JP3636268B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示器用ガラス基板などの基板に、処理液で表面処理を施す基板処理装置に係り、特に、薬液と純水とを混合して得られる処理液の濃度を制御するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の基板処理装置として、例えば特開平7−22369号公報に記載された装置が知られている。
この装置は、基板に表面処理を施す基板処理槽と、この基板処理槽に処理液を供給する処理液供給部とから構成されている。処理液供給部には、純水供給路と薬液供給路とが設けられている。純水供給路は基板処理槽と純水供給源との間に接続されている。薬液供給路は、その一端が薬液タンク内の薬液中に導入されており、その他端は薬液導入弁を介して純水供給路に接続されている。薬液タンク内には加圧された窒素ガスが導入されており、そのガス圧で薬液タンク内の薬液が加圧されることにより、薬液が薬液供給路に圧送されるようになっている。
【0003】
薬液導入弁は、その入口側に薬液供給路が、その出口側に純水供給路が、それぞれ接続されており、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を、出口側の純水供給路に導入するように構成されている。
【0004】
薬液供給路には薬液の圧力を検出する圧力センサが取付けられている。この圧力センサの検出信号は、薬液タンク内に導入される窒素ガスの圧力を制御するガス圧力制御部に与えられる。ガス圧力制御部は、この検出信号と予め定められた基準値との偏差を求め、この偏差を打ち消すように窒素ガスの圧力を制御する。その結果、薬液供給路内の薬液圧力が一定に維持される。一方、純水供給路には純水圧力調節器(圧力制御弁)が設けられている。この純水圧力調節器によって、その二次側の純水供給路を流通する純水の圧力および流量がそれぞれ一定値に設定される。
【0005】
以上のようにして、薬液導入弁の入口側の薬液圧力が一定になるように制御されるとともに、薬液導入弁の出口側の純水圧力が一定値に設定されることにより、入口側の薬液圧力と出口側の純水圧力との差圧が一定になり、その差圧に応じた流量の薬液が純水中に導入されて、所定濃度の処理液が得られるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
加熱された処理液を得るために、薬液導入弁に加熱された薬液が流通したり、薬液導入弁の出口側の純水供給路に加熱された純水が流通することがある。その結果、薬液導入弁が熱的に変形することがある。特に、耐薬品性を考慮して、薬液導入弁が合成樹脂で形成されている場合、熱的変形が大きくなる。薬液導入弁が変形すると、その流量特性が変化するので、薬液導入弁の入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧を一定に維持したとしても、純水中への薬液の導入量が変化し、その結果として処理液の濃度が変動するという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、純水中への薬液導入量の変動に起因した処理液の濃度変動を抑制することができる基板処理装置を提供することを主たる目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入された薬液供給路と、前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、入口側が前記薬液供給路の他端に、出口側が前記純水供給路に接続され、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を前記純水供給路内に導入する薬液導入弁と、処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて、前記薬液供給路内の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器と、前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液圧力調節器に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、前記薬液濃度帰還制御手段は、前記目標値設定手段から与えられた薬液流量目標値と純水流量目標値とに基づき、処理液の濃度目標値を算出する濃度目標値算出手段と、前記濃度目標値算出手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、前記装置はさらに、薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入され、他端が前記純水供給路の途中に接続された薬液供給路と、前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて弁の開度を操作することによって、前記薬液供給路内の薬液流量を調節する薬液流量調節弁と、前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液流量調節弁に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、前記薬液濃度帰還制御手段は、前記目標値設定手段から与えられた薬液流量目標値と純水流量目標値とに基づき、処理液の濃度目標値を算出する濃度目標値算出手段と、前記濃度目標値算出手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、前記装置はさらに、薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の装置において、前記装置がさらに、薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づき、処理液の濃度現在値を演算によって求める濃度現在値算出手段を備え、前記算出された処理液の濃度現在値を前記濃度偏差算出手段に与えるものである。
【0011】
(削除)
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の装置において、前記目標値設定手段が、それぞれが時間の経過と共に変化する薬液流量目標値および純水流量目標値を設定するものである。
【0013】
(削除)
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の装置において、前記目標値設定手段が、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、薬液流量目標値および純水流量目標値のそれぞれの初期目標値を、その後のそれぞれの目標値よりも高く設定するものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の装置において、前記目標値設定手段が、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、薬液流量目標値の初期目標値を、その後の薬液流量目標値よりも高く設定する一方、純水流量目標値を一定に設定するものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、薬液を貯留する耐圧密閉構造の薬液タンクと、前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入された薬液供給路と、前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、入口側が前記薬液供給路の他端に、出口側が前記純水供給路に接続され、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を前記純水供給路内に導入する薬液導入弁と、処理液の濃度目標値に関連して定められる薬液流量操作量に基づいて、前記薬液供給路内の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器と、処理液の濃度目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液圧力調節器に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、前記薬液濃度帰還制御手段は、前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、前記装置はさらに、薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段とを備えることを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の発明は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、薬液を貯留する耐圧密閉構造の薬液タンクと、前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入され、他端が前記純水供給路の途中に接続された薬液供給路と、前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、処理液の濃度目標値に関連して定められる薬液流量操作量に基づいて弁の開度を操作することによって、前記薬液供給路内の薬液流量を調節する薬液流量調節弁と、処理液の濃度目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液流量調節弁に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、前記薬液濃度帰還制御手段は、前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、前記装置はさらに、薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段とを備えることを特徴としている。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の装置において、前記装置がさらに、薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づき、処理液の濃度現在値を演算によって求める濃度現在値算出手段を備え、前記算出された処理液の濃度現在値を前記濃度偏差算出手段に与えるものである。
【0019】
(削除)
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項7または8に記載の装置において、前記目標値設定手段が、それぞれが時間の経過と共に変化する処理液の濃度目標値および純水流量目標値を設定するものである。
【0021】
(削除)
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の装置において、前記目標値設定手段が、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、処理液の濃度目標値を一定に設定する一方、前記処理液による置換が進むにしたがって、純水流量目標値をその初期目標値よりも小さくするものである。
【0023】
