JPH11352117A - 超音波腐食診断法とその装置 - Google Patents

超音波腐食診断法とその装置

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JPH11352117A
JPH11352117A JP10165309A JP16530998A JPH11352117A JP H11352117 A JPH11352117 A JP H11352117A JP 10165309 A JP10165309 A JP 10165309A JP 16530998 A JP16530998 A JP 16530998A JP H11352117 A JPH11352117 A JP H11352117A
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健一 高橋
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徹也 冨永
Toshiyuki Yamaguchi
敏之 山口
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】構造材の表面を平滑加工することなく防錆や保
護のための塗膜を設けた構造材にセンサをそのまま接触
させて正確に裏面の腐食の進行度合いを判定することが
できる超音波腐食診断法とその装置を提供する。 【解決手段】被診断物の任意位置の表面に遅延材bを介
してセンサ3を接触させて該表面での塗膜1bと該被診
断物の健全層1aとの界面における超音波のエコー比
(PF1/PF0)を得て、該エコー比(PF1/PF0)から該被診
断物の裏面におけるエコー比(PF1/PFX)を得て、さら
に該表面に遅延材を介することなくセンサ4を接触させ
て裏面での超音波の反射波から該被診断物の厚さと該反
射波の振幅を得て、該反射波の振幅を該裏面におけるエ
コー比(PF1/PFX)の逆数(PFX/PF1)で補正し、該被診
断物の厚さと補正された該反射波の振幅によりマスター
カーブから被診断物の裏面における腐食状況を診断す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波腐食診断法に
係り、特に鋳造で製造された下水ポンプや雨水ポンプの
ケーシングなどの被診断物の表面にその表面を平坦に表
面加工することなく超音波を投射しあるいは受信するセ
ンサを当接させて該被診断物の裏面の腐食あるいは劣化
具合を診断する超音波腐食診断法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水ポンプや雨水ポンプなどのケーシン
グや揚水管の構造材は鋳鉄や炭素鋼などが用いられてお
り、機器の設置年数も20年を超す老朽化機器が増えて
いる。これらの機器は日常生活に欠くことのできない下
水道ラインの心臓部であり、事故や故障を起こさないよ
う定期的に検査診断を実施し、必要に応じて改修や交換
などの対策を行うことが大切である。
【0003】機器が扱う生活排水(汚水)から硫化水素
が発生し、機器の設置環境は非常に腐食(劣化)の起こ
りやすい状態になっている。構造材の一部で塗装が剥離
し腐食が始まると、腐食は急速に全体に広がり構造材の
内部深くまで進行する。この腐食の進行を放置しておく
と、次第に構造材の強度が低下し大きな破壊事故に進展
することもある。従って、日頃の定期的な検査診断で機
器の腐食状態を把握しておく必要がある。
【0004】構造材の内面(裏面)の腐食状態を検査診
断する従来の方法は、機器を分解し目視で判定するもの
であった。この方法は実態を正確に把握確認できること
において有効であるが、機器を分解しなければならない
から、機器の運転中には実施できなかった。
【0005】そこで、非破壊検査法として超音波診断法
が利用されるようになってきた。
【0006】この方法は、被診断物の表面に超音波を投
射しあるいは受信するセンサを当接させて該被診断物の
裏面の腐食あるいは劣化具合を診断するものである。
