JP3636465B2 - レクリエーション用水のための酵素 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、水中のアシルグリセロールエステルの量を減少させるための組成物と方法に関する。
関連技術の説明
日本特許第68011290号は、浴槽水用添加剤について、すなわちリパーゼ、ある種のアミラーゼ、および他の成分を含んだ添加剤について開示している。
日本特許第62175419号は、温泉効果を与え、プロテアーゼ酵素、レシチン、および種々の金属を溶出する鉱石粉末ブロックを含んだ入浴剤について開示している。前記入浴剤中には、合成または天然の芳香剤や無機塩とともに植物物質も組み込まれている。
シャエル(Shaer)による米国特許第4,548,727号は、ある特定のエステルを使用して水性酵素調製物(aqueous enzyme preparation)を安定化させることを開示している。安定剤として使用されるエステルは、RCOOR'(式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたは水素原子であり、R'は1〜6個の炭素原子を有するアルキルである)という式で表される。該エステルは、水性酵素調製物中に0.1〜約2.5重量%の量にて存在する。特許権者に従って使用されている酵素成分は、約2%〜約80%の活性酵素と、残部としての20%〜98%のキャリヤー(硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、ノニオン界面活性剤、またはこれらの混合物)を含有したスラリー形態の乾燥粉末液状物(a dry powder,solution of slurry form)の形で市販されている酵素調製物である。
ギルバートらによる米国特許第4,243,543号は、タンパク質分解酵素を含有した液体洗剤組成物の安定化について開示している。洗剤組成物のpHを安定化させながら洗剤組成物に酸化防止剤と親水性ポリオールを加えることによって、洗剤組成物を安定化させている。
ウェーバーによる米国特許第4,169,817号は、安定化酵素を含有した液体洗浄用組成物を開示している。該組成物は、10〜50重量%の固体を含有し、洗剤ビルダー、界面活性剤、バシラス・サブチラス(Bacillus subtilus)から誘導される酵素系、および酵素安定剤を含んだ水溶液である。前記安定剤は、高水溶性のナトリウム塩もしくはカリウム塩および/または水溶性のヒドロキシアルコールを含み、酵素を不活性化させることなく該水溶液を長期間にわたって貯蔵可能にする。
ドリットらによるヨーロッパ特許第0352244A2号は、両性界面活性剤を使用した安定化液体洗剤組成物について開示している。
カミンスキーらによる米国特許第4,305,837号は、カルシウムイオンと低分子量カルボン酸との、または塩と低分子量アルコールとの安定化用系(stabilizing system)を含有した安定化水性酵素組成物について開示している。この安定化酵素が洗剤組成物中に使用されている。前記洗剤組成物は、RA(CH2CH2O)nH(式中、Rは疎水性部分であり、Aは反応性水素原子を有している基をベースにしており、そしてnはエチレンオキシド部分の平均数である)という式を有するノニオン界面活性剤を含んでもよい。Rは一般には約8〜約22個の炭素原子を有するが、プロピレンオキシドと低分子量化合物との縮合によって形成させることができる。nは通常約2〜約24の範囲である。使用する低分子量アルコールは、1〜3個の炭素原子を有する一価アルコールであっても、あるいは2〜約6個の炭素原子と2〜約6個のヒドロキシル基を有するポリオールであってもよい。ポリオールは改良された酵素安定性をもたらすことができ、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびグリセリンを含むという点に、カミンスキーらは特に言及している。
タイ(Tai)による米国特許第4,404,115号は、アルカリ金属ペンタボレートを酵素安定剤として含有した(必要に応じて、アルカリ金属サルファイトおよび/またはポリオールと併用)酵素含有水性液体洗浄用組成物(aqueous enzymatic liquid cleaning composition)について開示している。
ボスカンプによる米国特許第4,462,922号は、ホウ酸もしくはホウ酸塩と、ポリオールもしくは多官能アミノ化合物との混合物(還元用アルカリ金属塩と併用)をベースにした安定剤を含む酵素含有水性洗剤組成物について開示している。カミンスキーらの場合と実質的に同じポリオールが使用されている。
カーディナル(Cardinall)らによるヨーロッパ特許出願第0376705号は、ノニオン性洗剤(好ましくは、アルコールとエチレンオキシドとの縮合物)、脂質分解酵素、1〜3個の炭素原子を有する低級脂肪族アルコール、1〜3個の炭素原子を有する低級脂肪族カルボン酸の塩、およびタンパク質分解酵素を含めた5つの必須成分を含有した液体洗剤組成物を開示している。発明者らは、低級脂肪族アルコールと低級カルボン酸の塩(例えばギ酸ナトリウム)を組み込むことによって、タンパク質分解酵素と液体洗剤からなる組成物中での脂質分解酵素の貯蔵安定性が改良された、と主張している。
温泉やプール等のレクリエーション用水市場のための安定な酵素配合物が幾つか開発されており、これらの配合物に共通した1つの特徴は、活性成分としてトリアシルグリセロールエステル加水分解酵素(リパーゼとして一般に知られている)を含有していることである。リパーゼは自然界にあまねく存在しており、動物、植物、および微生物中に広く認められる。リパーゼは、商業用途向けの選定された供給源(例えば、豚の膵臓やある特定の微生物)だけから大規模に単離することができる。効果的に機能させるためには、これらの配合物は、無毒性、生分解性であって、プールおよび/または温泉環境において一般的に見られる油状堆積物を除去するのに有効であるのが望ましい。
