JP3632655B2 - Atm交換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ATM方式のパケット通信網で使用されるATMセル交換装置に係わり、特に無用となったATMセルの廃棄制御機能を備えたATMセル交換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パケット通信ネットワークにおいては、各端末装置が送信する情報は、転送制御のためのプロトコルに従って、特定のフォーマットのメッセージに組み立てられる。各メッセージは、一般的には、送信すべきデータによって長さが変化する可変長のものとなるため、これをそのままネットワークに送出すると交換処理においてソフトウェアの介在が必要となり、通信速度の高速化には不都合となる。
【0003】
そこで、可変長のメッセージを「セル」と呼ばれる固定長の複数のパケットに分割し、網内においてこの固定長のセルのみを処理対象とすることによって、パケットの交換動作をハードウェアのみで高速に処理できるようにしたATM方式のネットワークが開発された。ATM方式によれば、網内でのセル処理において、上位レベルのメッセージ構造に関して意識する必要がなく、専ら各ATMセルのヘッダ部のみに注目してセルの転送処理等を行うことができる。
【0004】
また、ATM方式では、ネットワーク側が有する通信帯域のうち、各端末装置が必要とする最大の帯域が常に占有される訳ではなく、送信データが存在する時にのみ帯域が使用されるため、統計的多重効果と呼ばれる多重化利得を期待できる。このため、呼の受付制御の方式次第で、網内におけるセルの廃棄率を任意に設定することが可能となる。
【0005】
ATM交換機に入力されたセルのうち、複数のバーストデータセルが特定の出力回線に集中し、出力回線のもつ帯域容量を越えて輻輳状態に陥る場合がある。この場合は、バッファの容量を越えた過剰なセルについて廃棄処理が必要となるが、輻輳状態におけるセルの廃棄処理については、例えば、セル毎に付けられた廃棄優先度に従って選択的にセル廃棄する方法が、文献「B−ISDN入門」(オーム社)の131−132ページに述べられている。なお、優先度による廃棄制御を採用しない場合には、バッファ不足で蓄積できない新たな到着セルが次々と廃棄されることになる。上記いずれの場合においても、従来方式では、廃棄セルに関して、各セルの属するコネクション、あるいは上位プロトコルのメッセージ単位との関係について考慮していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、ATMネットワークに接続された各端末装置にとっては、受信メッセージを構成するセルが伝送途中で一つでも廃棄処理に会うと、正常なメッセージを再構成することができなくなる。セル廃棄が発生すると、同一メッセージを構成する廃棄セル以前のセル、あるいは廃棄セルに後続するセルは、仮に端末装置に正常に受信されたとしても、もはや無意味のセルとなってしまう。
【0007】
従来のATM網では、上述したセル廃棄によって受信側端末装置に無意味となってしまった同一メッセージ中の他のセルの処置について考慮されていない。このため、輻輳状態にある出力回線で上述した無意味なセルが帯域を浪費したり、セル廃棄発生後に交換機に到着した無意味なセルによって交換機のバッファエリアが使用され、他の有効なセルによる交換機リソースまるいは伝送路帯域の使用を妨げ、新たなセル廃棄を引き起こす原因となり得る。
【0008】
本発明の目的は、受信側端末装置にとって無意味になってしまったセルを網内で積極的に廃棄することによって、他の有意義なセルが廃棄されるのを極力防止できるようにしたATM交換装置およびセル廃棄制御方式を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、或るコネクション上でセル廃棄が発生した場合、当該コネクションに属したセルについては、次メッセージに属した有効セルが到着するまで、上位のメッセージ単位を区切りとして廃棄対象とすることを特徴とする。
【0010】