【0007】即ち、被診断物の表面に振幅Pの超音波を
投射し、該被診断物内での超音波の反射波の振幅Pxと
反射波を得た時間から該被診断物における厚さxを求
め、さらにこれらから超音波の減衰係数αを求め、該被
診断物の構成素材を用いた試料で予め求めておいた被診
断物の厚さと反射波との関係を表したマスターカーブを
用いて該減衰係数で被診断物の裏面における腐食状況を
診断する。
【0008】そのマスターカーブにおいて、被診断物に
おける厚さxについて超音波の減衰係数αが健全な被診
断物のそれより大きければ、裏面の凹凸が大きくなって
いる、つまり、裏面は腐食していると判断する。
【0009】なお、このような超音波診断法を紹介した
ものとして、書籍『超音波探傷法』(日本学術振興会製
鋼第19委員会編、昭和51年12月 日刊工業新聞社
発行)における「6.2 減衰測定」と題する記事(p
p301〜321)がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】超音波診断法によれば
健全層の厚さを計測することができる。鋳造で製造され
た被診断物は、鋳型の加工精度などの関係からその正確
な厚さは明確でなく、鋳造時の厚さは設計値と異なって
いることが多い。鋳造直後の厚さが分かっていない場合
には、上記のマスターカーブを利用した診断では、得ら
れた健全層の厚さが設計値を大幅に下回っていた時は、
機器全体が危険な状態にあり改修よりも構造材の交換が
必要であると判定できる。
【0011】しかしながら、得られた健全層の厚さが設
計値程度の場合には、腐食の進行度合いは腐食前の健全
層の厚さが分かっていないと、鋳型の精度が高かったの
か腐食で薄くなったのか判定できない。従って、健全層
の厚さで腐食の進行度合いを判定し改修の必要性を判断
することは、正確さに欠ける。
【0012】また、鋳造で製造された被診断物は、鋳型
の加工精度などの関係から、全ての表面は凹凸のある鋳
肌面となっている。それゆえ、センサを防錆や保護のた
めの塗膜を設けた構造材にそのまま接触させて超音波を
送受信すると、センサを接触させた側の表面の凹凸で減
衰してしまうので超音波の減衰が表面の凹凸による減衰
なのか裏面の腐食による減衰なのか区別できない。超音
波の減衰を裏面の腐食によるものとしてしまうと、裏面
における腐食の進行度合いを大きく判断することにな
る。
【0013】従って、センサを接触させる構造材の表面
は平滑にしておかなくてはならない。平滑加工をすると
計測精度は得られるが、構造材の表面には防錆や保護の
ための塗膜を設けるから、診断作業後に、平滑加工を施
した場所に防錆や保護のための塗膜を設ける必要があ
る。その場合、新たに施した塗膜と以前の塗膜の色差を
生じることが多く、構造材表面の美観を損なう。
【0014】それゆえ本発明の目的は、構造材の表面を
平滑加工することなく防錆や保護のための塗膜を設けた
構造材にセンサをそのまま接触させて正確に裏面の腐食
の進行度合いを判定することができる超音波腐食診断法
とその装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の特徴とするところは、被診断物の表面に超音波を投
射し、該被診断物の裏面での超音波の反射波を求め、該
被診断物における超音波の減衰係数を求め、該減衰係数
により該被診断物の構成素材による試料で予め求めてお
いた被診断物の厚さと反射波との関係を表したマスター
カーブから被診断物の裏面における腐食状況を診断する
超音波腐食診断法において、被診断物の任意位置の表面
に遅延材を介してセンサを接触させて該表面での塗膜と
該被診断物の健全層との界面における超音波のエコー比
(PF1/PF0)を得て、該エコー比(PF1/PF0)から該被診
断物の裏面におけるエコー比(PF1/PFX)を得て、さら
に該表面に遅延材を介することなくセンサを接触させて
裏面での超音波の反射波から該被診断物の厚さと該反射
波の振幅を得て、該反射波の振幅を該裏面におけるエコ
ー比(PF1/PFX)の逆数(PFX/PF1)で補正し、該被診断