アシルグリセロールエステルにおける特定のエステル結合の加水分解、最適のpH、最適の温度、および種々のアシルグリセロールエステル基質、特にトリアシルグリセロール基質に対して有効である能力に関し、リパーゼの種類によって大きな差異があるので、リパーゼを、物品の長期貯蔵中や使用時における良好な活性を保持させるための適切な安定剤と共に配合するだけでなく、適切な防腐剤や乳化剤と共に配合することが大切である。
脂質と水との相間においてのみエステル結合を加水分解するというリパーゼ固有の特質により、脂質乳化剤は、アシルグリセロールエステル基質の表面積を増大させるように、そしてこれによって加水分解速度を増大させるように選定しなければならない。言い換えれば、エステル結合を加水分解するためのリパーゼの反応速度は、基質の乳化の程度によって異なる。
したがって、最適の反応速度と必要に応じて安定性をもたらすような配合物、すなわち乳化剤、安定剤、および必要に応じて使用する防腐剤の適切な選択とバランスに基づいた配合物)を使用して、水および特にレクリエーション用水(例えば、温泉やプールの水)から、アシルグリセロールエステルを減少させるか又は実質的に除去するための酵素配合物を得るのが望ましい。
発明の要約
本発明は、従来技術の欠点や制約による前記問題点および他の問題点の1つ以上を実質的に解消する新規の組成物および方法に関する。さらに詳細には本発明は、水、特にレクリエーション用水(例えば、温泉やプールの水)からアシルグリセロールエステルを減少させるのに適した、そして多くの場合において実質的に除去もしくは完全に除去するのに適した組成物に関する。これらの酵素組成物は、速やかに反応するように、また種々のアシルグリセロールエステル基質を処理するように配合されている。これらの配合物を使用して水からアシルグリセロールエステル物質を減少、実質的に除去、あるいは完全に除去するよう水を処理する方法も、本発明の一部である。
本発明のさらなる特徴や利点は、このあとの詳細な説明の項において記載してあり、その一部は記載内容から明らかとなるであろうし、あるいは本発明を実施することによって理解できるであろう。本発明の利点は特に、詳細な説明の項および請求の範囲において指摘されている組成物と方法によって理解・取得できるであろう。
これらの利点および他の利点を達成するために、また本発明の目的にしたがって、具現化され広く説明されているように、水中のアシルグリセロールエステルを最小限に抑えるか、あるいは水からアシルグリセロールエステルを実質的に除去するための新規組成物、およびこれらの新規組成物を使用する方法を開発した。
水中のアシルグリセロールエステルを減少させるか、実質的に除去するか、あるいは完全に除去するための新規組成物は、
(a) リパーゼ酵素;
(b) アルコールエトキシレート乳化剤を含むノニオン性乳化剤;
(c) 2〜約10個の炭素原子と1〜約2個のカルボキシル基を有する不飽和もしくは飽和有機酸を含んだ水溶性有機酸防腐剤;および
(d) 2〜約6個の炭素原子と2〜約6個のヒドロキシル基を有するポリオールまたは前記ポリオールの混合物を含んだ水溶性安定剤;
を含む。
本発明の組成物は、約3.5〜約6.8の範囲のpHを有するよう配合すると、特に効果的であることがわかった。
他の実施態様においては、リパーゼ酵素を他の酵素と組み合わせ、このとき前記他の酵素は、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、イソメラーゼ、またはレドックス酵素である。
水溶性有機酸防腐剤はソルビン酸を含んでもよく、また水溶性安定剤はグリセロールを含んでもよい。
さらに他の実施態様においては、リパーゼ酵素、ノニオン性乳化剤、水溶性有機酸防腐剤、および水溶性安定材は実質的に生分解性であってかつ実質的に無毒性である。
乳化剤は、約9〜15個の炭素原子を有する実質的に線状のアルコールとエチレンオキシドとのノニオン性のアルコールエトキシレート縮合物でよく、このとき前記エチレンオキシドは、ポリオキシエチレン基として、前記アルコールエトキシレートの約50モル%以上の量にて存在しており、前記アルコールエトキシレートは約8〜18のHLBを有する。
好ましいノニオン性乳化剤は、縮合物中平均約6〜9.0モルのエチレンオキシド、約425〜610の分子量、約92〜132のヒドロキシル価、約12.2〜13.3のHLB、約50〜74℃の曇り点、約7〜24℃の流動点、約168〜188℃引火点、及び約0.967〜0.991の比重を有する、実質的に線状のC12−C15またはC9−C11のアルコールエトキシレートを含む。
ノニオン性乳化剤の具体的な例としては、縮合物中平均約7.2モルのエチレンオキシド、約619の分子量、約108のヒドロキシル価、約12.2のHLBバランス、約50℃の曇り点、約21℃の流動点、約177℃引火点、および約0.967の比重を有する、実質的に線状のC12−C15アルコールエトキシレートがある。
これらの組成物は、式
RX(CH2CH2O)nH
〔式中、Rは、
(i) 親油性となるよう充分な分子量をもった線状アルコラート、必要に応じて幾つかの分岐アルキルを有する;
(ii) アルキルフェノール;または
(iii) ポリエーテル、このとき前記ポリエーテルは、ポリオキシプロピレン基またはポリオキシプロピレン基とポリオキシエチレン基とのブロックもしくはヘテリック混合物である;
を含んだ親油性基であり;
Xは酸素、窒素、またはイオウであり;
nは親水性基中のオキシエチレン単位の平均数であって、乳化剤に水溶性を付与するために約5より大きく;
親水性基−(CH2CH2O)−は乳化剤の約50モル%以上を構成し、必要に応じて繰り返し現れるオキシエチレン基とオキシプロピレン基のヘテリックもしくはブロック混合物を含む〕を有していて、オイルと水とを結びつける機能を果たすアルキレンオキシド縮合物を含み、このとき乳化剤の分子量は、乳化剤が約10℃以上の温度にて水溶性となるような範囲である。
