JP4392463B2 - 膜厚測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特に送電用鉄塔、通信用鉄塔等の管の内面に施されためっきやボイラの配管の内面に付着するスケール等のように、非常に薄い膜または層(以下、これらを「薄膜」と総称する。)の厚さを超音波を用いて測定するための方法に関する。
本発明の説明において、「最大ピーク」とは、測定される超音波波形のうちの最大値を示すピークを言い、「逆位相ピーク」とは、最大ピークに対して逆位相の関係にあるピークを言う。また、「上昇領域」とは、基準点またはゼロ点からピークまたは逆位相ピークへと移行する領域を言い、「立上り領域」とは、測定される超音波波形の最初のピークへと移行する領域を言う。
送電用鉄塔、通信用鉄塔等の管やボイラの配管等(以下、これらを「薄膜支持体」と総称する。)の内面に付着した薄膜の厚さを超音波を用いて測定する方法は数多く提案されており、実用化されている。しかしながら、これまで提案されている測定方法は、薄膜支持体と薄膜の境界面で反射される境界面反射波と、薄膜の外面で反射される底面反射波とが時間的に分離して測定されることを前提としたものであった(例えば、特許文献1参照。)。このため、薄膜の厚さが非常に薄い場合には、底面反射波が境界面反射波に重畳して測定できなくなっていた。
この底面反射波が境界面反射波に重畳するような場合の解決策として、境界面反射波の立上り時と、境界面反射波と底面反射波の重畳部分における振幅ゼロ時との間の時間差を計測して膜厚を求める方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法は、重畳部分がどこであるのかを判別するためには反射波の形状が予め予測できることが必須であるが、実際の測定において反射波は送信された超音波の波形と異なった形で現れることが多く、重畳部分がどこであるかを判別することはきわめて困難であり、場合によっては振幅ゼロ時がないケースもあり得るため、実用的ではなかった。
特開平8−159742号公報 特開2001−227933号公報
本発明は、測定対象となる薄膜支持体と薄膜の一般的な組合せが、鉄や鋼と亜鉛やスケール等のように、底面反射波が境界面反射波よりも大きな振幅を呈する組合せが多いことに着目して考え出されたもので、底面反射波と境界面反射波が重畳した検出波形であっても、簡単かつ確実に膜厚を測定できる方法を提供しようとするものである。
本発明による膜厚測定方法は、薄膜支持体と該薄膜支持体の一面側に付着された薄膜とからなり、薄膜支持体の薄膜に対向する側の面から送信された超音波の底面反射波の振幅が境界面反射波の振幅よりも大きな特性を有する測定対象物の薄膜の厚さを測定する方法である。本発明の方法は、慣用の超音波探傷器を用いて従来技術におけると同様に超音波を薄膜支持体の薄膜に対向する側の面から送信することにより始められ、送信した超音波の境界面反射波と底面反射波とからなる合成反射波を超音波探傷器で受信し、受信した合成反射波が最初のピークと逆位相ピークへの上昇領域(以下、これを「立上り領域」という。)において当該ピークの値に対して所定%の値の閾値を通過する時(以下、これを「閾値通過時」という。)との時間差、または最大ピークへの上昇領域における閾値通過時との時間差を計測することによって膜厚の測定値を求め、この求めた測定値から所定の補正式に基づいて補正値を算出することにより薄膜の厚さを決定する。
受信した合成反射波の波形の最先部分は、境界面反射波が底面反射波よりも先に戻ってくることから、基本的に境界面反射波の成分であり、波形の最大ピークの部分は、底面反射波が境界面反射波よりも大きいことから、基本的に底面反射波の成分であると捉えることができる。この理由により、合成反射波の立上り時を境界面反射波の測定点とし、最大ピーク時を底面反射波の測定点として膜厚の測定値を求め、上述した補正を行って膜厚を求めることは可能である。本発明においては、立上り時の第1の波を境界面反射波として捉え、最大ピーク時の波を底面反射波として捉えることを基本的な考えとするものであり、それ故、立上り領域における閾値通過時を境界面反射波の測定点とし、最大ピーク上昇領域における閾値通過時を底面反射波の測定点としている。少なくとも立上り領域の始まり部分は、前述したように、境界面反射波が底面反射波よりも先に戻ってくるため、実質的に境界面反射波の波形として処理することができる。一方、最大ピーク上昇領域は、境界面反射波と底面反射波の重畳の程度によってその曲線が変化されることになる。本発明では、基本的に、この曲線変化量を光学顕微鏡で測定した薄膜の実測値と比較解析することにより補正式、
