JP3635789B2 - 回転切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アーバ又はアダプタ(以下では2者を代表してアーバを説明に用いる)に取付けて使用する小径回転切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
フライスカッタなどの回転切削工具は、機械主軸に取付ける場合、必ずアーバなどを介して取付けられる。アーバに対する工具の締結は、正面フライスカッタを例に挙げると、重量の大きい直径160mm以上のカッタは4本の六角穴付ボルトを用いて行われ、一方、軽量の直径125〜80mmのカッタは、図2に示すように、アーバ10にねじ込む1本の六角穴付ボルト11でカッタ本体2の中心部を締付ける方法で行われる(JIS、IS0規格)。つまり、カッタ重量を基準にした取付けとなっている。
【0003】
一方、更に小さい直径80mm以下のカッタは、図3、図4に示すように、カッタ本体2に一体の柄12を設け、この柄12を機械主軸に装着されるホルダ13、14で把持する方式が多用されている。これは、工具(カッタ)に附属する切刃チップや部品に締結用ボルトが干渉するために行われるものであり、カッタ径が65mm以下になると干渉回避が難しくなるため柄付けを余儀なくされる。
【0004】
なお、図3のホルダ13は、最も一般的なミーリングチャック、図4のホルダ14はサイドロックホルダである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
柄付けした工具はホルダ部で締結を行うので、スペース面での締結規制を受けないが、この柄付け方式には下記の問題点がある。
【0006】
(1) 工具に小径の柄を設けるので、工具剛性が低下する。
【0007】
(2) チャッキング機能を有するホルダが必要。
【0008】
(3) ホルダの把持部径が工具の柄の径よりも大きくなるので、奥まった部位の切削ではホルダが被削材と干渉する恐れがある。
【0009】
(4) その干渉を無くすために支持点から刃先までの距離(図3、4のL)をl2 だけ長くすると、柄12もそれだけ長くなって工具剛性が更に低下し、刃先の振れ精度が悪化する。
【0010】
(5) ホルダが大きく、重量が嵩むため、機械主軸に対する着脱等の作業性が悪くなり、高速切削の面でも不利になる。
【0011】
従って、できることなら、上記の問題が起こらないアーバ方式(柄の無い工具をアーバに取付ける方式)を選びたい。しかし、このアーバ方式の小径回転切削工具は、径方向刃先位置調整機構を備えられず、スローアウェイ式切削工具の場合、加工精度に問題がある。
【0012】
径方向刃先位置調整機構は、スローアウェイ式回転切削工具で高精度加工を行う場合、不可欠のものであるが、直径80mm以下の小径工具にその調整機構を設けると、調整機構の一部が本体の中心部に入り込んでアーバに対する締結ボルトの設置スペースが無くなる。このために、刃先の径方向位置調整を必要とする場合には柄付け方式の工具を採用しているが、この柄付け方式には前述の問題がある。
【0013】
そこで、この発明は、アーバ方式で径方向刃先位置調整機構を設けることを可能ならしめて小径回転切削工具、特に奥まった箇所の切削に用いる工具の加工精度、高速加工性能等を高めることを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、工具本体の中心部から離れた位置で工具本体を軸方向に貫通する複数本のボルトを設け、そのボルトで工具本体をアーバ又はアダプタに締結する構造にして一部が工具本体の中心部に入り込む径方向刃先位置調整機構を付加したのである。
【0015】
この構成は、直径が80mm以下、中でも63mm以下の回転切削工具に利用すると効果があり、アーバの柄を長くして奥まった部位を切削する場合に最大の効果を発揮する。
【0016】
【作用】
この発明では、アーバに対する締結ボルトを複数本にして本体中心から離れた位置に設けるので、本体中心部に空きスペースができ、そのスペースを利用して小径工具に径方向刃先位置調整機構を付加することが可能になる。これにより、径方向刃先位置調整機能を持つアーバ方式の小径回転切削工具を実現でき、柄付け方式の工具に見られる前述の(1) 〜(5) の問題点と、スローアウェイ化したアーバ方式工具の加工精度の悪さの問題を共に解決することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明の回転切削工具の実施形態(図はフライスカッタ)を示す。
【0018】
このフライスカッタ1は、カッタ本体2の外周部に設けた刃溝に切刃チップ3を径方向スライド可能に組込み、クランプねじ4によって推進させる楔式押え金5でその切刃チップ3をカッタ本体2に固定している。
【0019】
また、カッタ本体2の中心部に外部から操作できる刃振れ調整ねじ6をねじ込み、このねじ6の頭頂面を位置基準にして切刃チップ3の位置を径方向に調整するようにしている。
【0020】