発明の詳細な説明
したがって本発明は、水中のアシルグリセロールエステルを減少させるか、実質的に除去するか、あるいは完全に除去するための新規組成物、および前記組成物がリパーゼ酵素、ノニオン性乳化剤、水溶性有機酸防腐剤、および水溶性安定剤を含む場合のこうしたプロセスを実施する方法を含む。
リパーゼ酵素は、単独でも他の酵素と組み合わせて使用することもでき、したがってリパーゼは、組成物中に使用されている酵素の100重量%以下を構成し、このときリパーゼは、処理しようとする脂質物質を実質的に加水分解するのに効果的な量にて存在する。
例えば、ホスホリパーゼも使用することができる。リパーゼおよびホスホリパーゼは、脂肪やオイル中のエステル結合を攻撃することによってこれら化合物を加水分解するエステラーゼ酵素である。リパーゼはトリグリセリドに対して作用し、ホスホリパーゼはリン脂質に対して作用する。工業分野においては、リパーゼとホスホスリパーゼが市販エステラーゼの代表的なものである。ノボ・ノルディスク(Novo Nordisk)は、レシナーゼ(ResinaseTM)AおよびレシナーゼA2Xの商品名で2種の液体リパーゼ調製物を市販している。
リパーゼを含有した液体酵素組成物が市販されている。このような組成物は例えば、リポラーゼ(Lipolase)100、グリーセックス(Greasex)50L、パラターゼ(PalataseTM)A、パラターゼM、およびリポザイム(LipozymeTM)(いずれもノボ・ノルディスクが供給)という商品名で市販されている。
膵臓ホスホリパーゼA2を使用することができ、これはノボ・ノルディスクからレシターゼ(LECITASETM)として販売されている液体酵素組成物の形で入手することができる。どのリパーゼとも併用することのできる他の酵素としては以下のようなものがある。
プロテアーゼは、種々の工業用途において頻繁に使用されているよく知られた種類の酵素であり、タンパク質やタンパク質基質中のペプチド結合を加水分解するよう作用する。プロテアーゼは、タンパク質ベースのしみ(例えば、血や卵のしみ)を除去しやすくするために使用される。アルカリ性プロテアーゼを含有した液体酵素組成物は、冷却塔水や金属工作用液体の格納ベイ中のバクテリア皮膜や藻類・真菌類マットの分散剤として有用であることが明らかとなっている。
プロテアーゼは、それらが活性であるpH範囲に応じて、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、またはアルカリ性プロテアーゼとして特徴づけることができる。酸性プロテアーゼとしては、微生物レンネット、レンニン(キモシン)、ペプシン、および真菌酸性プロテアーゼ(fungal acid proteases)などがある。中性プロテアーゼとしては、トリプシン、パパイン、ブロメライン/フィシン、および細菌中性プロテアーゼ(bacterial neutral protease)などがある。アルカリ性プロテアーゼとしては、サブチリシンや関連プロテアーゼなどがある。プロテアーゼを含有した液体酵素組成物が、レニラーゼ(RennilaseR)、“PTN"〔膵臓トリプシン・ノボ(pancreatic Trypsin NOVO)〕、“PEM"〔タンパク質分解酵素混合物(Proteolytic Enzyme Mixture)〕、ニュートラーゼ(NeutraseR)、アルカラーゼ(AlcalaseR)、エスペラーゼ(EsperaseR)、およびサビナーゼ(SavinaseTM)(いずれもコネチカット州ダンバリーのノボ・ノルディスク・バイオインダストリアルズ社が供給)の商品名で市販されている。他のプロテアーゼが、HT−プロテオリティック(HT−Proteolytic)(ソルベイ・エンザイム・プロダクツが供給)の商品名で市販されている。
アミラーゼ(別の種類の酵素)も多くの商工業プロセスにおいて使用されており、スターチの加水分解を触媒または促進するよう作用する。アミラーゼの種類としては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼ)、真菌アミラーゼ、およびプルラナーゼ(pullulanase)などがある。アミラーゼを含有した液体酵素組成物が、BAN、ターマミル(TermamylR)、AMG、フンガミル(FungamylR)、プロモザイム(PromozymeTM)(これらはいずれもノボ・ノルディスクが供給)、およびダイアザイム(Diazyme)L−200(ソルベイ・エンザイム・プロダクツの製品)の商品名で市販されている。
工業的に重要な他の酵素種は、繊維の加水分解に影響を及ぼす酵素である。これらの種類としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、およびβ−グルカナーゼなどがある。セルラーゼは、セルロース(植物の細胞壁に生じる線状グルコースポリマー)を分解する酵素である。ヘミセルラーゼは、セルロースと同じように植物中にみられる多糖類であるヘミセルロースの加水分解に関与する。ペクチナーゼは、ペクチン(主要成分が糖酸である炭水化物)の分解に関与する酵素である。β−グルカナーゼは、β−グルカン(グルコースの線状ポリマーであるという点においてセルローズに類似している)の加水分解に関する酵素である。ひとまとめにして言うと、セルラーゼとしては、エンドセルラーゼ、エキソセルナーゼ、エキソセロビオヒドロラーゼ、およびセロビアーゼなどがあり、本発明の目的に対してはヘミセルラーゼも含まれる。セルラーゼを含有した液体酵素組成物が、セルクラスト(CelluclastR)およびノボジム(NovozymR)188(いずれもノボ・ノルディスクが供給)の商品名で市販されている。
