JP3637444B2 - 精密鋳造法及び該精密鋳造法によって製造された精密鋳造品。 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はロストワックス法による精密鋳造方法に関するものである。本発明はロストワックス法で用いられるロウ模型の欠点を樹脂模型にて根本的に改善しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来技術として、先ずロストワックス法による精密鋳造法について説明する。
【0003】
ロストワックス法とは、ロウ模型多量生産用金型に溶融したロウ成分を流し込み、冷却後脱型することによって鋳造物製品と同じ形状のロウ模型を製作する;ロウ模型の表面を耐火物で塗り固め、加熱してロウ模型を溶融流出せしめ、高温焼成にて完全に燃やし切り、空洞化した鋳型を製作する;その鋳型に溶融した合金を注湯し、冷却固化後、鋳型を砕いて鋳造物を取り出す;と言った製造工程を経るものである。
【0004】
さらに詳しく説明すると、このロウ成分を金型に射出成形してロウ模型を製作するが、射出温度・射出圧力・射出圧力保持時間・冷却脱型温度等を適当に制御することによって一定品質のロウ模型を生産することができる。こうして製作されたロウ模型は一定温度の恒温室にて保管され、極力寸法精度の保持に注意を払わなければならない。そして、このロウ模型には、別途に作成したロウ成分からなる湯口模型がロウ付けによって一体に組み立てられる。組み立てられた模型全体は、ツリーと称せられている。このツリーの形状はそのまま湯口系方案となるので、その設計に当たっては溶融金属の性質、鋳物の大きさ形状、鋳造条件、ツリーからの切断性等多くの因子を考慮して設計されなければならない。
【0005】
こうして製作されたツリーはコーテイングスラリーへの浸漬・乾燥を繰り返して層状にコーテイングされる。詳しく説明すると、このコーテイングスラリーに用いられるバインダーとしては、コロイダルシリカ、エチルシリケート、ハイブリッド等があり、これらのバインダーにフイラーとして耐火物微粉末を配合して、前述したスラリーが形成される。そして、こうして形成されたスラリーに、ロウ模型を浸漬し引き上げ後スタッコ粒を振りかけて乾燥させる。尚、前記スタッコ粒としてはジルコサイドやモロカイト粒が使用される。こうした操作を数回繰り返すことによってコーテイング作業が完了する。
【0006】
次にオートクレーブ中において、120−150℃にて鋳型よりロウ模型を溶出せしめる。これを脱ロウと称している。この脱ロウの終わったシエル鋳型は、付着したロウや不完全燃焼のカーボン粉が取り除かれ、鋳型の強度を高めるために700−1000℃の高温焼成炉内において段階ごとに昇温され焼成される。こうして製作された鋳型へ溶融合金が鋳込まれ、冷却後ノックアウトマシンで鋳型を崩壊し、鋳物を取り出して湯道・せき等を切断除去し、ブラストにて付着残留耐火物が除去される。補修可能の部位は溶接にて補修し、グラインダーにて仕上げ後熱処理され鋳物合金の製品となる。
【0007】
以上説明したロストワックス法に用いられる焼失模型については各種各様な研究開発が成されてきた。まず、焼失模型として使用されるロウ模型のロウ成分としてはパラフイン、ロジン、カルナバワックス、テレフタル酸の配合物が一般的である。ロウ成分については鋳造便覧(日本鋳物協会編集)に詳細が記載されている。また最近では、特開平5−38549号で、ロウ成分にメラミン粉体を配合したロウ成分の有効性が報告されている。ロウ成分が高温溶融し脱ロウし易い特性をキープする限り、ロウ模型の機械的強度物性を向上せしめるには限界があると考えられる。焼失模型として、合成樹脂とロウ模型を積層合体させた方式が報告されて来た。特開平5−23791号はワックス表面に合成樹脂膜を形成させた焼失模型ある。特開平5−329174号は歯用綴模型を加熱溶融樹脂で製作し、焼失模型としたものである。特開平7−9084号は光硬化性樹脂シートにロストワックス台を積層した模型である。特開平7−299542号は綿糸や合成材料からなる刺繍模型にワックス・プラスチック材料・を塗布した焼失模型である。特開平7−47443号は光硬化性樹脂模型とか熱溶解樹脂積層模型を金型に挿入しロストワックスを射出成形した焼失模型である。特開2000−263186号は紫外線硬化樹脂模型にロストワックス台を積層した焼失模型である。このように、焼失模型の一部または全体に合成樹脂が用いられるように成ってきたが、これは主にロウ模型の形状保持性向上、簡便な模型製作を狙ったものである。すなわち、造形工法のデジタル化が発達し、それに伴って光硬化樹脂や熱可塑性樹脂の造形への応用が進展した産物である。
【0009】
一方、樹脂模型を製作するための材料及び工法の従来技術について以下に説明する。
【0010】
樹脂模型を製作する従来技術は多種多様に存在する。基本となるのは木材やプラスチックの板棒を切削加工・接着加工にて製作する工法である。
【0011】
鋳造模型を製作する木型業界では、寸法精度が良好な乾燥したホウの木、姫小松が好んで使用されている。模型製作時には木材の方向性を打ち消し歪みを回避するために、木材の方向性を交互に組み合わせることによって経日変化に対して精度の高い木型模型が製作されている。
【0012】
