JP3636589B2 - ガス化焼却設備における排ガス脱硝方法および装置 - Google Patents

ガス化焼却設備における排ガス脱硝方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス化燃焼炉で生成される熱分解ガスをガス化灰溶融炉に導入して燃焼させ、熱分解ガスに同伴された灰を溶融して捕捉するガス化焼却設備における排ガス脱硝方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流動床式ガス化燃焼炉によりごみを燃焼させて可燃ガスやチャーなどの未燃分を含む熱分解ガスを生成し、この熱分解ガスをガス化灰溶融炉に導入して排ガスに同伴された灰を加熱溶融して捕捉するガス化焼却設備において、ガス化灰溶融炉から排出される排ガス中のNOXは、煙突付近では10ppm以下と排出量の低減が期待されている。このガス化灰溶融炉では溶融スラグの安定した抜出しを行うために、溶融炉の温度が灰の融点よりも高い1300℃〜1500℃の範囲で行われており、その結果、Thermal−NOXが多く発生するという問題がある。
【0003】
そのため、従来では灰溶融炉の燃焼室で熱分解ガスを還元雰囲気で燃焼させた後、その排ガスを二次燃焼室に導入して完全燃焼させる二段燃焼法による脱硝を行い、NOXをある程度低減するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、さらに排ガスの脱硝を行う場合、通常、排ガス中に還元剤であるアンモニアNH3や尿素CO(NH22を吹込んで脱硝する無触媒選択還元法が採用される。この無触媒選択還元法では、脱硝率の高い温度範囲は、850℃〜1000℃であり、またその脱硝性能は滞留時間が重要な要素となり、また還元剤と燃焼排ガスの均一な混合も重要な要素となる。
【0005】
しかし、上記設備で無触媒選択還元法を採用する場合、還元剤の十分な滞留時間が確保でき、燃焼排ガスと還元剤との均一な混合が行える部位として二次燃焼室が最適であるが、この二次燃焼室の温度は1300℃〜1500℃と高く、二次燃焼室での脱硝は困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、多段燃焼による脱硝と無触媒選択還元法による脱硝とを効果的に行えるガス化焼却設備における排ガス脱硝方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、ガス化燃焼炉で生成された熱分解ガスを灰溶融炉に導入して燃焼させ、熱分解ガスに同伴された灰を加熱溶融して捕捉するガス化焼却設備における排ガス脱硝方法あって、熱分解ガスを燃焼溶融室で還元燃焼させて燃焼排ガス中の溶融スラグを捕捉した後、二次燃焼室に導入し、二次燃焼室に吹込まれた二次空気により燃焼排ガスを完全燃焼させて脱硝し、 同時にガス化燃焼炉投入用のごみ乾燥機から排出される乾燥排ガスを二次燃焼室の入口側に導入して燃焼排ガス温度を脱硝用還元剤による脱硝適正温度まで下降させるとともに、二次燃焼室の入口側で燃焼排ガス中に脱硝用還元剤を吹込み、二次燃焼室内で脱硝用還元剤と燃焼排ガスとを接触させて脱硝し、この二次燃焼室の出口側から燃焼排ガスを乾燥ガスとして前記ごみ乾燥機に供給するものである。
【0008】
また請求項2記載の発明は、ガス化燃焼炉で生成された熱分解ガスをガス化灰溶融炉に導入して燃焼させ、熱分解ガスに同伴された灰を加熱溶融して捕捉するガス化焼却設備における排ガス脱硝装置であって、前記ガス化灰溶融炉に、熱分解ガスを還元燃焼させて灰を加熱溶融する燃焼溶融室と、その燃焼排ガス中で溶融されたスラグを捕捉するスラグ回収室と、燃焼排ガスを完全燃焼させる二次燃焼室を設け、前記二次燃焼室入口側に、ガス化燃焼炉に投入されるごみ乾燥用のごみ乾燥機から乾燥排ガスを導入する温度調整ガス管と、脱硝用還元剤を吹込む還元剤供給管を接続し、二次燃焼室の出口側に、燃焼排ガスを乾燥ガスとして前記ごみ乾燥機に供給する乾燥ガス管を接続したものである。
【0009】
