JP3637596B2 - オーディオ再生装置およびヘッドホン - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、例えば、ヘッドホンによる音響信号の再生に使用して好適なオーディオ再生装置およびヘッドホンに関する。
背景技術
従来から、リスナの両耳を覆うようにして頭部にヘッドホンを装着して、両耳から音響信号を聴取するヘッドホンによる音響信号の再生方法がある。このヘッドホンによる音響信号の再生方法は、信号源からの信号が仮にステレオ信号であっても、再生される音像がリスナの頭の中にこもる、いわゆる頭内定位の現象が生じる。
一方ヘッドホンによる音響信号の再生方式の一つにバイノーラル収音再生方式がある。このバイノーラル収音再生方式とは、以下のような方式をいう。リスナの頭部を想定したダミーヘッドの左右両耳の穴にダミーヘッド・マイクロホンと呼ばれるマイクロホンを設ける。このダミーヘッドマイクロホンにより信号源からの音響信号を収音する。このようにして収音された音響信号を、実際にリスナがヘッドホンを装着して再生すると、信号源からの音声をそのまま聞いているような臨場感が得られる。このようなバイノーラル収音再生方式によれば、収音再生音像の方向感、定位感及び臨場感などを向上させることができる。しかしながらこのようなバイノーラル再生を行うためには、音源信号としてダミーヘッド・マイクロホンで収音した、スピーカ再生用とは異なる特殊なソースとしての信号源が必要とされた。
そこで上述のバイノーラル収音再生方式を応用して、例えば一般のステレオ信号をヘッドホーンにより、スピーカ再生と同じような頭部外(スピーカ位置)に定位させた再生効果を得ることが考えられ、これにより、ヘッドホンでもスピーカ再生と同じ効果が得られ、しかもヘッドホンによる外部に音をもらさない効果も得られるようになった。しかし、スピーカによるステレオ再生の場合には、リスナが頭(顔)の方向を変えても、音像の絶対的な方向及び位置は変化せず、リスナの感じる音像の相対的な方向及び位置が変化する。これに対し、ヘッドホンによるバイノーラル再生の場合には、リスナが頭(顔)の方向を変えても、リスナの感じる音像の相対的な方向及び位置は変化しない。このためバイノーラル再生であっても、リスナが頭(顔)の方向を変える場合には音場はリスナの頭の中に形成されてしまい、特に、音像をリスナの前方に定位させる、いわゆる前方定位させることが難しかった。しかも、この場合には音像が頭部上方に上昇し、特に不自然なものになりがちであった。
これに対して、特公昭42−227号公報記載のヘッドホン再生方法によれば、次のようなヘッドホンによるバイノーラル再生方法が考えられている。すなわち、音像の方向感及び定位感は、左耳及び右耳の聴取する音の音量差、時間差、位相差等により決定されるので、上記公報のシステムは、左及び右チャンネルのオーディオ信号ラインに、レベル制御回路及び可変遅延回路をそれぞれ設けると共に、リスナの頭の向きを検出し、その検出信号により各チャンネルのオーディオ信号のレベル制御回路及び可変遅延回路を制御するようにしたものである。
しかし、上記特公昭42−227号公報記載のヘッドホン再生方法においては、リスナの頭の向きの検出信号そのものによりモータを駆動し、このモータによりレベル制御回路及び可変遅延回路の可変抵抗器及び可変コンデンサをアナログ信号により機械的に制御しているので、リスナが頭の向きを変えてからヘッドホンに供給される各チャンネルのオーディオ信号の音量差及び時間差を変化させるまでに時間の遅れを生じてしまい、リスナの頭の動きに充分に対応できなかった。
また、上記特公昭42−227号公報記載のヘッドホン再生方法においては、音量差及び時間差を変化させるとき、その変化特性は、音源とリスナとの相対的な位置関係や、リスナの頭部の形状及び耳介の形状などに基づいて決定しなければならない。すなわち、ある一つの変化特性にした場合には、音源とリスナとの位置関係が固定されてしまい、距離感、音源間距離を変化させることが出来ず、また、リスナにより頭部及び耳介の形状が異なるので、効果の程度がばらついてしまうことがあった。しかも、仮想音源位置から両耳に至る伝達関数を測定する際の音源固有の特性、および用いるヘッドホン固有の特性の補正を施す手段については述べられていなかった。特に、用いるヘッドホンによって特性が大きく違ってしまうので、再生状態が変化してしまう。
更に、特公昭54−19242号公報記載の立体再生方式によれば、リスナの頭の向きとヘッドホンに供給される各チャンネルのオーディオ信号の音量差及び時間差相互の変化量の関係を連続的に求められることが記載されている。
しかし、上記特公昭54−19242号公報記載の立体再生方式においては、オーディオ信号の音量差及び時間差相互の変化量の関係を連続的に求めて、これを記憶させるためには膨大な容量のメモリを設けなくてはならず、実現が極めて困難であった。しかも、仮想音源位置から両耳に至る伝達関数を測定する際の音源固有の特性、および用いるヘッドホン固有の特性の補正を施す手段については述べられていなかった。
またさらに、本発明と同一出願人による特開平01−112900号公報記載のオーディオ再生装置には、これらオーディオ信号の音量差及び時間差相互の変化量の相互の関係を連続的ではなく離散的にデータを求めて、オーディオ信号を処理する装置が記載されている。
しかし、上記特開平01−112900号公報記載のオーディオ再生装置では、アナログ、ディジタル信号処理のどちらにも適用できるような原理的な概念が示されているのみで、アナログまたはディジタル信号処理を用い、実際の商品に適用する際の具体性に欠けている。しかも、仮想音源位置から両耳に至る伝達関数を測定する際の音源固有の特性、および用いるヘッドホン固有の特性の補正を施す手段については述べられていなかった。
またさらに、本発明と同一出願人による特開平03−214897号公報記載の音響信号再生装置には、各仮想音源位置から両耳に至る伝達関数を固定し、信号処理した後に、各耳に供給される信号のレベル及び遅延時間を頭の回転角に応じて制御することにより、構成が簡単になり、大幅なメモリーの節約ができることが述べられている。
このように上述した従来のヘッドホン再生方法、立体再生方式、オーディオ再生装置および音響信号再生装置は、信号処理に大容量のメモリを必要とし、ディジタル信号処理でなければ実施できないにもかかわらず、その具体的な信号処理、実用化のための具体的手段、方法が示されていないので、実用化するのが困難であるという不都合があった。
また、実際に耳で音を聞いている状態と同じ状態をつくるために、用いるヘッドホン特性を補正する必要がある。しかし、従来のヘッドホンでは、発音部が直接、リスナの耳全体あるいはその一部を覆うようにして押圧するので、外耳道から外側の音響空間の状態が実際に耳で音を聞いている状態と大きく異なるため、その補正の特性を求めるのが難しく、再生すべき音響信号が、マイクで収音した特性とは異なる特性で再生されてしまうという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、発音部が直接、リスナの耳全体あるいはその一部を覆うようにして押圧するので、ヘッドホンと耳との間には隙間が生じ、また、その隙間はヘッドホンを装着する度に変化するため、音響信号の再生の特性が安定しないので、補正の特性を求めるのが難しいという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、発音部が直接、リスナの耳全体あるいはその一部を覆うようにして押圧するので、常に耳が覆われるために、リスナはこの密着した装着感による耳の蒸れのため、うっとうしく感じることが多く、音響信号を快適に聞くにはふさわしくない場合があるという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、発音部が直接、リスナの耳全体あるいはその一部を覆うようにして押圧するので、本来聞こえなければ危険であるというような外界の音が聞こえにくいので、安全性に欠けるという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、リスナの個人差により耳の形状が違うにもかかわらず、ヘッドホンの形状は同じであり、これらのリスナの個人差により耳の形状の違いに対して補正する手段は設けられていないという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、リスナによるヘッドホンの装着の度に、ヘッドホンと耳とが異なる位置関係になることが多いにもかかわらず、これらを補正する手段は設けられていないという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、再生音が耳部に反射して、反射波によるノイズが発生したり外来ノイズが混入するにもかかわらず、これらを補正する手段は設けられていないという不都合があった。
また、従来のヘッドホンでは、音源および用いるヘッドホン特性により再生音が異なるにもかかわらず、これらを補正する手段は設けられていないという不都合があった。
発明の開示
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、リスナの外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させるオーディオ再生装置の提供を第1の目的とする。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、適応処理により再生特性を平滑化し、個人差や反射波等のノイズを除去するオーディオ再生装置の提供を第2の目的とする。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、リスナの外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させるヘッドホンの提供を第3の目的とする。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、適応処理により再生特性を平滑化し、個人差や反射波等のノイズを除去するヘッドホンの提供を第4の目的とする。
第1の発明のオーディオ再生装置は、複数のチャンネルの音響信号を供給する信号源と、聴取者の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から聴取者の頭部の動きに対応した両耳に至るインパルスレスポンスを測定し、測定したインパルスレスポンスを記録し、または聴取者が識別できる角度毎に、聴取者の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から聴取者の両耳に至る音響信号の時間差及びレベル差を測定し、音響信号の時間差及びレベル差を表す制御信号を記憶した記憶手段と、基準方向に対する少なくともひとりの聴取者の頭部運動を所定角度毎に検出して信号を出力する少なくともひとつの角度検出手段と、角度検出手段により検出された角度をアドレス信号に変換するアドレス信号生成手段と、信号源からの各チャンネルの音響信号を記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号に基づいて補正する制御手段と、聴取者の両耳と対向する位置に各々配され補正手段で補正された音響信号が各々供給される一対の発音部を有し、聴取者の頭部に装着可能で、且つ外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の状態に近い状態となるように設けられた音響再生手段とを備え、角度検出手段からの検出信号に基づいて、アドレス信号生成手段から出力されるアドレス信号により記憶手段のアドレスを指定し、記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、制御手段で信号源からの音響信号を、記憶手段から読み出されたインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、信号源から供給される音響信号を聴取者の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、音響再生手段の外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の状態に近い状態とすることによって、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたものである。これによれば、音響再生手段の発音部に設けられた少なくとも聴取者の耳の位置に対向する開口部により、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第2の発明のオーディオ再生装置は、発音部には、少なくとも聴取者の耳に対向する位置に開口部が設けられており、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、音響再生手段の発音部に設けられた少なくとも聴取者の耳の位置に対向する開口部により、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第3の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、頭部装着体に、各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えているものである。これによれば、音響再生手段の頭部装着体に設けられた支持手段により発音部が聴取者の耳を押圧しないようにして、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第4の発明のオーディオ再生装置は、一対の発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の各中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であるものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、第5の発明のオーディオ再生装置は、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な直線を中心として両耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。特に前方に傾けた場合には、音像を前方に定位させることができ、また後方に傾けた場合には、耳介部との反射が少なくなるため、補正が容易になり、外界前方の収音をすることができる。
また、第6の発明のオーディオ再生装置は、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の頭部の上下方向の直線を中心として両耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、第7の発明のオーディオ再生装置は、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の顔面方向の直線を中心として両耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、第8の発明のオーディオ再生装置は、支持手段は、上記発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳に対して近接または離隔可能な支持機構を備えているものである。これによれば、発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳に対して近接または離隔可能であるので、聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響を回避することができる。
また、第9の発明のオーディオ再生装置は、各発音部は、複数の発音ユニットにより構成されているとともに、各発音ユニットには、音響再生手段に供給される補正された音響信号の周波数帯域を複数の周波数帯域に分割した信号が各々供給されるものである。これによれば、音響再生手段は、音響信号の帯域を複数に分割し、発音部に複数の帯域に対応する複数の発音ユニットを設け、複数の発音ユニットより発音するようにしたので、特性が明確になり、補正を容易にすることができる。
また、第10の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、発音部が取り付けられる取り付け部材を備え、発音部は、聴取者の頭部の側面とほぼ平行となるように配されているとともに、取り付け部材に対して発音部が発音部の振動板が所定角度傾斜した状態で取り付けられているものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、収音効果も可変にすることができる。
また、第11の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、頭部装着体に、各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えているものである。これによれば、音響再生手段の頭部装着体に設けられた支持部材により発音部が聴取者の耳を押圧しないようにして、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第12の発明のオーディオ再生装置は、一対の発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の各中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であるものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、第13の発明のオーディオ再生装置は、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な直線を中心として両耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。特に前方に傾けた場合には、音像を前方に定位させることができ、また後方に傾けた場合には、耳介部との反射が少なくなるため、補正が容易になり、外界前方の収音をすることができる。
また、第14の発明のオーディオ再生装置は、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の頭部の上下方向の直線を中心として上記両耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、第15の発明のオーディオ再生装置は、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、且つ上記発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の顔面方向の直線を中心として上記両耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、第16の発明のオーディオ再生装置は、支持手段は、発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳に対して近接または離隔可能な支持機構を備えているものである。これによれば、発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳に対して近接または離隔可能であるので、聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響を回避することができる。
また、第17の発明のオーディオ再生装置は、各発音部は、複数の発音ユニットにより構成されているとともに、各発音ユニットには、音響再生手段に供給される補正された音響信号の周波数帯域を複数の周波数帯域に分割した信号が各々供給されるものである。これによれば、音響再生手段は、音響信号の帯域を複数に分割し、発音部に複数の帯域に対応する複数の発音ユニットを設け、複数の発音ユニットより発音するようにしたので、特性が明確になり、補正を容易にすることができる。
また、第18の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、発音部が取り付けられる取り付け部材を備え、発音部は、聴取者の頭部の側面とほぼ平行となるように配されているとともに、取り付け部材に対して発音部が発音部の振動板が所定角度傾斜した状態で取り付けられているものである。これによれば、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、収音効果も可変にすることができる。
