JP3633666B2 - 樹脂製上蓋、それが緊締キャップ頂面に適度に接合された樹脂製の密封兼緊締ユニット及び密封兼緊締ユニットの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は主として薬剤容器、特にバイアルに内嵌された口栓に対する汚染を防止する為にその頂面に装着される樹脂製上蓋及び該樹脂製上蓋が使用時に手指で除去可能な程度に溶接された樹脂製の密封兼緊締ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
主として薬剤容器、特にバイアルはガラスで形成されると共に、その封止の為にはゴム栓等の口栓が内嵌され、更にその脱落を防止する為にアルミニウム等で形成されたキャップが冠装されて来た。このキャップはバイアル内部に収容された液体を注射針等で吸い上げて用いる為に、ゴム栓の中央部は覆わない様にキャップが冠装されている。
【0003】
この薬剤容器を使用後に廃棄する為にはそれを分解して可燃物と不燃物とに分別することが環境保全の見地から法定される風潮が主流を占める様になった。そこで、使用後の分解及び分別作業を解消する目的で薬剤容器をガラスから樹脂化する動きが生じている。しかし、この材質変更ではアルミニウム等で形成されたキャップは依然として除去する必要が残される。
【0004】
最終的な全面的可燃物化として、上記の緊締キャップも樹脂化される動きが表面化し始めた。しかし、緊締キャップの中心部にはゴム栓等が露出した状態であることが必要である。処が、この露出部が粉塵等で汚染されることは避けるべきである。即ち、その状態で注射針等を刺通したのでは汚染が針先に同伴されて容器内へ侵入する虞を生ずる。
【0005】
上記の未解決課題に既に挑戦した技術として実開平7−21564号公報に開示された「バイアルの密封閉鎖具」を挙げることができる。該公報の「請求項1」に始まる開示によれば、該密封閉鎖具を構成するキャップ(本発明の「緊締キャップ」に対応すると思われる)であって、そのスカート部の内壁に設けられた雌型結合手段によってキャップがバイアルの口部に取り外し不能に結合されたこと及び該キャップが「ゴム栓押圧部」によってゴム栓をバイアルの口部先端に押圧する為には、該ゴム栓が押圧されるフランジを天面外側に有することが規定されている。
【0006】
しかし、上記の実開平7−21564号公報に開示された密封閉鎖具を用いる方式では乾燥機内で密封することができない。その理由は同考案がゴム栓(2)をキャップ(1)に装着した状態でバイアル(V)に冠装する方式を開示しているに過ぎず、この方式は本発明において用いられる凍結乾燥処理には適用できないことにある。
【0007】
即ち、本発明の密封兼緊締ユニットは冠装されるべき容器に収容された薬液が凍結乾燥処理によって固化された段階で初めて冠装されるものである。その前段階である凍結乾燥段階では、密封緊締ユニットに装着されたゴム栓は却って障害となる。換言すれば現行の凍結乾燥機に適合し得ない。
【0008】
上記の凍結乾燥処理について概説すれば下記の通りである:
・容器内に薬液が装入され、
・容器の口頚部にゴム栓が半打栓され、
・該容器が凍結乾燥機内へ整列後に凍結乾燥処理されて収容薬剤が固化し、
・凍結乾燥機のフラット板で上から押圧されてゴム栓が完全に押し込まれ(密封され)た状態で凍結乾燥機から取り出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記の汚染同伴を防止する為に、樹脂製の緊締キャップの頂面を更に上蓋等で覆う場合に出会う新たな障害である上蓋の除去困難性解消と汚染防止とを両立させる方策を提供することにある。換言すれば、この上蓋を上記の樹脂製の緊締キャップの頂面に適度に接合して、輸送及び貯蔵等の際には不時の離脱を生じないと共に使用時に除去する際には手指で比較的容易に取り去れる程度に接合することによって上記の課題を解決する手段を提供するものである。
