JPH05168097A - 頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法 - Google Patents

頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法

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JPH05168097A
JPH05168097A JP3332168A JP33216891A JPH05168097A JP H05168097 A JPH05168097 A JP H05168097A JP 3332168 A JP3332168 A JP 3332168A JP 33216891 A JP33216891 A JP 33216891A JP H05168097 A JPH05168097 A JP H05168097A
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JP
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sound
sound source
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ear
sound image
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JP3332168A
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Inventor
Masaharu Shimada
正治 島田
Shinji Hayashi
林伸二
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膨大な量の記憶回路を必要とせず簡単な構成
で、動きのある音像定位の受聴感覚を高めることができ
る頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法を提供する。 【構成】 記憶回路3、5、7および9中にあらかじめ
格納された、実音場中の少なくとも2個の音源位置を規
定する複数の頭外音像定位インパルス応答信号と、入力
されるレベルの相異なる右チャネル入力信号1および左
チャネル入力信号2とを、同時刻に独立にそれぞれ畳み
込み演算器4、6、8および10により畳み込み演算
し、左チャネル入力信号2から畳み込み演算により得ら
れた右耳側の信号と右チャネル入力信号1から畳み込み
演算によって得られた右耳側の信号とを右耳側の加算器
11により加算し右耳に受聴させ、同様に左耳用の加算
器12により左耳側の信号を加算し左耳に受聴させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステレオイヤーホンお
よびステレオヘッドホンなどのステレオ受聴器による両
耳受聴に利用する。
【0002】本発明は、特に、あらかじめ定められた複
数の音源位置からの頭外音像定位インパルス応答信号と
左右チャネルの音源信号のレベル差あるいは遅延時間差
を用いて、音源位置から離れた任意の位置に音像を定位
させる頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法に関し、各
音像を定位させたい多数の音源位置ごとの頭外音像定位
インパルス応答信号を用いず、数個の頭外音像定位イン
パルス応答信号だけでステレオイヤーホン両耳受聴で音
像を任意の位置に知覚制御する方法に利用する。
【0003】
【従来の技術】図7は本発明の基本的な考え方となる頭
外音像定位の原理を説明したものである。図7(a)お
よび(b)は実空間場で両耳で音像(聴覚上の音源位
置)を認知する例を示し、図7(c)は実音源の代わり
に電気信号によって擬似音源(スピーカ)から空間に音
波を放射して外耳道に挿入される例を示し、図7(d)
は、イヤーホンを使用して音像を頭外に定位させるため
に、電気情報信号から未知の伝達関数を介してイヤーホ
ンに処理した信号を入力する例を示している。
【0004】通常、人間は図7(a)および(b)のよ
うに、両耳受聴により、その音源の位置を知覚している
