JP3541213B2 - 電気浸漬塗料および導電性基板の塗装方法 - Google Patents
電気浸漬塗料および導電性基板の塗装方法 Download PDFInfo
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Description
(1)導電性基板を水性電気浸漬塗料中に浸漬し、
(2)基板を陰極として接続し、
(3)直流によって基板上に皮膜を析離させ、
(4)塗装された基板を電気浸漬塗料から取り出しかつ
(5)析離した塗膜を焼付ける、導電性基板の塗装方法に関する。
陰極に析離しうる合成樹脂を含有する電気浸漬塗料および陰極に析離しうる合成樹脂を含有する電気浸漬塗料を適用する上記に記載した電気浸漬塗装方法は、既に長い間公知であり、大量生産品の自動的塗装のため、殊に車両、殊に自動車ボデーの自動的塗装のために大規模に使用される(それにはたとえばGlasurit.Handbuch.Lacke.und.Farben,Curt.R.Vincentz.Verlag,Hannover,1984年,374〜384ページ,ならびにDE−A3518770,EP−A40090,EP−A12463,EP−A259181,EP−A433783およびEP−A262069参照)。
陰極電気浸漬塗装法を用いて導電性基板を塗装する場合、塗装すべき基板の縁が不十分の厚さの塗料層で塗装されるにすぎないという問題が起きる。これはなかんずく、塗装された基板の縁が塗装された基板の面に比べて腐食に対して低い抵抗力を有するという結果となる。この問題を解決するために、ヨーロッパ特許(EP−A)259181号には、電気浸漬塗料に、浴温より少なくとも10℃高い軟化点、陰極に析離しうる合成樹脂の溶解性パラメーターから1.0より大きく異ならない溶解性パラメーター、陰極析離しうる合成樹脂の屈折率から0.02〜0.3だけ相違する屈折率を有するかまたは0.01〜5.05の架橋密度を有するポリマーの微小粒子を添加することが推奨される。ヨーロッパ特許(EP−A)433783号によれば、電気浸漬塗料に、架橋された尿素−アルデヒド−、トリアジン−アルデヒド樹脂またはフェノール−アルデヒド樹脂からなるポリマーの微小粒子または非架橋の(メタ)アクリルニトリルのホモ−または共重合体からなるポリマー粒子が添加される。
ヨーロッパ特許(EP−A)259181号およびヨーロッパ特許(EP−A)433783号に記載されたポリマー微小粒子の添加は、多くの場合に縁被覆の改善を生じる。改善された縁被覆にも拘わらず、縁における析離した電気浸漬塗膜の防食作用は不十分である。さらに、ヨーロッパ特許(EP−A)259181号およびヨーロッパ特許(EP−A)433783号に記載されたポリマー微小粒子の添加は、不利にも電気浸漬塗料の安定性の低下(電気浸漬塗料中に沈降物の出現)、基板および/または塗料層に対する付着の悪化、流展性の強い低下ならびに析離した電気浸漬塗料皮膜の防食作用の低下をもたらす。
本発明の課題は、先行技術に比して改善された性質を有する塗膜を生じる、陰極析離しうる合成樹脂を含有する水性電気浸漬塗料の供給である。供給される、陰極析離しうる合成樹脂を含有する水性電気浸漬塗料を用いると、殊に導電性基板を陰極電気浸漬塗装法により塗装することができ、塗装された基板の縁を良好に被覆し、先行技術の上記した欠点の少なくとも一部を示さないかないしは減少した程度しか示さない。
この課題は、意外にも陰極析離しうる合成樹脂を含有する水性電気浸漬塗料が、
(a)ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートからなる混合物を
(b)1分子あたり少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個の活性水素原子を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物および
(c)1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基および/または少なくとも1個のケチミン基および/または少なくとも1個のアルドイミン基を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物ならびに場合により
(d)1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子を含有する(a)および(b)と異なる有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物
と、成分(a)のNCO基の3〜80%が成分(b)と反応し、成分(a)のNCO基の3〜80%が成分(c)と反応し、成分(a)の0〜94%が成分(d)と反応するようなモル比で反応させ、こうして得られた反応生成物を水に分散させ、ラジカル重合させ、その際分散の前、間または後に、反応生成物中に含有されている第三および/また第一級アミノ基をブレンステッド酸で中和することによって製造しうる、0.01〜10μmの粒度を有するポリマー微小粒子を含有することを特徴とする、陰極析離しうる合成樹脂を含有する水性電気浸漬塗料によって解決される。
本発明による電気浸漬塗料は、陰極析離しうる合成樹脂として原則的には水性電気浸漬塗料に適当な各陰極析離しうる合成樹脂を含有することができる。本発明による電気浸漬塗料は、陰極析離しうる合成樹脂として、とくにカチオンのアミン変性エポキシ樹脂を含有する。このような合成樹脂は公知であり、たとえばドイツ国特許(DE−A)3518770号、ドイツ国特許(DE−A)3518732号、ヨーロッパ特許(EP−B)102501号、ドイツ国特許(DE−A)2701002号、米国特許(US−A)4031050号、米国特許(US−A)3922253号、米国特許(US−A)4101486号、米国特許(US−A)4038232号および米国特許(US−A)4017438号に記載されている。これらの特許明細書には、カチオンのアミン変性エポキシ樹脂の製造も詳細に記載されている。