プラスチック模型を製作するデザインモデル業界ではベークライト・アクリル・PP・塩化ビニール等の板棒を切削加工・接着加工にて製作される。最近では、マイクロ樹脂バルーンをウレタン樹脂で固めた寸法精度・切削加工性に優れたケミカルウッドが多用され、CAD/CAMの急速な発達によって図面ではなくデータで模型形状を受注し、NCマシンで方向性の無いケミカルウッドを切削加工してケミカルウッドの模型を製作するようにになってきた。
【0013】
また、CADデータで模型形状を受注しコンピユータ制御した光線を硬化性樹脂に照射してドーナツ状態の樹脂硬化円盤を順次積み重ね3次元樹脂模型とする光造形法が普及して来た。この光造形法は切削加工無しにて中空3次元造形物がマシンで製作できる点に最大の特徴がある。
【0014】
このようにして作成された1個の精密模型をマスターモデルとし、石膏反転とか樹脂反転にて石膏型・樹脂型を製作し、液状樹脂を注型・硬化せしめて樹脂模型を複製することにて複数個の樹脂模型を製作することができる。注型用液状樹脂としてはウレタン樹脂・エポキシ樹脂・不飽和ポリエステル樹脂・アクリル樹脂等が使用されている。要求される樹脂模型の性能を考慮し、樹脂材料が選択されるものである。
【0015】
また、樹脂模型が製品として多量製造する場合には上記のような試作模型製作工法ではなく量産製作工法となる。すなわち、溶融させた熱可塑性樹脂を高温高圧にて金型へ謝出し冷却固化後脱型するインジェクション工法となる。2液反応性液状樹脂を金型へ謝出し、金型内部で重合反応起こさせながら硬化させるRIM法も非常に有力な工法と成り、短期大量生産工法として工業化されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロストワックス法にて精密鋳造品を製作する場合、焼失模型はロウ成分からなるロウ模型であるため、このロウ成分が高温時溶融流失しやすく、鋳型高温焼成工程にて燃焼焼失する性能に優れていると言った特徴を有するものの、近年精密鋳造物が複雑構造を呈するようになり、また厳しい寸法精度を要求される様になって来たことから、色々な課題が発生しており、ロウ模型では対応できない場合も発生しているのが現状である。
【0017】
具体的には、これらロウ模型は、▲1▼ロウ模型はエッジが出にくい、▲2▼細いリブが立ちにくい、▲3▼細いリブは折れやすい、▲4▼肉薄部位は脱型時細心の注意を持って脱型しなければならない、▲5▼1mm以下とあまりにも薄い部位を持つロウ模型は製作に技術的限界が存在する等の問題点を有する。さらにまた、製作したロウ模型は表面硬度が低いため、傷つきやすい、寸法精度が甘い、持ち運び時落下衝撃にて損傷する、作成したロウ模型は夏場条件で形状変化を起こしやすいため、恒温室にて保存せねばならない等の問題点もあり、また、夏場、ロウ模型を移動する時は、細心の注意を払わなければならないという問題点もある。これらは、ロウ成分が比較的低分子の有機物であり、80℃程度で軟化するというロウ成分特有の特徴に起因するものである。このようなロウ成分の特徴に起因する課題を改善するために、ロウ成分の組成変更による改善研究がなされているが、ロウ成分が常温よりやや高い温度での低融点有機物であり、常温にて結晶化・固体化しているものであるがために、根本的に課題の解決には至っていないのが現状である。また焼失模型に樹脂模型が使用された例は数多く存在するが、焼失模型に適する樹脂組成を検討した報告は見当らない。
【0018】
したがって、本発明は、精密鋳造に用いられる焼失模型として如何なる樹脂組成が最適であるのかを追求し、限定された範囲内の樹脂組成が焼失模型として有効であることを提唱するものである。ロウ模型の欠点である強度不足は樹脂模型とする事によって確実に改善される。しかしながら、樹脂模型が迅速に製作されなければ経済性が伴わないことも明らかである。また、最初から樹脂模型が大量生産に結びつくものではないが故に、少量他品種の樹脂模型を迅速に生産できることが工業化上重要である。そこで、金型・熱可塑性樹脂を用いたインジェクション方式ではなく、急速硬化する反応硬化性樹脂において、焼失模型としての樹脂組成の検討を積み重ねた。
【0019】
これによって、この発明は、従来のロウ模型の問題点を解決すると共に、焼失性能が良好であり且つ成形精度の高い樹脂模型を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
したがって、この発明は、ロストワックス法による精密鋳造法において、ロウ模型の代わりに樹脂模型を用いると共に、該樹脂模型は、常温で液状の可塑剤(A)を、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)に、10〜40重量%含有させ、可視時間5分以内で硬化させて形成されることにある。
【0021】
また、前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)が、化学構造式
【化2】
で示されるポリエーテル鎖を5〜35重量%含有することにある。
【0024】
さらにまた、前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)の可使時間に、可塑剤(A)が相分離ミクロ分散されることが望ましい。
【0025】