このようなセル廃棄を実現するために、本発明のATM交換装置では、例えば、各コネクション対応にセルの処理モードを記憶しておき、新たなセルが到着する都度、そのセルと対応する処理モードを参照することによって、セルの転送/廃棄の判断を行う。尚、各コネクションの処理モードは、例えば、最初は全てのコネクションのモードを「転送モード」に設定しておき、バッファメモリへのセル書き込みを制御するバッファ制御回路がセル廃棄を行った時、廃棄セルに該当するコネクションのモードを「廃棄モード」に変更し、上記廃棄セルの属しているメッセージの最後のセル(区切りセル)が検出された時点で、当該コネクションのモードを再び「転送モード」に戻すようにすればよい。
【0011】
上記区切りセルの検出は、各コネクション上で用いているメッセージのタイプに応じて変えてもよい。例えば、メッセージタイプによって、各セルで検査すべきフィールドの位置と検出すべき値を変えて、メッセージの区切りセルか否かの判断を行う。
【0012】
また、コネクションによってはセルの廃棄制御を行なわない場合もあるため、各コネクション毎に上位メッセージのタイプを登録しておき、セル到着時に、そのセルが廃棄制御を行うべきコネクションか否かを判断するとよい。コネクション上で用いられる上位メッセージのタイプとしては、例えば、「AAL Type 5」や「Type 3/4」等がある。これらのタイプは、コネクション型・コネクションレス型のデータ通信に用いられるものであり、[AAL Type 5]ではATMヘッダ中に終了表示が有り、[Type 3/4]ではSARヘッダ中にその表示がある。各セルがどのコネクションに属しているかの判断は、各セルのATMヘッダ中に含まれる仮想パス識別子「VPI」と仮想チャネル識別子「VCI」を参照すればよい。
【0013】
【作用】
本発明によれば、セル廃棄に遭遇したコネクションについて、メッセージ単位でセル廃棄制御を行ったことによって、出力回線における帯域を有効に利用できる。また、無意味なセルを積極的に廃棄処理したことによって、他のコネクション上の有効なセルにネットワークリソースを割当てることができ、新たな輻輳の発生を回避すると共に、セル廃棄が多くのメッセージに分散するのを防止できる利点がある。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
図1は、本発明を適用するATM交換装置の全体構成を示す。なお、共通バッファ方式のスイッチを用いたATM交換装置は、例えば、特開平2−1669号公報「スイッチングシステム及びその構成法」にその実現法が述べられている。
【0015】
入力回線151〜15Nおよび出力回線161〜16Nは、それぞれ加入者端末装置あるいは別のATM交換装置に接続される。入力回線処理回路101〜10Nは、入力回線151〜15Nから入力された各ATMセルに対して光/電気変換、伝送フレーム終端、セル同期等の処理と、ヘッダ変換およびスイッチ回路が必要とする内部情報の付加を行なう。
【0016】
内部情報を付加されたセルは、図9に示す内部セルフォーマットを有し、スイッチ回路200に入力された後、ルーチング情報(出回線番号)902によって決まる出力回線160〜16Nのうちの何れかに出力される。尚、スイッチ回路200から出力された各セルは、出力回線処理回路111〜11Nにおいて、セル同期、伝送フレーム終端、電気/光変換等の処理が施された後、各出力回線161〜16Nに出力される。
【0017】
呼制御用または網管理用のセルは、出力回線160に振り分け、制御回路121に入力される。制御回路121では、入力セルの情報に応じて、制御線170および入力回線150を通して、スイッチ回路200や回線処理回路101〜10N、111〜11Nの制御または監視動作を行う。また、他のATM交換装置や端末装置に対して送信すべき制御情報を含むセルを生成し、入力回線150からスイッチ回路200に入力し、宛先装置に転送する。
【0018】
図2は、本発明を適用したATMスイッチ回路部の1実施例を示す。
スイッチ回路200は、多重回路201と、セル廃棄制御回路300と、共通バッファ203と、バッファ制御回路800と、分離回路202とから構成される。各入力回線から並列に入力されたセルは、多重回路201で直列なセル列に変換した後、セル廃棄制御回路300に入力される。
【0019】