請求項12に記載の発明は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入された薬液供給路と、前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、入口側が前記薬液供給路の他端に、出口側が前記純水供給路に接続され、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を前記純水供給路内に導入する薬液導入弁と、処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて、前記薬液供給路内の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器と、処理液の濃度目標値および前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値を設定する目標値設定手段と、前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液圧力調節器に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、前記薬液濃度帰還制御手段は、前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と薬液流量目標値とに基づき、純水の純水流量目標値を算出する純水流量目標値算出手段と、前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、前記装置はさらに、薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、前記純水流量目標値算出手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段とを備えることを特徴としている。
【0024】
請求項13に記載の発明は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入され、他端が前記純水供給路の途中に接続された薬液供給路と、前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて弁の開度を操作することによって、前記薬液供給路内の薬液流量を調節する薬液流量調節弁と、処理液の濃度目標値および前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値を設定する目標値設定手段と、前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液流量調節弁に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、前記薬液濃度帰還制御手段は、前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と薬液流量目標値とに基づき、純水の純水流量目標値を算出する純水流量目標値算出手段と、前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、前記装置はさらに、薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、前記純水流量目標値算出手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段とを備えることを特徴としている。
【0025】
請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の装置において、前記装置がさらに、薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づき、処理液の濃度現在値を演算によって求める濃度現在値算出手段を備え、前記算出された処理液の濃度現在値を前記濃度偏差算出手段に与えるものである。
【0026】
(削除)
【0027】
請求項15に記載の発明は、請求項12または13に記載の装置において、前記目標値設定手段が、それぞれが時間の経過と共に変化する処理液の濃度目標値および薬液流量目標値を設定するものである。
【0028】
(削除)
【0029】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の装置において、前記目標値設定手段が、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、処理液の濃度目標値の初期目標値を、その後の処理液の濃度目標値よりも大きく設定する一方、薬液流量目標値を一定に設定するものである。
【0030】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
薬液圧送手段が薬液タンク内の薬液を薬液供給路を介して薬液導入弁の入口側に供給する。一方、薬液導入弁の出口側に純水供給路を介して一定圧力の純水を供給する。その結果、薬液導入弁の入口側の薬液圧力と出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液が純水中に導入される。このとき薬液導入弁が熱的変形を受けるなどして、その流量特性が変化すると、純水中への薬液導入量が変化することにより、処理液の濃度が変動する。この処理液の濃度変動を、薬液濃度帰還制御手段が以下のようにして抑制する。まず、目標値設定手段から与えられた薬液流量目標値と純水流量目標値とに基づき、濃度目標値算出手段が処理液の濃度目標値を算出する。算出された処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を濃度偏差算出手段が求める。この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を濃度操作量算出手段が算出する。操作量変換手段は、前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する。この薬液流量操作量に基づいて、薬液圧力調節器が薬液供給路内の薬液圧力を調節する。その結果、純水中への薬液導入量が調節されて、処理液の濃度変動が抑制される。さらに、 請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。 一般に純水供給路には純水圧力調節器が設けられる。この純水圧力調節器は、一次側の純水供給源の圧力が変動しても、その二次側圧力を一定に維持するように働く。純水圧力調節器の二次側圧力を一定に維持すると、純水圧力調節器の二次側に接続されている純水供給路の流路抵抗が変化しないかぎり、純水流量は一定になる。しかし、純水供給路の流路抵抗は必ずしも常に一定ではない。例えば、常温の処理液で基板を処理する場合、純水供給路に常温の純水が流通し、加熱された処理液で処理する場合には加熱された純水が流通する。常温の純水が流通する場合と、加熱された純水が流通する場合とでは、純水供給路の熱的変形に違いが生じる。つまり、流通する純水の温度によって純水供給路の流路抵抗に違いが生じる。その結果、純水供給路の純水圧力を一定にしても、純水供給路の流路抵抗が変化するので、純水の流量が変動する。純水流量の変動は処理液の濃度変動を招く。請求項1に記載の発明は、このような不具合をも解消するために、純水流量帰還制御手段を備えている。具体的には、純水流量帰還制御手段は、目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出する。この純水流量操作量を純水圧力調整器に与えることにより、純水供給路内の純水圧力を調節して純水流量を一定に維持する。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて、薬液流量調節弁の弁開度が操作されることにより、薬液供給路内に所定流量の薬液が流通して、純水供給路内の純水に導入される。このとき薬液流量調節弁が熱的変形を受けるなどして、その流量特性が変化すると、純水中への薬液導入量が変化することにより、処理液の濃度が変動する。この処理液の濃度変動を、薬液濃度帰還制御手段が抑制する。薬液濃度帰還制御手段や純水流量帰還制御手段の動作は、請求項1に記載の発明の場合と同様であるので、ここでの説明は省略する。ただし、請求項2の発明の場合、薬液濃度帰還制御手段で得られた薬液流量操作量を薬液流量調節弁に与えて、その弁開度を操作して薬液流量を直接的に調節する。その結果、純水中への薬液導入量が調節されて、処理液の濃度変動が抑制される。
【0032】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の装置において、濃度現在値算出手段が、薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づいて、処理液の濃度現在値を演算によって求める。算出された処理液の濃度現在値を濃度偏差算出手段に与えることにより、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を求める。
【0033】
(削除)
【0034】
(削除)
【0035】
請求項4に記載の発明の作用は次のとおりである。
目標値設定手段が、薬液の薬液流量目標値および純水の純水流量目標値を時間的に変化させて設定することにより、基板処理部内の処理液を効率よく置換するなど、基板処理装置の制御の自由度を高くすることができる。
【0036】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、時間的に変化する純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を打ち消すように、純水流量帰還制御手段が純水流量操作量を調節するので、純水供給路の流路抵抗が変化しても、純水供給路内の純水流量を精度よく純水流量目標値に追随させることができる。
【0037】
請求項5に記載の発明の作用は次のとおりである。
薬液の薬液流量目標値および純水の純水流量目標値を時間的に一定値に設定すると、具体的には、次のような不具合が生じる。
基板処理部に或る処理液を供給して基板の表面処理を行い、続いて別の処理液で処理を行う場合、まず基板処理部に純水を供給して、基板処理部内の使用済の処理液を一旦、純水で置換する。続いて、純水と薬液とを混合して得た新たな処理液を供給して、基板処理部内の純水をその処理液で置換する。このとき、薬液の薬液流量目標値と純水の純水流量目標値が小さいと、置換のために基板処理部に供給される純水の流量、あるいは処理液の流量が小さくなり、基板処理部内を新たな処理液で置換し終わるまでの時間が長くなり、処理効率が低下する。逆に、薬液や純水の純水流量目標値を大きな一定値に設定するのは、制御の精度の面から好ましくない。
【0038】
以上のような不具合を解消するために、請求項5に係る発明は、基板処理部内の処理液を置換する初期段階では、薬液の薬液流量目標値と純水の純水流量目標値を共に大きく設定し、処理液の置換がある程度進んだ段階で、各流量目標値を小さくしている。
【0039】
請求項6に記載の発明の作用は次のとおりである。
薬液の薬液流量目標値および純水の純水流量目標値を時間的に一定値に設定すると、さらに次のような別の不具合も予想される。
純水で満たされている基板処理部に、薬液と純水とを混合して得られた処理液の供給を開始した置換の初期段階において、基板処理部内は純水で満たされている関係で、基板処理部内の処理液の濃度を所望の濃度に到達させるのに長い時間を要し、結果として処理効率が低下する。
【0040】
このような不具合を解消するために、請求項6に係る発明は、処理液の供給を開始した置換の初期段階では、純水流量に対して薬液流量の割合を高くして、濃度の高い処理液を基板処理部内に供給することにより、基板処理部内の処理液の平均濃度の立ち上がりを速めている。そして、基板処理部内の処理液の平均濃度がある程度高くなった段階で、薬液流量を小さくして、所定濃度の処理液を基板処理部に供給している。
【0041】
請求項7に記載の発明の作用は次のとおりである。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用で説明したと同様の目的で、目標値設定手段と薬液濃度帰還制御手段と純水流量帰還制御手段とを備えている。但し、この請求項7に係る発明において、目標値設定手段は処理液の濃度目標値と純水の純水流量目標値とを設定する。濃度偏差算出手段は、設定された処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める。その他の作用は請求項1に記載の発明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0042】
請求項8に記載の発明の作用は、請求項2に記載の発明の作用と略同様であるのここでの説明は省略する。ただし、この請求項8に係る発明では、請求項7の発明と同様に、目標値設定手段は処理液の濃度目標値と純水の純水流量目標値とを設定し、濃度偏差算出手段は、設定された処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求めている。