また、前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)が硬化した樹脂模型は、80℃での硬度が、ショアーD硬度で30〜60の範囲内とすることが望ましい。この範囲内の硬度に設定することによって、細かい部分の成形を精度良く行うことができる。さらに、前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)は、中空バルーンを1−10重量%含有することが望ましく、また、炭素紛を1−10重量%含有することが望ましい。
【0026】
さらにまた、前記2液反応樹脂液組成物は、ロストワックス法による精密鋳造法における焼失模型を形成するのに適している。
【0027】
また、この2液反応樹脂液組成物からなる焼失模型を用いることによって、焼失模型の形成を容易に且つ大量に製造することが可能となるものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0029】
本発明に使用する可塑剤(A)は、化学反応を起こす官能基を持たない不活性な揮発性が無視できる化合物で室温において液状のものが好ましい。可塑剤(A)としては、エステル系可塑剤、エーテル系可塑剤、エステル・エーテル系可塑剤が挙げられる。具体的には、エステル系可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)が代表的である。その他、酢酸ベンジル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸イソペンチル、エチレングリコール安息香酸ジエステル、ポリエチレングリコール安息香酸ジエステル、プロピレングリコール安息香酸ジエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸ジエステル、エチレングリコールジオリエート、ポリエチレングリコールジオリエート、プロピレングリコールジオリエート、ポリプロピレングリコールジオリエート等が挙げられる。エーテル系可塑剤としては、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジフエニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トロエチレングリコールジブチルエーテル,テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。エーテルエステル系としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチテングリコーリモノフエニルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0030】
尚、本発明に使用する可塑剤(A)においては、化学反応を起こす官能基を持たない不活性な揮発性が無視できる化合物で室温にて液状のものが好ましい。
【0031】
また、可塑剤(A)は下記する化学構造式にて示されるポリエーテル鎖を含有するものが好ましい。
【0032】
【化3】
【0033】
このポリエーテル鎖はソフトな成分であり、加温高温時、軟化・分解・燃焼し易い化学構造であり、この可塑剤(A)は、ポリエーテル鎖を最大80%含有することが望ましい。また、可塑剤(A)は、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)に含有されるものである。
【0034】
次いで、本発明に使用される2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)について説明する。
【0045】
2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の2成分からなるものである。ポリイソシアネート成分は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物であり、ポリオール成分は1分子中に2個以上の水酸基を含有するものである。イソシアネート基は非常に反応性に富んだ官能基であり、活性水素を持つ水酸基や、アミノ基や、チオール基と反応する。アミノ基及びチオール基は瞬間的に反応するために、反応性に乏しいイソシアネート成分や、反応性に乏しい芳香族アミンなどに限定して適応されるが、反応があまりに早いために、その組み合わせは制限されたものとなる。
【0046】
ポリイソシアネート成分の具体例としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートがある。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートとジフエニルメタンジイソシアネートが代表的である。トリレンジイソシアネートは、製造時の化学反応上、各種異性体の混合物として得られ、工業的には、2,4−体と2,6−体の混合比によりTDI―100(2,4−TDI 100%)、TDI―80(2,4−TDI 80% 2,6−TDI 201%)、及びTDI―65(2,4−TDI 65%2,6−TDI 35%)が市販されている。ジフエニルメタンジイソシアネートも、製造時の化学反応上、各種異性体の混合物として得られ、工業的には、純MDIとポリメリックMDIがある。純MDIとは2核体であり、ポリメリックMDIとは多核体である。純MDIは蒸留にて単離され、釜残としてポリメリックMDIが残る。ポリメリックMDIは製造条件によって多核体数が異なるために、各種のポリメリックMDIが各メーカーより市販されている。また、ナフタリン核にイソシアネート基を持たせたナフタレンジイソシアネートやトリジンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネートを水添した水添キシリレンジイソシアネートやMDIを水添した水添MDIが挙げられる。
