JP3635146B2 - カチオン性電着塗料用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は防錆性に優れ、かつ硬化性、耐溶剤性、機械物性等で優れた塗膜性能を有する新規なカチオン性電着塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電着塗装は、自動車、電気器具等、袋部構造を有する部材に対し、エアースプレー塗装や静電スプレー塗装と比較して、付き回り性に優れまた環境汚染も少ないことから、プライマー塗装として広く実用化されるに至っているが、防錆性を一層向上させる目的で防錆顔料を添加することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
代表的な防錆顔料として鉛系顔料があるが、昨今の環境規制及び法規制の動向を勘案すれば、鉛系顔料を含有する塗料は好ましくない。
従来から無毒性ないし低毒性の防錆顔料は、いくつかは開発されてはいるものの、カチオン電着塗料に使用した場合、いずれも鉛系顔料に比べて十分な防錆力が得られないという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このようなことから、本発明者らは、鉛等毒性の高い重金属を含まず、かつ防錆性、硬化性、耐溶剤性、機械物性等において優れた塗膜性能を有するカチオン性電着塗料組成物を開発することを目的として鋭意検討した。その結果基剤樹脂として、活性メチレン基およびアミノ基を有する変性エポキシ樹脂を、カチオン化して基剤樹脂に用いることにより、前記目的が達成できることを見い出した。
【0005】
すなわち本発明は、(A)側鎖に活性メチレン基を有し、かつエポキシ基がアミン化合物と反応した、活性メチレン基含有アミン変性エポキシ樹脂の、アミノ基をカチオン化して得られる樹脂(基剤樹脂A)、(B)活性メチレン基を含有しないアミン変性エポキシ樹脂をカチオン化して得られる樹脂(基剤樹脂B)、(C)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)を含有する、カチオン性電着塗料用樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物は、鉛系顔料を使用しなくても、防錆性、硬化性、耐溶剤性、機械物性等に優れた特性を発揮し、特に防錆性、硬化性に優れている。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)基剤樹脂Aに用いる側鎖に活性メチレン基を有するアミン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中に存在するグリシジル残基(−CH2 CH(OH)CH2 −)の2級水酸基に活性メチレン化合物を反応させ、かつエポキシ基をアミン化合物と反応させて得られる。本発明で使用する(A)基剤樹脂Aは、この活性メチレン基含有アミン変性エポキシ樹脂のアミノ基をカチオン化したものである。
【0007】
エポキシ樹脂としては、好ましくは平均して1分子当り2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、その分子量は400〜7000、特に400〜4000が好ましい。具体的に例示すると、一つには1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する、ポリフェノールのグリシジルエーテルであり、好ましいポリフェノールとしては、レゾルシン、ハイドロキノン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、1,1−(2,4’−ジヒドロキシフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニール等を挙げることができる。またその他としては、1分子中に2個のアルコール性水酸基を有するジオールのグリシジルエーテルであり、好ましいジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の低分子ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオリゴマージオールを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、上記エポキシ樹脂の混合物も可能である。
【0008】
好適な分子量を得るためには、上記エポキシ樹脂を連結剤を用いて高分子化を図る。好ましい連結剤には、上記のポリフェノールあるいはジオールがあり、さらには1分子中に2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、カルボキシル基含有のブタジエン重合体あるいはブタジエン/アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。またポリイソシアネートによる鎖延長も可能である。特に好ましい高分子量化は、上記ポリフェノールのグリシジルエーテルと上記ジオールのグリシジルエーテルを上記ポリフェノールで連結反応する方法、あるいは上記ポリフェノールのグリシジルエーテルを上記ジカルボン酸で連結する方法であり、反応温度は70〜180℃が適当である。
【0009】
本発明のエポキシ樹脂の2級水酸基と反応させる活性メチレン化合物としては、エステル交換反応を行うものは、アセト酢酸エステル、α−アセトプロピオン酸エステル、マロン酸ジエステル、シアノ酢酸エステル等が例示でき、中でもt−ブチルエステル基を有する化合物がエステル交換には特に好ましい。化合物について具体例を挙げると、アセト酢酸t−ブチルエステル、α−アセトプロピオン酸t−ブチルエステル、マロン酸メチル−t−ブチルエステル、シアノ酢酸t−ブチルエステルがある。また2級水酸基に直接反応させる場合はジケテンを使用することができる。また上記化合物の混合物を使用することも可能である。反応温度は70〜160℃が適当である。
