JP3633051B2 - エアバッグの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、予め自動車の所定の収容位置に収容されて用いられ、走行中の自動車が衝突した時、車体と乗員との間で膨張し、衝撃を吸収し緩和する機能を果たすエアバッグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエアバッグの製造方法として例えば、
(1)平織り等の織布をそのまま袋状に縫製したり、シリコンなどをコートした織布を袋状に縫製してエアバッグを製造する方法が用いられている。
(2)特開平3ー266745号公開公報には、膨張させたマンドレルの周りにエラストマー繊維糸を巻回して加熱し、袋体を成形した後、マンドレルを縮ませて抜き出しエアバッグを製造する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記(1)の従来のエアバッグの製造方法によると、例えば、製織準備工程、製織工程、精錬(洗浄.乾燥)工程、織布にシリコンをコートするコート工程、裁断工程、縫製工程などの多種工程を必要としているため、製造しにくく、製造コストが高くなる。
【0004】
また前記(2)の従来のエアバッグの製造方法によると、エラストマー繊維糸を巻回して、所定の大きさの袋体を成形するため、巻回するための手間が大変であり、さらにマンドレルを縮ませて抜き出すなど、面倒な工程を必要とし、製造しにくく、製造コストが高くなる。
本発明は、前記問題点に鑑みなされたもので、工程数が少なく製造しやすく、製造コストを低減できるエアバッグの製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のエアバッグの製造方法は、エアバッグ形状としたキャビィティをもつ型の型面に沿って、溶融した合成樹脂を繊維状に噴出するとともに気流により吹き付け、該型面に繊維を堆積しエアバッグを形成することを特徴とする。
請求項1記載のエアバッグの製造方法において、融点の異なる2種類以上の合成樹脂を順次吹き付け、2種類以上の複層構造をもつエアバッグとすることができる。
【0006】
請求項1記載のエアバッグの製造方法において、型面に堆積する繊維に、無機繊維を混入することができる。
請求項1記載のエアバッグの製造方法において、エアバッグの直径方向に型閉じおよび型開きする型を用いることができる。
【0007】
請求項1あるいは請求項2記載のエアバッグの製造方法において、形成されたエアバッグをプレス型により加圧することができる。
請求項6記載のエアバッグの製造方法は、エアバッグ形状としたキャビィティをもつ型の該キャビティ内に予め基材袋を配置し、該基材袋内面に溶融した合成樹脂を繊維状に噴出するとともに気流により吹き付けて堆積させて不織布よりなる内層として形成し、エアバッグを形成することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1又は請求項6記載のエアバッグの製造方法で用いられる合成樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコ−ル、ポリ塩化ビニリデン、ウレタンなどの熱可塑性樹脂を素材(以下、熱可塑性樹脂素材と称する。)として用いることができる。
【0009】
請求項1(又は請求項6)記載のエアバッグの製造方法で型面(又は基材袋内面)に堆積される繊維は、長繊維、短繊維、長繊維と短繊維との中間の長さの繊維などとし、目的に応じて自由に選択できる。
長繊維は、例えば、スパンボンド法によって生成することができ、デニール1d/f〜デニール5d/fのものを用いることができる。長繊維を用いて形成された層は、低いバルク性を備え強度に優れる。
【0010】