【0047】
ポリイソシアネートは反応性に富み、特に揮発性のあるポリイソシアネートは毒性が強いため、色々な変成を施して使用される。ウレタン変性、二量化、三量化、ポリカルビジイミド化、ウレア変性、プレポリマー化、ブロック化などがある。これらはイソシアネート基の高反応性を利用して自己縮合させたり、活性成分を介してジョイントさせて、末端にイソシアネート基を残したものである。
【0048】
ポリオール成分としては、低分子ポリオール、ポリエーテルポリオール、アミンポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ブタジエンポリオールがある。低分子ポリオールとしては、エチレングリコール・プロピレングリコール・1−4ブタンジオール・グリセリン・トリメチロールプロパン・ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、上記低分子ポリオールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加した各種分子量のポリエーテルポリオールが市販されている。エチレンオキサイド単独付加、プロピレンオキサイド単独付加、混合付加、順次付加など色々な付加方式によって、末端水酸基は1級・2級となる。これによって末端水酸基の反応性が異なり、さらに前記付加鎖がエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドによって親水性が異なることから、各種各様のポリエーテルポリオールとなる。
【0049】
アミンポリオールは、アンモニア・エチレンジアミン等の低分子アミンにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させたものである。これによって分子内に3級窒素を含有することになり、イソシアネートの反応性を促進させる効果を保有したポリオールとなる。急速硬化を行う本発明には欠かせない成分である。
【0050】
ポリエステルポリオールは、二塩基酸と低分子ジオールをエステル化にて分子末端を水酸基としたものである。二塩基酸と低分子ジオールの種類を選択調整、分子量の調整、多官能低分子ポリオールの少量使用などにて多種多様なポリエステルポリオールとなる。また、ε−カプロラクタムの開環重合にて得られるラクトンポリエステルポリオールもある。これらにアルキレンオキサイドを付加することによって、ポリエステル鎖とポリエーテル鎖を持ったものもあり、非常に多様性があるものである。
【0051】
アクリルポリオールは、メチルアクリレートやメチルメタアクリレートと共に末端水酸基を含有するアクリルモノマーを共重合させたものであり、アクリル鎖の中に複数の水酸基を持ったアクリルオリゴマーである。アクリルモノマーの種類が選択され、分子量が調整された各種のアクリルポリオールが市販されている。造膜するレベルまで重合度を上げ、高分子化し、有機溶剤に溶解せしめた樹脂液は、脂肪族ポリイソシアネートによって、わずかな架橋を行うことで耐候性に優れた塗料となる。ブタジエンポリオールは、末端に水酸基を含有するブタジエンと二重結合を有する化合物との共重合物である。比較的疎水性の強いポリオールである。
【0052】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分のウレタン化反応を促進するには触媒が添加使用される。その触媒としては、金属触媒及びアミン触媒がある。金属触媒としては、オクチル酸亜鉛・オクチル酸鉛やジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、等が挙げられる。アミン触媒としては、トリエチレンジアミン、NN−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。これらの触媒は通常ポリオール成分中に添加される。
【0053】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合量は、NCO基数とOH基数を計算し、通常NCO基数とOH基数の比率(NCO/OH)が1.0近辺に成るように設計される。(NCO/OH)=1.0とは、イソシアネート基と水酸基の数が同数であり、きちっと反応が終了する設計であり、つまり最高の強度を発現する領域である。本発明ではポリイソシアネート成分の平均官能基数を3.0以上ポリオール成分の平均官能基数を3.0以上と多官能とすることにて(NCO/OH)は0.7−1.0に設定されている。好ましくは0.7−0.9である。より好ましくは0.75−0.85である。これによって、ポリイソシアネート成分の単位当たりの使用量を減じることができるので、焼失模型とした場合高温時、軟化・溶融・分解・燃焼が起こりやすい特徴が発現する。