セル廃棄制御回路300は、入力された各セルについて、通過/廃棄の判断を行なう。セル廃棄制御回路300を通過したセルは、バッファ制御回路800によって共通バッファ203中に格納領域が割り当てられる。バッファエリアが不足し、バッファ制御回路800で入力セルが廃棄された場合は、その結果が廃棄検出信号線850によってセル廃棄制御回路300に伝えられ、通過/廃棄の属性情報が更新される。このようにして、バッファメモリへの一つのセルの蓄積処理が済むと、セル廃棄制御回路300が次セルの処理を開始する。
バッファ制御回路800は、分離回路202の振り分け周期に合致した所定のタイミングで読み出しアドレスを出力し、共通バッファ203からセルを読み出す。読み出されたセルは、分離回路202によって、ルーチング情報で指定された何れかの出力回線に出力される。
【0020】
図3はATMスイッチ回路中におけるセル廃棄制御回路300の1実施例を示す。
セル廃棄制御回路300は、多重回路201により直列化されたセルを一つずつ取り込むと、セル解析回路301において、各セルからコネクション識別子を抽出し、これをコネクション属性テーブル回路500にアドレスとして与える。
【0021】
コネクション属性テーブル回路500は、上記コネクション識別子によって特定されるコネクションで使用しているメッセージタイプと、そのコネクション上のセルに関する現在の処理モードを出力する。なお、上記コネクション識別子としては、ATMセル中のVPIとVCIを用いることができる。また、上位プロトコルが、例えば、「AAL Type 3/4」の場合は、上記VPI、VCIに加えてMIDを用いることができる。
【0022】
処理モードとしては、「転送」、「置換」、「廃棄」の三通りの値を用意する。上記処理モードの値に応じて、セレクタ302は、図4に示すように、セル解析回路301からの出力セル、終了セル303、空セル304の何れかのセルを選択して出力する。
【0023】
図5に示すコネクション属性テーブル回路500は、論理コネクション毎のメッセージタイプを、セル廃棄制御の対象としないものについては「0」、セル廃棄制御の対象とするメッセージタイプについては「1」から順に値を割り当てて表現している。或るコネクション上で使用されるメッセージタイプがセル廃棄制御の対象となっていても、そのコネクションに対して例外的にセル廃棄制御を行わない場合には「0」を設定しておく。これによって、セル廃棄制御の対象となるべきメッセージタイプを用いたコネクションについても、セル廃棄制御を行うか否かの選択が可能となる。また、タイプレジスタ回路501は、セレクタ302が終了セル303を選択した場合に、出力すべき終了セルのフォーマットを選択するためのメッセージタイプ値を出力する。
【0024】
上述した処理モードの値とメッセージタイプの値は、それぞれタイプレジスタ回路501とモードレジスタ回路502にコネクション毎に記憶されている。
上記タイプレジスタ回路501とモードレジスタ回路502は、入力線350から入力されたコネクション識別子の値によって、読み出すべきレジスタをそれぞれ選択し、メッセージタイプ値については、選択したレジスタの値をそのまま出力する。処理モード値については、メッセージタイプ値が「0」の場合には、選択したレジスタに記憶されている値に代えて、セレクタ503が転送モードを示す値「0」を出力するよう制御する。メッセージタイプ値が「0」以外の場合は、選択したレジスタの値をそのまま出力する。
【0025】
セル廃棄制御回路300において、多重回路201より取り込んだセルは、セル解析回路301と共に区切りセル検出回路700にも入力される。上記区切りセル検出回路700は、入力セルの中からメッセージの区切りとなるセルを検出すると共に、ATMセル中の検査フィールド位置とその値を選択するのものである。
【0026】
図7に区切りセル検出回路700の1実施例を示す。
区切りセル検出回路700では、入力セルをメモリ701に一時的に蓄えておき、その後、コネクション属性テーブル回路500からメッセージタイプ値が入力されると、オフセットレジスタ回路702と、マスクレジスタ回路703と、比較値レジスタ回路705から、それぞれタイプ値に従って読み出すべきレジスタを選択し、タイプ毎に設定された値を出力する。
【0027】