上記の反応により、エポキシ樹脂の側鎖に−COCH2 CO−あるいは−COCH2 CNの構造を有する、活性メチレン基を導入することができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
活性メチレン化合物とエポキシ樹脂との反応割合は、エポキシ樹脂1000gないしそれ以下の重量部に対して、活性メチレン化合物1モルが好ましい。この範囲よりも活性メチレン基が少くなると、本発明の樹脂組成物を用いてカチオン電着塗装を行ったとき、十分な防錆性能を有する硬化塗膜が得られない。
【0011】
上記エポキシ樹脂のエポキシ基を、アミノ化するアミン化合物については、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、モノエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等あるいはこれらの混合物を挙げることができる。これらの中で水酸基を有するアルカノールアミン類が特に好ましい。また1級アミノ基をあらかじめケトンと反応させてブロック化後、残りの活性水素とエポキシ基と反応させてもよい。アミノ化の具体的な方法としては、溶剤中または溶剤なしの溶融体中で行うことができ、反応温度は40〜150℃が適当である。
【0012】
また本発明における(B)基剤樹脂Bは、エポキシ樹脂にアミンを反応させたアミン変性エポキシ樹脂のアミノ基をカチオン化したものであり、アミン変性エポキシ樹脂は、上記の基剤樹脂Aで用いたエポキシ樹脂と上記のアミン化合物を同様の方法で反応させて得られる。
【0013】
基剤樹脂Aおよび2において、アミノ基の量は特に限定はないが、通常樹脂1000g当たり0.5〜3当量が適当である。
【0014】
本発明の基剤樹脂AおよびBにおいて、アミノ基のカチオン化には酸が使用されるが、特に好ましい酸としては、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、スルファミン酸等がある。
【0015】
本発明の基剤樹脂Aと基剤樹脂Bの含有割合は、固形分重量比で90〜20/10〜80であり、好ましくは80〜40/20〜60、より好ましくは、80〜50/20〜50である。この範囲より基剤樹脂Aが多いと、顔料分散性が低下し、逆にこの範囲より基剤樹脂Aが少ないと、防錆性が不十分である。
【0016】
また本発明における(C)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)は、ポリイソシアネートとブロック剤との反応物であり、ポリイソシアネートとしては、芳香族あるいは脂肪族(脂環式を含む)のポリイソシアネートであり、例示すると、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートおよびこれらの混合物、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1, 3あるいは1, 4−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビス−(イソシネートメチル)−ノルボルナン、3あるいは4−イソシアネートメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、m−あるいはp−キシリレンジイソシアネート、m−あるいはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、さらには上記イソシアネートのビュレット変性体あるいはイソシアヌレート変性体、あるいは上記イソシアネートのイソシアネート基の一部を、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の低分子ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリラクトンジオール等のオリゴマージオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールで連結したポリイソシアネートあるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0017】
ブロック剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール化合物、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ等のセロソルブ系化合物、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール系化合物、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物、ε−カプロラクタム等のラクタム化合物、フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール系化合物を挙げることができる。
【0018】
ポリイソシアネートとブロック剤との反応は、溶剤中あるいは溶剤なしの溶融体中で実施することができる。反応に使用する溶剤としては、ポリイソシアネートと反応しない溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素を例示することができる。反応温度については特に限定はないが、好ましくは30〜150℃である
【0019】
本発明のカチオン性電着塗料用樹脂組成物において、カチオン基を有する基剤樹脂(A)および基剤樹脂(B)の合計量と、ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)(C)の含有割合は、固形分重量比で90〜40/10〜60であり、好ましくは85〜40/15〜60、より好ましくは、80〜55/20〜45である。
【0020】