【0010】
前項で述べた様に、この種の改良手段は既に提案されている。しかし、該改良手段はゴム栓がバイアルの口部先端に押圧されるフランジをその天面外側に有することを必須要件としたものであって、常用されているゴム栓が嵌装された充填バイアルには適用困難な限定的手段である。本発明の目的は既知手段に伴う制約を取除いて、バイアルの口部に通常嵌装される形状のゴム栓に適用可能な密封閉鎖具を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の密封兼緊締ユニットは、
ゴム栓4で密封された容器の口部に装着する密封兼緊締ユニット3であって、
前記容器の口部に装着される樹脂製の中心孔2hを備えた緊締キャップ2と、
前記緊締キャップ2の頂面に溶接される熱可塑性樹脂製の上蓋1とを備え、
前記上蓋1の下面の中心近傍には、緊締キャップ2の中心孔2hに挿着される内側環状突条1rが形成され、
前記上蓋1の下面1dには、相互に離間した複数個の溶接用突起1bが形成され、
前記上蓋1が、上蓋1の下面1dに形成された複数個の溶接用突起1bを介して、緊締キャップ頂面2tに脱離可能に溶接されており、これにより、
前記上蓋1の下面1dの内側環状突条1rが、緊締キャップ2の中心孔2hに挿着されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記上蓋1の下面1dには、前記溶接用突起1bの間を相互に連結する連結突条1uが形成されていることを特徴とする。
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記連結突条1uが、上蓋1の中心から放射方向に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記連結突条1uが、上蓋1の外周と略平行方向に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記上蓋1が、上蓋1の下面1dに形成された複数個の溶接用突起1bを介して、緊締キャップ頂面に、総括引張強度0 . 5〜3 kgf の強度に溶接されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記熱可塑性樹脂製の上蓋1の下面1dに位置
する複数個の溶接用突起1bが、基底面積0.4〜2mm2を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記上蓋1及び緊締キャップ2が、同種の構成単位を含有するとともに、前記構成単位が、窒素、酸素及びハロゲンから選ばれる1種以上の元素を含有する熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の密封兼緊締ユニットは、前記上蓋部分1及び緊締キャップ部分2が、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選ばれる1種以上の樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、熱可塑性樹脂で形成された本発明の上蓋(1)を示している。
図2(a)は、本発明の密封兼緊締ユニット3の一実施例であって、その上蓋 ( 1 ) が、緊締キャップ(2)の頂面(2t)に、適度に溶接された状態の樹脂製の密封兼緊締ユニット(3)であって、密封兼緊締ユニット ( 3 ) が、ゴム栓 ( 4 ) で密栓された薬剤バイアル ( V ) に
冠装された状態を示している。
図2(b)は、本発明の密封兼緊締ユニット3の別の実施例であって、その上蓋 ( 1 ) が、緊締キャップ ( 2 ) の頂面 ( 2 t) に溶接される前の状態で、密封兼緊締ユニット ( 3 ) が、
ゴム栓 ( 4 ) で密栓された薬剤バイアル ( V ) に冠装される前の状態を示している。
【0017】