Vc=(Vm−b)/a
ただし、Vm:薄膜の厚さの測定値
Vc:薄膜の厚さの補正値
a,b:薄膜および薄膜支持体の材質により設定される係数
を導き出している。
これらの閾値通過時を測定点とすることは、境界面反射波と底面反射波の重畳の程度、使用する超音波の周波数、検出した合成反射波の振幅の大きさ、閾値の値によってその時間的値が変化する可能性を含むことになる。このため、補正式はこれらの変動要因を固定した状態で求められる。本発明の適用形態の一つとして、薄膜支持体が鉄または鋼であり、薄膜が亜鉛である場合の本発明の薄膜測定方法は、立上り時のピークおよび最大ピークを所定の値までそれぞれ増幅または減衰し、そのときのピーク値に対して所定の割合の値を立上り領域における閾値および最大ピーク上昇領域における閾値としてそれぞれ設定したとき、前記の補正式の係数aおよびbを、
a=1.2798
b=151.74
とすることで実用上十分な正確性を有する膜厚の値を求めることができる。
また、薄膜支持体が鉄または鋼であり、薄膜がアルミニウムである場合、
a=1.8232
b=238.36
とすることで前述と同様に実用上十分な正確性を有する膜厚の値を求めることができる。
ところで、使用する超音波探傷器、超音波周波数等の測定条件によっても左右されるが、薄膜の厚さが相対的に厚いときや、薄膜支持体と薄膜の材質の組合せによって、合成反射波における最大ピークと最初のピークとの間に少なくとも1つのピークが現れる。このため、前述した最大ピークを所定の値まで増幅または減衰し、そのときのピーク値に対する所定の割合の値を読み取ろうとするとき、この介在するピークが閾値よりも大きい場合、最大ピークの閾値通過時の代わりに中間に介在するピークの閾値通過時の値を間違って読み取ってしまう虞がある。このような相対的に大きなピークが中間に介在する例としては、アルミニウム薄膜支持体とニッケルまたはクロムの薄膜の組合せや、銅の薄膜支持体と錫の薄膜の組合せの場合がある。また、特に、読取りを自動的に行う場合、中間に介在するピークの値であるか最大ピークの値であるかを自動認識させることはより複雑なプログラムを必要とする。
このような誤った読取りを避けるため、本発明の別の適用形態においては、最大ピークへと連なる直前の逆位相ピークと最初のピークとの間に誤った読取りを生ずるような相対的に大きな逆位相ピークが介在しない点に着目し、前述の最大ピーク上昇領域における閾値通過時の代わりに最大ピークへと連なる直前の逆位相ピークへの上昇領域における閾値通過時を使用する。
自明な如く、立上り領域での閾値通過時と逆位相ピークへの上昇領域での閾値通過時の間の時間は、同一厚の薄膜を測定したとき、前述した立上り領域での閾値通過時と最大ピークへの上昇領域での閾値通過時の間の時間と異なり、また、補正式中の値aおよびbもまた同様に異なる。この適用形態における補正式中の係数aおよびbは、それぞれ、
薄膜支持体がアルミニウムであり、薄膜がニッケルである場合:
a=0.3682
b=103.36
薄膜支持体がアルミニウムであり、薄膜がクロムである場合:
a=0.7669
b=118.97
薄膜支持体が銅であり、薄膜が錫である場合:
a=1.4523
b=66.614
とすることで前述と同様に実用上十分な正確性を有する膜厚の値を求めることができる。
ここにおいて、立上り領域と逆位相ピークの上昇領域とを基準とする方法は、立上り時のピークと最大ピークとの間に別のピークが介在しない場合であってもそのまま利用できることに留意されたい。この場合、前記の組合せにおける前述の補正式の係数aおよびbはそれぞれ次のように設定される。