また、第19の発明のオーディオ再生装置は、複数のチャンネルの音響信号を供給する信号源と、聴取者の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から聴取者の頭部の動きに対応した両耳に至るインパルスレスポンスを測定し、測定したインパルスレスポンスを記録し、または聴取者が識別できる角度毎に、聴取者の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から聴取者の両耳に至る音響信号の時間差及びレベル差を測定し、音響信号の時間差及びレベル差を表す制御信号を記憶した記憶手段と、基準方向に対する少なくともひとりの聴取者の頭部運動を所定角度毎に検出して信号を出力する少なくともひとつの角度検出手段と、角度検出手段により検出された角度をアドレス信号に変換するアドレス信号生成手段と、信号源から各チャンネルの音響信号を記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号に基づいて補正する制御手段と、聴取者の耳に対向して設けられたマイクを有するとともに、聴取者の頭部に装着可能とし、制御手段で補正した音響信号が供給され、供給された音響信号を再生する音響再生手段と、マイクにより音響再生手段によって出力された音響信号の再生特性を測定し、測定した結果に基づいて再生特性を平滑化処理することによって、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を補正する適応処理フィルタとを備え、角度検出手段からの検出信号に基づいて、アドレス信号生成手段から出力されるアドレス信号により記憶手段のアドレスを指定して、記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、制御手段で信号源からの音響信号を、記憶手段から読み出されたインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、信号源から供給される音響信号を聴取者の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、適応処理フィルタによって制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化処理により補正し、音響再生手段により再生するようにしたものである。これによれば、角度検出手段からの角度に対応した信号に基づいて、アドレス信号変換手段のアドレス信号により記憶手段のアドレスを指定し、記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、音響信号を制御手段においてインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、音響信号を一人または複数の聴取者の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、適応処理フィルタにおいて制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化により補正し、音響再生手段により音響信号を再生することができる。
また、第20の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、頭部装着体に、各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えているものである。これにより、音響再生手段の頭部装着体に設けられた支持部材により発音部が聴取者の耳を押圧しないようにして、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第21の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、マイクを聴取者の耳孔に対向する位置に保持する保持手段を備えているものである。これによれば、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクは、支持部材により聴取者の耳孔に対向するようにした固定マイクであるので、聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、第22の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、制御手段によって補正されるとともに、適応処理フィルタによって補正された音響信号が各々供給される一対の発音部を備え、保持手段は、マイクを発音部よりも聴取者の耳孔に対向する位置で、且つ聴取者の耳介側の位置に保持するものである。これによれば、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクは、支持部材により聴取者の耳孔に対向するようにした固定マイクであるので、聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、第23の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、制御手段によって補正されるとともに、適応処理フィルタによって補正された音響信号が各々供給される一対の発音部を備え、保持手段は、マイクを発音部よりも聴取者の耳孔に対向する位置で、且つ聴取者の耳介側に突出した位置に保持するものである。これによれば、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクは、支持部材により聴取者の耳孔に対向するようにした固定マイクであるので、聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、第24の発明のオーディオ再生装置は、保持手段は、一端が音響再生手段に設けられているとともに、他端にマイクが取り付けられた可撓性支持部材を備えているものである。これによれば、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクは、可撓性支持部材により聴取者の耳孔に対向するようにしたプローブマイクであるので、プローブマイクを微調整移動して聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、第25の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、マイクにより音響信号の聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性を測定し、測定した結果に基づいて聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性を生成し、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性により補正するものである。これによれば、適応処理フィルタは、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクにより音響信号の反射波等や外来ノイズ特性を測定し、これらノイズ特性の逆特性を生成し、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号をこれらノイズ特性の逆特性により補正するようにしたので、聴取者の個人差による耳の形状の相違によるノイズや外来ノイズに対しても、これらノイズを除去し、特性を平滑化して同一の条件で再生することができる。
また、第26の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いるものである。これによれば、適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いるので、プログラムにより所望の条件でディジタルフィルタを構成し、音響信号をディジタル信号処理することができる。
また、第27の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、目標値に近づくようにして、音響再生手段固有の特性を補正するものである。これにより、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、音響再生手段の固有の特性を補正するようにしたので、音響再生手段を取り替えても、常に再生音を音源に近づけるようにすることができる。
また、第28の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するものである。これによれば、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにしたので、特定の劇場や、特定のコンサートホールなど任意の音場による再生をすることができる。
また、第29の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、マイクからの出力に基づいて特性を測定した後に逆特性により処理を実行する間接実行型フィルタであるものである。これによれば、適応処理フィルタは、特性の測定をした後に逆特性により処理を実行する間接実行型であるので、特性の測定に基づいて逆特性を生成して特性を平滑化することができる。
また、第30の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、マイクからの出力に基づいて特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型フィルタであるものである。これにより、適応処理フィルタは、特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型であるので、特性の測定と逆特性を生成を順次進行しながら特性を平滑化することができる。
また、第31の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、聴取者の両方の耳の耳孔に各々装着可能な一対の発音部を備え、各発音部は、一端に無反射部が設けられ、他端が聴取者の耳孔に対向する開放端であるとともに、聴取者の外耳道とほぼ同一の内径を有する中空の筒状部材と、筒状部材の側面にマイクとともに、マイクに近接して筒状部材の内周面に向けて配された発音ユニットとを備え、音響再生手段を聴取者の頭部に装着した状態で、筒状部材の他端が聴取者の耳孔と対向されるとともに、制御手段によって補正された音響信号が発音ユニットに供給されるものである。これによれば、適応処理フィルタにおいて制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化により補正し、音響再生手段の中空筒状の発音ユニットにより聴取者の耳での反射波を無くすようにして再生することができる。
また、第32の発明のオーディオ再生装置は、音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、頭部装着体に、各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えているものである。これによれば、音響再生手段は聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体を設け、頭部装着体に発音ユニットの開放端が聴取者の耳から少なくとも開放端が聴取者の耳孔を押圧しない距離だけ離れるように支持したので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第33の発明のオーディオ再生装置は、マイクは、筒状部材の内周面とマイクの振動板とがほぼ平行となるように設けられているものである。これによれば、音響再生手段に聴取者の耳孔に対向して設けられたマイクは、支持手段により発音ユニットの開放端付近に聴取者の耳孔に対向するようにしたので、聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、第34の発明のオーディオ再生装置は、筒状部材は、可撓性部分を備えているものである。これにより、音響再生手段に設けられた発音ユニットの中空筒状部は、可撓性部分を有するので、音響再生手段の装着の度に異なる耳の位置または聴取者の個人差により異なる耳の位置に発音ユニットの開放端を対向させるように微調整することができる。
また、第35の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、マイクにより音響信号の聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性を測定し、測定した結果に基づいて聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性を生成し、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性により補正するものである。これによれば、適応処理フィルタは、音響再生手段の聴取者の耳孔に対向して設けられたマイクにより音響信号の耳孔での反射特性およびノイズ特性を測定し、耳孔での反射特性およびノイズ特性の逆特性を生成し、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を耳孔での反射特性およびノイズ特性の逆特性により補正するようにしたので、聴取者の個人差による耳の形状の相違による耳での反射波や外来ノイズに対しても、これら反射波やノイズを除去し、特性を平滑化して同一の条件で再生することができる。
また、第36の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いるものである。これによれば、適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いるので、プログラムにより所望の条件でディジタルフィルタを構成し、音響信号をディジタル信号処理することができる。
また、第37の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、目標値に近づくようにして、音響再生手段固有の特性を補正するものである。これにより、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、音響再生手段の固有の特性を補正するようにしたので、音響再生手段を取り替えても、常に再生音を音源に近づけるようにすることができる。
また、第38の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するものである。これによれば、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにしたので、特定の劇場や、特定のコンサートホールなど任意の音場による再生をすることができる。
また、第39の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、マイクからの出力に基づいて特性を測定した後に逆特性により処理を実行する間接実行型フィルタであるものである。これによれば、適応処理フィルタは、特性の測定をした後に逆特性により処理を実行する間接実行型であるので、特性の測定に基づいて逆特性を生成して特性を平滑化することができる。
また、第40の発明のオーディオ再生装置は、適応処理フィルタは、マイクからの出力に基づいて特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型フィルタであるものである。これにより、適応処理フィルタは、特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型であるので、特性の測定と逆特性を生成を順次進行しながら特性を平滑化することができる。
また、第41の発明のヘッドホンは、聴取者の頭部に装着される装着部と、装着部の上の位置に設けられた聴取者の頭部の回転を検出する検出手段と、装着部の聴取者の左右の各耳と相対向する位置に各々設けられた一対の発音部と、装着部を聴取者の頭部に装着した状態で、各発音部が聴取者の各耳から所定距離離間した位置に支持する支持手段とを備えたものである。これによれば、聴取者の外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第42の発明のヘッドホンは、装着部は、略U字状に形成されているとともに、装着部には、支持手段が設けられているものである。これによれば、聴取者の外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第43の発明のヘッドホンは、支持手段は、一端が上記装着部に取り付けられているとともに、他端に聴取者の各耳の周囲の側頭部と当接する当接部が設けられているものである。これによれば、聴取者の外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のブロック図である。
第2図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のディジタル角度検出器の構成を示す図である。
第3図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のアナログ角度検出器の構成を示す図である。
第4図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のインパルスレスポンスのテーブルを示す図である。
第5図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のインパルスレスポンスの測定を説明する図である。
第6図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の制御データのテーブルを示す図である。
第7図はこの発明のオーディオ再生装置の他の実施例のブロック図である。
第8図はこの発明のオーディオ再生装置の他の実施例のブロック図である。
第9図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す図である。
第10図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す図である。
第11図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットの構成を示す図である。
第12図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを前後に移動可能とする例を示す図である。
第13図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを上下に移動可能とする例を示す図である。
第14図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とする例を示す図である。
第15図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とする例を示す図である。
第16図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とする例の作用説明図である。
第17図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを水平方向に移動可能にした例を示す図である。
第18図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを複数のユニットで構成した例を示す図である。
第19図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットのバッフル板と振動板との角度を変える例を示す図である。
第20図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す図である。
第21図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットの構成を示す斜視図である。
第22図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットの構成を示す断面図である。
第23図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットの構成を示す断面図である。
第24図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットの使用状態を示す一部断面図である。
第25図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットの使用状態を示す図である。
第26図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを前後に調整可能とする例を示す図である。
第27図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを上下に移動可能とする例を示す図である。
第28図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とする例を示す図である。
第29図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とする例の構成図である。
第30図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とする例の作用説明図である。
第31図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを水平方向に移動可能にした例を示す図である。
第32図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットを複数のユニットで構成した例を示す図である。