オフセットレジスタ回路702から出力されるオフセット値は、メモリから読み出すべきセル中の特定のフィールド位置を指定する。メモリから読み出されたデータは、AND回路704に入力される。
マスクレジスタ回路703から出力されるマスク値は、読み出されたデータ中で検査対象となるビット位置以外に0を設定したものであり、AND回路704は、該マスク値と上記メモリ701から読み出されたデータとのANDをとり、その結果を一致検出回路706に出力する。
比較値レジスタ回路705から出力される比較値は、区切りセルとなるビット位置を示すビットパタンであり、一致検出回路706において該ビットパタンと上記AND回路704の出力値とを比較し、値が一致した場合に区切りセルが検出されたことを示す検出信号が出力される。
【0028】
上記オフセット値、マスク値および比較値としては、読み出すべきデータが1バイトで、例えば「AAL Type 5」の場合、それぞれ「3」、「10」、「2」を設定すればよい。また、「AAL Type 3/4」の場合には、それぞれ「5」、「192」、「64」を設定すればよい。
【0029】
コネクション属性テーブル回路500は、上述したセル廃棄制御を行うための処理モード値とメッセージタイプ値を出力した後、バッファ制御回路800から出力される割当結果と、区切りセル検出回路700から出力される検出結果に応じて、現在の処理モードを更新する。モードの更新は、例えば、図6に示す変更論理に従って行う。
上記モードの更新が完了した段階で、セル廃棄制御回路における1つの入力セルの処理が完了し、次セルについて上述した処理が繰り返される。
【0030】
処理モードとして「転送」、「廃棄」以外に「置換」があるのは、受信端末装置に対してセル廃棄が発生したことを伝え、メッセージの正常組み立てが不可能になったことをいち早く通知するためである。この通知によって、受信端末装置は余計な資源を無駄に保留し続けなくて済み、また、メッセージを正常に受信できなかった場合の対応動作を迅速に実行可能となる。なお、セル廃棄を通知するためのセルが途中で廃棄されるという事態が発生した場合に備えて、上記通知セルを複数回繰返して生成、送出するようにしてもよい。
【0031】
次に、セル廃棄の検出方法について説明する。
図8は、セル廃棄検出機能を備えたバッファ制御回路に1実施例を示す。
共通バッファ方式のスイッチ回路においては、各出力回線対応の出力キューをバッファ中の固定された位置に用意することなく、出力線対応のキューにその都度任意の空きアドレスを割当て、バッファメモリの空きエリアを共用しながら、ポインタアドレスでリスト構造化された論理的にFIFO形式の複数のキューを構成する。新たなセルが入力された時、各キューに接続すべきセル記憶エリアのアドレス(書き込みアドレス)、出力回線対応に各キューから取り出すべきセルの記憶エリア(読み出しアドレス)、およびセル記憶エリア間の順序関係はバッファ制御回路800により一元的に管理されている。
【0032】
各セルのバッファ中の記憶エリアは、セルの格納要求が発生する都度決定され、空きアドレスバッファ(FIFO)から読み出されたその時点での任意の空きアドレスが割り当てられる。キューから取り外され、空き状態となった記憶エリアのアドレスは、上記空きアドレスバッファに順次に登録される。従って、この形式のスイッチ回路では、空きアドレスバッファに空きアドレスがある限り、入力セルは任意の出力回線と対応したキューに連結可能となる。しかしながら、空きアドレスバッファに空きアドレスが無くなると、入力セルはバッファに書き込むことができず、廃棄せざるを得ない状態となる。セル廃棄が発生したか否かは、上記空きアドレスバッファ中に空きアドレスが残っているか否かを判定することによって検出できる。なお、各キューの長さに予め制限を設けている場合には、各キュー長カウンタの値によって、新たな入力セルが廃棄されるか否かを検出することができる。
【0033】
セル廃棄制御回路300から出力されたセルは、図2に示したように共通バッファ203とバッファ制御回路800に入力される。バッファ制御回路800に入力される各セルは、図9に示すように、入力回線処理回路101〜10Nにて付加した内部情報である空きセル表示部901と出回線番号部902を備えている。尚、各セルのVPIとVCIは、この例では、簡単化のために出回線番号部902の1部に書き込まれているものとするが、これらを出回線番号とは別のフィールドとして空きセル表示部901の前に配置してもよい。空きセル表示部901には、セルが空きセルの場合に値「1」が設定され、その他の場合には「0」が設定されている。