カチオンのアミン変性エポキシ樹脂とは、
(α)場合により変性されたポリエポキシドおよび
(β)アミン
を表わす。これらのカチオンのアミン変性エポキシ樹脂は、成分(α)および(β)を反応させ、必要な場合には、引き続きプロトン付加することにより製造することができる。しかし、非変性ポリエポキシドをアミンと反応させ、こうして得られたアミン変性エポキシ樹脂にさらに変性を実施することも可能である。
ポリエポキシドとは、分子中に2個または数個のエポキシ基を含有する化合物を表わす。
殊に好ましい(α)成分は、
(i)ジエポキシ化合物または2000以下のエポキシ当量を有するジエポキシ化合物の混合物を
(ii)与えられた反応条件下にエポキシ基に対して単官能性に反応する、フェノール−またはチオール基を含有する化合物またはかかる化合物の混合物と反応させ、その際成分(i)および(ii)を10:1〜1:1、好ましくは4:1〜1.5:1のモル比で使用し、成分(i)と成分(ii)との反応のを100〜190℃で、場合により触媒の存在で実施することによって製造できる化合物である(DE−OS3518770参照)。
他の殊に好ましい(α)成分は、100〜195℃で、場合により触媒の存在で実施される、アルコール性OH基、フェノール性OH基またはSH基を有する単官能性に反応するスターターによって、ジエポキシ化合物および/またはジエポキシ化合物の混合物を(場合により少なくとも1種のモノエポキシ化合物と共に)
の重付加を開始して、ジエポキシ化合物とスターターが2:1〜10:1のモル比で組み込まれているエポキシ樹脂にすることによって製造できる化合物である(DE−OS3518732号参照)。
殊に好ましい(α)成分の製造のためおよび自体(α)成分として使用できるポリエポキシドは、ポリフェノールとエピハロヒドリンから製造される。ポリフェノールのポリグリシジルエーテルである。ポリフェノールとしては、たとえば特に好ましくはビスフェノールAおよびビスフェノールFを使用することができる。さらに、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、シス−(4−ヒドロキシ−tert.−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス−(2−ヒドロキシナフチル)−メタン、1,5−ジヒドロキシナフタリンおよびフェノール性ノボラック樹脂が適当である。
他の適当なポリエポキシドは、多価アルコール、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1.4−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリンおよびビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,2−プロパンのポリグリシジルエーテルである。ポリカルボン酸、たとえばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸および二量体リノール酸のポリグリシジルエステルも使用することができる。代表的な例は、グリシジルアジペートおよびグリシジルフタレートである。
さらに、ヒダントインエポキシド、エポキシ化ポリブタジエンおよびオレフィン性不飽和脂肪族化合物のエポキシ化によって得られるポリエポキシ化合物が適当である。
変性ポリエポキシドとは、反応性基の少なくとも一部が変性化合物と反応しているポリエポキシドを表わす。
変性化合物の例としては次のものが挙げられる:
−カルボキシル基含有化合物、たとえば飽和はたは不飽和モノカルボン酸(たとえば安息香酸、あまに油脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、フェルサチック酸)脂肪族、脂環式および/または芳香族の、種々の鎖長のジカルボン酸(たとえばアジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸または二量体脂肪酸)、ヒドロキシアルキルカルボン酸(たとえば乳酸、ジメチロールプロピオン酸)ならびにカルボキシル基含有ポリエステルまたは
−アミノ基含有化合物、たとえばジエチルアミンまたはエチルヘキシルアミンまたは第二級アミノ基を有するジアミン、たとえばN,N′−ジアルキルアルキレンジアミン、たとえばジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジアルキル−ポリオキシアルキレンアミン、たとえばN,N′−ジメチルポリオキシプロピレンジアミン、シアンアルキル化アルキレンジアミン、たとえばビス−N,N′−シアンエチル−エチレンジアミン、シアンアルキル化ポリオキシアルキレンジアミン、たとえばビス−N,N′−シアンエチルポリオキシプロピレンジアミン、ポリアミノアミド、たとえばフェルサミド、殊に末端位のアミノ基を有する、ジアミンからの反応生成物(たとえばヘキサメチレンジアミン)、ポリカルボン酸、殊にダイマー脂肪酸およびモノカルボン酸、ことに脂肪酸または1モルのジアミノヘキサンと2モルのモノグリシジルエーテルまたはモノグリシジルエステル、殊にα−分枝脂肪酸、たとえばフェルサチック酸のグリシジルエステルとの反応生成物または
−ヒドロキシル基含有化合物、たとえばネオペンチルグリコール、ビスエトキシル化ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチルヒダントイン−N,N′−ジエタノール、ヘキサンジオール−1,6、ヘキサンジオール−2,5、1,4−ビス−(ヒドロキシ−メチル)シクロヘキサン、1,1−イソプロピリデン−ビス−(p−フェノキシ)−2−プロパノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットまたはアミノアルコール、たとえばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンまたはヒドロキシ基含有アルキルケチミン、たとえばアミノメチルプロパンジオール−1,3−メチルイソブチルケチミンまたはトリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタンシクロヘキサノンケチミンなにびに種々の官能価および分子量のポリグリコールエーテル、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクタムポリオールまたは
−ナトリウムメチラートの存在でエポキシ樹脂のヒドロキシル基とエステル変換させる飽和または不飽和の脂肪酸メチルエステル。
成分(β)としては、第一および/または第二級アミンを使用することができる。
好ましくは、アミンは水に可溶の化合物であるべきである。かかるアミンの例は、モノールおよびジアミン、たとえばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン等である。同様に、アルカノールアミン、たとえばメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等も適当である。さらに、ジアルキルアミノアルキルアミン、たとえばジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等が適当である。ケチミン基含有アミン、たとえばジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミンを使用することもできる。たいていの場合、低分子アミンが使用されるが、高分子モノアミンを適用することも可能である。
アミンはなお他の基を含有することもできるが、これらの基はアミンとエポキシ基の反応を妨げてはならず、また反応混合物のゲル化を生じてはならない。
好ましくは、(β)−成分として第二級アミンが使用される。
水希釈可能性および電気析離に必要な電荷は、水溶性酸(たとえばホウ酸、ギ酸、乳酸、好ましくは酢酸)を用いるプロトン化によって形成することができる。カチオン基を導入する別の方法は、成分(α)のエポキシ基とアミン塩との反応である。
本発明による電気浸漬塗料に含有されている陰極析離しうる合成樹脂は、通例自己架橋性でありおよび/または架橋剤または架橋剤からなる混合物と組み合わされる。
自己架橋性の合成樹脂は、合成樹脂分子中に、焼付け条件下に互いに反応する反応性基を導入することによって得られる。たとえば、ヒドロキシル−および/またはアミノ基含有合成樹脂中に、焼付け条件下に脱ブロックされ、架橋された塗膜の形成下にヒドロキシル基ないしはアミノ基と反応するブロックトイソシアネート基を導入することができる。自己架橋性合成樹脂は、たとえばヒドロキシル−および/またはアミノ基含有合成樹脂を、統計的平均で1分子あたり1個の遊離NCO基を含有する部分ブロックポリイソシアネートと反応させることによって得ることができる。
本発明による電気浸漬塗料は、原則的に電気浸漬塗料に適当なすべての架橋剤、たとえばフェノールプラスト、多官能性マンニッヒ塩基、メラミン酸、ベンゾグアナミン樹脂、ブロックトポリイソシアネートおよび活性化エステル基含有化合物を含有しうる。本発明による電気浸漬塗料は、架橋剤としてとくにブロックトポリイソシアネートを含有する。陰極析離しうる合成樹脂を含有する電気浸漬塗料中にブロックトポリイソシアネートを使用することは、既に久しく公知であり、なかんずく上記に引用した特許明細書に詳細に記載されている。適当なブロックトポリイソシアネートは、たとえば下記に記載した成分(a)を下記に記載した成分(d)とNCO基不含生成物に反応させることによって製造することができる。
本発明による電気浸漬塗料が、
(a)ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートからなる混合物を
(b)1分子あたり少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個の活性水素原子を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物および
(c)1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基および/または少なくとも1個のアルドイミン基を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物ならびに場合により
(d)(b)および(c)と異なる、1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物と
成分(a)のNCO基3〜80%、とくに5から40%が成分(b)と反応し、成分(a)のNCO基3から80%、とくに3〜15%が成分(c)と反応し、かつ成分(a)のNCO基0〜94%、とくに45〜92%が成分(d)と反応するような量比で反応させ、こうして得られた反応生成物を水に分散させ、ラジカル重合させ、その際分散の前、間または後に反応生成物中に含有されている第三および/または第一級アミノ基の少なくとも5%、とくに少なくとも10%をブレンステッド酸で中和することにより製造できるポリマー微小粒子を含有することが発明の要旨である。
成分(a),(b)(c)および場合により(d)の反応は、塊状でならびに有機溶媒、たとえば炭化水素、たとえばトルオールまたはキシロール、ケトン、たとえばメチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン、またはエーテル、たとえばジオキサンおよびエチレングリコールジブチルエーテル中で実施することができる。反応は、とくに有機溶媒中で実施される。反応温度は、通常30〜150℃、とくに40〜100℃である。反応は接触することもできる。適当な触媒の例としては、有機スズ化合物、たとえばジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズオキシドが挙げられる。反応は、とくに重合開始剤、たとえばジ−tert.−ブチルクレゾール、ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート](Ciba.Geigy社のIruganox1010)またはp−ベンゾキノンの存在で実施される。