【0058】
このように、急速硬化する2液反応硬化ウレタン性樹脂(B)は、急速硬化、スムースな流動性及び程良い硬度を持たせるために、各成分の調整・硬化触媒の添加・安定剤の添加・消泡剤の添加・反応性希釈剤の添加・染料顔料の添加による着色・可燃性フィラーの添加等が成されるものである。場合によっては有機溶剤にて希釈されても良い。
【0059】
この2液反応硬化性ウレタン樹脂(B)は下記する化学構造式にて示されるポリエーテル鎖を含有するものである。
【0060】
【化4】
【0061】
このポリエーテル鎖はソフトな成分であり、加温高温時、軟化・分解・燃焼し易い化学構造であり、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)は、ポリエーテル鎖を5−35%含有することが望ましい。
【0062】
可燃性フイラーとしては、中空バルーン又は及び炭素粉を1−10%含有せしめることが有効である。中空樹脂バルーンは、真比重0.15〜0.50g/cc、粒径15〜100μmの軽量微粒末であり、UCAR Phenolie Micro balloon(ユニオンカーバイト社製)など、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬(株)製)によって市販されているものである。
【0063】
こういった中空樹脂バルーンを含有せしめることは、樹脂模型に空気を埋め込むことになり、脱ロウ工程・焼成工程にて分解流出・燃焼を促進し、残留灰分が少なくなると言った効果が発現する。中空バルーンの含有量は1〜10重量%であることが望ましい。10重量%以上になると、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)ががさつき、スムースな流動性が得られにくくなるからである。さらには、3〜8重量%であることが望ましい。
【0064】
炭素粉とはカーボン粉つまり炭の粉である。炭素粉を含有せしめることは、樹脂模型の一部を可燃性の炭としたことになり、高温時燃焼し易く、残留灰分が少なくなる。また、炭素紛は、1−10%含有されることが望ましい。炭素粉の含有量が10%以上となると、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)の粘性が増加し流動性がえられなくなるからである。さらには、1−3%であることが望ましい。
【0065】
また、この発明は、樹脂液組成物によって成形された焼失模型によって、脱ロウ工程・焼成工程にてスムースに分解流出燃焼にて焼失し、多量の灰分が残留せず、ヘヤークラック・亀裂のない鋳型を製作できることを最大のポイントとした。そのために、常温液状の可塑剤(A)を配合し高温時流出し易くすることを目的とした。
【0066】
従来の方法において、常温で液状の可塑剤(A)を高含有させると、可塑剤(A)が樹脂模型の表面へブリードし、ベタツキ・タックが発生するという問題点があり、この問題点を解消すると共にできるだけ可塑剤(A)を高含有させるには、可使時間5分以内にて急速硬化せしめ、可塑剤(A)が硬化樹脂から相分離し、硬化樹脂の3次元網目構造内にミクロ分散状態にて閉じこめられる状態と成すことが有効である。この様な相分離ミクロ分散構造は、蜂の巣状の硬化樹脂の中に可塑剤(A)が有効に保持される構成である。言い換えると、蜂の巣状の硬化樹脂は強度物性に優れた構造であり、可塑剤(A)を蜂の巣内にて大切に保存し、外部へ放出しない構造であるといえる。したがって、可塑剤(A)は硬化物表面ににじみ出し、タック発生を引き起こすことはない。相分離ミクロ分散構造を取らない時は、可塑剤(A)は硬化樹脂中に溶解することになり、飽和状態以上になると可塑剤(A)は硬化物表面ににじみ出し、タックが出、にじみ出しが多いとベタツキが発生し易くなるという不具合が生じる。このような相分離ミクロ分散構造は電子顕微鏡にて確認されている。相分離ミクロ分散構造を助成するには可使時間5分以内で急速硬化せしめることが必要である。好ましくは3分以内である。可使時間が5分以上になると、相分離ミクロ分散が完結しにくくなり、また模型製作時脱型に1日以上必要となり模型製作上迅速性が失われるからである。
【0067】
2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)として存在する時点では、可塑剤(A)は均一溶解状態が必要であり、反応硬化する段階で硬化樹脂から相分離ミクロ分散が助成され、反応硬化完結時点ではミクロ分散した可塑剤(A)を包含し表面へのブリードを妨げるものである。こう言った微妙なバランスの上に組成が構成されるものである。つまり、可塑剤(A)と2液反応硬化性ウレタン樹脂の親水性・疎水性のバランスをうまく調整された領域に設計されるものである。親水性セグメントとしては、アルキレンオキサイド鎖(ポリエーテル鎖)が有効であり、疎水性セグメントとしては炭化水素鎖が有効である。これらの親水性セグメント・疎水性セグメントは、使用する原料モノマーの選択にて決定される。これらの親水性と疎水性のバランスはある程度乖離させた設計が必要である。