JP3634626B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトガラスの隅に原稿の読み取る画像面の角を突き当てて、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原稿を基準スケール等に突き当ててその読み取る画像面のコンタクトガラスに1辺に合わせて載置し、コンタクトガラスを通過する照明光の原稿からの反射で画像を読み取る形式の画像読取装置では、大きく分けて、シートを原稿台に載置し圧板で押さえて読み取る場合と、複数枚のシートを重ねてその角をステープラで止めた原稿を、読み取ろうとする面が出るように折り返して原稿台上に載置して読み取る場合と、本のように綴じられた原稿を開いて原稿台上に載置して読み取る場合とがある。第1のシート原稿の場合、読み取りに問題が生ずることがなく、第2のステープラで角を止めた原稿も枚数が多くなければ、角の1つが欠けるだけで、シート原稿と同様に原稿台に載置し、圧板で押さえて読み取ることができる。また、枚数が多いときにはその厚みのために、圧板で押さえても圧板が浮き上がってしまうので、圧板を使用せずに手で読み取る場合もある。何れの場合でも読み取る原稿の大きさは角の1つが欠けることを除けば、本来のシートの大きさのままであるから、原稿の画面の外側を読み取ってしまうことはない。しかし、第3の場合、本のように閉じられた原稿を開いて読み取る場合には、本の厚さ、綴じ方によって開き具合が異なるので、本のページを読み取る方向から見たページの長さは、完全に開いているときの長さに比べて短くなり、その長さは開き具合によって異なる。
【0003】
上記した第3場合に本の開き具合によって本のページ見開きの中央部の綴じた部分の近傍がコンタクトガラスから浮き上がり、その部分を読み取ったデータの背景が、原稿を照明する光源からの光を集光させる位置から離れるため暗くなってしまうことと、浮き上がってしまうため本のページを読み取る方向から見て長さが短くなるので、紙や本の定型サイズを基準として本のページのデータを読み取ると、定型サイズにより決まる位置までの読み取りを行うので、ページ外の本のページ重なり部分や本外の照明光が届かない部分が暗いデータとして入ってしまう。このような画像は、ディスプレイに表示したり、プリンとして見ると見開きの谷の部分や原稿周辺が黒くなって見苦しいものであった。
【0004】
この問題を軽減する技術として、特開平9−185227号公報には原稿圧板の反射濃度を原稿の地肌の反射濃度より濃くして、濃度の差から原稿の輪郭を検知し、原稿の厚さによって生ずる影を消去することが開示されている。
【0005】
また、特開平6−205194号公報には原稿台の上に見開き本を読み取る面を上にして2ページに跨がる辺を暗い色の板に突き当てて置き、上方から読み取る形式の読取装置であって、暗い色の板に突き当てた部分を読み取ったデータから本のエッジを検出し、その検出結果を使って本の先端と後端、ページの境界を求め、読取面の周囲に不必要な像が含まれないようにすることと、また読み取る面の湾曲による画像歪み補正することとが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の技術では原稿と原稿圧板との反射の濃度差から原稿の輪郭を検出するものなので、原稿が圧板に押さえられている必要があり、見開きの本のようにその厚さから圧板できちっと押さえられない原稿に適用できないという問題があった。
【0007】
また、後者の技術では原稿から離れた位置から照明をするので、原稿の近傍に光源を置いて照明するものと比べれば、見開き製本原稿のページ間に形成される谷の部分も十分に照明され、谷の部分を読み取った画像データの背景が他の背景と比べて暗くなることはない。よって、この技術では上記のような課題自体が起こりにくいものであった。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、本等の見開き製本原稿における中央綴じ部や本外の黒なる部分を自動的に処理して良好な画像データが得られる画像読取装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、コンタクトガラスの隅に原稿の読み取る画像面の角を突き当てて、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿がそのエッジデータから見開き製本原稿か否かを判定する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、読み取った画像データのページの外側を白色にする手段とを有することを特徴としている。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、コンタクトガラスの隅に原稿の読み取る画像面の角を突き当てて、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、読み取る原稿が見開き製本原稿であることを設定する手段と、読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、読み取った画像データのページの外側を白色にする手段とを有することを特徴としている。
【0011】
さらにまた、上記の目的を達成するため、本発明は、コンタクトガラスの角に、読み取る画像面の角を一致させて載置された原稿を、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿がそのエッジデータから見開き製本原稿か否かを判定する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、前記ページ後端位置のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段と、前記ページ境界位置から前記ページ後端の位置までの画像を、ページ後端と出力画像の後端位置とが一致するように移動修正する手段とを有することを特徴としている。
【0012】
さらにまた、上記の目的を達成するため、本発明は、コンタクトガラスの隅に原稿の読み取る画像面の角を突き当てて、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿がそのエッジデータから見開き製本原稿か否かを判定する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、原稿の幅を検出する手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、前記ページ後端位置のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段と、前記ページ境界位置から前記ページ後端の位置までの画像を、ページ後端と出力画像の後端位置とが一致するように移動修正する手段とを有することを特徴としている。
【0013】
なお、本発明は、前記原稿のエッジデータから原稿のコンタクトガラスからの浮き上がり量を検出し、浮き上がりによる画像の歪みを修正する手段を具備すると、効果的である。
【0014】
さらに、本発明は、前記見開き製本原稿の境界を求める手段は、検出したエッジデータの最も深い位置をページ境界と判定すると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記見開き製本原稿の境界を求める手段は、検出できていたエッジができなくなった位置と検出できなくなったエッジが検出できるようになった位置とを結ぶ直線の中央をページ境界と判定すると、効果的である。
【0015】
さらにまた、本発明は、前記ページの後端の位置を求める手段が、エッジデータから求めた前記見開き製本原稿の浮き上がり量のプロファイルからページ境界までの距離を求め、ページ境界以降のプロファイルから求めた距離が前記先端からページ境界までの距離と同じになる位置とすると、効果的である。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記ページの外側を白色にする手段は、後端以降の画像データを白色に転換する手段を含むと、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記ページの外側を白色にする手段は、原稿の先端の所定幅における画像データを白色に転換する手段を含むと、効果的である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記ページの外側を白色にする手段は、突き当てエッジ側を検出する辺と対向する辺の側を読み取った画像データが原稿の背景が黒に変化する位置を求め、エッジの外側の画像データを白色に転換する手段を含むと、効果的である。
【0018】
さらにまた、本発明は、前記ページの外側を白色にする手段は、検出した突き当て側のエッジの外側における画像データを白色に転換する手段を含むと、効果的である。
【0019】
さらにまた、本発明は、前記ページの後端の位置と前記原稿の幅のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段は、原稿を突き当てる位置からページの後端位置までの長さを超える定型ページサイズのなかの最も小さいサイズの長さに対応する位置を出力画像の後端とすることと、効果的である。
【0020】
さらにまた、本発明は、前記ページの後端の位置と前記原稿の幅のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段は、原稿を突き当てる位置からページの後端位置までの長さに先エッジ及び後エッジを検出する手段の出力に検出不能領域の長さに基づく補正をした長さを超える定型ページサイズのなかの最も小さいサイズの長さに対応する位置を出力画像の後端とすると、効果的である。
【0021】
さらにまた、本発明は、前記ページ境界からページ後端までの画像をページ後端が出力画像の後端と一致するように移動することによって生じた空白部を白色に置き換える手段を含むと、効果的である。
【0022】
さらにまた、本発明は、前記見開きの製本原稿のページを2ページにつながった一つの画像データとして出力する手段と、2ページそれぞれを別の画像データとして出力する手段とを選択可能であると、効果的である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本発明に係る画像読取装置の一例を示す斜視図である。
【0024】
図1において、画像読取装置本体1の上面に原稿が載置されるコンタクトガラス2が設けられ、このコンタクトガラス2の左辺及び奥側の辺にはそれぞれ第1スケール3と第2スケール4とからなる原稿スケールが配設されている。このコンタクトガラス2上に載置する原稿は、上記原稿スケール3,4に突き当てて載置する。すなわち、本装置は左奥のコーナーが載置する原稿の基準コーナー6となっており、原稿は読み取る面を下にし、その端部を基準コーナー6に突き当てて載置する。そして、コンタクトガラス2の下方にはスリット露光の読み取り手段(図示せず)が配置されている。この画像読取装置は一般的な形態のものであって、デジタル複写機の場合、画像読取装置本体1の下側に画像形成部としてのプリンタが配置されている。
【0025】
図2は、製本原稿10を原稿スケール3,4に突き当てて原稿台上に載置した状態を示す断面図、そして図3はその本10を読み取ったと想定したときの画像データを示す説明図である。
【0026】
図2において、コンタクトガラス2上に載置された製本原稿10は見開き状態にしてそのページ先端11を第1スケール3に突き当て、そして見開きの2ページに共通してその先エッジ13を第2スケール4に突き当てている。なお、第2スケール4はコンタクトガラスに接する面を高濃度、例えば黒色となっている。また、図3における見開いた製本原稿10のデータにおいて、説明の便宜上、符号11をページ先端、12をページ後端、13を先エッジ、そして14を後エッジという。さらに、符号15は製本原稿10のページ境界位置を示している。
【0027】