と言われている。いま、電気情報信号I(s)は擬似音
源であるスピーカを鳴動して、音波が発せられ、さらに
空間を介して放射される。電気情報信号I(s)から、
左右両耳の特定箇所として、外耳道入口または鼓膜前面
に装着された小型マイクまでの空間インパルス応答伝達
関数をH(s)、小型マイクの電気情報信号の出力信号
をJ(s)とし、さらに同じ電気情報信号I(s)から
未知の伝達関数Huk(s)を介し、イヤーホンに入力さ
れる電気情報信号からイヤーホンおよび外耳道を介し小
型マイクの出力信号までの外耳道インパルス応答伝達関
数をHea(s)とし、小型マイクの電気情報信号の出力
信号をK(s)とする。
【0005】擬似音源入力の電気情報信号I(s)から
空間伝播および外耳道を介し、小型マイクの出力電気情
報信号J(s)は、 J(s)=H(s)×I(s) …(1) 一方、イヤーホンの出力信号K(s)は図7(d)から
も判るように、 K(s)=Huk(s)×Hea(s)×I(s) …(2) 音源位置からあたかも受聴できるような聴覚上の頭外音
像定位とするために、式(1)と式(2)とを等しく
(J(s)=K(s))おけば、 H(s)×I(s)=Huk(s)×Hea(s)×I(s) …(3) を得る。従って、未知の伝達関数Huk(s)は、 Huk(s)=H(s)/Hea(s) …(4) となる。
【0006】これより、空間の実音場インパルス応答近
似した空間インパルス応答伝達関数H(s)と、イヤー
ホンから外耳道に設定した小型マイクまでの外耳道イン
パルス応答伝達関数Hea(s)とをあらかじめ測定し、
式(4)の演算処理すれば未知の伝達関数Huk(s)を
求めることが可能となる。さらにこの未知の伝達関数H
uk(s)に任意の入力音信号を実時間の畳込み演算すれ
ば、任意の場所にその入力された音源を知覚上で定位さ
せることができる。また、この未知の伝達関数H
uk(s)のインパルス応答信号が頭外音像定位インパル
ス応答信号となる。これらの理論については昔から数多
くの文献が発表されており、既に著名な文献として鹿島
出版から発行されているブラウエルト、森本、後藤らの
「空間音響」がある。前記の技術はすでに30年程前に
論文発表された内容であり、周知の事実となっている。
さらにこれらの信号列はディジタル信号処理された離散
値系列の信号であることは言うまでもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法では、前述
したような演算処理を行い、ステレオイヤーホンを用い
て、その擬似音源の位置に音像を定位させるものであっ
た。このため、1個の音像をステレオイヤーホンで両耳
受聴する場合、頭外音像定位インパルス応答信号が左右
耳で2個必要となる。いま、かりにn個の音像定位を発
生させるとなると、2n個のインパルス応答信号を格納
するメモリが必要となる。室内の残響時間によってその
インパルス応答時間長は異なり、また、その音像の明瞭
性も異なるが、通常、30msec〜300msecが
好ましい。例えば、ディジタル信号処理でサンプル時間
を16kHz、また畳み込み演算器としてエフ・アイ・
アール(有限長インパルス応答)フィルタを用いるなら
ば、そのタップ数は1個の音像を定位させるのに480
〜4800タップの2倍必要となり、さらにn個の音像
定位を実現するとなるとそのn倍のメモリ容量が必要と
なる。従って、複数の音像定位受聴を実現するとなると
莫大な記憶容量が必要となる欠点があった。
【0008】また、ステレオイヤーホンで受聴した音像
定位は擬似音源が設置したときの頭外音像定位インパル
ス応答信号であるので、その音像を線型的に動かそうと
する場合、頭外音像定位インパルス応答信号を切り換え
るため、どうしてもその両耳受聴は離散的な感覚にな
り、ぎくしゃくして自然的な知覚は得られないし、また
どうしても線型的な動作を得ようとすると多数の頭外音
像定位インパルス応答信号を必要とし、かつその切替え
動作も滑らかにする必要があり、前述のメモリもさらに
増大することになる。いずれにしても離散的な受聴感覚
は避けられない欠点があった。
【0009】さらに、イヤーホン両耳受聴で頭外に音像
を定位する頭外音像定位技術と2チャネルの音源を用い
て、線型的な音像定位動作を行う提案の文献も見当たら
ないし、具体的にデータで示した事例も未だ公開されて