物の厚さと補正された該反射波の振幅によりマスターカ
ーブから被診断物の裏面における腐食状況を診断するこ
とにある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図に示す実施形態に基いて
本発明を説明する。図1は、本発明の一実施形態とし
て、使用中であるポンプのケーシング1における内面の
腐食進行度合いを超音波で診断を行なう状況を示してい
る。
【0017】ケーシング1は、鋳鉄の健全層であるケー
シング本体1aとその外側の表面に設けた塗膜1bおよ
び内面(ケーシング本体1aの表面から見て裏面)にで
きた腐食層1cよりなるものとする。ポンプが使用中で
あるために、ケーシング1内には下水2が流れている。
【0018】塗膜1b上に超音波センサ(以下、センサ
と略記)3、4が設置される。両センサ3、4は連結部
材5で一定間隔を持たせた状態で結合させてあり、図示
していない作業者は、塗膜1b上を診断をするべく図1
において両センサ3、4を左あるいは右方向に移動させ
る。センサ3には遅延材6が塗膜1b側に固定されてい
る。7、8は各センサ3、4に同一振幅の超音波パルス
を送る発信器で、センサ3は遅延材6を介して塗膜1b
に超音波を投射するが、センサ4は遅延材が設けられて
いないので塗膜1bに超音波を直接投射する。9、10
は各センサ3、4から出した超音波についてケーシング
1からの反射波を各センサ3、4を介してそれぞれ受け
る受信器である。
【0019】11、12は、各受信器8、9で得たケー
シング1からの反射波をディジタル化するA−D変換
器、13、14はディジタル化された反射波を記憶して
おく波形メモリ、15、16はケーシング1上での各セ
ンサ3、4の位置計測を連結材17、18を介して行な
う変位計、19、20は変位計15、16で得た各セン
サ3、4の位置データを記憶しておく位置メモリであ
る。21は波形メモリ13、14および位置メモリ1
9、20からデータを得て処理を行なうコンピュータ
(以下、パソコンと略記)であり、処理結果などはモニ
タ22やプリンタ23から適宜に出力する。
【0020】各センサ3、4はいづれが先でもよいが、
一方が超音波を投射した箇所は必ず他方のセンサでも超
音波を投射する。両センサ3、4を連結部材5で一体化
させてあるのは、両センサ3、4を連結部材5による一
定間隔だけ一直線に移動させると、両センサ3、4でケ
ーシング1の同一位置に超音波を投射することになり、
作業が容易になるためである。
【0021】なお、センサ3は受信波のうち鋳鉄の健全
層であるケーシング本体1aとその外側の表面に設けた
塗膜1bの境界面での反射波を扱うものとし、センサ4
は受信波のうち鋳鉄の健全層であるケーシング本体1a
と腐食層1cの境界面での反射波を扱うものとする。従
って、センサ3はケーシング本体1aの表面の状態を、
またセンサ4はケーシング本体1aの裏面の状態をみる
ことになる。
【0022】パソコン21には、被診断物の構成素材毎
に図2、図3に示すマスターカーブのデータが格納され
ている。図2は、ケーシング1と同一の構成素材を用
い、表面は粗さを変え裏面は平滑にした複数の試料につ
いて、センサ3で得た反射波の振幅PF1を横軸に、セ
ンサ4で得た反射波の振幅PR1を縦軸にとって図表化
した実測値補正のためのマスターカーブの一例を示すも
のである。
【0023】図2において、PF0、PRXは表面と裏
面を共に平滑にした試料について両センサ3、4で得た
反射波の振幅であり、各振幅について比(エコー比)を
取った理由は試料の厚さに依る影響を排除するためであ
る。各振幅PF0、PRXはケーシング1が腐食を受け
ず鋳肌面の凹凸も極めて小さい理想的な状態にあること
を示しており、従って、以下、各振幅PF0、PRXを
基準エコー高さと呼ぶ。 本発明者らは、図2に示すマ
スターカーブMC2が被診断物の構成素材の組成を変更
してみても構成素材により定数A〜Cが代わるだけで下