第33図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンユニットのバッフル板と振動板との角度を変える例を示す図である。
第34図はこの発明のオーディオ再生装置の他の実施例のブロック図である。
第35図はこの発明のオーディオ再生装置の他の実施例のブロック図である。
第36図はこの発明のオーディオ再生装置の他の実施例のブロック図である。
第37図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す図である。
第38図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す図である。
第39図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のマイクの取り付け位置を示す図である。
第40図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のマイクの取り付け位置を示す図である。
第41図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のマイクの取り付け位置を示す図である。
第42図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の無反射型ヘッドホンを示す図である。
第43図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の無反射型ヘッドホンを示す図である。
第44図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のマイクの取り付け位置を示す図である。
第45図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のマイクの取り付け位置を示す図である。
第46図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のマイクの取り付け位置を示す図である。
第47図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の間接実行型の適応処理FIRフィルタを用いたブロック図である。
第48図はこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の直接実行型の適応処理FIRフィルタを用いたブロック図である。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明に係るオーディオ再生装置の一実施例について、第1図から第19図に従い詳細に説明する。
本発明の実施例のオーディオ再生装置は、音響信号をヘッドホンで再生する際に、本来スピーカで再生する場合に予め定められた位置関係に置かれるべきスピーカから音が再生されるのと同等の定位感、音場感等を、ヘッドホンで再生しても得られるようにしたものであり、特に、リスナの頭部に装着するヘッドホンの発音部を耳から離すようにして、無用な反射波を無くして、頭外定位を容易にし、収音特性に近い再生特性に補正したものである。
すなわち、本発明の実施例のオーディオ再生装置は、ステレオ等で収音された多チャンネルの音響信号をヘッドホンで再生するシステムに用いるものである。特に予め定められた位置関係(例えば、リスナの前方右、前方左、中央、その他である。)に各音像を定位させる目的で各チャンネルに記録あるいは伝送されるディジタル化された音響信号をヘッドホン等で再生する際に、ヘッドホンの最適な取付位置に傾斜可能に設けられた発音部により、リスナの装着感を向上させ、ヘッドホンの特性を明確にして補正を容易にし、ヘッドホンの無装着時に近い状態で音響信号を再生できるようにしたものである。
第1図において、この発明のオーディオ再生装置の例を示す。符号1はディジタルオーディオディスク(例えばコンパクトディスク)やディジタル衛星放送等の多チャンネルのディジタルステレオ信号源を示す。符号2はアナログレコード、アナログ放送等のアナログステレオ信号源を示す。符号3はこれらアナログ信号をディジタル信号に変換するためのA/D変換器である。
このA/D変換器3は多チャンネルの場合にはチャンネル数だけ設けられる。符号4は切替器であり、ディジタルで入力された信号もアナログで入力された信号も同等に、かつ一定のサンプリング周波数および量子化ビット数で表されるディジタル信号として扱われる。ここでは、2チャンネルの切り替えのみを示したが、多チャンネルの場合にも同様にチャンネル数だけ設けられる。
これらのディジタル信号列のうち左のディジタル信号Lは、畳み込み積分器5に供給される。ここでは、畳み込み積分器5に付属するメモリ6には、リスナ23の現在頭部が向いている方向の、頭部の基準方向に対する、仮想音源位置から両耳に至る一定のサンプリング周波数および量子化ビット数で表されるディジタル記録された一組のインパルスレスポンスが記憶されている。ディジタル信号列は、畳み込み積分器5において、このメモリ6に記憶されたインパルスレスポンスとリアルタイムで畳み込み積分される。また、畳み込み積分器7およびメモリ8は右のディジタル信号Rのクロストーク成分を供給する。
上記と同様に右のディジタル信号Rは、畳み込み積分器11に供給される。ここでは、畳み込み積分器11に付属するメモリ12には、リスナ23の現在頭部が向いている方向の、頭部の基準方向に対する、仮想音源位置から両耳に至る一定のサンプリング周波数および量子化ビット数で表されるディジタル記録された一組のインパルスレスポンスが記憶されている。ディジタル信号列は、畳み込み積分器11において、このメモリ12に記憶されたインパルスレスポンスとリアルタイムで畳み込み積分される。また、畳み込み積分器9およびメモリ10は左のディジタル信号Lのクロストーク成分を供給する。
また、畳み込み積分器7、メモリ8、畳み込み積分器11、メモリ12においても上述と同様にインパルスレスポンスと畳み込み積分が行なわれる。このように、畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12においてインパルスレスポンスと畳み込み積分が行なわれたディジタル信号列は、加算器15、16にそれぞれ供給される。加算器15、16で加算された2チャンネルのディジタル信号は補正回路17、18により用いる音源およびヘッドホン固有の特性を除くように補正され、D/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
上例では、メモリ6、8、10、12にインパルスレスポンスが記憶されている例を示したが、第7図に示すように構成しても良い。つまり、畳み込み積分器5、7、9、11に付属するメモリ6、8、10、12に、基準方向に対して固定された頭部の、仮想音源位置から両耳に至る一対のディジタル記録されたインパルスレスポンスを記憶させる。ディジタル信号列はこのインパルスレスポンスとリアルタイムで畳み込み積分される。メモリ35には、頭部の基準方向に対する仮想音源位置から両耳に至る両耳間の時間差、レベル差を表す制御信号を記憶させる。
そして、この畳み込み積分された各チャンネルのディジタル信号の各々に対して、更に検出された基準方向に対する頭部運動を、一定単位角度毎あるいは予め定められた角度毎に、方向を含む大きさを表すディジタルアドレス信号に変換し、このアドレス信号により予めメモリ35に記憶された制御信号を読みだし、制御装置50、51、52、53において、リアルタイムで補正し、変更するようにして、その結果を加算器15、16に供給するようにしても良い。
また、第8図に示すように、このインパルスレスポンスとリアルタイムで畳み込み積分されたディジタル信号列を加算器15、16に供給し、加算器15、16からの2チャンネルのディジタル信号に対して、更に検出された基準方向に対する頭部運動を、一定単位角度毎あるいは予め定められた角度毎に、方向を含む大きさを表すディジタルアドレス信号に変換し、このアドレス信号により予めメモリ35に記憶された制御信号を読みだし、制御装置54、56において、リアルタイムで補正し、変更するようにしても良い。
ここで、制御装置50、51、52、53、54、56としては、可変遅延装置と可変レベル制御器、あるいは多バンドに分割されたグラフィックイコライザ等の周波数帯域毎のレベル制御器との組み合わせで構成することができる。また、メモリ35に記憶されている情報は、リスナ23の頭部が向いている方向の、頭部の基準方向に対する、仮想音源位置から両耳に至る両耳間の時間差及びレベル差等を表すインパルスレスポンスでも良い。この場合には、上述の制御装置は、IIR、あるいはFIRの可変ディジタルフィルターで構成すれば良い。
このようにして制御装置により、空間情報が与えられ、補正回路17、18により用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正され、かつ頭部の動きに対して変化の与えられたディジタル信号はD/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
この場合、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正する補正回路17、18は、アナログ信号処理、ディジタル信号処理のいずれでも良く、ワイヤレスタイプのヘッドホンの場合にはヘッドホン本体内部に設けるようにしてもよい。また、この補正回路は、必ずしもヘッドホン本体に設けなくとも良く、例えば、ヘッドホンのコードに設けても良く、装置本体とヘッドホンのコードとを接続するコネクター部以降のいずれに設けても良い。さらに、本体内部の制御装置以降に設けても良い。
ここで、ディジタル角度検出器28はリスナ23の頭部の動きを検出するものであり、第2図において、ディジタル角度検出器28の詳細な構成が示されている。第2図では、そのディジタル角度検出器28として地磁気の水平分力を利用する場合が示されている。第2図においては、角度検出信号をディジタル信号として取り出す例が示されている。
まず、基準方向に対するリスナ23の頭部運動を、一定単位角度毎あるいは、予め定められた角度毎に離散的情報として取り出す例として、頭部中央位置にロータリーエンコーダー30が、その入力軸が垂直(鉛直)となるように設けられていると共に、その入力軸に、磁針29が設けられている。従って、ロータリーエンコーダー30からは、磁針29の示す南北方向を基準として、リスナ23の方向を含む頭の動きを示す出力が取り出される。このロータリーエンコーダー30はヘッドホン24のヘッドバンド27に取り付けたが、ヘッドバンド27から独立した取り付け装置上に設けても良い。
そして、このディジタル角度検出器28のロータリーエンコーダー30の出力が検出回路31、32に供給され、検出回路31からは、リスナ23が頭を時計方向に回したときと、反時計方向に回したときで、「0」または「1」に変化する方向信号Sdが取り出され、検出回路32からは、リスナ23が頭の向きを変えたとき、その変えた角度に比例した数のパルスがPa、例えば、2度変化する毎に1つのパルスPaが出力される。
そして、信号Sdが、アップダウンカウンタ33のカウント方向入力U/Dに供給されると共に、パルスPaがアップダウンカウンタ33のクロック入力(カウント入力)CKに供給され、そのカウント出力がリスナ23の頭の向きと大きさを表すディジタルアドレス信号に変換され、アドレス制御回路34を通じてメモリ6、8、10、12にアドレス信号として供給される。
そしてメモリ6、8、10、12内のテーブルの該当するアドレスから、予め、メモリ6、8、10、12に記憶されているリスナ23の頭部の基準方向に対する仮想音源位置からリスナ23の両耳に至るディジタル記録されたインパルスレスポンスが読み出され、同時に畳み込み積分器5、7、9、11において各チャンネルのディジタル化された音響信号とこのインパルスレスポンスとの畳み込み積分が行われ、現在、リスナ23の頭部が向いている方向の補正がリアルタイムで行われる。
一方、符号38はアナログ角度検出器を示すものであり、その詳細な構成は第3図に示されている。第3図では、角度検出出力をアナログ信号として取り出す例が示されている。リスナ23の頭部中央にCDSやフォトダイオード等の光の強さにより抵抗値が変化する受光素子からなる受光器41が取り付けられている。この受光器41と対向して電球や発光ダイオード等の発光器39が設けられていて、この発光器39により一定の強さの光を受光器41に向けて照射するようになっている。
その際、この発光器39の投射光の通路間に回転角度により投射光の透過度が変化するような可動シャッター40が設けられており、この可動シャッター40は磁針29と共に回転するようになっている。従って、受光器41に一定の電流を流すとき、受光器41の受光素子両端の電圧は磁針29の示す南北方向を基準として、リスナ23の方向を含む頭の動きを示すアナログ出力が取り出される。このアナログ角度検出器38は、ヘッドホン24のヘッドバンド27に取り付けたが、ヘッドバンド27から独立した装置上に設けても良い。
アナログ角度検出器38のアナログ出力は増幅器42で増幅された後に、A/D変換器43に加えられ、このディジタル出力は切替器44を介してアドレス制御回路34に供給される。アドレス制御回路34では基準方向に対するリスナ23の頭部運動を一定角度あるいは予め定められた角度毎の方向を含む大きさを表すディジタルアドレス信号を生成し、メモリ6、8、10、12にアドレス信号として供給される。
そして、第1図においては、メモリ6、8、10、12内のテーブルの該当するアドレスから、予めメモリ6、8、10、12に記憶されているリスナ23の頭部の基準方向に対する仮想音源位置からリスナ23の両耳に至るディジタル記録されたインパルスレスポンスが読みだされ、畳み込み積分器5、7、9、11により各チャンネルのディジタル化された音響信号と畳み込み積分され、現在、リスナ23の頭部が向いている方向の補正がリアルタイムで行なわれる。
また、第7図においては、メモリ35内のテーブルの該当するアドレスから、予めメモリ35に記憶されているリスナ23の頭部の基準方向に対する仮想音源位置からリスナ23の両耳に至るディジタル記録された両耳間の時間差及びレベル差等を表す制御信号が読みだされ、畳み込み積分器5、7、9、11および付属するメモリ6、8、10、12によりインパルスレスポンスとの畳み込み積分がおこなわれた各チャンネルのディジタル化された音響信号と、制御装置50、51、52、53において、現在、リスナ23の頭部が向いている方向の補正がワイヤレスによりリアルタイムで行なわれる。第8図においても、上述と同様である。
今、第4図にメモリ6、8、10、12内のテーブルデータを示す。すなわち第5図に示すように、リスナ23の前方に左前方及び右前方のスピーカ45L、45Rが配置されている場合、この左および右のスピーカ45L、45Rの設置位置から、リスナ23の両耳に至るインパルスレスポンスとして
Figure 0003637596
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Figure 0003637596
Figure 0003637596
を考えるとき、メモリ6、8、10、12にはこれらを表すインパルスレスポンスがディジタル記録されている。
ここで、hmn(t)はmスピーカ位置から、n耳に至るインパルスレスポンスであり、Hmn(ω)はmスピーカ位置から、n耳に至る伝達関数であり、ωは角波数2πfであり、fは周波数である。
一方、第6図に、メモリ35内のテーブルの制御信号の制御データの一例を示す。この制御データは、第7図および第8図に示した制御装置に供給されるものである。すなわち、メモリ35に記憶された制御信号のテーブルには、両耳間の時間差:ΔTIJ(θ)及び両耳間のレベル差:ΔLIJ(θ)が記録されている(ただし、IJ=LL,LR,RL,RR,・・・)。これらの制御信号は上述した制御装置50〜54、56に供給される。
これらの制御装置50〜54、56は可変遅延装置と可変レベル制御器、あるいは多バンドに分割されたグラフィックイコライザ等の周波数帯域毎のレベル制御器との組み合わせで構成することができる。また、メモリ35に記憶されている情報は、リスナ23の頭部が向いている方向の、頭部の基準方向に対する、仮想音源位置から両耳に至る両耳間の時間差及びレベル差等を表すインパルスレスポンスでも良い。メモリ35に記憶される内容は、制御装置50〜54、56に対応したデータ構造を有している。この場合には、上述の制御装置は、IIR、あるいはFIRの可変ディジタルフィルターで構成すれば良い。
この場合の両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号を測定する音源としてはスピーカを用いてもよい。またリスナ23の各耳の収音位置に関しては、外耳道入り口から鼓膜位置までの間の何れの位置でもよい。
だだし、この位置は、後で述べる、用いるヘッドホンの固有の特性を打ち消すための補正特性を求める位置と等しいことが要求される。
このようなインパルスレスポンスを考えたとき、角度:θを単位角度毎に、例えば2゜ずつ変化させたときのディジタル記録したインパルスレスポンスがメモリ35のテーブルの1番地毎に書き込まれている。この角度は、リスナ23が頭部を回転させたときに、左右両耳で頭部の回転した角度を識別できる角度毎にする。
またこのテーブルは、メモリ35に対して例えば3組設けられると共に、その組毎に、リスナ23の頭部および耳介の形状、また用いるヘッドホンの特性等に対応してデータの値が異なるようになされている。そして、その3組のテーブルのうちの1つが、アドレス制御回路34の切替器36の切り替えにしたがって選択される。
なお第1図、第7図および第8図において、符号37はセンターリセットスイッチであり、これをオンしたとき、カウンタ33の値は“オール0"にリセットされ、このときメモリ35のテーブルはθ=0のアドレスが選択される。つまり、このセンターリセットスイッチ37がオンされると、リスナ23が現在向いている方向が音源の正面方向とされる。
この実施例のオーディオ再生装置はこのように構成され、以下のような動作をする。多チャンネルディジタルステレオ信号源1からのディジタルオーディオ信号、あるいは多チャンネルアナログステレオ信号源2に入力されたアナログ信号をA/D変換器3によりディジタル信号に変換した各チャンネルのオーディオ信号が、切替器4で選択される。ここで、第1図の場合は、ディジタル信号列は、畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12より読み出されたインパルスレスポンスとリアルタイムで畳み込み積分され、加算器15、16に供給される。
第7図の場合は、畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12により予めインパルスレスポンスとの畳み込み積分を行なった各チャンネルのディジタル化された音響信号は、制御装置50、51、52、53において、メモリ35より読み出された制御信号により補正され、変更され、加算器15、16に供給される。
第8図の場合は、加算器15、16からの2チャンネルのディジタル信号は制御装置54、56において、メモリ35より読み出された制御信号により補正され、変更される。この2チャンネルのディジタル信号はD/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
このようにしてヘッドホン24を装着したリスナ23は音響信号を聴取することができる。そして、ディジタル角度検出器28およびアナログ角度検出器38においてリスナ23の基準方向に対する頭部運動を一定角度あるいは予め定められた角度毎に検出し、アドレス制御回路34において方向を含む大きさを表すディジタルアドレス信号に変換する。
このアドレス信号により予めメモリ35に記録されている頭部の基準方向に対する仮想音源位置から両耳に至るディジタル記録されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出す。畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12または制御装置50、51、52、53、54、56において、このインパルスレスポンスまたは制御信号と音響信号とをリアルタイムで補正し変更する。
この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12または制御装置50、51、52、53、54、56、加算器15、16により、音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、補正回路17、18により用いる音源及びヘッドホンの特性が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
上例の第1図、第7図および第8図ではリスナ23が単数の場合のみを示したが、リスナ23が複数人いる場合には、第7図の畳み込み積分器5、7、9、11以降を端子により分岐し、または、加算器15、16以降を端子により分岐するようにしても良い。