成分(a),(b),(c)および場合により(d)が相互に反応すべき量比を、成分(a)のNCO基の3〜80%、とくに5〜40%が成分(b)と反応し、成分(a)のNCO基の3〜80%、とくに3〜15%が成分(c)と反応し、かつ成分(a)のNCO基の0〜94%、とくに45〜92%が成分(d)と反応するように選択するのは、当業者には化学量論的計算により容易に可能である。多くの場合に、成分(a),(b),(c)および場合により(d)を段階的に反応させるのが有利である。
成分(a),(b),(c)および場合により(d)の反応後、得られた反応生成物を水に分散させ、引き続きラジカル重合させる。安定な水分散液を得るためには、分散の前、間または後に、反応生成物中に含有されている第三および/または第一級アミノ基の少なくとも5%、とくに少なくとも10%がブレンステッド酸で中和されるような量のブレンステッド酸またはブレンステッド酸からなる混合物を反応生成物に加える。第一級アミノ基は、ケチミン基および/またはアルドイミン基の加水分解によって生じる。ブレンステッド酸としては、たとえば酢酸、シュウ酸、酒石酸またはこれらブレンステッド酸からなる混合物を使用することができる。
反応生成物は、一般に0.1〜2.3mモル/g,とくに0.2〜0.8mモル/g(個体に対して)のカチオン基を、プロトン化第三および/または第一級アミノ基の形で含有する。
反応生成物のラジカル重合は、ラジカル生成重合開始剤またはラジカル生成重合開始剤からなる混合物の添加によって行われる。ラジカル生成重合開始剤は、たとえば放射線によるエネルギーの供給または熱エネルギーの供給後(つまり加熱による)ラジカルに崩壊し、成分(b)により反応生成物中に導入されたエチレン性不飽和二重結合の重合を開始する化合物である。さらに、レドックス系を使用することもできる。ラジカル生成重合開始剤ないしはラジカル生成重合開始剤からなる混合物を反応生成物に添加する時点は、応生成物のラジカル重合が、水に反応生成物を分散させた後にはじめて行われるように選択される。ラジカル生成重合開始剤としたはとくに、熱エネルギーの供給によりラジカルに崩壊するラジカル生成重合開始剤が使用される。殊に好ましくは、50℃の温度からラジカルを生成するラジカル生成重合開始剤が使用される。
ラジカル生成重合開始剤としては、たとえばアゾ化合物、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、ペル化合物、たとえばジラウロイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシジカルボネート、tert.ーペルオキシジエチルアセテートおよびジベンゾイルペルオキシドおよびレドックス系、たとえば過酸化水素またはペルオキシ二硫酸カリウムを硫酸鉄(II)および亜硫酸ナトリウムと組み合わせて、使用される。
成分(a)としては原則的には、統計的平均で1分子あたり少なくとも1.1個のNCO基を含有する各有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物を使用することができる。成分(a)としてはとくに、統計的平均で1分子あたり1.1〜3.0個のNCO基を含有するポリイソシアネートまたはかかるポリイソシアネートからなる混合物が使用される。成分(a)としては、脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート、これらポリイソシアネートから製造されるシアヌレート基および/またはビウレット基含有付加生成物ならびにこれらのポリイソシアネートおよびヒドロキシル基および/またはアミノ基含有低分子−または高分子化合物(たとえばトリメチロールプロパン、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール)から製造されるNCO基含有プレポリマーを使用することができる。使用しうるポリイソシアネートの例としては次のものが挙げられる:2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−および2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート。カルボジイミド−ないしはウレトンイミン基含有ポリイソシアネートも成分(a)として使用することができる・
成分(b)として、原則的には、1分子あたり少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個の活性水素原子を含有する各有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物を使用することができる。活性水素原子とは、NCO基と反応する水素原子を表わす。成分(b)としては、たとえば1分子あたり1個のエチレン性不飽和二重結合ならびにヒドロキシル−、アミノ−またはメルカプト基を含有する有機化合物を使用することができる。
成分(b)として、好ましくはヒドロキシル−またはメルカプト基、とくにヒドロキシル基を含有する、アクリル酸またはメタクリル酸の誘導体またはかかるアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体からなる混合物が使用される。使用しうるアクリル−またはメタクリル酸誘導体の例としては次のものが挙げられる:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートおよび1〜50、とくに1〜8、殊に好ましくは1〜3個のアルキレンオキシド単位を含有するこれらのエトキシル化またはプロポキシル化誘導体。成分(b)として、殊に好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルまたはアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルからなる混合物が使用される。ヒドロキシアルキルエステルは、通例アルコール基中に1〜6、とくに2〜4個のC原子を有する。殊に好ましく使用されるヒドロキシアルキルエステルの例としては次のものが挙げられる:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび4−ヒドロキシブチルメタクリレート。