式で表せることを確認することができた。 PR1/PRX=A(PF1/PF0)2+B(PF1/PF0)+C …(数1) 図2では、センサ3で得た反射波の振幅PF1は表面の
荒れの程度を現わしており、センサ3でのエコー比PF
1/PF0が小さいことは表面が荒れており、逆にエコ
ー比PF1/PF0が1に近づくほど表面は平坦である
ことを意味している。センサ4でのエコー比PR1/P
RXとセンサ3でのエコー比PF1/PF0は相関関係
にあることを示しているので、センサ4でのエコー比P
R1/PRXはセンサ3でのエコー比PF1/PF0か
ら、つまりは表面の荒れの程度を推定できる。
【0024】本発明はこの傾向を利用するもので、表面
の荒れによる超音波の往路と復路での合成した減衰をセ
ンサ3でのエコー比PF1/PF0から求められるエコ
ー比PR1/PRXで補正して表面の荒れが無い平滑な
表面を仮想し、この仮想表面から超音波を投射したと見
做して裏面の荒れ具合(腐食の進行度合い)を判定する
ものである。即ち、図2でのエコー比PR1/PFXが
小さいほど表面の荒れていて超音波が往復において減衰
したと云えるので、このエコー比PR1/PFXの逆数
(PRX/PR1)をセンサ4の実測値に乗じること
で、平滑な表面から超音波を投射し裏面の反射波を平滑
な表面においてセンサ4で得たと見做し得る。従って、
塗膜1bを剥離し健全層1aの表面を削って平滑化しな
くても、裏面における腐食の進行度合いを判定できるこ
とになる。
【0025】図3は、予め被診断物の構成素材による試
料を用いてセンサ4で健全層の厚さL3に対しその試料
についてセンサ4で実測した反射波の振幅P1aを上記
逆数で補正した値P1と表裏面が平滑な試料での反射波
の振幅P0の比(実測エコー比P1/P0)の関係を健
全な場合、腐食が始まった初期の状態、さらに腐食が進
んだ状態および激しく腐食を受けてしまった状態に区別
できるように減衰係数αnで図表化した、腐食進行度合
い診断のためのマスターカーブMC31〜MC33を示
している。
【0026】なお、エコー比で表す理由は、図2の場合
と同様に厚さの影響を除去するためである。
【0027】以下、具体的に上記の各エコー比や腐食診
断について、図9に示したフロー図を参照しつつ説明す
る。先ず、図4で、図1に示したケーシング1の任意位
置における塗膜1bの厚さL2をセンサ3で計測するこ
となどについて説明する。
【0028】図4(a)はセンサ3により遅延材6を介
して塗膜1bの厚さL2を計測する状況をモデル的に示
している。遅延材6は設計されたものであるから、その
構成素材や厚さL1は既知の値である。
【0029】図9に示すステップ(以下Sと略記)1で
計測位置にセンサ3を移動させ、センサ3から超音波T
1を投射し、塗膜1bと健全層1aの界面からの反射波
R2をセンサ3で受信する。遅延材6と塗膜1bの界面
での反射波も受信するが、塗膜1bの表面は荒れがある
ことを想定し、平滑な当接面を有する遅延材6と大気と
の界面での反射波を利用する。その反射波を波R1と
し、図4(b)に超音波T1やそれぞれの界面からの反
射波R1、R2の波形を示している。
【0030】図4(b)において、PF1a、PF1は
それぞれ反射波R1、R2の振幅(エコー高さ)であ
る。
【0031】尚、遅延材6の厚さL1は既知の値である
が、加工精度上確認をしておきたい場合には、その構成
素材で定まる超音波の音速cと反射波R1を得た時間
(路程)tから容易に得る(L1=C×t/2)ことが
できる。
【0032】図4(b)に示すように、センサ3でR2
を計測することで、波形から塗膜1bの厚さL2と振幅
PF1が得られる(図9のS2)。
【0033】次に、図5により図2に示した塗膜1bに
関するエコー比PF1/PF0について説明する。基準
エコー高さPF0は図2に関して説明したように健全層
1aの表面が平滑な場合の反射波の振幅である。図5
(a)はその状況をモデル化して示したものである。図
5(b)は図4(b)に合わせた基準エコー(基準反射
波)R2Oの波形を示している。基準エコーR2Oの高
さPF0は健全層1aの表面が平滑であるから減衰が殆