本発明のカチオン性電着塗料用樹脂組成物には、さらに必要に応じて通常の塗料添加物、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料、カオリン、タルク、珪酸アルミニウム、炭酸カルシュウム、マイカ、クレー、シリカ等の体質顔料、りん酸亜鉛、りん酸鉄、りん酸アルミニウム、りん酸カルシウム、亜りん酸亜鉛、亜りん酸アルミニウム、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリりん酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、りんモリブデン酸亜鉛、りんモリブデン酸アルミニウム、カルシウムフェライト、マグネシウムフェライト、亜鉛フェライト等の防錆顔料、消泡剤、ハジキ防止剤、水性溶剤あるいは硬化触媒等を含有することができる。またその他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン系樹脂等を含有することができる。
【0021】
本発明のカチオン性電着塗料組成物は、通常水に分散した状態で既知のカチオン電着塗装によって所望の基材表面に塗装することができる。具体的には塗料の固形分濃度は、好ましくは約5〜40重量%さらに好ましくは15〜25重量%、PHは5〜8に調整し、浴温15〜35℃、負荷電圧100〜450Vの条件で被塗物を陰極として塗装することができる。
塗装された被塗物を水洗後、焼付炉中で100〜200℃で10〜30分間焼き付けて硬化塗膜を得ることができる。
本発明のカチオン性電着塗料組成物から得られる塗膜膜厚には特に制限はないが、硬化塗膜において5〜60μm、好ましくは10〜40μmが適当である。
【0022】
【実施例】
以下本発明を、(A)側鎖に活性メチレン基を有するアミン変性エポキシ樹脂(基剤樹脂A)、(B)活性メチレン基を含有しないアミン変性エポキシ樹脂(基剤樹脂B)、(C)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)の製造例と、実施例、比較例により説明する。
【0023】
製造例1
基剤樹脂A−1の製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、エポキシ当量186のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社製 DER−331L)1257g(6.76当量)、ビスフェノール543g(4.76当量)、ジエチレングリコールジメチルエーテル331gを仕込み、撹拌しながら反応系内を十分窒素置換する。その後トリフェニルホスフィン4.0gを仕込んで、140℃まで昇温し、同温度で3時間反応してエポキシ樹脂を得た。続いて90℃まで温度を下げ、ジ−n−ブチルアミン246g(1.9モル)を仕込み、同温度で3時間反応した。続いてアセト酢酸t−ブチルエステル554g(3.5モル)を仕込み、温度を110〜130℃に保持して減圧しながらt−ブタノールを留去し、その後メトキシプロパノール331g,メチルイソブチルケトン340gを仕込んで、固形分70%の基剤樹脂A−1を得た。
【0024】
製造例2
基剤樹脂A−2の製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、エポキシ当量186のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社製 DER−331L)1122g(6当量)、エポキシ当量300のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(三洋化成社製 グリシエールPP−300P)720g(2.4当量)、ビスフェノールA684g(6当量)、ジエチレングリコールジメチルエーテル413g、トリブチルアミン1.0gを仕込み、150℃まで昇温した後、同温度で6時間保温してエポキシ樹脂を得た。続いてアセト酢酸t−ブチルエステル475g(3モル)を仕込み、温度を110〜130℃に保持して減圧しながらt−ブタノールを留去した。続いてブチルセロソルブ399gを仕込んで70℃まで温度を下げ、脱イオン水72g、ジエタノールアミン240g(2.28モル)を仕込み、同温度で5時間保温して反応を終了した。その後メチルイソブチルケトン409gを仕込んで、固形分70%の基剤樹脂A−2を得た。
【0025】
製造例3
基剤樹脂A−3の製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、エポキシ当量186のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社製 DER−331L)1101g(5.92当量)、酸当量291のダイマー酸(播磨化成社製ハリダイマー200)570g(1.96当量)、ビスフェノールA224g(1.96当量)、ジエチレングリコールジメチルエーテル275g、トリブチルアミン1.2gを仕込み、150℃まで昇温した後、同温度で5時間保温してエポキシ樹脂を得た。続いてアセト酢酸t−ブチルエステル400g(2.5モル)を仕込み、温度を110〜130℃に保持して減圧しながらt−ブタノールを留去した。続いてブチルセロソルブ325gを仕込んで70℃まで温度を下げ、脱イオン水72g、ジエタノールアミン200g(1.9モル)を仕込み、同温度で5時間保温して反応を終了した。その後メチルイソブチルケトン317gを仕込んで、固形分70%の基剤樹脂A−3を得た。
【0026】
製造例4
基剤樹脂B−1の製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、エポキシ当量950のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製 エポトートYD−014)1805g(1.9当量)、メトキシプロパノール855gを仕込み、90℃まで昇温する。ジエタノールアミン190g(1.8モル)を仕込み、その後同温度で3時間保温して固形分70%の基剤樹脂B−1を得た。