短繊維としては、例えば、メルトブロー法によって生成することができ、繊維径0.5μm×繊維長さ10mm〜繊維径5μm×繊維長さ30mmのものを用いることができる。短繊維を用いて形成された層は、柔軟性、非透過性、絶縁性に優れる。
堆積とは、溶融した合成樹脂を繊維状として型の型面(又は基材袋の内面)に沿って吹き付け、軟化および凝固せしめて繊維同士を結合して所定の厚さに層を形成する状態である。
【0011】
前記層を形成する繊維密度は、繊維の吹き付け圧力、吹き付け時の温度、吹き付け繊維の堆積量、などを目的に応じて変化させることによって、種々設定できる。
請求項2の2種類以上の複層構造をもつエアバッグを製造する方法の態様としては、前記型を用いその型面に、まずメルトブロー法によりポリプロピレン製繊維を気流により吹き付けて堆積させる。引き続きメルトブロー法によりポリブチレンテレフタレート製繊維を気流により吹き付けて堆積させることによって複層構造をもつエアバッグを製造することができる。
【0012】
また、前記複層構造をもつエアバッグを製造する方法の他の態様としてエアバッグ形状としたキャビィティをもつ型例えば、メッシュ状の型や、電鋳金型などの通気性を備えた型を用いることができる。この通気性を備えた型を用いた場合には、スパンボンド法により溶融したポリエチレンテレフタレート製繊維を型面に気流により吹き付けて堆積し、この後、堆積した内面に熱エンボス加工により点(スポット)状に熱圧を加え、スパンボンド不織布として形成する。引き続き、エアバッグがクッション体として機能する膨張時に、乗員(特に、顔面)に当接する領域のみに、メルトブロー法によりポリプロピレン製繊維を気流により吹き付けて堆積させ、部分的領域に前記複層構造をもつエアバッグを製造できる。
【0013】
請求項2の融点の異なる2種類以上の合成樹脂としては、例えばナイロンなどとポリプロピレンなどを、時間差を設けて別々に繊維状として型の型面に沿って吹き付けることができる。
請求項3の無機繊維としては、タルク、炭カル、粘土鉱物、セラミックスなどの無機充填材を用いて繊維となしたものであってもよい。
【0014】
熱可塑性樹脂素材は、予め所定の大きさに粉砕され、原料チップとして用いられる。
熱可塑性樹脂素材と他の素材(無機充填材やエストラマー)との混合重量比率は、熱可塑性樹脂素材:他の素材=99.5:0.5〜95:5とすることができ、この場合各繊維を堆積することにより形成された不織布面重量は10g/m2 〜500g/m2 とすることができる。
【0015】
熱可塑性樹脂繊維と無機繊維との混合重量比率は、熱可塑性樹脂繊維:無機繊維=10:90〜90:10とすることができ、この場合各繊維を堆積することにより形成された不織布面重量は10g/m2 〜500g/m2 とすることができる。
請求項6の基材袋としては、予め種々の方法で製造されたシート製の袋や、不織布製の袋、織布製の袋などを用いることができる。なお、基材袋として織布製の袋を用いた場合には、袋内面に繊維を堆積した層よりなる不織布を形成した後、裏表を反転することにより、不織布を表出面側に配置し、織布を内面側に配置したエアバッグとして用いることが好ましい。また、前記裏表を反転することにより形成されたエアバッグは、その表出面側となる領域あるいは表出面側のうち、乗員(特に、顔面)に当接する領域部分には、柔軟な材質(ポリエチレンやポリプロピレン)よりなる繊維を堆積した柔軟層よりなる不織布製であることが好ましい。
【0016】
請求項6の型のキャビィティ内に予め基材袋を配置し、該基材袋内面に繊維を堆積した層を形成する場合、予め型内に熱可塑性フィルムあるいは熱可塑性シート製の基材袋を配置した後、その内周側に前記合成樹脂を繊維状に吹き付け堆積させ、不織布よりなる内層として形成した後、型内より取り出し内層と外層とを反転することにより、内層側に熱可塑性フィルムあるいは熱可塑性シートを配置し、かつ外層側に不織布を配置して、前記乗員に当接する側の対向領域に露出するようにすることもできる。