どなく、従って、実測値PF1より大きな値である。
【0034】基準エコーR2Oの高さPF0は図5
(a)のモデルとして予め用意した試料の中から健全層
1aや塗膜1bの素材や厚さが一致するものを選んで図
4の場合と同一の音圧の超音波T1をセンサ3から投射
して計測してもよいが、図4での実測値や設計値および
各素材の音響インピーダンス、内部減衰係数、超音波T
1の音圧を用いて公知の手法で各界面での減衰と内部で
の減衰から算出しても良い(図9のS3)。
【0035】基準エコーR2Oの高さPF0を得ること
で、センサ3による塗膜1bに関するエコー比PF1/
PF0が得られる。そこで、このエコー比PF1/PF
0を用い予め用意されている図2のマスターカーブある
いは数1からセンサ4でのエコー比PR1/PRXを得
る(図9のS4)。
【0036】次に、図6に示すようにセンサ3で計測を
行ったケーシング1上の同一位置でセンサ4による計測
を行う(図9のS5〜S6)。図1のように、センサ4
はケーシング1の塗膜1b上に直接接触されており、セ
ンサ3の場合と異なり遅延材は存在しない。
【0037】図6(a)は、図5(a)と同様、センサ
3による計測状況をモデル化して示している。センサ4
から投射された超音波のうち裏面に至るものをT2で示
しており、その反射波R3をセンサ4で受信する。超音
波T2と反射波R3は図6(b)に示す波形であり、セ
ンサ4で受信した反射波R3の振幅(エコー高さ)をP
1aとする。塗膜1bの厚さL2はセンサ3による計測
でわかっているので、反射波R3までの時間から健全層
1aの厚さL3がわかる。健全層1aの厚さL3は塗膜
1bの厚さL2と同様に、音速や路程などから演算で正
確に算出することもできる(図9のS7)。
【0038】塗膜1bと健全層1aの界面が荒れている
ために、超音波T2と反射波R3はこの界面を通過する
と減衰する。従って、反射波R3のエコー高さP1aは
ケーシング1の裏面、つまり、健全層1aと腐食層1c
の界面の荒れを正確に反映したものとなっていない。
【0039】そこで、図7(a)に示すように、塗膜1
bと健全層1aの界面に荒れがない場合における反射波
R3の振幅をP1として、これを図2に示す本発明の基
になった知見から求める。
【0040】実測中のケーシング1については、前述し
たようにエコー比PF1/PF0を用い予め用意されて
いる図2のマスターカーブあるいは数1からセンサ4で
のエコー比PR1/PRXが得られているから、この逆
数PRX/PR1を補正値として反射波R3のエコー高
さP1aに乗ずることで、図7(b)に示すように塗膜
1bと健全層1aの界面に荒れがない場合における反射
波R3の振幅P1が得られる(図9のS8)。
【0041】図7(b)において、波形R30は反射波
R3を逆数PRX/PR1で補正して示したもので、従
来のように、ケーシング1の表面を削って平滑にしセン
サを直接その研削面に当接して計測を行なうと、この波
形R30が得られるのであるが、本発明では研削しない
で計測を行なうものであるため、実測した波形は波形R
3である。
【0042】次に、健全層1aの厚さに依る影響を排除
するために、波形R30についてエコー比を取る。
【0043】図8(a)に示すように、エコー比を得る
ための基準エコーは、予め用意してある塗膜1bと健全
層1aの厚さL2、L3と素材を同一とし界面が平滑な
試料にセンサ4を接触させるか、図6での実測値や設計
値および各素材の音響インピーダンス、内部減衰係数、
超音波T1の音圧を用いて公知の手法で各界面での減衰
と内部での減衰から算出しても良い(図9のS9)。そ
れらの方法で得た基準エコーの波形R4とその振幅をP
0を補正したエコー波形R30に対比させて図8(b)
に示した。
【0044】これでセンサ4による健全層1aについて
のエコー比P1/P0が求まるので(図9のS10)、
図6の実測で得た健全層1aの厚さL3とにより、図3
に示すマスターカーブMC31〜MC33を予め格納し
ているパソコン21で腐食層1cの腐食の進行度合いを