上記フラットベットタイプの画像読取装置において、読み取る原稿が図4に示すように、シート原稿17の上に別のシート18を貼り付けて作ったものであるとき、読み取り画像データに貼り付けたシート18の両エッジ18aがなるべく現れないようにしたいという要求がある。この要求を満たすため、原稿を照明するランプを2本としたり、反射板を使って図4の貼り付けシート18の両エッジ18aに影ができないように工夫している。また、読み取る領域より小さいシート原稿17を読み取る場合も、図5に示すように、コンタクトガラス2上に置かれたシート17を圧板5で押さえた部分を読み取ることになり、この場合にも上記した貼り付けシート18を読み取る場合と同様に、シート17と圧板5でエッジ17aができる。このエッジ17aについてもなるべく読み取りデータに現れないようにしたいという要求があり、貼り付けシート18と同じ対応をしている。製本原稿を読み取る場合、図6に示すように、ページ後端12側の段差12aによってできる影、特に副走査方向に読み取りを行って最初に現れる影の出来方は上記エッジと同様で読み取りデータに現れないようにしてあるので、本のページの厚さ等により僅かに現われことがあるだけであるから、その画像のデータからページ後端12位置を検出することは困難である。
【0028】
このように、シート、本兼用のフラットベットタイプの読取装置では本のページ後端12位置を読み取りデータから検出することが難しい。そこで、本発明ではページ後端12の位置を次のように決定している。
【0029】
図2に示すようにして見開いた製本原稿10を読み取ると、図3の縦線Aより右側の部分の画像データが得られる。この得られた画像データは、先エッジ13と第2スケール4と間で、ページ境界位置15に山型状のページ山型形状20が現れる。このページ山型形状20は、製本原稿10のページ境界位置15がコンタクトガラス2から浮き上がることにより生ずるものであって、照明光が反射する物体から近くないため、当該部の画像データは暗いデータとなっている。
【0030】
この画像データから後に詳述するページ境界部認識手段により、ページ山型形状20の高さHを求める。この高さHを求めることによって、図2に示す読み取った本の見開きの2ページが構成する面を、主走査方向でかつコンタクトガラス2に垂直な面で切り取ったときの形状が求められる。この形状データから、先エッジ13のデータが最も深くなる位置に対応するコンタクトガラス2からの高さが最も高い位置をページ境界位置15とし、ページ先端11からページ境界位置15までの形状に沿った長さを求める。次に、ページ境界以降の形状データから形状に沿った長さは、ページ先端11からページ境界位置15までの形状に沿った長さに等しくなる副走査方向のアドレスを求め、このアドレス位置をページ後端12の位置とする。
【0031】
このようにしてページ後端12を検出でき、それによって画像データからページ後端12より副走査方向下流側のデータを白に変換することにより、ページ以外の余分なデータが含まない良好な画像データを得ることができる。
【0032】
また、主走査方向の後エッジ14についても本のページと背景の明るさの違いを使って求めることができ、求められた後エッジ14より主走査方向下流側のデータを白に変換することにより、ページ以外の余分なデータが含まない画像データを得ることができる。
【0033】
このようにして、主走査方向と副走査方向の両方に対してページ外のデータを白に変換することにより、ページ内の画像情報だけを含む読み取り画像を得ることができ、従って読み取り範囲より小さい製本原稿を読み取る場合にもページ外の情報を含まない画像データが得られる。
【0034】
ところで、読み取ろうとしている製本原稿10が厚く、ページが開きにくい綴じ方をしている場合は、見開き状態でコンタクトガラス2上に載置したとき、ページ境界がそのコンタクトガラス2から遠く離れ、原稿を照明する光も少なくなる。このとき、ページ境界部分は読み取り手段の焦点面からのずれが大きくなっているため、先エッジ13を検出できなくなる場合がある。次に、かかる状況において、ページ境界位置15を決定する方法について説明する。
【0035】
先エッジ13の位置を副走査の上流から順次求めて行くと、上記した原因でエッジのページ山型形状の検出が困難になる。このような場合、エッジの検出データはページ境界位置以外が滑らかであるはずなのに滑らかでなかったり、本来エッジがあるはずの範囲から逸脱したものになったりする。このような状況のとき、先エッジ13のページ山型形状は検出不能になったと判断とする。この状態になる前の最後のデータまでを有効なデータとする。また、ページ山型形状は検出できないと判断した後も検出のための演算を続けると、ページ山型形状の裾野部分に相当する滑らかなエッジが検出できるようになる。従って、先エッジ13の形状データは図7に示すように、副走査の上流から点13Cまで検出でき、そして検出不能の部分を介して点13Dから下流側が検出ができるるようになる。そこで、前半ページの検出できる最後点13Cのデータと後半ページの検出できる最初の点13Dのデータとを直線で結び、その中央をページ境界位置15とする。
【0036】
このようにして、中央をページ境界位置15が決定することができ、ページ境界位置15が決まれば、上記したように、ページ先端11からページ境界位置15までの形状に沿った長さを求め、この長さと等距離の位置を後半の形状データから定めてページ後端12の位置とする。
【0037】
ところで、製本原稿10を原稿スケール3,4に突き当てたとき、原稿スケール3,4の高さは通常本のページの厚さより高いため、図6に示すような階段状の先端を突き当てても読み取るページの先端がきちんとスケールに突き当たらないケースが多々起こり得る。そして、原稿スケール3,4に読み取るページの先端が突き当たらないと、そのページ段差が筋として画像データに含まれてしまうことがある。この問題に対処するため、本を読み取るモードが選択された場合、あるいは読み取った画像データから本を読み取ったことを検出した場合にはページ先端を突き当てた位置から数ミリ副走査方向に入り込んだ位置より上流側を白のデータに変換する。このことに対応してページ後端を決定した位置より、同様に数ミリのマージンをとって白のデータに変換するようにすると、画像データにページ後端の段差の筋データは入り込むことがなくなる。
【0038】
また、フラットベットタイプのスキャナーではシート原稿と製本原稿との何れかが読み取られるが、製本原稿の場合には上記したように、画像処理を行うため読み取った原稿がシートか本かを知る必要がある。このため、本実施形態の読取装置には原稿が本かシートかを判断する機能を持たせている。
【0039】
図8は、原稿が本かシートかを判断する部分の中心動作の概要を示すフローチャートである。
図8において、まず、読取装置に対して読み取り開始が指示されているかを判断し(8−b)、指示されていれば読み取りを開始する(8−c)。指示されていなければ、指示されるまで待機する。読み取りを開始すると、読み取った画像データから先エッジの検出を行う(8−d)。次に、上記で説明したように、エッジデータによって決定されるページ境界位置15あるかを判断する(8−e)。すなわち、ページ境界位置15はエッジの一番深いところが、または検出できていたエッジが検出できなくなった位置と検出できなかったエッジが検出できるように変化した位置を結ぶ直線の中点とし、この何れかが決定できた場合はページ境界があるとし、見開きの製本原稿を読み取っている判断する。しかし、エッジ検出ができるが副走査方向の全域にわたって位置の変化が小さく一様であるときなどはページ境界を決定できないのでシート原稿を読み取っていると判断する。そして、ページ境界があることから読み取った原稿が製本原稿であるときには製本原稿に対応したページ境界近傍の背景濃度変換や本の周囲の画像データを白に変換して出力する(8−f)。また、読み取った原稿がシート原稿と判断した場合には読み取ったシートの画像データを出力する(8−g)。
【0040】
このようにして制御すれば、ユーザは読み取る原稿がシートか本かを指定しなくともそれぞれに適した処理を自動的に行った画像が得られる。
また、読み取る原稿が見開きの製本原稿であることを設定する手段を設けてその手段の指令を受けて見開き製本と判断し読み取り処理を行うようにしてもよく、図9はかかる制御のフローチャートである。
【0041】
図9において、まず、読取装置に対して読み取り開始が指示されているかを判断し(9−b)、指示されていれば読み取りを開始する(9−c)。指示されていなければ、指示されるまで待機する。読み取りを行うと、次に原稿が製本原稿であるかの外部からの指令を見て、読み取る対象が見開き製本原稿か否かを判断する(9−d)。見開き製本であれば、読み取った画像データから先エッジの検出を行い(9−e)、そのエッジデータからページ境界位置15を決定し(9−f)、ページ境界近傍の背景濃度変換や本の周囲の画像データを白に変換する処理をして出力する(9−g)。また、読み取る原稿がシート原稿の場合には読み取ったシートの画像データを出力する(9−h)。
【0042】
このように制御すれば、シート原稿の場合、形状を決定する処理をしないので、読み取り速度を速めることができる。なお、原稿が見開きの製本原稿であることを設定する手段は操作パネル等に専用のスイッチ等を設け、ユーザがそのスイッチをオンすることで見開き製本原稿である外部からの指令としている。また、このスイッチ等の代わりに、原稿圧板を閉じているか否かで判断することができる。すなわち、原稿圧板が閉じていればシート原稿と判断し、開いていれば見開きの製本原稿10と判断することもできる。
【0043】
次に、本発明は製本原稿10を読み取った際の画像データに対して、ページ境界近傍の背景濃度変換を行うための濃度補正の制御方法について、図10のフローチャートに沿って説明する。スタート(10−a)からはじめる。
【0044】
ステップ10−c:地肌濃度を検出する範囲を決める
見開き製本原稿10は、綴じ部に影が発生し、原稿画像のライン毎に画像濃度が変化し、ページ地肌の濃度も変化していく。また、読み取り焦点面から離れた綴じ部では、そのページ端部が中央部よりも暗い画像になる。従って以下のように地肌濃度を検出する範囲を決める(10−c)。
【0045】
綴じ部方向を主走査ラインとする。主走査1ラインの濃度データを配列に読み込む。アドレスを指定すると画素濃度が分かる。ページ部が5mm入るような範囲でピークをサンプリングする。これは、見開き製本原稿の文字や絵柄に影響されず、正確なページ地肌の濃度の変化が検出される。
【0046】
境界位置から背景側に17画素(=約1mm)とページ側に80画素(=5mm)の範囲の白、黒ピークをサンプリングする。製本原稿10は綴じ部がコンタクトガラス2から浮いているためその境界線は直線と曲線の組み合わせになる。たとえば、コンタクトガラス2に接触している部分では、境界アドレスは100画素目、綴じ部で浮いている部分では150画素目のように変わる。そのための開始アドレスと終了アドレスは境界アドレスがラインごとに変わる。メモリの開始アドレスを0としたとき
開始アドレス=境界アドレス−17
終了アドレス=境界アドレス+80
とする。
【0047】
例えば、検出した境界アドレスが、あるAラインでは100画素目、あるBラインでは120画素目の場合には、
Aラインでは開始アドレス83画素目、終了アドレス180画素目
Bラインでは開始アドレス103画素目、終了アドレス200画素目
となる。
【0048】
ステップ10−d:白、黒ピークを範囲内で検出する
読み取りラインの見開き製本原稿のページ境界検出側のページ載置位置外の載置原稿スケールの下側の黒部から読み取り、そのスキャナの黒側のデータ範囲の最大値を検出して、濃度分布を参照する。その結果、読み取りスキャナによって画像の信号レベルの設定が異なる場合や、スキャナの個体差によって画像濃度レベルが異なる場合において、微妙な変化量である黒側の信号レベルにおいても、そのラインの濃度分布範囲が確実に把握される。従って以下のように白、黒ピークを範囲内で検出する。
【0049】
ステップ10−cで説明した範囲内で濃度分布は図11に示すようになっている。主走査ラインの濃度分布では図11のようにばらつきがある。境界を挟んで背景部側では黒のピークが、ページ部側では白ピークが検出される。たとえば、ページ部では黒ピークは濃度値で15、白ピークの濃度値は240であり、綴じ部では黒ピークは濃度値で15、白ピークの濃度値は180となる。濃度値の比較は背景側からページ部側に向って順次比較してより低い値、より高い値を保持していく。ページ部の境界Aと綴じ部の境界Bではアドレスが離れている。境界Aと境界Bでは白、黒ピークを検出する範囲は図のようにアドレス幅は同じであるが、そのアドレス位置は検出したページ境界位置によって異なる。