この場合、畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12において空間情報を持ったディジタル信号に補正された後で、個々のリスナの頭部回転に応じて信号処理を行えば良く、高価なA/D変換器3や畳み込み積分器5、7、9、11を人数分用いる必要がない。
これにより、ヘッドホン24、ディジタル角度検出器28、および角度検出の信号処理をする検出回路回路31、検出回路32、カウンタ34、アドレス制御回路34、メモリ35、制御装置50、51、52、53、54、56をリスナの数だけ用意すれば良く、安価に複数のリスナに対して同時に音響信号を供給することができる。
そして、この場合、リスナ23が頭を動かすと、ディジタル角度検出器28またはアナログ角度検出器38により、その向きに従ったディジタル信号、またはアナログ信号が得られ、これによりその信号はリスナ23の頭の向きにしたがった値となる。この値がアドレス制御回路34を通じてメモリ35にアドレス信号として供給される。
メモリ35からは、第4図のテーブルに対応したデータのうち、リスナ23の頭の向きに対応した頭部の基準方向に対する仮想音源位置から両耳に至るディジタル記録されたインパルスレスポンスまたは第6図に示した両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号が取りだされ、このデータが畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12または制御装置50、51、52、53、54、56に供給される。
アナログ角度検出器38を用いた場合では、この出力が増幅器31で増幅された後、アナログ積分器32で積分されて、A/D変換器33によりリスナ23の頭の向きにしたがったディジタル信号に変換され、アドレス制御回路34を通じてメモリ35にアドレス信号として供給され、ディジタル角度検出器28の場合と同様にしてリスナ23の頭の向きに対応した頭部の基準方向に対する仮想音源位置から両耳に至るディジタル記録されたインパルスレスポンスまたは第6図に示した両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号が取りだされ、このデータが畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12または制御装置50、51、52、53、54、56に供給される。
ここで、補正回路17、18は、インパルスレスポンスまたは制御信号の測定に用いた音源固有の補正特性および用いたヘッドホン特有の補正特性のいずれか一方または双方を有するものである。従って、これらの補正を含むディジタル信号処理を一度で実行するので、リアルタイムで信号処理をすることができる。
このようにして、ヘッドホン24に供給されるオーディオ信号L,Rは、リスナ23の頭の向きに対応した頭部の基準方向に対する仮想音源位置から両耳に至るディジタル記録されたインパルスレスポンスまたは両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号との補正が行なわれれるので、複数個のスピーカが仮想音源位置に置かれてスピーカで再生しているような音場感を得ることが出来る。
更にメモリ35のテーブルにディジタル記録された両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号が取りだされ、このデータが畳み込み積分器5、7、9、11およびメモリ6、8、10、12により予め畳み込まれたディジタル信号に対して、制御装置50、51、52、53で補正するように、純電子的に供給されるので、リスナ23の頭の向きに対するオーディオ信号の特性の変化に遅れを生じることがなく、不自然さを生じることはない。
なおこの時、残響回路13、14による残響信号もヘッドホン24に供給されるので、リスニングルームやコンサートホールにおける広がり感が付加され、優れたステレオ音場感を得ることができる。
また、上例では、ヘッドホン24に信号線を介して直接接続する例を示したが、加算器15、16以降を変調器および送信機により送信し、これを受信機および復調器で受信してワイヤレスで再生するようにしても良い。
上述したいずれの例においても、メモリ35には複数のテーブルを用意しておき、これをリスナ23が切替器36により任意に選択できるようにしているので、リスナ23の頭部や耳介の形状、用いるヘッドホン24の特性が違っていても、最適な特性を得ることができる。
更に、角度θの変化に対するリスナ23の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から両耳に至るディジタル記録された両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号の変化量を、テーブルにより標準値よりも大きく、あるいは小さくなるようにしておくことにより、リスナ23の頭の向きに対する音像の位置の変化量が異なるので、これによりリスナ23から音像までの距離感などを変更することが出来る。
また、残響回路13、14による残響信号を付加していると共に、この残響信号はホールの壁などによる反射音や残響音の様に聞こえるので、あたかも有名なコンサートホールで音楽を聞いているかの様な臨場感を得ることが出来る。
第9図から第19図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンの例を示す。第9図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す。第9図においては、ヘッドホン90のヘッドバンド91に頭部回転検出部92およびヘッドホンユニット93、94が設けられている。そして、ヘッドバンド91のヘッドホンユニット93、94の取り付け位置に近い部分であって、その内側には、支柱95、97から支持体96、98が突出するように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット93、94がリスナ23の耳23a、23bから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホン90の頭部装着体としてのヘッドバンド91に設けられた支持部材としての支柱95、97、支持体96、98により発音部としてのヘッドホンユニット93、94がリスナ23の耳23a、23bを押圧しないようにして、ヘッドホンユニット93、94の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第10図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す。第10図においては、ヘッドホン100のヘッドバンド101に頭部回転検出部102およびヘッドホンユニット103、104が設けられている。そして、ヘッドホンユニット103、104の内側には、支柱105、107から接触部106、108が突出するように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット103、104がリスナ23の耳23a、23bから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。
この場合、接触部106、108の構成は、第11図に示すように、円形になっていて、リスナ23の耳23a、23bがこの中の中空部に入り、発音部(スピーカ)110、111に対向するように構成されている。これにより、接触部106、108がリスナ23の顔面側部を押圧し、ヘッドホンユニット93、94がリスナ23の耳23a、23bから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。また、接触部106、108は円形に限らず、楕円形等でも良いことはいうまでもない。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホン100の頭部装着体としてのヘッドバンド101に設けられた支持部材としての支柱105、107、支持体106、108により発音部としてのヘッドホンユニット103、104がリスナ23の耳23a、23bを押圧しないようにして、ヘッドホンユニット103、104の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
第12図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを前後方向に移動可能とした例を示す。第12A図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット120の固定部としてのバッフル板121および振動部としての発音部の振動板122の面のなす角度が、直角ではなく、前方に傾斜した例を示す。
このようにすることにより、いったん振動板122から出た音波が、耳23aの耳介部分に反射し、さらにバッフル板121および振動板122に反射するという無用な反射の影響が少なくなる。さらに、前方からの外界音が入りやすくなる。この場合、音像を後方に定位させるとこが容易になる。
第12B図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット120の固定部としてのバッフル板121および振動部としての発音体の振動板122の面のなす角度が、直角ではなく、後方に傾斜した例を示す。このようにすることにより、音像を前方に定位させることが特に有効になることがわかる。また、いったん振動板122から出た音波が、耳23aの耳介部分に反射し、さらにバッフル板121および振動板122に反射するという無用な反射の影響が少なくなる。さらに、後方からの外界音が入りやすくなる。
第12C図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット120の固定部としてのバッフル板121および振動部としての発音体の振動板122の面のなす角度が、零度になるようにした例を示す。このようにすることにより、いったん振動板122から出た音波が、耳23aの耳介部分に反射し、さらにバッフル板121および振動板122に反射するという無用な反射の影響が完全になくなる。さらに、後方からの外界音が入りやすくなる。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット120は、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対向するように配置され、かつヘッドホンユニット120のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bの中心を結ぶ直線に対して直角にならないように前方または後方に所定角度傾斜して設けられたので、ヘッドホンユニット120の振動板122からの音波とリスナ23の耳23aおよび顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、特に後方に傾けた場合には、音像を前方に定位させ易くすることができ、また前方に傾けた場合には、耳介部との反射が少なくなるため、補正が容易になり、外界前方の収音をすることができる。
第13図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを上下方向に移動可能とした例を示す。第13A図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット130の固定部としてのバッフル板131および振動部としての発音体の振動板132の面のなす角度が、直角ではなく、斜め下方に傾斜した例を示す。
第13B図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット130の固定部としてのバッフル板131および振動部としての発音体の振動板132の面のなす角度が、零度であり、下方に傾斜した例を示す。
第13C図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット130の固定部としてのバッフル板131および振動部としての発音体の振動板132の面のなす角度が、直角ではなく、斜め上方に傾斜した例を示す。
第13D図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット130の固定部としてのバッフル板131および振動部としての発音体の振動板132の面のなす角度が、零度であり、上方に傾斜した例を示す。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット130は、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対向するように配置され、かつバッフル板131および振動板132のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bの中心を結ぶ直線に対して直角にならないように上方または下方に所定角度傾斜して設けられたので、振動板132からの音波とリスナ23の耳23bおよび顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができる。
第14図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを任意の角度に調整可能とした例を示す。ここで、ヘッドホン140のヘッドバンド141に対して、ヘッドホンユニット142は、任意の角度に回動するように調整することができる。この場合の構成は、第15図に示すように、ヘッドバンド150の端部に設けられた支持体151に対して、ヘッドホンユニット153は、回動体152が内面球体の中空部を摺接して回動するようになされている。
このように構成することにより、第16A図に示すように、リスナ23に対して、ヘッドホンユニット160を上下方向に回動させることができる。また、第16B図に示すように、リスナ23に対して、ヘッドホンユニット160を前後方向に回動させることができる。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット140、150、160は、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対向するように配置され、かつヘッドホンユニット140、150、160のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bの中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であるので、ヘッドホンユニット140、150、160からの音波とリスナ23の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかもリスナ23の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
第17図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを水平方向に移動可能とした例を示す。第17A図は、ヘッドバンド170の端部に設けられた支持体171に、ボールネジ172により、移動体173に設けられたヘッドホンユニット174を水平方向に移動可能にする例を示す。また、第17B図は、ヘッドバンド170の端部にパンタグラフ175の一端部を設け、パンタグラフ175の伸長または収縮動作により、その他端部に設けたヘッドホンユニット174を水平方向に移動可能にする例を示す。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット170のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対して近接または離隔可能であるので、リスナ23の耳介の形状等の相違による個人差の影響を回避することができる。
第18図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを複数のユニットで構成した例を示す。第18A図は、ヘッドホンユニット180が発音部としての低音用発音ユニット181および高音用発音ユニット182により構成される例を示す。また、第18B図は、ヘッドホンユニット183が発音部としての高域用発音ユニット184(高音用)が低域用用発音ユニット185(低音用)上に設けられ、同軸186により再生されるように構成される例を示す。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホンのヘッドホンユニット180、183は、音響信号の帯域を複数に分割し、ヘッドホンユニット180、183に複数の帯域に対応する複数の発音ユニット181、182、184、185を設け、複数の発音ユニット181、182、184、185より発音するようにしたので、特性が明確になり、補正を容易にすることができる。
第19図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットのバッフル板と振動板とのなす角度を変える例を示す。この場合、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット190の固定部としてのバッフル板191のなす面は直角として、ヘッドホンユニット190の振動部としての発音部の振動板192の面のなす角度を、直角ではなく、傾斜した例を示す。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット190に取り付けられているバッフル板191に対して振動板192を傾斜して設け、振動板192の傾斜角度を変えるようにしたので、振動板192からの音波とリスナ23の耳23bおよび顔面側部との反射が減少し、収音効果も可変にすることができる。
さらに、第4図のデータは、次にようにして得ることができる。すなわちヘッドホン24で再生したときに好ましい再生音場となるよう、適当な室内に、必要なチャンネル数のインパルス音源とダミーヘッドマイクロホンを定められた位置に配置する。この場合のインパルスを測定する音源としてはスピーカを用いてもよい。
またダミーヘッドの各耳の収音位置に関しては、外耳道入り口から鼓膜位置までの間の何れの位置でもよいが、用いるヘッドホンの固有の特性を打ち消すための補正特性を求める位置と等しいことが要求される。
また制御信号の測定は、各チャンネルのスピーカ位置よりインパルス音を放射し、一定角度:Δθ毎にダミーヘッドの各耳に設けられたマイクロホンで収音することにより得られる。従ってある角度:θ1においては、1つのチャンネル毎1組のインパルスレスポンスが得られることになるから、仮に5チャンネルの信号源の場合は、1つの角度毎に5組、すなわち10種の制御信号が得られることになる。従って、これらのレスポンスにより、左右両耳間の時間差及びレベル差を表す制御信号が得られる。
また用いるヘッドホンの固有の特性を打ち消すための補正特性を求める方法は、音場のインパルスレスポンスの収音を行なったダミーヘッドマイクロホンと同一のものを用い、用いるヘッドホンをダミーヘッドに装着し、ヘッドホン入力からダミーヘッドの各耳のマイクロホン間のインパルスレスポンスの逆特性となるようなインパルスレスポンスを計算で求める。
あるいはLMSアルゴリズム等の適応処理を用いて直接求めてもよい。具体的なヘッドホン固有の特性の補正は、オーディオ入力信号が加えられてから、ヘッドホンに信号が加えられるまでの間の任意の部分で、時間領域の処理としては求めた補正特性を表すインパルスレスポンスとの畳み込み積分を行なうことにより、またアナログ的にはD/A変換後、逆特性のアナログフィルターを通すことにより実現できる。
更に、上述においては、リスナ23の頭の水平面内における向きについてのみ考慮したが垂直面内および、これらと直交する面内における向きについても同様に処理することも出来る。
またメモリ35におけるテーブルは1組とし、アドレス制御回路34においてそのテーブルに対するアドレスの指定を変更して複数組のテーブルがある場合と同様に制御データを得ることも出来る。
更に、テーブルのデータは、リスナ23の一般的な頭の向きの範囲に限ってもよく、また、角度θは、例えば、θ=0゜付近では0.5゜おきに設定しておき、|θ≧45゜|では3゜おきに設定するというように、向きによって角度θの間隔を異ならせてもよい。上述したように、リスナが頭部回転の角度を識別できる角度毎でよい。更に、ヘッドホン24の代わりに、リスナ23の両耳の近くに配置したスピーカでもよい。
上述したいずれの例においても、入力されるオーディオ信号は、多チャンネルのステレオ等で収音されたディジタル記録された信号、およびアナログ記録された信号のどちらに対しても適応でき、またリスナ23の頭の動きを検出する角度検出手段に関しては、ディジタル信号で出力されるもの、およびアナログ信号で出力されるもののどちらに対しても適用できる。
また、リスナ23の頭の動きに同期させてヘッドホン24に供給されるオーディオ信号の特性を変更するとき、リスナ23の頭の動きに対し連続的にではなく、人間の聴覚特性に合わせ、人間の識別できる必要十分な適当な一定単位角度毎あるいは予め定められた角度毎にメモリ35のテーブルから読みだして行なっているので、リスナ23の頭の向きに対して必要十分な変更内容についてのみ演算を行なえば、連続的に変更をしたのと同じ効果を得ることが出来る。従って、メモリ35の容量の節約が図れ、かつ演算の処理速度に関しても必要以上に高速演算の必要がなくなる。
