JP3631410B2 - ガスセル型原子発振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型・簡素にして高い周波数安定度が得られるガスセル型原子発振器に係り、特に励起光源の光強度変化に対する共鳴周波数変動およびガスセルの温度変化に対する共鳴周波数変動を低減し、周波数安定度を向上させたガスセル型原子発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスセル型原子発振器は、原子固有の共鳴周波数を周波数基準とした極めて安定度の高い発振器である。共鳴信号の信号対雑音比(S/N)が高いため短期周波数安定度に優れているものが商用化されており、基準周波数を得るための原子としては、主にルビジウムが使用されている。
ガスセル型原子発振器の基本構成について図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は全体の基本構成図、図2は基本構成中の二重共鳴部2の二重共鳴共振器2c部分を示す断面模式図である。
【0003】
図1、図2において、電圧制御水晶発振器5から出力された信号周波数fの信号は周波数合成・逓倍回路4に入力されて、二重共鳴部2の中のガスセル21に封入されている原子の共鳴周波数fに近いマイクロ波信号(周波数N×f)に変換される。このマイクロ波信号は、二重共鳴部2内の二重共鳴共振器2cに入力されて、二重共鳴共振器2c内の空洞共振器22を励振する。また光源部1から出射された光は、二重共鳴部2内の二重共鳴共振器2cへ励起光として照射される。二重共鳴共振器2c内では、光およびマイクロ波による二重共鳴現象が生じ、二重共鳴部2からは、加えられたマイクロ波信号の周波数N×fと原子の共鳴周波数fとの周波数差( N×f−f) に比例した信号が誤差信号として出力される。信号処理制御装置3は、この周波数差がゼロになるように電圧制御水晶発振器5の発振周波数を制御する。この結果、電圧制御水晶発振器5からは標準となる周波数fを有する信号が出力される。
二重共鳴部2に含まれている温度制御回路2aは、ガスセル21を恒温化するためにヒータ26へ電力を供給し、また同様に静磁場発生回路2bはガスセル21に直流平行磁場(静磁場)を与えるために静磁場コイル27へ電流を供給している。
【0004】
次に、二重共鳴共振器2cの構成について、図2を用いて説明する。
空洞共振器22の中には、アルカリ金属が封入されたガスセル21が収容されている。アルカリ金属としては、共鳴マイクロ波周波数が6.83GHz付近であるルビジウム原子(以下、「Rb」と記す。)が一般に利用されているが、共鳴マイクロ波周波数が9.19GHz付近であるセシウム原子(以下、「Cs」と記す。)を利用することで、空洞共振器22の小型化が図れる。以下の説明は、Csを例にとり説明しているが、Rbの場合でも構成は同じである。
空洞共振器22は、非磁性体の金属でなる同筒状であり、その一端には光源部1からの励起光を採り入れる光入力窓28が設けられ、また他端には光入力窓28に対向する位置にガスセル21を透過した光を受光するための光検出器23が備えられている。また空洞共振器22の内部には、周波数合成・逓倍回路4からのマイクロ波信号を入力するためのマイクロ波アンテナ24およびガスセル21の温度を検出するための温度センサ29が備えられている。
空洞共振器22の外周には、ガスセル21に静磁場を与えるための静磁場コイル27が巻回されている。
空洞共振器22と静磁場コイル27は、複数の磁気シールド槽25,25に収容されている。複数の磁気シールド槽25,25は、一端に光源部1からの励起光をとり入れるための光入力窓28がそれぞれ設けられ、かつ他端が閉塞された形状の強磁性体材料でなる金属ケースであり、外部磁場および周辺制御回路からの発生磁場を遮断する。
最内層の磁気シールド槽25の外周には、ガスセル21と空洞共振器22を加熱し恒温化するためのヒータ26が巻回されている。ヒータ26は、温度センサ29によって検出される温度が一定となるように温度制御回路2aから印加される電圧が制御されている。温度は、例えば常温より高い30〜70℃の間の所定の温度で一定になるように制御されているが、これはガスセル21に封入されている金属原子を蒸気の状態にし、励起光の吸収量を増すためである。
【0005】
次に、光マイクロ波二重共鳴現象について、図3に示すCsのエネルギ状態の3準位原子系モデルを例に説明する。