【0017】
また、前記基材袋としては、予めエアバッグの厚み方向に半分割りして設けた2個の袋中間形状体を用いてキャビィティ内に設置した後、前記2個の袋中間形状体を接合し、一体化することができる。
この場合においても、エアバッグとして車の所定位置に組み込まれ、膨張させた使用時に、乗員に当接する側の対向領域と、その反対側の背向領域とで材質を変えることができる。
【0018】
なお、例えば、対向領域の材質としては、乗員にソフトに当接する柔軟性に優れたポリプロピレンなどを用い、背向領域の材質としては、強度に優れたナイロン66などを用いることができる。
請求項5のエアバッグの製造方法のように、形成されたエアバッグをプレス型により加圧した場合には、エアバッグの層を堆積して形成する各繊維よりなる不織布状の繊維集積体を所定の圧力で加圧することによって、各繊維の接合度および密度を高め、非透過性および強度をさらに向上することができる。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
本発明のエアバッグの製造方法の実施例1を図1〜図4に基づいて説明する。
実施例1のエアバッグの製造方法は、図1〜図3に示す紡糸装置1およびエアバッグ成形型(以下、成形型と称す)3を用い、型閉じ工程、堆積工程、取り出し工程などを順次、実施することによって、中空のエアバッグ6(図4参照)を製造するものである。
【0020】
前記型閉じ工程、堆積工程、取り出し工程を実施するに先立ち、紡糸装置1および成形型3を説明する。
紡糸装置1は、原料チップ2a(図3参照)の溶融樹脂供給口10と、溶融樹脂供給口10より供給された原料チップ2aを加熱溶融する筒部11と、筒部11内の原料チップ2aを加圧するスクリュー12と、筒部11内の溶融した原料チップ2aをスクリュー12で加圧することにより繊維2bとして噴出する繊維噴出口(ノズル部)13と、高温の気流源(図示せず)をもつ気流供給通路14と、繊維噴出口13の外周側に配設されるとともに気流供給通路14に接続し高温の気流S(図3参照)を繊維噴出口13の前方に向かって噴出する気流噴出口15と、繊維噴出口13および気流噴出口15の前方に配置され、繊維噴出口13から噴出した繊維2b(図3参照)を、気流噴出口15から噴出した気流Sによって後で述べる成形型3のキャビィティ3aまで流動(搬送)させ、かつ先端噴出口17より第1分割型4の第1型内面40および第2分割型5の第2型内面50に吹き付ける揺動噴出筒部16と、を備えている。
【0021】
なお、前記繊維噴出口13から噴出される繊維2bや気流噴出口15から噴出される気流Sの噴出量、噴出流速等の噴出条件は、特開昭54−134177号公報に準じて調整できる。
揺動噴出筒部16は、図略の揺動装置によって、その先端噴出口17を中心軸線Pを基準として、間欠的にあるいは連続的に揺動できる首振り機能をもつ。
【0022】
原料チップ2aとしては、ポリプロピレン等が用いられる。
成形型3は、いわゆる縦割り方式のもので図4に示すエアバッグ6の厚みt方向(図1、図2で左右方向)に型開き(図1参照)および型閉じ(図2参照)する第1分割型4と第2分割型5とが用いられる。
第1分割型4および第2分割型5とは、型閉じ時に、互いに所定の間隔を隔てて対向するとともに、エアバッグ6の外観形状を形成する第1型内面40および第2型内面50を備え、かつ第1型内面40と第2型内面50とでキャビィティ3aを形成する。
【0023】
また、第1分割型4には、エアバッグ6にインフレータ(図示せず)を装着するための開口部62を形成するため、第1型内面40に連接された開口部形成用の孔壁状型面41に囲まれ、前記紡糸装置1の揺動噴出筒部16を出し入れ可能に挿通する孔状挿通部42が設けられている。
前記紡糸装置1および成形型3を用いたエアバッグ製造方法を、以下に説明する。
【0024】