使用することのできるヘミセルラーゼとしてはキシラナーゼがある。ノボ・ノルディスクから市販されているパルプジム(PULPZYMR)およびアルコ・バイオテクノロジーから市販されているエコパルプ(ECOPULPR)は、キシラナーゼをベースとして酵素を含有した市販の液体酵素組成物の2つの例である。
ヘミセルラーゼとしては、ヘミセルラーゼ混合物およびガラクトマンナーゼがある。ヘミセルラーゼを含有した液体酵素組成物が、パルプジム(ノボより)、エコパルプ(アルコ・バイオテクノロジーより)、およびノボジム280とガマナーゼ(GamanaseTM)(いずれもノボ・ノルディスクの製品)として市販されている。
使用することのできるペクチナーゼとしては、エンドポリガラクツロナーゼ(endopolygalacturonase)、エキソポリ−ガラクツロナーゼ、エンドペクテートリアーゼ(andopectate lvase)(トランスエリミナーゼ)、エキソペクテートリアーゼ(トランスエリミナーゼ)、およびエンドペクチンリアーゼ(トランスエリミナーゼ)などがある。ペクチナーゼを含有した液体酵素組成物が、ペクチネックス・ウルトラ(PectinexTMUltra)SPおよびペクチネックス(いずれもノボ・ノルディスクが供給)の商品名で市販されている。
使用することのできるβ−グルカナーゼとしては、リケナス(lichenous)、ラミナリナーゼ、およびエキソグルカナーゼなどがある。β−グルカナーゼを含有した液体酵素組成物が、ノボジムR234、セレフロ(CerefloR)、BAN、フィニジム(FinizymR)、およびセレミックス(CremixR)(これらはすべてノボ・ノルディスクが供給)の商品名で市販されている。
工業的に重要な他の酵素種は、有機化合物の異性体間の転化反応を触媒するイソメラーゼである。スウィートジム(SweetzymeTM)製品はグルコースイソメラーゼを含有した液体酵素組成物であり、ノボ・ノルディスクから市販されている。
レドックス酵素は化学的な酸化/還元反応における触媒として作用する酵素であり、したがって多くの生化学物質の分解と合成に関与する。現在、レドックス酵素の多くは業界に重要な位置を占めていない。なぜなら、ほとんどのレドックス酵素が補因子の存在を必要とするからである。しかしながら、補因子が酵素の一体部分である場合、あるいは補因子を供給する必要がない場合、レドックス酵素は工業的に有用である。
グルコースオキシダーゼやリポキシダーゼ(リポキシゲナーゼ)等のレドックス酵素を使用することができる。他のレドックス酵素は、ステロイド誘導体の酵素合成から診断テストでの使用まで種々の用途に使用しうる。他のレドックス酵素としては、ペルオキシダーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase)、アルコールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ、ヒドロキシラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ラッカーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、およびステロイドデヒドロゲナーゼなどがある。
使用するのが好ましいノニオン性乳化剤は、オイルと水とを結合させやすくするアルキレンオキシド縮合物を含み、前記縮合物は一般に
RX(CH2CH2O)nH
という式を有する。乳化剤の分子量は、乳化剤が、少なくとも約10℃またはそれ以上から、あるいは約10℃から約40℃以上までの温度において水に溶解するような範囲の分量である。実質的に無毒性であって且つ実質的に生分解性であるような乳化剤が好ましい。
上記式において、Rは、親油性となるよう充分な分子量をもった線状アルコラートであり、場合によってはある種の分岐アルキルを有していてもよい。アルコラートは、分岐アルキルができるだけ少ないか、あるいは実質的に含まないのが好ましい。なぜなら、このようなアルコラートは、分岐アルキルを有するアルコラートより生分解性が高いからである。基Rはさらに、アルキルフェノール(例えばノニルフェノール)をベースにしていてもよいし、ポリエーテル〔ポリオキシプロピレン基、あるいはポリオキシプロピレン基とポリオキシエチレン基とのブロックもしくはヘテリック(heteric)混合物〕をベースにしていてもよい。上記式において、Xは酸素でも、窒素でも、イオウでも、またはポリオキシエチレン鎖を親油性基Rに結びつけることのできる他の官能価でもよい。この点に関して使用することのできる出発物質としては、第二アミン、N−置換アミド、およびメルカプタンなどがある。ほとんどの場合、n(親水性基中のオキシエチレン単位の平均数)は、充分な水溶性を付与して該物質を有用にするために、約5または6より大きくなければならない。いずれにしても、親水性基(−(CH2CH2O)−)が乳化剤の50モル%以上(特に、約50〜約80モル%)を構成する。親水性基は、必要に応じて、繰り返しオキシエチレン基と繰り返しオキシプロピレン基のヘテリックもしくはブロック混合物を含んでもよい。
本発明にしたがって使用することのできる適切な乳化剤は、線状または実質的に線状であって約9〜15個の炭素原子を有する脂肪族一価アルコールの炭化水素部分をベースにした疎水性物質を含み、このとき前記炭化水素部分は、エーテル酸素結合を介してオキシエチレン鎖、またはオキシエチレン基と1,2−オキシプロピレン基のヘテリックもしくはブロック混合鎖に繋がっている。