【0043】
請求項9に記載の発明の作用は、請求項3に記載の発明の作用と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0044】
(削除)
【0045】
請求項10に記載の発明の作用は次のとおりである。
目標値設定手段が、処理液の濃度目標値および純水の純水流量目標値を時間的に変化させて設定することにより、基板処理部内の処理液を置換するときに必要な処理液の供給量を極力少なくするなど、基板処理装置の制御の自由度を高くすることができる。
【0046】
(削除)
【0047】
請求項11に記載の発明の作用は次のとおりである。
処理液の濃度目標値および純水の純水流量目標値を時間的に一定にすると、具体的には、次のような不具合が予想される。
【0048】
純水流量目標値が時間的に一定であれば、濃度目標値が一定であるかぎり、薬液流量は一定である。その結果、常に一定流量の処理液が基板処理部に供給される。純水で満たされた基板処理部に一定流量の処理液が供給されることによって、基板処理部内の処理液の平均濃度は次第に上昇してゆく。基板処理部内の処理液の平均濃度が所望濃度に近づくに従って、基板処理部内の処理液の平均濃度の上昇のカーブは緩やかになってゆく。基板処理部内の処理液の平均濃度が目標濃度に達するまで、処理液は基板処理部に供給され続ける。その間、基板処理部内の余剰の処理液はオーバーフローして排出される。つまり、基板処理部内の処理液の平均濃度がある程度高くなった後は、基板処理部内の処理液の平均濃度が余り上昇しないにもかかわらず、基板処理部へは一定量の処理液が供給され続けて、余剰の処理液が排出されるので、置換に要する処理液の利用効率が悪いといえる。
【0049】
このような不具合を解消するために、請求項11に係る発明は、濃度目標値を時間的に一定にしておくのに対して、基板処理部内の処理液の平均濃度が濃度目標値に近くなるに従って、純水流量目標値を小さくしている。そうすれば、薬液流量も必然的に小さくなり、基板処理部へ供給される処理液の流量が小さくなるので、処理液が無駄に排出されるのを防止することができる。
【0050】
請求項12に記載の発明の作用は次のとおりである。
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用で説明したと同様の目的で、目標値設定手段と薬液濃度帰還制御手段と純水流量帰還制御手段とを備えている。但し、この請求項12に係る発明において、目標値設定手段は処理液の濃度目標値と薬液の薬液流量目標値とを設定する。純水流量目標値算出手段は、設定された処理液の濃度目標値と薬液流量目標値とに基づき、純水の純水流量目標値を算出する。濃度偏差算出手段は、設定された処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める。その他の作用は請求項1に記載の発明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0051】
請求項13に記載の発明の作用は、請求項2に記載の発明の作用と略同様であるのここでの説明は省略する。ただし、この請求項13に係る発明では、請求項12の発明と同様に、目標値設定手段が処理液の濃度目標値と薬液の薬液流量目標値とを設定する。純水流量目標値算出手段は、設定された処理液の濃度目標値と薬液流量目標値とに基づき、純水の純水流量目標値を算出する。濃度偏差算出手段は、設定された処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める。
【0052】
請求項14に記載の発明の作用は、請求項3に記載の発明の作用と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0053】
(削除)
【0054】
請求項15に記載の発明の作用は次のとおりである。
目標値設定手段が、処理液の濃度目標値および薬液の薬液流量目標値を時間的に変化させて設定することにより、基板処理部内を処理液で置換する初期段階では処理液の濃度目標値を高くして処理液の置換時間を短縮するなど、基板処理装置の制御の自由度を高くすることができる。
【0055】
(削除)
【0056】
請求項16に記載の発明の作用は次のとおりである。
処理液の濃度目標値および薬液の薬液流量目標値を時間的に一定値に設定すると、請求項6の発明の作用で説明したと同様の不都合が予想される。すなわち、処理液の濃度目標値および薬液の薬液流量目標値を時間的に一定値に設定すると、必然的に純水流量も時間的に一定になるので、基板処理部内の処理液の濃度を所望の濃度に到達させるのに長い時間を要する。
このような不具合を解消するために、請求項16に係る発明では、薬液流量目標値を時間的に一定に設定する一方、処理液の供給を開始した置換の初期段階で濃度目標値を高く設定する。その結果、置換の初期段階で濃度の高い処理液が基板処理部内に供給されるので、基板処理部内の処理液の平均濃度の立ち上がりが速くなる。基板処理部内の処理液の平均濃度がある程度高くなった段階で、処理液の濃度目標値を所望の目標値に戻す。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
A:第1実施例
A1:第1実施例装置の構成
本実施例に係る基板処理装置の概略構成を図1を参照して説明する。
この基板処理装置は、純水と薬液とを混合して得られた処理液で、半導体ウエハなどの基板Wの表面処理を行うものである。この基板処理装置は、大きく分けて、処理液を貯留して基板Wの表面処理を行う基板処理部である基板処理槽1と、この基板処理槽1に処理液を供給する処理液供給系統と、処理液供給系統を制御する制御系とで構成されている。
【0058】
基板処理槽1は、槽底部から処理液の供給を受け、余剰の処理液はオーバーフローして排出するよう構成されている。通常、この種の基板処理装置は、複数個の基板処理槽1を備え、各基板処理槽1には個別の処理液供給系統によって処理液が供給されるよう構成される。ただし、本明細書では説明の簡単のために、単一の基板処理槽1を備えた基板処理装置を例に採って説明するが、本発明は複数個の基板処理槽1を備えた基板処理装置にも適用することができる。また、本発明は基板処理槽を用いるものでなく、基板を1枚ずつ処理する処理部を備えた基板処理装置にも適用できる。
【0059】
A2:処理液供給系(特に、純水供給系統)の構成
処理液供給系統は、純水供給系統と薬液供給系統とで構成されている。
まず、純水供給系統について説明する。
基板処理槽1と純水供給源との間が純水供給路2で接続されている。純水供給路2には、純水供給源側から順に、純水圧力調節器3、純水流量センサ4、薬液混合部5が配設されている。純水圧力調節器3は、電空変換器6から与えられた空気圧(以下、パイロット圧という)に応じて、純水圧力調節器3の二次側の純水圧力を調節する制御弁である。
【0060】
具体的には、純水圧力調節器3は、その内部にダイヤフラムに連動する弁体を備えている。このダイヤフラムの一方面にパイロット圧が、他方面に二次側の純水圧力がそれぞれ作用する。両圧力に差圧があるとダイヤフラムが変形して弁体の開度が変わる。両圧力が平衡したところで弁体が静止する。つまり、純水圧力調節器3の二次側の純水圧力がパイロット圧に平衡するように弁体が変位する。したがって、一定のパイロット圧を与えることにより、純水圧力調節器3の二次側の純水圧力を一定にすることができる。その結果、純水圧力調節器3の二次側の純水供給路2の流路抵抗が変化しない限り、純水供給路2を流通する純水の流量を一定にすることができる。
【0061】
電空変換器6は、供給された加圧空気(圧空)を、後述する制御系からの操作電圧に応じた空気圧(パイロット圧)に変換して出力する。純水流量センサ4は、純水供給路2を流通する純水の流量を検出する。その純水流量検出信号(純水流量現在値b2)は後述する制御系に与えられる。さらに、純水供給路2には、これを流通する純水の圧力を検出する純水圧力センサ7が配設されている。その純水圧力検出信号(純水圧力現在値e2)は後述する制御系に与えられる。
【0062】
薬液混合部5には、純水供給路2を開閉する純水供給弁8と、純水供給路2の純水中に異なる種類の薬液を個別に導入する複数個の薬液導入弁9と、各薬液導入弁9の出口側にそれぞれ接続されて薬液供給路11を開閉する薬液供給弁10とが配設されている。
【0063】
図2は薬液導入弁の構造を示しており、薬液供給弁10の機能も兼ね備えている。薬液導入弁9は、図2に示すように、純水供給路2の途中に介在する導入弁連結管12に連結されている。薬液導入弁9の底面部と、導入弁連結管12に穿たれた有底穴とが相まって弁室9aが形成されている。弁室9aは接続孔9bを介して薬液供給路11に連通接続されている。また、弁室9aは薬液導入口9gを介して、導入弁連結管12の純水流路12aに連通接続されている。弁室9aには、薬液導入口9gの開閉を行い、かつ開口度を調節する絞り弁9cが設けられている。絞り弁9cの基端は、弁本体9d内を摺動変位する支持体9eに連結支持されている。この支持体9eは、バネ9hによって下方向に押し付けられる。パイロットエア供給口9iにエアを供給しない状態では、バネ9hのバネ力によって支持対9eおよび絞り弁9cは下方向に押し付けられており、このとき薬液導入口9gは閉じられている。パイロットエア供給口9iにエアを供給した状態では、支持体9eおよび絞り弁9cがバネ9hのバネ力に勝って上昇し、弁本体9d内にねじ込み挿入された調整ボルト9fの先端に当接して停止する。この状態では薬液導入口9gは開いている。この調整ボルト9fのねじ込み量を手操作で調節することにより、絞り弁9cと調整ボルト9fとが当接して、薬液導入口9gの開口度が調節されるようになっている。この薬液導入弁9によれば、出口側の純水流路12aを流通する純水の圧力が、入口側の薬液供給路11を流通する薬液の圧力よりも低くなるように各圧力を設定することにより、入口側の薬液圧力と出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液が、純水流路12aの純水中に導入される。
【0064】
A3:処理液供給系統(特に、薬液供給系統)の構成
薬液供給系統は、本装置で使用する処理液の種類に応じた個数だけ設けられ、各薬液供給系統が薬液混合部5の各薬液導入弁9に接続されている。各薬液供給系統は同じ構成であるので、以下では、図1に例示した1つの薬液供給系統について説明する。
【0065】
薬液供給路11の一端は薬液タンク13内の薬液中に導入されている。薬液タンク13は耐圧で、かつ密閉構造になっている。薬液タンク13内の上部空間にガス供給路14が導入されている。このガス供給路14を介して、加圧された不活性ガス(ここでは窒素ガス)が薬液タンク13に導入される。ガス供給路14には、二次側のガス圧力を調節するためのガス圧力調節器15が設けられている。このガス圧力調節器15は、電空変換器16から与えられたパイロット圧に応じて、二次側のガス圧力を調節する。電空変換器16には、薬液タンク13内の窒素ガスの圧力を一定値に設定するためのガス圧設定電圧が与えられている。以上の構成により、ガス圧設定電圧に応じた一定圧力の窒素ガスが薬液タンク13内に導入されることにより、薬液タンク13内の薬液が加圧され、一定圧力の薬液が薬液供給路11に圧送される。上述したガス供給路14、ガス圧力調節器15、および電空変換器16は、本発明における薬液圧送手段に相当する。
【0066】
薬液供給路11には、薬液タンク13側から順に、薬液中のパーティクルを除去するフィルタ17、薬液流量を検出する薬液流量センサ18、二次側の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器19が設けられている。この薬液圧力調節器19の二次側が上述した薬液導入弁9に接続されている。薬液流量センサ18の薬液流量検出信号(薬液流量現在値b1)は後述する制御系に与えられる。薬液圧力調節器19は、上述した純水圧力調節器3と同様の構成を備えた制御弁であり、電空変換器20から与えられたパイロット圧に応じて、二次側の薬液圧力を調節する。電空変換器20は、後述する制御系からの操作電圧に応じたパイロット圧を出力する。
