JP3637642B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOX を吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに、吸収したNOX を放出、還元浄化するNOX 吸収剤を排気系に備えた内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
流入する排気の空燃比がリーンのときに(すなわち空燃比が理論空燃比より大きいときに)排気中のNOX を吸収し、排気の空燃比がリッチのときに(空燃比が理論空燃比より小さいときに)吸収したNOX を放出、還元浄化する作用を行うNOX 吸収剤を用いた内燃機関の排気浄化装置が知られている。
【0003】
この種の排気浄化装置の例としては、国際公開公報第WO93−7363号に記載されたものがある。同公報の排気浄化装置はリーン空燃比で運転する内燃機関(リーンバーンエンジン)の排気系にNOX 吸収剤を配置した構成とされている。同公報の排気浄化装置では、機関の通常運転時(リーン空燃比運転時)には、NOX 吸収剤により排気中のNOX を吸収し、NOX 吸収後に機関に供給する燃料を増量してリッチ空燃比運転を行い、前記NOX 吸収剤に流入する排気空燃比をリッチにすることにより、NOX 吸収剤から吸収したNOX を放出させるとともに、放出されたNOX を排気中の未燃HC、CO等の成分により還元浄化している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
後に説明するように、NOX 吸収剤はNOX の吸放出以外にも排気空燃比がリーンのときに排気中のHC、CO成分を酸化し、排気空燃比がリッチのときに排気中のNOX を還元する、三元触媒と同様な作用を行うことが知られている。
このため、機関空燃比を理論空燃比を中心とした狭い空燃比範囲にフィードバック制御する内燃機関の排気通路に上記NOX 吸収剤を配置すれば、従来の三元触媒を用いた排気浄化装置に較べてNOX の浄化率を向上させることが可能となるはずである。
【0005】
すなわち、従来の三元触媒では機関空燃比が理論空燃比よりリーン側に振れた場合にNOX 浄化率が大きく低下するため、全体としてのNOX 浄化率が比較的低くなってしまう。これに対して、NOX 吸収剤を用いた場合には排気空燃比が理論空燃比よりリーン側に振れた場合、NOX 吸収剤は排気中のHC、CO成分を酸化するとともに排気中のNOX を吸収する。また、機関空燃比が理論空燃比よりリッチ側に振れた場合にはNOX 吸収剤は吸収したNOX を放出するとともに、排気中のHC、CO成分を消費しつつNOX を還元する。このため、NOX 吸収剤を用いれば、従来の三元触媒を利用した排気浄化装置に較べて排気空燃比がリーン側に振れたときのNOX 浄化率を大幅に向上させることが可能となるはずである。
【0006】
ところが、実際には機関空燃比を理論空燃比近傍の狭い空燃比範囲にフィードバック制御する内燃機関にNOX 吸収剤を適用すると、三元触媒の場合に較べてNOX の浄化率は向上しないばかりか、HC、COの浄化率まで低下する場合があることが判明している。
これは、以下の理由によると考えられる。
【0007】
前述のように、NOX 吸収剤は流入する排気の空燃比がリッチになると吸収したNOX を放出するが、NOX 吸収剤からのNOX 放出速度は排気空燃比がリッチであるほど(空燃比が小さいほど)大きい。ところが、排気空燃比を理論空燃比近傍の狭い範囲でフィードバック制御するような機関では、空燃比がリッチ側に振れる場合でも振れ幅が小さく、しかも空燃比の変化も緩やかであるため、平均すると空燃比のリッチの程度は極めて小さくなる。このため、このような機関にNOX 吸収剤を用いると、空燃比がリッチ側に振れている間のNOX 吸収剤からのNOX 放出速度は小さくなり、空燃比がリッチ側に振れている期間内にNOX 吸収剤から放出されるNOX の量は極めて少なくなってしまう。このため、NOX 吸収剤内に残留するNOX 量が短時間で飽和限界近くまで増大してしまい、リーン空燃比時に吸収可能なNOX 量は大幅に低下してしまう。
【0008】
また、このような状態では、リッチ空燃比時のNOX 放出量が少ないためNOX 吸収剤でのNOX 還元時に消費する排気中のHC、CO成分の量もNOX 放出量に応じて少なくなり、HC、CO成分の浄化率も低下することになる。このため、三元触媒を使用した場合に較べてNOX の浄化率だけでなくHC、CO成分の浄化率も低くなる問題が生じるのである。
【0009】
本発明は、機関空燃比を理論空燃比近傍にフィードバック制御する内燃機関にNOX 吸収剤を適用する場合の上記問題を解決し、NOX 及びHC、CO成分の浄化率を向上することが可能な手段を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置され、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに吸収したNOXを放出、還元浄化するNOX吸収剤と、該NOX吸収剤の下流側の排気通路に配置され、NOX吸収剤下流側の排気空燃比を検出する空燃比センサと、前記空燃比センサにより検出されたNOX吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に低減し、理論空燃比よりリーン空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に増大させる第1の空燃比制御手段と、前記空燃比センサで検出した排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリッチ空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を増大させる第2の空燃比制御手段とを備えた内燃機関の空燃比制御装置において、前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NO X 吸収剤のNO X 吸収量を検出するNO X 吸収量検出手段と、該NO X 吸収量に応じて前記ステップ状の燃料供給量増大の際の燃料供給増大量を決定する増大量決定手段と、を備えた内燃機関の空燃比制御装置が提供される。
【0011】
NOX 吸収剤下流側の空燃比が理論空燃比に対してリッチからリーンに変化したときに燃料供給量をステップ状に増大させることにより、NOX 吸収剤に流入する排気空燃比は所定の時間だけ所定のリッチ状態に維持される。このため、NOX 吸収剤から十分にNOX が放出され、ステップ状の燃料増量が終了して再度排気空燃比がリーンになった後のNOX 吸収量が増大する。ここで、上記ステップ状の燃料増量の時間、燃料増加量はNOX 吸収剤から吸収したNOX の略全量を放出させるのに十分な値に設定される。
【0012】
また、NOX吸収剤の放出速度は流入する排気の空燃比がリッチであるほど大きくなるが、本発明ではステップ状の燃料供給量増大の際の燃料供給量増大量はNOX吸収剤のNOX吸収量に応じて、すなわちNOX吸収量が多いほど燃料供給量増大量が大きく、少ないほど小さく設定される。これにより、NOX吸収剤のNOX吸収量に応じてNOXの放出速度が増減調節され、NOX吸収剤のNOX吸収量の大小にかかわらず一定の時間でNOXの略全量が放出される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置され、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNO X を吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに吸収したNO X を放出、還元浄化するNO X 吸収剤と、該NO X 吸収剤の下流側の排気通路に配置され、NO X 吸収剤下流側の排気空燃比を検出する空燃比センサと、前記空燃比センサにより検出されたNO X 吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に低減し、理論空燃比よりリーン空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に増大させる第1の空燃比制御手段と、前記空燃比センサで検出した排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリッチ空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を増大させる第2の空燃比制御手段とを備えた内燃機関の空燃比制御装置において、記第2の空燃比制御手段は、更に前記NOX吸収剤のNOX吸収量を検出するNOX吸収量検出手段と、該NOX吸収量に応じて前記ステップ状に燃料供給量を増大させる時間を決定する増大時間決定手段と、を備えた内燃機関の空燃比制御装置が提供される