薄膜支持体が鉄または鋼、薄膜が亜鉛の場合:
a=1.1015
b=130.06
薄膜支持体が鉄または鋼、薄膜がアルミニウムの場合:
a=1.7771
b=84.347
一方、説明が前後するが、薄膜が薄いと立上り時のピークと最大ピークとの間に別のピークが介在しない場合があり、上述の薄膜支持体:アルミニウム/薄膜:ニッケル、薄膜支持体:アルミニウム/薄膜:クロム、薄膜支持体:銅/薄膜:錫の場合であっても立上り上昇領域の閾値通過時と最大ピーク上昇領域の閾値通過時を計測することにより測定し得る。これらの場合の係数aおよびbはそれぞれ次のようになる。
薄膜支持体:アルミニウム/薄膜:ニッケル
a=0.2614
b=232.97
薄膜支持体:アルミニウム/薄膜:クロム
a=1.3772
b=212.88
薄膜支持体:銅/薄膜:錫
a=1.3592
b=162.91
本発明によれば、測定した合成反射波の立上り領域と最大ピークへの上昇領域における閾値通過時の時間差、或いは、合成反射波の立上り領域と最大ピーク直前の逆位相ピークへの上昇領域における閾値通過時の時間差を測定して膜厚を求め、その値を所定の補正式を用いて補正することにより実用性のある値としての膜厚を得ることができ、それにより、従来波形が重畳することによって計測できなかった非常に薄い膜厚をも測定することができると共に、境界面反射波と底面反射波が分離されているか否かに関係なく薄膜の厚さを測定できるものである。
本発明の方法で用いることのできる超音波探傷器の例を示すブロック図である。 反射波の生成過程を説明するための模式的な断面図である。 超音波を用いた厚さ測定において得られる合成反射波の波形の例を示す図である。 閾値の設定を説明するための合成反射波の例を示す図である。 薄膜として亜鉛めっきを用いた場合の測定値と実測値の関係を示すグラフである。 薄膜としてアルミニウムめっきを用いた場合の測定値と実測値の関係を示すグラフである。 別の閾値の設定方法を説明するための合成反射波の例を示す、図4と同様な図である。
本発明の実施例による膜厚測定方法は、図1に例示するような周知の超音波探傷器1を用いて行われる。この超音波探傷器1の信号処理等に関しては本発明の範囲外であるのでその詳細については割愛するが、概説すると次のように行われる。
超音波探傷器1は、パルサー2で発生された超音波パルスPは超音波トランスデューサ3により測定対象物4の外面側から送信される。測定対象物4は、図2に模式的に示すように、薄膜支持体4aとその内面に付着された薄膜4bとから構成されており、そのため、送信された超音波パルスPのエネルギーは、薄膜支持体4aと薄膜4bの境界面4cでその一部を境界面反射波P1として反射され、境界面4cを透過した超音波エネルギーは薄膜4bの外面4dで底面反射波P2として実質的に全反射される。境界面4cおよび外面4dでそれぞれ反射された境界面反射波P1および底面反射波P2は、超音波トランスデューサー3で受信され、信号増幅部5で増幅されて表示器6に両者が合成された合成反射波Pc(図3参照)として表示される。
ここにおいて、本発明において扱う薄膜支持体4aと薄膜4bの組合せは、薄膜支持体4aの外面から送信された超音波の底面反射波P2の振幅が境界面反射波P1の振幅よりも大きな特性を有することを条件とする組合せである。このため、本発明において扱う薄膜支持体4aと薄膜4bの組合せの代表的な例としては、鉄または鋼製の薄膜支持体と、亜鉛、錫、アルミニウムまたはスケールの薄膜との組合せを挙げることができる。
第1の反射波である境界面反射波P1と第2の反射波である底面反射波P2とは、薄膜4bの厚さが相対的に厚い場合、図3の(A)に示すように、境界面反射波P1と底面反射波P2が相互に分離された形の合成反射波Pcとして検出され、薄膜4bの厚さが薄くなるに従って境界面反射波P1と底面反射波P2が近接し(図3の(B)参照)、ついには相互に重なり合って境界面反射波P1と底面反射波P2を分離できなくなってしまう(図3の(C)参照)。
