JP3632084B2 - 超音波厚さ測定方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、測定面に腐食等による凹凸を有する測定物の厚さ測定に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波厚さ測定は、超音波を利用して測定物の厚さを片面から測る非破壊的な厚さ測定方法である。その測定原理を図2により説明する。厚さDの測定物13の中に超音波探触子11から超音波パルス15が送信される。この超音波パルス15の一部は、測定面12で反射して表面エコー(Sエコー)18を発生し、残りの超音波パルスは測定物13中を進み、裏面14で反射して同じ経路を戻って再び超音波探触子11で底面エコー(Bエコー)19として受信される。ここで、Sエコー18とBエコー19との間の時間を測定して伝搬時間t(17)を求める。測定物の音速Cが既知であれば、厚さDはCとtにより次の式1から求めることができる。
D=1/2×C×t −(式1)
以上が超音波厚さ測定の原理である。
【0003】
従来の超音波厚さ測定は、使用するエコーの種類によって図3に示すような3種類の測定方式に分類される。
【0004】
R−B1方式は、既知の厚さによって補正した零点(R)を設定し、それと第1回底面エコー(B1)との間の間隔から測定物の厚さ(D)を求める方法であり、現在、デジタル表示超音波厚さ計等に最も広く使用されている方式である。
【0005】
B1−B2方式は、多重エコーのうち、第1回底面エコー(B1)と第2回底面エコー(B2)との間隔から厚さ(D)を求める方法である。B1とB2の間隔を利用することにより、測定物表面の塗膜等の影響を除くことができる長所を持つ。
【0006】
S−B1方式は、測定物の表面エコー(S)と第1回底面エコー(B1)の間隔から厚さ(D)を求める方法であり、FRPの厚さ測定等に用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の従来技術(測定方式)では、腐食等による凹凸を有する測定面での厚さ測定が困難であるという欠点がある。その詳細を図6により説明する。
【0008】
超音波厚さ測定では、超音波を測定物(25および31)に伝達させるために油、グリセリン等の接触媒質(24および30)を測定面に塗布するが、接触媒質と測定物とでは音速が異なるため、測定面の凹凸により接触媒質層30が厚くなると平滑な対比試験片で零点補正を行うR−B1方式では測定物31と接触媒質30の音速差による誤差を生じる。
【0009】
一方、B1−B2方式では、表面の接触媒質の厚さを除いた測定ができるため、R−B1方式と同様の接触媒質層に起因する誤差は無いものの、測定面に凹凸があると感度が著しく低下するためB2エコーの検出が難しくなる欠点がある。
【0010】
また、Sエコーを基準に伝搬時間を測定するS−B1方式では、測定面の凹凸によってSエコー波形(29および36)が乱れて誤差が生じるとともにR−B1方式と同様の接触媒質層に起因する誤差もある。
【0011】
以上を示す例として、腐食した鋼板の厚さ分布をR−B1方式とS−B1方式により測定して実際の厚さ分布と比較した結果を図4に示す。実際の厚さ分布に対し、R−B1、S−B1のいずれの方式も平均で1mm程度実際より厚く測定していることが分かる。
【0012】
以上のように、これら従来の超音波厚さ測定方式では、測定面に凹凸を有する測定物の厚さを正確に測定することはできない。そのため、現状では、グラインダー等による測定面の平滑化が必要となり、費用と労力を要する問題点がある。
【0013】
そこで、この発明は、腐食等による凹凸を有する測定面においても正確に厚さを測定できる超音波厚さ測定方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明においては、腐食等による凹凸を有する測定面に超音波厚さ測定を適用した場合に発生する測定誤差をSエコーから得られる情報により補正して厚さを求める。
【0015】
そして、測定面の平滑な対比試験片のSエコーに対する測定物のSエコーの持続時間の増加量を求め、その値に比例定数を乗じた値を測定誤差推定値とし、R−B1方式により測定した厚さ測定値からこの測定誤差推定値を除去することにより測定誤差を補正する。
【0016】