一価アルコールは一般に、約9〜11個の炭素原子、約12〜15個の炭素原子、約12〜13個の炭素原子、および約11〜15個の炭素原子を有するアルコール(実質的にベルカーブ統計分布を有するものが好ましい)の混合物を含む。オキシエチレン基をベースとした親水性基を有する界面活性剤が特に好ましい。本発明にしたがった好ましい乳化剤は、水中油形エマルジョン系の形成を促進する乳化剤であるので、高いHLB数(hydrophile−lipophile balance)(すなわち約8〜18)を有する乳化剤が好ましい。これらの乳化剤はさらに、ヒドロキシル価に基づいて約270〜790(特に約425〜610)の分子量、および約71〜208(特に約92〜132)のヒドロキシル価(mgKOH/g)を有していなければならない。この点において使用することのできる種々の乳化剤としては、約9〜11個の炭素原子を有する線状アルコールのブレンドをベースとしたネオドール91エトキシレートシリーズ、約12〜15個の炭素原子を有する線状アルコールのブレンドをベースとしたネオドール25エトキシレートシリーズ、約12〜13個の炭素原子を有する線状アルコールのブレンドをベースとしたネオドール23エトキシレートシリーズ、および約11〜15個の炭素原子を有するネオドール45エトキシレートシリーズ、を含んだシェルケミカル社製のネオドール(NEODOLR)シリーズがある。アルフォニック(ALFONICR)(コノコ社)、ポリタージェント(POLYTERGENTR)(オーリン社)、BRUR(ICIアメリカ)、プルラファック(PLURAFACR)(BASFワイアンドット社)、サーフォニック(SURFINICR)(テキサコ社)、およびタージトール(TERGITOLR)(ユニオンカーバイド社)の商品名で販売されている乳化剤も使用することができる。ネオドール25タイプの乳化剤が特に好ましい。
1つの実施態様においては、アルコールエトキシレート乳化剤は、約9〜15個の炭素原子を有する実質的に線状のアルコールとエチレンオキシドとの縮合物であり、したがって前記エチレンオキシドは、前記アルコールエトキシレートの約50モル%以上の量でポリオキシエチレン基として存在し、このとき残基アルコールエトキシレートのHLBは約8〜18である。
場合によっては、乳化剤が、酵素の加水分解を引き起こすことのある、組成物中に存在しうる水を優先的に吸収することによって、リパーゼや他の酵素を安定化させるよう作用するけれども、組成物はさらに、水溶性の安定剤〔例えば、ポリオールまたはポリオールの混合物(このとき前記ポリオールは、2〜約6個の炭素原子および2〜約6個のヒドロキシ基を有する)〕を含有しており、こうした安定剤としては、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、エリスリタン(erythritan)、ペンタエリスリトール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、ラクトース、およびこれらの類似物などがある。好ましい安定剤は、実質的に無毒性で且つ実質的に生分解性の安定剤である。
使用するのが好ましい任意の水溶性有機酸防腐剤としては、2〜約10個の炭素原子と1〜約2個のカルボキシル基を有する不飽和または飽和の有機酸がある。これらの防腐剤は、酵母菌、真菌類、または他の微生物による組成物の腐敗を最小限に抑えるか、あるいは実質的に防止するのに使用される。この点において使用することのできる好ましい不飽和有機酸の1つはソルビン酸である。使用することのできる他の不飽和酸としては、ブテン酸(クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、およびメタクリル酸);ペンテン酸(チグリン酸、アンゲリカ酸、およびセネシオン酸)、ヘキセン酸、およびターアクリル酸(teracrylic acid)などがある。実質的に無毒性で且つ実質的に生分解性の水溶性有機酸が好ましい。
この点において使用することのできる他の不飽和酸としては、マレイン酸(シス−ブテン二酸)、フマル酸(トランス−ブテン二酸)、およびシトラコン酸(メチル−マレイン酸)などがある。
使用することのできる他の酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、およびセバシン酸などがある。適切な種々のマロン酸誘導体としては、アリルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、エチレンマロン酸、ヒドロキシマロン酸、メチルマロン酸、オキソマロン酸、およびオキシマロン酸などがある。
使用することのできる種々のコハク酸誘導体としては、ジヒドロキシコハク酸、エチルコハク酸、ヒドロキシコハク酸、およびメチルコハク酸などがある。
使用することのできる種々のグルタル酸誘導体としては、α−エチルグルタル酸、β−エチルグルタル酸、メチルグルタル酸、およびβ−メチルグルタル酸などがある。
本明細書において使用している“実質的に水溶性の”とは、使用時のある濃度および温度における該成分または該組成物の溶解性を表している。“実質的に無毒性の”とは、植物や動物の生命に対して危害を引き起こさず、また毒性に関する連邦規制に適応した、使用時における配合物の個々の成分の濃度を表している。同様に“実質的に生分解性の”とは、使用条件下において従来の微生物により妥当な時間にて生分解させることのできる、組成物中の成分を表している。したがって、本明細書で使用している“実質的”または“実質的に”とは、完全またはほとんど完全な有効性を意味している。
本発明の方法にしたがって処理されるアシルグリセロールエステルとしては、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、またはモノアシルグリセロールなどがあり、このときアシル基の鎖長は種々変わってもよいが、アシル基の殆どの部分は不飽和もしくは飽和の脂肪酸をベースとしている。しかしながら、好ましい実施態様における本発明の組成物は、約10℃〜約40℃の範囲の融点(あるいは好ましくは室温付近の融点)を有するアシルグリセロールエステルを処理するのに有効であるように配合されている。