測定した反射波の時間差の値を薄膜の厚さに換算する方法自体については本発明の範囲外であるのでそれについての説明は割愛するが、図3の(A)に示されているように、境界面反射波P1と底面反射波P2が完全に分離されている場合、境界面反射波P1および底面反射波P2の立上り時Ti1およびTi2間、または閾値(Lx)通過時Tt1およびTt2間、或いは最大ピーク時Tm1およびTm2間の時間差dT0を計測し、それを測定条件に対応する所定の時間差−厚さ換算式に基づいて演算することにより薄膜4bの厚さが算出される。また、図3の(B)に示されているように、境界面反射波P1と底面反射波P2が完全に分離されてはいないが一部重畳している場合、重畳していない測定点、図示の場合、境界面反射波P1および底面反射波P2の閾値(Ly)通過時Tt1およびTt2または最大ピーク時Tm1およびTm2を取り出すことが可能であり、そのため、前述の場合と同様に、閾値通過時Tt1およびTt2間または最大ピーク時Tm1およびTm2間の時間差dT0を計測することによって薄膜4bの厚さを測定することができる。
これらの場合に対し、図3の(C)に示されているように、境界面反射波P1に底面反射波P2が重畳して両者を分離できない場合には、上述した方法を用いることができない。このため、本発明では、境界面反射波P1に底面反射波P2が重畳した合成反射波Pcの立上り領域Raにおける閾値通過時Taと最大ピーク上昇領域Rbにおける閾値通過時Tbの間の時間差dT1を測定することにより薄膜4bの厚さを求めている。
ところで、境界面反射波P1および底面反射波P2のどの時点を測定点として使用するかについては、立上り時(Ti1、Ti2)、閾値通過時(Tt1、Tt2)および最大ピーク時(Tm1、Tm2)を使用すると説明したが、立上り時は信号増幅部5の増幅度によって変化する傾向にあり、最大ピーク時は信号波形から明瞭に読み取れない場合がある。このため、本発明は以下のように対処することによりこれらの変動要因を実質的に一定にしている。
使用する超音波トランスデューサの周波数については、周波数が低いと分解能が低下し、高くなると、薄膜支持体伝播中の減衰率が大きいために反射波を検出できなくなってしまう。このため、使用する超音波トランスデューサの周波数は測定対象物に応じて適宜に選定される。
検出した合成反射波の振幅の大きさによる変動に対しては、図4の(A)および(B)に示すように、合成反射波の立上り時のピークW1のレベルおよび最大ピークW2のレベルが所定の値となるように信号増幅部5の増幅度をそれぞれ調整し、その状態における所定の値を立上り領域Raおよび最大レベル上昇領域Rbにおける閾値LaおよびLbとしてそれぞれ設定することにより対応する。これは、合成反射波の立上り領域Raおよび最大レベル上昇領域Rbにおける波形を実質的に一定にすることで閾値通過時Ta、Tbを一定にすることができることを意味しており、境界面反射波と底面反射波の信号強度が薄膜支持体と薄膜の材質に応じてほぼ一定の比率で検出されることと併せて考察することにより、薄膜の厚さの変化を、最大レベル上昇領域の閾値通過時の値の変化として検出することができる。
〔実験例1〕
鋼製の薄膜支持体4aに亜鉛めっきを施して薄膜4bを形成して試料を作成した。25MHzの超音波トランスデューサ3を使用して超音波を送信し、受信した合成反射波Pcの立上り時のピークW1の振幅が表示器6の管面スケールで75%の位置にくるように信号増幅部5でレベル調整し、閾値Laをスケール25%のレベルに設定して立上り領域における閾値通過時Taの値を測定する(図4の(A)参照)と共に、合成反射波Pcの最大ピークW2の振幅が表示器6の管面スケールで75%の位置にくるように信号増幅部5でレベル調整し、閾値Lbをスケール25%のレベルに設定して最大ピーク上昇領域における閾値通過時Tbの値を測定した(図4の(B)参照)。これにより得られた2つの閾値通過時TaおよびTbの時間差dT1から膜厚の測定値(Vm)を算出した。その結果を図5に示す。このグラフの近似式より求められた補正式は以下のようになった。