いない。
【0010】本発明は、前記の欠点を除去することによ
り、膨大な量の記憶回路を必要とせず、簡単な構成で動
きのある音像定位の受聴感覚を高めることができる頭外
音像定位ステレオ受聴器受聴方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、実音場中の音
源位置から左右両耳の特定箇所までの空間インパルス信
号と、受聴器から左右両耳の特定箇所までの外耳道イン
パルス応答信号との演算により、任意の音源位置に対応
した各個人ごとの両耳の頭外音像定位インパルス応答信
号を求め、この両耳の頭外音像定位インパルス応答信号
と音源信号との畳み込み演算結果を両耳受聴する頭外音
像定位ステレオ受聴器受聴方法において、前記実音場中
の少なくとも2個の音源位置を規定する複数の頭外音像
定位インパルス応答信号と、レベルの相異なる左右2チ
ャネルの音源信号とを同時刻に独立にそれぞれ畳み込み
演算し、左チャネルの音源信号から畳み込み演算によっ
て得られた右耳側の信号と右チャネルの音源信号から畳
み込み演算によって得られた右耳側の信号とを加算し右
耳に受聴させ、左チャネルの音源信号から畳み込み演算
によって得られた左耳側の信号と右チャネルの音源信号
から畳み込み演算によって得られた左耳側の信号とを加
算し左耳に受聴させることを特徴とする。
【0012】また、本発明は、前記レベルの相異なる左
右2チャネルの音源信号に代えて、遅延時間の相異なる
左右2チャネルの音源信号を用いたことを特徴とする。
【0013】また、本発明は、前記左右2チャネルの音
源信号は、左チャネルと右チャネルの音源信号を加算し
た音源信号を含むことができる。
【0014】
【作用】本発明は以下の考え方に基づいている。
【0015】一般に、受聴者と2個のスピーカの配置を
受聴者と左右対称な位置に正三角形状態に設置すると、
2個のスピーカの間にも音像が定位し臨場感あふれるス
テレオ受聴感覚が得られることは周知の事実である。
【0016】その例として、まず始めにレベル差による
頭外音像定位について説明する。1959年 ディ・エ
ム・リーキイ(D.M.Leakey)は、両耳の外耳
道入口における音響信号の実行時間差と等しい時間差を
与える単一音源の方向に音像が定位すると考え、θi
音像定位方向(正面が0°)、θはスピーカの開き角度
の半分、スピーカの入口レベル比をkとすれば、 θi =tan-1〔(1−k)/(1+k)・tanθ〕 …(5) なる予測式を導いた。
【0017】このように空間に設置した2個のスピーカ
から受聴した場合、開口角度θとレベル比kによって音
像が定位することが、文献「2チャネル音源系における
インタチャネル強度と時間差の影響についての測定」
「Some measuremants on the
effects of interchanneli
ntensity and time differe
nces in two channelsound
systems」 J,Acoustic Soc.A
m 31,977−986,1959で明らかとなって
いる。
【0018】一方、2個のスピーカの音源信号の遅延時
間差による音像定位については、当初、1968年にデ
・ハースによって提唱され、左右両耳の先行音効果と呼
ばれるもので、1音源から放射され、左右両耳に到達す
る音の時間差量によって音像が定位すると言うものであ
る。その後、黒住らが左右2個のスピーカからの時間差
による音像定位の理論式を導いている。その内容は文献
「音響信号の両耳間相関係数に基づく音像定位モデ
ル」、日本音響学会誌Vol.44,no.10,19
88,p726〜P734に記載されている。
【0019】ここで、このスピーカ受聴による方法と頭
外音像技術を結合するとどのような聴覚がえられるかに
ついては未だ発表されていない。
【0020】本発明は、前述の2個の音源信号のレベル
差、または遅延時間差による音像定位を用いて音像を音
源位置以外の任意の位置に定位させるもので、レベル差
または遅延時間差を有する左右2チャネルの音源信号
と、実音場中の少なくとも2個の音源を規定する複数の
両耳の頭外音像定位インパルス応答信号とをそれぞれ独
立に畳み込み演算し、左耳側および右耳側の信号をそれ
ぞれ加算することで達成される。すなわち、各音像を定