すなわち、請求項2の発明ではステップ状に燃料供給量を増大する時間を、NOX吸収量が多いほど長く、少ないほど短く設定する。これにより、NOX吸収剤のNOX吸収量に応じて吸収したNOXの略全量を放出するのに必要な時間だけステップ状の燃料供給量増大が行われる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置され、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに吸収したNOXを放出、還元浄化するNOX吸収剤と、該NOX吸収剤の下流側の排気通路に配置され、NOX吸収剤下流側の排気空燃比を検出する第1の空燃比センサと、該第1の空燃比センサ下流側の排気通路に配置された、O2ストレージ作用を有する三元触媒と、該三元触媒の下流側の排気通路に配置され、三元触媒下流側の排気空燃比を検出する第2の空燃比センサと、前記第1の空燃比センサにより検出されたNOX吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に低減し、理論空燃比よりリーン空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に増大させる第1の空燃比制御手段と、前記第1の空燃比センサで検出したNOX吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリッチ空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を増大させる第2の空燃比制御手段と、前記第2の空燃比センサで検出した三元触媒下流側の排気空燃比が理論空燃比に対してリーン側からリッチ側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリーン空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を低減する第3の空燃比制御手段と、を備えた内燃機関の空燃比制御装置が提供される。
【0015】
請求項3の発明では、NOX吸収剤下流側の空燃比が理論空燃比に対してリッチからリーンに変化したときに燃料供給量をステップ状に増大させることにより、請求項1の発明と同様、NOX吸収剤から十分にNOXが放出されリーン空燃比でのNOX吸収量が増大する。ここで、上記ステップ状の燃料増量の時間、燃料増加量はNOX吸収剤から吸収したNOXの略全量を放出させるのに十分な値に設定される。
【0016】
また、三元触媒下流側の空燃比が理論空燃比に対してリーンからリッチに変化したときに燃料供給量をステップ状に減少させることにより、三元触媒に流入する排気空燃比は所定の時間リーンに維持される。このため、ステップ状の燃料供給量減量時間の間に三元触媒には十分な量の酸素が吸着される。また、ステップ状の燃料供給量減量が終了し再度排気空燃比がリッチになると上流側のNOX 吸収剤で消費されずに三元触媒に到達した排気中のHC、CO成分は三元触媒に吸着された酸素によって酸化され、排気中のHC、CO成分の浄化が行われる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明において、前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NOX吸収剤のNOX吸収量を検出するNOX吸収量検出手段と、該NOX吸収量に応じて前記ステップ状の燃料供給量増大の際の燃料供給増大量を決定する増大量決定手段と、を備えている。
請求項4の発明ではステップ状の燃料供給量増大の際の燃料供給量増大量がNOX吸収剤のNOX吸収量に応じて、すなわちNOX吸収量が多いほど燃料供給量増大量が大きく、少ないほど小さく設定される。これにより、NOX吸収剤のNOX吸収量に応じてNOXの放出速度が増減調節され、NOX吸収剤のNOX吸収量の大小にかかわらず一定の時間でNOXの略全量が放出される。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3の発明において、前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NOX吸収剤のNOX吸収量を検出するNOX吸収量検出手段と、該NOX吸収量に応じて前記ステップ状に燃料供給量を増大させる時間を決定する増大時間決定手段と、を備えている。
すなわち、請求項5の発明では、ステップ状に燃料供給量を増大する時間をNOX吸収量が多いほど長く、少ないほど短く設定する。これにより、NOX吸収剤のNOX吸収量に応じて吸収したNOXの略全量を放出するのに必要な時間だけステップ状の燃料供給量増大が行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の排気浄化装置を適用した自動車要内燃機関の全体図である。図1において1はガソリンエンジン等の内燃機関、3は機関1の燃焼室、6は機関の吸気ポート、8は排気ポートを示す。各吸気ポート6は吸気枝管9を介してサージタンク10に接続されるとともに、各枝管9にはそれぞれの吸気ポート6に燃料を噴射する燃料噴射弁11が配置されている。
【0020】
また、サージタンク10は吸気通路12を介してエアクリーナ13に接続され、吸気通路12内には運転者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロットル弁14が配置されている。また、サージタンク10にはサージタンク10内の吸気の絶対圧力に比例した出力電圧を発生する吸気圧センサ15が設けられている。
【0021】
一方、機関1の排気ポート8は排気マニホルド16を介して排気通路17に接続されており、排気通路17には後述するNOX 吸収剤18が接続されている。また、図1に20で示すのは、NOX 吸収剤18の下流側の排気通路に設けられた、排気の空燃比を検出する空燃比センサである。本実施形態では、空燃比センサ20として排気中の酸素濃度を検出するO2 センサが使用されている。排気中の酸素濃度は理論空燃比を境として急激に変化するため、O2 センサ20は排気空燃比が理論空燃比よりリッチ側かリーン側かに応じて異なる出力電圧を発生する。
【0022】
更に本実施形態では、NOX 吸収剤18の上流側側の排気通路にも、O2 センサ20と同様なO2 センサ25が配置されている。
図1に30で示すのは、機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30はROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35、出力ポート36をそれぞれ双方向性バス31で接続した、公知の構成のディジタルコンピュータからなり、機関1の燃料噴射制御、点火時期制御等の機関の基本制御を行うほか、本実施例では後述するように、O2 センサ20、25の出力に基づいて機関1の運転空燃比を理論空燃比を中心とした狭い範囲に制御する空燃比フィードバック制御を行っている。
【0023】
上記目的のため、ECU30の入力ポート35には、吸気圧センサ15からの吸気圧力に応じた電圧信号と、O2 センサ20、25からNOX 吸収剤下流側及び上流側排気中の空燃比を表す電圧信号がAD変換器37を介してそれぞれ入力されている他、機関のクランク軸(図示せず)に設けられた機関回転数センサ21から機関回転数を表すパルス信号が入力されている。
【0024】
また、ECU30の出力ポート36は、それぞれ対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁11と点火プラグ4とに接続され、燃料噴射弁11からの燃料噴射と機関の点火時期とを制御している。