上記構成によれば、燃焼溶融室と二次燃焼室で二段燃焼を行うことにより燃焼排ガスの脱硝を行い、さらにごみ乾燥機で乾燥後の乾燥排ガスを二次燃焼室に導入し燃焼排ガスの温度を下げて脱硝用還元剤が良好に反応する適正温度範囲内とするとともに、脱硝用還元剤を二次燃焼室に吹込んで効率よく脱硝を行うことができる。さらに、乾燥排ガスに含まれる一酸化炭素や水素ガスを利用して、水や酸化窒素と反応させNOXの還元を促進することができる。また脱硝後の燃焼排ガスをごみ乾燥機への乾燥ガスとして使用して二次燃焼室に循環させるので、脱硝還元剤のリーク量を低減することができ、ランニングコストを低減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係るガス化焼却設備の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0011】
図1,図2において、1は被焼却物であるごみを乾燥させるロートルーバ式ごみ乾燥機で、ごみホッパー2からスクリュー式ごみ給送機3を介して供給されるごみを回転筒1aに投入して攪拌し、回転筒1aを介して噴出される乾燥ガスにより乾燥される。ごみ乾燥機1からごみが供給されるガス化燃焼炉4は、たとえば流動床式で、流動空気ファン5から吹込まれた流動化空気により流動される流動媒体中に投入されたごみを部分燃焼させるとともに熱分解し、可燃ガスやチャー(乾溜炭素分)、タールなどを含む熱分解ガスを生成して、灰溶融炉6に送り出すように構成される。またガス化燃焼炉4で循環移動される媒体中から抜出された灰は、分別装置10で不燃物が分離された後、灰溶融炉6に移送される。
【0012】
灰溶融炉6は、熱分解ガスを還元燃焼させる燃焼溶融室7と、燃焼溶融室7から下方に送られた燃焼排ガスを迂回させて同伴された溶融スラグを捕捉するスラグ回収室8と、捕集後の排ガスに二次燃焼空気を吹込んで完全燃焼させる二次燃焼室9とを具備している。
【0013】
燃焼溶融室7は、加熱バーナー11や一次空気ノズル12を備え、接線方向に導入された熱分解ガスを旋回させつつ下方に送り、一次空気ノズル12からの一次空気により空気不足の状態で還元燃焼させ、同伴された灰分を加熱溶融するように構成される。またスラグ回収室8では、燃焼溶融室6から第1絞り部13を介して下方に送られた燃焼排ガスを側部上方に迂回させて壁面に衝突させることにより効果的に溶融スラグを捕捉するように構成され、上流側下方に傾斜された底壁8aの上流端に捕捉された溶融スラグを排出する排滓口14が形成されている。
【0014】
さらにスラグ回収室8からの燃焼排ガスを上方に案内する二次燃焼室9には、中間部に第2絞り部15が形成され、図3に示すように、第2絞り部15の上流側(下部)の側壁に、還元剤吹込みノズル16と温度調整ノズル17が二次燃焼室9の接線方向に貫設されており、第2絞り部15により加速された燃焼排ガスを旋回させて乾燥排ガスと還元剤との混合を促進させることができる。また、還元剤供給装置18から還元剤供給管19が還元剤吹込みノズル16に接続され、またごみ乾燥機1と二次燃焼室9の間に乾燥ガス管21が接続されるとともに、使用済みの乾燥排ガスをごみ乾燥機1と温度調整ノズル17との間に乾燥排ガスを導入する温度調整ガス管22が接続されている。さらに二次燃焼室9には、二次空気ノズル23(配設位置を図面で確認してください)が配置されるとともに、下流側の天壁に燃焼排ガスの温度を検出する温度計24が配設されている。
【0015】
二次燃焼室9の下流側には、ガス冷却筒25や空気予熱器26、バグフィルターなどの排ガス処理装置27が配置され、処理後の排ガスは煙突28から排出される。
【0016】
また、温度調整ガス管22の出口近傍には、乾燥排ガス量を調整する乾燥排ガス調整ダンパ31が介装され、この乾燥排ガス調整ダンパ31の入口側の温度調整ガス管22と乾燥ガス管21との間に誘引ファン32を介装したバイパス管33が接続されている。したがって、温度制御装置34により二次燃焼室9の温度計24の検出値に基づいて乾燥排ガス調整ダンパ31を調整し、乾燥排ガスの流量を調整することにより、二次燃焼室9の温度を還元剤の反応に最適な850℃〜1000℃に保持することができる。なお、乾燥排ガスの流量だけでは温度制御が困難な場合には、温度調整ガス管22の出口近傍に、水(または蒸気)を二次燃焼室9中に吹込む冷却水供給管35が接続されており、温度制御装置34からの信号により、冷却用開閉弁36が開けられて温度調整ノズル17から二次燃焼室9中に水または水蒸気が吹込まれ、温度が適正範囲まで下げられる。