判定する。
【0045】図3において、マスターカーブMC31〜
MC33は、健全層1aにおける減衰係数αnがそれぞ
れα1、α2、α3として経験から任意に定めるもので
ある。 健全層1aの厚さL3とエコー比P1/P0の
関係が、マスターカーブMC31の位置より上にあれば
ケーシング1は腐食が無く健全である、マスターカーブ
MC31とマスターカーブMC32の間であれば腐食が
始まった初期の状態、マスターカーブMC32とマスタ
ーカーブMC33の間であればさらに腐食が進んだ状
態、マスターカーブMC33よりも下であれば腐食を受
けてしまった状態にあると判定できる。
【0046】即ち、各マスターカーブMC31〜MC3
3は下式で一般化して表記できる。 P1/P0=exp(−αn・2・L3)……(数2) 各減衰係数αnは、この数2を展開して下式で表すこと
ができる。 αn=−(1/2・L3)・(lnP1/P0)……(数3) 上記計測などで得た健全層1aの厚さL3とエコー比P
1/P0を下式に入れてケーシング1での減衰係数αを
得る。 α=−(1/2・L3)・(lnP1/P0)……(数4) 計算の結果得られる減衰係数αを上記マスターカーブM
C31〜MC33の減衰係数αnと順次比較し、大小関
係で、マスターカーブMC31の減衰係数α1より小さ
い場合は健全、マスターカーブMC31、MC32の減
衰係数α1、α2の間では初期の状態、 マスターカー
ブMC32、MC33の減衰係数α2、α3の間では腐
食が進んだ状態、マスターカーブMC33の減衰係数α
3より大きい場合は激しい腐食、というように上記した
腐食の進行度合いを判定する(図9のS11)。
【0047】以上の説明では、ケーシング1の任意の一
点について説明してきたが、複数箇所について計測を行
い腐食診断をするのが通例であるので、図1に示すよう
に、連結部材5でセンサ3、4を一体化し、移動させて
振幅や位置のデータを順次取り込んでいけば、パソコン
21で位置の対応づけをしながら稼動中の機器について
内部(裏面)における腐食の進行度合いを判定すること
ができる。
【0048】また、計測する位置を作業者が特定できる
ならば、2個のセンサ3、4を用いることは止めて、1
個のセンサに対し遅延材を脱着可能にして、被診断物
(ケーシング)の表面における荒れの状態を把握しても
良い。
【0049】さらに、図2、図3のマスターカーブでは
エコー比で表示しているが、厚さの影響の心配がない場
合には、基準エコーを用いなくてもよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、構
造材の表面を平滑加工することなく防錆や保護のための
塗膜を設けた構造材にセンサをそのまま接触させて正確
に裏面の腐食の進行度合いを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態になる超音波腐食診断装置
で使用中であるポンプのケーシング1における内面の腐
食進行度合いの診断を行なう状況を示す図である。
【図2】図1に示す超音波腐食診断装置におけるパソコ
ンに格納されている実測値補正のためのマスターカーブ
の一例を示す図である。
【図3】図1に示す超音波腐食診断装置におけるパソコ
ンに格納されている腐食進行度合い診断のためのマスタ
ーカーブの一例を示す図である。
【図4】図1に示したケーシングの任意位置における塗
膜の厚さを遅延材を介してセンサで計測する状況を示す
図である。
【図5】図4に示したセンサで得た計測結果により塗膜
に関するエコー比を得る状況を示す図である。
【図6】図4において計測した任意位置でケーシングに
おける健全層の厚さを遅延材を介在させることなくセン
サで計測する状況を示す図である。
【図7】図6において塗膜と健全層の界面に荒れがない
場合における反射波の振幅について説明する図である。
【図8】図6に示したセンサで得た計測結果によりケー
シングにおける健全層に関するエコー比を得る状況を示
す図である。
【図9】図1に示す超音波腐食診断装置で、使用中であ