Vc=(Vm−151.74)/1.2798 --- (1)
(Vm:薄膜の厚さの測定値、Vc:薄膜の厚さの補正値)
この補正式の妥当性を検証するために、光学顕微鏡を用いて測定に供した試料の薄膜4bの厚さの実測値(Vr)を測定し、上述の実験において求められた各測定値(Vm)から上記の補正式(1)を用いて補正値(Vc)を算出して実測値Vrとの比較を行ったところ、補正値Vcと実測値Vrの間の誤差は、平均で6μm、最大でも11μmであり、実用上、十分に利用可能な範囲に収まっていることが判明した。
〔実験例2〕
試料として、鋼製の薄膜支持体4aにアルミニウムめっきを施して薄膜4bを形成し、前記実験例と同様にして実験を行った。測定値Vmと実測値Vrの関係は図7に示すような関係であることが判明した。このグラフの近似式より求められた補正式は以下のようになった。
Vc=(Vm−238.36)/1.8232 --- (2)
実験例1と同様に、この補正式の妥当性を検証するために、試料の薄膜4bの厚さの実測値Vrを光学顕微鏡を用いて測定し、上述の実験において求められた各測定値Vmから上記の補正式(2)を用いて補正値Vcを算出して実測値Vrとの比較を行ったところ、補正値Vcと実測値Vrの間の誤差は、平均で9μm、最大でも20μmであり、実用上、十分に利用可能な範囲に収まっていることが判明した。
薄膜支持体がアルミニウムであり、薄膜がニッケルである場合、薄膜支持体がアルミニウムであり、薄膜がクロムである場合、薄膜支持体が銅であり、薄膜が錫である場合についても同様に実験した。その結果、補正式を以下のように設定することにより利用できることが判明した。
薄膜支持体がアルミニウム、薄膜がニッケルである場合:
Vc=(Vm−103.36)/0.3682
薄膜支持体がアルミニウム、薄膜がクロムである場合:
Vc=(Vm−118.97)/0.7669
薄膜支持体が銅、薄膜が錫である場合:
Vc=(Vm−66.614)/1.4523
アルミニウム製の薄膜支持体4aとニッケルめっきまたはクロムめっきの薄膜4bとの組合せ、銅製の薄膜支持体4aと錫めっきの薄膜4bとの組合せの場合、或いは、薄膜の厚さが相対的に薄い場合、図7に例示するように、立上り時のピークW1と最大ピークW2との間に位置するピークW3が最大ピークW2の値に近い値を示す。中間ピークW3の値が最大ピークW2の値に近似している場合、前述した合成反射波の振幅の大きさによる変動を回避するための手段、すなわち、ピークレベルが所定の値となるように調整してそのときの閾値通過時を計時する方法では、最大ピークW2および中間ピークW3の波形が、図7に破線で示すように、閾値に相当する横線を横切って表示されるため、最大ピークW2と中間ピークW3とを混同してしまう虞がある。特に、読取りの自動化を行う場合、中間ピークW3が最大ピークW2よりも先に位置するため、最大ピークW2の代わりに中間ピークW3の閾値通過時の値を読み取ってしまう虞がある。
このような間違った読取りをなくすため、本発明の別の実施形態では、立上り領域における閾値通過時Taと、最大ピークW2へと連なる直前の逆位相ピークW4への上昇領域における閾値通過時Tcとの間の時間を計時することにより行われる。ここにおいて、この逆位相ピークを用いる測定方法は、前述の説明で示した立上り時のピークW1と最大ピークW2との間にピークがない波形においてもまた同様に利用できることに留意されたい。
〔実験例3〕
次の組合せからなる試料をそれぞれ作成した。
試料a 薄膜支持体:アルミニウム / 薄膜4b:ニッケル
試料b 薄膜支持体:アルミニウム / 薄膜4b:クロム
試料c 薄膜支持体:銅 / 薄膜:錫
試料d 薄膜支持体:鉄 / 薄膜:亜鉛
試料e 薄膜支持体:鉄 / 薄膜:アルミニウム