【0050】
ステップ10−e:深さ0〜20mm
ステップ10−f:乗算の基準比率=深さ(mm)/30
ステップ10−g:乗算の基準比率2/3
読み取り光学系の特性から製本原稿綴じ部がある深さ以上で焦点面から離れると、MTFの劣化と照度の低下により原稿の画像情報を保持しない。その部分も綴じ部深さに応じて乗算の基準を白側にして処理すると、影などのピントのぼけた中間調部のみがそのまま再現されることになる。
【0051】
製本原稿の画像濃度の補正はライン毎の画像データを綴じ部深さによる基準値より乗算し、綴じ部がある深さ以上は前記乗算の基準の比率を一定にして、画像が復元しない範囲の再現を抑制することを目的とする。従って以下のように乗算の基準比率を決める。
【0052】
検出した境界から求めた綴じ部の深さが20mmまでの場合は乗算の基準比率は深さ(mm)を30で割った値にする。20mmより大きい値であれば乗算の基準比率は一定値で2/3となる。
【0053】
例えば、深さ15mmでは乗算の基準比率は15/30=1/2となる。深さ25mmでは2/3となる。
ステップ10−h:乗算の基準値=(白ピーク−黒ピーク)×乗算の基準比率
製本原稿の画像濃度の補正はライン毎の画像データを乗算し、その画像データの濃度分布範囲に適した乗算の基準値により乗算処理を行い、綴じ部の深さにより乗算の基準を変化させることにより、綴じ部の形状による綴じ部影を除去しながら、忠実な濃度と文字の太さが再現される。従って以下のように乗算の基準を決める。
【0054】
乗算の基準値=(白ピーク−黒ピーク)×乗算の基準比率+黒ピーク
例えば、白ピークの濃度値が240、黒ピークの濃度値が15、乗算の基準比率は1/2のとき、乗算の基準値は(240−15)/2+15=128となる。また、乗算の基準比率は2/3、白ピーク180のとき(180−15)×2/3+15=125となる。これは深さが15mmでは乗算の基準値は128、深さが25mmでは乗算の基準値は125となる。
【0055】
ステップ10−i:白ピークが255になるように乗算倍率を定める
乗算の基準値より白側の画素を乗算倍率を掛けることでより白い濃度値に変更する。濃度値は各画素8bit、0から255の256階調レベルで、0は黒で255は白の最大値である。白のピークの濃度値を255変換する倍率が乗算倍率であり、以下に式を示す。
【0056】
乗算倍率=(255−乗算の基準値)/(白ピークの濃度値−乗算の基準値)
例えば、白ピークの濃度値が240、乗算の基準値が128のときは乗算倍率は(255−128)/(240−128)=1.13となる。綴じ部では白ピークは黒側によるので例えば、白ピークが180、乗算の基準値が125のときは乗算倍率は(255−125)/(180−125)=2.36となる。従って、綴じ部が深く画像影が濃いほど、乗算処理の倍率が大きくなる。
【0057】
ステップ10−j:対象画素濃度が乗算の基準値より白側である
ステップ10−k:対象画素濃度に乗算倍率を掛ける
対象画素濃度に乗算倍率を掛ける式を示す。
【0058】
濃度補正後の画素濃度=乗算の基準値+(対象画素濃度−乗算の基準値)×乗算倍率
たとえば、深さが15mmでは乗算の基準値は128で白ピーク240で乗算倍率は1.13では、ある画素Aの濃度値が100であれば100は128より小さいので濃度補正をせずに100のままとする。ある画素Bの濃度値が200であれば200は128より大きいので乗算倍率1.13を式に代入して128+(200−128)×1.13=209に濃度変換する。したがって、地肌濃度に近いデータのみ白側へシフトする。
【0059】
また、深さが25mmでは乗算の基準値は125で白ピーク180で乗算倍率は2.36ではある画素Cの濃度値が100であれば100は125より小さいので濃度補正をせずに100のままとする。ある画素Dの濃度値が150であれば150は125より大きいので乗算倍率2.36を式に代入して125+(150−125)×2.36=184に濃度を補正する。図12に乗算による濃度データ変換の模式図を示す。乗算の基準より上側にのみ均一に拡張され、階調の飛びが発生しない。
【0060】
ステップ10−m及び10−nはラインの最後の画素か、画像の最後の画素かの判断をしている。
このようにして、ページ境界の位置近傍の画像データにおける背景濃度を調整することができる。
【0061】
次に、本発明は製本原稿10を読み取った際の画像データに対して、図13に示すように、 綴じ部形状認識処理、 主走査方向復元処理、 副走査方向復元処理を含む綴じ部補正処理を行うものである。綴じ部形状認識処理は、コンタクトガラス2上にセットした製本原稿10の載置奥側の頁境界位置を読取装置の読み取り画像データから行う。この境界位置検出は、奥側の第2スケール4の黒色部から、又は原稿圧板5の開放状態による空間部の黒色部から読み取り、製本原稿10の頁の地肌である白色部を判別する。
【0062】
主走査方向復元処理は、製本原稿の頁が平面である頁部において頁境界が水平位置になるように画素補償演算により画像を主走査方向の一定位置にシフトする処理である。また、頁の湾曲した綴じ部では、画素補償演算により画像を伸長する。副走査方向復元処理は、頁部では処理せず、綴じ部で画素補償演算により画像を伸長する処理である。
【0063】
まず、綴じ部補正処理手段の綴じ部形状認識処理について詳しく説明すると、綴じ部補正処理手段の境界検出処理は次のA〜Gを適当に組み合わせて実現される。
A.主走査移動平均
綴じ部補正処理手段は、頁の境界判別に先立ち、読み取り画像データに対して主走査方向の複数画素、例えば8画素の移動平均処理を行うことにより、画像濃度のばらつきに対して正確な頁境界部の位置を算出する。移動平均処理は、その処理回路が簡易で、濃度分布を滑らかにする平滑化フィルタと同様な効果が得られる。
B.綴じ部補正処理手段は頁の境界のピーク濃度とアドレス(頁境界位置を示すメモリアドレス)を主走査方向の30画素から280画素の範囲で見つける。綴じ部補正処理手段は、主走査方向の30画素から280画素の範囲で読み取り画像データと閾値を比較し、頁の読み取りデータから頁境界部の位置を算出することにより、頁境界があり得ない余計な部分で頁境界の検出を行わず、頁境界部の位置を正確かつ速く算出する。
【0064】
綴じ部補正処理手段は、高濃度側の画素データと低濃度側の画素データの発生した範囲で頁境界位置を検出することにより、頁境界位置の誤検出を防止する。綴じ部補正処理手段が高濃度側の画素データの発生範囲、すなわち、空間部の終端から頁境界位置を検出することにより、コンタクトガラス2上にほこりなどのゴミや汚れがある場合に有効となる。また、綴じ部補正処理手段が低濃度側の画素データの発生範囲、すなわち、頁枠部から頁境界位置を検出することにより、頁に文字や絵柄がある場合に有効である。
C.適応しきい値
綴じ部補正処理手段は、製本原稿の頁境界の上又は下のラインと垂直な方向の読み取りラインの画像濃度データにおける高濃度側の画素データと低濃度側の画素データから各ライン毎の適応閾値を決定する。各ライン毎の適応閾値は、読み取りラインの画素濃度データにおける高濃度側の画素データと耐濃度側の画素データを1対2又はその近傍のデータを閾値とする。適応閾値を使うことで、製本原稿の綴じ部の浅い部分から深い部分まで頁境界位置を求めることができる。
D.7画素連続で境界画素
綴じ部補正処理手段は、閾値以上の画素がある複数画素、例えば7画素連続したら境界位置とすることにより、頁境界位置の誤検知を防止する。これは、コンタクトガラス2にほこりなどのゴミや汚れがあってスキャナ読み取り画像データののノイズ状の濃度ばらつきがある場合に特に有効である。
E.1/8精度
綴じ部補正処理手段は、閾値と交差する点の隣接画素の濃度データより濃度分布を直線補間して読み取り最小画素より小さい単位(例えば1/8画素)で頁境界位置を算出することにより、その境界位置データを使った画像のシフト、伸長処理を高画質で実現する。ここに、頁境界部の形状認識は、1画素の分解能では復元処理の画像が1画素(400dpiで16分の1ミリ)罫線のジャギー、文字のがたつきなどの画像劣化となって現われる。
F.境界アドレスの移動平均
綴じ部補正処理手段は、境界位置データの移動平均をとる。これは、境界位置データを副走査方向に平均化し、頁境界位置の配列のばらつきを抑制することができる。一般に、見開き頁の境界部の形状は急激な変化が無く、真の頁境界の形状と等しい境界の滑らかな境界配列が境界位置データの移動平均をとることで得られる。その結果をもとに歪の復元を行えば精度の良い復元画像が得られる。
G.綴じ部補正処理手段は、頁画像領域を検出したら、検出範囲を打ち切る。製本原稿の頁境界の上又は下のラインと垂直な方向の読み取りラインの画像濃度データにおける高濃度側の画素データと低濃度側の画素データの発生した範囲であって、頁画像領域を検出する以前の範囲で、頁境界位置を検出することにより、頁内の文字や絵柄による境界位置の誤検知を防止することができる。
【0065】
製本原稿の頁境界の上又は下のラインと垂直な方向の読み取りラインの画像濃度データにおける高濃度側の画素データのピークを検知し、そのピーク値から所定のレベル以上の低濃度側の画素データを検知し、その後に上記高濃度側の画素データのピーク値以上の画素を検知することで、頁画像領域と判定することにより、頁内の文字や絵柄で頁画像部と判定して境界位置を正しく検知することができる。
【0066】
図21は綴じ部補正処理手段の頁境界検出による綴じ部形状認識処理フローを示す。綴じ部補正処理手段は、読取装置からの読み取りデータが格納されている画像ファイル(フレームメモリ)から1ライン分の読み取り画像濃度データを配列に読み込み(2−a)、その主走査方向の8画素(注目画素と、その先の4画素、注目画素より後の3画素)の移動平均をとる(2−b)。この移動平均は図22に示すように注目画素Xを挟んで左側(前側)に4画素N1〜N4、右側(後側)に3画素N5〜N7の計8画素の濃度データの平均値を次式でとって注目画素の濃度データに置き換える。
【0067】
注目画素=(N1+N2+N3+N4+X+N5+N6+N7)/8
綴じ部補正処理手段は、これを読み込んだ1ライン分の濃度データに渡って行う。次に、綴じ部補正処理手段は、移動平均をとり終えた1ライン分の読み取り画像濃度データについて白ピーク(Dwp)と、黒ピーク(Dbp)と、これらの位置を順次に更新しながら探す(2−e〜2−g)。
【0068】
綴じ部補正処理手段は、図23に示すように280画素目の読み取り画像濃度データで白ピーク及び黒ピークの更新を打ち切り、白ピーク及び黒ピークの位置を保持する(2−d、2−g)。図24に示すように黒ピークを所定のレベル、例えばレベル10だけ白側へ上がった位置より右側に黒ピークがあり、この黒ピークは280画素より手前である。
【0069】
そこで、綴じ部補正処理手段は、保持している黒ピークがそれぞれレベル10だけ白側へ上がった位置より以前に格納した黒ピークと比較して小さい黒側の値になればその黒ピークを画像部であると判断して白ピーク及び黒ピークの更新を打ち切り、白ピーク及び黒ピークの位置を保持する(2−f、2−g)。次に、綴じ部補正処理手段は、ライン毎の適応閾値Lthを
Lth=1/3*(Dwp−Dbp)+Dbp
なる式で求める(2−h)。
【0070】
次に、綴じ部補正処理手段は、主走査方向の白ピーク(Dwp)が発生した画素位置と黒ピーク(Dbp)が発生した画素位置との間の区間で上記移動平均をとった1ライン分の濃度データを適応閾値Lthと比較し、図25に示すように適応閾値Lth以上の濃度データが7画素連続する最初の画素アドレスA1を求める(2−i)。なお、図25において、ibpは黒ピーク位置、iwpは白ピーク位置である。
【0071】
すなわち、綴じ部補正処理手段は、白ピーク(Dwp)と黒ピーク(Dbp)との間の範囲でその値を1:2に分ける中間値を閾値Lthとし、その先の6画素連続して閾値以上となる点を境界とする。綴じ部補正処理手段は、図26に示すように、上記画素アドレスA1とその左に隣接する画素との2つの画素の濃度データから直線補間して1/8画素精度で境界アドレスA2を求める(2−j)。
【0072】