位させたい多数の音源位置ごとの頭外音像定位インパル
ス応答信号を用いず、数個の頭外音像定位インパルス応
答信号だけで、ステレオイヤーホン両耳受聴で音像を任
意の位置に知覚制御する。これにより、頭外音像定位イ
ンパルス応答信号を格納する記憶回路も数個で済ますこ
とが可能となる。
【0021】なお、左右2チャネルの音源信号には、左
チャネルと右チャネルの音源信号を加算したものを含む
ことで、中央の音像定位を鮮明にすることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0023】図1は本発明の第一実施例を示すブロック
構成図で、本発明の頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方
法による基本的な構成を示す。
【0024】図1において、1は右チャネル入力信号、
2は左チャネル入力信号、3は右音源位置から右耳まで
演算した頭外音像定位インパルス応答信号の記憶回路、
4は右チャネル右耳用の畳み込み演算器、5は右音源位
置から左耳まで演算した頭外音像定位インパルス応答信
号の記憶回路、6は右チャネル左耳用の畳み込み演算
器、7は左音源位置から右耳まで演算した頭外音像定位
インパルス応答信号の記憶回路、8は左チャネル右耳用
の畳み込み演算器、9は左音源位置から左耳まで演算し
た頭外音像定位インパルス応答信号の記憶回路、10は
左チャネル左耳用の畳み込み演算器、11は右耳用加算
器、12は左耳用加算器、および13はステレオイヤー
ホンである。
【0025】本発明の方法では、図1に示す記憶回路
3、5、7および9に〔従来の技術〕でも述べたよう
に、あらかじめ、右音源側からの左右両耳までの2個の
頭外音像定位インパルス応答信号データと左音源側から
の左右両耳までの2個の頭外音像定位インパルス応答信
号データとをそれぞれ蓄えておく必要がある。この頭外
音像定位インパルス応答信号はディジタルで処理される
ので、当然サンプリング周波数ごとの離散値の系列であ
ることは言うまでもない。
【0026】次に、右チャネル入力信号1は、まず右チ
ャネル右耳用の畳み込み演算器4と右チャネル左耳用の
畳み込み演算器6に入力される。畳み込み演算器4では
右チャネル入力信号1と右音源位置から右耳まで演算し
た頭外音像定位インパルス応答信号とが、また、畳み込
み演算器6では右チャネル入力信号1と右音源位置から
左耳まで演算した頭外音像定位インパルス応答信号とが
それぞれ畳み込み演算される。一方、左チャネル入力信
号2は同様にして左チャネル右耳用の畳み込み演算器8
と左チャネル左耳用の畳み込み演算器10に入力され、
畳み込み演算器8では左チャネル入力信号2と左音源位
置から右耳まで演算した頭外音像定位インパルス応答信
号とが、また、畳み込み演算器10では左チャネル入力
信号2と左音源位置から左耳まで演算した頭外音像定位
インパルス応答信号とがそれぞれ畳み込み演算される。
【0027】さらに、右耳用加算器11では、畳み込み
演算器4の右チャネル右耳側の信号と畳み込み演算器8
の左チャネル右耳側の信号とが加算され、その信号はス
テレオイヤーホン13の右耳に伝達される。左耳用加算
器12では、畳み込み演算器6の右チャネル左耳側の信
号と畳み込み演算器10の左チャネル左耳側の信号とが
加算され、その信号はステレオイヤーホン13の左耳に
伝達される。
【0028】次に、このような構成例を使用したレベル
差による実験方法とその主観評価試験結果を説明する。
図2はレベル差の実験回路のブロック構成図である。図
2において、14は白色雑音源、15は通過ろ波器、な
らびに16および17は減衰器である。通常、音像定位
の主観評価を実施する場合に用いられる信号は白色雑音
である。白色雑音源14から出力された信号は試験対象
の有効帯域周波数だけを通過させるように通過ろ波器1
5に入力され、さらにそれぞれ減衰器16および17で
左右チャネルのレベル差を制御して右チャネル入力信号
1と左チャネル入力信号2に送出する。次に実験方法を
説明する。
【0029】実験に使用した受聴室は260×470×
235(cm3 )の大きさで遮音室(対外雑音比60d
B以上、残響時間約50msec)である。また、頭外
音像定位インパルス応答測定のための実験ではスピーカ
から受聴者までの距離は1.5m、2個のスピーカと受