【0067】
A4:制御系の概略構成
制御系はコンピュータ機器によって構成されている。この制御系は、機能的に区別すると、目標値設定部30A、薬液濃度帰還制御部40A、濃度現在値算出部50、純水圧力変動帰還部60A、および純水流量帰還制御部70から構成されている。図3は本実施例の制御系だけを抜き出して示したブロック図である。以下、図3も参照して説明する。
【0068】
目標値設定部30Aは、制御量の目標値を設定するためのものである。基板処理装置の場合、最終的には処理液の濃度を所望の濃度にすることが目標である。この処理液は純水と薬液とを混合して生成されるので、純水流量と薬液流量とが定まると、処理液の濃度は一義的に定まる。したがって、制御量として必ずしも処理液の濃度を選択する必要はない。つまり、処理液の濃度、薬液流量、純水流量のうちのいずれか2つを制御量として設定すればよい。制御量として何を選択するかは、管理したい項目によって決定される。本実施例では、制御量として、薬液流量と純水流量とを用いている。目標値設定部30Aは、制御量としての薬液流量と純水流量の各目標値を設定する。
【0069】
さらに、目標値設定部30Aは、それぞれ時間の経過と共に変化する薬液流量目標値および純水流量目標値を設定する。基板処理に使われる処理液の濃度は定値であるので、その意味からすれば、制御量の目標値を時間的に一定にすることも考えられる。しかしながら、基板処理槽1内の処理液の置換を効率よく行ったり、置換に要する処理液を節約しようした場合、後述する説明から明らかになるように、目標値を時間的に変化させるのが良い。
【0070】
図3に示すように、目標値設定部30Aは、変数指定部31と目標値出力部32とから構成されている。変数指定部31は、設定しようとする目標値の種別の指定と、指定された目標値について、その変化パターンを決定するための変数を指定するためのものである。目標値出力部32は、変数指定部31を介して指定された変数に基づいて、時間の経過と共に変化する目標値、ここでは薬液流量目標値と純水流量目標値とを出力する。
【0071】
薬液濃度帰還制御部40Aは、目標値設定部30Aで設定された薬液流量目標値a1と純水流量目標値a2とから一義的に定まる処理液の濃度目標値a3を求め、さらに、この濃度目標値a3と処理液の濃度現在値b3との濃度偏差c3を求め、この濃度偏差c3を打ち消すように薬液流量操作量d1を調節する。この薬液流量操作量d1が薬液流量操作電圧Vd1に変換されて純水圧力変動帰還部60Aに与えられる。
【0072】
濃度現在値算出部50は、純水流量センサ4で検出された純水流量現在値b2と、薬液流量センサ18で検出された薬液流量現在値b1とから、処理液の濃度現在値b3を算出する。この濃度現在値b3が薬液濃度帰還制御部40Aに与えられる。
【0073】
純水圧力変動帰還部60Aは、純水圧力センサ7で検出された純水圧力現在値e2が、予め定められた純水圧力基準値P0 よりも高くなったときは、薬液圧力を高くする方向に薬液流量操作電圧Vd1を補正し、逆に、純水圧力現在値e2が純水圧力基準値P0 よりも低くなったときは、薬液圧力を低くする方向に薬液流量操作電圧Vd1を補正する。このようにして補正された薬液流量操作電圧Vd1’が電空変換器20に与えられる。
【0074】
純水流量帰還制御部70は、目標値設定部30Aで設定された純水流量目標値a2と、純水流量センサ4で検出された純水流量現在値b2との偏差c2を求め、この純水流量偏差c2を打ち消すような純水流量操作量d2を算出する。この純水流量操作量d2が純水流量操作電圧Vd2に変換されて電空変換器6に与えられる。
【0075】
A5:実施例装置の動作
(1)目標値の設定
まず、オペレータが変数指定部31を操作することにより、目標値の種別(本実施例では薬液流量目標値a1および純水流量目標値a2)の指定と、これらの目標値について、その変化パターンを決定するための変数を指定する。これらの指定に基づき、目標値出力部32が時間の経過と共に変化する薬液流量目標値a1および純水流量目標値a2を出力する。
【0076】
上記の目標値の設定は、複数種類の処理液を順に用いて基板の処理を行う場合、各処理液について設定される。基板処理槽1に処理液の供給を開始するとき、基板処理槽1は純水で満たされている。これは或る処理液を使って基板の処理を行った後、次の処理液で基板の処理を行う場合も同様である。すなわち、或る処理液を使って基板の処理が終わると、基板処理槽1に純水だけが供給され、基板処理槽1内の使用済の処理液を一旦、純水で置換する。続いて、基板処理槽1に純水が供給されている状態で、純水中への薬液の導入を開始することにより、新たな処理液を基板処理槽1に供給して、基板処理槽1の純水を新たな処理液で置換する。以下では、純水が供給され続けていて基板処理槽1に純水が満たされている状態を置換の初期状態とし、この状態から純水供給路2の純水中へ薬液が導入され始めた時点が、基板処理槽1への処理液の供給開始時点であるとして説明する。
【0077】
(2)薬液濃度帰還制御部40Aの動作
薬液流量目標値a1および純水流量目標値a2に基づいて、濃度目標値算出部41が処理液の濃度目標値a3を算出する。具体的には、次式(1)によって処理液の濃度目標値a3を算出する。
a3=(a1×C0 )/(1000×a2+a1) ……(1)
ただし、
a1は、薬液流量目標値〔cc/min]
a2は、純水流量目標値 [リットル/min]
a3は、処理液の濃度目標値 [%]
C0 は、原薬液濃度 [%]
【0078】
算出された処理液の濃度目標値a3は減算器42と加算器45とに与えられる。一方、濃度現在値算出部50は、薬液流量センサ18から与えられた薬液流量現在値b1と、純水流量センサ4から与えられた純水流量現在値b2とから、処理液の濃度現在値b3を次式(2)によって算出する。算出された処理液の濃度現在値b3は減算器42に与えられる。
b3=b1×C0 /(1000×b2+b1) ……(2)
ただし、
b1は、薬液流量現在値〔cc/min]
b2は、純水流量現在値〔リットル/min]
b3は、処理液の濃度現在値 [%]
C0 は、原薬液濃度 [%]
【0079】
減算器42は、濃度目標値算出部41で算出された処理液の濃度目標値a3から、処理液の濃度現在値b3を差し引くことにより、処理液の濃度偏差c3を求める。この濃度偏差c3はPII2 D演算部43に与えられる。
【0080】
PII2 D演算部43は、減算器42から与えられた処理液の濃度偏差c3に比例して濃度操作量を決定する比例動作(P動作)と、濃度偏差c3の積分に比例して濃度操作量を決定する積分動作(I動作)と、濃度偏差c3の二重積分に比例して濃度操作量を決定する二重積分動作(I2 動作)、濃度偏差c3の微分に比例して濃度操作量を決定する微分動作(D動作)とを含む制御則によって、処理液の濃度偏差c3を打ち消すような処理液の濃度制御操作量を算出する。この濃度制御操作量はスイッチ44を介して加算器45に与えられる。
【0081】
加算器45は、濃度目標値算出部41から与えられた処理液の濃度目標値a3に、スイッチ44を介してPII2 D演算部43から与えられた処理液の濃度制御操作量を加算する。濃度目標値a3と濃度制御操作量とを加算して得られた処理液の濃度操作量d3は濃度−流量変換部46に与えられる。
【0082】
スイッチ44は、純水供給路2の純水中に薬液が導入され始めた時点から一定時間の間、OFF状態となってPII2 D演算部43の出力を禁止し(PII2
D演算部43を非作動にし)、一定時間経過後にON状態に切り換わってPII2 D演算部43の出力を許す(PII2 D演算部43を作動させる)。このようなスイッチ44を設ける理由は以下のとおりである。
【0083】
純水供給弁8が開放されて純水供給路2に純水が流通している置換の初期状態に続いて、薬液供給弁10が開放されて薬液供給路11に薬液が流通し始めた処理液の供給開始当初、薬液供給路11内の薬液流量の立ち上がりは緩慢なので、薬液流量センサ18で検出される薬液流量現在値b1は目標値よりも相当に低い値を示す。その結果、濃度現在値算出部50から出力される処理液の濃度現在値b3も相当に低くなって濃度偏差c3が大きくなる。この濃度偏差c3を打ち消そうとしてPII2 D演算部43が大きな濃度制御操作量を出力する。そのため、処理液の濃度操作量が大きくなり過ぎて、過剰の薬液が純水中に導入されるという、いわゆるオーバーシュートが発生する。このような処理液の供給開始当初のオーバーシュートを回避するためにスイッチ44を設けて、処理液の供給開始当初は処理液の濃度目標値a3だけで処理液の濃度を制御するようにしている。本実施例において、スイッチ44はプログラムタイマで制御されるが、処理液の濃度偏差c3の値に応じてスイッチ44を切り換えるようにしてもよい。
【0084】
濃度−流量変換部46は、処理液の濃度操作量d3を薬液流量操作量d1に変換している。この変換のために、濃度−流量変換部46は純水流量目標値a2を参照している。その理由は次のとおりである。本実施例の場合、純水流量帰還制御部70によって純水供給路2内の純水流量を制御しているので、純水流量の変動は少ない。そのため、薬液供給路11内の薬液流量が安定した定常状態にあっては、純水流量目標値a2を用いれば、より安定した処理液の濃度制御を行うことができるからである。
【0085】
濃度−流量変換部46は、次式(3)によって薬液流量操作量d1を得ている。 d1=1000×d3×a2/(C0 −d3) ……(3)
ただし、
a2は、純水流量目標値〔リットル/min]
d1は、薬液流量操作量〔cc/min]
d3は、処理液の濃度操作量 [%]
C0 は、原薬液濃度 [%]
【0086】
この薬液流量操作量d1は流量−電圧変換部47に与えられる。流量−電圧変換部47は、次式(4)によって薬液流量操作量d1を電空変換器20に与える薬液流量操作電圧Vd1に変換する。
Vd1 =d1×Ac+Bc……(4)
ただし、
Vd1 は、薬液流量操作電圧〔V〕
d1は、薬液流量操作量〔cc/min]
Acは、電空変換器20および薬液圧力調節器19の各仕様と、薬液導入弁9の弁開度から決まる定数
Bcは、純水圧力基準値P0 と薬液圧力調節器19の仕様から決まる定数
上記の定数Ac、Bcは実験により求めることができる。
【0087】
以上のように薬液濃度帰還制御部40Aは、処理液の濃度目標値a3と濃度現在値b3との偏差c3を打ち消すように薬液流量操作量d1を調節して設定しているので、例えば、薬液導入弁9に加熱された薬液や純水が流通することにより、薬液導入弁9が熱的変形を受けた結果、純水中に導入される薬液量が変化して処理液の濃度が変動したとしても、その濃度変動を速やかに抑制することができる。
【0088】
(3)純水圧力変動帰還部60Aの動作
純水圧力変動帰還部60Aの減算器61は、純水圧力センサ7で検出された純水圧力現在値e2から、予め定められた純水圧力基準値P0 を差し引くことにより、純水圧力現在値e2の圧力変動値Δe2を求める。この純水圧力基準値P0
は、基準となる流量の純水を純水供給路2に流したときの純水圧力を実験的に求めて決定される。
【0089】
減算器61で得られた圧力変動値Δe2は圧力−電圧変換部62に与えられる。圧力−電圧変換部62は、電空変換器20の仕様などに関連して実験的に求められた一次式を用いて、薬液流量操作電圧Vd1を補正するための電圧ΔVe2に圧力変動値Δe2を変換する。薬液濃度帰還制御部40Aから出力された薬液流量操作電圧Vd1と、前記補正電圧ΔVe2とが加算器63で加算されることにより、補正された薬液流量操作電圧Vd1’が得られる。この薬液流量操作電圧Vd1’が電空変換器20に与えられる。電空変換器20は薬液流量操作電圧Vd1’に応じたパイロット圧を薬液圧力調節器19に与える。薬液圧力調節器19は、このパイロット圧に一致させるように、二次側の薬液供給路11内の薬液圧力(結果として薬液流量)を調節する。
【0090】