また、リスナ23の頭の回転に左右されず、常に一定方向の固定された音源からのバイノーラル特性が得られるので、極めて自然な頭外定位感が得られる。
また、メモリ35のテーブルに従って、ディジタル記録された両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号で表される特性を、畳み込み積分器5、7、9、11およびメモリ6、8、10、12において予めインパルスレスポンスが畳み込まれたディジタル信号に対して、純電子式に補正を行ない制御しているので特性劣化が少なく、かつリスナ23の頭の動きに対するオーディオ信号の特性の変化に遅れを生じることがないので、従来のシステムにおけるような不自然さを生じさせることはない。
また、メモリ35には複数のテーブルを用意しておき、これをリスナ23が切替器36により任意に選択出来るようにしているので、リスナ23の頭部や耳介の形状、ヘッドホン24の特性等が違っていても、最適な特性を得ることが出来る。
また、角度θの変化に対する両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号の変化量を、テーブルによって標準値よりも大きく、あるいは小さくなるようにしておくことにより、リスナ23の頭の向きに対する音像の位置の変化量が異なるので、これによりリスナ23から音像までの距離感などを変更することができる。
また、残響回路13、14により必要に応じ適切な残響信号が付加されるので、あたかも有名なコンサートホールで音楽を聞いているような臨場感を得ることが出来る。
上述した例によれば、複数のリスナ23の個々の頭部回転に応じて両耳間の時間差及び両耳間のレベル差を表す制御信号による補正を行うことにより複数のヘッドホン24で同時に再生することができ、高価なA/D変換器3や、畳み込み積分器5、7、9、11を複数のリスナ23の数だけ用意する必要がなく、極めて安価に構成することができる。
さらに、上例において、頭部回転角度検出器に振動ジャイロを用いてもよい。このようにすることにより、頭部回転検出部を小型で軽量、かつ低消費電力で長寿命、しかも取扱いが簡便で安価に構成することができる。
さらに、振動ジャイロは、慣性力を利用せず、コリオリ力によって動作しているので、リスナ23の頭部の回転中心近傍に設置する必要がなく、回転検出部のいずれの場所に取り付けてもよいので、構成および組み立てを簡単にすることができる。
本発明によれば、音響再生手段の頭部装着体に設けられた支持部材により発音部が聴取者の耳を押圧しないようにして、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、本発明によれば、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、かつ発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して直角にならないように前方または後方に所定角度傾斜して設けられたので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、特に前方に傾けた場合には、音像を後方に定位させることができ、また後方に傾けた場合には、耳介部との反射が少なくなるため、補正が容易になり、外界前方の収音をすることができる。
また、本発明によれば、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、かつ発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して直角にならないように上方または下方に所定角度傾斜して設けられたので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができる。
また、本発明によれば、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、かつ発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であるので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、本発明によれば、発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳に対して近接または離隔可能であるので、聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響を回避することができる。
また、本発明によれば、音響再生手段は、音響信号の帯域を複数に分割し、発音部に複数の帯域に対応する複数の発音ユニットを設け、複数の発音ユニットより発音するようにしたので、特性が明確になり、補正を容易にすることができる。
また、本発明によれば、発音部の取り付けられているバッフル板に対して振動板を傾斜して設け、振動板の傾斜角度を固定しまたは振動板の傾斜角度を変えるようにしたので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、収音効果も可変にすることができる。
次に、本発明の他の発明に係るオーディオ再生装置の一実施例について、第20図から第33図に従い詳細に説明する。
本発明の実施例のオーディオ再生装置は、音響信号をヘッドホンで再生する際に、本来スピーカで再生する場合に予め定められた位置関係に置かれるべきスピーカから音が再生されるのと同等の定位感、音場感等を、ヘッドホンで再生しても得られるようにしたものであり、特に、リスナの頭部に装着するヘッドホンの発音部に開口部を設け、さらに発音部を耳から離すようにして、無用な反射波を無くして、頭外定位を容易にし、収音特性に近い再生特性に補正したものである。
すなわち、本発明の実施例のオーディオ再生装置は、ステレオ等で収音された多チャンネルの音響信号をヘッドホンで再生するシステムに用いるものである。特に予め定められた位置関係(例えば、リスナの前方右、前方左、中央、その他である。)に各音像を定位させる目的で各チャンネルに記録あるいは伝送されるディジタル化された音響信号をヘッドホン等で再生する際に、ヘッドホンの最適な取付位置に傾斜可能に設けられた開口部を有する発音部により、リスナの装着感を向上させ、ヘッドホンの特性を明確にして補正を容易にし、ヘッドホンの無装着時に近い状態で音響信号を再生できるようにしたものである。
なお、この発明の実施例のヘッドホンは第1図〜第8図に示したオーディオ再生装置において使用するものであるが、そのオーディオ再生装置の構成及び動作はこの例においても上述したものと共通であるので、その詳細な説明は省略して、この発明の実施例の特徴的な構成および動作を以下に説明する。
また、第20図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す。第20図においては、ヘッドホン100のヘッドバンド101に頭部回転検出部102およびヘッドホンユニット103、104が設けられている。そして、ヘッドホンユニット103、104の内側には、リング状の耳パッド200、201が耳23a、23bを覆うように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット103、104がリスナ23の耳23a、23bから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。
この場合、ヘッドホンユニット210の発音体212(スピーカ)の構成は、第21図に示すように、リング状になっていて、リスナ23の耳23a、23bの穴がこの孔213に対向するように構成されている。これにより、いったん発音体212から出た音波がリスナ23の耳23a、23bに反射して、さらに発音体212に反射してリスナ23の耳23a、23bに至るという無用な音波の反射を防ぐことができるようになる。
また、このヘッドホンユニットの詳細な構成を第22図および第23図に示す。第22図は、圧電型のヘッドホンユニットを示すものである。円形皿状体の中心部をくり抜いたような固定板226内側の下端部に、中心部に孔225を有する圧電フィルム振動板222が支持部材223により固定されている。224は圧電フィルム振動板222の振動動作を保護する保護ネットであり、やや外側に膨らみを持つようにして設けられる。また、圧電フィルム振動板222の外周円より大きなリング状の耳パッドが固定板226の上端面から保護ネット224の上面よりも突出するように設けられている。これにより、耳パッド221がリスナ23の耳23a、23bを覆うようにして、かつリスナ23の耳23a、23bに直接保護ネット224が接触しないようにすることができる。
また、第23図は、静電型のヘッドホンユニットを示すものである。円形皿状体の中心部をくり抜いたような固定板236内側の下端部に、中心部に孔235を有する振動板232が支持部材228により、固定電極233、237に挟まれるようにして固定されている。234は振動板232の振動動作を保護する保護ネットであり、やや外側に膨らみを持つようにして設けられる。また、振動板232の外周円より大きなリング状の耳パッドが固定板236の上端面から保護ネット234の上面よりも突出するように設けられている。これにより、耳パッド231がリスナ23の耳23a、23bを覆うようにして、かつリスナ23の耳23a、23bに直接保護ネット234が接触しないようにすることができる。
第24図および第25図に、このヘッドホンユニットの使用状態を示す。第24図において、ヘッドホンユニット240の固定板246の内側の下端部に支持部材243により振動板242が固定して設けられる。保護ネット244はこの振動板242の振動動作を保護するようにしてやや外側に膨らみを持つようにして設けられる。固定板246の上端部には、振動板242の外周円より大きなリング状の耳パッドが保護ネット244の上面よりも突出するように設けられている。
このようにすることにより、耳パッド241でリスナ23の顔面側部を押圧するので、耳23a、23bを覆うことができ、保護ネット244と耳23a、23bとが直接接触しないようにすることができる。さらに、ヘッドホンユニット240の中心部の孔245を、リスナ23の耳23a、23bの開口部に対向して、耳23a、23bの開口部を結ぶ直線上に設けることにより、無用な反射音を解放して、装着感も向上させることができる。
また、第25図に示すように、ヘッドバンド251に設けられたヘッドホンユニット250を、第9図に示すような支持体により、リスナ23の顔面から離すようにしても良い。この場合も、ヘッドホンユニット250の孔254は、リスナ23の耳23a、23bの開口部に対向して設けられることはいうまでもない。
上例によれば、音響再生手段24、90、100の発音部93、103、210、220、230、240、250に設けられた少なくとも聴取者23の耳の位置に対向する開口部213、225、235、245、254により、発音部93、203、210、220、230、240、250の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
第26図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを前後方向に移動可能とした例を示す。第26A図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット260の固定部としてのバッフル板261および振動部としての発音体の振動板262の面のなす角度が、直角ではなく、前方に傾斜した例を示す。
このようにすることにより、いったん振動板262から出た音波が、耳23aの耳介部分に反射し、さらにバッフル板261および振動板262に反射するという無用な反射の影響が少なくなる。さらに、前方からの外界音が入りやすくなる。この場合、音像を後方に定位させることが容易になる。
第26B図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット260の固定部としてのバッフル板261および振動部としての発音体の振動板262の面のなす角度が、直角ではなく、後方に傾斜した例を示す。このようにすることにより、音像を前方に定位させることが特に有効になることがわかる。また、いったん振動板262から出た音波が、耳23aの耳介部分に反射し、さらにバッフル板261および振動板262に反射するという無用な反射の影響が少なくなる。さらに、後方からの外界音が入りやすくなる。
第26C図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット260の固定部としてのバッフル板261および振動部としての発音体の振動板262の面のなす角度が、零度になるようにした例を示す。このようにすることにより、いったん振動板262から出た音波が、耳23aの耳介部分に反射し、さらにバッフル板261および振動板262に反射するという無用な反射の影響が完全になくなる。さらに、後方からの外界音が入りやすくなる。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット260は、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対向するように配置され、かつヘッドホンユニット260のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bの中心を結ぶ直線に対して直角にならないように前方または後方に所定角度傾斜して設けられたので、ヘッドホンユニット260の振動板262からの音波とリスナ23の耳23aおよび顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、特に後方に傾けた場合には、音像を前方に定位させ易く、また前方に傾けた場合には、耳介部との反射が少なくなるため、補正が容易になり、外界前方の収音をすることができる。
第27図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを上下方向に移動可能とした例を示す。第27A図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット270の固定部としてのバッフル板271および振動部としての発音体の振動板272の面のなす角度が、直角ではなく、斜め下方に傾斜した例を示す。
第27B図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット270の固定部としてのバッフル板271および振動部としての発音体の振動板272の面のなす角度が、零度であり、下方に傾斜した例を示す。
第27C図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット270の固定部としてのバッフル板271および振動部としての発音体の振動板272の面のなす角度が、直角ではなく、斜め上方に傾斜した例を示す。
第27D図は、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット270の固定部としてのバッフル板271および振動部としての発音体の振動板272の面のなす角度が、零度であり、上方に傾斜した例を示す。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット270は、リスナ23の左右の耳23a、23bに対向するように配置され、かつバッフル板271および振動板272のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bの中心を結ぶ直線に対して直角にならないように上方または下方に所定角度傾斜して設けられたので、振動板272からの音波とリスナ23の耳23bおよび顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができる。
第28図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを任意の角度に調整動可能とした例を示す。ここで、ヘッドホン280のヘッドバンド281に対して、ヘッドホンユニット282は、任意の角度に回動するように調整することができる。この場合の構成は、第29図に示すように、ヘッドバンド290の端部に設けられた支持体291に対して、ヘッドホンユニット293は、回動体292が内面球体の中空部を摺接して回動するようになされている。
このように構成することにより、第30A図に示すように、リスナ23に対して、ヘッドホンユニット300を上下方向に回動させることができる。また、第30B図に示すように、リスナ23に対して、ヘッドホンユニット300を前後方向に回動させることができる。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット282、293、300は、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対向するように配置され、かつヘッドホンユニット282、293、300のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bの中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であるので、ヘッドホンユニット282、293、300からの音波とリスナ23の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかもリスナ23の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
第31図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを水平方向に移動可能とした例を示す。第31A図は、ヘッドバンド310の端部に設けられた支持体311に、ボールネジ312により、移動体313に設けられたヘッドホンユニット314を水平方向に移動可能にする例を示す。また、第31B図は、ヘッドバンド310の端部にパンタグラフ315の一端部を設け、パンタグラフ315の伸長または収縮動作により、その他端部に設けたヘッドホンユニット314を水平方向に移動可能にする例を示す。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット314のリスナ23の左右の両耳23a、23bに対向する面が、リスナ23の左右の両耳23a、23bに対して近接または離隔可能であるので、リスナ23の耳介の形状等の相違による個人差の影響を回避することができる。
第32図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットを複数のユニットで構成した例を示す。第32A図は、ヘッドホンユニット320が発音体としての低音用発音ユニット321および高音用発音ユニット322により構成される例を示す。また、第32B図は、ヘッドホンユニット323が発音体としての高域用発音ユニット324(高音用)が低域用発音ユニット325(低音用)上に設けられ、同軸326により構成され、これにより再生される例を示す。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホンのヘッドホンユニット320、323は、音響信号の帯域を複数に分割し、ヘッドホンユニット320、323に複数の帯域に対応する複数の発音ユニット321、322、324、325を設け、複数の発音ユニット321、322、324、325より発音するようにしたので、特性が明確になり、補正を容易にすることができる。
第33図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の発音部としてのヘッドホンユニットのバッフル板と振動板とのなす角度を変える例を示す。この場合、リスナ23の耳23a、23bを結ぶ直線に対して、ヘッドホンユニット330の固定部としてのバッフル板331のなす面は直角として、ヘッドホンユニット330の振動部としての発音体の振動板332の面のなす角度を、直角ではなく、傾斜した例を示す。
上例によれば、発音部としてのヘッドホンユニット330に取り付けられているバッフル板331に対して振動板332を傾斜して設け、振動板332の傾斜角度を固定するかまたは振動板332の傾斜角度を変えるようにしたので、振動板332からの音波とリスナ23の耳23bおよび顔面側部との反射が減少し、収音効果も可変にすることができる。
本発明によれば、音響再生手段の発音部に設けられた少なくとも聴取者の耳の位置に対向する開口部により、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳動入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、本発明によれば、音響再生手段の頭部装着体に設けられた支持部材により発音部が聴取者の耳を押圧しないようにして、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳動入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、本発明によれば、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、かつ発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して直角にならないように前方または後方に所定角度傾斜して設けられたので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、特に後方に傾けた場合には、音像を前方に定位させ易くすることができ、また前方に傾けた場合には、耳介部との反射が少なくなるため、補正が容易になり、外界前方の収音をすることができる。