2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)にエチレンオキサイド鎖を多用すると親水性が強くなるし、プロピレンオキサイド鎖にするとエチレンオキサイド鎖よりは親水性が弱まる。エチレンオキサイド鎖やプロピレンオキサイド鎖を少なくすると疎水性が強い2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)となり、親水性と疎水性を有る範囲内で調整することができる。同様に可塑剤(A)に含有されるエチレンオキサイド鎖やプロピレンオキサイド鎖の含有量を調整することにより、可塑剤(A)の親水性と疎水性を有る範囲内で調整することができる。また可塑剤(A)のアルキレンオキサイド鎖以外の末端化学構造を変えることにより、疎水性の強さを変化させることができる。例えば末端をアルキルエーテルとする場合、メチルエーテル・エチルエーテル・ブチルエーテル・フエニルエーテルと変化するに従って疎水性が大きくなる。このように、可塑剤(A)の化学構造と使用量、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)の化学構造と使用量を変えて相分離ミクロ分散する領域範囲を設定するものである。
【0068】
こう言ったバランスの下に設定される2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)における常温液状の可塑剤(A)の含有量は10〜40重量%であることが望ましい。40重量%以上になると、相分離ミクロ分散適量以上となり硬化物表面にブリード・タックが発生するからである。また、10重量%以下になると、脱ロウ・焼成工程にて樹脂模型の加熱分解流出が悪くなり、鋳型にヘヤークラック・亀裂発生を起こす原因となるからである。
【0069】
一方、樹脂模型が脱ロウ工程・焼成工程の高温時、軟化・熱分解・流出・燃焼し易くするためには、下記化学構造式にて示されるアルキレンオキサイド鎖を樹脂骨格や可塑剤(A)分子内に埋め込むことが有効であることを見い出した。
【0070】
【化5】
【0071】
このアルキレンオキサイド鎖はソフトな成分であり、加温高温時、軟化・分解・溶融・燃焼し易いセグメントである。このセグメントが硬化樹脂の中にちりばめられているために、溶融・分解・流出・燃焼が程良く完結されるものである。このアルキレンオキサイド鎖は2液反応硬化性ウレタン樹脂本体及び可塑剤(A)に埋め込まれるものであり、2液反応硬化性ウレタン樹脂本体と可塑剤(A)から基本的に構成される反応性硬化樹脂液(B)中に5−30重量%含有することが望ましい。30重量%以上になると非常に柔らかい樹脂となり、模型としての形状保持が難しい硬さとなるからであり、5重量%以下になると、加温高温時の軟化・分解・溶融・燃焼が悪くなり焼失模型としての燃焼特性が損なわれることになるからである。さらには、10−25重量%であることが望ましい。
【0072】
一方、硬化した樹脂が非常に硬い場合には、加温加熱時に溶融分解流出燃焼が遅れ、樹脂の膨張にて鋳型が割れて破損を引き起こす。よって、硬化した樹脂模型全体が早く軟化し、樹脂の膨張応力が、湯口や空気抜き口へ応力分散せしめることが必要である。このためには、硬化物である焼失樹脂模型の80℃の硬度がショアーD硬度で20−55が最適であることを見い出した。より好ましくは30−50である。80℃の硬度がショアーD硬度で55以上になると、硬化樹脂の膨張応力緩和が悪く、湯口や空気抜き口へ応力分散ができず一方的に膨張し、ついには鋳型をその膨張力で破損せしめることのなるからである。また、80℃の硬度がショアーD硬度で20以下の場合、夏場温度での樹脂模型硬度がショアーDで40以下となり、樹脂模型製作時の脱型工程で硬度不足を引き起こし、無理な脱型応力にて樹脂模型が変形することがあるからである。
【0073】
このように、焼失模型用樹脂組成の設定には、可塑剤(A)・樹脂の量と骨格・硬化の速さ・硬化物の硬さなどが相互に関与するものである。
【0090】
2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)の実施例を以下に記載する。3つ口コルベンに、クルードMDI(NCO=32%):34重量部、可塑剤(A)としてジ2エチルヘキシルアジペート:14重量部を仕込み均一溶解後、ポリプロピレングリコール(MW=400):2重量部を仕込み、均一攪拌溶解後、徐々に昇温し80℃にて5時間攪拌しウレタン化し末端NCOのウレタンプレポリマーとする。次いで消泡剤:0.01重量部を仕込み均一混合溶解させる。これをイソシアネート成分とする。次いで、4つ口コルベンにエチレンジアミン・プロピレンオキサイド付加物(MW300):5.0重量部及びトリメチロールプロパン・プロピレンオキサイド付加物(MW=4400:28重量部、可塑剤(A)としてジ2エチルヘキシルアジペート17重量部を仕込みキャピラリーより窒素ガスを導入させながら、真空にて100℃1時間脱水した。50℃以下に徐冷し、消泡剤:0.01重量部、ヒンダードフエノール系酸化防止剤:0.5重量部を仕込み、70℃で1時間均一攪拌混合する。これにオクチル酸亜鉛1%キシレン溶液を添加し可使時間3分に調整する。これをポリオール成分とする。このポリオール成分と前記ポリイソシアネート成分の配合比は1:1(重量比)とする。
