JP3821035B2 - 材料の厚さ測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波の伝搬時間を利用して材料の厚さを測定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属やセラミックスなどの材料の厚さを測定する方法として、材料中の超音波の伝搬時間を利用する方法が知られている(JIS Z 2355)。図1に反射型測定装置の構成例を、また図2に超音波受信波形をそれぞれ模式的に示す。以下図1および図2に基づいて、超音波を利用した典型的な材料厚さ測定方法について説明する。
【0003】
図1に示す如く、圧電振動子などで構成される超音波発生手段20により材料10の厚さ方向に超音波22を発生させるとともに、圧電振動子などで構成される超音波検出手段30により材料底面からの超音波反射波28を検出する。
【0004】
このとき検出される超音波信号には、図2に示すように、材料の厚さ方向に複数回往復した超音波反射波(多重底面エコー)がほぼ等間隔で現れる。図2で、パルスTは超音波送信信号あるいは超音波送信に同期したトリガー信号を、またB2、B4、B6はそれぞれ材料中を1、2、および3往復した底面エコー(それぞれB2エコー、B4エコー、B6エコーと称する)を表す。このようにして検出された超音波信号は、超音波伝搬時間計測手段32に送られる。
【0005】
超音波伝搬時間計測手段32は、材料10中の超音波伝搬時間、例えば図2に示すt2およびt4を計測する。演算手段34は、計測された超音波伝搬時間、および予め求めておいた被測定材料10中の超音波音速Vに基づいて、材料の厚さdを(1)式によって算出する。
【0006】
d=V・(t4−t2)/2 …(1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
超音波発生手段20と超音波検出手段30を同一の超音波探触子で兼用する、いわゆる一探触子法では、上記の方法で精度良く材料厚さを求められる。しかしながら、超音波発生手段20と超音波検出手段30に別個の超音波探触子を使用する、いわゆる二探触子法では、図1に示すように超音波送・受信位置間の距離(オフセット量と呼ぶことにする)sがゼロにならないため、このオフセット量によって材料厚さ測定精度が低下する問題があった。即ち、図1から容易に分かるように、オフセット量sがゼロでない場合、超音波検出手段30で検出される超音波エコーは、材料10の厚さ方向に対して斜め方向に伝搬することになり、この結果、B4エコーの材料中の伝搬路程は、B2エコーの材料中の伝搬路程の2倍よりも短くなる。従って、(1)式を用いて材料厚さを算出した場合、実際の厚さより小さく評価してしまうことになる。例えば、s=4mmの場合、20mmの厚さの材料を(1)式によって求めると、約19.1mmとなり、約5%の測定誤差を生じてしまう。
【0008】
このような測定誤差を低減する方法として、材料厚さ方向にほぼ平行に伝搬する高次のエコー(たとえばB10エコーやB12エコーなど)を用いる方法も考えられるが、一般に高次の底面エコーは、低次の底面エコーに比べ超音波の底面での反射損失や材料中の減衰によりS/Nが低下するため、伝搬時間の計測精度が不十分になる問題が生ずる。
【0009】
本発明は、以上のような問題を解決し、材料の厚さを高精度で測定する方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、超音波を材料の厚さ方向に伝搬させ、該超音波の材料底面からの多重底面エコーを検出し、該検出信号から相異なる少なくとも3個の底面エコーの伝搬時間を計測し、該伝搬時間から超音波送・受信位置間の距離と材料の厚さの比に関係する量を求め、この比に関係する量と超音波送・受信位置間の距離の値を用いて材料の厚さを算出するようにして、上記の問題を解決したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施形態による材料厚さ測定の手順を図3に示す。
【0013】
まず、図1に示す如く、材料10の厚さ方向に超音波を発生させ(ステップ101)、オフセット量sの位置にて、その多重底面エコーを検出する(ステップ102)。ここまでは従来法と同様であり、超音波の発生法には、圧電探触子、電磁超音波探触子、あるいはパルスレーザーなどを用いることができる。また、超音波の検出には、圧電探触子、電磁超音波探触子、あるいは光干渉計などを用いることができる。
【0014】
次に、図2に示すような、検出した超音波信号の中から、相異なる3つの底面エコーの伝搬時間を計測する(ステップ103)。伝搬時間計測法としては、従来の超音波厚さ計などで用いられている周知の方法を用いることができる。
【0015】
次に、計測した3つの伝搬時間からs/dを求める(ステップ104)。ここでdは材料の厚さである。オフセット量sを予め求めておくか、あるいは別途測定することにより、s/dからdが求められる(ステップ105)。
【0016】
以下、ステップ104におけるs/dの算出手順について詳細に説明する。
【0017】
図1に示す幾何学的な関係から、各伝搬時間t2、t4、t6と超音波音速V、材料厚さd、オフセット量sの間には、次式のような関係がある。