この純水圧力変動帰還部60Aは、純水供給路2内の純水圧力が変動すると、その圧力変動に追随して薬液流量操作電圧Vd1を変化させる。その結果、純水供給路2の純水圧力が高くなると、これに追随して薬液供給路11の薬液圧力が高くなり、逆に、純水圧力が低くなると、これに追随して薬液圧力が低くなる。つまり、純水供給路2内の純水圧力が変動して、薬液導入弁9の入口側の薬液圧力と出口側の純水圧力との差圧に変化が生じたために、純水中に導入される薬液流量が変動したとしても、薬液供給路11の薬液圧力を速やかに調節して、薬液導入弁9の入口側と出口側との差圧を所定値に戻すので、純水圧力変動に起因した処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0091】
なお、仮に純水圧力変動帰還部60Aを設けなくとも、純水圧力変動に起因して処理液の濃度が変動すると、上述した薬液濃度帰還制御部40Aが作動して処理液液の濃度を目標値に戻すように薬液流量操作電圧Vd1を調節する。しかし、純水圧力が変動した後、処理液の濃度変動が検出されるまでの遅れ時間を伴う。これに対して純水圧力変動帰還部60Aを設けると、純水圧力変動が生じると、処理液の濃度変動の有無にかかわらず、薬液流量操作電圧Vd1を即座に補正するので、純水圧力変動による影響を速やかに抑制することができる。
【0092】
(4)純水流量帰還制御部70の動作
純水流量帰還制御部70の減算器71は、目標値設定部30Aで設定された純水流量目標値a2から、純水流量センサ4で検出された純水流量現在値b2を差し引くことにより、純水流量偏差c2を算出する。この純水流量偏差c2はPID演算部72に与えられる。PID演算部72は、減算器71から与えられた純水流量偏差c2に比例して純水流量操作量を決定する比例動作(P動作)と、純水流量偏差c2の積分に比例して純水流量操作量を決定する積分動作(I動作)と、純水流量偏差c2の微分に比例して純水流量操作量を決定する微分動作(D動作)とを含む制御則によって、純水流量偏差c2を打ち消すような純水流量制御操作量を算出する。この純水流量制御操作量はスイッチ73を介して加算器74に与えられる。
【0093】
スイッチ73は、純水供給弁8が開放されて純水供給路2に純水が流通され始めた時点から一定時間の間、OFF状態となってPID演算部72の出力を禁止し(PID演算部72を非作動にし)、一定時間経過後にON状態に切り換わってPID演算部72の出力を許す(PID演算部72を作動させる)。このスイッチ73は、薬液濃度帰還制御部40Aで説明したスイッチ44と同様に、純水供給路2へ純水が流通された始めた初期段階のオーバーシュートを回避するために設けられている。
【0094】
加算器74は、目標値設定部30Aから与えられた純水流量目標値a2に、スイッチ73を介してPID演算部72から与えられた純水流量制御操作量を加算する。純水流量目標値a2と純水流量制御操作量とを加算して得られた純水流量操作量d2は流量−電圧変換部75に与えられる。
【0095】
流量−電圧変換部75は、加算器74から与えられた純水流量操作量d2を、次式(5)に基づき、純水流量操作電圧Vd2に変換する。
Vd2 =(d2−Cc)/Dc ……(5)
ただし、
Vd2 は、純水流量操作電圧〔V〕
d2は、純水流量操作量〔リットル/min 〕
CcおよびDcは、電空変換器6および純水圧力調節器3の各仕様と、純水供給路2の抵抗係数から決まる定数
上記の定数Cc、Dcは実験により求めることができる。
【0096】
この純水流量操作電圧Vd2は電空変換器6に与えられる。電空変換器6は純水流量操作電圧Vd2に応じたパイロット圧を純水圧力調節器3に与える。純水圧力調節器3は、このパイロット圧に一致させるように、二次側の純水供給路2内の純水圧力(結果として純水流量)を調節する。
【0097】
この純水流量帰還制御部70は、純水流量目標値a2と純水流量現在値b2との偏差c2を打ち消すような純水流量操作量d2を算出し、この純水流量操作量d2に基づいて純水圧力調節器3を調節することによって、純水供給路2内の純水流量を制御しているので、純水流動変動に起因した処理液の濃度変動を抑制することができる。なお、仮に純水流量帰還制御部70を設けなくとも、純水流量変動に起因して処理液の濃度が変動すると、上述した薬液濃度帰還制御部40Aが作動して処理液の濃度を目標値に戻すように薬液流量操作電圧Vd1を調節する。しかし、純水流量が変動した後、処理液の濃度変動が検出されるまでの遅れ時間を伴う。これに対して純水流量帰還制御部70を設けると、純水流量変動が生じると、処理液の濃度変動の有無にかかわらず、純水流量操作量d2を即座に調整するので、純水流量変動による影響を速やかに抑制することができる。
【0098】
以上のように上述した第1実施例によれば、それぞれが時間の経過と共に変化する薬液流量目標値a1および純水流量目標値a2が設定されることにより、薬液濃度帰還制御部40Aは処理液の濃度変動を抑制するように薬液流量操作電圧Vd1を設定する。一方、純水圧力変動帰還部60Aは純水圧力の変動に応じて、前記設定された薬液流量操作電圧Vd1を補正する。また、純水流量帰還制御部70は純水流量の変動を抑制するように純水流量操作電圧Vd2を調節する。したがって、本実施例によれば、処理液の濃度を精度よく、かつ迅速に目標値に一致させることができる。
【0099】
A6:目標値の変化パターン
薬液流量目標値a1および純水流量目標値a2の時間的な変化パターンの2つ例を以下に説明する。
(1)図4を参照する。この例では、目標値設定部30Aは、純水で満たされている基板処理槽1に処理液の供給を開始した時点から、基板処理槽1内が処理液で置換され終わるまでの間において、薬液流量目標値a1および純水流量目標値a2のそれぞれの初期目標値を、その後のそれぞれの目標値よりも高く設定する。純水流量目標値a2に対する薬液流量目標値a1の割合は時間的に一定であるので、薬液流量目標値a1と純水流量目標値a2とが設定されると、一義的に定まる処理液の濃度目標値a3も時間的に一定になる。この例によれば、基板処理槽1の置換の初期段階で、大量の処理液が基板処理槽1に供給されるので、基板処理槽1の純水が処理液で置換される速度が速くなり、置換の処理効率を上げることができる。
【0100】
(2)図5を参照する。この例では、目標値設定部30Aは、純水で満たされている基板処理槽1に処理液の供給を開始した時点から、基板処理槽1内が処理液で置換され終わるまでの間において、薬液流量目標値a1の初期目標値を、その後の薬液流量目標値a1よりも高く設定する一方、純水流量目標値a2を一定に設定しているので、置換の初期段階における処理液の濃度目標値a3が高くなる。つまり、置換の初期段階において高い濃度の処理液が基板処理槽1に供給されるので、当初は純水で満たされている基板処理槽1内の処理液の平均濃度の立ち上がりが速くなる。基板処理槽1内の処理液の平均濃度がある程度高くなった段階で、薬液流量目標値a1を所定目標値を戻すことにより、所定濃度の処理液を基板処理槽1に供給する。この例によれば、基板処理槽1内の処理液の平均濃度の立ち上がりが速いので、置換の処理効率を上げることができる。
【0101】
A7:変形例
(1)処理液の濃度現在値b3は濃度測定器で測定してもよい。この濃度測定器は、図示していないが、図1の薬液混合部5の出口側の純水供給路2に設けられる。ただし、濃度測定器は一般に高価であるので、上述した実施例のように演算によって処理液の濃度現在値b3を求めると、この種の基板処理装置を安価に実現することができる。
【0102】
(2)純水流量制御を行っていないような場合には、濃度−流量変換部46で参照するものとして、純水流量目標値a2のかわりに、純水流量センサ4で実測して得られた純水流量現在値b2を用いてもよい。
【0103】
(3)純水供給路2の純水の圧力変動が特に問題にならない場合は、純水圧力変動帰還部60Aを設ける必要はない。この点は、以下の各実施例においても同様である。
【0104】
(削除)
【0105】
B:第2実施例
B1:第2実施例装置の構成
本実施例に係る基板処理装置において、基板処理槽1への純水供給系統および薬液供給系統の構成は、図1に示した第1実施例のもの(上記した項目A1〜A3を参照)と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0106】
B4:制御系の概略構成
本実施例装置の制御系の構成を図6に示す。この制御系は、機能的に区別すると、目標値設定部30B、薬液濃度帰還制御部40B、濃度現在値算出部50、純水圧力変動帰還部60A、および純水流量帰還制御部70から構成されている。このうち、濃度現在値算出部50、純水圧力変動帰還部60A、および純水流量帰還制御部70の各構成は、第1実施例のもの(上記した項目A4を参照)と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下では、第1実施例と相違する部分について説明する。
【0107】
本実施例の目標値設定部30Bは、それぞれが時間の経過と共に変化する処理液の濃度目標値a3と純水流量目標値a2とを設定する。
また、本実施例では処理液の濃度目標値a3が設定されるので、薬液濃度帰還制御部40Bは、第1実施例の薬液濃度帰還制御部40Aが備えていた濃度目標値算出部41を備えていない。すなわち、設定された処理液の濃度目標値a3が減算器42および加算器45に、それぞれ直接に与えられるようになっている。
【0108】
B5:実施例装置の動作
第2実施例装置の動作は、第1実施例装置の動作(上記した項目A5参照)と略同じである。ただし、薬液濃度帰還制御部40Bの減算器42では、目標値設定部30Bで設定された処理液の濃度目標値a3と、濃度現在値算出部50から与えられた処理液の濃度現在値b3とから、処理液の濃度偏差c3が求められる。また、加算器45では、目標値設定部30Bで設定された処理液の濃度目標値a3に、PII2 D演算部43から与えられた処理液の濃度制御操作量が加算される。
【0109】
本実施例によっても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。特に、第2実施例装置は、処理液の濃度目標値a3および純水流量目標値a2を管理したい場合に有効である。
【0110】
B6:目標値の変化パターン
処理液の濃度目標値a3および純水流量目標値a2の時間的な変化パターンの一例を以下に説明する。
図7を参照する。この例では、目標値設定部30Bは、純水で満たされている基板処理槽1に処理液の供給を開始した時点から、基板処理槽1内が処理液で置換され終わるまでの間において、処理液の濃度目標値a3を一定に設定する一方、処理液による置換が進むにしたがって、純水流量目標値a2をその初期目標値よりも小さく設定する。処理液の濃度目標値a3と純水流量目標値a2とが設定されると、薬液流量目標値a1が一義的に定まる。ここでは、濃度目標値a3が一定であるので、薬液流量目標値a1は純水流量目標値a2と同様に、処理液による置換が進むにしたがって小さな値になる。その結果、基板処理槽1に供給される処理液の流量は、処理液による置換が進むにしたがって小さくなる。処理液による置換が進むにしたがって、基板処理槽1内の処理液の平均濃度は目標値に近づくが、その上昇の割合は低下してくる。この間、処理液の供給に伴って基板処理槽1内の処理液はオーバーフロー排出される。この例によれば、基板処理槽1内の処理液の平均濃度が目標値の近くになれば、基板処理槽1に供給される処理液の量が少なくなるので、基板処理槽1内の処理液が排出される量も少なくなり、置換に要する処理液を節約することができる。
【0111】
C:第3実施例
C1:第3実施例装置の構成
本実施例に係る基板処理装置において、基板処理槽1への純水供給系統および薬液供給系統の構成は、図1に示した第1実施例のもの(上記した項目A1〜A3を参照)と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0112】
C4:制御系の概略構成
本実施例装置の制御系の構成を図8に示す。この制御系は、機能的に区別すると、目標値設定部30C、薬液濃度帰還制御部40C、濃度現在値算出部50、純水圧力変動帰還部60A、および純水流量帰還制御部70から構成されている。このうち、濃度現在値算出部50、純水圧力変動帰還部60A、および純水流量帰還制御部70の各構成は、第1実施例のもの(上記した項目A4を参照)と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下では、第1実施例と相違する部分について説明する。