図1の(a)は本発明の上蓋(1)の下面(1d)を示す模式的下面図であって、その中心付近を内側環状突条(1r)が囲み、複数個の溶接用突起(1b)が内側環状突条(1r)の外側を囲む略円周上に位置し、外周縁付近を周縁環状突条(1e)が取り囲んでいる。また、補強突条(1u)が内側環状突条(1r)と周縁環状突条(1e)とを連絡する位置に突設される場合及び/又は何れかの溶接用突起(1b)とそれの隣に位置する溶接用突起(1b)とを連絡する略円弧上に突設される場合もある。
【0018】
溶接用突起(1b)は上蓋(1)の下面(1d)から通常3個立ち上がっている。これらの溶接用突起(1b)は下面(1d)からの高さ通常0.3〜2mm、好ましくは0.5〜1mmであれば通常の目的には十分である。溶接用突起(1b)の形状は特に制限されず、点状でも、所謂突条即ち1方向へ伸びる山脈状でも、輪状でも差し支えない。突条の場合には円周と略平行に伸びても、半径方向(放射方向)に伸びても、両者が一体化したL字型等であっても良い。何れの場合にも、溶接されるべき先端部(周縁部)は基底部よりも細く又は薄く形成されていることが好ましい。その効用は溶接所要時間抑制においても、除去迅速化においても同様である。
【0019】
溶接用突起(1b)が点状又は輪状の場合には、上記の高さ範囲に属することに加えてその平均的直径を0.3〜1mm、好ましくは0.5〜0.7mm程度に選べば殆どの場合には十分である。突条である場合にも上記の高さ範囲に属することに加えてその長さ及び幅において通常的制約が課され、長さ通常2〜5mmで肉厚通常0.3〜1mm程度であれば十分である。勿論、溶接用突起又は溶接用突条(1b)の大きさ(寸法)は溶接される材料の特性に応じて適切に選定すべきである。
【0020】
溶接用突起(1b)と樹脂製の緊締キャップ(2)の上面(2t)との間に形成された溶接部の総括引張強さは通常0.5〜3kgf、好ましくは0.5〜2kgfである。ここで「総括引張強度」とは、上蓋を除去する操作によって同時に引張応力を発現する個々の溶接用突起(1b)の引張応力の個数倍[=(引張応力/個)×個数]である。
【0021】
従って、3個の溶接用突起(1b)が存在する場合において親指による押上げ力は通常、2個の溶接用突起(1b)に同時に印加される結果、溶接用突起(1b)1個当たりの引張強度は所定値の約1/2で耐えられることが期待される。
【0022】
この溶接用突起(1b)には、上記の要件が充足されるに留まらず、下記の要件を充足することが最終的に要求される:
◆高周波振動、その中でも超音波によって極めて短時間特に、殆ど1秒間以下で溶接可能であること
◆溶接された上蓋が輸送時及び貯蔵時には不時の脱離を生じ難いこと
◆使用時直前には手指で比較的容易に除去可能であること。
【0023】
図1の(a)における上蓋(1)の中心付近には内側環状突条(1r)が位置し、その外径が図2の(b)に示された緊締キャップ(2)の中心孔(2h)の内径に可能な限り近いことが好ましい。その目的は図2の(b)に示された緊締キャップ(2)の上面中心付近に設けられた中心
孔(2h)を可能な限り外界から遮断することにある。
換言すれば、中心孔(2h)から外界へ開放されるおそれあるゴム栓(4)の露出域を汚
染されない様に保護することにある。
従って、図2(b)の実施例の密封兼緊締ユニット(3)では、上蓋(1)が、上蓋(1)の下面(1d)に形成された複数個の溶接用突起(1b)を介して、緊締キャップ頂面(2t)に脱離可能に溶接される。これによって、図2(b)に示したように、上蓋(1)の下面の中心近傍に形成された内側環状突条(1r)が、緊締キャップ2の中心孔(2h)に挿着されるようになっている。
これにより、ゴム栓 ( 4 ) の露出域が汚染されない様に保護されるようになっている。
【0024】