エアバッグ製造方法は、型閉じ工程、堆積工程、取り出し工程などを順に実施する。そして、
型閉じ工程では、図2に示されるように、紡糸装置1の揺動噴出筒部16の先端噴出口17が第1分割型4の挿通部42に位置するようにセットされる。また成形型3は、第1分割型4と第2分割型5とがそれぞれ矢印X1、X2方向に型閉じされ、かつ固定位置に保持されキャビィティ3aを形成する。
【0025】
堆積工程では、図3に示されるように、紡糸装置1が作動され、溶融樹脂供給口10より投入された原料チップ2aが筒部11で300度に加熱され、溶融した状態でスクリュー12により加圧されて押し出され、繊維2bとなって繊維噴出口13より噴出する。一方、気流噴出口15より繊維噴出口13の前方に向かって噴出した高温の気流Sとともに揺動噴出筒部16内を移動し、その先端噴出口17よりキャビィティ3aに溶融状態にある繊維2bが吹き付けられる。
【0026】
このとき、揺動噴出筒部16は揺動、すなわち、所定の角度で所定の回転方向に首振り運動を付与され、揺動噴出筒部16の先端噴出口17より吹き付けられる繊維2bは、第1分割型4の第1型内面40、孔壁状型面41および第2分割型5の第2型内面50に沿って、所定の厚さに堆積するとともに、高熱で溶融状態にあるため自己接着して層60が形成され、かつ内部空間61をもつエアバッグ6が製造される。
【0027】
取り出し工程では、前記堆積した繊維2bが自己接着し層状となり、製造されたエアバッグ6は、所定の時間、自然冷却された後、第1分割型4と第2分割型5とがそれぞれ矢印X2、X1方向に型開き(図1参照)されることにより外部に取り出される。
このように、実施例1の堆積工程によると、揺動噴出筒部16の先端噴出口17よりキャビィティ3aに吹き付けられる繊維2bは、それぞれ高熱で溶融状態にあるため、自己接着しながら、所定の厚さに堆積する。そして、充分な引っ張り強度(500N/15mm)を得ることができる。
【0028】
実施例1のエアバッグの製造方法によれば、図3に示すように、揺動噴出筒部16の先端噴出口17より溶融した繊維2bを噴出するとともに、高温の気流Sにより吹き付け、第1分割型4の第1型内面40および第2分割型5の第2型内面50に繊維2bを堆積することによって前記第1型内面40および第2型内面50の型面形状の外観をもつエアバッグ6を簡易に製造することができる。
【0029】
このため、実施例1のエアバッグの製造方法によれば、前記従来のエアバッグの製造方法で必要としていた多種工程を実施せずに、あるいはマンドレルを用いてその外周部に繊維を巻回したり、マンドレルを縮ませて抜き出すなど、面倒な工程を実施せず、容易に製造でき、製造コストを低減できる。
実施例1のエアバッグの製造方法により得られたエアバッグ6は、高温状態にある繊維2b同士が第1型内面40および第2型内面50に沿って堆積されるとき、自己接着して一体化した層60を備えているため、引裂強度に優れる。
【0030】
また、前記不織布状の層60は、各繊維2bを接着剤を用いずに自己接着して一体化できるため、接着剤を用いることによる接着剤および接着剤に含まれる各揮発成分などによる空気汚染がなく、衛生面で優れる。
さらに、エアバッグ6を不織布で形成できるため、車の収容部に収容して使用する場合、クッション体として機能する膨張時に、乗員との当接部分でソフトに接触でき、かつ膨張に伴い乗員(特に顔面)に与える衝撃を和らげることができる。
【0031】
なお、実施例1のエアバッグの製造方法では、型閉じ状態とした固定位置に保持された成形型3に対し、揺動噴出筒部16を揺動する場合で説明したが、これに限定されるものではなく、逆に、揺動噴出筒部16を固定位置に保持し、成形型3を図略の揺動装置により揺動することや、揺動噴出筒部16と成形型3との両者を図略の揺動装置により揺動するようにすることもできる。
【0033】
(実施例2)