【0034】
ヘッダ分離回路801は、入力セルのヘッダ部を抽出し、フィールド901、902に内容に応じて、空きセルか否かを示す表示信号と書き込み回線番号を示す信号を出力する。入力セルが空きセルの場合には、NOR回路802からは書込許可の信号が出ないため、バッファエリアの割当はなく、共通バッファ203へのセルの書込は行われない。また、この場合は、空きアドレスの有無にかかわらず、AND回路803からは廃棄検出信号は出力されない。
【0035】
入力セルが空きセル以外の場合は、出回線番号がキュー選択のための書込回線番号としてキュー長カウンタ804とアドレスレジスタ回路808に入力される。アドレスレジスタ回路808には、初期化時または前回のセル書き込み時に空きアドレスFIFO807から取得してあるアドレスを共通バッファ203の書き込みアドレスとして、また、今回空きアドレスFIFO807から得た空きアドレスを次回の書き込みアドレスとして出力する。これによって、共通バッファ203(図2)の上記書き込みアドレス位置に、入力セルと次回の書き込みアドレスとが対をなして書き込まれる。このようにセルと次アドレスとを対にして格納することによって、共通バッファメモリ203から或る回線に出力すべき1つのセルを読み出した時、その回線で次の読み出すべきセルアドレスを知ることができ、これを次回の読み出し動作が行われる迄保持しておくことによって、各キュー毎に先頭セルから順次にセルを読み出すことが可能となる。
【0036】
一方、空きアドレスFIFO807から得た次回書き込みアドレスは、アドレスレジスタ回路808に当該キューの次のセルの書込アドレスとして記憶される。同一出力回線に出力すべき次のセルが入力された時、アドレスレジスタ回路808から読み出した上記次回書き込みアドレスを用いてセルの書き込み動作を行うことによって、前回のセルと対をなして上記共通バッファメモリ203に記憶されてアドレス(ポインタアドレス)が指すメモリ位置に、次セルを書き込むことができ、これによって回線対応のリスト構造化されたキューを構成できる。
【0037】
なお、共通バッファメモリにセルの書込が行われた場合、キュー長カウンタ804の値を1つ増加させる。また、空きアドレスFIFO807が空となった場合には、空きエリア無し(バッファ満杯)を示す信号を信号線851に出力する。この状態では、AND回路803から廃棄検出信号が出力され、NOR回路802から書込許可信号が出力されないため、新たな入力セルのバッファへの書込は抑制される。またキュー長カウンタ804の値もそのまま保持される。
【0038】
共通バッファ203からのセル読み出し時には、出力タイミングカウンタ806が発生するタイミング信号に同期して、読み出し制御テーブル805からセル読み出しすべき出力回線キューを指定するための回線番号が出力され、この回線番号が、キュー長カウンタ804とアドレスレジスタ回路808に入力される。キュー長カウンタ804では、上記回線番号のキュー長を記憶しているレジスタを選択し、キュー長が「1」以上の場合にカウント値を一つ減少させるとともに、読み出し許可信号を出力する。キュー長が「0」の場合は、カウント値の減少はなく、読み出し許可信号も出力されない。
【0039】
読み出し許可信号が出力されると、アドレスレジスタ回路808から読み出しアドレスが出力され、該アドレスに基づいて、共通バッファ203から1対のセルとアドレスとが読み出される。上記アドレスはアドレスレジスタ回路808に入力され、当該出力回線の次セル読み出しアドレスとして記憶される。また、共通バッファのアクセスに使用された用済みの読み出しアドレスは、空きアドレスとして解放され、空きアドレスFIFO807に格納される。
【0040】
本実施例によれば、セル廃棄が上位プロトコルのメッセージ単位に行われるため、輻輳時に網に対する負荷が軽減され、廃棄セルが他のメッセージに及ぶのを抑制できる。また、セル廃棄が生じたコネクションの受信端末に対して、受信中のメッセージが正常に受信完了できない旨を速やかに通知できるため、受信端末装置における無駄な資源使用を回避できる。