【0091】
また、比較例に係る2液反応硬化性樹脂液の製造方法について説明する。4つ口コルベンにエチレンジアミン・プロピレンオキサイド付加物(MW=300):5重量部及びビスフエノール・プロピレンオキサイド付加物(MW=400):15重量部及びヒマシ油:30重量部を仕込み、キャピラリーより窒素ガスを吸引させながら、真空にて100℃で1時間脱水する。50℃以下に徐冷し、消泡剤:0.01重量部を添加し、1時間均一混合し、可使時間を5分に調整する。これをポリオール成分とする。次いで3つ口コルベンにクルードMDI(NCO=32%):47重量部、可塑剤(A)としてジ2エチルヘキシルアジぺート:3.0重量部仕込み均一溶解し、消泡剤:0.01重量部を仕込み均一混合溶解させる。これをポリイソシアネート成分とする。
【0092】
上述した実施例1−樹脂及び比較例1−樹脂について下記する表5にまとめる。
【0093】
【表1】
【0098】
次に、本発明の2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)を用いた樹脂模型の実施例及び比較例について説明する。
【0109】
実施例1−模型において、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)のポリオール成分を容器Aに取り出し、同ポリイソシアネート成分を容器Bに取り出し、真空槽内の混合機にセットする。真空ポンプを動かし真空槽内を真空とし、容器Bを傾けてポリイソシアネート成分をポリオール成分が入った容器Aに流し込む。次いで、約30秒攪拌し、直ちに容器Aを傾けて、前もって作成した透明シリコン型の注型口に固定した三角ロートよりシリコン型へ流し込む。真空にて30秒脱泡後、真空槽内の真空を破り常圧に戻す。ここで、常温にて30分放置後、シリコン型を固定しているテープを取り外し、シリコン型を開けて内部の模型を取り出す。この時、模型はしっかりと硬化しており、1日後の硬度は25℃でショアーDで66、80℃で硬度はシヨアーDで45であった。
【0112】
樹脂模型の製造に係る第2の実施例において、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)に係る第1の実施例に従って製造された熱硬化性ウレタン樹脂液のポリオール成分を50重量部及びカーボン粉を容器Aに仕込む。ポリイソシアネート成分:50重量部を容器Bに取り出し、真空槽内の混合機に容器A・容器Bをセットする。真空ポンプを動かし真空槽内を真空とし、容器Bを傾けてポリイソシアネート成分をポリオール成分が入った容器Aに流し込む。次いで、約30秒攪拌混合脱泡し、直ちに容器Aを傾けて、前もって作成した透明シリコン型の注型口に固定したプラスチックロートよりシリコン型へ流し込む。真空にて30秒脱泡後、真空槽内の真空を破り常圧に戻し、常温にて30分放置する。ここで、注型口の樹脂液が硬化していることを確認する。次いで、透明RTVシリコン型を固定しているテープを取り外し、透明RTVシリコン型を開けて内部の模型を取り出す。この時、模型はしっかりと硬化しており、1日後の硬度は25℃でショアーDで65、80℃で硬度はシヨアーDで43であった。
【0115】
上記実施例に対する第5の比較例において、反応硬化性樹脂液(B)の第5の比較例に基づいて製造された熱硬化性ウレタン樹脂液のポリオール成分を容器Aに取り出し、同ポリイソシアネート成分を容器Bに取り出し、真空槽内の混合機にセットする。真空ポンプを動かし真空槽内を真空とし、容器Bを傾けてポリイソシアネート成分をポリオール成分が入った容器Aに流し込む。次いで、約30秒攪拌し、直ちに容器Aを傾けて、前もって作成した透明シリコン型の注型口に固定したプラスチックロートよりシリコン型へ流し込む。真空にて30秒脱泡後、真空槽内の真空を破り常圧に戻し、常温にて30分放置する。ここで、注型口の樹脂液が硬化していることを確認する。次いで、透明RTVシリコン型を固定しているテープを取り外し、透明RTVシリコン型を開けて内部の模型を取り出す。この時、模型はしっかりと硬化しており、1日後の硬度は25℃でショアーDで72、80℃で硬度はシヨアーDで68であった。
【0119】
【表2】
【0120】
また、下記する表3は、添加フィラーを用いた樹脂模型の実施例と比較例を示す。
【0121】
【表3】
【0122】
以下、本発明の2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)を用いた樹脂模型による精密鋳造工程条件及び鋳造実施例、比較例を記載する。
【0123】
模型製作以後の、精密鋳造工程は以下の通りである。
【0124】
1.模型準備:樹脂模型にロストワックからなる湯口を接合する。
【0125】
2.コーテイング:ジルコニアゾル・電融ジルコニアから成るスラリーに浸漬し、スタッコ粒として電融ジルコニアを振りかけ3時間乾燥し初層とする。次いで、コロイダルシリカ・ムライトから成るスラリーに浸漬し、スタッコ粒として溶融シリカを振りかけ2時間乾燥する。この操作を10回繰り返しコーテイングを終了する。
【0126】
3.脱ロウ:コーテイングした樹脂模型の湯口へドライヤーにて熱風をあて、約1時間加熱する。ロストワックス部位を脱ロウすると共に樹脂模型の加熱分解・液化流失を促す。