本発明のエアバッグの製造方法の実施例2を図5、図6および実施例1で用いた図1〜図3を参考にして説明する。
実施例2のエアバッグの製造方法は、図6に示す2層(層60と層60a)よりなるエアバッグ6Aを製造する場合に適用される。
【0034】
実施例2のエアバッグの製造方法は、実施例1と同様、図1に示される紡糸装置1およびエアバッグの成形型3を用い、型閉じ工程、第1堆積工程を順次、実施することによって、図3に示される成形型3内でエアバッグ6を製造した後、第2堆積工程および取り出し工程を実施するものである。
すなわち、まず第1堆積工程を実施し、ポリプロピレンよりなる原料チップ2aを用いて生成した繊維2bを所定の厚さに自己接着して層60を形成した後、第2堆積工程を実施し図5に示されるように、ポリエステルを用いた原料チップ2cより生成した繊維2dを所定の厚さに、自己接着して前記層60の内表面600に第2の層60aを形成した。
【0035】
そして第2堆積工程の後、前記実施例1と同じ取り出し工程により第1分割型4と第2分割型5とを型開きすることによりエアバッグ6Aが外部に取り出される。
実施例2のエアバッグの製造方法で得られたエアバッグ6Aは、互いに接合する第1の層60と第2の層60aとで材質を異にする2層よりなるため、実施例1のエアバッグ6の効果に加えて、材料の置換により様々な特性、強度の選択が可能になる。
【0036】
(実施例3)
本発明のエアバッグの製造方法の実施例3を図7および実施例1で用いた図1〜図3、実施例2で用いた図5を参考にして説明する。
実施例3のエアバッグの製造方法は、実施例1と同様、図1に示される紡糸装置1およびエアバッグの成形型3を用い、型閉じ工程、第1堆積工程を順次、実施することによって、図3に示される成形型3内でエアバッグ6Bを第1中間成形品として製造した後、図5に示されるように、第2堆積工程と、取り出し工程とを実施しエアバッグ6Cを第2中間成形品として製造し、さらにエアバッグ6Cを図7に示されるように、裏表、反転してエアバッグ6C`を製造するものである。
【0037】
図7に示すエアバッグ6C`は、実施例2の第1堆積工程で実施例1と同様、図3に示されるように型閉じ工程の後、ナイロン6よりなる原料チップ2eを用いて生成した繊維2fを所定の厚さに自己接着して層63aを形成しエアバッグ6Bを得た後、第2堆積工程を実施し図5に示されるように、ポリエステルを用いた原料チップ2cより生成した繊維2dを所定の厚さに、自己接着して前記層63aの内表面630に第2の層60aを形成し得られたエアバッグ6Cを成形型3より取り出し、このエアバッグ6C(図7左位置参照)を、裏表、反転し、かつ層63aの内表面630に形成されている第2の層60aを外部に表出(露出)させたエアバッグ6C`(図7右位置参照)としたものである。
【0038】
すなわち、実施例3のエアバッグの製造方法によると、一旦、製造されたエアバッグ6Cを、二つの押圧ローラ7、8間に挿通し、かつエアバッグ6Cを径方向に押圧する。
すると、層63aと第2の層60aとは、より強く接合するとともに、押圧ローラ7、8と接触する層63aは接合強度が向上するとともに、密度を高め、通気量を減らすことができ、所定の強度を得ることができる。
【0039】
そして引き続いて内部空間61の開口部62を外部方向に押し広げながら、層63aと第2の層60aとを裏表、反転し、かつ第2の層60aを外部に表出(露出)させ、エアバッグ6C`とする。
なお、前記実施例3のエアバッグの製造方法で得られたエアバッグ6C`は、第2の層60aを柔軟な材質で形成すれば、エアバッグ6C`を車の収容部に収容して使用する場合、クッション体として機能する膨張時に、乗員との当接部分で実施例1のエアバッグ6よりもさらにソフトに接触でき、かつ膨張に伴い乗員(特に顔面)に与える衝撃を和らげることができる。
【0040】
(実施例4)
本発明のエアバッグの製造方法の実施例4を図8〜図11を用いて説明する。