【0113】
本実施例の目標値設定部30Cは、それぞれが時間の経過と共に変化する処理液の濃度目標値a3と薬液流量目標値a1とを設定する。
また、本実施例において、薬液濃度帰還制御部40Cは、処理液の濃度目標値a3と薬液流量目標値a1とに基づいて、純水流量目標値a2を演算によって求める純水流量目標値算出部48を備えている。純水流量目標値算出部48は、次式(6)によって純水流量目標値a2を算出する。
a2=a1×(C0 −a3) ……(6)
ただし、
a1 は、薬液流量目標値〔cc/min 〕
a2 は、純水流量目標値〔リットル/min 〕
a3 は、処理液の濃度目標値〔%〕
C0 は、原薬液濃度 [%]
【0114】
この純水流量目標値算出部48で算出された純水流量目標値a2が濃度−流量変換部46および純水流量帰還制御部70に与えられる。また、目標値設定部30Cで設定された処理液の濃度目標値a3が減算器42および加算器45に直接に与えられるようになっている。
【0115】
C5:実施例装置の動作
第3実施例装置の動作も、第1実施例装置の動作(上記した項目A5参照)と略同じである。ただし、薬液濃度帰還制御部40Cの減算器42では、目標値設定部30Cで設定された処理液の濃度目標値a3と、濃度現在値算出部50から与えられた処理液の濃度現在値b3とから、処理液の濃度偏差c3が求められる。また、加算器45では、目標値設定部30Cで設定された処理液の濃度目標値a3に、PII2 D演算部43から与えられた処理液の濃度制御操作量が加算される。さらに、濃度−流量変換部46は、純水流量目標値算出部48で算出された純水流量目標値a2を用いることにより、処理液の濃度操作量d3を薬液流量操作量d1に変換する。なお、純水流量目標値a2のかわりに、純水流量現在値b2を用いてもよい。また、純水流量帰還制御部70の減算器71は、純水流量目標値算出部48で算出された純水流量目標値a2から、純水流量センサ4で検出された純水流量現在値b2を差し引くことにより、純水流量偏差c2を算出する。
【0116】
本実施例によっても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。特に、第3実施例装置は、処理液の濃度目標値a3および薬液流量目標値a1を管理したい場合に有効である。
【0117】
C6:目標値の変化パターン
処理液の濃度目標値a3および薬液流量目標値a1の時間的な変化パターンの一例を以下に説明する。
図9を参照する。この例では、目標値設定部30Cは、純水で満たされている基板処理槽1に処理液の供給を開始した時点から、基板処理槽1内が処理液で置換され終わるまでの間において、処理液の濃度目標値a3の初期目標値を、その後の処理液の濃度目標値よりも大きく設定する一方、薬液流量目標値a1を一定に設定する。処理液の濃度目標値a3と薬液流量目標値a1とが設定されると、純水流量目標値a2が一義的に定まる。ここでは、濃度目標値a3の初期目標値が高く設定され、薬液流量目標値a1が一定であるので、純水流量目標値a2の初期目標値が低くなる。その結果、第1実施例の図5の変化パタンーと同様に、置換の初期段階で基板処理槽1に供給される処理液の濃度が高くなり、基板処理槽1の処理液の平均濃度の立ち上がりを速くすることができる。この例によれば、処理液の濃度を変化させる際に、薬液流量を操作する必要がない(結果として、純水流量を操作する)ので、薬液流量の操作に起因した薬液供給系統のトラブルの発生を抑えることができる。
【0118】
D:第4実施例
D1:第4実施例装置の構成
本実施例に係る基板処理装置の概略構成を図10に示す。
図10中、図1中の各符号と同一の符号で示した構成部分は第1実施例装置と同様の構成であるので、ここでの説明は省略する。以下では第1実施例装置との相違点を説明する。
【0119】
図1に示した第1実施例装置では、薬液供給路11に設けられた薬液圧力調節器19で薬液圧力を制御することにより、一定の流量の薬液が薬液導入弁9を介して純水供給路2に導入されるように構成した。これに対して、第4実施例装置は、第1実施例の薬液導入弁9、薬液供給弁10、薬液圧力調節器19に替えて、薬液供給路11に薬液流量調節弁21を設け、この薬液流量調節弁21に電空変換器20からパイロット圧を与えることにより、薬液流量調節弁21の弁の開度を操作して、薬液供給路11の薬液流量を直接的に制御するように構成されている。
【0120】
図11を参照して薬液流量調節弁21の構造を説明する。薬液流量調節弁21は、純水供給路2の途中に介在する導入弁連結管12に連結されている。薬液流量調節弁21の底面部と、導入弁連結管12に穿たれた有底孔とが相まって弁室21aが形成されている。弁室21aは接続孔21bを介して薬液供給路11に連通接続されている。また、弁室21aは薬液導入口21gを介して、導入弁連結管12の純水流路12aに連通接続されている。弁室21aには、薬液導入口21gの開閉を行い、かつ開口度を調節する絞り弁21cが設けられている。絞り弁21cの基端は、弁本体21d内を摺動変位する支持体21eに連結支持されている。この支持体9eは、バネ21hによって下方向に押し付けられる。パイロットエア供給口21iにエアを供給しない状態では、バネ21hのバネ力によって支持対21eおよび絞り弁21cは下方向に押し付けられており、このとき薬液導入口21gは閉じられている。以上の構成は第1実施例で説明した薬液導入弁9の構成と共通している。
【0121】
薬液導入弁9と異なる点は、パイロットエア供給口21iにエア(パイロット圧)が供給されると、支持体21eと一体に絞り弁21cがバネ21hのバネ力に抗して上昇し、パイロット圧とバネ力とがバランスした位置で絞り弁21が停止し、その停止位置に応じた開度で薬液導入口21gが開かれる点である。すなわち、薬液流量調節弁21は、電空変換器20から与えられたパイロット圧に応じて、その弁の開度が操作されることにより、薬液供給路11を流れる薬液の流量、すなわち、純水供給路2の純水中に導入される薬液流量を直接に制御するようになっている。
【0122】
D4:制御系の概略構成
本実施例装置の制御系の構成は、図3に示した第1実施例のものと概ね同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。ただし、濃度−流量変換部46で算出された薬液流量操作量d1を、薬液流量調節弁21に応じた薬液流量操作電圧Vd1に変換する必要があるので、流量−電圧変換部47で使う変換式(第1実施例で説明した式(4))の変更を要する。具体的には、(4)式中の定数Acを、電空変換器20および薬液流量調節弁21の各仕様から決まる定数に変更し、定数Bcを、純水圧力基準値P0 と薬液流量調節弁21の仕様から決まる定数に変更する。これらの定数Ac、Bcは実験により求めることができる。同様の理由のより、圧力−電圧変換部62で使う変換式(純水の圧力変動値Δe2を補正電圧ΔVe2に変換するための一次式)も、電空変換器20および薬液流量調節弁21の仕様などを考慮して実験的に求められる。
【0123】
D5:実施例装置の動作
本実施例装置の動作は、薬液流量調節弁21による薬液流量の制御過程を除いて、第1実施例のものと同様であるので、同一構成部分の動作説明は省略し、以下では薬液流量調節弁21による薬液流量の制御過程を中心に説明する。
【0124】
薬液濃度帰還制御部40Aは処理液の濃度偏差を打ち消すような薬液流量操作量を算出して、これを薬液流量調節弁21に応じた薬液流量操作電圧Vd1に変換して設定する。この薬液流量操作電圧Vd1が純水圧力変動帰還部60Aを介して電空変換器20に与えられる。電空変換器20は、薬液流量操作電圧Vd1に応じたパイロット圧を薬液流量調節弁21に出力する。その結果、薬液流量調節弁21の弁の開度が操作されて、薬液供給路11内の薬液流量が調整される。したがって、例えば、薬液流量調節弁21に加熱された薬液が流通することにより、薬液流量調節弁21が熱的変形を受けた結果、純水中に導入される薬液の流量が変化して処理液の濃度が変動したとしても、上記のように薬液流量調節弁21の弁開度が操作されて薬液流量が調整されるので、処理液の濃度変動を速やかに抑制することができる。
【0125】
さらに、本実施例では純水圧力変動帰還部60Aにより、純水供給路2内の純水圧力の変動による処理液の濃度変動が次のようにして抑制される。
純水圧力変動帰還部60Aは、純水供給路2内の純水圧力が高くなると、純水中に導入される薬液流量が減るので、薬液流量を多くする方向に薬液流量操作電圧Vd1を補正する。逆に、純水供給路2内の純水圧力が低くなると、純水中に導入される薬液流量が増えるので、純水圧力変動帰還部60Aが薬液流量を少なくする方向に薬液流量操作電圧Vd1を補正する。補正された薬液流量操作電圧Vd1’が電空変換器20でパイロット圧に変換されて薬液流量調節弁21に与えられる。その結果、純水供給路2内の純水圧力が純水圧力基準値P0 よりも高くなったときは、その圧力変動に応じて薬液流量調節弁21の弁の開度が大きくなり、逆に純水圧力が純水基準値P0 よりも低くなったときは、その圧力変動に応じて薬液流量調節弁21の弁の開度が小さくなる。以上のように純水供給路2の純水圧力の変動に応じて薬液流量調節弁21の弁開度が操作されるので、純水圧力の変動にかかわらず、常に一定量の薬液が純水中に導入される。
【0126】
D7:変形例
(1)本実施例で説明した薬液流量調節弁21を、上述した第2実施例および第3実施例の各装置の薬液導入弁9、薬液供給弁10、および薬液圧力調節器19に替えて用いることも可能である。この場合、図6、図8中に示した流量−電圧変換部47および圧力−電圧変換部62の各変換式を第4実施例で説明したと同様に変更すればよい。
【0127】
(2)第1実施例ないし第3実施例では図2に示したように、薬液導入弁9を純水供給路2に介在する導入弁連結管12に連結し、また、第4実施例では図11に示したように、薬液流量調節弁21を同じく導入弁連結管12に連結した。しかし、薬液導入弁9や薬液流量調節弁21は必ずしも純水供給路2に直接に連結される必要はなく、薬液供給路11の途中の適当な位置に設けることができる。
【0128】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次の効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を打ち消すように薬液供給路内の薬液圧力を調節しているので、薬液導入弁が熱的変形を受けて、その流量特性が変化したような場合であっても、処理液の濃度変動を抑制することができる。また、本発明は、薬液流量目標値と純水流量目標値とを設定し、これら2つの目標値から処理液の濃度目標値を算出するようにしているので、薬液流量と純水流量とを管理したい場合に好適である。また、純水流量目標値と純水流量現在値との偏差を打ち消すように純水供給路内の純水圧力を調節しているので、純水供給路の流路抵抗が変化したような場合でも、処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0129】
請求項2に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を打ち消すように、薬液流量調節弁の弁開度を操作して、薬液供給路内の薬液流量を調節しているので、薬液流量調節弁が熱的変形を受けて、その流量特性が変化したような場合であっても、処理液の濃度変動を抑制することができる。また、本発明は、薬液流量と純水流量とを管理したい場合に好適である。さらに、純水供給路の流路抵抗が変化したような場合でも、処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0130】
請求項3に記載の発明によれば、処理液の濃度偏差に基づいて薬液圧力または薬液流量を調節するときに、処理液の濃度現在値を演算によって求めているので、処理液の濃度を測定するためのセンサを備える必要がない。
【0131】
(削除)
【0132】
請求項4に記載の発明によれば、薬液の薬液流量目標値および純水の純水流量目標値を時間的に変化させて設定しているので、基板処理装置の制御の自由度を高くすることができる。
【0133】