綴じ部補正処理手段は、画像の全ラインで境界アドレスA2を上述のように求める(2−k)。次いで、綴じ部補正処理手段は、上述のように求めた境界アドレスA2について副走査方向の8ライン分(注目ラインの先の4ライン、注目ライン、注目ラインの後の3ライン)の移動平均をとリ、境界アドレスA3とする(2−l)。
【0073】
図22〜図26は主走査1ラインの境界アドレス近くの濃度をプロットしてあり、浅い平面部では背景の黒と頁地肌の白との濃度差が大きい。深い綴じ部では、背景の黒と頁地肌の白との濃度差が小さくなり、コンタクトガラス2から離れているために白が充分に読み取れないことがわかる。境界は平面の浅い場合に比ベて深い綴じ部では右側にずれている。これは、メモリ上で見開き製本原稿の読み取りデータの綴じ部が平面部に比べて縮小されて見えることに対応している。
【0074】
次に、綴じ部形状認識処理における製本原稿の直線と綴じ部との切り換え(検出)及び切り換え点検知範囲決定について説明する。
まず、切り換え点検知範囲決定について説明すると、読取装置の読み取り画像データは原稿部と背景部があり、その境界がある。この境界の分布が直線となる頁部と、境界の分布が曲線となる綴じ部がある。頁部と綴じ部との境目は切り換え点と呼ぶ。図15は切り換え点を探す範囲の限定を示す。綴じ部補正処理手段は読み取り処理手段による処理後の読み取り画像データを図15に示すようにフレームメモリに読み込み、その左上が画像の始まりで横方向が主走査方向、縦方向が副走査方向である。
【0075】
例えば左右頁の両端部などの段差部は読取装置においてコンタクトガラス2の読み取り焦点面から離れて綴じ部と同様に否んで投影されるため、その読み取り画像データを除外することにより正確に切り換え点を検知することができる。コンタクトガラス2上に載置されている製本原稿10の長さは予め原稿サイズ検知手段又は頁検出手段からなるサイズ検知手段により検知される。綴じ部補正処理手段は、原稿サイズ検知手段又は頁検出手段により検知された製本原稿10のサイズが例えば見開きA3サイズである場合には、図19に示すように製本原稿10の端部、例えば製本原稿の始端から500ライン目までの範囲と、製本原稿の終端から500ライン手前までの範囲では切り換え点を探さず、サイズ検知手段又は頁検出手段で検知された製本原稿のサイズより製本原稿の見開き頁の綴じ部位置を算出して該綴じ部位置の周辺における、上記範囲以外の範囲で切り換え点を探す。
【0076】
また、綴じ部補正処理手段が、算出した綴じ部の周辺の正しい位置で切り換え点を読み取り画像データから検知することにより、切り換え点検知範囲が正確で、切り換え点検知処理の稼動範囲が小さくなる。実際には、綴じ部補正処理手段は、製本原稿幅の中央を含む、その周辺の幅αの範囲で切り換え点を読み取り画像データから検知し、例えば製本原稿10のサイズが見開きA3サイズである場合には図19に示すように製本原稿10の端部を除く例えば2000〜4800ラインの範囲で読み取り画像データから切り換え点を検知し、製本原稿10のサイズが見開きA4サイズである場合には製本原稿10の端部を除く例えば1000〜3800ラインの範囲で読み取り画像データから切り換え点を検知する。
【0077】
また、綴じ部補正処理手段は、例えば製本原稿10が厚手の製本原稿であってその綴じ部が深い場合には綴じ部検知範囲(切り換え点検知範囲)を大きくとり、綴じ部が浅い場合には切り換え点検知範囲を狭くとる。これにより、製本原稿のサイズに応じた適切な切り換え点検知範囲が得られる。したがって、製本原稿の種類に対して必要な切り換え点検知範囲で、綴じ部検出処理が速く行われる。実際には、綴じ部補正処理手段は、βを製本原稿の綴じ部の最も深いラインの深さとすると、図16に示すように(β+2)×2cmの範囲を綴じ部検知範囲とし、読み取り画像データの深さに応じた幅の綴じ部検知範囲で切り替え点を読み取り画像データから検知する。
【0078】
本実施形態では例えば適応できる最大製本厚を7cmとしており、この場合は製本原稿10の見開き頁がコンタクトガラス2より離れる綴じ部部分の幅は7cm以下になる。したがって、綴じ部補正処理手段は、図17に示すように、その周囲各2cmまでの範囲を含む11cm幅の範囲で読み取り画像データから切り換え点を検知する。これにより、適応できる必要最小限の範囲で切り換え点が検知され、読み取り画像データによらずに一定の幅で読み取り画像データから切り替え点を検知する。
【0079】
綴じ部補正処理手段は、製本原稿の見開き頁中央部に位置する綴じ部領域に対して見開き左右頁で同等幅の綴じ部検知範囲を決定し、綴じ部検知処理上適したものとする。実際には、綴じ部補正処理手段は、図18に示すように見開き左右頁について一定幅α/2を有し全体としてαの幅を有する綴じ部検知範囲を決定し、読み取り画像データから切り換え点を検知する。
【0080】
次に、製本原稿の直線と綴じ部との切り換え(検出)について説明すると、この実施形態では、見開き製本原稿の綴じ部と頁部との画像処理を異ならせるために、頁の湾曲している綴じ部領域と平面部の頁領域とを分離してその切り換え点を検出する。
【0081】
綴じ部補正処理手段は、上述のように検出した頁境界位置の離れた2点の位置のデータから製本原稿の見開き左右頁の境界の直接部の傾き及び位置を算出する。したがって、綴じ部補正処理手段は、コンタクトガラス2上に載置した製本原稿10の平面部である頁部の載置状況、例えば頁境界の傾きから頁の回転度合であるスキュー量を見開き左右頁の境界の直線部の傾き及び位置から検出することができ、また、上記2点の位置のデータから直線上の境界を求める処理を演算で容易に行うことができる。
【0082】
綴じ部補正処理手段は、上述のように検出した頁境界位置の離れた2点の位置を、製本原稿10の見開き左右頁の対象とすることにより、一般的に見開き製本原稿の左右頁がほぼ対称であるため、見開き左右頁毎にその頁の境界の傾きからの頁のスキュー量を検出することができる。
【0083】
綴じ部補正処理手段は、上述のように検出した頁境界位置のデータから最小二乗法により頁の境界の直線部の傾き及び位置を算出することにより、検出した頁境界のサンプリング位置にばらつきがある場合でも正しく頁のスキュー量を検出することができる。
【0084】
綴じ部補正処理手段は、製本原稿の見開き頁の綴じ部領域を、上述のように検出した頁境界位置のデータより算出した頁境界の直線の延長線上から規定距離離れ、かつ、所定の範囲でそれ以上その延長線に近づかないことにより判別する。これにより、綴じ部領域の誤検知を抑制することができる。
【0085】
綴じ部補正処理手段は、上記頁境界の直線の延長線上からの規定距離を読み取り画素の複数画素分、例えば4画素分とすることにより、処理の少ない判別方法で画像歪みが起っている綴じ部領域を判別することができる。
【0086】
綴じ部補正処理手段は、見開き製本原稿の左右頁の2つの分離点の間の範囲で、上述のように検出した頁境界位置から得られる製本原稿の綴じ部深さの最も深い位置を、製本原稿の見開き左右頁の境界位置とする。
【0087】
綴じ部補正処理手段は、検出した綴じ部の頁境界位置データから頁境界の直線部の延長線上の位置のデータを差し引くことにより、真の頁歪み量を求める。これにより、本来の頁深さを算出し、綴じ部の画像復元精度を向上させることができる。
【0088】
図20は綴じ部補正処理手段の製本原稿の直線と綴じ部との切り換え(検出)・切り換え点検知範囲決定フローを示す。綴じ部補正処理手段は、上述のように検出した頁境界のアドレスA3から頁の境界分布が直線となる頁部の境界近似直線を求め、その直線から離れて曲線となる部分を綴じ部として認識して頁部より分割することにより製本原稿の形状を認識して頁部と綴じ部とで復元処理を切り換える。
【0089】
図20に示すように、綴じ部補正処理手段は、画像開始点(頁の端)から500画素目と2000画素目との2つの点(境界アドレスA3であって、その近くの複数の画素を含む8点の平均値)のアドレスデータから、その2点を結ぶ直線を頁部の境界としてその傾きを求める(1−a)。この場合、綴じ部補正処理手段は、頁部の境界の直線を境界アドレスA3から最小二乗法で求める。
【0090】
製本原稿の見開き左右頁の画像歪量を求めるための基準位置は切り換え点の境界アドレスであり、綴じ部補正処理手段は、見開き左右頁の基準位置を切り換える点を境界アドレスの最も大きい値の点(綴じ部中央)とし、最も大きい(深い)境界アドレスとそのラインを探す(1−b)。綴じ部補正処理手段は、上述のように限定したライン間(綴じ部検知範囲)で切り換え点を探す(1−c)。
【0091】
綴じ部補正処理手段は、上記のように求めた直線から複数画素、例えば4画素以上離れていることを条件として(1−d)、上記直線と境界アドレスA3とを比較して直線から曲線への仮の切り換え点を上述のように決める(1−e)。綴じ部補正処理手段は、上記直線と境界アドレスA3とが4画素以上離れていなけれぱ次のラインの境界アドレスA3と上記直線との比較に進む。綴じ部補正処理手段は、上記直線と境界アドレスA3とが4画素以上所定の範囲で近づかないかどうかを判断し(1−f)、例えば上記直線から4画素以上頁側に離れた境界アドレスA3を持つラインが複数ライン、例えば5ライン続くかどうかを判断し、上記直線と境界アドレスA3とが4画素以上所定の範囲で近づく場合(上記直線から4画素以上頁境界側に離れた境界アドレスA3を持つラインが5ライン続かない場合)には上記ステップ(1−h)に進む。
【0092】
綴じ部補正処理手段は、上記直線と境界アドレスA3とが4画素以上所定の範囲で近づかなくなれば(上記直線から4画素以上頁境界側に離れた境界アドレスA3を持つラインが5ライン続けば)、頁の境界が曲線となる以前を切り換える切り換え点とするために、上記仮の切り換え点から256画素(16mm)戻った点を算出して頁境界における直線と曲線との切り換え点とする(1−g)。綴じ部補正処理手段は、このような手順で製本原稿の見開き左右頁各々の切り換え点を算出して求める。
【0093】
メモリ(画像ファイル)上の画像開始位置に相当するラインから見て頁部の境界の直線が歪んで置かれることは通常である。綴じ部補正処理手段は、図27に示すように、切り換え点の境界アドレスAを基準として綴じ部の境界アドレスから引くことで歪量を求め、あるいは、頁部の境界アドレスから求めた直線Bを基準として綴じ部の境界アドレスを引くことで歪量を求める。
【0094】
次に、綴じ部深さについて説明する。
綴じ部補正処理手段は、切り換え点の境界アドレスがメモリのはじめに一致している場合には、上述のように検出した頁境界位置A3と、スキャナ107の光軸位置Akと焦点面距離Pとから、製本原稿10の綴じ部深さTを例えば
T=P*A3/(Ak−A3)
なる式で算出する。A3はA2又はA1としてもよい。
【0095】
複写機やスキャナの画像読み取り部に製本原稿を見開いて載置してその画像を読み取る場合には、その製本原稿のセットが多少ずれることがあり、厚手の製本原稿をセットする場合は製本原稿セットの基準となる原稿スケールが見ずらくなって原稿の頁端部を原稿スケールに合わせることが難しい。そこで、綴じ部補正処理手段は、切り換え点の境界アドレスがメモリのはじめに一致していない場合には、製本原稿の載置位置によらずに、検出した頁境界位置から製本原稿の綴じ部深さを算出する。
【0096】
つまり、綴じ部補正処理手段は、上述のように検出した頁境界位置A3、読取装置の光軸位置Akと焦点面距離P、頁平面部の位置Kaから、製本原稿10の綴じ部深さTを例えば
T=P*(A3−Ka)/{(Ak−Ka)−(A3−Ka)}
なる式で算出する。綴じ部補正処理手段は、この式で隣接するラインの綴じ部深さの差をとり、
(Tn−Tn−1)=焦点面距離*(隣接するラインの境界アドレスの差)/{(Ak−Ka)−(A3−Ak)}
なる式で(Tn−Tn−1)を求める。
【0097】
綴じ部補正処理手段は、切り換え点の境界アドレスがメモリのはじめに一致している場合にはT=P*A3/(Ak−A3)なる式で隣接するラインの綴じ部深さの差をとり、(Tn−Tn−1)を求める。
【0098】
このように、綴じ部補正処理手段は、検出した頁平面部の境界位置を基準にして綴じ部深さを算出することから、製本原稿の載置位置が第2スケール4、405による基準位置からずれている場合にも見開き製本原稿の綴じ部深さを検出することができ、すなわち、製本原稿の載置位置を固定しないで綴じ部深さを算出して綴じ部形状認識処理を行うことができる。
【0099】