本発明の組成物は、水中のアシルグリセロールエステルを処理すべく異なった用途に応じて、リパーゼ酵素が約5〜20重量%、または約7〜18重量%、または約8〜15重量%存在し;乳化剤が約0.5〜20重量%、または約0.7〜18重量%、または約0.8〜15重量%存在し;有機酸防腐剤が約0.05〜0.2重量%、または約0.07〜0.18重量%、または約0.8〜0.15重量%存在し;水溶性の安定剤が約10〜40重量%、または約15〜30重量%、または約18〜25重量%存在し;そして残りが水であるように、そして必要に応じて芳香物質を含むように配合することができる。上記配合物は、リパーゼ酵素の活性が実質的に低下する点(当業者には周知のことである)まで水で希釈することができる。
上記組成物のpHは約3.5〜4.5の範囲内であり、100ppmに希釈したときは約6.5〜6.8である。したがってpH範囲は約3.5〜6.8であるが、本組成物は約3.5〜10のpH範囲にわたって使用することができる。
下記の実施例により本発明を例証する。特に明記しない限り、パーセントは全て重量基準である。安定性の測定のために、また相対的なリパーゼ活性の比較評価のために、シグマ滴定法(シグマ#−800)を使用した。本方法にて使用する基質はオリーブ油である。反応は30℃で3時間行った。
0.05NのNaOHを使用して、無色から明青色への色の変化が認められるまで(pH指示薬:チモールフタレイン)滴定することによって終点を算出した。シグマ−テイツ単位/ml(Sigma−Teitz unit/ml)と国際単位/Lを算出した。
1,2,3−トリブチリルグリセロールを3%補足した細菌学的培地スピリット・ブルー・エイガー(Spirit Blue Agar)の35gmsリットルの脱イオン水(35gms liter deionized water)を脂質基質として使用して、スポット・リポリティック・アッセイ(Spot Lipolytic Assay)を考案した。基質をペトリ皿中に置き、深さ約1mmで直径5mmのコアを中央部にくり抜いてくぼみをつくった。評価しようとする組成物をくぼみ中に導入した。ゾーン・リポリシス(zone lipolysis)またはハロー・リポリシス(halo lipolysis)を、適用箇所における明青色から暗青色への培地の暗色化として記録した。時間に関して(室温で1〜24時間)ゾーン直径(mm)を測定することによって反応速度を評価し、相対活性を記録した。取り出されたエイガープラグ(agar plug)の直径(5mm)から直径読み取り値を引いた(活性は、培地中の拡散速度とタンパク質相互作用によって影響を受けることがある)。
空気をバブリング(物品の拡散分配を促進)させながら4リットルの水道水を満たしたタブを使用して、物品の使用時性能(In−Use Performance)をシミュレートする方法を考案した。系の状態を悪化させるために、水4リットル当たり1ミリリットルのオイル(オリーブ油と日焼け止めオイル)を加えた。酵素を毎日加え(水1,000ガロン当たり1オンス)、グレード分けした系(0,オイルの表面光彩が観察されない;1,10〜30%の光彩が残存;2,30〜50%の光彩が残存;3,50〜70%の光彩が残存;4,70〜90%の光彩が残存;5,90〜100%の光彩が残存)に関して性能を記録した。さらに、水の品質に対する他のいかなる変化も記録した(すなわち、濁りや綿状沈殿物)。
最後に、プール/温泉用添加剤を含んだ試作物(prototype)の酵素安定性を明らかにするのに、オリーブ油を基質としたシグマ滴定法を使用した。2時間の反応時間の後に、ゾーンまたはハローを測定した。酵素を薬剤に暴露した接触時間は30分〜1時間であった。
市販のプール・温泉用洗浄剤を使用して、本発明の組成物を評価した。その結果を表1〜4に示す。
Figure 0003636465
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組成物A1
乳化剤 ネオドール(Neodol)25−91 −10%
安定剤 グリセロール −20%
リパーゼ グリーセックスTM100−L −10%
芳香剤 (レモン・ライム) −0.1%
水 −59.9%
エチレンオキシド(EO)のC12−C15アルコールエトキシレート;分子量,610;ヒドロキシル価,92;EOの平均モル数,9;EO重量%,67;HLB,13.3;曇り点,74℃;流動点,24℃;引火点,188℃;比重,0.982。
組成物B1
ネオドール25−91 −10%
グリセロール −20%
グリーセックス100−L −10%
ポリビニルピロリドン −2%
芳香剤(レモン・ライム) −0.1%
水 −57.9%
エチレンオキシド(EO)のC12−C15アルコールエトキシレート;分子量,610;ヒドロキシル価,92;EOの平均モル数,9;EO重量%,67;HLB,13.3;曇り点,74℃;流動点,24℃;引火点,188℃;比重,0.982。
組成物C1
成分:
水 68.8
ソルビン酸(Scorbic Acid) 0.1%
グリセロール 20.0%
ネオドール25−71 1.0%
グリーセックスL−100 10.0%
レモン・ライム芳香剤 0.1%
引火点 −5.5℃未満なし
pH 3.8〜4.1
pH100ppm 6.72
密度 1.055
エチレンオキシド(EO)のC12−C15アルコールエトキシレート;分子量,619;ヒドロキシル価,108;EOの平均モル数,7.2;EO重量%,61;HLB,12.2;曇り点,50℃;流動点,21℃;引火点,177℃;比重,0.967。
組成物C1の物理的・化学的特性
配合物C1:
pH 3.81
pH(100ppm) 6.72
密度 1.055
引火点 −5.5℃未満なし
粘度 10cps
外観 ややかすんだ白色
香り レモン
溶解性 高水溶性
活性の最適範囲:
pH範囲 6〜10
組成物D1
ネオドール25−71 −5.0%