【0027】
製造例5
基剤樹脂B−2の製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、エポキシ当量300のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(三洋化成社製 グリシエールPP−300P)600g(2当量)、エポキシ当量187のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製 エポトートYD−128)1122g(6当量)、ビスフェノールA684g(6当量)、トリブチルアミン1.0gを仕込み、150℃まで昇温する。その後150℃で6時間保持した後、メトキシプロパノール1111gを仕込み、80℃まで冷却した。次いで100℃まで昇温して、ジエタノールアミン200g(1.9モル)を仕込み、その後同温度で2時間保温して固形分70%の基剤樹脂B−2を得た。
【0028】
製造例6
基剤樹脂B−3の製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、エポキシ当量187のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製 エポオートYD−128)374g(2当量)、エポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製 エポトートYD−011)950g(2当量)、メトキシプロパノール695g、ジエタノールアミン105g(1モル)、ジエチルアミノプロピルアミン195g(1.5モル)を仕込み、温度を120℃まで昇温し、同温度で3時間反応させて、固形分70%の基剤樹脂B−3を得た。
【0029】
製造例7
硬化剤Cの製造
還流冷却器、温度計、撹拌機を取り付けた4口フラスコ中に、イソホロン235g、トルエン110g、ε−カプロラクタム339g(3モル)を仕込み、45℃まで昇温しε−カプロラクタムを溶解する。イソシアネート当量140のポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製 ミリオネートMR−400)812gを1時間かけて仕込み、40〜50℃で3時間反応させた。反応後同温度を保持しながらブチルセロソルブ500g(4.24モル)を1時間かけて滴下し、滴下後90℃まで昇温して2時間保温し固形分75%の硬化剤Cを得た。
【0030】
実施例1、2、3、4、5 比較例1、2
表1に示す配合で電着塗料を作製し、性能評価を行った。
【0031】
【表1】
【0032】
樹脂水分散液の調製
基剤樹脂、硬化剤の混合物をフェノキシプロパノール、ギ酸、脱イオン水の混合液中によく撹拌しながら仕込んで、樹脂水分散液を得た。
顔料ペーストの調製
基剤樹脂、ギ酸、脱イオン水、ブチルカルビトール、カーボンブラック、酸化チタン、カオリン、ジブチル錫オキサイドをディゾルバーで充分撹拌した後、横型サンドミルで粒ゲージ粒度10μm以下になるまで分散し、顔料ペーストを得た。
電着塗料の調製
上記樹脂水分散液、顔料ペーストを表1の量で配合し電着塗料液を得た。
【0033】
試験板の作製方法
上記で得られた電着塗料液を用いてカーボン電極を陽極とし、りん酸亜鉛処理板(日本テストパネル社製、Bt3004、0.8×70×150mm)を陰極とし、焼き付け後の膜厚が20μmとなる条件で電着塗装を行い、175℃で25分間焼き付けを行った。塗膜性能評価を結果を表1に示す。
評価方法
(1)外観 目視で判定しワキ、ブツ等が認められないものを○と判定する。
(2)硬化性 試験板を40℃のアセトン中に24時間浸漬し、下記式によりゲル分率を計算する。
ゲル分率=(浸漬前重量−浸漬後重量)/浸漬前重量×100(%)
(3)耐衝撃性 Dupont式 1/2インチ1kgでの落下距離(cm)
(4)エリクセン 塗膜を変形させた時の剥がれが生ずるまでの距離(mm)
(5)耐塩水噴霧試験 JIS−Z−2731に準じて行った。電着塗装面に素地に達するきずをカッターナイフで入れ、1000時間後の錆幅を評価する。
(6)温塩水浸漬試験 50℃、5%の食塩水に塗装試験板を1000時間浸漬した後、試験板全体に対する塗膜剥離面積の割合を測定し、%で表示する。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、鉛等毒性の高い重金属を含まず、防錆性、硬化性、耐溶剤性、機械物性等において優れた塗膜性能を有する、カチオン性電着塗料用樹脂組成物を提供することができる。
Claims (5)
- (A)側鎖に活性メチレン基を有し、かつエポキシ基がアミン化合物と反応した、活性メチレン基含有アミン変性エポキシ樹脂の、アミノ基をカチオン化して得られる樹脂(基剤樹脂A)、(B)活性メチレン基を含有しないアミン変性エポキシ樹脂をカチオン化して得られる樹脂(基剤樹脂B)、(C)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)を含有する、カチオン性電着塗料用樹脂組成物。
- 基剤樹脂Aに使用するエポキシ樹脂が、ポリフェノールのグリシジルエーテル、ジオールのグリシジルエーテルおよびポリフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂である、請求項1記載のカチオン性電着塗料用樹脂組成物。
- ジオールがポリプロピレングリコールである、請求項2記載のカチオン性電着塗料用樹脂組成物。
- 基剤樹脂Aに使用するエポキシ樹脂が、ポリフェノールのグリシジルエーテルを、ジカルボン酸で連結反応して得られるエポキシ樹脂である、請求項1記載のカチオン性電着塗料用樹脂組成物。
- ジカルボン酸がダイマー酸あるいは末端カルボキシル基含有のブタジエン/アクリロニトリル共重合体である、請求項4記載のカチオン性電着塗料用樹脂組成物。
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