複写機やスキャナの画像読み取り部に製本原稿を見開いて載置してその画像を読み取る場合、製本原稿の綴じ部形状は円弧状に湾曲し、急激な変化や上下へのうねりなどは発生しない。頁境界の形状を検出して見開き製本原稿の綴じ部形状を認識する場合に、認識した見開き製本原稿の綴じ部形状は検出誤差やデータのノイズ成分により異常な形状となるが、綴じ部補正処理手段は製本原稿の綴じ部形状特性に合うように処理上の制限を加え、より正しい見開き製本原稿の綴じ部形状認識を行う。
【0100】
綴じ部補正処理手段は、検出した頁境界位置より製本原稿の綴じ部深さを算出し、その算出した綴じ部深さの変化量を制限することにより、見開き製本原稿の形状が検出誤差やデータのノイズ成分により異常な形状として認識することを抑制する。したがって、より正しい見開き製本原稿の形状認識を行うことができ、適用範囲が広くなる。
【0101】
複写機やスキャナの画像読み取り部に製本原稿を見開いて載置してその画像を読み取る場合、製本原稿の綴じ部形状は円弧状に湾曲し、その頁傾斜角は綴じ部が深くなるほど急になっていく。綴じ部補正処理手段は、頁境界の形状より見開き製本原稿の形状を認識する場合に、製本原稿の形状特性に合うように綴じ部深さに制限を加え、より正しい見開き製本原稿の形状認識を行う。また、綴じ部深さの変化量をその位置の綴じ部深さにより制限することにより、真の見開き製本原稿の形状算出に影響を与えない度合いで、綴じ部の位置によって適正な制限による補正を行う。
【0102】
綴じ部補正処理手段は、綴じ部深さの隣接の変化量をその位置の綴じ部深さの1/80程度に制限する。例えば、検出した綴じ部深さが10mmである地点では1ライン毎の変化量は0.125mm、すなわち、その地点の頁傾斜角は63.1°で制限することが、実際の製本原稿の形状から好ましい。
【0103】
図28は綴じ部補正手段の綴じ部深さ算出フローを示す。綴じ部補正処理手段は、綴じ部の副走査方向復元処理では境界アドレスA3から綴じ部深さを算出し、更に読取装置で得ている製本原稿上のサンプル点の位置を求める。図28に示すように、綴じ部補正処理手段は、各境界アドレスA3とその前のラインの境界アドレスの差(各隣接するラインの境界アドレスの差)をそれぞれ算出する(4−a)。通常、綴じ部深さが深くなるに連れて綴じ部深さの変化量が増す。
【0104】
綴じ部補正処理手段は、検出した境界アドレスが真の境界から離れていると綴じ部の副走査方向復元が伸びすぎたり縮みすぎたりするので、その位置の深さに応じて綴じ部の副走査方向伸長に制限をかける(4−b)(4−c)。すなわち、綴じ部補正処理手段は、上述のように求めた前のラインとの境界アドレスの差がそのラインの製本原稿上の平面部からの、その位置の深さ〔mm〕をもとに、前のラインと(深さ〔mm〕/5〔画素〕以上離れているときは隣合う境界アドレスの差を(深さ〔mm〕/5〔画素〕に制限して境界の誤検出による綴じ部の副走査方向復元のエラーを抑制する。
【0105】
綴じ部補正処理手段は、隣接するラインの境界アドレスA3の差から隣接するラインの境界の深さの差(Tn−Tn−1)を次の式で求める(4−d)。
(Tn−Tn−1)=焦点面距離*(隣接するラインの境界アドレスの差)/{(Ak−Ka)−(A3−Ak)}
ここに、図29に示すようにAkは読取装置の光軸アドレス、Tは綴じ部深さ、Kaは頁平坦部の境界位置、A3はKaに対して検出した境界アドレスであってKaより主走査方向へ境界の歪み量xだけずれている。焦点面距離、光軸アドレスAkは読取装置により一定値として与えられ、それぞれ427.757(mm)、2400(画素)とした。次に、綴じ部補正処理手段は、図30に示すように隣接するライン(n、n−1)の境界深さの差(Tn−Tn−1)から製本原稿上の前のラインとの距離Lnを次の式で求める(4−e)。
【0106】
Ln=√{1+(Tn−Tn−1)2}
次に、綴じ部補正処理手段は、隣接する主走査ラインの境界深さの差より、1画素毎の微小ピッチの直線で近似した頁の復元位置を算出する(4−f)。1ライン毎の復元すべき副走査方向の画像長さLnは、綴じ部深さTにて上記式で求められる。画像長さLnの累積が副走査方向の頁長さになる。
【0107】
なお、綴じ部補正処理手段は、綴じ部深さの変化量を制限し、例えば前のラインとの歪み量(境界アドレス−切り変えアドレス)の差(変化量)を制限してから綴じ部深さの差を計算するようにしてもよい。綴じ部深さの変化量の制限は、その位置の綴じ部深さの1/80に制限してもよい。
【0108】
綴じ部の歪み量と深さは一対一であり、歪み量×3が綴じ部深さになるため、綴じ部深さを制限しても歪み量を制限しても同じ効果になる。また、綴じ部補正処理手段は、隣接するラインの境界アドレスA3の差から隣接するラインの境界の深さの差(Tn−Tn−1)を次の式で求めてもよい。
【0109】
(Tn−Tn−1)=焦点面距離*A3/{(Ak−Ka)−(A3−Ak)}
次に、頁部(平面部)と綴じ部との処理の切り換えについて説明する。
【0110】
綴じ部補正処理手段は、綴じ部を分離して頁部は処理せず、綴じ部だけ復元処理をする。すなわち、綴じ部補正処理手段は、製本原稿の見開き頁の綴じ部領域を分離し、頁境界の形状より見開き製本原稿の形状を認識する。そして、綴じ部補正処理手段は、製本原稿の形状より分離した綴じ部画像領域は歪みを補正し、例えば縦横の画像伸長を行い、平面部の頁領域では歪みを補正しない。その結果、綴じ部のみ画像が復元され、頁部はそのままの画像が保持される。
【0111】
綴じ部補正処理手段は、綴じ部を分離して頁のみ画像をシフトし、原稿台402に載置した製本原稿の画像が回転してスキューした画像であっても境界方向の頁端が揃ったスキューのない読み取り画像が得られる。
【0112】
頁境界検出(A+C+B+F)から画像シフトまでにより、頁部スキュー対策がとられている。綴じ部補正処理手段は、製本原稿の見開き頁の綴じ部領域を分離し、非該当領域である頁平面部の画像補正処理において、検出した頁境界位置から頁境界方向(主走査方向)への移動により頁部の載置の曲がり(スキュー)を補正する。
【0113】
頁境界の位置データにより画像シフト量を算出するために例えば1画素の位置分解能で境界を検出して画像をシフトした場合には、1画素のピッチで移動が起こるために1画素以内の位置ずれが発生し、罫線などにジャギーが目立つ。そこで、綴じ部補正処理手段は、非該当領域である頁平面部の画像補正処理では、高い精度で検出した頁境界位置データより高い精度で頁のスキューを補正し、高画質処理をする。これにより、画像シフトの誤差が1/8画素以内となり、罫線のジャギーなどが起らず、高精度が維持される。
【0114】
綴じ部補正処理手段は、境界位置データによる画像のシフトについてはそのシフト量を整数画素分とそれ以下とに分けて演算する。そして、綴じ部補正処理手段は、検出した頁境界方向への画像シフトを、境界位置データのシフト画素量の整数分だけアドレス変換により行ってシフト画素量の小数点以下分は3次関数コンボリューション法により行う。
【0115】
綴じ部補正処理手段は、綴じ部領域を分離し、綴じ部領域には検出した綴じ部の境界位置データにより読み取り画像の位置復元を行う。綴じ部補正処理手段は、綴じ部領域を分離し、綴じ部領域が湾曲している綴じ部領域部には検出した綴じ部の境界位置データにより読み取り画像の主走査方向及び副走査方向の伸長処理を行う。これにより、綴じ部の歪んだ画像が平面画像に復元される。
【0116】
綴じ部補正処理手段は、分離した領域によって画像補正処理を異ならせるが、その分離点における画像の均一性を保つ。すなわち、綴じ部補正処理手段は、綴じ部領域を分離し、検出した境界位置データにより画像補正処理を行い、分離した領域よって画像補正処理を異ならせ、その分離点における境界位置データは等しく、かつ、連続的な構成とする。したがって、分離した処理の切り換え点における画像位置が等しく連続的となるため、画像が均一で、領域分離による補正処理における境などの画像の違和感は起こらない。
【0117】
図31は綴じ部補正処理手段の頁部(平面部)と綴じ部の処理を切り換える処理フローを示す。綴じ部補正処理手段は、読み取りデータに対して頁部と綴じ部とを切り換え点を基準として処理を切り換える。綴じ部補正処理手段は、読み取りデータに対して、頁部では等倍で読み込まれているので、主走査方向のシフトのみ行い、綴じ部では主走査方向と副走査方向の縮小倍率に基づいて復元処理をする。
【0118】
図14は読取装置で製本原稿から読みとった画像データのメモリ上での様子を示す。製本原稿の見開き右頁が上で見開き左頁が下になっている。製本原稿10のコンタクトガラス2に接している部分の画像データは境界線が直線である。この部分は図31では直線部と書いているが、頁部(平面部)と同じである。境界線が直線から曲線に変わるラインは切り換え点と呼ぶ。右頁にある切り換え点を切り換え点1、左頁にある切り換え点を切り換え点2としている。切り換え点1から綴じ部であり、綴じ部の中心のラインを最も深い点としている。この読み取り画像を復元すると、図32の左側に示すように綴じ部に曲がりのない画像に復元される。
【0119】
図31に示すように、綴じ部補正処理手段は、上記読み取りデータが直線部から切り換え点1までのラインのものであるか否かを判断し(5−a)、読み取りデータが直線部から切り換え点1までのラインのものであれば、読み取りデータの主走査方向のシフトを行って(5−d)次のラインの読み取り画像データ処理に進む(5−h)。綴じ部補正処理手段は、読み取りデータが直線部から切り換え点1までのラインのものでなければ、読み取り画像データが切り換え点1から切り換え点2までのラインのものであるか否かを判断する(5−b)。
【0120】
綴じ部補正処理手段は、読み取り画像データが切り換え点1から切り換え点2までのラインのものであれば、読み取り画像データの主走査方向及び副走査方向の復元を上述のように行って(5−e)次のラインの読み取り画像データ処理に進む(5−h)。綴じ部補正処理手段は、読み取り画像データが切り換え点1から切り換え点2までのラインのものでなければ、読み取り画像データが切り換え点2から直線部までのラインのものであるか否かを判断する(5−c)。
【0121】
綴じ部補正処理手段は、読み取り画像データが切り換え点2から直線部までのラインのものであれば読み取りデータの主走査方向のシフトを行って(5−f)次のラインの読み取り画像データ処理に進む(5−h)。綴じ部補正処理手段は、読み取り画像データが切り換え点2から直線部までのラインのものでなければ、読み取り画像データが最終ラインのものであるか否かを判断し、読み取り画像データが最終ラインのものでなければ次のラインの読み取り画像データ処理に進む。
【0122】
綴じ部補正処理手段は、読み取りデータの主走査方向シフトについては、図33に示すように、境界アドレスA3の整数部分の画素分を配列で左にシフトし、境界アドレスA3の小数点部分rを1から引いた量deを求める(de=1−r)。綴じ部補正処理手段は、サンプル点の位置をNとして、変倍後のNの位置にはN/Mの位置の濃度データを三次関数コンボリューション法で補間して求める。綴じ部補正処理手段は、境界アドレスA3の小数部分をシフトするので、変倍後のNの位置はN/M−deの位置の濃度データを補間で求める。
【0123】
綴じ部では切り換え点のアドレスを基に走査方向の拡大倍率が決まり、頁部の切り換え点では切り換えアドレスで主走査方向にシフトされるため、切り換え点での画像の均一性は保たれる。
【0124】
次に、投影倍率の算出と光軸のアドレス決定について説明する。
図29において、Oはメモリ上の原点を表わしている。製本原稿10の綴じ部は綴じ部深さTだけコンタクトガラス2から浮いているため、製本原稿の長さは読取装置の光軸アドレスAkから頁平坦部の位置Kaまでであるが、製本原稿の読み取りデータは読取装置の光軸アドレスAkから境界アドレスA3までの長さになる。ここに、境界アドレスA3は上記A1又はA2でもよい。そこで、綴じ部補正処理手段は、読取装置の境界と直交する方向(主走査方向)の投影倍率Mmを次の式で算出する。
【0125】
Mm=(Ak−A)/(Ak−Ka)
なお、AはA1、A2、A3のいずれかである。綴じ部補正処理手段は、読み取りデータを光軸アドレスAkより境界アドレスAまでの長さから光軸アドレスAkより頁平坦部の位置Kaまでの元の長さに拡大するための倍率Mをその投影倍率Mmの逆数の倍率とする。ここで、光軸アドレスAkは読取装置の固定値で、2400画素目としている。