上蓋(1)の外縁付近が緊締キャップ(2)の側へ立ち上がるか、肥厚して画成された周縁環状突条(1e)の意義は主として上蓋(1)の補強に求められる。図1の(b)は、上記の上蓋(1)の模式的縦断面図(上蓋の中心軸を含む面A−Aで切断した図)で、上蓋(1)の下面(1d)から3個の略円錐台の溶接用突起(1b)が立ち上がっていることが判る[他の1個は内側環状突条(1r)の蔭に隠れて不図示]。溶接用突起(1b)の高さは上蓋の下面(1d)か
ら略0.5mmであり、模式的側面形状は下面(1d)から立ち上がる台形(即ち、円錐台形)である。
【0025】
更に、溶接用突起(1b)が特に点状である場合には前述の様に、2個以上の溶接用突起(1b)を相互に連結(連絡)する連結突条(1u)を上蓋(1)の下面(1d)に設ける方策も採用できる。連結突条(1u)の設置方向としては例えば、上蓋(1)の中心から放射方向及び/又は上蓋(1)の円周と略平行方向等を挙げることができる。
【0026】
連結突条(1u)が放射方向へ設けられている方式は溶接された上蓋(1)を除去する際に、それを外周から中心へ向けて引き剥がす方式に適合する。即ち、上蓋下面(1d)の外周に近い溶接用突起(1b)が引き剥がされた後にその内側(中心寄り)の溶接用突起(1b)が剥がされ得なかった結果として上蓋(1)に主として円周に平行な亀裂が生ずる事態を回避する為に有用である。
【0027】
他方、連結突条(1u)が円周と略平行方向に設けられている方式は溶接された上蓋(1)を円周と平行方向へ回転させて溶接用突起(1b)を捻切る(剪断する)方式に適合する。即ち、略同一円弧上に位置する何れかの溶接用突起(1b)が捻切られた後にそれと同一円弧上の他の溶接用突起(1b)が捻切られ得なかった結果として、上蓋(1)に主として放射方向の亀裂が生ずる事態を回避する為に有用である。
【0028】
上蓋(1)の下面(1d)から立ち上がる溶接用突起(1b)の個数は3〜8個程度の範囲の任意の個数で良い。従って、通常は3個、4個、多くても6個等に選ばれる。しかし、個数が多くなれば上蓋(1)を手指で除去しにくくなり易い。上記の制約を考慮すれば、溶接箇所の個数を適度、通常は比較的少ない個数に抑えることが有用であって、3個で殆どの場合には十分である。
【0029】
図1の(c)は本発明の密封兼緊締ユニット作成に用いられる上蓋(1)の外形、溶接用突起(1b)の外形及び配置並びに連結突条(1u)の外形及び配置等の例を示す模式的拡大図である。同図の上半部(上下左右は説明の便宜上の表現である)は上蓋(1)の外径が略正六角形である例の片側を示し、各頂点は丸く仕上げられていることが好ましい。また、同図の下半部は上蓋(1)の各辺が中心側へ窪められていると共に、各頂点が丸く仕上げられている例を示す。
【0030】
図2(a)は、本発明の密封兼緊締ユニット3の一実施例であって、その上蓋 ( 1 ) が、緊締キャップ(2)の頂面(2t)に、適度に溶接された状態の樹脂製の密封兼緊締ユニット(3)であって、密封兼緊締ユニット ( 3 ) が、ゴム栓 ( 4 ) で密栓された薬剤バイアル ( V ) に
冠装された状態を示している。
図2の(a)は、上蓋(1)と緊締キャップ(2)との接合状態を示しており、両者の間には
僅かな間隙が存在する。
【0031】
しかしながら、間隙は必須ではなく、溶接用突起(1b)が軽度に緊締キャップ(2)の頂
面(2t)に溶接された結果として生じたものに過ぎない。
図2(b)は、本発明の密封兼緊締ユニット3の別の実施例であって、その上蓋 ( 1 ) が、緊締キャップ ( 2 ) の頂面 ( 2 t) に溶接される前の状態で、密封兼緊締ユニット ( 3 ) が、
ゴム栓 ( 4 ) で密栓された薬剤バイアル ( V ) に冠装される前の状態を示している。
【0032】
<<上蓋(1)及び緊締キャップ(2)の材質>>
本発明の上蓋(1)及び緊締キャップ(2)の材質は何れも上記の様に高周波振動、その中でも超音波によって溶接可能な樹脂であることを要する。ここで「樹脂」とは結晶性樹脂に限らず、所謂ガラス状の重合体であっても成形業界で通常は「樹脂」と認識されて流通している重合体を全て包含する。
【0033】