また請求項4に記載の発明によれば、薬液の薬液流量目標値および純水の純水流量目標値を時間的に変化させて設定する場合に、純水供給路内の純水流量を、その目標値に精度よく追随させることができる。
【0134】
請求項5に記載の発明によれば、基板処理部内の処理液を置換する初期段階では、薬液の薬液流量目標値と純水の純水流量目標値を共に大きく設定し、処理液の置換がある程度進んだ段階で、各流量目標値を小さくしているので、基板処理部内の処理液の置換に要する時間を短縮することができる。
【0135】
請求項6に記載の発明によれば、処理液の供給を開始した置換の初期段階では、純水流量に対して薬液流量の割合を高くして濃度の高い処理液を基板処理部に供給し、基板処理部内の処理液の平均濃度がある程度高くなった段階で、薬液流量を小さくして、所定濃度の処理液を基板処理部に供給しているので、基板処理部内の処理液の平均濃度の立ち上がりが速く、基板処理部内の処理液を目標値にまで迅速に到達させることができる。
【0136】
請求項7に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を打ち消すように薬液供給路内の薬液圧力を調節しているので、薬液導入弁が熱的変形を受けて、その流量特性が変化したような場合であっても、処理液の濃度変動を抑制することができる。また、本発明は、処理液の濃度目標値と純水の純水流量目標値とを管理したい場合に好適である。さらに、純水供給路の流路抵抗が変化したような場合でも、処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0137】
請求項8に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を打ち消すように、薬液流量調節弁の弁開度を操作して、薬液供給路内の薬液流量を調節しているので、薬液流量調節弁が熱的変形を受けて、その流量特性が変化したような場合であっても、処理液の濃度変動を抑制することができる。また、本発明は、処理液の濃度目標値と純水の純水流量目標値とを管理したい場合に好適である。さらに、純水供給路の流路抵抗が変化したような場合でも、処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0138】
請求項9に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様に、処理液の濃度を測定するためのセンサを備える必要がない。
【0139】
(削除)
【0140】
請求項10に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値および純水の純水流量目標値を時間的に変化させて設定しているので、基板処理装置の制御の自由度を高くすることができる。
【0141】
また請求項10に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値および純水の純水流量目標値を時間的に変化させて設定する場合に、純水供給路内の純水流量を、その目標値に精度よく追随させることができる。
【0142】
請求項11に記載の発明によれば、濃度目標値を時間的に一定にしておくのに対して、基板処理部内の処理液の平均濃度が濃度目標値に近くなるに従って、純水流量を小さくしているので、基板処理部内の処理液の置換のために供給される処理液を節約することができる。
【0143】
請求項12に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を打ち消すように薬液供給路内の薬液圧力を調節しているので、薬液導入弁が熱的変形を受けて、その流量特性が変化したような場合であっても、処理液の濃度変動を抑制することができる。また、本発明は、処理液の濃度目標値と薬液の薬液流量目標値とを管理したい場合に好適である。さらに、純水供給路の流路抵抗が変化したような場合でも、処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0144】
請求項13に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との偏差を打ち消すように、薬液流量調節弁の弁開度を操作して、薬液供給路内の薬液流量を調節しているので、薬液流量調節弁が熱的変形を受けて、その流量特性が変化したような場合であっても、処理液の濃度変動を抑制することができる。また、本発明は、処理液の濃度目標値と薬液の薬液流量目標値とを管理したい場合に好適である。さらに、純水供給路の流路抵抗が変化したような場合でも、処理液の濃度変動を抑制することができる。
【0145】
請求項14に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様に、処理液の濃度を測定するためのセンサを備える必要がない。
【0146】
(削除)
【0147】
請求項15に記載の発明によれば、処理液の濃度目標値および薬液の薬液流量目標値を時間的に変化させて設定しているので、基板処理装置の制御の自由度を高くすることができる。
【0148】
また請求項15に記載の発明によれば、それぞれが時間的に変化する処理液の濃度目標値と薬液の薬液流量目標値とから算出された純水の純水流量目標値に対して、純水供給路内の純水流量を精度よく追随させることができる。
【0149】
請求項16に記載の発明によれば、薬液流量目標値を時間的に一定に設定する一方、基板処理部内の処理液の置換の初期段階では、処理液の濃度目標値を高く設定し、基板処理部内の処理液の平均濃度がある程度高くなった段階で、処理液の濃度目標値を所望の目標値に戻しているので、請求項6の発明と同様に、基板処理部内の処理液の平均濃度の立ち上がりが速く、基板処理部内の処理液を目標値にまで迅速に到達させることができる。また、本発明では処理液の濃度を変化させる際に、薬液流量を操作する必要がない(結果として、純水流量を操作する)ので、薬液流量の操作に起因した薬液供給系統のトラブルの発生を抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した図である。
【図2】 薬液導入弁の構造を示した断面図である。
【図3】 第1実施例の制御系を機能的に示したブロック図である。
【図4】 第1実施例の目標値の変化パターンの一例を示した図である。
【図5】 第1実施例の目標値の変化パターンの別の例を示した図である。
【図6】 第2実施例の制御系を機能的に示したブロック図である。
【図7】 第2実施例の目標値の変化パターンの一例を示した図である。
【図8】 第3実施例の制御系を機能的に示したブロック図である。
【図9】 第3実施例の目標値の変化パターンの一例を示した図である。
【図10】 第4実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した図である。
【図11】 薬液流量調節弁の構造を示した断面図である。
【符号の説明】
1…基板処理槽 2…純水供給路
3…純水圧力調節器 4…純水流量センサ
5…薬液混合部 6…電空変換器
7…純水圧力センサ 8…純水供給弁
9…薬液導入弁 10…薬液供給弁
11…薬液供給路 13…薬液タンク
14…ガス供給路 15…ガス圧力調節器
16…電空変換器 18…薬液流量センサ
19…薬液圧力調節器 20…電空変換器
21…薬液流量調節弁
30A〜30E…目標値設定部
31…変数指定部 32…目標値出力部
40A〜40C…薬液濃度帰還制御部
41…濃度目標値算出部 42…減算器
43…PII2 D演算部 44…スイッチ
45…加算器 46…濃度−流量変換部
47…流量−電圧変換部
50…濃度現在値算出部
60A…純水圧力変動帰還部
61…減算器 62…圧力−電圧変換部
63…加算器 64…純水圧力現在値算出部
70…純水流量帰還制御部
71…減算器 72…PID演算部
73…スイッチ 74…加算器
75…流量−電圧変換部
a1…薬液流量目標値 b1…薬液流量現在値
a2…純水流量目標値 b2…純水流量現在値
a3…処理液の濃度目標値 b3…処理液の濃度現在値
c1…薬液流量偏差 d1…薬液流量操作量
c2…純水流量偏差 d2…純水流量操作量
c3…処理液の濃度偏差 d3…処理液の濃度操作量
Vd1…薬液流量操作電圧
Vd1’…補正された薬液流量操作電圧
Vd2…純水流量操作電圧
e2…純水圧力現在値
P0 …純水圧力基準値
Claims (16)
- 純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、
前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、
薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入された薬液供給路と、
前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、
入口側が前記薬液供給路の他端に、出口側が前記純水供給路に接続され、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を前記純水供給路内に導入する薬液導入弁と、
処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて、前記薬液供給路内の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器と、
前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、
処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液圧力調節器に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、
前記薬液濃度帰還制御手段は、
前記目標値設定手段から与えられた薬液流量目標値と純水流量目標値とに基づき、処理液の濃度目標値を算出する濃度目標値算出手段と、
前記濃度目標値算出手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、
この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、
前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、
前記装置はさらに、
薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、
前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段と
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、
前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、
薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入され、他端が前記純水供給路の途中に接続された薬液供給路と、
前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、
処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて弁の開度を操作することによって、前記薬液供給路内の薬液流量を調節する薬液流量調節弁と、
前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、
処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液流量調節弁に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、
前記薬液濃度帰還制御手段は、
前記目標値設定手段から与えられた薬液流量目標値と純水流量目標値とに基づき、処理液の濃度目標値を算出する濃度目標値算出手段と、
前記濃度目標値算出手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、
この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、