実施例4のエアバッグの製造方法は、実施例1で用いた紡糸装置1と成形型3とを利用するとともに、紡糸装置1と第1分割型4とをセットするセット工程と、前記第1分割型4にポリプロピレンよりなる原料チップ2aを用いて生成した繊維2bを堆積する第1堆積工程と、第1分割型と第2分割型5とを型閉めする型閉め工程と、第2分割型5に前記原料チップ2aを用いて生成した繊維2bを堆積する第2堆積工程と、取り出し工程などを順次、実施することによって、図11に示される1層よりなるエアバッグ6Dを製造するものである。
【0041】
セット工程では、図8に示されるように、紡糸装置1の揺動噴出筒部16の先端噴出口17に対し、第1分割型4を前後180度反転し、かつ孔壁状型面41側を、紡糸装置1の揺動噴出筒部16の先端噴出口17と反対側に向けて配置する。
第1堆積工程では、同図8に示されるように、揺動噴出筒部16の先端噴出口17より繊維2bを第1分割型4の第1型内面40および孔壁状型面41に沿って吹き付け、所定の厚さに堆積させるとともに、繊維2bは高熱で溶融状態にあるため自己接着して層6aとして形成される。
【0042】
このため、第1分割型4の第1型内面40および孔壁状型面41に層6aが形成できる。
型閉め工程では、図9に示されるように、前記第1堆積工程で繊維2bを第1型内面40および孔壁状型面41に所定の厚さに堆積させた第1分割型4を、前後180度反転して元の位置に戻す。そして第1分割型4に第2分割型5を一致して型閉めするとともに、揺動噴出筒部16の先端噴出口17が第1分割型4の挿通部42に位置するようにセットされる。また第1分割型4と第2分割型5とが型閉じされキャビィティ3aを形成している。
【0043】
第2堆積工程では、図10に示すように、揺動噴出筒部16の先端噴出口17より吹き付けられる繊維2bは、第2分割型5の第2型内面50に沿って、所定の厚さに堆積するとともに、高熱で溶融状態にあるため自己接着して層6bとして形成され、かつ第1堆積工程で第1分割型4の第1型内面40に形成された前記層6aの端面aに接合し、一体化する。このため、第1分割型4の第1型内面40および孔壁状型面41と第2分割型5の第2型内面50に沿って、エアバッグ6Dが形成できる。
【0044】
取り出し工程では、前記堆積した繊維2bが自己接着し層状となり、形成されたエアバッグ6Dは、所定の時間、自然冷却された後、第1分割型4と第2分割型5とを型開きすることにより外部に取り出される。
実施例4のエアバッグの製造方法により得られたエアバッグ6Dは、実施例1のエアバッグ6とほぼ同じ効果が得られる。
【0045】
(実施例5)
本発明のエアバッグの製造方法の実施例5を図12〜図14および実施例1で用いた図1〜図3を参考にして説明する。
実施例5のエアバッグの製造方法は、図14に示すように、膨張時に、自動車の乗員と当接する側のみを2層にしたエアバッグ6Eを製造する場合に適用したもので、型閉じ工程、第1堆積工程、第2堆積工程、取り出し工程とを順次、実施するものである。
【0046】
すなわち、実施例5の型閉じ工程では、実施例1と同様、図1に示される紡糸装置1およびエアバッグの成形型3を用いるとともに、図2に示されるように、紡糸装置1の揺動噴出筒部16の先端噴出口17が第1分割型4の挿通部42に位置するようにセットされる。また第1分割型4と第2分割型5とが型閉じされキャビィティ3aを形成している。
【0047】
第1堆積工程では、図12に示されるように、紡糸装置1が作動され、溶融樹脂供給口10より投入されたポリエチレンよりなる原料チップ2gが筒部11で280度に加熱され、溶融した状態でスクリュー12により加圧されて押し出され、繊維2hとなって繊維噴出口13より噴出する。一方、気流噴出口15より繊維噴出口13の前方に向かって噴出した高温の気流Sとともに揺動噴出筒部16内を移動し、その先端噴出口17より第2分割型5の第2型内面50に繊維2hが吹き付けられる。