【0017】
上記構成において、ごみホッパー2に投入されたごみは、ごみ給送機3を介して所定量ずつごみ乾燥器に送られて乾燥された後、ガス化燃焼炉4に定量供給される。ガス化燃焼炉4では、流動化空気により流動された媒体中でごみが急速加熱され、部分燃焼されるとともに熱分解される。また可燃ガスやチャー(乾溜炭素分)、タールなどを含む熱分解ガスが生成されて灰溶融炉6に送られる。
【0018】
灰溶融炉6の燃焼溶融室7では、一次空気ノズル12から供給される燃焼空気が不足する状態で還元燃焼され、熱分解ガスに同伴された灰分および分別装置10から送られた灰が加熱され溶融される。ついで第1絞り部13で加速された燃焼排ガスは、スラグ回収室8の底壁に衝突されて側方に迂回され、燃焼排ガスに同伴された溶融スラグが壁面に捕捉される。そして捕捉された溶融スラグは底壁8aを伝って排滓口14から排出される。
【0019】
さらに燃焼排ガスがスラグ回収室8から第2絞り部15を介して二次燃焼室9に流入すると、ごみ乾燥機1の乾燥排ガスが温度調整ガス管22を介して温度調整ノズル17から吹込まれ、二次燃焼室9の温度が脱硝が効率良く実施できる適正な温度範囲に制御される。同時に、還元剤供給装置18から還元剤供給管19を介して送られたアンモニアNH3や尿素CO(NH22等の脱硝用還元剤が還元剤吹込みノズル16から吹込まれ、両ノズル16,17から接線方向に吹込まれることにより、良好に攪拌されて温度むらが解消され、さらに還元剤が均一に分散される。そして二次空気ノズル23から供給される燃焼空気により燃焼排ガスが完全燃焼され、この二段燃焼によりNOXの低減が図られると同時に、脱硝用還元剤と燃焼ガスが接触されてさらに脱硝される。
【0020】
アンモニア(水)を使用する時の脱硝反応は▲1▼式の通りである。
4NO+4NH3+O2=4N2+6H2O…▲1▼式
また尿素水を使用する時の反応は▲2▼式の通りである。
2CO(NH22+4NO+O2=2N2+CO2+2H2O…▲2▼式
さらにごみ乾燥後の乾燥排ガスには、COガスやH2ガスが含まれており、これを▲3▼,▲4▼式のようにNOXの還元に利用することができる。
CO+H2O=H2+CO2…▲3▼式
2NO+2H2=(1/2)N2+H2O…▲4▼式
この時、二次燃焼室9内の温度は、還元剤の脱硝に最適な850℃〜1000℃の範囲となるように、温度計24の検出値に基づいて温度制御装置34により乾燥排ガス調整ダンパ31が操作され、乾燥排ガスの流量が制御される。すなわち、二次燃焼室9の温度が高くなると、乾燥排ガス調整ダンパ31を開いて乾燥排ガスの供給量を増大させ、反対に二次燃焼室9の温度が低くなると、乾燥排ガス調整ダンパ31を閉じて乾燥排ガスの供給量を減少させる。またこの乾燥排ガスの流量だけでは適正範囲に制御できない場合には、冷却開閉弁36を開いて温度調整ノズル17から冷却水(または水蒸気)を噴射させる。
【0021】
そして、二次燃焼室9の出口では、完全燃焼後の未反応(リークNH3)を含む燃焼排ガスの一部が乾燥ガス管21からごみ乾燥機1に送られ、残部はガス冷却塔25、空気予熱器26から排ガス処理装置27を介して煙突28から排出される。
【0022】
上記実施の形態によれば、1)熱分解ガスを燃焼溶融室7で還元燃焼した後、二次燃焼室9で完全燃焼させる空気二段燃焼を行うので、NOXを減少させることができる。
【0023】
2)二次燃焼室9に乾燥排ガスを導入して還元剤が効果的に反応する適正温度範囲に制御し、この二次燃焼室9に還元剤を吹込んで接触させるので、NOXを大幅に低減させることができる。
【0024】
3)反応空間として、二次燃焼室9を利用するので、還元剤の滞留接触時間も十分にとれるとともに、接線方向に噴射される温度調整ノズル17および還元剤吹込みノズル16により、燃焼排ガスを旋回、攪拌させて還元剤を均一に拡散分布させることができ、脱硝反応をより促進させることができる。
【0025】