NOX 吸収剤18は、例えばアルミナ等の担体を使用し、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムLi 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa , カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa 、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt のような貴金属とが担持された構成とされる。このNOX 吸収剤18は流入する排気の空燃比がリーンの場合にはNOX を吸収し、排気空燃比がリッチになると吸収したNOX を放出、還元浄化するNOX の吸放出作用を行う。
【0025】
なお、上述の排気空燃比とは、ここではNOX 吸収剤18の上流側の排気通路や機関燃焼室、吸気通路等にそれぞれ供給された空気量の合計と燃料の合計との比を意味するものとする。従って、NOX 吸収剤18の上流側排気通路に燃料または空気が供給されない場合には、排気空燃比は機関の空燃比(機関燃焼室内の燃焼における空燃比)と等しくなる。
【0026】
NOX 吸収剤のNOX 吸放出作用の詳細なメカニズムについては明らかでない部分もある。しかし、この吸放出作用は図2に示すようなメカニズムで行われているものと考えられる。次にこのメカニズムについて担体上に白金PtおよびバリウムBa を担持させた場合を例にとって説明するが、他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0027】
すなわち、流入排気が理論空燃比よりリーン側になると流入排気中の酸素濃度が大巾に増大し、図2(A) に示されるようにこれら酸素O2 がO2 - またはO2-の形で白金Pt の表面に付着する。一方、機関からのNOX は大部分がNOの形で排出されるが、NOX 吸収剤に流入する排気中のNOは白金Pt の表面上でこのO2 - またはO2-と反応し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 ) 。次いで生成されたNO2 の一部は白金Pt上で酸化されつつ吸収剤内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図2(A) に示されるように硝酸イオンNO3 - の形で吸収剤内に拡散する。このようにしてNOX がNOX 吸収剤18内に吸収される。
【0028】
従って、流入排気中の酸素濃度が高い限り白金Pt の表面でNO2 が生成され、吸収剤のNOX 吸収能力が飽和しない限りNO2 が吸収剤内に吸収されて硝酸イオンNO3 - が生成される。これに対して機関1の空燃比が理論空燃比よりリッチ側に変化すると、流入排気中の酸素濃度が低下してPtでのNO2 生成量が減少する。これにより反応は逆方向(NO3 - →NO2 )に進み、吸収剤内の硝酸イオンNO3 - がNO2 の形で吸収剤から放出される。
【0029】
一方、流入排気中に未燃HC、CO等の成分が存在すると、これらの成分は白金Pt 上の酸素O2 - またはO2-と反応して酸化され、白金Pt 上の酸素を消費する。また、NOX 吸収剤18から放出されたNO2 は図2(B) に示すようにHC、COと反応して還元される。このようにして白金Pt の表面上にNO2 が存在しなくなると吸収剤から次から次へとNO2 が放出される。
【0030】
すなわち、流入排気中のHC、COは、まず白金Pt 上のO2 - またはO2-とただちに反応して酸化され、次いで白金Pt 上のO2 - またはO2-が消費されてもまだHC、COが残っていればこのHC、COによって吸収剤から放出されたNOX 、および排気とともに流入するNOX が還元される。
上記NOX 吸収剤からのNOX の放出速度は排気中のHC、CO成分が多いほど、すなわち流入する排気の空燃比がリッチであるほど(排気の空燃比が小さいほど)大きくなる。このため、排気空燃比が大幅にリッチであればNOX 吸収剤が吸収したNOX の全量が短時間で放出、還元浄化されるが、排気空燃比のリッチの程度が低く理論空燃比近傍であるような場合には、NOX 吸収剤が吸収したNOX の全量を放出するためには長い時間を要することになる。
【0031】
このため、理論空燃比近傍の狭い範囲に空燃比を制御する機関の排気をNOX 吸収剤を用いて浄化しようとすると、空燃比がリッチ側に振れている間に放出できるNOX 量が少なくなり、前述のようにNOX の浄化率が低下してしまう問題が生じるのである。
図10は、NOX 吸収剤に流入する排気の空燃比変化とNOX 吸収剤内に吸収されたNOX 量の時間的変化とを説明する図である。図10(A) は流入する排気の空燃比変化であり、図10(A) の例では排気空燃比は理論空燃比に近傍の狭い範囲(例えば理論空燃比を中心として空燃比で±0.05程度の範囲)で周期的に増減を繰り返している。図10(A) のように理論空燃比近傍の狭い範囲で空燃比が変化する状態が続くと、空燃比がリッチ側に振れている期間のNOX 放出量が空燃比がリーン側に振れている期間のNOX 吸収量より小さいため、NOX 吸収剤内に吸収されたままのNOX 量が増大し、短期間でNOX 吸収剤内のNOX 量が飽和量付近まで増大してしまう。
【0032】
図10(B) は図10(A) の空燃比変化がある程度の期間続き、NOX 吸収剤内のNOX 量が飽和量付近まで増大した場合のNOX 吸収剤内のNOX 量の変化を示している。例えば、図10(A) に▲1▼で示した時点で排気空燃比がリーンからリッチに変化するとNOX 吸収剤からはNOX が放出され、吸収剤内のNOX 量は減少する(図10(B) にIで示す部分)。しかし、図10(A) の例では、空燃比のリッチ側への変化は緩やかであり、リッチ側への空燃比の振れ幅も小さいため、NOX 吸収剤からのNOX 放出速度は小さい。このため、空燃比がリーンから再度リッチに変化する時点(図10(A) ▲2▼)までに吸収剤内から放出されるNOX の量は少なく、空燃比がリッチに変化する時点ではNOX 吸収剤内には飽和量に近い量のNOX が残留している。(図10(B) 、II点) 。図10(A) ▲2▼で空燃比がリーン側に振れはじめるとNOX 吸収剤はこの状態からNOX 吸収を開始することになるため、NOX 吸収開始後すぐにNOX 吸収量が飽和量に到達してしまい(図10(B) 、III )、その後は空燃比がリーン側に振れていてもNOX 吸収剤はNOX を吸収できなくなる。
【0033】
すなわち、NOX 吸収剤が空燃比変化の1サイクルで吸収できるNOX の量は空燃比がリッチ側に振れている期間に放出されるNOX の量(図10(B) にIVで示した量)に等しくなるため、図10(A) のような空燃比変化の下では空燃比変化1サイクル当たりのNOX 吸収量は極めて小さくなってしまう。従って、図10(A) のように空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲で制御される機関では、NOX 吸収剤を用いてもNOX 浄化率を向上させることができない。
【0034】
しかし、仮に図10(B) に点線で示したように、各空燃比変化サイクルでNOX 吸収剤がNOX の吸収を開始するまでにNOX 吸収剤が吸収したNOX の大部分を放出させることができれば、NOX 吸収量は大幅に増大するため(図10(B) 、V )、NOX の浄化率を大幅に向上させることができる。本実施形態では、以下に説明するように機関1の空燃比を制御することにより、各空燃比変動サイクルにおけるNOX 吸収剤からのNOX 放出量を増大させ、NOX の浄化率の向上を図っている。
【0035】
以下、図3から図9を用いて本実施形態における機関1の空燃比制御について説明する。
本実施形態では、燃料噴射弁11からの燃料噴射量TAUは、ECU30により一定クランク軸回転角毎に実行される図示しないルーチンにより、
TAU=TAUP×FAF×α+β
