JP3631559B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関するもので、特に鈍角隅部を有するブロックよりなるトレッドパターンを具えたタイヤの偏摩耗を改良することに関する。
【0002】
ここで、本明細書で使用される用語について説明すると、
「ブロックの踏み込み側(蹴り出し側)」とは、ひとつのブロックに注目した場合、傾斜溝によって形成された辺の側のうち、タイヤの正転時に先に(後から)接地する辺の側を指す。靴にたとえて言えば、踏み込み側はヒール(踵)であり、蹴り出し側はトー(つま先)である。
【0003】
【従来の技術】
一般に、ブロックパターンを具えた空気入りタイヤは、ブロックの踏み込み側と蹴り出し側で摩耗段差が生じる所謂ヒール・アンド・トー摩耗と称される偏摩耗が発生する傾向にあり、これを改良することが強く要請されている。
【0004】
ヒール・アンド・トー摩耗は、踏み込み側であるヒール側に比べて、蹴り出し側であるトー側が早期摩耗することにより段差を生じるものであるが、ヒール・アンド・トー 摩耗を改良する手法として、溝が延びる方向に直角に立てた法線に対する溝側壁の角度を踏み込み側と蹴り出し側で変えるとか、同様に溝側壁の角度を鋭角隅部側と鈍角隅部側で変えるということが行われている。これは、ブロックの剛性を適正化することによりヒール・アンド・トー摩耗を改良しようという手法である。
【0005】
また、特開平3−5217においては、一端が周方向主溝またはトレッド端に開口する横溝の溝の縁にサイプを多数配置してヒール・アンド・トー摩耗を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溝側壁の角度を同一溝内で変化させることは排水性の低下が懸念されることや、摩耗が進展した際に、溝幅が新品時と大きく異なった分布となり性能上または外観上からも好ましいものでない。また、横溝の縁全幅にサイプを設けた場合は、操縦安定性の低下を来すという問題が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の有するこのような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、本発明の目的は他の性能を犠牲にすることなくヒール・アンド・トー摩耗を改良した空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の空気入りタイヤは、周方向に平行または実質的に平行に延びる複数本の周方向溝と、多数の横方向溝とによって鈍角隅部を有するブロックが形成されたトレッドパターンを具えた空気入りタイヤにおいて、
(1)該鈍角隅部のうち、少なくともタイヤ正転時に後からに接地する鈍角隅部に、傾斜溝に開口するサイプが形成されており、
(2)該サイプのタイヤ表面上での長さが2〜10mmである
という構成を採用している。
【0009】
さらに、鈍角隅部に形成されたサイプの深さを、隣接する溝の深さの20〜100%に設定するとサイプの効果有効に発揮することができるので好ましい。
【0010】
タイヤに駆動力を与えると、ブロックは接地面内で順次踏み込み側から滑りを生じるような力を受けそれがブロックの蹴り出し側に至るまでに蓄積され、蹴り出し側が接地面から離れる瞬間に一気に放出することになる。したがって、ブロックの蹴り出し側(トー側)は、踏み込み側より摩耗が早くなり段差が生じるわけである。
【0011】
本発明は、上記のような挙動につき、種々観察・検討した結果得られたものであり、次の知見に基づいたものである。即ち、
(1)蹴り出し側は、踏み込み側から滑りを生じる力を順次受けるために、踏み込み側に比べ接地面から離れる直前の接地圧の上昇が大きい。
(2)接地圧の上昇は、鈍角隅部のような剛性の高い部分で大きい。このため、接地圧と変形の大きさに関係する摩耗量はこの部分で大きくなる。
(3)鈍角隅部にサイプ乃至は細溝を適正に配置することによりこの部分の剛性を低くすれば、接地面から離れる直前の接地圧の上昇を抑えることができる。そして、結果としてこの部分の早期摩耗を防止することができる。そして、元々剛性の高い部分の剛性を低くするので、他の部分との剛性バランスが取れ操縦安定性を低下させることはない。
【0012】
ここで、タイヤのトレッドパターンには非方向性パターンと方向性パターンがあるが、本発明では方向性パターンのときはブロックの蹴り出し側だけにサイプを配置すればよいが、非方向性パターンのときはブロックの該当する部分の全部に配置する必要がある。また、タイヤ表面上でのサイプの長さを2〜10mmとしたのは、2mm以下では鈍角隅部の剛性を十分に下げることができないためであり、10mm以上ではブロック全体の剛性が下がり過ぎ操縦安定性が低下する虞があり好ましくない。またさらに、サイプの深さを隣接する溝の深さの20〜80%としたのは、20%以下では鈍角隅部の剛性を十分に下げることができないためであり、100%以上ではこの部分からクラックが発生したり石が詰まりやすくなったりするためである。
【0013】