【0126】
また、この実施形態では、光軸位置決定モードが設けられ、操作部から光軸位置決定モードが任意に選択される。図34は綴じ部補正処理手段の投影倍率算出・光軸アドレス決定フローを示す。綴じ部補正処理手段は、操作部から光軸位置決定モードが選択されると、上述のように製本原稿の片側の頁境界位置を測定し、同様に製本原稿の主走査方向の他の片側の頁境界位置を測定する。この場合、製本原稿10の片側の頁平面部(平坦部)の境界位置Kaに対して測定値Aが得られ、製本原稿10の主走査方向の他の片側の頁平面部(平坦部)の境界位置Kbに対して測定値Bが得られる。AはA1、A2、A3であるが、BはA1、A2、A3に対応したB1、B2、B3である。
【0127】
次に、綴じ部補正処理手段は、頁平面部(平坦部)の主走査方向の長さとして(Kb−Ka)を計算し、綴じ部の主走査方向の長さとして(B−A)を計算する。このAはA1、A2、A3のいずれか1つが用いられ、BはB1、B2、B3のいずれか1つが用いられる。次に、綴じ部補正処理手段は、上述のように求めた製本原稿の主走査方向における綴じ部の長さと平坦部の長さとの比の値を計算することにより、倍率Mmを得る。次に、綴じ部補正処理手段は、Mm=(Ak−A)/(Ak−Ka)を使って倍率Mmを求め、この倍率Mm、頁境界位置A、頁平坦部の位置Kaから光軸の位置Akを求め、このAkを保存する。
【0128】
また、綴じ部補正処理手段は、光軸位置決定モードでなければ、光軸位置決定モードで決定した光軸位置Akを用いて製本原稿形状測定・綴じ部補正処理を上述のように行い、製本原稿の片側だけの頁境界位置を求めるための処理と、製本原稿の主走査方向の他の片側だけの頁境界位置を求めるための処理とを行う。これは、製本原稿のエッジで行った処理を、主走査方向の他のエッジに対しても行うものである。
【0129】
次に、副走査方向復元について説明する。
綴じ部補正処理手段は、綴じ部画像の歪補正において、検出した境界方向の画像の復元後の長さが1面素以上となるようにして整数画素分のラインの画像濃度データを演算し、復元後の単位ラインの画像を算出するための周囲画素のデータが得られ次第、画像伸長の演算を行う。このため、複写機のようにリアルタイムの位置補正処理が可能となる。
【0130】
また、綴じ部補正処理手段は、綴じ部の深さの変化量により画像の伸長を行う。綴じ部補正処理手段は、綴じ部画像の歪補正において、図30に示すように製本原稿の綴じ部形状を読み取りライン毎の微少な三角形とし、頁の読み取り1ラインにおける画像長さLnを次の式により算出し、
Ln=√{1+(Tn−Tn−1)2}
画像長さLnの累積を頁の伸長長さとする。その結果、近似した三角形の斜辺は湾曲した頁の形状とほぼ等しくなり、綴じ部補正処理手段は、その累積を頁の画像長さとすることにより、正確な頁長さを得る。特に、1ライン毎の最小ピッチによる形状近似により、その長さの復元精度は高い。
【0131】
製本原稿の綴じ部は、製本原稿の見開き方向に読み取り画素ピッチが製本原稿に対して変化していく。つまり、製本原稿の綴じ部は、製本原稿の見開き方向に読み取り画素ピッチが製本原稿に対して等間隔にはならない。そこで、綴じ部補正処理手段は、製本原稿の綴じ部形状を検出し、サンプリングピッチの変化に対応して画素位置の復元演算を行う。
【0132】
綴じ部補正処理手段は、綴じ部画像の歪み補正では、検出した境界方向ついて3次関数コンボリューション法で復元画像を算出し、その注目画素の画素間隔を基準“1”として演算することにより、読み取りライン間隔が変化、すなわち、平面状としたときの原稿に対してサンプリング画素間隔が逐次替わっていくのに対し、画素伸長処理を適応する。
【0133】
幾何学的に主走査方向の画像投影倍長さと綴じ部の深さは比例関係にあり、綴じ部補正処理手段は図29から上述のように境界アドレスA3から綴じ部深さTを以下の式により求める。
【0134】
T=焦点面距離*(A3−Ak)/{(Ak−Ka)−(A3−Ak)}
綴じ部補正処理手段は、隣接する主走査ラインの深さの差により、1画素毎の微少ピッチの直線で近似して頁の復元位置を算出する。
【0135】
綴じ部補正処理手段は、図30から上述のように1ライン毎の復元すべき副走査方向の画像長さLnを綴じ部の深さTにて次の式により求める。
Ln=√{1+(Tn−Tn−1)2}
従って、画像長さLnの累積が副走査方向の頁長さになる。画像拡大は主走査方向の拡大と同様に3次関数コンボリューション法による画素間補間を用いて行い、その計算精度は充分に高くとっている。
通常、綴じ部深さが深くなるに連れてその深さの変化量が増す。そこで、綴じ部補正処理手段は、その位置の綴じ部深さに応じて画像伸長に制限をかける。綴じ部補正処理手段は、隣合う境界アドレスの差をその位置の(深さ[mm]/5)[画素]に制限して境界の誤検出による副走査方向復元のエラーを抑制する。
【0136】
綴じ部の副走査方向の復元では画像長さLnの位置によって異なり、図35に示すように読み取り画像データは等間隔ではない。この図35では、復元データの濃度として3‘の位置の濃度を求めるために読み取り画像データにおける2,3,4,5の位置の濃度データを使うが、r1:(3〜3’の位置の間の距離)/(3〜4の位置の間の距離)、r2:(1−r1)、r3:(2〜3‘の位置の間の距離)/(3〜4の位置の間の距離)、r4:(3’〜5の位置の間の距離)/(3〜4の位置の間の距離)は、3から4の位置の間の距離を1としている。綴じ部補正処理手段は、これらをrとして3次関数コンボリューション法により画素間補間をする。
【0137】
図36は副走査方向復元フローを示す。
図35において、画像長さLnの累積が副走査方向の頁の長さになり、これを読み取り原稿(製本原稿)の位置とする。図35の2,3,4,5は主走査ラインを表わし、それぞれの位置をf4[2]、f4[3]、f4[4]、f4[5]とする。wは、補間するラインの位置であって、f4[3]とf4[4]の間の位置で整数になるところである。
【0138】
綴じ部補正処理手段は、wに位置f4[3]の整数部分を代入する(7−a)。この時のwの位置はf4[2]とf4[3]との間になっている。綴じ部補正処理手段は、w+1がf4[4]以下であるか否かを判断し(7−b)、w+1がf4[4]以下でなければ(7−f)に進む。
【0139】
綴じ部補正処理手段は、(7−f)では、補間をせず、ライン4とライン5の間の補間に移るために4ラインのバッファで濃度データのシフトをする。すなわち、綴じ部補正処理手段は、ライン3の濃度データをライン2の濃度データに置き換え、ライン4の濃度データをライン3の濃度データに置き換え、ライン5の濃度データをライン4の濃度データに置き換え、新しいラインの濃度データをライン2の濃度データに置き換え、また、位置f4[2]にf4[3]を置き換え、f4[3]に位置f4[4]を置き換え、位置f4[4]に位置f4[5]を置き換え、位置f4[5]に新しい位置f4[5]を置き換える。
【0140】
次に、綴じ部補正処理手段は、読み取り画像の最終ラインであるか否かを判断し、読み取り画像の最終ラインであれば(7−g)で終了する。また、綴じ部補正処理手段は、読み取り画像の最終ラインでなければ(7−a)に戻る。また、綴じ部補正処理手段は、(7−b)でw+1がf4[4]以下であれば(7−c)に進み、wの位置の濃度データを補間で求めるための3次関数コンボリューション法で必要なr1,r2,r3,r4を求める。読み取り画像のデータの間隔は等間隔ではない。そこで、綴じ部補正処理手段は、以下のように補間する位置を挟む読み取りデータのライン位置の間隔(3から4、すなわち、f4[4]―f4[3])を1とする。
【0141】
そして、綴じ部補正処理手段は、
r1=(3〜3‘の距離)/(3〜4の距離)−(w−f4[3])/(f4[4]−f4[3])
r2=1−r1
r3=(2〜3‘の距離)/(3〜4の距離)−(w−f4[2])/(f4[4]−f4[3])
r4=(3‘〜5の距離)/(3〜4の距離)−(w−f4[5])/(f4[4]−f4[3])
を算出する。次に、綴じ部補正処理手段は、(7−d)位置wのラインの濃度を3次関数コンボリューション法で補間して求め、(7−a)に進む。
【0142】
この実施形態では、読み取り画像を頁部(平面部)と綴じ部に分割して頁部はスキュー補正のための画像シフト、綴じ部は主走査方向及び副走査方向の伸長処理を行うことにより、平面画像に復元することができた。
【0143】
また、この実施形態では、製本原稿の頁部境界位置を綴じ部深さ35mm、綴じ部傾斜角90度まで検出することができ、図37の点線のような製本原稿の綴じ部深さに対して図37の実線のように綴じ部深さの検出結果が得られた。また、綴じ部深さの検出誤差は図38に示すようになった。この場合、綴じ部開始位置を拘束点として綴じ部深さ10mmの地点まで綴じ部深さを検出し、誤差は±0.4mm、誤差範囲は±0.2mmであった。
【0144】
図39は本実施形態の副走査方向の復元精度を表わす倍率誤差を示し、綴じ部深さ10mm以内の範囲で倍率誤差±10%以内を満足した。図40は本実施形態の主走査方向の復元精度を表わす副走査曲がりを示し、綴じ部深さ10mm以内の範囲で副走査曲がり±0.5mm以内を満足した。
【0145】
図41はスキャナの読み取りデータの濃度分布を示す。これは、副走査方向に約3mm毎にサンプリングしたもので、空間部、頁地肌部、罫線・文字部と分布しており、綴じ部の深いところでは地肌レベルが相当低く(濃く)、頁地肌部にノイズ状のばらつきが見られる。図42、本実施形態において上記読み取りデータの主走査方向8画素移動平均をとったものの濃度分布を示し、濃度が滑らかになった。
【0146】
この実施形態では、綴じ部深さ35mm(製本厚70mm相当)、綴じ部傾斜角90度近傍まで頁境界位置の検出が可能であり、この頁境界位置の検出には主走査方向の移動平均、濃度分布の黒ピークと白ピーク値による適応閾値、副走査方向の移動平均処理が有効であった。光学系のMTFにより境界の濃度分布は焦点面でも複数画素に及んでおり、正確な境界位置を特定できないが、頁境界の相対的な位置が滑らかになることにより復元処理が可能である。
【0147】
ところで、見開きの製本原稿10を読み取る場合、図43及び図44に示すように、その読み取る画像面のプロファイルはほぼ同じであるが、本の綴じ方によってプロファイルの一番コンタクトガラスから離れた位置から背表紙までの距離Lが違っている場合がある。これは、針金でバインドしてある位置の背表紙からの距離Lが異なる場合、その距離Lが大きければ図43のように、小さければ図44のようになる。同様に、背表紙の部分で糊付けする形式の本であれば、糊が硬ければ開きにくく、柔らかいなら開きやすい。また、本の紙質、特に曲がりに対する堅さによっても開き方が異なる。このような場合、画像面のプロファイルのデータからでは見開き製本原稿の背表紙までの距離を求めることができない。
【0148】
従って、上記実施形態で説明した画像面をのプロファイルのページ境界位置15までの長さを求めて、その2倍を画像データのページ後端12とするのはプロファイルの一番コンタクトガラスから離れた位置から背表紙までの距離Lが違っていても何ら問題がない。なぜならこの背表紙までの距離Lが違っていても、見開きページの両方に同じ影響を与えるので、正しく後端の位置を決定できる。これは製本原稿10の表紙または裏表紙近くの見開きページを読み取り、図45に示すようなプロファイルを持つ場合でも同じことが言える。
【0149】
しかし、プロファイルの一番コンタクトガラスから離れた位置から背表紙までの距離Lの違いは読取装置が出力する画像データの後端位置の違いとして現れる。つまり、距離Lが大きくなればなるほど画像データの後端の位置は読み取り開始側に来ることになる。
【0150】
このことを、図46(a)〜(c)を用いて詳しく説明すると、図46(a)の符号30は製本原稿を読み取ったときの画像データの外形線とページ境界を示す。ページ境界の近傍は、コンタクトガラスから浮き上がることによって副走査方向に縮んでいる。このページ境界近傍の画像の歪みを補正した結果を示すのが図46(b)の符号31である。この時の補正により、浮き上がることによって縮んだ分が補正され、見開き2ページとも副走査方向の長さが増加する。しかし、上記したプロファイルの一番コンタクトガラスから離れた位置から背表紙までの距離Lについては補正できず、見開き本の2ページを完全に開いて読み取った場合が図46(c)の符号32であるとき、31と32と比較すると重なり部分の2倍の長さに相当する分が短くなっている。