また、本発明によれば、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、かつ発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して直角にならないように上方または下方に所定角度傾斜して設けられたので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができる。
また、本発明によれば、発音部は、聴取者の左右の両耳に対向するように配置され、かつ発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳の中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であるので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、かつ傾斜した方向からの到来音波を強調することができ、しかも聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響も回避することができる。
また、本発明によれば、発音部の聴取者の左右の両耳に対向する面が、聴取者の左右の両耳に対して近接または離隔可能であるので、聴取者の耳介の形状等の相違による個人差の影響を回避することができる。
また、本発明によれば、音響再生手段は、音響信号の帯域を複数に分割し、発音部に複数の帯域に対応する複数の発音ユニットを設け、複数の発音ユニットより発音するようにしたので、特性が明確になり、補正を容易にすることができる。
また、本発明によれば、発音部の取り付けられているバッフル板に対して振動板を傾斜して設け、振動板の傾斜角度を固定するかまたは振動板の傾斜角度を変えるようにしたので、発音部からの音波と聴取者の耳および顔面側部との反射が減少し、収音効果も可変にすることができる。
次に、本発明の他の発明に係るオーディオ再生装置の一実施例について、第34図から第41図に従い詳細に説明する。
本発明の実施例のオーディオ再生装置は、音響信号をヘッドホンで再生する際に、本来スピーカで再生する場合に予め定められた位置関係に置かれるべきスピーカから音が再生されるのと同等の定位感、音場感等を、ヘッドホンで再生しても得られるようにしたものであり、特に、リスナの個人差による耳の形状の相違や、ノイズ等を適応処理により除去するようにして補正したものである。
すなわち、本発明の実施例のオーディオ再生装置は、ステレオ等で収音された多チャンネルの音響信号をヘッドホンで再生するシステムに用いるものである。特に予め定められた位置関係(例えば、リスナの前方右、前方左、中央、その他である。)に各音像を定位させる目的で各チャンネルに記録あるいは伝送されるディジタル化された音響信号をヘッドホン等で再生する際に、ヘッドホンに収音マイクを設け、これによりノイズ等を含む特性を測定し、その逆特性を生成する適応処理によりノイズ等を除去するように補正するようにしたものである。
なお、第34図、第35図、第36図のオーディオ再生装置は、それぞれ第1図、第7図、第8図のオーディオ再生装置に対応するものである。第34図、第35図、第36図のオーディオ再生装置は、第1図、第7図、第8図のオーディオ再生装置における補正回路17、18を適応処理フィルタ340、341に替えたものである。したがって、第34図、第35図、第36図のオーディオ再生装置のそれ以外の構成および動作は、第1図、第7図、第8図のオーディオ再生装置と同様であるので、その詳細な説明は省略する。以下、この例における特徴的な構成および動作について説明する。
第34図のオーディオ再生装置においては、第1図において説明したような加算器15、16で加算された2チャンネルのディジタル信号は、適応処理フィルタ340、341によりリスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源およびヘッドホン固有の特性等を除くように補正され、D/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
また、第35図のオーディオ再生装置においては、第7図において説明したような制御装置50、51、52、53により空間情報が与えられ、加算器15、16により加算された2チャンネルのディジタル信号は、適応処理フィルタ340、341によりリスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正され、かつ頭部の動きに対して変化の与えられたディジタル信号はD/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
また、第36図のオーディオ再生装置においては、第8図において説明したような加算器15、16により加算された2チャンネルのディジタル信号は、制御装置54、56により空間情報が与えられ、適応処理フィルタ340、341によりリスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正され、かつ頭部の動きに対して変化の与えられたディジタル信号はD/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
この場合、リスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正する適応処理フィルタ340、341は、アナログ信号処理、ディジタル信号処理のいずれでも良く、ワイヤレスタイプのヘッドホンの場合にはヘッドホン本体内部に設けるようにしてもよい。また、この適応処理フィルタ340、341は、必ずしもヘッドホン本体に設けなくとも良く、例えば、ヘッドホンのコードに設けても良く、装置本体とヘッドホンのコードとを接続するコネクター部以降のいずれに設けても良い。さらに、本体内部の制御装置以降に設けても良い。
この実施例のオーディオ再生装置はこのように構成され、以下のような動作をする。
第34図においては、この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12、加算器15、16により、音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、適応処理フィルタ340、341によりリスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの特性等が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
また、第35図においては、この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12または制御装置50、51、52、53、加算器15、16により、音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、適応処理フィルタ340、341によりリスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの特性等が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
また、第36図においては、この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12、加算器15、16により加算されたディジタル信号は、制御装置54、56により音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、適応処理フィルタ340、341によりリスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの特性等が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
ここで、適応処理フィルタ340、341は、インパルスレスポンスまたは制御信号の測定に用いた音源固有の補正特性および、リスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いたヘッドホン特有の補正特性のいずれか一つまたは複数の組み合わせ、またはすべてを有するものである。従って、これらの補正を含むディジタル信号処理を一度で実行するので、リアルタイムで信号処理をすることができる。
この適応処理フィルタ340、341は、プログラマブルなディジタルフィルタとしての適応処理FIRフィルタを用いると良い。この場合、まずヘッドホンユニットにリスナ23の耳23L,23Rの耳孔に対向するように設けられたマイクの収音により、再生特性を求める。次に、この再生特性を平滑化するような逆特性を生成する。そして、この逆特性を設定した適応処理FIRフィルタを通すことにより、リスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源およびヘッドホンの特性等を除去するものである。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、適応処理FIRフィルタを用いるので、プログラムにより所望の条件でディジタルフィルタを構成し、音響信号をディジタル信号処理することができる。
また、上例では、ヘッドホン24に信号線を介して直接接続する例を示したが、第35図の畳み込み積分器5、7、9、11以降に変調器および送信機を設け、ヘッドホン24側に受信機および復調器を設け、受信機および復調器により受信し、または、第36図の加算器15、16以降に変調器および送信機を設け、ヘッドホン24側に受信機および復調器を設け、受信機および復調器により受信して、ワイヤレスで再生するようにしても良い。
上例によれば、角度検出手段としてのディジタル角度検出器およびアナログ角度検出器28、38からの角度に対応した信号に基づいて、アドレス信号変換手段としてのアドレス制御回路34のアドレス信号により記憶手段としてのメモリ6、8、10、12、35のアドレスを指定し、メモリ35に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、音響信号を畳み込み積分器5、7、9、11、制御装置50、51、52、53、54、56においてインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、音響信号を一人または複数のリスナ23の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、適応処理フィルタ340、341においてメモリ6、8、10、12、畳み込み積分器5、7、9、11、制御装置50、51、52、53、54、56により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化により補正し、音響再生手段としてのヘッドホン24、90、100により音響信号を再生することができる。
第37図から第41図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンの例およびマイクの取付位置を示す。第37図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す。第37図においては、ヘッドホン90のヘッドバンド91に頭部回転検出部92およびヘッドホンユニット93、94が設けられている。そして、ヘッドバンド91のヘッドホンユニット93、94の取り付け位置に近い部分であって、その内側には、支柱95、97から支持体96、98が突出するように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット93、94がリスナ23の耳23L、23Rから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。このとき、ヘッドホンユニット93、94にはリスナ23の耳23L、23Rに向けて、マイク370a、370bが設けられていて、再生特性を測定できるようになっている。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホン90の頭部装着体としてのヘッドバンド91に設けられた支持部材としての支柱95、97、支持体96、98により発音部としてのヘッドホンユニット93、94がリスナ23の耳23a、23bを押圧しないようにして、ヘッドホンユニット93、94の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第38図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンを示す。第38図においては、ヘッドホン100のヘッドバンド101に頭部回転検出部102およびヘッドホンユニット103、104が設けられている。そして、ヘッドホンユニット103、104の内側には、支柱105、107から接触部106、108が突出するように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット103、104がリスナ23の耳23L、23Rから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。このとき、ヘッドホンユニット93、94にはリスナ23の耳23L、23Rに向けて、マイク380a、308bが設けられていて、再生特性を測定できるようになっている。
上例によれば、ヘッドホン100の頭部装着体としてのヘッドバンド101に設けられた支持部材としての支柱105、107、接触部106、108により発音部としてのヘッドホンユニット103、104がリスナ23の耳を押圧しないようにして、ヘッドホンユニット103、104の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
この場合、マイクの具体的な取付位置は、第39図〜第41図に示すようになっている。まず、第39図においては、ヘッドバンド390の端部に設けられたヘッドホンユニット391に、フレキシブルアーム393を介してマイク392がリスナ23の右耳23Rの耳孔に対向するようにフレキシブルに設けたものである。
上例によれば、ヘッドホン24、90、100のリスナ23の耳に対向して設けられたマイク370a,370b,380a,380b,392は、可撓性支持部材としてのフレキシブルアーム393によりリスナ23の耳孔に対向するようにしたプローブマイクであるので、プローブマイクを微調整移動してリスナ23の耳孔に入る反射波等のノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
第40図においては、ヘッドバンド400の端部に設けられたヘッドホンユニット401に、アーム402、404を介してマイク403がリスナ23の右耳23Rの耳孔に対向するように固定して設けたものである。
上例によれば、ヘッドホン24、90、100にリスナ23の耳に対向して設けられたマイク370a,370b,380a,380b,392,403は、支持部材としてのアーム402、404によりリスナ23の耳孔に対向するようにした固定マイクであるので、リスナ23の耳孔に入る反射波等のノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
第41図においては、ヘッドバンド410の端部に設けられた空洞筒状のヘッドホンユニット411に、空洞内部に先端が突出するようにマイク412が設けられ、リスナ23の右耳23Rの耳孔に空洞筒状のヘッドホンユニット411の先端部が対向するように固定して設けたものである。なお、この場合も、第9図に示したように、支柱97、支持体98により、ヘッドホンユニット411と耳介との間を一定距離に保つようにする。
第41図においては、ヘッドホンユニット411の側面に、スピーカユニット413およびマイク412が取り付けられている。これにより、スピーカユニット413に、補正された音響信号が供給されるとともに、マイク412によって耳孔に入る反射波ノイズを測定する。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、ヘッドホン24、90、100のリスナ23の耳に対向して設けられたマイク370a,370b,380a,380b,392,403、412により音響信号のノイズ特性を測定し、ノイズ特性の逆特性を生成し、メモリ6、8、10、12、畳み込み積分器5、7、9、11、制御装置50、51、52、53、54、56により補正された各チャンネルの音響信号をノイズ特性の逆特性により補正するようにしたので、リスナ23の個人差により耳の形状の相違によるノイズに対しても、ノイズを除去し、特性を平滑化して同一の条件で再生することができる。
本発明によれば、角度検出手段からの角度に対応した信号に基づいて、アドレス信号変換手段のアドレス信号により記憶手段のアドレスを指定し、記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、音響信号を制御手段においてインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、音響信号を上記一人または複数の聴取者の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、適応処理フィルタにおいて制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化により補正し、音響再生手段により音響信号を再生することができる。
また、本発明によれば、音響再生手段の頭部装着体に設けられた支持部材により発音部が聴取者の耳を押圧しないようにして、発音部の発音特性を音響信号の収音特性に近づけるようにしたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、音響再生手段の聴取者の耳に対向して設けられたマイクにより音響信号の反射波やノイズ特性を測定し、これらノイズ特性の逆特性を生成し、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号をノイズ特性の逆特性により補正するようにしたので、聴取者の個人差による耳の形状の相違による反射波等のノイズを除去し、特性を平滑化して同一の条件で再生することができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いるので、プログラムにより所望の条件でディジタルフィルタを構成し、音響信号をディジタル信号処理することができる。
また、本発明によれば、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクは、支持部材により聴取者の耳孔に対向するようにした固定マイクであるので、聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
または、本発明によれば、音響再生手段に聴取者の耳に対向して設けられたマイクは、可撓性支持部材により聴取者の耳孔に対向するようにしたプローブマイクであるので、プローブマイクを微調整移動して聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、音響再生手段の固有の特性を補正するようにしたので、音響再生手段を取り替えても、常に再生音を音源に近づけるようにすることができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにしたので、特定の劇場や、特定のコンサートホールなど任意の音場による再生をすることができる。
次に本発明に係る他の発明のオーディオ再生装置の一実施例について、第42図から第48図に従い詳細に説明する。
本発明の実施例のオーディオ再生装置は、音響信号をヘッドホンで再生する際に、本来スピーカで再生する場合に予め定められた位置関係に置かれるべきスピーカから音が再生されるのと同等の定位感、音場感等を、ヘッドホンで再生しても得られるようにしたものであり、特に、リスナの耳での反射波を無くした中空筒型のヘッドホンユニットを有する無反射型ヘッドホンを用いて、しかもノイズ等を適応処理により除去するようにして補正したものである。
すなわち、本発明の実施例のオーディオ再生装置は、ステレオ等で収音された多チャンネルの音響信号をヘッドホンで再生するシステムに用いるものである。特に予め定められた位置関係(例えば、リスナの前方右、前方左、中央、その他である。)に各音像を定位させる目的で各チャンネルに記録あるいは伝送されるディジタル化された音響信号をヘッドホン等で再生する際に、無反射型のヘッドホンに収音マイクを設け、これにより耳での反射波やノイズ等を含む特性を測定し、その逆特性を生成する適応処理によりノイズ等を除去するように補正するようにしたものである。