聴者の配置は正三角形で、開口角度は60度である。被
験者は通話品質試験員5名で、各レベル差による各測定
サンプリング数は計50(1名当たり10サンプル)で
ある。レベル差の提示方法はランダムである。白色雑音
は2〜3秒間継続しながら受聴させ、被験者にその音像
位置を回答させる方法である。
【0030】図3(a)は中央から右側でのレベル差に
よる音像定位の主観評価試験結果と前述したリーキイの
理論式(5)と併せた結果である。左右音源位置から求
めた頭外音像定位インパルス応答4個のデータ情報だけ
で、レベル差により、比例して音像移動が行われること
が実証できる。なお、図3(b)にこの場合における音
像定位受聴角度θのとり方を示す。
【0031】次に、2個の左右チャネルの信号の遅延時
間差による試験方法とその主観評価結果を説明する。図
4は左右チャネルの信号の時間遅延差を変化させた場合
の実験回路を示すブロック構成図である。図2と異なる
ところは減衰器16および17の代わりに時間遅延器1
8および19を設定したことである。実験方法は前述の
レベル差と同様にレベル差の代わりに時間遅延をパラメ
ータとして測定したものである。なおその他の実験条件
は同様である。
【0032】図5は中央から右側での遅延時間差による
音像定位の主観評価結果である。この結果より、やはり
遅延時間差により音像が定位できることが実証された。
【0033】すなわち、レベル差および遅延時間差によ
って両耳受聴時でも頭外音像定位インパルス応答信号を
活用することにより、拡声系と同様な知覚を得ることが
証明された。
【0034】図6は本発明の第二実施例を示すブロック
構成図で、2個の右および左チャネル入力信号1および
2から音像定位をさらに明確にするためのもので、音源
位置が右左、および中央にある場合であって、右および
左チャネル入力信号1および2を基に音像定位を生成す
るものである。
【0035】図6において、20は加算器、21は減衰
器、22は中央の音源位置から右耳まで演算した頭外音
像定位インパルス応答信号の記憶回路、23は右耳用の
畳み込み演算器、24は中央の音源位置から左耳まで演
算した頭外音像定位インパルス応答信号の記憶回路、お
よび25は左耳用の畳み込み演算器であり、他は図1と
同じである。
【0036】通常、2個の左右の音源だけでは中央の音
像定位は曖昧になったり、受聴者により中央の位置が異
なったりする。これは受聴者の耳の構造や知覚現象が異
なるためで、中央の音像をより鮮明とするための一実施
例である。
【0037】まず、右および左チャネルの信号1および
2は加算器20で加算され、次に減衰器21で中央に定
位する音源の量と同等となるように減衰させる。一般的
には3〜6dB程度である。次に中央に音源が設置され
たときの左右耳の頭外音像定位インパルス応答信号をそ
れぞれ格納している記憶回路22および24と、この中
央位置からの音源信号と左右耳用の畳み込み演算をそれ
ぞれ畳み込み演算器23および25で行う。この左右の
出力信号を前記に述べた右耳用加算器11と左耳用加算
器12にそれぞれ入力される。このような構成となって
いるので、いままで中央での音像定位の曖昧さが強調さ
れることになるので、さらに中央の音像定位が鮮明とな
る。
【0038】さらに、臨場感を高めるために、受聴者の
後部に左右2個の音源を設定する方法もある。本発明に
もこの原理が適用されることは言うまでもない。つま
り、後部から音源が設置されたごとくの処理方法は、左
右両チャネルから時間、位相遅延器を駆使すれば、技術
音源信号を生成されることは多くの文献から実証でき
る。従って、左右前方向、中央方向、左右後方向の5個
のそれぞれの頭外音像定位インパルス応答信号を測定し
ておけば、イヤーホン両耳受聴で受聴者の回り360度
の音像定位も可能となる。
【0039】なお、以上の説明ではステレオ受聴器とし
てステレオイヤーホンで説明したが、両耳形であればそ
の使い方は変わらないので、ステレオヘッドホンでも可
能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ステレオ受聴器受聴に適用し、あらかじめ定められた複
数の音源位置からの頭外音像定位インパルス応答信号
と、例えば左右2個の音源信号のレベル差や遅延時間差
を用いて、音源位置から離れた任意の位置に音像を定位