【0018】
【数1】
【0019】
ここでδtは、伝搬時間計測におけるトリガー信号と超音波発生時刻との間の時間差である。
【0020】
(2)式からわかるように、3つの底面エコーの伝搬時間t2、t4、t6を測定しても、材料厚さdを解析的に求めることはできない。しかしながら、本発明者が鋭意検討を行った結果、r≡s/dとおいて(2)式を変形すると、
【数2】
となり、(3)式におけるTrとrの関係を図示した図4からわかるように、s/dとTrが1対1の関係になる。即ち、3つの底面エコーの伝搬時間t2、t4、t6を測定してTrを算出することにより、s/dの値を一意に求めることができるのである。
【0021】
以上の説明では、超音波の発生と超音波の検出を被測定材料の同一の面において行う反射型測定装置の場合を示したが、図5に示す透過型測定装置のように、超音波の発生と検出を被測定材料10の反対側で行うことも可能である。
【0022】
この場合、超音波検出信号は図6のようになる。図6において、B1、B3、B5はそれぞれ材料中を0.5、1.5、および2.5往復した底面エコーを表す。この場合も、相異なる3つの底面エコーの伝搬時間から材料厚さdを求めることができる。
【0023】
前記と同様に、各伝搬時間t1、t3、t5と超音波音速V、材料厚さd、オフセット量sの間には、次式のような関係がある。
【0024】
【数3】
【0025】
(4)式から次式で定義されるTr’を求める。
【0026】
【数4】
【0027】
(5)式におけるTr’とrの関係は、図7に示すように1対1の関係になるので、3つの底面エコーの伝搬時間t1、t3、t5を測定してTr’を算出することにより、s/dの値を一意に求めることができる。
【0028】
以上の説明では、3つの底面エコーとして、B2,B4,B6エコー、あるいはB1,B3,B5エコーを用いる場合について述べたが、例えばB4,B6,B8エコーやB3、B5、B7エコーを用いるようにしてもよい。また、パルス状の超音波を発生させる場合について述べたが、バースト状の超音波を用いても差し支えない。
【0029】
また、3つの底面エコーの伝搬時間から材料厚さdを求める際、Tr(あるいはTr’)とs/dの関係式に基づいて計算する場合について述べたが、例えばs/dの代わりに、図8に示す超音波の入射角θなどを用いるようにしても構わない。なぜならば、tanθ=s/2dであり、0≦θ<90°においてθとs/dは1対1に対応するからである。これに限らず、相異なる少なくとも3つの底面エコーの伝搬時間と、s/dに関係する量との間の関係式を用いて材料厚さdを決定する、という本発明の主旨に沿う方法であれば、差し支えない。
【0030】
【実施例】
以下、本発明による厚さ測定の実施例について述べる。厚さの異なる5種類の鋼板の厚さを従来法および本発明による方法でそれぞれ測定した結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
本測定は、図1に示す反射型の配置で測定を行ったものであり、超音波はパルスレーザー照射によって発生させ、その発生位置からオフセット量s=2.0mmの位置で光干渉計によって超音波を検出した。本発明法による測定結果は、B2,B4,B6エコーの伝搬時間t2、t4、t6から、図4に示すTrとs/dの関係を用いて板厚dを算出したものである。また従来法による測定結果は、B2およびB4エコーの伝搬時間t2、t4から、(1)式を用いて板厚dを算出したものである。
【0033】
表1より、本発明による方法は、従来法に比べ、非常に高精度で板厚を測定できることが確認された。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を用いれば、少なくとも3個の底面エコーの伝搬時間を用いることにより、材料の厚さを極めて高精度で測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】材料厚さ測定における第一の装置構成例を示す模式図
【図2】第一の装置構成例における超音波検出波形の模式図
【図3】本発明の実施形態による材料厚さ測定の手順を示すフローチャート
【図4】第一の装置構成例におけるTrとs/dの関係を示す特性図
【図5】材料厚さ測定における第二の装置構成例を示す模式図
【図6】第二の装置構成例における超音波検出波形の模式図
【図7】第二の装置構成例におけるTr’とs/dの関係を示す特性図
【図8】s/dの代りに用いることが可能な超音波入射角度θを説明する模式図
【符号の説明】
10…材料
20…超音波発生手段
22…超音波
28…超音波反射波
30…超音波検出手段
32…超音波伝搬時間検出手段
34…演算手段
B1、B2、B3、B4、B5、B6…底面エコー
Claims (1)
- 超音波を材料の厚さ方向に伝搬させ、該超音波の材料底面からの多重底面エコーを検出し、該検出信号から相異なる少なくとも3個の底面エコーの伝搬時間を計測し、該伝搬時間から超音波送・受信位置間の距離と材料の厚さの比に関係する量を求め、この比に関係する量と超音波送・受信位置間の距離の値を用いて材料の厚さを算出することを特徴とする材料の厚さ測定方法。
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