成分(c)として、原則的には、1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基および/または少なくとも1個のケチミン−および/または少なくとも1個のアルドイミン基を含有する各有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物を使用することができる。活性水素原子とは、NCO基と反応する水素原子を表わす。ケチミン−またはアルドイミン基を含有する化合物は、1個のNCO基に対する活性水素原子ならびに少なくとも1個の第一級アミノ基を分子中に含有する化合物を、ケトン、たとえばアセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトンまたはアルデヒドを、とくに有機溶媒、たとえばキシロール、トルオールまたはn−ヘキサン中で反応させることによって得られる。反応は、通常高めた温度で実施され、その際反応水は共沸蒸留により除去される。
成分(c)としては、たとえば1分子あたり1個のヒドロキシル−、アミノ−またはメルカプト基ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基および/または少なくとも1個のケチミン−および/または少なくとも1個のアルドイミン基を含有する有機化合物を使用することができる。この場合、1分子あたり1個のヒドロキシル−、第一級アミノ−または第二級アミノ基ならびに第三級アミノ基またはケチミン基を含有する化合物が好まれる。このような化合物の例としては次のものがあげられる:N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ブチルエチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチル−メルカプタン、N,N−ジエチルアミノエチルメルカプタンおよびアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジヒドロイソホロンまたはイソホロンとβ−アミノエタノール、β−アミノメルカプタン、2,2′−アミノエトキシエタノール、N−アミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンおよびジブチレントリアミンからの反応生成物。
成分(c)としては、ことに好ましくは一般式A−R3−X(I)の化合物が使用され、式中Aは一般式R1R2N−またはR1R2C=N−の基を表わし、R3は1〜20、とくに2〜6、殊に好ましくは2〜4個のC原子を有するアルキレン基または一般式−R4−O−R5−の基を表わし、かつXはヒドロキシル基、第一級アミノ基を表わすかまたは一般式−NH−R6の基を表わし、ここでR1およびR2は同じかまたは異なっていてもよく、それぞれ1〜20、とくに1〜6個のC原子を有する炭化水素基、殊に好ましくはそれぞれ1〜6、とくに1〜4個のC原子を有するアルキル基を表わし、R4およびR5は同じかまたはことなっていてもよく、それぞれ1〜12、とくに1から6、殊に好ましくは1から4個のC原子を有するアルキレン基を表わし、R6は1〜20、とくに1〜6個のC原子を有する炭化水素基、殊に好ましくは1〜6、とくに1〜4個のC原子を有するアルキル基または一般式−R3−Aの基を表わし、ここでAおよびR3は上記の意味を有する。一般式(I)の化合物の例としては次のものが挙げられる:N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ブチルエチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、およびアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジヒドロイソホロンまたはイソホロンとβ−アミノエタノール、2,2′−アミノエトキシエタノール、N−アミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミンおよびジプロピレントリアミンとからの反応生成物。
成分(d)としては、原則的に(b)および(c)と異なる、1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物を使用することができる。成分(d)としてはとくに良好に、ポリイソシアネートのブロッキング剤が使用される。例としてはつぎのものが挙げられる:アルカンジオール、たとえばエチル−、プロピル−およびブチルグリコールの脂肪族モノエーテル;分子中に1〜4個のC原子を有する脂肪族モノアルコール、たとえばメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール;シクロヘキサノールのような脂環式モノアルコール;フェニルカルビノールのような芳香族アルキルアルコール;フェノール自体および置換フェノール、たとえばクレゾール、ニトロフェノール、クロルフェノールおよびエチルフェノールのようなフェノール化合物;アミン、たとえばジ−N−ブチルアミン、ジ−sec.−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、2−メチルピペリジンおよび2,6−ジメチルピペリジン;オキシム、たとえばアセトンオキシム、ブタノンオキシム、ジエチルケトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジイソプロピルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、2−メチルシクロヘキサノンオキシム、、2,6−メチルシクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム;ε−カプロラクタムのようなラクタムおよびCH−酸化合物、たとえばジアルキルマロネートアルキルアセトアセテート、、アセチルアセトン;フルフリルアルコールのような複素環式化合物等。