【0151】
そこで、上記したプロファイルの一番コンタクトガラスから離れた位置から背表紙までの距離Lについても補正することができる処理について説明する。
図47は、かかる処理内容を示すフローチャートである。スタート指令により、コンタクトガラス2上の所定位置に置かれた原稿の読み取りを行う(47−b)。次に、副走査方向に伸びた第2スケール4のエッジにそった部分に対応する読み取った画像データから、原稿部分の背景は白く、突き当て板の裏面および原稿が浮き上がって突き当て板のエッジとの間に空隙が生じた場合は黒いということから、白黒のレベル差に基づいてエッジを検出する(47−c)。次に、エッジの位置のデータを評価して、図45の画像データ30ようなページ境界の端部にあるようなくびれがあるか否かを判定し、くびれがある場合には見開きの製本原稿であるとし、ない場合はシート原稿と判断する(47−d)。シート原稿と判断した場合は、所定のシート原稿に対する処理を行い(47−j)、読み取った画像を出力する(47−i)。ステップ47−dで見開きの製本原稿であると判定した場合は、見開きの製本原稿におけるページ境界位置を決定し(47−e)、境界近傍の背景濃度調整して照明不足による影を消す。次に、ページ境界位置と原稿の先端を突き当てる位置の間における原稿の表面に沿った長さを求める。ページ境界から下流側の原稿の表面にそっての長さが先端からページ境界までの長さと同じになる位置を求め、ページ後端の位置とする(47−f)。先端からページ境界までの長さと同じ長さを後半のページ上に求めて後端の位置とするのは、見開きの原稿を閉じたときには上流のページ(図45のA)の先端と下流にページ(図45のB)の後端は同じ位置になるという事実に基づくものである。先端からこのページ後端までの見開き原稿のページの表面にそった長さは、見開き原稿を構成するページの長さの2倍から、見開いたとき開かないで重なったまま残った長さの2倍を引いた長さに相当する。
【0152】
大部分の本は、例えばA4版、B5版、A5版といった定型サイズを持っている。つまり例えばA4版の本はページのサイズが210mm×297mmで、ページの長辺に綴じ部があるのは普通で、このとき見開きにしたときの長さは210mmの2倍の420mmが上限になり、これを越えることはない。従って本の定型サイズあるいは用紙の定型サイズのデータを予め用意しておき、上で求めた先端からページ後端までの見開き原稿のページの表面にそった長さ越える値の中の最も近いものを選択することで出力画像の後端の位置を決定する(47−g)。次にページ境界からページ後端までの画像データを、ページ後端が出力画像の後端の位置と一致するように、後半のページの画像を移動する(47−h)。次に一連の処理を行った画像データを出力(47−i)して、一回の読み取りを終了する。
【0153】
この実施形態では見開き原稿の後端の位置を決定する手段を持ち、その後端の位置より下流側に移動することにより定型サイズの後端の位置に合わせるので、見開き原稿が定型サイズではない場合でも多くの場合は画像データの欠落がない形で定型サイズの画像データに変換されるので、画像データのサイズの種類が集約されデータの管理上都合がよいという格別の効果も得られる。
【0154】
図48は画像読取装置の他の実施形態における処理の内容を示すフローチャートである。この例は出力画像の後端の位置の決定をより確実にするためのものであり、それ以外は図47のフローと共通する。すなわち、本図の48−aから48−fは47−aから47−fと同じで、さらに本図の48−hから48−kは47−gから47−jと同じであり、ステップ48−gを設けている点が異なっている。
【0155】
出力画像の後端位置の決定をより確実にするため、処理フローにページ幅の決定(48−g)を加え、ページの副走査方向の長さに加えて、主走査方向に相当する幅のデータを読み取った画像データから得ている。本、用紙の定型サイズは縦・横方向の寸法が決まっているので、両方のデータを使うことにより確実に出力画像の後端の位置を決定できる。
【0156】
幅のデータを得るのは、先願で見開き原稿の黒くなる部分を消去するときに、副走査方向の辺を原稿スケールに突き当てる側の反対側のエッジ検出について述べているが、そのエッジの位置のデータを使うことにより求める。
【0157】
幅のデータが得られ、それが予め用意した定型サイズと一致し、その幅走査方向のサイズがページ後端までの長さより先の述べたページを開ききれない分に相当する程度に大きければ、より確実に見開きの本が定型サイズであることが確認でき、位置決定の信頼度が増す。見開きのページが非常に開きにくく、ページ後端までの長さが短い場合、誤って小さい定型サイズのデータを使ってしまう恐れがあるが、幅のデータを使うことにより、適切な定型サイズを選択することができる。
【0158】
図49は画像読取装置のさらに他の実施形態における処理の内容を示す部分のフローチャートである。このフローチャートは、図47、図48に示すステップ47−d,48−dとステップ47−e,48−eの間に、ページ境界部のコンタクトガラスから浮き上がってしまう部分を読み取った画像の歪みを補正するものである。見開き原稿か否かを、図47、図48のステップ47−d,48−dに相当する49−aで判定した結果、見開き原稿である場合に、エッジのプロファイルを作る(49−b)。エッジプロファイルは読み取った画像データの副走査方向のエッジを突き当てる部分の外形線に相当する。図46の符号30の上部稜線がこれに相当する。次にページ境界近傍の背景濃度を浮き上がっていない部分の背景の濃度に近くなるように補正する(49−c)。次にエッジのプロファイルから主走査方向のどの程度縮小されているかを求めて主走査方向の倍率補正を行う(49−d)。次にエッジプロファイルから、読み取り使うレンズの特性を使って、コンタクトガラスからの見開き原稿の浮き上がり量を求め、本の高さの副走査方向におけるプロファイルを求める(49−e)。本の高さのプロファイルを使って浮き上がることによって見掛け上縮んでいる画像データの副走査方向の画素位置の補正を行う(49−f)。そして、図47、図48に示すステップ47−e,48−eに相当する49−gに進む。
【0159】
これらの一連の処理は、見開き原稿のコンタクトガラスから浮き上がってしまう部分に必要な画像データが存在するときに起こる画像の歪みを補正するものである。これらの処理を追加することにより、浮き上がる部分に必要な画像があっても、見開きのそれぞれのページが完全に開く時に得られるはずの画像データを出力できる。
【0160】
もちろん、通常の見開きの原稿には、浮き上がる部分には必要な画像がないものも多いのでこのような処理を行っていない図47、図48の例でも良好な補正効果を得ることができる。
【0161】
図50は画像読取装置のさらに他の実施形態における処理の内容を示す部分のフローチャートである。この実施例は見開き原稿のとても厚い本でコンタクトガラスからの浮き上がり量が大きく、読み取り用の照明が極端に不足して原稿の周囲のと原稿からの反射光のレベルが同等になってしまったり、読み取りレンズが焦点を結ぶ位置から余りにも離れてしまいエッジを読み取れない領域ができてしまうケースに対応するものである。このようにコンタクトガラスからの距離が大きくなる領域が存在すると、図51に示すようにCより走査の上流側とDより下流側ではエッジを読み取ることができるがC、Dの間ではエッジを読み取れないケースが起こり得る。このような場合に単にエラーになるのではなく、CDの中点Mを、ページの境界の位置とすることにより、図47の例等で説明したように処理を行なう。中点Mを使うことによりこのようなケースも問題なくページの後端の位置を決定することができる。
【0162】
コンタクトガラスからの浮き上がりが大きいときばかりではなく、図45に示すような形状を見開いたとき持つ場合も、小さなRで曲がっている部分の影が反対側のページにできるため、コンタクトガラスからの高さが小さくてもエッジを読み取れない場合がある。このような場合小さなRによってできる影は通常非常に小さいので、この部分に図51と同様にC、D、Mを対応させればMはページ境界の位置に非常に近いので、に相当する位置を対応させれば、このようなケースでも問題なくページの後端の位置を決定することがはきる。
【0163】
しかし出力画像の後端の位置を決定する場合には、エッジを読み取れない領域がある場合は実際の画像面の長さより短い長さを画像面の長さとしていることになるので誤った位置を選んでしまう恐れがある。図51の例で説明すると、CからEまでの鎖線にそった長さの代わりにCとM間の長さを使っていることになり誤差が大きい。そこで先端からC間での長さに、CとM間の長さに所定の係数を掛けた長さを加えたものをページ境界までの長さとして、出力画像の後端の位置を図49の例の説明で述べたように決定する。図44のケースに対しても全く同様に処理をしても、もともとこのケースではCとM間の長さが非常に小さいので、問題なく出力画像の後端の位置を決定できる。実験によれば係数として1.5から4.0程度が適している。
【0164】
見開きの原稿の下流側の画像データを、出力画像の後端の位置にページの後端が合うように移動することによって生ずる空白を画像データの背景のデータで埋めるもので、出力画像が不自然でないようにするためのもで、ことさら実施内容の説明をするまでもない。
【0165】
この実施例の特有な部分だけを抽出したフローチャートが図52である。これば見開き原稿の左右のページを一つのページのデータとして出力することと、見開きのページをそれぞれ1ページの画像データとして出力するかを、画像読取装置のユーザが選択できるようにするとともに、その選択に応じて出力方法を切り替えるものである。
【0166】
【発明の効果】
請求項1の構成によれば、ユーザは読取装置を使用する際に、本を読み取るかシートを読み取るかの指定をしなくてもそれぞれに適した処理を自動的に行った読み取った画像が得られる。
【0167】
請求項2の構成によれば、通常シートを読むことが多いので、本を指定された場合のみぞの形状を判定し、指定されていなければシートであるとしてエッジ検出など一連の形状を決定するための処理を行わない。したがってシートの場合には余分な処理を省略できるので読み取り速度を高くすることができる。
【0168】
請求項3の構成によれば、読み取る対象がシートでも本でも、それぞれのページの画像が読み取る対象のページ内の配置と一致した画像データを得ることができる。
【0169】
請求項4の構成によれば、原稿の副走査方向の長さに加えて主走査方向の幅のデータも使うので、見開き原稿のサイズをより確実に決定できるので、より確実に目的を達成することが出来る。
【0170】
請求項5の構成によれば、見開きの本の形状を決定するための検出したエッジのデータから求めた本のコンタクトガラスからの高さのデータをひずみの修正にも使えるので効率よく画像のひずみを修正するための一連の処理を簡略化できる。
【0171】
請求項6の構成によれば、本のページの開き方は、綴じ方や厚さや開くページ全体のページの中でどの位置にあるかなどによっていろいろと変わる。また完全に開き、ページの端部が見える状態まで開くとは限らない。どのような開き方をしても、エッジが副走査方向全域にわたって検出可能な場合にはその中に一番深い位置が存在する。この位置は必ずしもページの境界そのものの位置とが限らないが、境界に近いところにあるので、これをページの境界とすることにより非常に簡単に境界の位置を決定できる。またこれをページの境界として処理を行っても問題を生じない。
【0172】
請求項7の構成によれば、ページ境界付近がコンタクトガラスから大きく離れてエッジが読み取れないケースでも、エッジを検出可能な範囲のデータを使って決定することにより、エッジが読み取れないことによって処理不能に陥ることを防止できるとともに、このような決定方法で得たページの境界を使って処理を行っても機能に問題のない処理が行える。
【0173】
請求項8の構成によれば、見開きの本ページの段差によってできる細い筋を検出する方法と比べると、本を突き当てる先端とページの境界までにページの表面に沿った長さを基に後端を決定するので確実にページの後端を決定できる。こうして決定した後端は実際のページの後端に多くの場合非常に近い。