として算出される。ここで、α、βは機関の運転状態等により定まる定数、また、TAUPは機関空燃比を理論空燃比にするために必要な燃料噴射量(基本燃料噴射量)であり、吸気圧センサ15で検出した吸気圧力PMと回転数センサ21で検出された機関回転数NEとから決定される。本実施形態では、TAUPの値は予めPM、NEの条件を変えて実測等により決定され、PMとNEとを用いた数値テーブルとしてECU30のROM32に格納されている。
【0036】
また、FAFは空燃比補正係数であり、NOX 吸収剤下流側O2 センサ20の検出した排気空燃比と、NOX 吸収剤上流側O2 センサ25の検出した排気空燃比とに基づいて算出される。上記TAUの式から判るように、FAFの値が1より大きくなると燃料噴射量は増大して機関空燃比はリッチ側に移行し、FAFの値が小さくなると機関空燃比はリーン側に移行する。
【0037】
図3、図4は上流側O2 センサ25出力に基づく空燃比フィードバック制御を示すフローチャートである。本ルーチンは制御回路10により一定時間間隔(例えば4ms毎)で実行される。
本ルーチンでは、上流側O2 センサ25の出力VOMを比較電圧VR1(理論空燃比相当電圧)と比較し、触媒コンバータ上流側での排気空燃比が理論空燃比よりリッチ(VOM>VR1)のときには空燃比補正量FAFを減少させ、リーン(VOM≦VR1)のときにはFAFを増大させる制御を行う。O2 センサは排気空燃比が理論空燃比よりリッチ側のときに、例えば0.9ボルトの電圧信号を出力し、排気空燃比が理論空燃比よりリーン側のときに例えば0.1ボルト程度の電圧信号を出力する。本実施例では、上記比較電圧VR1は0.45ボルト程度に設定される。上記のように空燃比補正量FAFを排気空燃比に応じて増減することにより、吸気圧センサ15や燃料噴射弁7等の燃料供給系の機器に多少の誤差が生じている場合でも機関空燃比は正確に理論空燃比近傍に修正される。
【0038】
以下、図3、図4のフローチャートを簡単に説明すると、ステップ301はフィードバック制御実行条件が成立しているか否かの判定を示す。フィードバック制御実行条件は、例えば、O2 センサが活性化していること、機関暖機が完了していること、フュエルカットから復帰後所定時間が経過していること、等であり、実行条件が成立している時にのみステップ302以下のFAF算出が行われる。フィードバック制御実行条件が成立していない場合には、ルーチンは図4、ステップ325に進み、フラグXMFBの値を0にセットしてルーチンを終了する。フラグXMFBは上流側O2 センサ25出力に基づく空燃比フィードバック制御を実行中か否かを示すフラグであり、XMFB=0は上流側O2 センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御が停止されていることを意味する。
【0039】
ステップ302から315は空燃比の判定を示す。
ステップ309と315とに示すフラグF1は、機関空燃比がリッチ(F1=1)かリーン(F1=0)かを表す空燃比フラグであり、F1=0からF1=1(リーンからリッチ)への切換えは上流側O2 センサ25が所定時間(TDR)以上継続してリッチ信号(VOM >VR1)を出力したときに(ステップ303、310から315)、またF1=1からF1=0(リッチからリーン)への切換えは上流側O2 センサ25が所定時間(−TDL)以上継続してリーン信号(VOM ≦VR1)を出力したときに行われる(ステップ303から309)。CDLYは空燃比フラグ切換えタイミングを判定するためのカウンタである。
【0040】
図4ステップ316から323では、上記により設定されたフラグF1の値に応じてFAFの増減を行う。すなわち、今回ルーチン実行時のF1の値と前回ルーチン実行時のF1の値を比較して、F1の値が変化したか、つまり空燃比がリッチからリーン、またはリーンからリッチに反転したかを判断する(ステップ316)。そして、現在のF1の値がF1=0(リーン)の場合には、先ずF1=1からF1=0(リッチからリーン)に変化(反転)した直後に比較的大きな値RSRだけFAFをスキップ的に増大させ(ステップ317、318)、その後はF1=0である間はルーチン実行毎に比較的小さな値KIRずつ徐々にFAFを増大させる(ステップ320、321)。同様に、現在のF1の値がF1=1(リッチ)の場合には、先ずF1=0からF1=1(リーンからリッチ)に反転した直後にスキップ的にRSLだけFAFを減少させ(ステップ317、319)、その後はF1=1である間はルーチン実行毎にKILずつ徐々にFAFを減少させる(ステップ320、322)。また、上記により算出したFAFの値を最大値(本実施例ではFAF=1.2)と最小値(本実施例ではFAF=0.8)で定まる範囲を越えないようにガードした後(ステップ323)、フラグXMFBの値を1にセットして(ステップ324)本ルーチンは終了する。
【0041】
上記図3、図4の制御により、例えばRSR=RSLであった場合には、FAFの値と機関空燃比A/Fとは、それぞれ図5(A) 、図5(B) に示すように変化する。すなわち、FAFの値はFAF=1.0の値を中心にして比較的短い周期(例えば0.5から1秒程度)で対称に変動し(図5(A) 参照)、空燃比A/FもFAFの変動に応じて理論空燃比(FAF=1.0に相当)を中心として対称に変動する。すなわち、機関空燃比の時間平均は理論空燃比に等しくなる。
【0042】
一方、図6(A) 、図6(B) はRSRの値がRSLに較べて大きく設定された場合のFAFと機関空燃比A/Fとの変化を示す図5(A) 、(B) と同様な図である。
図6(A) に示すように、RSRの値がRSLの値より大きくなると、FAF≧1.0となる期間が長くなり、FAFの最大値もRSRの値に応じて大きくなる。このため、FAFの値の時間平均(図6(A) FAFAV)は1.0より大きくなる。また、図6(B) に示すように、機関空燃比A/Fはリッチ側に大きく、かつ長く振れるようになり、空燃比A/Fの時間平均(図6(B) AFAV)はリッチ空燃比側になる。従って、RSRの値を大きく設定するほど機関空燃比(NOX 吸収剤18に流入する排気空燃比)はリッチ側に移行する。また、図示していないが、RSRの値がRSLの値より小さくなると空燃比A/Fの時間平均AFAVの値は逆にリーン空燃比側に移行することになる。
【0043】
つまり、NOX 吸収剤18に流入する排気空燃比は、微視的には図3、図4のFAF制御による短周期の変動を繰り返しているが、排気空燃比の平均値はRSRの値により変化することになる。本実施形態では、RSRの値をNOX 吸収剤下流側O2 センサ20で検出した空燃比に応じて変化させることにより、機関空燃比を理論空燃比近傍の狭い範囲内に制御している。すなわち、ECU30はNOX 吸収剤下流側O2 センサ20で検出した排気空燃比がリッチである場合にはRSRの値を徐々に減少(RSLの値を徐々に増大)し、リーンである場合にはRSRを徐々に増大(RSLの値を徐々に減少)する制御を行う。これにより、NOX 吸収剤下流側の排気空燃比がリッチの場合には機関への燃料供給量(FAF)が徐々に減少し機関空燃比はリーン側に移行するように制御され、NOX 吸収剤下流側の排気空燃比がリーンの場合には機関への燃料供給量(FAF)が徐々に増大し機関空燃比はリッチ側に移行するように制御される。
【0044】
なお、本実施形態ではRSR、RSLの値を変化させることにより排気空燃比の平均値を制御しているが、RSR、RSLの代わりに図3の遅れ時間TDR、TDL(図3ステップ308、314)または、O2 センサ25の比較電圧VR1を下流側O2 センサ20の出力で検出した排気空燃比に応じて変化させることによっても同様に機関空燃比を理論空燃比近傍の狭い範囲に制御することが可能である。
【0045】
本実施形態では、ECU30は、上記の操作に加えてNOX 吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ側からリーン側に変化したときには、RSRの値を徐々に増大させる前に一定時間の間、RSRの値を通常の制御範囲より大きな値に維持する。これにより、機関に供給される燃料量は一旦ステップ状に大幅に増量され、その後増量前の値に戻って徐々に増大するようになる。上記RSRをステップ状に増大することによる効果については後述する。
【0046】
図7、図8は上記RSRの値の設定を行うための、下流側O2 センサ20出力に基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示している。本ルーチンは一定時間毎にECU30により実行される。