成分(d)としては、ポリオール、とくに、1分子あたり2〜20、とくに2〜10個のC原子および2〜5、とくに2〜3個のヒドロキシル基を含有する脂肪族ポリオール、たとえばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グルセリン、およびトリメチロールプロパンを使用することもできる。成分(d)としては、さらにヒドロキシル基含有ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドおよびそのコポリマーを使用することができる。
本発明による水性電気浸漬塗料は、上記の成分のほかに、なお他の慣用の塗料成分、たとえば有機溶剤、顔料、充填剤、湿潤剤、クレータ防止剤等を含有することができる。
本発明による電気浸漬塗料の固形分は、一般に5〜40、とくに10〜40、殊に好ましくは20〜40重量%である。
本発明による電気浸漬塗料の不揮発成分は、35〜70、とくに35〜65重量%が陰極析離しうる合成樹脂または陰極析離しうる合成樹脂の混合物からなり、0〜45、とくに10〜35重量%が本発明により使用されるポリマー微小粒子と異なる架橋剤または本発明により使用されるポリマー微小粒子と異なる架橋剤の混合物からなり、5〜45、とくに10〜20重量が本発明によりポリマー微小粒子からなりならびに5〜35、とくに15〜35重量%が顔料および/または充填剤からなる。
本発明による電気浸漬塗料は、導電性基板を塗装するために使用され、この場合
(1)導電性基板を水性電気浸漬塗料中に浸漬し、
(2)基板を陰極として接続し、
(3)直流により基板上に皮膜を析離させ、
(4)塗装された基板を電気浸漬塗料から取り出しかつ
(5)析離した塗膜を焼付ける。
上記の方法は公知であり、既に数年来大規模に使用されている(上記に引用した特許明細書参照)。印加される電圧は大きい範囲内で変動することができ、たとえば2〜1000Vであってもよい。しかし、代表的には50〜500Vの間の電圧で作業される。電流密度は、通例約10〜100A/m2の間である。析離の経過中に電流密度は低下する。基板上に塗膜が析離したら直ちに、塗装された基板を電気浸漬塗料から取り出し、洗い流す。その後、析離した塗膜を焼付ける。焼付け温度は通常130〜200℃、とくに150〜180℃であり、焼付け時間は一般に10〜60minの間、とくに15〜30minの間である。
上記の方法を用いると、原則的にはすべての導電性基板を塗装することができる。導電性基板の例としては、金属、たとえば鋼、アルミニウム、銅等が挙げられる。
本発明を次ぎの例で詳細に説明する。部およびパーセントに関するすべての記載は、明瞭に別記しない限り重量値である。
1.架橋剤の製造
1.1架橋剤I
撹拌機、還流冷却器、内部温度計および不活性ガス導管を備えた反応器中に、135のNCO当量を有する4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを基礎とする高官能性の異性体オリゴマー(Lupranat登録商標M20S,BASF社;NCO官能価約2.7;2,2′−および2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの含量5%以下)1046gを窒素雰囲気下に装入する。ジブチルスズジラウレート2gを加え、ブチルジグリコール963gを、生成物温度が60℃以下にとどまるような速度で滴加する。場合により冷却しなければならない。添加終了後、温度をさらに60min,60℃に保ち、1120のNCO当量が測定される(図形分に対して)。メチルイソブチルケトン774gに溶解し、ジブチルスズジラウレート3gを添加した後、溶融したトリメチロールプロパン87gを、100℃の生成物温度を上回らないような速度で添加する。添加終了後、さらに60min後反応させる。次の制御の際に、NCO基はもはや検出できない。65℃に冷却し、同時にsec−ブタノール96gおよびメチルイソブチルケトン30gで希釈する。固形分は70.1%である(130℃で1h).
1.2架橋剤II
上記の例に記載したような反応器中に、窒素雰囲気下に191のNCO当量を有する産量体化ヘキサメチレンジイソシアネート(“Basonat登録商標PLR8638",BASF社)1464gおよびメチルイソブチルケトン510gを撹拌下に50℃に加熱する。そこで、4hの間ジ−n−ブチルアミン936gを滴加する。その際、温度を冷却により55℃以下に保つ。架橋剤溶液を引き続き冷却し、n−ブタノール90gで希釈する。引き続く制御の際に、NCO基はもはや検出できない。固形分は79.8%である(130℃で1h測定)。
2.陰極析離しうる合成樹脂および架橋剤からなる混合物を含有する水分散液の製造
反応器中で、188のエポキシ当量(EEW)を有するビスフェノールAを基礎とするエポキシ樹脂1228部をビスフェノールA279部、ドデシルフェノール268部およびキシロール89部と一緒に窒素雰囲気下105℃に加熱する。水分離器を用いて、真空中での共沸還流蒸留によって水痕跡量を20min除去する。引き続き、130℃に加熱し、N,N−ジメチルベンジルアミン5部を加える。反応バッチを、EEWが870の値に達するまでこの温度に保つ。そこで、ブチルグリコール39部、sec−ブタノール204部および115℃以下に冷却した後、ジエタノールアミン139部を加え、さらに90℃に冷却する。アミン添加から1時間後に、プラスチライト(Plastilit3060(プロピレングリコール化合物、BASF社)192部を加え、sec−ブタノール144部およびプロピレングリコールフェニルエーテル55部で希釈し、同時に65℃に急速に冷却する。その後、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン39部を加え、この温度を半時間保ち、引き続き90℃に加熱する。この温度を1.5時間保つ。次いで、70℃に冷却する。反応混合物に、架橋剤I(1.1項)743部および架橋剤II(1.2項)650部を添加し、10min均質化し、分散容器に移す。ここで、少量ずつ撹拌下に乳酸(水中88%)107部を脱イオン水2203部に加える。引き続き、20min均質化し、その後に脱イオン水さらに3593部で少量ずつさらに希釈する。