この要求を充足する樹脂は熱可塑性樹脂であってしかも適度の溶融粘度を呈するものである。この性状は分子中に極性原子(陰性原子)を含有する分子から構成された樹脂である。この観点では、通常のポリオレフィン系重合体は一般に適性を備えていない。
【0034】
即ち、素朴な意味におけるポリオレフィン系重合体はその構成単位が極性原子例えば、窒素、酸素又はハロゲンの何れをも含有しないことに起因する。従って、改質されたポリオレフィン系重合体は必ずしも除外されない。即ち、これらの改質ポリオレフィン系重合体は場合によっては高周波溶接、その中でも超音波溶接可能な程度に極性共重合単位を含有する。
【0035】
本発明の密封兼緊締ユニット ( 3 ) を構成する上蓋 ( 1 ) 及び緊締キャップ ( 2 )を形成する熱可塑性樹脂は、その構成単位が窒素、酸素及びハロゲンから選ばれる1種以上の陰性元素を含有するものであって、ハロゲンとして実用されるものは例えば、塩素及び/又はフッ素である樹脂である。
【0036】
該熱可塑性樹脂としては例えば、ポリアミド樹脂(ナイロン)、熱可塑性ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル酸又はそのエステルもしくはその塩から構成された樹脂、ポリスルホン、ポリイソシアネート(ポリウレタン)、尿素樹脂、ポリフェニレンエーテル(略称:PPE)、ポリアセタール及び脂環族縮合環樹脂等を挙げることができる。
【0037】
上記の上蓋(1)、緊締キャップ(2)及びバイアル(V)の3者は何れも最適な樹脂で作成されれば良く、同一の樹脂で作成されていることを要しない。しかし実務的には、上蓋(1)と緊締キャップ(2)とは同一種の樹脂で形成されている場合が多い。ここで同一種の樹脂とは、その相互に共通の構成単位を含有する両樹脂を言う。
【0038】
その理由は両者が相互に溶融接合されることに求められる。即ち、両樹脂が溶融時に相溶性を発現し得ることに加えて常温においても依然として相溶性を保持していることが必要である。相互に異種の樹脂の間には、溶融接合困難な事態が生じ得る。例えば、汎用のポリオレフィンとポリアミド樹脂との間は常温においては軽度の外力によって容易に界面剥離を生ずる。
【0039】
上記の適合樹脂の中で実用性の特に高いものの例を更に具体的に説明すれば下記の様なものである:
◆ポリアミド樹脂(ナイロン)
6−ナイロン、6,6−ナイロン(66−ナイロン)、メタキシリレンジアミン−脂肪族ジカルボン酸縮合重合樹脂中でも、メタキシリレンジアミン−アジピン酸縮合重合樹脂(略称:MXD6);
◆熱可塑性ポリエステル
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT);
◆ポリカーボネート(PC)
ビスフェノール類の誘導体と炭酸誘導体との縮合重合(重縮合)樹脂の総称であって、通常は2,2−プロピリデンビス(4ーオキシフェニル)(通称ビスフェノールA)の誘導体例えばナトリウム塩と炭酸の酸塩化物例えば、ホスゲンとの縮合重合樹脂が多用される。その他にもビスフェノール類として下記のものを用いたポリカーボネート類を挙げることができる:
・メチレンビス(4ーオキシフェニル)(通称ビスフェノールF)、
・2,2−エチリデンビス(4ーオキシフェニル)エタン
・2,2−ブチリデンビス(4−オキシフェニル)ブタン等;
◆脂環族縮合環樹脂
ノルボルネン類の水素化開環重合による樹脂
◆◆ポリシクロポリエン類中でもトリシクロデセンの付加重合樹脂又は
◆◆トリシクロデセンと1−オレフィン、通常はエチレンとの共重合樹脂。
【0040】
上記の各種熱可塑性樹脂の中でも、上蓋(1)及び緊締キャップ(2)は共に同一の熱可塑性樹脂(熱可塑性重合体)で形成されていることが好ましく、該樹脂として好ましいものはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)である。
【0041】
<<溶接手段>>