図7においてルーチンがスタートすると、ステップ701、702ではフィードバック制御実行条件が成立しているか否かが判定される。ステップ701の判定条件は、図3ステップ301のものと同様である。また、ステップ702では上流側O2 センサ25出力に基づく空燃比フィードバック制御が実施されているか否かが判定され、制御実施中(フラグXMFB=1)の場合にのみステップ704以下の制御が実行される。制御が実施されていない場合には(XMFB≠1)、ステップ703でフラグXSFBの値を0にセットしてルーチンを終了する。フラグXSFBは下流側O2 センサ20出力に基づく空燃比フィードバック制御を実行中か否かを示すフラグであり、XSFB=0は下流側O2 センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御が停止されていることを意味する。
【0047】
ステップ702で上流側O2 センサ25出力に基づく空燃比フィードバック制御を実行中であった場合には、ステップ704でフラグXSFBの値を1にセットした後、図8ステップ705に進み、フラグFSKの値が1にセットされているか否かを判断する。
FSKは、後述するように、RSRの値のステップ状増大を実行中か否かを示すフラグであり、FSK=1は現在RSRのステップ状増大を実行中であることを意味している。
【0048】
ステップ705でFSK≠1、すなわち現在RSRのステップ状増大を実行中でない場合には、ステップ706でNOX 吸収剤下流側O2 センサ20の出力VOSをAD変換して読み込み、ステップ707ではVOSがリーン空燃比相当値(VOS≦VR2、VR2はO2 センサ20出力の比較電圧)か否かを判定する。
ステップ707でVOSの値がリーン空燃比相当値であった場合には、次いで、ステップ708で前回ルーチン実行時の下流側O2 センサ20出力VOSi-1 がリーン空燃比相当出力(VOSi-1 ≦VR2)であったか否かを判定する。前回ルーチン実行時もVOSi-1 がリーン空燃比相当出力であった場合にはステップ709でパラメータRSR1 を一定量ΔRSだけ増大させ、ステップ710、711では増大したRSR1 の値が最大値MAXを越えないように制限するとともに、ステップ712でRSRの値をRSR1 に等しく設定する。また、ステップ714ではRSLの値を、RSL=0.1−RSRとして設定する。すなわち、RSLの値はRSRが増大するにつれて小さな値に設定される。
【0049】
ステップ709から712の実行により、VOSの値(NOX 吸収剤下流側での排気空燃比)が前回から連続してリーンである限りRSRの値はルーチン実行毎に一定値ΔRSずつ徐々に低減されることになる。
また、ステップ707で下流側O2 センサ20出力がリッチ空燃比相当値(VOS>VR2)であった場合には、ステップ715でパラメータRSR1 の値を一定量ΔRSだけ減少させ、、ステップ717、718では低減したRSR1 の値が最小値MINより小さくならないように制限するとともに、ステップ712でRSRの値をRSR1 に等しく設定する。これにより、NOX 吸収剤下流側での排気空燃比がリッチである限りRSRの値はルーチン実行毎に一定値ΔRSずつ徐々に低減されることになる。
【0050】
一方、ステップ708でVOSi-1 >VR2であった場合、すなわち前回ルーチン実行時から今回のルーチン実行時までにNOX 吸収剤下流側での排気空燃比がリッチからリーンに変化していた場合には、ステップ719から724を実行し、一定の時間TR の間RSRの値を一定の大きな値RSRR に保持する。すなわち、ステップ708でVOSi-1 >VR2であった場合には、ステップ719に進み前述のフラグFSKの値を1にセットするとともに、ステップ720で計時カウンタTSKの値をクリアする。また、ステップ721ではRSRの値を一定値RSRR に増大させ、ステップ722で計時カウンタTSKの値を1だけ増大させる。これにより、TSKの値はNOX 吸収剤下流側での排気空燃比がリッチからリーンに変化してからの時間を表すことになる。
【0051】
一方、ステップ719でフラグFSKの値が1にセットされると、次回のルーチン実行からは、ステップ705の次にステップ721が実行され、RSRの値は大きな値RSRR に保持されることになる。
ステップ723、724はRSRの増大制御の終了操作を示す。本実施形態では、計時カウンタTSKの値が所定値TR 以上になった時、すなわちRSRを増大させた状態(ステップ719、720)が所定時間TR 以上になると(ステップ719でTSK≧TR )、ステップ724でフラグFSKの値は0にリセットされる。これにより、ステップ705の次にステップ706以下が実行されるようになり、RSRの値は一旦増大制御開始前のRSR1 の値に低減された後、徐々に増大(ステップ709)されることになる。つまり、ステップ708、719から724の実行により、NOX 吸収剤下流側のO2 センサ20の出力がリッチからリーンに変化する毎に、RSRの値は一定時間TR の間、大きな一定値RSRR に保持され、機関への燃料供給量がステップ状に増大されることになる。
【0052】
図9、(A) から(C) は、上記図7、図8の制御を行ったときのNOX 吸収剤下流側での排気空燃比の変化(図9(A) )、補正量RSRの変化(図9(B) )、及びNOX 吸収剤上流側での排気空燃比平均値の変化(図9(C) )を示している。図9(A) 、(C) を比較すると判るように、NOX 吸収剤下流側での排気空燃比の変化は、NOX 吸収剤18容器内の容積がデッドボリュームとして作用するためにNOX 吸収剤上流側の排気空燃比変化に対して遅れ時間(図9(A) にTD で示す)を有している。このため、例えば下流側空燃比がリッチ側に振れている期間(図9(A) 、区間I)の後半では、RSR(図9(B) )がかなり小さくなっており、上流側排気空燃比(図9(C) )は既にリーンになっている。
【0053】
この状態で下流側排気空燃比がリッチからリーンに変化すると(図9(A) 点II)、RSRは時間TR の間だけRSRR までステップ状に増大され、その後RSRR に増大する前の値に戻ってから徐々に増加する。このため、上流側排気空燃比はリーンになった後、一旦大幅にリッチになり、この状態に時間TR の間維持された後、再度リーンになってから徐々にリッチ側に変化する(図9(C) 参照)。 図9(D) は、NOX 吸収剤上流側排気空燃比(NOX 吸収剤に流入する排気空燃比)が図9(C) のように変化したときの、NOX 吸収剤内に吸収されたNOX 量の変化を示している。本実施形態では、NOX 吸収剤上流側の排気空燃比は、徐々にリッチ側に移行を始める前に、一旦ステップ状に大きくリッチ側に振れ、この状態に一定時間保持される(図9(C) 、III 部分)。この時の排気空燃比は、通常の制御による排気空燃比(図9(C) IV部分)より大幅にリッチであるため、この排気がNOX 吸収剤内に流入するとNOX 吸収剤からのNOX 放出速度は大幅に増加し、短時間でNOX 吸収剤内に吸収されたNOX の略全量が放出、還元浄化される(図9(D) 、V 部分)。このため、上流側排気空燃比が再度リーン側に振れている間、NOX 吸収剤は排気中のNOX の吸収を続けても飽和状態になることはない。この時にNOX 吸収剤に吸収されたNOX の一部は、次に排気空燃比がリッチ側に振れたときにその一部が放出、還元浄化され、更に、次に排気空燃比がステップ状にリッチ側にされたときにその全量が放出、還元浄化される。
【0054】
図9(D) と図10(B) とを比較すると明らかなように、本実施形態では、短時間ステップ状に排気空燃比をリッチ化することにより、一旦NOX吸収剤内に吸収されたNOX量を略ゼロにすることが可能となるため、空燃比変動の1サイクル中にNOX吸収剤により吸収され、放出、還元浄化されるNOX量が大幅に増大している。なお、図10(B) では、排気空燃比をステップ上にリッチ化することによりNOX吸収剤のNOX吸収量を略ゼロまで低下させているが、実際には空燃比がリッチ側に振れている間に吸収したNOXの全量を放出させることができればNOX吸収量をゼロに低下させる必要はない。
【0055】