することができるので、各音像を定位させたい多数の音
源位置ごとに頭外音像定位インパルス応答信号を用いな
いので、膨大な記憶回路の削減や音像移動の受聴感覚の
向上を行うことが可能となり、その効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示すブロック構成図。
【図2】そのレベル差の実験回路を示すブロック構成
図。
【図3】そのレベル差による音像定位の主観評価試験結
果を示す特性図。
【図4】その時間差の実験回路を示すブロック構成図。
【図5】その時間差による音像定位の主観評価結果を示
す特性図。
【図6】本発明の第二実施例を示すブロック構成図。
【図7】本発明の基本的な考え方となる頭外音像定位の
原理説明図。
【符号の説明】
1 右チャネル入力信号 2 左チャネル入力信号 3 (右音源位置から右耳まで演算した頭外音像定位
インパルス応答信号の)記憶回路 4 (右チャネル右耳用の)畳み込み演算器 5 (右音源位置から左耳まで演算した頭外音像定位
インパルス応答信号の)記憶回路 6 (右チャネル左耳用の)畳み込み演算器 7 (左音源位置から右耳まで演算した頭外音像定位
インパルス応答信号の)記憶回路 8 (左チャネル右耳用の)畳み込み演算器 9 (左音源位置から左耳まで演算した頭外音像定位
インパルス応答信号の)記憶回路 10 (左チャネル左耳用の)畳み込み演算器 11 右耳用加算器 12 左耳用加算器 13 ステレオイヤーホン 14 白色雑音源 15 通過ろ波器 16、17、21 減衰器 18、19 時間遅延器 20 加算器 22 (中央音源位置から右耳まで演算した頭外音像
定位インパルス応答信号の)記憶回路 23 (右耳用の)畳み込み演算器 24 (中央音源位置から左耳まで演算した頭外音像
定位インパルス応答信号の)記憶回路 25 (左耳用の)畳み込み演算器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実音場中の音源位置から左右両耳の特定
    箇所までの空間インパルス信号と、受聴器から左右両耳
    の特定箇所までの外耳道インパルス応答信号との演算に
    より、任意の音源位置に対応した各個人ごとの両耳の頭
    外音像定位インパルス応答信号を求め、この両耳の頭外
    音像定位インパルス応答信号と音源信号との畳み込み演
    算結果を両耳受聴する頭外音像定位ステレオ受聴器受聴
    方法において、 前記実音場中の少なくとも2個の音源位置を規定する複
    数の頭外音像定位インパルス応答信号と、レベルの相異
    なる左右2チャネルの音源信号とを同時刻に独立にそれ
    ぞれ畳み込み演算し、左チャネルの音源信号から畳み込
    み演算によって得られた右耳側の信号と右チャネルの音
    源信号から畳み込み演算によって得られた右耳側の信号
    とを加算し右耳に受聴させ、左チャネルの音源信号から
    畳み込み演算によって得られた左耳側の信号と右チャネ
    ルの音源信号から畳み込み演算によって得られた左耳側
    の信号とを加算し左耳に受聴させることを特徴とする頭
    外音像定位ステレオ受聴器受聴方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の頭外音像定位ステレオ受
    聴器受聴方法において、 前記レベルの相異なる左右2チャネルの音源信号に代え
    て、遅延時間の相異なる左右2チャネルの音源信号を用
    いたことを特徴とする頭外音像定位ステレオ受聴器受聴
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の頭外音像
    定位ステレオ受聴器受聴方法において、 前記左右2チャネルの音源信号は、左チャネルと右チャ
    ネルの音源信号を加算した音源信号を含むことを特徴と
    する頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法。
JP3332168A 1991-12-16 1991-12-16 頭外音像定位ステレオ受聴器受聴方法 Pending JPH05168097A (ja)

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