物の供給と分離処理後の被処理物の排出とを行うことができる。
【0044】
〔第二実施形態〕
図5に示す第二実施形態は、前記第一実施形態及びその別例1,2において拡散軸部11を変更している。この拡散軸部11においては、拡散手段としての膨張収縮体22が駆動軸5に連結され、この駆動軸5内を通るエア路23により膨張収縮体22内のエア圧が変化する。その変化により、膨張収縮体22が回転中心線5aと周壁部8との間で膨張及び収縮し得る。その場合、被処理物の密度が高い部分の膨張度は小さく低い部分の膨張度は大きくなる。
【0045】
〔第三実施形態及びその別例〕
図6に示す第三実施形態と図7に示す第三実施形態の別例は、共に、前記第一実施形態及びその別例1,2において拡散軸部11を変更している。これらの拡散軸部11の円柱外周面12aにおいて、複数(4本)の可動腕24(拡散手段、可動押圧手段)は、回動中心部24aにより回転中心線5aを含む面に沿って回動可能に支持され、拡散軸部11の回転方向へ同一円周角度(90度)間隔で並べて配設されている。図6に示す第三実施形態において、各可動腕24は、周壁部8側から拡散軸部11側へ回動するようにばね(図示せず)により付勢されて回動中心部24aから上方へ立ち上がり、その付勢力に抗して拡散軸部11側から周壁部8側へ突出するように回動し得る。図7に示す第三実施形態の別例において、各可動腕24は、拡散軸部11側から周壁部8側へ突出するようにばね(図示せず)により付勢されて回動中心部24aから周壁部8へ向けて突出し、その付勢力に抗して周壁部8側から拡散軸部11側へ回動し得る。これらの可動腕24のうち、回動中心部24aから先端部までが重錘部25になっている。なお、図7に示す第三実施形態の別例においては、各可動腕24を付勢する手段として必ずしもばねを必要とせず、重錘部25の重量により、各可動腕24を回動中心部24aから周壁部8へ向けて突出させるようにしてもよい。
【0046】
この重錘部25は、回転に伴う遠心力Fにより回動して、回転中心線5aに対する離間距離が変化し得るとともに、開口底部9から分離容器6内に供給された被処理物を押圧し得る。その場合、被処理物の多い場所では回転中心線5aに対する重錘部25の離間距離が小さく、被処理物の少ない場所では回転中心線5aに対する重錘部25の離間距離が大きくなる。
【0047】
〔他の別例〕
前記第一実施形態及びその別例1,2と第二実施形態と第三実施形態及びその別例においては、それぞれ、分離容器6の周壁部8に油排出孔10を設けている。そのほか、この油排出孔10に代えて、またはこの油排出孔10とともに、この周壁部8の内周面8aで上下方向に延びる筋状の油排出路(図示せず)を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は第一実施形態にかかる遠心分離式脱油装置において主にその分離容器を概略的に示す断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図2】 第一実施形態にかかる遠心分離式脱油装置の全体を概略的に示す断面図である。
【図3】 第一実施形態の別例1かかる遠心分離式脱油装置の全体を概略的に示す断面図である。
【図4】 第一実施形態の別例2かかる遠心分離式脱油装置の全体を概略的に示す断面図である。
【図5】 第二実施形態にかかる遠心分離式脱油装置において主にその分離容器を概略的に示す断面図である。
【図6】 (a)は第三実施形態にかかる遠心分離式脱油装置において主にその分離容器を概略的に示す断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図であり、(c)は(b)の横断面図である。
【図7】 (a)は第三実施形態の別例にかかる遠心分離式脱油装置において主にその分離容器を概略的に示す断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図であり、(c)は(b)の横断面図である。
【符号の説明】
5…駆動軸、5a…回転中心線、6…分離容器、7…天壁部(端面壁部)、8…周壁部、8a…傾斜内周面、9…開口底部(開口端面部)、10…油排出孔(油排出路)、11…拡散軸部、12…拡散面(拡散手段)、13…給排ケース、17…底壁部、22…膨張収縮体(拡散手段)、24…可動腕(拡散手段、可動押圧手段)、25…重錘部、C…連結状態、S…非連結状態、P…分離処理位置(下方位置)、U…上昇位置、D…下降位置。

Claims (6)

  1. 供給された被処理物から油を回転により遠心分離する分離容器を備えた遠心分離式脱油装置において、
    この分離容器にあって、回転中心線方向の上下両側のうち、上側に天壁部を設けるとともに、下側には底壁部により開閉し得る開口底部をこの天壁部に対向して設け、この天壁部と開口底部との間で設けた周壁部には油排出路を設け、
    この天壁部には回転中心線上で拡散軸部を開口底部に向けて突設し、この拡散軸部は開口底部から分離容器内に供給されて底壁部上に載せられた被処理物を回転中心線から離間する方向へ押し広げる拡散手段を有している
    ことを特徴とする遠心分離式脱油装置。
  2. 供給された被処理物から油を回転により遠心分離する分離容器を備えた遠心分離式脱油装置において、
    この分離容器にあっては、回転中心線方向の両側のうち、一方の側に端面壁部を設けるとともに、他方の側にはこの端面壁部に対向する開口端面部を設け、この端面壁部と開口端面部との間で設けた周壁部には油排出路を設け、
    この端面壁部には回転中心線上で拡散軸部を開口端面部に向けて突設し、この拡散軸部は、端面壁部とともに一体的に回転し、開口端面部から分離容器内に供給された被処理物を回転中心線から離間する方向へ押し広げる拡散手段を有し、
    さらにこの拡散軸部には、回転に伴う遠心力により、回転中心線に対する離間距離が変化し得るとともに、開口端面部から分離容器内に供給された被処理物を押圧し得る重錘部を有する可動押圧手段を設けた
    ことを特徴とする遠心分離式脱油装置。
  3. 前記分離容器において、底壁部は、周壁部に対し着脱し得るように摩擦接触により連結可能であって、周壁部に対する連結状態で天壁部及び周壁部とともに一体的に回転し、周壁部に対する底壁部の非連結状態で天壁部及び周壁部と底壁部とが相対回転し得ることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離式脱油装置。
  4. 前記分離容器において、周壁部には、被処理物が供給される開口底部に向かうほど回転中心線から離間するように傾斜する内周面を設けるとともに、この傾斜内周面に前記油排出路として油排出孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の遠心分離式脱油装置。
  5. 前記分離容器において、開口底部は、底壁部の開閉に伴い、分離処理前の被処理物を分離容器内に供給する供給口部と、分離処理後の被処理物を分離容器内から排出する排出口部として兼用されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離式脱油装置。
  6. 前記分離容器の開口底部の下方位置に給排ケースを備え、前記底壁部は、この給排ケース内で昇降して、開口底部を閉じる上昇位置と、開口底部を開く下降位置とを取ることを特徴とする請求項5に記載の遠心分離式脱油装置。
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