本発明においては、音響遅延材付きの超音波探触子を用いて、測定面の平滑な対比試験片と測定物の両方についてSエコー波形を測定して、それぞれのSエコーについて、ピーク振幅値の10%から30%の範囲において共通なしきい値を設定し、それぞれのSエコー波形の中でしきい値を超える部分の時間を前記Sエコー持続時間とするとともに、1. 7(mm/μs)から2. 0(mm/μs)の範囲の値を前記比例定数としてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1に示す。音響遅延材付きの超音波探触子を用いて、R−B1方式による厚さ測定を行うと同時に測定面の平滑な対比試験片と測定物の両方についてSエコー波形を測定する。両方のSエコーに、それぞれのピーク振幅(振幅の最大値)(1および6)を基準とする共通のしきい値k%(3および10)を設定して、Sエコーのしきい値を超える部分の時間(4および9)を、それぞれ対比試験片および測定物のSエコー持続時間TRおよびTTとして定義する。さらに、対比試験片に対する測定物のSエコー持続時間の増加量5をSエコー持続時間増加量ΔTと定義する。つまり、Sエコー持続時間増加量ΔTは次の式2のように定義される。
ΔT = TT−TR −(式2)
【0018】
R−B1方式による測定誤差ERB−1とSエコー持続時間の増加量ΔTとの間には、図5の実験結果に示す相関関係があることから、この関係を利用して、Sエコー持続時間増加量ΔTを用いてR−B1方式による測定誤差推定値ERB−1を次の式3で求める。
ERB−1 = α×ΔT −(式3)
ここでαは比例定数である。
【0019】
次の式4に示すように、R−B1方式により測定した厚さDRB−1から式3で推定した誤差ERB−1を除去した厚さDを求めてこの値を厚さ測定値として使用する。
D = DRB−1−ERB−1 = 1/2×C×t−α×ΔT (m) −(式4)
ここでCおよびtはそれぞれ測定物の音速およびR−B1方式で測定した伝搬時間である。以上がこの発明の一実施形態である。
【0020】
【実施例】
しきい値を20%としてSエコー持続時間増加量ΔTを測定し、比例定数αを1.86(mm/μs)として式4により求めた厚さ分布を従来技術によるものと比較した結果を図4に示す。R−B1方式およびS−B1方式に比べて本発明による測定結果は実際の厚さ分布に近い分布を示している。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、腐食等による凹凸を有する測定面において、R−B1方式を適用した際に発生する誤差を補正することが可能となり正確な厚さ測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を表した図である。
【図2】超音波厚さ測定の原理を表した図である。
【図3】厚さ測定方式の種類を表した図である。
【図4】腐食した鋼板の厚さ分布を、従来の測定方式(R−B1方式およびS−B1方式)と本発明による測定方式の両方で測定して比較した実験結果を表した図である。
【図5】腐食した鋼板を用いて、R−B1方式による誤差とSエコーの持続時間増加量との関係を調べた実験結果を表した図である。
【図6】腐食等による凹凸を有する測定面に従来技術を適用した場合の問題点を表した図である。
【符号の説明】
1 Sエコーピーク
2 B1エコーピーク
3 しきい値
4 Sエコー持続時間
5 Sエコー持続時間増加量
6 Sエコーピーク
7 B1エコーピーク
8 伝搬時間
9 Sエコー持続時間
10 しきい値
11 超音波探触子
12 測定面
13 測定物
14 裏面
15 超音波パルス
16 音響遅延材
17 伝搬時間
18 表面エコー
19 底面エコー
20 受信波形
21 超音波探触子
22 音響遅延材
23 Sエコー
24 接触媒質
25 測定物
26 B1エコー
27 超音波探触子
28 音響遅延材
29 Sエコー
30 接触媒質
31 測定物
32 B1エコー
33 Sエコー
34 B1エコー
35 伝搬時間
36 Sエコー
37 B1エコー
38 伝搬時間
39 誤差
Claims (2)
- 腐食等による凹凸を有する測定面に超音波厚さ測定を適用した場合に発生する測定誤差をSエコーから得られる情報により補正して厚さを求める超音波厚さ測定方法であって、 測定面の平滑な対比試験片のSエコーに対する測定物のSエコーの持続時間の増加量を求め、その値に比例定数を乗じた値を測定誤差推定値とし、R−B1方式により測定した厚さ測定値からこの測定誤差推定値を除去することにより測定誤差を補正することを特徴とする超音波厚さ測定方法。
- 音響遅延材付きの超音波探触子を用いて、測定面の平滑な対比試験片と測定物の両方についてSエコー波形を測定して、それぞれのSエコーについて、ピーク振幅値の10%から30%の範囲において共通なしきい値を設定し、それぞれのSエコー波形の中でしきい値を超える部分の時間を前記Sエコー持続時間とするとともに、1. 7(mm/μs)から2. 0(mm/μs)の範囲の値を前記比例定数とした請求項1記載の超音波厚さ測定方法。
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