【0041】
(実施例2)
図10は、スイッチ回路1000の内部にセル廃棄制御機能を備えていない従来構造の交換装置に対して、外付け回路としてセル廃棄制御回路300を付加した場合をシステム構成を示す。
図10の例では、交換機にコネクションレスサービス機能モジュール1001を付加する際に、上記セル廃棄制御回路300を同時に装備する場合の構成例を示している。ここで言う「コネクションレスサービス機能」は、例えば特開平4−179336号公報「ATMシステムにおけるコネクションレスメッセージの交換処理方式」に示された機能を意味し、このサービス機能を利用するコネクション上の各セルは、スイッチ回路1000によって出力回線1060に振り分けられる。
【0042】
コネクションレスサービス機能を利用するコネクション上では、一般に「AAL Type 3/4」が用いられる。このタイプを用いるコネクションで通信されるセルには、一連のシーケンス番号が付与されている。これらのセルを処理するコネクションレスサービス機能(CLSF)モジュール1001は、スイッチのバッファオーバーフローによるセル廃棄の検出の他に、コネクション毎にシーケンス番号の連続性を監視することによって、網内で他の原因により発生したセル抜けを検出することができる。
【0043】
上記何れかの原因でセル抜け発生すると、CLSFモジュール1001がセル廃棄検出信号を出力し、信号線1070を通じてセル廃棄制御回路300に通知する。セル廃棄制御回路300は、CLSFモジュール1001に入力すべき後続のセルについて、実施例1と同様にセルの廃棄処理を実行する。
【0044】
本実施例によれば、既存の交換機にセル廃棄制御機能を外付け回路の形で付加することができ、特定範囲のコネクションにおいて無用なセルの選択的廃棄サービスを行える。また、図10のシステム構成によれば、コネクションレスサービス機能等の他の付加モジュールに対して余分なセルの入力が阻止されるため、これらの付加機能における負荷が軽減され、処理容量を高めることができる。
【0045】
(実施例3)
図11は、本発明を出力バッファ方式のスイッチ回路をもつATM交換装置に適用した場合の構成を示す。出力バッファ方式のスイッチ回路の原理については、例えば、文献「アウトプットバッファスイッチアーキテクチャフォアアシンクロナストランスファーモード(原題:Output Buffer Switch Architecture for Asynchronous Transfer Mode.)」(ICC ’89, Proceeding pp.99−103)に述べられている。
【0046】
スイッチ回路200は、多重回路1101と、出力回線対応に設けた複数のアドレスフィルタ1102と、各アドレスフィルタに接続されたセル廃棄制御回路300と、各セル廃棄制御回路300に接続された出力FIFOバッファ1104およびカウンタ1103を備え、入力回線から並列に入力されたセルを多重回路1101で直列なセル列に変換した後、アドレスフィルタ1102によって、出力回線対応にセルをセル廃棄制御回路300に取り込み、通過/廃棄の判断を行う。セル廃棄制御回路300を通過したセルは、出力FIFOバッファ1104に格納され、図1に示した出力回線処理回路11(111〜11N)を経て各出力回線に出力される。
【0047】
出力FIFOバッファ1104にセルを格納する都度、カウンタ1103の値が1つ増加される。カウンタ値がバッファ1104の容量に達した場合、または予め設定しておいた閾値を越えた場合、信号線1150にセル廃棄検出信号が出力され、セル廃棄制御回路300に廃棄セルの発生が通知される。この状態では、新たな入力セルはバッファ1104に格納されずに廃棄される。各セル廃棄制御回路300の動作は、前述した実施例1、2と同じである。
【0048】
