JP3638382B2 - 患者の脳の機能活動の時間及び局所分解表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者の脳の機能活動の時間及び局所分解表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
刺激により生じた、人間の大脳皮質での脳活動を核スピントモグラフィを用いて証明することができる。その種の刺激実験は、例えば、可視的な刺激及び指運動による第一運動皮質の周辺の刺激により行われる。機能的な脳検査は、他の技術、例えば、PET(Positron-Emissions-Tomographie)又はEEGを用いても行うことができる。しかし、核スピントモグラフィを用いると、著しく良好な局所分解能を達成することができる。
【0003】
リアルタイムでのデータ収集により、核磁気共鳴技術での制限された収集速度に基づいて、時間分解能も制限される。従って、機能的画像形成用のデータ取得を刺激によりトリガするということが提案されている。その際、刺激に応じて、完全な画像データセットのために必要なローデータの一部分だけが得られる。
【0004】
J. Frahm 他により、SMRM/SMRI Workshop: Functional Imaging of the Brain, Arlington, 1993年6月17日〜19日において、データ取得を、脳活動の周期的な繰り返しをトリガするという課題と同期させることが提案されている。比肩し得る方法は、既に、心臓運動の「フィルム撮影」用に使用されている(例えば、Dennis Atkinson 他の“Cineangiography of the Heart in a Single Breath Hold with a Segmented Turbo FLASH Sequence”Radiology, 1991年、178、第357頁〜第360頁)。
【0005】
機能的画像形成の問題は、刺激乃至脳活動により生じた信号変化を、他の信号変化、例えば、運動により生じた信号変化から区別することにある。そのために、論文P.A.Bandettini 他の“Processing Strategies for Time-Course Data Sets in Functional MRI of the Human Brain”, Magnetic Resonance in Medicine, 30,第161頁〜第173頁(1993年)において、特に、各パイクセル毎に、刺激関数と得られた時間的信号経過特性との相関係数を算出することが提案されている。その提案では、刺激関数として、ポーズによって分離された、周期的に繰り返される刺激が使用されている。しかし、周期的な刺激関数は、幾つかの欠点がある。即ち:
−周期的な障害過程(例えば、心拍、呼吸)は、活動信号から区別することができず、「生理的ノイズ」として現れる。繰り返し周期の整数倍の遅れを示す過程は、同様に、正確に検出することができない。この実験を長くすると、この場合には、障害を比較的良好に抑圧することができなくなってしまう。
【0006】
−更に、周期的な刺激関数は、不均一な周波数スペクトルを有している。従って、所定のスペクトル成分は、刺激により、極めて僅かしか、又は、全く励起されなくなってしまう。その結果、系に起因する誤差が、系の識別、即ち、数学的モデルのパラメータの決定の際に入り込んでしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、相関に基づく機能的画像形成装置を改善して、上述の欠点を回避することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題は、本発明によると、
非周期的であって、当該関数の自己相関関数が、できる限り小さな二次最大値を有している刺激関数f(t)で、患者内に生理学的過程を刺激する手段と、
核磁気共鳴信号の励起及び読み出し用のパルスシーケンスによって、時間及び局所分解された核磁気共鳴信号を得て、画像情報に変換する手段と、
前述の様にして得た情報の、刺激関数f(t)との時間相関により、患者内の局所分解された活動の変化を証明する手段と
を有している
ことにより解決される。
【0009】
この課題は、本発明によると、
核磁気共鳴信号の励起及び読み出し用並びに該核磁気共鳴信号から各データセットを得るための、制御計算機を備えたMR−装置と、
刺激パルス関数を患者に送出する関数発生器を有しており、該関数発生器では、刺激パルスは、非周期関数による経過特性を有しており、該非周期関数の自己相関関数はできる限り小さな二次最大値を有しており、
各データセット及び刺激関数を供給する相関計算ユニットを有している