サイプを配置する方向については鈍角隅部が均等な剛性に分割する方向にすればよい。またサイプは、特にショルダー側のブロックに配置するのが効果が大きく、そしてそれ以外のブロックではブロック内のショルダーよりの領域に配置するのが効果的である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に従う実施例の乗用車用空気入りタイヤのトレッドパターンであって、タイヤサイズは185/70R14である。実施例のトレッドパターンは、タイヤの赤道線上とそれを挟み左右1本ずつ合計3本の周方向溝1が形成され、傾斜溝2がタイヤ赤道線を挟んで左右にV字状に延びるタイヤ周方向に間隔を置いて形成されている。ブロックBの鈍角隅部にはサイプ3が設けられ、ブロックBの鈍角隅部が分割されこの部分の剛性を低くするようになっている。図1のような方向性トレッドパターンの場合は、蹴り出し側5の鈍角隅部だけに配置してよい。図2は非方向性トレッドパターンの例であり、この場合は全部の鈍角隅部にサイプを配置する必要がある。図3は、鈍角隅部を有するブロックの変形デザイン例であり、鈍角隅部は面取りしてあってもよく、またサイプは必ずしも鈍角の頂点を通らなくともよい。またさらに、(C)、(D)のようにブロックが平行四辺形でなくともよいし、そして(C)のようにヒール・アンド・トー摩耗が一番問題になる箇所だけにサイプを配置してもよい。
【0015】
次に、発明の効果を確かめるべく図1の方向性トレッドパターンを用い表1に従うようにサイプを配置した、従来例、比較例、実施例について6種類のタイヤを用意した。タイヤは、従来例のまったくサイプの入っていないタイヤを加工してそれぞれ比較例、実施例になるようにした。
【0016】
摩耗試験は、5 1/2Jのリムに内圧1.9kgf/cm2 で組みつけ、フラットベルト摩耗試験機で行った。試験条件は、次のとおりである。
・路面:セーフティーウオーク、 ・室温:30℃、
・スリップ角度:0.5 度、 ・荷重:450kgf、
・負荷制動力:45kgf、 ・速度:50km/h、
・走行距離:300km、
比較評価は、ショルダーよりのブロックの蹴り出し側の鈍角隅部と踏み込み側の鋭角隅部摩耗差を従来例のタイヤを100として指数表示して示した。数値は便宜上大きいほど摩耗差が小さく良好なことを示すようにした。結果は表1に示してある。
【0017】
操縦安定性については、5 1/2Jのリムに内圧1.9kgf/cm2 で組みつけ、荷重410kgfの条件でドラム試験機にてコーナーリングパワーの測定を行った。コーナーリングパワーは、スリップ角度1度あたりのコーナーリングフォースであるが、この試験ではスリップ角度7度までの平均値を、従来タイヤの値を100として指数表示してある。結果は同じく表1に示してある。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】
上記のように、本発明のタイヤは従来例のタイヤに比較して操縦安定性を犠牲にすることなくヒール・アンド・トー摩耗が大幅に改良されていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気入りタイヤの方向性を持つトレッドパターン図である。
【図2】本発明による空気入りタイヤの非方向性トレッドパターン図である。
【図3】本発明による空気入りタイヤの鈍角隅部を有するブロックの他の実施例である。
【符号の説明】
E 赤道線(パターンセンター)
R タイヤ回転方向
B ブロック
1 周方向溝
2 横方向溝(傾斜溝)
3 サイプ
4 踏み込み側(ヒール側)
5 蹴り出し側(トー側)
6 鈍角隅部
7 鋭角隅部
Claims (2)
- 周方向に平行または実質的に平行に延びる複数本の周方向溝と、多数の横方向溝とによって鈍角隅部を有するブロックが形成されたトレッドパターンを具えた空気入りタイヤにおいて、
(1)該鈍角隅部のうち、少なくともタイヤ正転時に後から接地する鈍角隅部に、傾斜溝に開口するサイプが形成されており、
(2)該サイプのタイヤ表面上での長さが2〜10mmである
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 該鈍角隅部に形成されたサイプの深さが、隣接する溝の深さの20〜100%であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
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JP15215596A JP3631559B2 (ja) | 1996-06-13 | 1996-06-13 | 空気入りタイヤ |
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- 1996-06-13 JP JP15215596A patent/JP3631559B2/ja not_active Expired - Fee Related
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