【0048】
このとき、揺動噴出筒部16は揺動、すなわち、所定の角度で所定の回転方向に首振り運動を付与され、揺動噴出筒部16の先端噴出口17より吹き付けられる繊維2hは、第2分割型5の第2型内面50に沿って、所定の厚さに堆積するとともに、高熱で溶融状態にあるため自己接着して層状となり、エアバッグ6Eの右半部の第1層60cとして形成される。
【0049】
第2堆積工程では、図13に示されるように、紡糸装置1が作動され、溶融樹脂供給口10より投入されたナイロン6よりなる原料チップ2eが筒部11で330度に加熱され、溶融した状態でスクリュー12により加圧されて押し出され、繊維2fとなって繊維噴出口13より噴出する。一方、気流噴出口15より繊維噴出口13の前方に向かって噴出した高温の気流Sとともに揺動噴出筒部16内を移動し、その先端噴出口17より前記繊維2hで形成されている第1層60cの上面cおよび第1分割型4の第1型内面40、孔壁状型面41に沿って、繊維2fが吹き付けられ、所定の厚さに堆積し、高熱で溶融状態にあるため自己接着して層状となる。ここでエアバッグ6Eが作動する際は、インフレータ(図示しない)より熱風が吹き出され、エアバッグ6Eが膨らむため、不織布の密度調整をする上でも有効である。
【0050】
そして、第1分割型4の第1型内面40領域部分では、繊維2fのみによる第2層63cでエアバッグ6Eの左半部が形成され、第2分割型5の第2型内面50領域部分では、繊維2hによる第1層60cと繊維2fによる第2層63cとの複数層よりなるエアバッグ6Eの右半部が形成される。
取り出し工程では、前記堆積した繊維2fおよび繊維2fと2hがそれぞれ自己接着し層状となり、形成されたエアバッグ6Eは、所定の時間、自然冷却された後、第1分割型4と第2分割型5とを型開きすることにより外部に取り出される。
【0051】
実施例5のエアバッグの製造方法で得られたエアバッグ6Eは、車の収容部に収容して使用する場合、クッション体として機能する膨張時に、乗員との当接領域を形成する右半部が2層からなり、実施例1のエアバッグ6の効果に加えて、さらに強度が優れ、しかも、乗員に対向する表層側をソフトな材質を用いることにより、乗員(特に顔面)に与える衝撃をさらに和らげることができる。
【0052】
【効果】
本発明のエアバッグの製造方法によれば、エアバッグ形状としたキャビィティをもつ型の型面(又はキャビティ内に予め配置した基材袋の内面)に溶融した合成樹脂を繊維状に噴出するとともに気流により吹き付け、型面(又は基材袋の内面)に繊維を堆積することによって前記型面形状の外観をもつエアバッグを簡易に製造することができる。
【0053】
このため、本発明のエアバッグの製造方法によると、前記従来のエアバッグの製造方法で必要としていた多種工程を実施せずに、あるいはマンドレルを用いてその外周部に繊維を巻回したり、マンドレルを縮ませて抜き出すなど、面倒な工程を実施せず、容易に製造でき、製造コストを低減できる。
本発明の製造方法で製造されたエアバッグは、その製造時に、前記型面(又は基材袋の内面)に堆積され高温で溶融状態にある各繊維が自己接着して一体化して形成された所定の厚さの不織布状の層を備えているため、引裂強度に優れている。また前記不織布状の層は、各繊維を接着剤を用いずに自己接着して一体化できるため、接着剤を用いることによる接着剤および接着剤に含まれる各揮発成分などによる空気汚染がなく、衛生面で優れる。
【0054】
さらに、エアバッグを不織布で形成できるため、車の収容部に収容して使用する場合、クッション体として機能する膨張時に、乗員との当接部分でソフトに接触でき、かつ膨張に伴い乗員(特に顔面)に与える衝撃を和らげることができる。