前記実験例と同様に、25MHzの超音波トランスデューサ3を使用して超音波を送信し、受信した合成反射波Pcの立上り時のピークW1の振幅が表示器6の管面スケールで75%の位置にくるように信号増幅部5でレベル調整し、閾値Laをスケール25%のレベルに設定して立上り領域における閾値通過時Taの値を測定すると共に、最大ピークW2へと連なる直前の逆位相ピークW4の振幅が表示器6の管面スケールで75%の位置にくるように信号増幅部5でレベル調整し、閾値Lcをスケール25%のレベルに設定して最大ピーク上昇領域における閾値通過時Tcの値を測定した。これにより得られた2つの閾値通過時TaおよびTcの時間差dT2から膜厚の測定値(Vm)を算出した。その結果をグラフ化し、このグラフの近似式より求められた補正式はそれぞれ以下のようになった。
試料a: Vc=(Vm−103.36)/0.3682
試料b: Vc=(Vm−118.97)/0.7669
試料c: Vc=(Vm−66.614)/1.4523
試料d: Vc=(Vm−130.06)/1.1015
試料e: Vc=(Vm−84.347)/1.7771
(Vm:薄膜の厚さの測定値、Vc:薄膜の厚さの補正値)
この補正式により求められた補正値Vcと、光学的に計測した実測値Vrの間の誤差は、平均で6.7μm、最大でも12.3μmであり、実用上、十分に利用可能な範囲に収まっていることが判明した。
上述の説明において、境界面反射波P1と底面反射波P2が完全に分離されている場合並びに部分的に重畳している場合は、従来技術の手法により薄膜4bの厚さを求めるように説明したが、これらの場合であっても本発明の方法、すなわち、立上り領域における閾値通過時と、最大ピークへの上昇領域における閾値通過時の間の時間差を測定し、この時間差から膜厚の測定値を算出し、算出した測定値を上述した補正式を用いて補正することにより薄膜の厚さを求めることができることに留意されたい。
また、上述の説明において、測定点となる閾値La、LbおよびLcについては、それぞれ立上り時のピークW1のレベル、最大ピークW2のレベルおよび最大ピークW2へと連なる直前の逆位相ピークW4のレベルに対して所定の割合となるレベルであると説明したが、この所定の割合は、0%から100%のいずれであってもよい。
本発明は、送電用鉄塔、通信用鉄塔等の管やボイラの配管等に使用されている薄膜支持体と薄膜の組合せについて補正式を求め、係数を決定しているが、非破壊検査の対象となるこれ以外の組合せについても基本的に利用できる。
1 超音波探傷器
2 パルサー
3 超音波トランスデューサ
4 測定対象物
4a 薄膜支持体
4b 薄膜
4c 境界面
4d 外面
5 信号増幅部
6 表示器
dT0、dT1、dT2 時間差
La、Lb、Lc、Lx 閾値
P 超音波パルス
Pc 合成反射波
P1 境界面反射波
P2 底面反射波
Ra 立上り領域
Rb 最大ピーク上昇領域
Rc 逆位相ピーク上昇領域
Ti1、Ti2 立上り時
Tm1、Tm2 最大ピーク時
Tt1、Tt2、Ta、Tb、Tc 閾値通過時
Vm 測定値
Vc 補正値
Vr 実測値
W1 立上り時のピーク
W2 最大ピーク
W3 逆位相ピーク

Claims (1)

  1. 薄膜支持体と該薄膜支持体の一面側に付着された薄膜とからなり、薄膜支持体の薄膜に対向する側の面から送信された超音波の底面反射波の振幅が境界面反射波の振幅よりも大きな特性を有する測定対象物の薄膜の厚さを測定する方法であって、
    送信した超音波の境界面反射波と底面反射波とからなる合成反射波を受信し、
    合成反射波の立上り時のピークのレベルが所定の値となるように信号増幅部の増幅度を調整し、前記所定の値に対して所定%の値を閾値とする立上り領域の閾値通過時を計測すると共に、合成反射波の最大ピークのレベルが前記所定の値と同じ値となるように信号増幅部の増幅度を調整し、前記閾値と同じ値を閾値とする最大レベル上昇領域の閾値通過時を計測し、
    計測した2つの閾値通過時の時間差を計測して膜厚の測定値を求め、
    求めた測定値から所定の補正式、
    Vc=(Vm−b)/a
    ただし、Vm:薄膜の厚さの測定値、Vc:薄膜の厚さの補正値、
    a,b:薄膜および薄膜支持体の材質により設定される係数
    に基づいて補正値を算出して薄膜の厚さを決定する、膜厚測定方法。
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