4)さらに燃焼排ガスの冷却にごみ乾燥後の乾燥排ガスを使用するので、乾燥排ガスの臭気を消滅させるとともに、乾燥排ガスに含まれるCOガスやH2ガスをNOXの還元に利用することができる。
【0026】
5)脱硝後の燃焼排ガスの一部を乾燥ガスとしてごみ乾燥機1に導入するので、未反応のリークNH3を回収循環させて再利用することができ、還元剤の使用量を低減できるとともに、排ガス処理装置27による処理量を減少させることができる。
【0027】
6)燃焼排ガス中に焼却灰や珪砂などの粒子が存在すると、NH3などによるNOX還元は阻害されて脱硝率が低下するという問題があるが、スラグ回収室8でほとんどのスラグ(焼却灰)が捕捉回収されることから、焼却灰や珪砂などの粒子が極めて少ない状態の燃焼排ガス中に還元剤を吹込むことができ、粒子の接触による反応率低下が生じることもない。
【0028】
【発明の効果】
以上に述べたごとく本発明によれば、燃焼溶融室と二次燃焼室で二段燃焼を行うことにより燃焼排ガスの脱硝を行い、さらにごみ乾燥機で乾燥後の乾燥排ガスを二次燃焼室に導入し燃焼排ガスの温度を下げて脱硝用還元剤が良好に反応する適正温度範囲内とし、脱硝用還元剤を二次燃焼室に吹込んで効率よく脱硝を行うことができる。さらに、乾燥排ガスに含まれる一酸化炭素や水素ガスを利用して、水や酸化窒素と反応させNOXの還元を促進することができる。また脱硝後の燃焼排ガスをごみ乾燥機への乾燥ガスとして使用して二次燃焼室に循環させるので、脱硝還元剤のリーク量を低減することができ、ランニングコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス化焼却設備の実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】同ガス化焼却設備の要部構成図である。
【図3】図2に示すA−A断面図である。
【符号の説明】
1 ごみ乾燥機
4 ガス化燃焼炉
6 灰溶融炉
7 燃焼溶融室
8 スラグ回収室
9 二次燃焼室
14 排滓口
15 第2絞り部
16 還元剤吹込みノズル
17 温度調整ノズル
19 還元剤供給管
21 乾燥ガス管
22 温度調整ガス管
23 二次空気ノズル
24 温度計
27 排ガス処理装置
31 乾燥排ガス調整ダンパ
33 バイパス管
34 温度制御装置
35 冷却水供給管

Claims (2)

  1. ガス化燃焼炉で生成された熱分解ガスを灰溶融炉に導入して燃焼させ、熱分解ガスに同伴された灰を加熱溶融して捕捉するガス化焼却設備における排ガス脱硝方法であって、
    熱分解ガスを燃焼溶融室で還元燃焼させて燃焼排ガス中の溶融スラグを捕捉した後、二次燃焼室に導入し、
    二次燃焼室に吹込まれた二次空気により燃焼排ガスを完全燃焼させて脱硝し、
    同時にガス化燃焼炉投入用のごみ乾燥機から排出される乾燥排ガスを二次燃焼室の入口側に導入して燃焼排ガス温度を脱硝用還元剤による脱硝適正温度まで下降させるとともに、二次燃焼室の入口側で燃焼排ガス中に脱硝用還元剤を吹込み、二次燃焼室内で脱硝用還元剤と燃焼排ガスとを接触させて脱硝し、
    この二次燃焼室の出口側から燃焼排ガスを乾燥ガスとして前記ごみ乾燥機に供給する
    ことを特徴とするガス化焼却設備における排ガス脱硝方法。
  2. ガス化燃焼炉で生成された熱分解ガスをガス化灰溶融炉に導入して燃焼させ、熱分解ガスに同伴された灰を加熱溶融して捕捉するガス化焼却設備における排ガス脱硝装置であって、
    前記ガス化灰溶融炉に、熱分解ガスを還元燃焼させて灰を加熱溶融する燃焼溶融室と、その燃焼排ガス中で溶融されたスラグを捕捉するスラグ回収室と、燃焼排ガスを完全燃焼させる二次燃焼室を設け、
    前記二次燃焼室入口側に、ガス化燃焼炉に投入されるごみ乾燥用のごみ乾燥機から乾燥排ガスを導入する温度調整ガス管と、脱硝用還元剤を吹込む還元剤供給管を接続し、
    二次燃焼室の出口側に、燃焼排ガスを乾燥ガスとして前記ごみ乾燥機に供給する乾燥ガス管ラインを接続した
    ことを特徴とするガス化焼却設備における排ガス脱硝装置。
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