また、上記説明から明らかなように、本実施形態では、図7、図8の制御ルーチンのステップ707及びステップ709から718が請求項1の第1の空燃比制御手段に相当し、ステップ705、707、708及びステップ719から724が請求項1の第2の空燃比制御手段に相当している。
次に、上記実施形態におけるステップ状のRSRの増大量RSRR と保持時間TR の設定について説明する。
【0056】
前述のように、RSRR の値(すなわちステップ状の空燃比変化時のリッチ側への振れ幅)は大きければ大きいほどNOX の放出速度が大きくなる。また、時間TR を長く設定するほど、NOX 吸収剤から放出されるNOX 量は増大する。上記実施形態では、NOX 吸収剤に吸収された飽和量のNOX の全量を放出させることができるRSRR とTR との値を予め求めておき、NOX 吸収剤の吸収量にかかわらずRSRR とTR とをこの値(一定値)に設定するようにすることも可能である。
【0057】
しかし、NOX 吸収剤のNOX 吸収量は運転状態によって変動するため、RSRR とTR との値は一定値とするよりもNOX 吸収剤のNOX 吸収量に応じて設定するようにした方が好ましい。例えば、NOX 吸収量が少ない場合には、吸収量が多い場合に較べてRSRR またはTR のうち一方(もしくは両方)を小さく設定する方が燃費改善の点からも有利である。
【0058】
そこで、以下に説明する実施形態では、NOX 吸収剤のNOX 吸収量に応じてRSRR 、TR の値を変更するようにしてNOX 吸収剤からのNOX の放出、還元を完全に行うとともに、燃費の向上を図っている。
図11はNOX 吸収量に応じてRSRR の値を設定するための制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンはECU30により一定時間毎に実行される。
【0059】
NOX 吸収量に応じてRSRR の値を設定するためには、まず実際にNOX 吸収剤に吸収されたNOX 量を知る必要がある。ところで、NOX 吸収剤は流入する排気空燃比がリーンのときにNOX を吸収するため、図9に示した空燃比変動の1サイクル中にNOX 吸収剤に吸収されるNOX の量は、図9(C) の空燃比変動1サイクル中の空燃比がリーンに振れている時間(図9(C) にtL で示す時間)に略比例すると考えられる。また、この時間tL は、RSRのステップ状増大の実施間隔(図9(B) にTLで示す時間)の二分の一に等しい。そこで、本実施形態では、NOX 吸収剤に吸収されたNOX 量はRSRのステップ状増大の実施間隔TLに比例していると仮定する。
【0060】
一方、前述のように、RSRのステップ状増大時にNOX 吸収剤から放出、還元されるNOX の量は、NOX 吸収剤からのNOX 放出速度と時間TR との積に比例する。また、NOX 放出速度は単位時間にNOX 吸収剤に流入する排気中のHC、CO成分の量に比例すると考えられる。さらに、単位時間内にNOX 吸収剤に流入する排気中のHC、CO成分の量は空燃比のリッチの度合い(RSRR )と排気流量QE との積、RSRR ×QE に比例すると考えられる。つまり、RSRのステップ状増大時にNOX 吸収剤から放出、還元浄化されるNOX の量は、TR ×RSRR ×QE に比例する。
【0061】
従って、空燃比変動1サイクル中で、NOX 吸収剤の吸収したNOX の全量を放出、還元浄化させるためには、時間TLに比例して(TR ×RSRR ×QE )の値を変化させれば良い。すなわち、A×TL=TR ×RSRR ×QE の関係が成立する(Aは比例定数であり、NOX 吸収剤の種類、容量などにより異なるため、予め実験等により求める))。
【0062】
このため、図11の例ではTR を一定値に固定して、RSRR の値を、
RSRR =A×TL/(TR ×QE )として算出するようにしている。
以下、図11のフローチャートを簡単に説明する。図11においてルーチンがスタートすると、ステップ1101では、計時カウンタCTの値が1増大される。CTはルーチン実行毎に増大され、ステップ状のRSR増大が実施される毎にクリア(ステップ1106)されるカウンタである。このため、カウンタCTの値は、前回ステップ状のRSR増大が実施されてからの経過時間を表すことになる。ついで、ステップ1102では前回のルーチン実行から今回のルーチン実行までにステップ状のRSR増大が開始されたか否かを図8のフラグFSKの値に基づいて判定する。今回ルーチン実行時にFSKの値が0から1に変化している場合、すなわち前回ルーチン実行時にFSKの値が0であり、かつ今回FSKの値が1である場合にはステップ状のRSR増大が実施されているためステップ1102に進み、それ以外の場合にはステップ状のRSR増大が実施されていないため、そのままルーチンを終了する。
【0063】
ステップ状のRSR増大が実施されている場合には、現在のカウンタCTの値は、前回ステップ状のRSR増大が実施されてから今回のステップ状のRSR増大が実施されるまでの時間を表していることになる。そこで、ステップ1103では現在のCTの値をTLとして記憶する。また、ステップ1104では、吸気圧力センサ15で検出した吸気圧力PMと回転数センサ21で検出した機関回転数NEとから機関排気流量QE (すなわち機関吸入空気量)(グラム/秒)を算出する。QE の値は、予め各PMとNEとの組合せを変えて実測して求め、ECU30のROM32に数値テーブルの形で格納されている。
【0064】
次いで、ステップ1105では上記により求めたTL、QE を用いてRSRR の値を、RSRR =A×TL/(TR ×QE )として設定し、ステップ1106ではカウンタCTの値をクリアしてルーチンを終了する。なお、図11のルーチンでは、TR は一定値に固定されている。
次に、図12にNOX 吸収剤のNOX 吸収量に応じてステップ状のRSR増大時間TR を変化させる場合の制御フローチャートを示す。図12の実施形態では、RSRR の値は一定値に固定され、時間TR の値を、
R =A×TL/(RSRR ×QE )として設定する(図12ステップ1205)。なお、図12のフローチャートの各ステップは、ステップ1205を除き図11と同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0065】
図11、図12の実施形態によれば、ステップ状のRSR増大時のRSRR の値(すなわち燃料供給量の増大量)又はステップ状のRSR増大時間TR がNOX 吸収剤の吸収したNOX 量に応じて適切に設定されるため、燃費の向上を図りながら、NOX 吸収剤からのNOX の放出、還元浄化を完全に行うことが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態ではRSRの値を下流側O2 センサ20出力に応じて変化させることにより、上記の空燃比制御を行っているが、前述のようにTDR、VR1等の値をO2 センサ20出力に応じて変化させることによっても同様な制御が可能である。この場合には、O2 センサ20出力がリッチからリーンに変化したときにTDRまたはVR1をステップ状に増大させるようにすれば良い。
【0067】
次に図13を用いて、図1とは別の本発明の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態の構成の概略を示している。本実施形態では、図1の実施形態の構成において、更にNOX 吸収剤18の下流側にO2 ストレージ作用を有する三元触媒21を配置するとともに、更に三元触媒21下流側の排気通路に第3のO2 センサ22を配置したものである。
【0068】
前述のように、リッチ空燃比時に機関1から排出されるHC、CO成分は、その大部分がNOX 吸収剤でNOX の還元に消費されるが、一部のHC、CO成分は消費されずにNOX 吸収剤を通過する。本実施形態では、NOX 吸収剤18の下流側排気通路に三元触媒21を配置することにより、NOX 吸収剤を通過したHC、CO成分を浄化し、大気への放出を防止している。
【0069】
三元触媒21は、白金Pt、ロジウムRh等の活性成分の他に、O2 ストレージ作用を持たせるためにセリウムCe等の酸化物を添加したものが使用される。この添加成分の作用により、三元触媒21は流入する排気空燃比が理論空燃比よりリーンのときに排気中の酸素を吸着、保持し、排気空燃比が理論空燃比よりリッチのときに吸着した酸素を放出するO2 ストレージ作用を有している。