グリセロール −7.5%
グリーセックス100−L −7.0%
ポリビニルピロリドン −2.0%
芳香剤(レモン・ライム) −0.1%
水 −78.4%
エチレンオキシド(EO)のC12−C15アルコールエトキシレート;分子量,619;ヒドロキシル価,108;EOの平均モル数,7.2;EO重量%,61;HLB,12.2;曇り点,50℃;流動点,21℃;引火点,177℃;比重,0.967。
組成物E1
ネオドール91−61 −5.0%
グリセロール −10.0%
グリーセックスTM100−L −10.0%
レモン・ライム −0.1%
水 −74.9%
エチレンオキシド(EO)のC9−C11アルコールエトキシレート;分子量,425;ヒドロキシル価,132;EOの平均モル数,6;EO重量%,62;HLB,12.5;曇り点,52℃;流動点,7℃;引火点,168℃;比重,0.991。
したがって、1つの実施態様においては、リパーゼが約5〜20重量%のリパーゼ酵素を含み;ノニオン性乳化剤が約0.5〜20重量%の量にて存在していて、実質的に線状のC12−C15またはC9−C11のアルコールエトキシレート(縮合物中に平均約6〜9.0モルのエチレンオキシドを含み;ヒドロキシル価から求めた分子量が約425〜610であり;ヒドロキシル価が約62〜132であり;HLBが約12.2〜13.3であり;曇り点が約50〜74℃であり;流動点が約7〜24℃であり;引火点が約168〜188℃であり;そして比重が約0.967〜0.991である)を含み;水溶性の有機酸防腐剤が約0〜0.2重量%の量で存在し;そして水溶性の安定剤が約10〜40重量%の量にて存在している。
ノニオン性乳化剤は、619の分子量、約108のヒドロキシル価、縮合物中平均約7.2モルのエチレンオキシド、約12.2のHLBバランス、約50℃の曇り点、約21℃の流動点、約177℃の引火点、および約0.967の比重を有する、実質的に線状のC12−C15アルコールエトキシレートであるのが好ましい。
他の好ましい実施態様においては、水溶性の有機酸防腐剤がソルビン酸であり、水溶性安定剤がグリセロールである。
pH−スタット法(pH−Stat−method)によって得られるデータに基づくと、開発した全てのプロトタイプA1〜E1(レジャー・タイムのスパ・スカム・ゴン物品も含めて)は加水分解速度が最も高く、次いでロバーブのスカム・ダイジェスター/プールとスカム・ダイジェスター/スパであった。ナチュラル・ケミストリーのナチュラル・エンザイム/バクアシル、ナチュラル・エンザイム/プール、およびナチュラル・エンザイム/スパは、本方法の場合には活性(加水分解)を示さなかった。これはおそらく、成分の活性が低いか、あるいは配合したリパーゼが不安定であるためと思われる。
シグマ滴定アッセイによれば、配合物C1とD1が他のすべての試験配合物に対比して最も高いレベルの活性を有することがわかった。アプライド・バイオケミストのディゾルブTM物品の活性が2番目に高く、次いでレジャー・タイムのスパ・スカム・ゴンTM物品であった。ナチュラル・ケミストリーの物品を含めた他の全てのプロトタイプはの活性は、本アッセイでは低かった。
スピリット・ブルー・エイガー脂質分解アッセイによれば、本発明の組成物が最も高い値と最も速い加水分解速度を有し、次いでロバーブの物品、レジャー・タイムの物品、およびアプライド・バイオケミストの物品であった。ナチュラル・ケミストリーの物品とハイドロロジー・ラボラトリーズのバイオ・クリヤーは、本アッセイでは時間に関して低い活性を示した。こうした低下は、脂質分解活性のタンパク質不活性化によるものと思われる。他の酵素種が使用された場合は(すなわち、プロテアーゼやホスホリパーゼ)、これらの配合物を使用して他の酵素アッセイを行った。これらの物品の中では、ある程度の弱いホスホリパーゼ活性が観察された(データ示さず)。
最後に、使用時シミュレーションに関する検討によれば、異なった配合物との幾つかの相互作用があることがわかった。配合物C1とD1はトリグリセリドを完全に加水分解し、遊離脂肪酸の表面凝集塊を形成した。ロバーブの配合物、レジャー・タイムの配合物、およびアプライド・バイオケミストの配合物も同様であったが、凝集塊の生成は遅かった。ナチュラル・ケミストリーの全ての物品およびハイドロロジー・ラボラトリーズの物品は凝集塊を形成しなかったが、その代わりに水がかなり濁った。配合物A1とB1は同様の結果を示したが、day2によって表面光彩を効果的に除去した。
本発明の組成物が、プール、温泉、および温水浴槽においてよく見られるオイル堆積物を取り除く、効果的で、無毒性で、且つ生分解性の安定な配合物を提供することはこれまでの説明から明らかである。本発明の組成物は、短鎖と長鎖のトリグリセリド、飽和油(例えばココヤシ油、ラード、およびココア脂)、不飽和油(例えばオリーブ油、ホホバ油、およびゴマ油)、および他の工業製品中には見られない物質に対して広範囲の脂質分解活性を有する。
当業者にとっては、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明の組成物と方法に対する変形や改良形が可能であることは言うまでもない。こうした変形、改良形、ならびにこれらの等化物は、請求の範囲の範囲内に入るならば、本発明の一部として包含されるものとする。

Claims (12)

  1. 水中のアシルグリセロールエステルの量を減少させるための、化合物の混合物を含んだ酵素組成物であって、
    (a)リパーゼ酵素;
    (b)アルコールエトキシレート乳化剤を含むノニオン性乳化剤;
    (c)2〜10個の炭素原子と1〜2個のカルボキシル基を有する不飽和有機酸を含む水溶性有機酸防腐剤;および
    (d)2〜6個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールまたは前記ポリオールの混合物を含む水溶性安定剤;を含むことを特徴とする前記組成物。