本発明の樹脂製の上蓋(1)の下面(1d)から立ち上がる溶接用突起(1b)を樹脂製の緊締キャップ(2)の頂面(2t)に適度に溶接する溶接手段としては、高周波振動溶接が好ましく、中でも超音波溶接が特に好ましい。この溶接手段が好ましい理由は極めて短時間例えば0.2〜0.5secで溶接可能であることに加えて所望の箇所を狭く絞って溶接(スポット溶接)可能な点である。
【0042】
即ち、一旦成形された上蓋(1)と緊締キャップ(2)とを流れ作業工程の様な極めて短時間しか溶接対象の滞留が許されない作業工程においては、成型品の無関係部分に影響を与えずに所望箇所だけを可能な限り短時間で溶接できる溶接法であることを要する。
【0043】
高周波振動を用いる溶接手段の中でも、超音波溶接が実用的である。とはいえ、マイクロ波の様な電磁波を用いる溶接も有用な手段であることは確実である。これらの溶接手段は用いられる溶接対象に応じて適宜に選択して用いれば十分である。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
【実施例1】
注射剤用バイアル(V)をJIS R3521に規定されたバイアル1号に準拠して縮合多環構造からなるトリシクロデセン誘導体[商品名:APEL6015(三井石油化学社製)]で作成し、テスト用の薬剤充填後にその口部に所定のゴム栓(滅菌済み)を約4mm浮かせた状態(半打栓状態)で装着し、−40℃の温度で凍結乾燥機内において凍結乾燥後にゴム栓を完全に打栓して凍結乾燥機から取出した。
【0046】
次に、バイアル(V)の口部周縁とそれに続く頚部とに一体構造の密封兼緊締ユニット(3)を外嵌して装着した。この一体構造の密封兼緊締ユニット(3)はポリカーボネート製であって上蓋(1)がその下面に突設された3個の溶接用突起(1b)を介して緊締キャップ(2)の上面に超音波溶接機[商品名:910IW(BRANSON社製)]を用いて上蓋(1)の上面から溶接用突起(1b)に超音波振動を供給(2×103Hz;0.15sec)して該突起(1b)の先端部を緊締キャップの上面(2t)に必要最小限の強度で溶融接合させた。溶融接合の強度は内容物充填済みの注射剤用バイアル1号(V)をそれにに上蓋(1)が融着された状態で高さ1mから自然落下させた場合に、上蓋(1)が脱離しない強度を言う。
【0047】
得られた樹脂製上蓋付きの密封兼緊締ユニット(3)は手指による取扱い時においても上蓋(1)の自然脱離が生じなかった。その寄与でバイアル(V)の上面におけるゴム栓部にも、その口周縁部にも無意識的所作に起因する手指等の接触が全く生じなかった。
【0048】
しかも、該注射剤用バイアル(V)から注射剤を用いるに先立って上蓋(1)を除去する為に該上蓋(1)を除去しようとした際には多少の要領は要したものの、別段の道具を要せずに手指で安全迅速に上蓋(1)を脱離させることができた。
【0049】
【発明の効果】
本発明の溶接用突起を複数個設けた上蓋及びそれが上面に溶接された本発明の密封兼緊締ユニットを用いれば下記の種々の効果を奏し得る:
(1)金属製の緊締キャップを樹脂製に変更した場合に残る問題であるゴム栓露出部分の汚染を上蓋の装着によって効果的に防止する
(2)装着された上蓋は取扱いの段階においては自然脱離し難く、バイアル内に収容された薬剤の使用直前に手指によって比較的容易に除去できる
(3)追加された溶接工程は極めて短時間で上蓋を所望の箇所に限って総括引張強度2kgf以下程度で緊締キャップに溶接できる
(4)既存の連続作業工程においても既存の手順に特段の変更を加えずにその工程中に上蓋の溶接工程を追加できる
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の上蓋(1)の見取り図を示し、図1の(a)は本発明の上蓋(1)の下面を示す模式的下面図であって、その下面から複数個の溶接用突起が立ち上がっている。図1の(b)は上蓋の模式的縦断面図であって、上蓋の下面から4個の点状溶接用突起が立ち上がっている状態を示す。図1の(c)は上蓋の外形の変形例を示す模式図である。