カウンタ値がバッファの容量を越えない場合、または閾値を越えない場合には入力セルはバッファに格納され、セルが読み出された時は、上記カウンタの値が1つずつ減少される。なお、読み出し動作時にカウンタ値が0の場合は、バッファが空となっているためセルの読み出しは行われない。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、交換機で中継されるセルに対して上位のメッセージ構造に基づいたセルの選択的廃棄処理を施し、受信端末装置にとって無意味となったセルを網から積極的に排除するようにしているため、ネットワーク資源を有効に活用でき、輻輳によるセル廃棄が他のメッセージに波及するのを未然に防止できるという利点がある。また、セル廃棄が発生した時、交換装置から当該セルの受信端末装置に対してその旨を通知するようにすれば、受信端末側で資源を無駄に保留し続けることがなくなり、メッセージを正常受信できなかった場合に取るべき処置に迅速に移行できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するATM交換装置の1実施例を示す全体構成図。
【図2】本発明を適用した共通バッファ方式のスイッチ回路の1実施例を示す図。
【図3】図2におけるセル廃棄制御回路300の1実施例を示す図。
【図4】図3におけるセレクタ302の動作と処理モードとの関係を示す図。
【図5】図3におけるコネクション属性テーブル回路500の1実施例を示す図。
【図6】図3におけるコネクション属性テーブル回路500のモードの書換え動作を示す図。
【図7】図3における区切りセル検出回路700の1実施例を示す図。
【図8】図2におけるバッファ制御回路800の1実施例を示す図。
【図9】内部セルフォーマットの1例を示す図。
【図10】本発明を適用したATM交換装置の他の実施例を示す構成図。
【図11】本発明を適用した出力バッファ方式のスイッチ回路部の1実施例を示す図。
【符号の説明】
101〜10N…入力回線処理回路、111〜11N…出力回線処理回路、
121…制御回路、200…ATMスイッチ回路、201…多重回路、
202…分離回路、203…共通バッファ、250…次読み出しアドレス信号線、300…セル廃棄制御回路、301…セル解析回路、302…セレクタ、
303…終了セル生成回路、304…空セル生成回路、500…コネクション属性テーブル回路、501…タイプレジスタ回路、502…モードレジスタ回路、503…出力抑制回路、700…区切りセル検出回路、701…メモリ、
702…オフセットレジスタ回路、703…マスクレジスタ回路、
704…AND回路、705…比較値レジスタ回路、706…一致検出回路、
800…バッファ制御回路、850…廃棄検出信号出力線、
851…空きアドレス無し信号出力線、1000…ATMスイッチ回路、
1001…コネクションレスサービス機能モジュール、
1070…セル廃棄検出信号出力線、1102…アドレスフィルタ、
1150…セル廃棄検出信号出力線。

Claims (2)

  1. メッセージを構成するセルを一時的に蓄積しておき、何れかの出力回線に出力するATM交換装置において、
    前記メッセージ単位でのセル廃棄処理と前記廃棄メッセージの終了セルの送出処理とを行う、セル廃棄制御手段を備え
    さらに、前記セル廃棄制御手段は、前記セルの廃棄処理が発生した場合、当該メッセージの処理を置換モードに設定して、前期終了セルを送出し、廃棄対象となったメッセージの次のメッセージを検出した場合に、前記置換モードを、セルの転送を行う転送モードに変更し、
    さらに、前記セル廃棄制御手段は、前記置換モードにおいて、
    前記次のメッセージを検出するまで、前記廃棄対象となったメッセージに属する前記セルの廃棄処理を継続し、
    前記次のメッセージを検出した場合であっても、前記セルの廃棄処理を継続すべき時は、前記置換モードを維持する
    ことを特徴とするATM交換装置。
  2. 請求項1に記載のATM交換装置において、
    前記セル廃棄制御手段は、扱うセルが属するコネクション毎に、メッセージタイプを登録する手段を備え、
    前記メッセージタイプが、前記セル廃棄処理を行わないコネクションであることを示している場合は、
    前記セルの廃棄処理が発生した場合であっても、前記置換モードへの変更を行わず前記転送モードを維持する
    ことを特徴とするATM交換装置。
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