【0174】
請求項9,10,11の構成によれば、多くの文書の背景は紙の白さであるので、このような単純な置き換えでも不自然になることはあまりない。
【0175】
請求項12の構成によれば、見開きの本の浮き上がる部分に画像があっても、それぞれのページの画像が読み取る対象のページ内の配置と一致した画像データを得ることができる。
【0176】
請求項13の構成によれば、見開き原稿を開いたときの長さは、本の1ページの長さの2倍を超えることはないのでこのような簡単なアルゴリズムでも出力画像の後端位置を決定できる。
【0177】
請求項14の構成によれば、見開き原稿のエッジを検出できない領域があっても、このような簡単なアルゴリズムでも出力画像の後端位置を決定できる。
【0178】
請求項15の構成によれば、エッジを検出してその外側のデータを白色に置き換えるので周囲の余分な背景による汚れが入り込まないので見栄えがよい。
請求項16の構成によれば、この2つの機能を使い分けられるようにすることで、ページ単位に画像データを扱いたい用途に応えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に実施形態におけるスキヤナの外観を示す斜視図である。
【図2】コンタクトガラス上に載置した状態を示す断面説明図である。
【図3】製本原稿の画像データを示す説明図である。
【図4】張り付けシート原稿の説明図である。
【図5】シート原稿を圧板で押さえた状態を示す説明図である。
【図6】製本原稿のページ端部を示す説明図である。
【図7】他のページ境界の検出する説明図である。
【図8】本願発明の一処理制御例を示すフローチャートである。
【図9】本願発明の他の一処理制御例を示すフローチャートである。
【図10】本願発明のページ境界の背景処理を示すフローチャートである。
【図11】白、黒ピークの検出を示す図である。
【図12】乗算による濃度データ変換の模式図である。
【図13】製本原稿の読取形状と復元処理後の形態を示す平面図である。
【図14】切り換え点検出範囲を示す図である。
【図15】切り換え点検出範囲を示す図である。
【図16】切り換え点検出範囲を示す図である。
【図17】切り換え点検出範囲を示す図である。
【図18】切り換え点検出範囲を示す図である。
【図19】切り換え点検出範囲を示す図である。
【図20】製本原稿の直線と綴じ部との切り換え(検出)・切り換え点検知範囲決定フローを示すフローチヤートである。
【図21】上記実施形態における境界検出による形状認識処理フローを示すフローチヤートである。
【図22】上記実施形態における画像データの移動平均を説明するための図である。
【図23】上記実施形態における読み取りデータを説明するための図である。
【図24】上記実施形態の頁部境界検出を説明するための図である。
【図25】上記実施形態の適応しきい値を説明するための図である。
【図26】上記実施形態の頁境界位置算出単位を説明するための図である。
【図27】上記実施形態の綴じ部境界歪みを説明するための図である。
【図28】上記実施形態の綴じ部深さ算出フローを示すフローチヤートである.
【図29】上記実施形態の綴じ部境界歪みを示す図である。
【図30】上記実施形態の画像長さ算出を説明するための図である。
【図31】上記実施形態の頁部(平面部)と利部の処理を切り換える処理フローを示すフローチヤートである。
【図32】上記実施形態の主走査方向画素間補間を説明するための図である。
【図33】上記実施形態の主走査方向画素間補間を説明するための図である.
【図34】上記実施形態の投影倍率算出・光軸アドレス決定フローを示すフローチヤートである。
【図35】上記実施形態の主走査方向画素間補間を説明するための図である。
【図36】上記実施形態の副走査方向復元フローを示すフローチヤートである。
【図37】上記実施形態の製本原稿の綴じ部深さに対する綴じ部深さの検出結果を示す図である。
【図38】上記実施形態の綴じ部深さ検出誤差を示す図である。
【図39】上記実施形態の副走査方向の復元精度を表わす倍率誤差を示す図である。
【図40】上記実施形態の主走査方向の復元精度を表わす副走査曲がりを示す図である。
【図41】上記実施形態のスキヤナの読み取りデータの濃度分布を示す図である。
【図42】上記実施形態において読み取りデータの主走査方向8画素移動平均をとったものの濃度分布を示す図である.
【図43】製本原稿を示す説明図である。
【図44】製本原稿を示す説明図である。
【図45】製本原稿を示す説明図である。
【図46】製本原稿の画像データを示す説明図である。
【図47】本願発明のさらに他の処理制御例を示すフローチャートである。
【図48】本願発明のさらに他の処理制御例を示すフローチャートである。
【図49】本願発明のさらに他の処理制御例を示すフローチャートである。
【図50】本願発明のさらに他の処理制御例を示すフローチャートである。
【図51】本願発明のさらに他の処理制御例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像読取装置
10 製本原稿
11 ページ前端
12 ページ後端
15 ページ境界部
Claims (16)
- コンタクトガラスの角に、読み取る画像面の角を一致させて載置された原稿を、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、
読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿がそのエッジデータから見開き製本原稿か否かを判定する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、前記製本原稿における画像データの綴じ部補正処理を行う手段と、読み取った画像データのページの外側を白色にする手段とを有することを特徴とする画像読取装置。 - コンタクトガラスの角に、読み取る画像面の角を一致させて載置された原稿を、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、
読み取る原稿が見開き製本原稿であることを設定する手段と、読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、読み取った画像データのページの外側を白色にする手段とを有することを特徴とする画像読取装置。 - コンタクトガラスの角に、読み取る画像面の角を一致させて載置された原稿を、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、
読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿がそのエッジデータから見開き製本原稿か否かを判定する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、前記ページ後端位置のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段と、前記ページ境界位置から前記ページ後端の位置までの画像を、ページ後端と出力画像の後端位置とが一致するように移動修正する手段とを有することを特徴とする画像読取装置。 - コンタクトガラスの角に、読み取る画像面の角を一致させて載置された原稿を、スリット露光で線順次に読み取る画像読取装置において、
読み取った画像データから先エッジ及び後エッジを検出する手段と、前記原稿がそのエッジデータから見開き製本原稿か否かを判定する手段と、前記原稿のページ境界位置を求める手段と、該ページ境界位置と先端位置からページの後端の位置を求める手段と、原稿の幅を検出する手段と、前記ページ境界位置近傍の画像データの背景濃度を調整する手段と、前記ページ後端位置のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段と、前記ページ境界位置から前記ページ後端の位置までの画像を、ページ後端と出力画像の後端位置とが一致するように移動修正する手段とを有することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像読取装置において、
前記原稿のエッジデータから原稿のコンタクトガラスからの浮き上がり量を検出し、浮き上がりによる画像の歪みを修正する手段を具備することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記見開き製本原稿の境界を求める手段は、検出したエッジデータの最も深い位置をページ境界と判定することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記見開き製本原稿の境界を求める手段は、検出できていたエッジができなくなった位置と検出できなくなったエッジが検出できるようになった位置とを結ぶ直線の中央をページ境界と判定することを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記ページの後端の位置を求める手段が、エッジデータから求めた前記見開き製本原稿の浮き上がり量のプロファイルからページ境界までの距離を求め、ページ境界以降のプロファイルから求めた距離が前記先端からページ境界までの距離と同じになる位置とすることを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記ページの外側を白色にする手段は、後端以降の画像データを白色に転換する手段を含むことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記ページの外側を白色にする手段は、原稿の先端の所定幅における画像データを白色に転換する手段を含むことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記ページの外側を白色にする手段は、突き当てエッジ側を検出する辺と対向する辺の側を読み取った画像データが原稿の背景が黒に変化する位置を求め、エッジの外側の画像データを白色に転換する手段を含むことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1または4に記載の画像読取装置において、
前記ページの外側を白色にする手段は、検出した突き当て側のエッジの外側における画像データを白色に転換する手段を含むことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項3ないし5のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記ページの後端の位置と前記原稿の幅のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段は、原稿を突き当てる位置からページの後端位置までの長さを超える定型ページサイズのなかの最も小さいサイズの長さに対応する位置を出力画像の後端とすることを特徴とする画像読取装置。 - 請求項6に記載の画像読取装置において、
前記ページの後端の位置と前記原稿の幅のデータに基づいて予め用意した複数の定型ページサイズから選択することにより出力画像の後端位置を決定する手段は、原稿を突き当てる位置からページの後端位置までの長さに先エッジ及び後エッジを検出する手段の出力に検出不能領域の長さに基づく補正をした長さを超える定型ページサイズのなかの最も小さいサイズの長さに対応する位置を出力画像の後端とすることを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし14のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記ページ境界からページ後端までの画像をページ後端が出力画像の後端と一致するように移動することによって生じた空白部を白色に置き換える手段を含むことを特徴とする画像読取装置。 - 請求項1ないし15のいずれか1つに記載の画像読取装置において、
前記見開きの製本原稿のページを2ページにつながった一つの画像データとして出力する手段と、2ページそれぞれを別の画像データとして出力する手段とを選択可能であることを特徴とする画像読取装置。
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