なお、この例においても先の例と共通に用いる第34図、第35図、第36図のオーディオ再生装置は、それぞれ第1図、第7図、第8図のオーディオ再生装置に対応するものである。第34図、第35図、第36図のオーディオ再生装置は、第1図、第7図、第8図のオーディオ再生装置における補正回路17、18を適応処理フィルタ340、341に替えたものである。したがって、第34図、第35図、第36図のオーディオ再生装置のそれ以外の構成および動作は、第1図、第7図、第8図のオーディオ再生装置と同様であるので、その詳細な説明は省略する。以下、この例における特徴的な構成および動作について説明する。
第34図のオーディオ再生装置においては、第1図において説明したような加算器15、16で加算された2チャンネルのディジタル信号は、適応処理フィルタ340、341によりリスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源およびヘッドホン固有の特性等を除くように補正され、D/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
ここで、ヘッドホン24は、筒状中空のヘッドホンユニットとしての左発音体26および右発音体25とヘッドバンド27を有する無反射型のヘッドホンである。
また、第35図のオーディオ再生装置においては、第7図において説明したような制御装置50、51、52、53により空間情報が与えられ、加算器15、16により加算された2チャンネルのディジタル信号は、適応処理フィルタ340、341によりリスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正され、かつ頭部の動きに対して変化の与えられたディジタル信号はD/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
ここでも、ヘッドホン24は、筒状中空のヘッドホンユニットとしての左発音体26および右発音体25とヘッドバンド27を有する無反射型のヘッドホンである。
また、第36図のオーディオ再生装置においては、第8図において説明したような加算器15、16により加算された2チャンネルのディジタル信号は、制御装置54、56により空間情報が与えられ、適応処理フィルタ340、341によりリスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正され、かつ頭部の動きに対して変化の与えられたディジタル信号はD/A変換器19、20でアナログ信号に変換され、電力増幅器21、22で増幅された後に、ヘッドホン24に供給される。
ここでも、ヘッドホン24は、筒状中空のヘッドホンユニットとしての左発音体26および右発音体25とヘッドバンド27を有する無反射型のヘッドホンである。
この場合、リスナの個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの固有の特性を補正する適応処理フィルタ340、341は、アナログ信号処理、ディジタル信号処理のいずれでも良く、ワイヤレスタイプのヘッドホンの場合にはヘッドホン本体内部に設けるようにしてもよい。また、この適応処理フィルタ340、341は、必ずしもヘッドホン本体に設けなくとも良く、例えば、ヘッドホンのコードに設けても良く、装置本体とヘッドホンのコードとを接続するコネクター部以降のいずれに設けても良い。さらに、本体内部の制御装置以降に設けても良い。
この実施例のオーディオ再生装置はこのように構成され、以下のような動作をする。
第34図においては、この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12、加算器15、16により、音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、適応処理フィルタ340、341によりリスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの特性等が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
ここで、ヘッドホン24は、筒状中空のヘッドホンユニットとしての左発音体26および右発音体25とヘッドバンド27を有する無反射型のヘッドホンであるので、リスナ23の耳で再生音が反射することが無い。
また、第35図においては、この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12または制御装置50、51、52、53、加算器15、16により、音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、適応処理フィルタ340、341によりリスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの特性等が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
ここで、ヘッドホン24は、筒状中空のヘッドホンユニットとしての左発音体26および右発音体25とヘッドバンド27を有する無反射型のヘッドホンであるので、リスナ23の耳で再生音が反射することが無い。
また、第36図においては、この畳み込み積分器5、7、9、11、メモリ6、8、10、12、加算器15、16により加算されたディジタル信号は、制御装置54、56により音場としての空間情報を持った両耳への2チャンネルのディジタル信号に変換され、適応処理フィルタ340、341によりリスナ23の個人差による耳の形状の相違、ノイズ、用いる音源及びヘッドホンの特性等が補正され、電力増幅器21、22で電力増幅された後、ヘッドホン24に供給される。これにより、あたかもその仮想音源位置に置かれたスピーカから再生音が聞こえるような再生効果を実現することができるものである。
ここで、ヘッドホン24は、筒状中空のヘッドホンユニットとしての左発音体26および右発音体25とヘッドバンド27を有する無反射型のヘッドホンであるので、リスナ23の耳で再生音が反射することが無い。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、ヘッドホン24のリスナ23の耳に対向して設けられたマイクにより音響信号の耳での反射波やノイズ特性を測定し、耳での反射波やノイズ特性の逆特性を生成し、メモリ6、8、10、12および35、畳み込み積分器5、7、9、11、制御装置50、51、52、53、54、56により補正された各チャンネルの音響信号を耳での反射波やノイズ特性の逆特性により補正するようにしたので、リスナ23の耳での反射波やノイズに対しても、これら反射波やノイズを除去し、特性を平滑化して同一の条件で再生することができる。
上例によれば、角度検出手段としてのディジタル角度検出器およびアナログ角度検出器28、38からの角度に対応した信号に基づいて、アドレス信号変換手段としてのアドレス制御回路34のアドレス信号により記憶手段としてのメモリ6、8、10、12、または35のアドレスを指定し、メモリ6、8、10、12、または35に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、音響信号を畳み込み積分器5、7、9、11、制御装置50、51、52、53、54、56においてインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、音響信号を一人または複数のリスナ23の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、適応処理フィルタ340、341においてメモリ6、8、10、12、35、畳み込み積分器5、7、9、11、制御装置50、51、52、53、54、56により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化により補正し、音響再生手段24、90、100の中空筒状の発音ユニット25、26、93、94、103、104により聴取者23の耳23L,23Rでの反射波を無くすようにして音響信号を再生することができる。
第42図から第46図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例のヘッドホンの例およびマイクの取付位置を示す。第42図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の無反射型ヘッドホンを示す。第42図においては、ヘッドホン90のヘッドバンド91に頭部回転検出部92および中空筒状のヘッドホンユニット93、94が設けられている。ヘッドホンユニット93、94の外径はリスナ23の耳23L、23Rの耳孔とほぼ同径であり、耳孔に対向するように設けられる。そして、ヘッドバンド91のヘッドホンユニット93、94の取り付け位置に近い部分であって、その内側には、支柱95、97から支持体96、98が突出するように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット93、94がリスナ23の耳23L、23Rから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。このとき、ヘッドホンユニット93、94にはその中空筒状の内周面に向けて、マイク420a、420bおよびイヤホン420c、420dが設けられていて、再生特性を測定できるようになっている。また、外部マイク420e、420fによって収音されたされた外部の音を、外部マイク420e、420fからの出力信号として、イヤホン420c、420dに供給される信号に加えることによって、外部の音も聞くことができる。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホン90は、一人または複数の聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体としてのヘッドバンド91を設け、ヘッドバンド91に発音ユニットとしてのヘッドホンユニット93、94の開放端がリスナ23の耳23L、23Rから少なくとも開放端がリスナ23の耳孔を押圧しない距離だけ離れるように支持する支持部材としての支柱95、97および支持体96、98を設けたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、第43図にこの発明のオーディオ再生装置の一実施例の無反射型ヘッドホンを示す。第43図においては、ヘッドホン100のヘッドバンド101に頭部回転検出部102および中空筒状のヘッドホンユニット103、104が設けられている。ヘッドホンユニット103、104の外径はリスナ23の耳23L、23Rの耳孔とほぼ同径であり、耳孔に対向するように設けられる。そして、ヘッドホンユニット103、104の内側には、支柱105、107からリング状の接触部106、108が突出するように設けられている。このようにすることにより、ヘッドホンユニット103、104がリスナ23の耳23L、23Rから所定距離だけ離れた状態でリスナ23に装着されるようになる。このとき、ヘッドホンユニット103、104には中空筒状の内周面に向けて、マイク430a、430bおよびイヤホン430c、430dが設けられていて、再生特性を測定できるようになっている。また、外部マイク430e、430fも設けられていて、外部の音を聞くことができる。なお、頭部回転検出器92、102はディジタル角度検出器28またはアナログ角度検出器38である。
上例によれば、音響再生手段としてのヘッドホン100は、一人または複数の聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体としてのヘッドバンド101を設け、ヘッドバンド101に発音ユニットとしてのヘッドホンユニット103、104の開放端がリスナ23の耳23L、23Rから少なくとも開放端がリスナ23の耳孔を押圧しない距離だけ離れるように支持する支持部材としての支柱105、107および接触部106、108を設けたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
この場合、マイクの具体的な取付位置は、第44図〜第46図に示すようになっている。まず、第44図においては、ヘッドバンド440の端部に設けられた中空筒状のヘッドホンユニット441に、中空筒状のフレキシブルアーム443を介してマイク442およびイヤホン444が中空筒状の内周面に向けて設けられたものである。また、外部マイク445によって収音されたされた外部の音を、外部マイク445からの出力信号として、イヤホン444に供給される信号に加えることによって、外部の音を聞くことができる。なお、この場合も、第9図に示したように、支柱97、支持体98により、ヘッドホンユニット441と耳介との間を一定距離に保つようにする。
上例によれば、ヘッドホンのリスナ23の耳孔に対向して設けられたマイク442は、可撓性支持部材としての中空筒状のフレキシブルアーム443によりリスナ23の耳孔に対向するようにしたので、ヘッドホンユニットの開放端を微調整移動してリスナ23の耳孔に入る反射波等のノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、上例によれば、ヘッドホンに設けられたヘッドホンユニット441の中空筒状部は、可撓性部分としてのフレキシブルアーム443を有するので、装着の度に異なる耳の位置またはリスナ23の個人差により異なる耳の位置にヘッドホンユニット441の開放端を対向させるように微調整することができる。
第45図においては、ヘッドバンド450の端部に中空筒状のヘッドホンユニット451が設けられる。ヘッドホンユニット451の中空筒状の内周面に向けて振動板が平行となるようにマイク452およびイヤホン453が設けられていて、再生特性を測定できるようになっている。また、外部マイク454によって収音されたされた外部の音を、外部マイク454からの出力信号として、イヤホン453に供給される信号に加えることによって、外部の音を聞くことができる。
上例によれば、ヘッドホンにリスナ23の耳に対向して設けられたマイク123は、支持部材としてのアーム122によりリスナ23の耳孔に対向するようにした固定マイクであるので、リスナ23の耳孔に入る反射波等のノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
第46図は本発明に係るオーディオ再生装置のマイクの取付位置を示す断面図である。
第46図において、外耳道466の内径467と略同一の内径468に形成され、一端側に可撓性を有する例えば合成樹脂やゴム材等の耳介装着部材464が設けられ、他端側が音声の無反射端となるように例えばフェルト等の吸音材465が設けられたヘッドホンユニット460と、ヘッドホンユニット460の周面にそれぞれ振動面を管内方に臨ませて互いに近接して取り付けられるイヤホン461およびマイク462とが設けられている。
ヘッドホンユニット460は、ヘッドホン筐体となるものであって内径468を均一、かつ、外耳道466の内径468と略同一とし、上記他端側に音声の無反射端となるように吸音材465を設けることにより、ヘッドホンユニット460の音響インピーダンスを外耳道466のインピーダンスと略同一となるようにしており、いわゆる頭内定位現象を防止するように構成されている。
また、上記音響インピーダンスの変化を防止するために、イヤホン461およびマイク462は、ヘッドホンユニット460の側面にそれぞれの振動板が平行となるように、また、ヘッドホンユニット460の断面積S1がイヤホン461よびマイク462の取り付け部の各断面積S2、S3と略同一となるように取り付けられている。また、外部マイク463によって収音されたされた外部の音を、外部マイク463からの出力信号として、イヤホン461に供給される信号に加えることによって、外部の音を聞くことができる。
上例によれば、ヘッドホンユニット460の一端側に耳介装着部材461を設け、他端に吸音材465を設け、ヘッドホンユニット460の内周面にそれぞれ振動板を平行となるようにイヤホン461およびマイク462を設けたので、リスナ23の耳孔に入る反射波等のノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
第47図および第48図において、適応処理フィルタを使用して逆特性を求める際のブロック図を示す。第47図に、間接実行型の適応処理FIRフィルタを用いたブロック図を示す。第47図において、入力端子470に入力信号を供給する。この入力信号を一方では、遅延回路471に供給し、他方では、被測定装置476に供給する。被測定装置476内では、未知システム474を経た信号とディジタル的に発生される2進の疑似不規則信号であるM系列信号からなるノイズとを加算器475で加算し、適応処理FIRフィルタ473に供給する。
ここで、遅延回路471の出力信号と適応処理FIRフィルタ473の出力信号のマイナス分とを加算器472で加算する。この加算器472の出力信号を適応処理FIRフィルタ473に供給する。これにより、適応処理FIRフィルタ473は、加算器472の出力信号がゼロに収束するようにして、未知システム474の逆特性を求める。そして、この収束後のフィルタ係数を使用して、固定の適応処理FIRフィルタ473により、特性を平滑化する。
この場合、入力端子470に供給される入力信号は、第34図、第35図および第36図において、多チャンネルディジタル信号源1または多チャンネルアナログ信号源2から供給される音響信号でも良いが、収束を早めるために、ディジタル的に発生させる2進の疑似不規則信号であるM系列信号からなるノイズを用いても良い。また、未知システム474は、第34図、第35図および第36図に示すオーディオ再生装置において、入力がヘッドホン24の発音体25、26あるいはヘッドホン90、100のヘッドホンユニット93、94、103、104、391、401、411に加えられ、出力は第37図〜第41図において示したマイク370a,370b,380a,380b,392,403,412により収音された音響信号である。
このようにして、第37図〜第41図において示すマイク370a,370b,380a,380b,392,403,412を用いて、ヘッドホン特性の逆特性を求め、そのインパルス応答より得られた係数を用いて、適応処理FIRフィルタ473により再生される音響信号の周波数特性を平滑化するのである。
また、この場合、入力端子470に供給される入力信号は、第34図、第35図および第36図において、多チャンネルディジタル信号源1または多チャンネルアナログ信号源2から供給される音響信号でも良いが、収束を早めるために、ディジタル的に発生させる2進の疑似不規則信号であるM系列信号からなるノイズを用いても良い。また、未知システム474は、第34図、第35図および第36図に示すオーディオ再生装置において、入力がヘッドホン24の発音体25、26あるいはヘッドホン90、100のヘッドホンユニット93、94、103、104、441、451、460に加えられ、出力は第42図〜第46図において示したマイク420a,420b,430a,430b,442,452,462により収音された音響信号である。
このようにして、第42図〜第46図において示すマイク420a,420b,430a,430b,442,452,462を用いて、ヘッドホン特性の逆特性を求め、そのインパルス応答より得られた係数を用いて、適応処理FIRフィルタ473により再生される音響信号の周波数特性を平滑化するのである。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、特性の測定をした後に逆特性により処理を実行する間接実行型であるので、特性の測定に基づいて逆特性を生成して特性を平滑化することができる。
第48図に、直接実行型の適応処理FIRフィルタに用いたブロック図を示す。第48図において、入力端子480に入力信号あるいは測定用ノイズを入力信号として供給する。入力信号および付加ノイズは、遅延回路481、483に供給される。遅延回路483の出力信号は、適応処理FIRフィルタ484に供給される。
ここで、遅延回路481の出力信号と、適応処理FIRフィルタ484の出力から未知システム482を通過した信号のマイナス分とを加算器485で加算する。このとき、未知システム482に混入する外来ノイズが入力信号と無相関であれば、適応処理FIRフィルタ484から未知システム482を通過した出力信号を入力端子480に供給される入力信号に近づけることにより、音響再生手段からマイクロホンまでの特性は補正され、かつ出力端子486に信号のみが出力される。従って、未知システム482に混入する外来ノイズも合わせて除去することができる。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型であるので、特性の測定と逆特性の生成を順次進行しながら特性を平滑化することができる。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、ヘッドホン24、90、100の固有の特性を補正するようにしたので、ヘッドホン24、90、100を取り替えても、常に再生音を音源に近づけるようにすることができる。