るポンプのケーシング1における内面の腐食進行度合い
の診断を行う場合の、フロー図である。
【符号の説明】
1 …ケーシング 1a …ケーシング本体(健全層) 1b …塗膜 1c …腐食層 3、4 …超音波センサ 5 …連結部材 6 …遅延材 7、8 …発信器 9、10 …受信器 11、12…A−D変換器 13、14…波形メモリ 15、16…変位計 17、18…連結材 19、20…位置メモリ 21 …コンピュータ(パソコン) 22 …モニタ 23 …プリンタ
フロントページの続き (72)発明者 冨永 徹也 茨城県土浦市神立東二丁目28番4号 日立 テクノエンジニアリング株式会社土浦事業 所内 (72)発明者 山口 敏之 茨城県土浦市神立東二丁目28番4号 日立 テクノエンジニアリング株式会社土浦事業 所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被診断物の表面に超音波を投射し、該被診
    断物の裏面での超音波の反射波を求め、該被診断物にお
    ける超音波の減衰係数を求め、該減衰係数により該被診
    断物の構成素材による試料で予め求めておいた被診断物
    の厚さと反射波との関係を表したマスターカーブから被
    診断物の裏面における腐食状況を診断する超音波腐食診
    断法において、 被診断物の任意位置の表面に遅延材を介してセンサを接
    触させて該表面での塗膜と該被診断物の健全層との界面
    における超音波のエコー比(PF1/PF0)を得て、該エコ
    ー比(PF1/PF0)から該被診断物の裏面におけるエコー
    比(PF1/PFX)を得て、さらに該表面に遅延材を介する
    ことなくセンサを接触させて裏面での超音波の反射波か
    ら該被診断物の厚さと該反射波の振幅を得て、該反射波
    の振幅を該裏面におけるエコー比(PF1/PFX)の逆数(P
    FX/PF1)で補正し、該被診断物の厚さと補正された該反
    射波の振幅によりマスターカーブから被診断物の裏面に
    おける腐食状況を診断することを特徴とする超音波腐食
    診断法。
  2. 【請求項2】上記請求項1に記載の超音波腐食診断法に
    おいて、マスターカーブにおける被診断物の厚さを示す
    軸は裏面が平滑な面での反射波の振幅と平滑ではない面
    での反射波の振幅の比の大きさで表示されたものである
    ことを特徴とする超音波腐食診断法。
  3. 【請求項3】被診断物の表面に超音波を投射し、該被診
    断物の裏面での超音波の反射波を求め、該被診断物にお
    ける超音波の減衰係数を求め、該減衰係数により該被診
    断物の構成素材による試料で予め求めておいた被診断物
    の厚さと反射波との関係を表したマスターカーブから被
    診断物の裏面における腐食状況を診断するものにおい
    て、 被診断物の任意位置の表面に遅延材を介して超音波を投
    射し該表面からの反射波を受信する第一のセンサ、該表
    面に遅延材を介することなく直接接触して超音波を投射
    し該裏面での反射波を受信する第二のセンサ、該第一の
    センサによる計測から該表面における塗膜と該被診断物
    の健全層との界面における超音波のエコー比(PF1/PF
    0)を得ること、該エコー比(PF1/PF0)から該被診断物
    の裏面におけるエコー比(PF1/PFX)を得ること、該第
    二のセンサによる計測から該被診断物の厚さと該裏面で
    の該反射波の振幅を得ること、該反射波の振幅を該裏面
    におけるエコー比(PF1/PFX)の逆数(PFX/PF1)で補正
    した該反射波の振幅を得ること、および該被診断物の厚
    さと補正された該反射波の振幅によりマスターカーブか
    ら被診断物の裏面における腐食状況を診断する判定手段
    を有することを特徴とする超音波腐食診断装置。
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