    但し、前記組成物から5.0重量%C 10 アルキルエトキシレ ート(平均8)、0.2重量%マレイン酸および0.2重量% ヒューミコラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa) リパーゼ、または4.6重量%C 10 アルキルエトキシレート (平均8)、0.3重量%マレイン酸および0.3重量%ヒュ ーミコラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)リパ ーゼを含み、そしてさらに溶媒として水およびC 2 −C 4 2 価アルコールの混合物を含む組成物、ならびに
    5.0重量%C 10 アルキルエトキシレート(平均8)、0.2 重量%マレイン酸および0.02重量%リパーゼ、または4. 6重量%C 10 アルキルエトキシレート(平均8)、0.3重 量%マレイン酸および0.03重量%リパーゼを含み、そし てさらに溶媒として水およびC 2 −C 4 2価アルコールを含 む組成物を除く。
  2. 3.5〜6.8のpHを有する、請求の範囲第1項に記載の組成物。
  3. 前記(a)リパーゼ酵素を必要に応じて他の酵素と組み合わせ、このとき前記他の酵素がホスホリパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、β−グルカナーゼ、イソメラーゼ、またはレドックス酵素である、請求の範囲第1項に記載の組成物。
  4. 前記(c)水溶性有機酸防腐剤が最大6個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸である、請求の範囲第3項に記載の組成物。
  5. 前記(a)酵素がリパーゼ酵素を含み;
    前記(c)水溶性有機酸防腐剤がソルビン酸を含み;そして
    前記(d)水溶性安定剤がグリセロール含む;
    請求の範囲第1項に記載の組成物。
  6. 前記(a)リパーゼ酵素がリパーゼを含んでいて、5〜20重量%の量にて存在し;
    前記(b)ノニオン性乳化剤が0.5〜20重量%の量にて存在し;
    前記(c)水溶性有機酸防腐剤が最大0.2重量%の量にて存在し;
    前記(d)水溶性安定剤が10〜40重量%の量にて存在し、そして
    水が残部を構成する;
    請求の範囲第3項に記載の組成物。
  7. 前記(a)リパーゼ酵素;
    前記(b)ノニオン性乳化剤;
    前記(c)水溶性有機酸防腐剤;および
    前記(d)水溶性安定剤;
    が実質的に生分解性であって且つ実質的に無毒性である、請求の範囲第3項に記載の組成物。
  8. 前記乳化剤が、9〜15個の炭素原子を有する実質的に線状のアルコールとエチレンオキシドとのアルコールエトキシレート縮合剤であり、このとき前記エチレンオキシドは、ポリオキシエチレン基として、前記アルコールエトキシレートの50モル%以上の量にて存在し、前記アルコールエトキシレートは8〜18のHLBを有する、請求の範囲第1〜7項のいずれかに一項に記載の組成物。
  9. 前記(b)ノニオン性乳化剤が0.5〜20重量%の量にて存在していて、縮合物中平均6〜9.0モルのエチレンオキシド、425〜610の分子量、92〜132のヒドロキシル価、12.2〜13.3のHLB、50〜74℃の曇り点、7〜24℃の流動点、168〜188℃の引火点、および0.967〜0.991の比重を有する、実質的に線状のC12−C15またはC9−C11のアルコールエトキシレートを含む、請求の範囲第8項に記載の組成物。
  10. 前記(b)ノニオン性乳化剤が、縮合物中平均7.2モルのエチレンオキシド、619の分子量、108のヒドロキシル価、12.2のHLB、50℃の曇り点、21℃の流動点、177℃の引火点、および0.967の比重を有する、実質的に線状のC12−C15のアルコールエトキシレートである、請求の範囲第項に記載の組成物。
  11. 前記(a)酵素がリパーゼ酵素を含み;
    前記(b)ノニオン性乳化剤が、縮合物中平均7.2モルのエチレンオキシド、619の分子量、108のヒドロキシル価、12.2のHLB、50℃の曇り点、21℃の流動点、177℃の引火点、および0.967の比重を有する、実質的に線状のC12−C15のアルコールエトキシレートを含み;
    前記(c)水溶性有機酸防腐剤がソルビン酸を含み;そして
    前記(d)水溶性安定剤がグリセロール含む;
    請求の範囲第1項に記載の組成物。
  12. 前記(b)ノニオン性乳化剤が、式
    RX(CH2CH2O)nH
    [式中、Rは、
    (i) 親油性となるような充分な分子量をもった線状アルコラート、必要に応じて幾つかの分岐アルキルを有する;
    (ii) アルキルフェノール;または
    (iii) ポリエーテル、このとき前記ポリエーテルは、ポリオキシプロピレン基またはポリオキシプロピレン基とポリオキシエチレン基とのブロックもしくはヘテリック混合物である;
    から選択される親油性基であり、
    Xは酸素、窒素、またはイオウであり;
    nは親水基中のオキシエチレン単位の平均数であって、前記乳化剤に水溶性を付与するために5より大きく;
    親水基−(CH2CH2O)−は乳化剤の50モル%以上を構成し、必要に応じて繰り返し現れるオキシエチレン基とオキシプロピレン基のヘテリックもしくはブロック混合物を含む]を有していて、オイルと水とを結びつける機能を果たすアルキレンオキシド縮合物を含み、このとき乳化剤の分子量は、乳化剤が10℃以上の温度にて水溶性となるような範囲である、請求の範囲1〜7項のいずれか一項に記載の組成物。
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