前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、
前記装置はさらに、
薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、
前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段と
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の装置において、前記装置はさらに、
薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づき、処理液の濃度現在値を演算によって求める濃度現在値算出手段を備え、
前記算出された処理液の濃度現在値を前記濃度偏差算出手段に与える基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、それぞれが時間の経過と共に変化する薬液流量目標値および純水流量目標値を設定する基板処理装置。 - 請求項4に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、薬液流量目標値および純水流量目標値のそれぞれの初期目標値を、その後のそれぞれの目標値よりも高く設定する基板処理装置。 - 請求項4に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、薬液流量目標値の初期目標値を、その後の薬液流量目標値よりも高く設定する一方、純水流量目標値を一定に設定する基板処理装置。 - 純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、
前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、
薬液を貯留する耐圧密閉構造の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入された薬液供給路と、
前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、
入口側が前記薬液供給路の他端に、出口側が前記純水供給路に接続され、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を前記純水供給路内に導入する薬液導入弁と、
処理液の濃度目標値に関連して定められる薬液流量操作量に基づいて、前記薬液供給路内の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器と、
処理液の濃度目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、
前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液圧力調節器に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、
前記薬液濃度帰還制御手段は、
前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、
この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、
前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、
前記装置はさらに、
薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、
前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段と
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、
前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、
薬液を貯留する耐圧密閉構造の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入され、他端が前記純水供給路の途中に接続された薬液供給路と、
前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、
処理液の濃度目標値に関連して定められる薬液流量操作量に基づいて弁の開度を操作することによって、前記薬液供給路内の薬液流量を調節する薬液流量調節弁と、
処理液の濃度目標値および前記純水供給路に流通させる純水の純水流量目標値を設定する目標値設定手段と、
前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液流量調節弁に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、
前記薬液濃度帰還制御手段は、
前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、
この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、
前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、
前記装置はさらに、
薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、
前記目標値設定手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段と
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項7または8に記載の装置において、前記装置はさらに、
薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づき、処理液の濃度現在値を演算によって求める濃度現在値算出手段を備え、
前記算出された処理液の濃度現在値を前記濃度偏差算出手段に与える基板処理装置。 - 請求項7または8に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、それぞれが時間の経過と共に変化する処理液の濃度目標値および純水流量目標値を設定する基板処理装置。 - 請求項10に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、処理液の濃度目標値を一定に設定する一方、前記処理液による置換が進むにしたがって、純水流量目標値をその初期目標値よりも小さくする基板処理装置。 - 純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、
前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、
薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入された薬液供給路と、
前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、
入口側が前記薬液供給路の他端に、出口側が前記純水供給路に接続され、入口側の薬液圧力と、出口側の純水圧力との差圧に応じた流量の薬液を前記純水供給路内に導入する薬液導入弁と、
処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて、前記薬液供給路内の薬液圧力を調節する薬液圧力調節器と、
処理液の濃度目標値および前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値を設定する目標値設定手段と、
前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液圧力調節器に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、
前記薬液濃度帰還制御手段は、
前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と薬液流量目標値とに基づき、純水の純水流量目標値を算出する純水流量目標値算出手段と、
前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、
この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、
前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、
前記装置はさらに、
薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、
前記純水流量目標値算出手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段と
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 純水と薬液とを混合して得られた処理液で基板の表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板の表面処理を行う基板処理部と、
前記基板処理部と純水供給源との間に接続される純水供給路と、
薬液を貯留する密閉構造の薬液タンクと、
前記薬液タンク内の薬液中に一端が導入され、他端が前記純水供給路の途中に接続された薬液供給路と、
前記薬液タンク内の薬液を前記薬液供給路に送りだす薬液圧送手段と、
処理液の濃度目標値に関連して設定される薬液流量操作量に基づいて弁の開度を操作することによって、前記薬液供給路内の薬液流量を調節する薬液流量調節弁と、
処理液の濃度目標値および前記薬液供給路に流通させる薬液の薬液流量目標値を設定する目標値設定手段と、
前記処理液の濃度目標値と処理液の濃度現在値との濃度偏差を求め、この濃度偏差を打ち消すように、前記薬液流量調節弁に与える薬液流量操作量を調節して設定する薬液濃度帰還制御手段とを備え、
前記薬液濃度帰還制御手段は、
前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と薬液流量目標値とに基づき、純水の純水流量目標値を算出する純水流量目標値算出手段と、
前記目標値設定手段から与えられた処理液の濃度目標値と、処理液の濃度現在値との濃度偏差を求める濃度偏差算出手段と、
この濃度偏差を打ち消すような処理液の濃度操作量を算出する濃度操作量算出手段と、
前記算出された濃度操作量を薬液流量操作量に変換する操作量変換手段とを含み、
前記装置はさらに、
薬液が前記純水供給路に導入される位置よりも上流側の前記純水供給路に配設され、純水流量操作量に基づいて、前記純水供給路内の純水圧力を調節する純水圧力調節器と、
前記純水流量目標値算出手段から与えられる純水流量目標値と、純水流量現在値との偏差を求め、この純水流量偏差を打ち消すような純水流量操作量を算出し、この純水流量操作量を前記純水圧力調節器に与える純水流量帰還制御手段と
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項12または13に記載の装置において、前記装置はさらに、
薬液流量現在値と純水流量現在値とに基づき、処理液の濃度現在値を演算によって求める濃度現在値算出手段を備え、
前記算出された処理液の濃度現在値を前記濃度偏差算出手段に与える基板処理装置。 - 請求項12または13に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、それぞれが時間の経過と共に変化する処理液の濃度目標値および薬液流量目標値を設定する基板処理装置。 - 請求項15に記載の装置において、
前記目標値設定手段は、純水で満たされている前記基板処理部内に処理液の供給を開始した時点から、前記基板処理部内が処理液で置換され終わるまでの間において、処理液の濃度目標値の初期目標値を、その後の処理液の濃度目標値よりも大きく設定する一方、薬液流量目標値を一定に設定する基板処理装置。
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