【0070】
このため、三元触媒21は流入する排気空燃比がリッチになり、排気中の酸素濃度が低下した場合でも三元触媒21自体に吸着、保持した酸素によりある程度の時間排気中のHC、CO成分を酸化することができる。
ところが、本実施形態では、三元触媒に流入する排気の平均空燃比は比較的長い周期でリッチとリーンとの間を変動する(図9(A) )。このような場合には、空燃比がリッチ側に振れている期間の途中で三元触媒21が吸着した酸素の全量を放出し尽くしてしまう場合が生じる。酸素の全量が放出し尽くされると、三元触媒はもはやリッチ空燃比下ではHC、CO成分を酸化することはできなくなり、排気中のHC、CO成分は浄化されないまま三元触媒を通過して大気に放出されることになる。
【0071】
そこで、本実施形態では三元触媒18下流側に第3のO2 センサ22を配置し、このO2 センサ21の出力がリーン出力からリッチ出力に変化したときに機関空燃比を一時的にリーンに移行させることにより、三元触媒内の酸素吸着量が低下した状態が続くことを防止している。
図14は、本実施形態における機関1の空燃比制御を示す図である。本実施形態においても、図3、図4の上流側O2 センサ25出力に基づく空燃比フィードバック制御においてRSRの値を変化させることにより空燃比制御を行う。図14(A) はNOX 吸収剤18と三元触媒21との間に配置されたO2 センサ20出力VOSの時間的変化、図14(B) は三元触媒21下流側のO2 センサ22出力VO3の時間的変化、図14(C) は図7、図8の制御におけるRSRの値の変化を、また図14(D) はNOX 吸収剤18内に吸収されたNOX 量の変化、図14(E) は三元触媒21内に吸着された酸素量の変化を示している。 図14(C) に示すように、本実施形態においても、図1の実施形態と同様に、NOX 吸収剤18下流側O2 センサ20の出力(図14(A) )がリッチ相当出力からリーン相当出力に変化したときに、RSRの値をステップ状にRSRR まで増大し、時間TR の間RSRR に保持する(図14(C) 、I)。また、本実施形態では、さらに三元触媒21下流側のO2 センサ22の出力(図14(B) )がリーン相当出力からリッチ相当出力に変化したときに、RSRの値をステップ状にRSRL まで低減し、時間TL の間RSRL に保持し(図14(C) 、II)、機関空燃比をリーン空燃比にする制御を行う。
【0072】
三元触媒21下流側O2 センサ22の出力がリーン出力からリッチ出力に変化したときにRSRを低減して空燃比をリーン化するのは、O2 センサ22の出力がリーンからリッチに変化したことは、三元触媒21に吸着された酸素が全量放出し尽くされたことを意味するため、このときに空燃比をリーン化して三元触媒21の酸素吸着量を増大させるためである。すなわち、三元触媒21内に酸素が残っている場合には、三元触媒21に流入する排気の空燃比がリッチになっても三元触媒21で酸素が放出されるため、三元触媒21を通過する排気の空燃比はリッチ空燃比にはならない。しかし、酸素が放出し尽くされると排気空燃比は急激に三元触媒21に流入する排気空燃比と同じリッチになりO2 センサ22の出力はリーン出力からリッチ出力に変化する。このため、O2 センサ22の出力の変化を監視することにより、三元触媒21内の酸素量の低下を検出することができる。
【0073】
上記のようにRSRを変化させた場合(図14(C) )の三元触媒21の酸素吸着量の変化について図14(E) を用いて説明する。
図14(C) においてRSRが減少すると(図14(C) IIIa) 、三元触媒に流入する排気の空燃比はリーンになり、三元触媒内の酸素吸着量は次第に増大する(図14(E) 、III )。また、NOX吸収剤18下流側のO2センサ20の出力がリッチからリーンに変化すると、ステップ状にRSRが増大されるため(図14(C) 、I)、空燃比は一時的にリッチになり、三元触媒18内の酸素吸着量は一時的に減少するが(図14(E) 、IV)、その後RSRが低減されて排気空燃比がリーンになると再び増大する(図14(E) 、V )。また、その後RSRの値が徐々に増大すると、三元触媒21からは酸素が放出され、三元触媒の酸素吸着量は減少し(図14(E) VI)、ついには三元触媒内の酸素の全量が放出される(図14(E) 、VII )。ところが、酸素が全量放出し尽くされると、三元触媒18下流側O2センサ22がリッチ出力からリーン出力に変化するため、この時点でRSRがステップ状に低減され(図14(C) 、II)、空燃比は一時的にリーンになる。このため、三元触媒18内の酸素吸着量は再度増大する。これにより、RSRのステップ状低減が終了し、再度空燃比がリッチになった場合でも三元触媒18内には吸着酸素が存在するようになるためリッチ空燃比下で流入する排気中のHC、CO成分を完全に除去することが可能となる。なお、この場合にはNOX吸収剤18内に吸収されたNOX量の変化(図14(D) )は、空燃比のリーン側へのステップ状変化(図14(C) 、II)に対応してNOX吸収量が多少増大(図14(D) 、IX)する点を除けば図9(D) のものと略同一であり、NOX浄化率は図9(D) の場合と同様高く維持される。
【0074】
図15、図16は図14の空燃比制御を行うためのO2 センサ20及び22の出力に基づいてRSRの値を設定するための空燃比フィードバック制御ルーチンのフローチャートの一部を示している。本フローチャートは、図8のフローチャートにステップ1501、ステップ1503(図15)、及びステップ1504から1510(図16)が付加された点、及びステップ1502(図15)でO2 センサ20の出力VOSのみでなく三元触媒21下流側のO2 センサ22出力VO3 をもAD変換して読み込む点のみが相違しており、図8と同一のステップ番号を付したものは、図8と同一の操作を表している。
【0075】
すなわち、本実施例では、三元触媒21下流側のO2 センサ22出力VO3 がリッチ(ステップ1503でVO3 >VR3の場合、ここでVR3はO2 センサ22出力の比較電圧である)の場合には、前回ルーチン実行時のO2 センサ22出力(VO3 i-1)がリーンであったか否か(図16ステップ1504)に基づいて、O2 センサ22出力がリーンからリッチに変化したか否かを判定し、リーンからリッチに変化した直後である場合(ステップ1504でVO3 >VR3)のみ、ステップ1505から1510を実行する。また、ステップ1503でVO3 がリッチ出力であった場合、及びステップ1504でVO3 ≦VR3の場合には、いずれもステップ708に進み、図8と同一の制御を実行する。
【0076】
また、ステップ1505から1510では、一定時間TL (ステップ1509)の間RSRの値を空燃比を十分リーンにすることができる値RSRL に保持する。なお、ステップ1501のFSLはRSRのステップ状低減操作実行中であることを表すフラグであり、図8ステップ705のフラグFSKと同様の機能を有する。また、TSLは、図8のTSKと同様な機能を有する計時カウンタである。なお、本実施形態では、図16のステップ1504から1510は請求項3の第3の空燃比制御手段に相当している。
【0077】
また、本実施形態においても、図11、図12に示したようにRSRR またはTL をNOX 吸収剤のNOX 吸収量に応じて変化させるようにすることができることはいうまでもない。
【0078】
【発明の効果】
請求項1及び請求項2の発明によれば、理論空燃比を中心とした狭い空燃比範囲に機関空燃比を制御する機関にNOX吸収剤を用いた排気浄化装置を適用する場合に、NOX浄化率を大幅に向上させることが可能となるとともに、燃費の悪化を防止することが可能となる。
【0079】
請求項3の発明によれば、理論空燃比を中心とした狭い空燃比範囲に機関空燃比を制御する機関にNOX吸収剤を用いた排気浄化装置を適用する場合に、NOX浄化率を大幅に向上させるとともに、更にHC、CO成分の浄化率をも大幅に向上させることが可能となる。
また、請求項4及び請求項5の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、更に燃費の悪化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】NOX 吸収剤のNOX 吸放出作用を説明する図である。