【0127】
4.1次焼成:脱ロウ後、ガス炉に設置し徐々に昇温、200℃にて30分キープし樹脂模型の加熱分解・燃焼を促す。更に徐々に昇温し550℃にて60分キープし樹脂模型の燃焼焼失を行う。更に徐々に昇温し1100℃にて樹脂模型の完全燃焼・鋳型の強化を行う。
【0128】
5.2次焼成:鋳型内部の灰分を除去後、電気炉に設置し850℃にて1時間焼成し、鋳型の付着水分を除去する。
【0129】
6.金属溶解:真空溶解鋳造炉の溶解炉にてTi−6・4合金をアルゴンガス気流下に溶解する。熔解温度は1700℃である。
【0130】
7.鋳込み:Ti合金溶解後直ちに鋳込みを行う。鋳込み後炉内にて徐冷する。
【0131】
8.型ばらし:ハンマーにて鋳型をばらして鋳物を取り出し、湯道を切断後ショットブラスト、サンドブラストにて付着残留耐火物を除去する。
【0132】
目視検査:目視にて、鋳物の外観形状・表面のボイド発生・エッジのシャープさ・肉薄部位リブ立ち等をチエックする。
【0137】
鋳造の第1の実施例において、前記樹脂模型製造の第1の実施例に基づいて製造された樹脂模型を用い、上述した精密鋳造工程に準じて鋳造を行う。鋳型の状態・鋳物の状態は目視検査にて評価する。
【0140】
鋳造の第2の実施例において、前記樹脂模型製造の第2の実施例に基づいて製造された樹脂模型を用い、上述した精密鋳造工程に準じて鋳造を行う。鋳型の状態・鋳物の状態は目視検査にて評価する。
【0145】
鋳造の第1の比較例において、前記樹脂模型製造の第1の比較例に基づいて製造された樹脂模型を用い、上述した精密鋳造工程に準じて鋳造を行う。鋳型の状態・鋳物の状態は目視検査にて評価する。
【0149】
2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)を用いた樹脂模型による精密鋳造の実施例と比較例を表4及び5に記載する。
【0152】
【表4】
【0153】
【表5】
【0154】
【発明の効果】
ロストワックス法による精密鋳造において、焼失模型となるロウ模型は肉厚1mm以下の部位を有する場合、製作が困難である。これに対して、本発明の樹脂模型では肉厚0.5mmの模型を簡単に製作することができる。つまり、本発明によって極肉薄精密鋳造部品が生産可能となり、カメラ・時計・ひげ剃り・携帯電話などの精密鋳造部品幅広く適応されると言った大きな効果が発現される。
【0155】
尚、1mm程度の肉厚を有するロウ模型の場合、その取り扱いには細心の注意を払わなければならず、肉薄部位が破損し易く曲がり・折れやすい等の問題点生じるのに対して、本発明の樹脂模型は、ロウ模型よりも強度・弾力性は遙かに優れており、特に、生産数量が1,000個、10,000個と数が増加すると、ロウ模型では、細心の注意を払っても非常に困難な作業となるが、本発明の樹脂模型にすることによって、模型の取り扱いが非常に楽になると言った効果がある。
【0156】
また、ロウ模型はシャープエッジを出しにくいが、本発明の樹脂模型では綺麗なシャープエッジを出すことができる。このように、樹脂模型とすることにより、模型の形状に多様性が出るため、複雑形状な薄物には絶対的な優位性があるものである。
【0157】
さらに、ロウ模型は、真夏の温度では形状が崩れる危険性が高いため、恒温室に保存される必要があるが、樹脂模型の場合、真夏の温度でも形状保持には十分な硬度を有するので、恒温室で保存せねばならないほどの厳しい管理は必要がないと言った効果もある。
Claims (7)
- ロストワックス法による精密鋳造法において、
ロウ模型の代わりに樹脂模型を用いると共に、
該樹脂模型は、常温で液状の可塑剤(A)を、2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)に、10〜40重量%含有させ、可視時間5分以内で硬化させて形成されることを特徴とする精密鋳造法。 - 前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)の可使時間に、可塑剤(A)が相分離ミクロ分散されることを特徴とする請求項1又は2記載の精密鋳造法。
- 前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)が硬化した樹脂模型は、80℃での硬度が、ショアーD硬度で30〜60の範囲内とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の精密鋳造法。
- 前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)は、中空バルーンを1−10重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の精密鋳造法。
- 前記2液反応硬化性ウレタン樹脂液(B)は、炭素紛を1−10重量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の精密鋳造法。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載の精密鋳造法によって製造された精密鋳造品。
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