また、残響回路13、14により必要に応じて適切な残響信号が付加されるので、あたかも有名なコンサートホールで音楽を聞いているような臨場感を得ることができる。また、さらに、これらの音場の目標値を適応処理フィルタ340、341において設定することにより、適応処理フィルタ340、341で音場の設定をしても良い。
上例によれば、適応処理フィルタ340、341は、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにしたので、特定の劇場や、特定のコンサートホールなど任意の音場による再生をすることができる。
本発明によれば、角度検出手段からの角度に対応した信号に基づいて、アドレス信号変換手段のアドレス信号により記憶手段のアドレスを指定し、記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、音響信号を制御手段においてインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、音響信号を一人または複数の聴取者の頭部運動に対してリアルタイムで補正し、適応処理フィルタにおいて制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を再生特性の平滑化により補正し、音響再生手段の中空筒状の発音ユニットにより聴取者の耳での反射波を無くすようにして再生することができる。
また、本発明によれば、音響再生手段は、一人または複数の聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体を設け、頭部装着体に発音ユニットの開放端が聴取者の耳から少なくとも開放端が聴取者の耳孔を押圧しない距離だけ離れるように支持する支持部材を設けたので、外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の場合に近くなり、再生音像の頭外定位を容易にし、装着感を向上させることができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、マイクにより音響信号の耳孔での反射特性およびノイズ特性を測定し、耳孔での反射特性およびノイズ特性の逆特性を生成し、制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を耳孔での反射特性およびノイズ特性の逆特性により補正するようにしたので、聴取者の個人差による耳の形状の相違による耳での反射波や外来ノイズに対しても、これら反射波やノイズを除去し、特性を平滑化して同一の条件で再生することができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いるので、プログラムにより所望の条件でディジタルフィルタを構成し、音響信号をディジタル信号処理することができる。
また、本発明によれば、マイクは、中空筒状管の内周面にマイクの振動板が平行となるように設けられたものであるので、聴取者の耳孔に入るノイズを実計測で確実に測定することができ、これにより適応処理フィルタにおいて逆特性の補正をすることができる。
また、本発明によれば、音響再生手段に設けられた発音ユニットの中空筒状部は、可撓性部分を有するので、装着の度に異なる耳の位置または聴取者の個人差により異なる耳の位置に発音ユニットの開放端を対向させるように微調整することができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、音響再生手段の固有の特性を補正するようにしたので、音響再生手段を取り替えても、常に再生音を音源に近づけるようにすることができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、所定の目標値を付与し、この目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにしたので、特定の劇場や、特定のコンサートホールなど任意の音場による再生をすることができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、特性の測定をした後に逆特性により処理を実行する間接実行型であるので、特性の測定に基づいて逆特性を生成して特性を平滑化することができる。
また、本発明によれば、適応処理フィルタは、特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型であるので、特性の測定と逆特性の生成を順次進行しながら特性を平滑化することができる。
産業上の利用可能性
本発明のオーディオ再生装置およびヘッドホンは、ヘッドホンによる音響信号の再生に適し、特に、耳での反射をなくし、再生特性を平滑化し、反射波のノイズを除去するので、環境に左右されずに適正な音響信号を再生するオーディオ再生装置に適している。

Claims (43)

  1. 聴取者の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から聴取者の両耳に至るインパルスレスポンスを聴取者の頭部の動きに対応づけて記録し、または聴取者が識別できる角度毎に、聴取者の頭部の基準方向に対する上記仮想音源位置から上記聴取者の両耳に至る音響信号の時間差及びレベル差を表す制御信号を記憶した記憶手段と、
    基準方向に対する少なくともひとりの聴取者の頭部運動を所定角度毎に検出して信号を出力する少なくともひとつの角度検出手段と、
    上記角度検出手段により検出された信号をアドレス信号に変換するアドレス信号生成手段と、
    信号源からの音響信号を上記記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号に基づいて補正する制御手段と、
    聴取者の両耳と対向する位置に各々配され上記制御手段で補正された音響信号が各々供給される一対の発音部を有し、聴取者の頭部に装着可能で、且つ外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の状態に近い状態となるように設けられた音響再生手段とを備え、
    聴取者の頭部運動に応じて上記角度検出手段で検出される検出信号に基づいて、上記アドレス信号生成手段から出力されるアドレス信号により上記記憶手段のアドレスを指定し、上記記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、上記制御手段で上記信号源からの音響信号を、上記記憶手段から読み出されたインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、上記音響再生手段の外耳道入り口から外側への放射インピーダンスが無装着の状態に近い状態とすることによって上記発音部の発音特性を上記音響信号の収音特性に近づけるようにしたことを特徴とするオーディオ再生装置。
  2. 上記発音部には、少なくとも聴取者の耳に対向する位置に開口部が設けられており、上記発音部の発音特性を上記音響信号の収音特性に近づけるようにしたことを特徴とする請求の範囲第1項記載のオーディオ再生装置。
  3. 上記音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、上記頭部装着体に、上記各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えていることを特徴とする請求の範囲第2項記載のオーディオ再生装置。
  4. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の各中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であることを特徴とする請求の範囲第3項記載のオーディオ再生装置。
  5. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な直線を中心として上記左右の耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたことを特徴とする請求の範囲第4項記載のオーディオ再生装置。
  6. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の頭部の上下方向の直線を中心として上記左右の耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたことを特徴とする請求の範囲第5項記載のオーディオ再生装置。
  7. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の顔面方向の直線を中心として上記左右の耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたことを特徴とする請求の範囲第5項記載のオーディオ再生装置。
  8. 上記支持手段は、上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳に対して近接または離隔可能な支持機構を備えていることを特徴とする請求の範囲第3項記載のオーディオ再生装置。
  9. 上記各発音部は、複数の発音ユニットにより構成されているとともに、上記各発音ユニットには、上記音響再生手段に供給される補正された音響信号の周波数帯域を複数の周波数帯域に分割した信号が各々供給されることを特徴とする請求の範囲第2項記載のオーディオ再生装置。
  10. 上記音響再生手段は、上記発音部が取り付けられる取り付け部材を備え、上記発音部は、聴取者の頭部の側面とほぼ平行となるように配されているとともに、上記取り付け部材に対して上記発音部が上記発音部の振動板が所定角度傾斜した状態で取り付けられていることを特徴とする請求の範囲第2項記載のオーディオ再生装置。
  11. 上記音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、上記頭部装着体に、上記各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えていることを特徴とする請求の範囲第1項記載のオーディオ再生装置。
  12. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の各中心を結ぶ直線に対して任意の角度に傾斜可能であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のオーディオ再生装置。
  13. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な直線を中心として上記左右の耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたことを特徴とする請求の範囲第12項記載のオーディオ再生装置。
  14. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の頭部の上下方向の直線を中心として上記左右の耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたことを特徴とする請求の範囲第13項記載のオーディオ再生装置。
  15. 上記各発音部は、上記聴取者の左右の耳に対向するように配置され、且つ上記各発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳の中心を結ぶ直線に対して垂直な平面内で、且つ聴取者の顔面方向の直線を中心として上記左右の耳の中心を結ぶ直線に対して所定角度傾斜して設けられたことを特徴とする請求の範囲第13項記載のオーディオ再生装置。
  16. 上記支持手段は、上記発音部の聴取者の左右の耳に対向する面が、聴取者の左右の耳に対して近接または離隔可能な支持機構を備えていることを特徴とする請求の範囲第11項記載のオーディオ再生装置。
  17. 上記各発音部は、複数の発音ユニットにより構成されているとともに、上記各発音ユニットには、上記音響再生手段に供給される補正された音響信号の周波数帯域を複数の周波数帯域に分割した信号が各々供給されることを特徴とする請求の範囲第11項記載のオーディオ再生装置。
  18. 上記音響再生手段は、上記発音部が取り付けられる取り付け部材を備え、上記発音部は、聴取者の頭部の側面とほぼ平行となるように配されているとともに、上記取り付け部材に対して上記発音部が上記発音部の振動板が所定角度傾斜した状態で取り付けられていることを特徴とする請求の範囲第11項記載のオーディオ再生装置。
  19. 聴取者の頭部の基準方向に対する仮想音源位置から聴取者の両耳に至るインパルスレスポンスを聴取者の頭部の動きに対応づけて記録し、または聴取者が識別できる角度毎に、聴取者の頭部の基準方向に対する上記仮想音源位置から上記聴取者の両耳に至る音響信号の時間差及びレベル差を表す制御信号を記憶した記憶手段と、
    基準方向に対する少なくともひとりの聴取者の頭部運動を所定角度毎に検出して信号を出力する少なくともひとつの角度検出手段と、
    上記角度検出手段により検出された信号をアドレス信号に変換するアドレス信号生成手段と、
    信号源からの音響信号を上記記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号に基づいて補正する制御手段と、
    聴取者の耳に対向して設けられたマイクを有するとともに、聴取者の頭部に装着可能とし、上記制御手段で補正した音響信号が供給され、供給された音響信号を再生する音響再生手段と、
    上記マイクの出力信号に基づいて上記音響再生手段によって出力された音響信号の再生特性を平滑化処理することによって、上記制御手段により補正された音響信号を補正する適応処理フィルタとを備え、
    聴取者の頭部運動に応じて上記角度検出手段で検出される検出信号に基づいて、上記アドレス信号生成手段から出力されるアドレス信号により上記記憶手段のアドレスを指定して、上記記憶手段に記憶されたインパルスレスポンスまたは制御信号を読み出し、上記制御手段で上記信号源からの音響信号を、上記記憶手段から読み出されたインパルスレスポンスまたは制御信号により補正し、上記適応処理フィルタによって上記制御手段により補正された音響信号を上記再生特性の平滑化処理により補正し、上記音響再生手段により再生するようにしたオーディオ再生装置。
  20. 上記音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、上記頭部装着体に、上記各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えていることを特徴とする請求の範囲第19項記載のオーディオ再生装置。
  21. 上記音響再生手段は、上記マイクを聴取者の耳孔に対向する位置に保持する保持手段を備えていることを特徴とする請求の範囲第20項記載のオーディオ再生装置。
  22. 上記音響再生手段は、上記制御手段によって補正されるとともに、上記適応処理フィルタによって補正された音響信号が各々供給される一対の発音部を備え、上記保持手段は、上記マイクを上記発音部よりも聴取者の耳孔に対向する位置で、且つ聴取者の耳介側の位置に保持することを特徴とする請求の範囲第21項記載のオーディオ再生装置。
  23. 上記音響再生手段は、上記制御手段によって補正されるとともに、上記適応処理フィルタによって補正された音響信号が各々供給される一対の発音部を備え、上記保持手段は、上記マイクを上記発音部よりも聴取者の耳孔に対向する位置で、且つ聴取者の耳介側に突出した位置に保持することを特徴とする請求の範囲第21項記載のオーディオ再生装置。
  24. 上記保持手段は、一端が音響再生手段に設けられているとともに、他端に上記マイクが取り付けられた可撓性支持部材を備えていることを特徴とする請求の範囲第21項記載のオーディオ再生装置。
  25. 上記適応処理フィルタは、上記マイクにより上記音響信号の聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性を測定し、測定した結果に基づいて聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性を生成し、上記制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を上記耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性により補正することを特徴とする請求の範囲第19項記載のオーディオ再生装置。
  26. 上記適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いることを特徴とする請求の範囲第25項記載のオーディオ再生装置。
  27. 上記適応処理フィルタは、所定の目標値に近づくようにして、上記音響再生手段固有の特性を補正するようにした特徴とする請求の範囲第25項記載のオーディオ再生装置。
  28. 上記適応処理フィルタは、所定の目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにした特徴とする請求の範囲第25項記載のオーディオ再生装置。
  29. 上記適応処理フィルタは、上記マイクからの出力に基づいて特性を測定した後に逆特性により処理を実行する間接実行型フィルタであることを特徴とする請求の範囲第25項記載のオーディオ再生装置。
  30. 上記適応処理フィルタは、上記マイクからの出力に基づいて特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型フィルタであることを特徴とする請求の範囲第25項記載のオーディオ再生装置。
  31. 上記音響再生手段は、聴取者の両方の耳の耳孔に各々装着可能な一対の発音部を備え、上記各発音部は、一端に無反射部が設けられ、他端が聴取者の耳孔に対向する開放端であるとともに、聴取者の外耳道とほぼ同一の内径を有する中空の筒状部材と、上記筒状部材の側面に上記マイクとともに、上記マイクに近接して上記筒状部材の内周面に向けて配された発音ユニットとを備え、上記音響再生手段を聴取者の頭部に装着した状態で、上記筒状部材の他端が聴取者の耳孔と対向されるとともに、上記制御手段によって補正された音響信号が上記発音ユニットに供給されることを特徴とする請求の範囲第19項記載のオーディオ再生装置。
  32. 上記音響再生手段は、聴取者の頭部に装着可能とする頭部装着体と、上記頭部装着体に、上記各発音部が聴取者の耳から、所定距離だけ離間する位置に支持する支持手段とを備えていることを特徴とする請求の範囲第31項記載のオーディオ再生装置。
  33. 上記マイクは、上記筒状部材の内周面と上記マイクの振動板とがほぼ平行となるように設けられていることを特徴とする請求の範囲第31項記載のオーディオ再生装置。
  34. 上記筒状部材は、可撓性部分を備えていることを特徴とする請求の範囲第31項記載のオーディオ再生装置。
  35. 上記適応処理フィルタは、上記マイクにより上記音響信号の聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性を測定し、測定した結果に基づいて聴取者の耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性を生成し、上記制御手段により補正された各チャンネルの音響信号を上記耳孔での反射特性及びノイズ特性の逆特性により補正することを特徴とする請求の範囲第31項記載のオーディオ再生装置。
  36. 上記適応処理フィルタは、適応処理FIRフィルタを用いることを特徴とする請求の範囲第34項記載のオーディオ再生装置。
  37. 上記適応処理フィルタは、所定の目標値に近づくようにして、上記音響再生手段固有の特性を補正するようにした特徴とする請求の範囲第35項記載のオーディオ再生装置。
  38. 上記適応処理フィルタは、所定の目標値に近づくようにして、所定の音場に近づくように補正するようにした特徴とする請求の範囲第35項記載のオーディオ再生装置。
  39. 上記適応処理フィルタは、上記マイクからの出力に基づいて特性を測定した後に逆特性により処理を実行する間接実行型フィルタであることを特徴とする請求の範囲第35項記載のオーディオ再生装置。
  40. 上記適応処理フィルタは、上記マイクからの出力に基づいて特性の測定と逆特性による処理の実行を順次進行させる直接実行型フィルタであることを特徴とする請求の範囲第35項記載のオーディオ再生装置。
  41. 聴取者の頭部に装着される装着部と、
    上記装着部の上の位置に設けられた聴取者の頭部の回転を検出する検出手段と、
    上記装着部の聴取者の左右の各耳と相対向する位置に各々設けられた一対の発音部と、
    上記装着部を聴取者の頭部に装着した状態で、上記各発音部が聴取者の各耳から所定距離離間した位置に支持する支持手段とを備えたヘッドホン。
  42. 上記装着部は、略U字状に形成されているとともに、上記装着部には、上記支持手段が設けられていることを特徴とする請求の範囲第41項記載のヘッドホン。
  43. 上記支持手段は、一対が上記装着部に取り付けられているとともに、他端に聴取者の各耳の周囲の側頭部と当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求の範囲第42項記載のヘッドホン。
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