10は、カッタ1を取付けるアーバである。このアーバ10の先端中心に設けた円柱状凸部10aをカッタ本体2の背面に設けた中心穴7に嵌合させてカッタ1とアーバ10を芯出しする。11は六角穴付ボルトである。ここではそのボルト11の設置数を2本とし、このボルト11を芯出し嵌合部(穴7と凸部10aの嵌合部)よりも外周側でカッタ本体2に貫通させ、ボルト先端をアーバ10にねじ込んでカッタをアーバに固定している。
【0021】
このような構造であるので、径方向刃先位置調整機構9(図のそれは刃振れ調整ねじ6を本体中心に残されたリブ8のねじ孔にねじ込んで構成される)をカッタ本体2の中心部に一部入り込ませて付加することができ、また、支持点から刃先までの距離Lも、図3、図4のl2 分を短縮することができる。l3 は、被削材との干渉が避けられる有効長さである。
【0022】
距離Lが短くなることでアーバ10を含めた工具剛性が高まり、加工中の振れが小さくなる。また、径方向の位置調整で切刃の位置精度も高まり、従って、アーバの柄を長くして奥まった部位を切削する場合にも切削が安定し、高加工精度を期待できる。さらに、ホルダ使用時の重量増がなくなるため、高速切削性能も良くなる。
【0023】
なお、実施形態は、フライスカッタを例に挙げたが、この発明は他の回転切削工具、例えば柄無しエンドミル等にも有効に利用できる。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、従来、柄付け方式にしていた直径80mm以下の小径回転切削工具をアーバ方式に変え、さらに、締結ボルトを複数本にして本体中心部から離れた位置に配置することでアーバ方式では規制されていた径方向刃先位置調整機構の設置を可能ならしめたので、軽量で剛性が高く、また、刃先の位置精度も高められる小径回転切削工具を実現でき、この種切削工具による加工の安定性向上、加工精度向上、加工能率向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施形態の工具をアーバに付けた状態にして示す断面図
(b)同上の工具の正面図
【図2】(a)従来の小径回転切削工具のアーバへの取付け状態を示す図
(b)同上の工具の正面図
【図3】柄付けした切削工具をミーリングチャックで保持した図
【図4】柄付けした切削工具をサイドロックホルダで保持した図
【符号の説明】
1 フライスカッタ
2 カッタ本体
3 切刃チップ
4 クランプねじ
5 楔式押え金
6 刃振れ調整ねじ
7 中心孔
8 リブ
9 径方向刃先位置調整機構
10 アーバ
10a 芯出し用円筒状凸部
11 六角穴付ボルト
13、14 ホルダ
Claims (1)
- アーバ、又はアダプタ先端に着脱自在に取付ける直径80mm以下の小径回転切削工具において、工具本体の中心部から離れた位置で工具本体を軸方向に貫通する複数本のボルトを設け、そのボルトで工具本体をアーバ又はアダプタに締結する構造にして一部が工具本体の中心部に入り込む径方向刃先位置調整機構を付加したことを特徴とする回転切削工具。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP16592996A JP3635789B2 (ja) | 1996-06-26 | 1996-06-26 | 回転切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16592996A JP3635789B2 (ja) | 1996-06-26 | 1996-06-26 | 回転切削工具 |
Publications (2)
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JPH106120A JPH106120A (ja) | 1998-01-13 |
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Family
ID=15821700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16592996A Expired - Fee Related JP3635789B2 (ja) | 1996-06-26 | 1996-06-26 | 回転切削工具 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3635789B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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1996
- 1996-06-26 JP JP16592996A patent/JP3635789B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
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JPH106120A (ja) | 1998-01-13 |
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