【図2】図2(a)は、本発明の密封兼緊締ユニット3の実施例であって、その上蓋 ( 1 ) が、緊締キャップ ( 2 ) の頂面 ( 2 t) に、適度に溶接された状態の樹脂製の密封兼緊締ユニット ( 3 ) であって、密封兼緊締ユニット ( 3 ) が、ゴム栓 ( 4 ) で密栓された薬剤バイアル ( V ) に冠
装された状態を示し、図2(b)は、本発明の密封兼緊締ユニット3の別の実施例であって、その上蓋 ( 1 ) が、緊締キャップ ( 2 ) の頂面 ( 2 t) に溶接される前の状態で、密封兼緊
締ユニット ( 3 ) が、ゴム栓 ( 4 ) で密栓された薬剤バイアル ( V ) に冠装される前の状態を示している。
【符号の説明】
1 下面に溶接用突起を備えた本発明の上蓋
2 樹脂製の緊締キャップ
3 本発明の上蓋が樹脂製の緊締キャップ上面へ溶接された本発明の密封兼緊締ユニット
4 薬剤バイアル口部に内嵌されるゴム栓
V 薬剤バイアル
1b 溶接用突起
1d 上蓋の下面
1r 内側環状突条
1u 連結突条
2h 緊締キャップ上面の切欠
2t 緊締キャップの上面(頂面)
Claims (8)
- ゴム栓4で密封された容器の口部に装着する密封兼緊締ユニット3であって、
前記容器の口部に装着される樹脂製の中心孔2hを備えた緊締キャップ2と、
前記緊締キャップ2の頂面に溶接される熱可塑性樹脂製の上蓋1とを備え、
前記上蓋1の下面の中心近傍には、緊締キャップ2の中心孔2hに挿着される内側環状突条1rが形成され、
前記上蓋1の下面1dには、相互に離間した複数個の溶接用突起1bが形成され、
前記上蓋1が、上蓋1の下面1dに形成された複数個の溶接用突起1bを介して、緊締キャップ頂面2tに脱離可能に溶接されており、これにより、
前記上蓋1の下面1dの内側環状突条1rが、緊締キャップ2の中心孔2hに挿着されていることを特徴とする密封兼緊締ユニット。 - 前記上蓋1の下面1dには、前記溶接用突起1bの間を相互に連結する連結突条1uが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の密封兼緊締ユニット。
- 前記連結突条1uが、上蓋1の中心から放射方向に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密封兼緊締ユニット。
- 前記連結突条1uが、上蓋1の外周と略平行方向に形成されていることを特徴とする請求項2から3のいずれかに記載の密封兼緊締ユニット。
- 前記上蓋1が、上蓋1の下面1dに形成された複数個の溶接用突起1bを介して、緊締キャップ頂面に、総括引張強度0 . 5〜3 kgf の強度に溶接されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の密封兼緊締ユニット。
- 前記熱可塑性樹脂製の上蓋1の下面1dに位置する複数個の溶接用突起1bが、基底面積0.4〜2mm2を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の密封兼緊締ユニット。
- 前記上蓋1及び緊締キャップ2が、同種の構成単位を含有するとともに、前記構成単位
が、窒素、酸素及びハロゲンから選ばれる1種以上の元素を含有する熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の密封兼緊締ユニット。 - 前記上蓋部分1及び緊締キャップ部分2が、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選ばれる1種以上の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の密封兼緊締ユニット。
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