真空中での蒸留により、揮発性溶剤を除去し、引き続き脱イオン水により等量置換する。分散液は次の特数を有する:
固形分:32%(130℃で1時間)
塩基含量:0.66ミリ等量/g固体
酸含量:0.25ミリ等量・g固体
pH:6.1
3.灰色顔料ペーストの製造
ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル2781部、キシロール144部およびビスフェノール−A−581部を、トリフェニルホスフィン0.2部の存在で、150〜160℃で345のEEWになるまで反応させる。次に、バッチをブチルグリコール2161部で希釈し、49℃に冷却する。次いで、9−アミノ−3,6−ジオキサノナン−1−オール777部およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン407部からなる混合物を6min内に添加し、その後温度を110℃に上げる。混合物を1時間110〜115℃の間に保ち、それからブチルグリコール645部を添加し、バッチを77℃に冷却する。引き続き、ノニルフェノールグリシドエーテル149部を添加する。その後、温度を90℃に上げ、そこに1時間保ち、その後ブチルグリコール1003部で希釈し、冷却する。希液状の樹脂溶液の固形分は60%である。
顔料ペーストの製造のために、まず水280部および上記の樹脂溶液250部を予備混合する。そこで、カーボン5部、塩基性鉛顔料35部、エキステンダーHEWP1)90部、二酸化チタン(R900)315部、ベントン(Bentone EW2)5部およびジブチルスズオキシド20部を添加する。混合物を30min間高速回転のデイゾルバー撹拌機下に予備分散させる。引き続き、混合物を実験室用小型ミル(Motor Mini Mill,Eiger Engineering Ltd.,イギリス)中で1〜1.5h、12≧のヘグマン微細度(Hegmann−Feinheit)にまで分散させ、さらに水で作業粘度に調節する。
混合分離安定の顔料ペーストが得られる。
1)English Chaina Clay Int.,イギリス
2)Rheox,ドイツ
4.本発明により使用されるポリマー微少粒子を含有する水分散液の製造
4.1 分散液Iの製造
撹拌機、還流冷却器、内部温度計および不活性ガス導管を備えている反応器中に、トルイレンジイソシアネート(2,4−異性体約80重量%および2,6−異性体20重量%からなる混合物)1021gおよびメチルイソブチルケトン180gを窒素雰囲気下に装入する。ジブチルスズジラウレート0.4gを加え、1時間内にメチルイソブチルケトン254g中のトリメチロールプロパン254gの70℃に調温した溶液を注入する。温度が60℃を上回らないように冷却を調節する。
添加終了から30min後に、固体に対して、217のNCO当量が測定される。さらに冷却下に、n−プロピルグリコール102gを20min内に滴加し、その際温度上昇を55℃に制限する。引き続き、反応混合物を40℃に冷却する。反応器内容物に、予めジ−tert.−ブチル−p−クレゾール0.4gを溶解したヒドロキシプロピルメタクリレート564gを滴加する。添加速度を、反応混合物の温度が50℃を上回らないように制御する。添加終了後(約1時間後)、バッチを50℃に保ち、固形分に対して、1670のNCO当量が測定される。メチルイソブチルケトン433gを添加すると同時に35℃に冷却した後、反応混合物にN,N−ジエチルエタノールアミン115gを少量ずつ加える。30min後、sec.−ブタノール20g中のジ−tert.−ブチル−p−クレゾールさらに0.6gを添加する。NCO基がもはや検出することができなくなったら直ちに、反応混合物に、予めメチルイソブチルケトン39gに溶解したアゾビスイソバレロニトリル16gを加える。こうして得られた有機溶液1309部に、分散容器中で乳酸35部(水中88%)を含有する脱イオン水492部を加える。引き続き、20min間均質化し、脱イオン水995部で撹拌下に希釈し、70℃に加熱し、この温度で10時間撹拌する。こうして得られた分散液は、32.2%の固形分を有する(1h,130℃)。
4.2 分散液II
4.2.1 1分子あたり1個の活性水素原子ならびに1個のケチミン基を含有する有機化合物の製造
撹拌機、不活性ガス導管、水分離器および還流冷却器を備える反応器中で、2,2′−アミノエトキシエタノール(H2N−CH2CH2−O−CH2CH2−OH)1100gおよびメチルイソブチルケトン1886gを装入し、窒素雰囲気中で撹拌下に徐々に加熱する。109℃から、縮合水が分離する。温度を短いステップで3h内に142℃にまで上げ、水189gが分離するまでこの温度に保つ。引き続き、40℃に冷却し、窒素下に排出する。
冷却した溶液は、265のアミン当量を有する。
4.2.2 分散液IIの製造
撹拌機、還流冷却器、内部温度計および不活性ガス導管を備えた反応器中に、トルイレンジイソシアネート(2,4−異性体約80重量%および2,6−異性体20重量%からなる混合物)992gおよびメチルイソブチルケトン175gを窒素雰囲気下に装入する。ジブチルスズジラウレート0.4gを加え、メチルイソブチルケトン247g中のトリメチロールプロパン247gの70℃に調温した溶液を1時間内に注入する。温度が60℃を上回らないように冷却を制御する。