なお、繊維状とする合成樹脂の種類、繊維の堆積方法(熱プレス装着法)、堆積重量などを、種々選択することによって、強伸度、通気量などを目的の値となしたエアバッグを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のエアバッグの製造方法に用いる紡糸装置とエアバッグ成形型を断面して示す断面図。
【図2】図1におけるエアバッグ成形型の型閉じ状態を示す断面図。
【図3】図2における紡糸装置とエアバッグ成形型を用い、気流により成形型内で吹き付けられた繊維が型面に堆積され層を形成する状態を示す断面図。
【図4】実施例1のエアバッグの製造方法により製造されたエアバッグを断面して示す断面図。
【図5】実施例2のエアバッグの製造方法により、紡糸装置とエアバッグ成形型を用い、気流により成形型内で吹き付けられた繊維が堆積され形成される層を、2層とした場合を示す断面図。
【図6】実施例2のエアバッグの製造方法により製造されたエアバッグを断面して示す断面図。
【図7】実施例3のエアバッグの製造方法における圧縮工程、反転工程および製造されたエアバッグを断面して示す断面図。
【図8】実施例4のエアバッグの製造方法における第1堆積工程で紡糸装置とエアバッグ成形型の第1分割型を用い、気流により成形型内で吹き付けられた繊維が型面に堆積され層を形成する状態を示す断面図。
【図9】実施例4のエアバッグの製造方法におけるエアバッグ成形型の型閉じ状態を示す断面図。
【図10】実施例4のエアバッグの製造方法における第2堆積工程で紡糸装置とエアバッグ成形型の第2分割型を用い、気流により成形型内で吹き付けられた繊維が第2分割型の第2型面に堆積され層を形成する状態を示す断面図。
【図11】実施例4のエアバッグの製造方法により製造されたエアバッグを断面して示す断面図。
【図12】実施例5のエアバッグの製造方法における第1堆積工程で紡糸装置とエアバッグ成形型の第2分割型を用い、気流により成形型内で吹き付けられた繊維が第2分割型の第2型面に堆積されエアバッグの右半分で第1層を形成する状態を示す断面図。
【図13】実施例5のエアバッグの製造方法における第2堆積工程で紡糸装置とエアバッグ成形型の第1分割型と第2分割型を用い、気流により成形型内で吹き付けられた繊維が第1層および第1分割型の第1型面に堆積されエアバッグの右半分で第2層および左半分で第1層を形成する状態を示す断面図。
【図14】実施例5のエアバッグの製造方法により製造されたエアバッグを断面して示す断面図。
【符号の説明】
1…紡糸装置 13…繊維噴出口 15…気流噴出口
16…揺動噴出筒部 17…先端噴出口
2a、2c、2e、2g…原料チップ 2b、2d、2f、2h…繊維
3…エアバッグ成形型 3a…キャビィティ
4…第1分割型 40…第1型面 5…第2分割型
50…第2型面 6、6A、6B、6C、6C`、6D、6E…エアバッグ
60、63…層
Claims (6)
- エアバッグ形状としたキャビィティをもつ型の型面に沿って、溶融した合成樹脂を繊維状に噴出するとともに気流により吹き付け、該型面に繊維を堆積しエアバッグを形成することを特徴とするエアバッグの製造方法。
- 融点の異なる2種類以上の合成樹脂を順次吹き付け、2種類以上の複層構造をもつエアバッグとする請求項1記載のエアバッグの製造方法。
- 型面に堆積する繊維に、無機繊維を混入する請求項1記載のエアバッグの製造方法。
- エアバッグの直径方向に型閉じおよび型開きする型を用いた請求項1記載のエアバッグの製造方法。
- 形成されたエアバッグをプレス型により加圧する請求項1あるいは請求項2記載のエアバッグの製造方法。
- エアバッグ形状としたキャビィティをもつ型の該キャビティ内に予め基材袋を配置し、該基材袋内面に溶融した合成樹脂を繊維状に噴出するとともに気流により吹き付けて堆積させて不織布よりなる内層として形成し、エアバッグを形成することを特徴とするエアバッグの製造方法。
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