ことにより解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の有利な実施例は、従属請求項に記載されている。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図1〜図4を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1の略図に応じて、患者1は、マグネット2内に挿入され、このマグネットは、基底磁場の形成のために使用され、更に、分かり易くするために、図示していない、グラジエント磁場形成用の構成部、並びに、高周波パルスの送受信用の高周波アンテナを有している。グラジエントコイル及び高周波アンテナは、プロセッサユニット4に接続されている。MR装置の機能に関しては、その構成が従来装置に相応している限りで、公知のものとして前提されている。
【0013】
パルス発生器5により、刺激関数が発生され、この刺激関数により、例えば、光送信機3が制御される。しかし、例えば、電気的に刺激することもでき、又は、患者は、例えば、光学的信号により、刺激関数に応じて運動を行うようにすることもできる。
【0014】
プロセッサユニット4で得られたMRデータ及びパルス発生器5で発生された刺激関数は、相関計算ユニット6で相互に相関される。その様にして得られたデータは、モニター8で表示される。
【0015】
プロセッサユニット4、相関計算ユニット6及びパルス発生器5は、中央制御計算機7により制御される。
【0016】
必要なMRデータは、時間及び位置分解能に関してできる限り速く得る必要がある。従って、第一に、高速パルスシーケンスが使用される。今日の水準によるMR画像形成シーケンスは、いわゆるEPI(エコープラナー画像形成)シーケンスであり、例えば、図3a〜eに略示されている。しかし、このシーケンスは、一実施例に過ぎず、他の高速パルシーケンス、例えば、ターボスピンエコーシーケンス、FISP又はFLASHシーケンスも用いることができる。
【0017】
EPIシーケンスの場合、先ず、図3に相応して、高周波パルスRFが照射される。それと同時に、図3bによると、スライス選択グラジエントSSが作用し、従って、高周波パルスRFの周波数スペクトル及びスライス選択グラジエントSSに依存して、被検対象のスライスだけが励起される。スライス選択グラジエントSSの正の部分パルスには、負の部分パルスが続き、この負の部分パルスにより、正の部分パルスによって生じたディフェージングが再び戻される。
【0018】
スライス選択グラジエントSSの負の部分パルスと同時に、図3c、dによると、プリフェージングパルスPVC,ROVが位相エンコード方向乃至読み出し方向に照射される。
【0019】
続いて、読み出しグラジエントROが、交互に切り替わる極性で照射される。読み出しグラジエントROの、交互に切り替わる符号によって、核磁気共鳴信号が繰り返しリフェージングされ、その際、読み出しグラジエントROの各部分パルス毎に信号Sが生じる。
【0020】
信号Sは、それぞれ種々異なって位相エンコードされ、その際、信号毎の位相は、各信号間の小さな位相エンコードパルスPCによって続けて接続される。
【0021】
信号Sは、位相に応じて復調されて、走査線でデジタル化される。信号毎に、得られたデジタル値が、ローデータマトリックスの一ラインに記録される。EPI法の最も速い態様である、いわゆる「シングルショット−EPI」では、一画像に対して完全なローデータセットを形成するために、個別励起毎に充分に多数の信号Sが得られる。画像は、公知の様に、ローデータマトリックスから二次元フーリエ変換により得られる。
【0022】
機能的な画像形成のために、位置分解のみならず、信号の時間分解も行わなければならない。そのために、図示のシーケンスは、できる限り速く繰り返され、その結果、順次連続した種々異なる時点に配属された画像データが得られる。
【0023】
一画像データセットの最も小さな要素は、パイクセルと呼ばれる。機能的な画像形成では、一般に、256×256パイクセルの典型的な分解能の慣用の画像よりも粗の分解能で画像形成される。
【0024】
図2には、この方法の流れ図が示されている。その際、核磁気共鳴信号の励起及び読み出しのパルスシーケンスと、刺激関数とが相互に独立して行われる。両方とも、中央制御計算機7により、クロック制御されるが、例えば、刺激関数によるパルスシーケンスのトリガ制御は、行われない。このパルスシーケンスに基づいて、ローデータセット、及び、このローデータセットから再び二次元フーリエ変換によって画像データセットが得られる。画像データマトリックス内のローデータマトリックス乃至各パイクセル内の各データに対して、時間的な信号経過特性が得られる。続いて、この信号経過特性と刺激関数との相互相関が行われる。