添加終了から30min後に、208のNCO当量(固体に対して)が測定される。さらに冷却下に、20min内にn−プロピルグリコール119gを滴加し、その際温度上昇を55℃に制限する。引き続き、反応混合物を40℃に冷却する。反応器内容物に、予めジ−tert.−ブチル−p−クレゾール0.4gを溶解したヒドロキシプロピルメタクリレート548gを滴加する。添加の速度を、反応混合物の温度が50℃を上回らないように制御する。添加終了後(約1h後)、バッチをさらに50℃に保ち、固形分に対して、2015のNCO当量が測定される。メチルイソブチルケトン420gを添加すると同時に35℃に冷却した後、反応混合物に、4.2.1項に記載した2,2′−アミノエトキシエタノールおよびメチルイソブチルケトンからなる反応生成物178gを少量ずつ加える。30min後に、sec−ブタノール19g中のジ−tert.−ブチル−p−クレゾールさらに0.6gを添加する。NCO基がもはや検出できなくなったら直ちに、反応混合物に、予めメチルイソブチルケトン38gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル16gを加える。こうして得られた有機溶液2142部に、分散容器中で、乳酸(水中88%)57部を含有する脱イオン水1718部を加える。引き続き、ブチルグリコール25部を添加し、20min間均質化する。混合物を、脱イオン水さらに3488部で撹拌下にさらに希釈し、70℃に加熱し、この温度で10時間撹拌する。こうして得られた分散液は、20.4%の固形分(1h.130℃)を有する。
5.本発明による電気浸漬塗料の製造および析離
5.1 電気浸漬塗料(I)
2.項による分散液2078部および4.1項による分散液516部を混合し、脱イオン水1500部ならびに10%の乳酸水溶液25部で希釈する。こうして生じた混合物に、撹拌下に3.項による顔料ペースト646部を添加する。こうして得られた電気浸漬塗料を、脱イオン水で5000部にする。室温で5日熟成後、陰極接続した鋼試験パネル上に析離させる。その際、析離電圧は300V,析離時間は2minであり、浴温は30℃に調節する。析離した塗膜を脱イオン水で洗い流し、165℃で20min間焼付ける。こうして得られる焼付けられた塗膜を試験する。試験結果は表1から認めることができる。
5.2 電気浸漬塗料(II)
2.項による分散液2078部および4.2項による分散液815部を混合し、脱イオン水1300部ならびに10%の乳酸水溶液25部で希釈する。こうして生じた混合物に、3.項による顔料ペースト646部を撹拌下に添加する。こうして得られた電気浸漬塗料を、脱イオン水で5000部にする。室温で5日熟成した後、陰極接続した鋼試験パネル上に析離させる。その際、析離電圧は300Vであり、析離時間は2minでありかつ浴温は30℃に調節する。析離した塗膜を脱イオン水で洗い流し、165℃で20min間焼付ける。こうして得られる焼付けられた塗膜を試験した。試験結果は表1から認めることができる。
6.先行技術の電気浸漬塗料(電気浸漬塗料(III)の製造および析離(比較例)
2.項による分散液2598部を、脱イオン水1500部ならびに10%の乳酸水溶液25部で希釈する。こうして生じた混合物に、3.項による顔料ペースト646部を撹拌下に添加する。こうして得られた電気浸漬塗料を、脱イオン水で5000部にする。室温で5日熟成した後、陰極接続した鋼試験パネル上に析離させる。その際、析離電圧は300Vであり、析離時間は2minであり、浴温は30℃に調節する。析離した塗膜を、脱イオン水で洗い流し、165℃で20min間焼付ける。こうして得られる焼付けられた塗膜を試験した。試験結果は表1から認めることができる。
1)0=最良値;5=最悪値
2)この数値は、被覆された縁に50から1000Vの電圧を印加し、電流に対する絶縁作用を測定することにより決定する。電気品質係数が高いほど、絶縁作用はますます高くなる。絶縁作用が高いほど、縁は電気浸漬塗料でますます良好に被覆されている。
3)数値が高いほど、砂磨耗に対する塗膜の抵抗力はますます高くなる。
Claims (2)
- 陰極析離しうる合成樹脂を含有する水性電気浸漬塗料において、該塗料が0.01から10μmの粒度を有するポリマー微小粒子を含有し、該粒子は
(a)ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートからなる混合物を、
(b)1分子あたり少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個の活性水素原子を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物および
(c)1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基および/または少なくとも1個のケチミン基および/または少なくとも1個のアルドイミン基を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物ならびに場合により
(d)(b)および(c)と異なる、1分子あたり少なくとも1個の活性水素原子を含有する有機化合物またはかかる有機化合物からなる混合物と、
成分(a)のNCO基3〜80%が成分(b)と反応し、成分(a)のNCO基の3〜80%が成分(c)と反応しかつ成分(a)のNCO基の0〜94%が成分(d)と反応するような量比で反応させ、こうして得られた反応生成物を水に分散させ、ラジカル重合させ、その際分散の前、間または後に反応生成物中に含有されている第三および/または第一級アミノ基の少なくとも5%をブレンステッド酸で中和することによって得られることを特徴とする陰極析離しうる合成樹脂を含有する水性電気浸漬塗料。 - 導電性基板を塗装するため、
(1)導電性基板を水性電気浸漬塗料中に浸漬し、
(2)基板を陰極として接続し、
(3)直流によって基板上に皮膜を析離させ、
(4)塗装された基板を電気浸漬塗料から取り出しかつ
(5)析離した塗膜を焼付ける方法において、方法の工程(1)において請求項1記載の電気浸漬塗料を使用することを特徴とする
導電性基板の塗装方法。
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