【図3】図1の実施形態における上流側O2 センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図4】図1の実施形態における上流側O2 センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図5】図3、図4の制御による機関空燃比の変化を説明する図である。
【図6】図3、図4の制御による機関空燃比の変化を説明する図である。
【図7】図1の実施形態における下流側O2 センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図8】図1の実施形態における下流側O2 センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図9】図7、図8の制御による機関空燃比の変化と、NOX 吸収剤のNOX 吸収量の時間的変化を説明する図である。
【図10】従来の空燃比制御の問題点を説明する図である。
【図11】図7、図8のルーチンに使用する定数の設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図12】図7、図8のルーチンに使用する定数の設定ルーチンの別の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の図1とは別の実施形態の構成を示す図である。
【図14】図13の実施形態における機関空燃比の変化と、NOX 吸収剤のNOX 吸収量の時間的変化を説明する図である。
【図15】図13の実施形態におけるNOX 吸収剤下流側O2 センサ出力と三元触媒下流側O2 センサ出力とに基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【図16】図13の実施形態におけるNOX 吸収剤下流側O2 センサ出力と三元触媒下流側O2 センサ出力とに基づく空燃比フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートの一部である。
【符号の説明】
1…内燃機関
17…排気通路
18…NOX 吸収剤
20…O2 センサ
21…三元触媒
22…O2 センサ
25…O2 センサ
30…ECU

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に配置され、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに吸収したNOXを放出、還元浄化するNOX吸収剤と、
    該NOX吸収剤の下流側の排気通路に配置され、NOX吸収剤下流側の排気空燃比を検出する空燃比センサと、
    前記空燃比センサにより検出されたNOX吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に低減し、理論空燃比よりリーン空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に増大させる第1の空燃比制御手段と、
    前記空燃比センサで検出した排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリッチ空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を増大させる第2の空燃比制御手段とを備えた内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NO X 吸収剤のNO X 吸収量を検出するNO X 吸収量検出手段と、該NO X 吸収量に応じて前記ステップ状の燃料供給量増大の際の燃料供給増大量を決定する増大量決定手段と、を備えた内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配置され、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNO X を吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに吸収したNO X を放出、還元浄化するNO X 吸収剤と、
    該NO X 吸収剤の下流側の排気通路に配置され、NO X 吸収剤下流側の排気空燃比を検出する空燃比センサと、
    前記空燃比センサにより検出されたNO X 吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に低減し、理論空燃比よりリーン空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に増大させる第1の空燃比制御手段と、
    前記空燃比センサで検出した排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリッチ空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を増大させる第2の空燃比制御手段とを備えた内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NO X 吸収剤のNO X 吸収量を検出するNO X 吸収量検出手段と、該NO X 吸収量に応じて前記ステップ状に燃料供給量を増大させる時間を決定する増大時間決定手段と、を備えた内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 内燃機関の排気通路に配置され、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNO X を吸収し、流入する排気の空燃比がリッチのときに吸収したNO X を放出、還元浄化するNO X 吸収剤と、
    該NO X 吸収剤の下流側の排気通路に配置され、NO X 吸収剤下流側の排気空燃比を検出する第1の空燃比センサと、
    該第1の空燃比センサ下流側の排気通路に配置された、O 2 ストレージ作用を有する三元触媒と、
    該三元触媒の下流側の排気通路に配置され、三元触媒下流側の排気空燃比を検出する第2の空燃比センサと、
    前記第1の空燃比センサにより検出されたNO X 吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に低減し、理論空燃比よりリーン空燃比側であるときに機関への燃料供給量を徐々に増大させる第1の空燃比制御手段と、
    前記第1の空燃比センサで検出したNO X 吸収剤下流側の排気空燃比が理論空燃比に対してリッチ側からリーン側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリッチ空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を増大させる第2の空燃比制御手段と、
    前記第2の空燃比センサで検出した三元触媒下流側の排気空燃比が理論空燃比に対してリーン側からリッチ側に変化したときに予め定めた時間だけ、機関空燃比が所定のリーン 空燃比になるように、ステップ状に機関への燃料供給量を低減する第3の空燃比制御手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NO X 吸収剤のNO X 吸収量を検出するNO X 吸収量検出手段と、該NO X 吸収量に応じて前記ステップ状の燃料供給量増大の際の燃料供給増大量を決定する増大量決定手段と、を備えた請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 前記第2の空燃比制御手段は、更に前記NO X 吸収剤のNO X 吸収量を検出するNO X 吸収量検出手段と、該NO X 吸収量に応じて前記ステップ状に燃料供給量を増大させる時間を決定する増大時間決定手段と、を備えた請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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