【0025】
冒頭に挙げた欠点を回避するために、刺激関数は、非周期的でなければならず、自己相関関数の二次最大値(Nebenmaxima)に関して最適化する必要がある。例えば、±1S,a0,a1,・・・aN−1及び長さNの形式の「+1」及び「−1」のシーケンスの2進符号を用いることができる。その際、自己相関関数Skは、以下のように定義される:
【0026】
【数1】
【0027】
論文A.M.Kerdock他の“Longest Binary Pulse Compression Codes with Given Peak Sidelobe LEvels” Proceedings of the IEEE,Vol. 74, 2号,1986年2月、366頁に、上述の観点で最適化される種々の長さの符号が示されている。符号長N=13の場合には、16進形では、例えば:1F35である。その様な符号の自己相関関数で二次最大値を最小化するということは、つまり、平坦な電力スペクトルにするということであり、信号源を関数の長さと共に大きく増大して最適に抑制するということである。その様な刺激関数の、時間依存関数(各パイクセル毎にMRデータから得られる)での相互相関により、MRデータから、刺激関数の影響を減算することができる。障害過程(例えば、運動(呼吸、心臓鼓動、脈動CSF)による)は、相互相関で、充分に除去される。パイクセル毎にMRデータから得られる時間関数g(t)での刺激関数f(t)の相互相関Ψcrossは、以下の数学的関係に基づいている:
【0028】
【数2】
【0029】
この相互相関の結果は、各パイクセル毎にモニターに表示することができる。
【0030】
図4には、各パイクセル毎の信号の時間経過特性について略示されている。図2に関して既述したように、相関分析により、刺激関数と該刺激関数により開始された脳活動との関係が形成される。それから、この相関分析の結果は、再びパイクセル毎にモニターに表示することができる。その際、所定の脳領域、即ち、対応したパイクセルを選定して、この脳領域で、相関分析の結果を考察することができる。
【0031】
【発明の効果】
相関に基づく機能的画像形成装置を改善して、従来技術の欠点を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】機能的画像形成用MR装置の構成略図
【図2】本発明の装置の動作時の流れ図
【図3】本発明の装置を実施するためのパルスシーケンス
【図4】個別パイクセルでの信号経過特性の略図
【符号の説明】
2 マグネット
3 光送信機
4 プロセッサユニット
5 パルス発生器
6 相関計算ユニット
7 中央制御計算機
RF 高周波パルス
SS スライス選択グラジエント
PC 位相エンコードパルス
R0 読み出しグラジエント
S 信号
Claims (5)
- 核磁気共鳴を用いた、患者の脳の機能活動の時間及び局所分解表示装置において、
非周期的であって、当該関数の自己相関関数が、できる限り小さな二次最大値を有している刺激関数f(t)で、患者(1)内に生理学的過程を刺激する手段と、
核磁気共鳴信号の励起及び読み出し用のパルスシーケンスによって、時間及び局所分解された核磁気共鳴信号を得て、画像情報に変換する手段と、
前述の様にして得た情報の、前記刺激関数f(t)との時間相関により、前記患者内の局所分解された活動の変化を証明する手段と
を有していることを特徴とする患者の脳の機能活動の時間及び局所分解表示装置。 - 情報の、刺激関数f(t)との時間相関の結果を、相互相関画像として表示する手段を有している請求項1記載の装置。
- 刺激関数f(t)は、2進符号の刺激関数f(t)である請求項1又は2記載の装置。
- 刺激関数f(t)は、患者(1)にとって行動のための指示として設けられている請求項1〜3までの何れか1記載の装置。
- 患者(1)の脳の機能活動の時間及び局所分解表示装置において、
a) 核磁気共鳴信号の励起及び読み出し用並びに該核磁気共鳴信号から各データセットを得るための、制御計算機(4)を備えたMR−装置(2)と、
b) 刺激パルス関数を患者(1)に送出する関数発生器(5)を有しており、該関数発生器(5)では、前記刺激パルスは、非周期関数による経過特性を有しており、該非周期関数の自己相関関数はできる限り小さな二次最大値を有しており、
c) 前記各データセット及び刺激関数を供給する相関計算ユニット(6)を有している
ことを特徴とする患者の脳の機能活動の時間及び局所分解表示装置。
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