図3の(a)に示すように、熱平衡状態におけるCsは、基底状態(6S1/2 )の2つの超微細準位(F=3,F=4)に等分に分布している。この状態のとき、図3の(b)に示すように、F=3から光ポンピングを行う波長に安定化された励起光をCsに照射すると、基底状態の高い超微細準位(6S1/2 ,F=4)にあるCsは変化を受けないが、基底状態の低い超微細準位(6S1/2 ,F=3)にあるCsは励起光の光エネルギを吸収して、励起状態(6P3/2 )に光ポンピングされる。励起状態(6P3/2 )に光ポンピングされたCsは、次の瞬間いま得たエネルギを自然放出して、基底状態(6S1/2 )の2つの超微細準位(F=3,F=4)に等確率で落ちる。励起光を照射し続けることによりこの過程が繰り返され、Csのほとんどが基底状態の高い超微細準位(6S1/2 ,F=4)に集められ、反転分布の状態となる。
この状態で図3の(c)に示すように、Cs固有の共鳴周波数fに近い高周波磁場(マイクロ波信号)を加えると、基底状態の高い超微細準位(6S1/2 ,F=4)にあるCsは共振振動を受けてエネルギを放出し、基底状態の低い超微細準位(6S1/2 ,F=3)に誘導放出される。ここで、再び、基底状態の低い超微細準位(6S1/2 ,F=3)のCsは励起光の光エネルギを吸収して、励起状態(6P3/2 )への光ポンピングが始まるのでガスセル21の透過光を受光している光検出器23から図4に示すような吸収特性が得られる。これを光マイクロ波二重共鳴という。
図4において共鳴周波数fから離れるにしたがって透過光レベルが増加しているのは、図3の(c)に示す状態のときに、マイクロ波信号による高周波磁場が共鳴周波数fからずれるにしたがって誘導放出される原子の数が減り、その結果として低い準位の原子数は減り光の吸収がおこらないことが、その理由である。したがって、ガスセル21を透過した光(透過光)レベルを光検出器23で観測し、透過光レベルが常に最小となるようにマイクロ波信号の周波数を制御することにより、原子固有の共鳴周波数fが持つ極めて安定な周波数が移乗した標準周波数を得ることができる。
【0006】
前述の図3の説明では、基底状態の低い超微細準位(6S1/2 ,F=3)から光ポンピングを行っているが、基底状態の高い超微細準位(6S1/2 ,F=4)から光ポンピングを行ってもよい。この場合には、図3の(c)の高周波磁場により、Csは、基底状態の低い超微細準位(6S1/2 ,F=3)から基底状態の高い超微細準位(6S1/2 ,F=4)へと集められるため、同様の吸収特性が得られる。
また、前述の説明は、励起光波長が約852nmであるCsのD2線を利用した光ポンピングについて説明したが、励起状態(6P1/2 )への励起光波長が約894nmであるCsのD1線を利用した光ポンピングでも実現可能であることが知られている。
【0007】
次にガスセル21について、説明する。
通常ガスセル21内には、Csと共に緩衝気体として不活性ガスを封入する。緩衝気体の効果としては、光ポンピングされたCsのガスセル内壁との衝突によるエネルギ消失を防ぐことで、Csが下準位へ緩和して熱平衡状態へ近づこうとする時間(緩和時間)を延ばすことが知られている。しかし、緩衝気体はそれ自体の圧力変化または温度変化により共鳴マイクロ波周波数変化をもたらし、これらの変化の度合は、それぞれ圧力係数,温度係数と呼ばれている。また、緩衝気体の種類により、それぞれの係数は正特性若しくは負特性を持っている。そこで、通常緩衝気体には、上記2つの係数がそれぞれ正負逆特性を持つ2種類以上の不活性ガスを選択し、これらの係数を極力小さくする不活性ガスの圧力比(混合比)を決める。通常、2種類の不活性ガスを緩衝気体に用いる場合では、温度係数がゼロに近い値となるような混合比に設定する。
また、ガスセル21内に封入する緩衝気体の全圧力については、Csがガスセル内壁に衝突する確率およびCsが緩衝気体に衝突する確率を計算し、これらの和の逆数(緩和時間)が最大値となるようにに設定している。すなわち、ガスセル21の寸法が決まれば、緩和時間が最大となるための緩衝気体の全圧力が計算できる。緩和時間の算出方法としては、「「周波数と時間」, 吉村他, 第5章, 電子情報通信学会」に詳細な記述がある。
【0008】
光源部1の光源は、キャリアガスと共に原子を封入したランプセルを高周波励振して放電させるランプ励起方式と、半導体レーザ(LaserDiode:以下「LD」と記す。)を励起光としたLD励起方式があるが、LD励起方式では励起波長の選択的な光ポンピングを行うことが可能であるため、ランプ励起方式と比較し、ポンピング効率および信号対雑音比の向上が可能である。
【0009】
LD励起方式を用いた場合の光源部1について、図5の光源部の光学系および制御系のブロック図を用いて説明する。
図5において、LD11の波長安定化には、Csのみを封入した基準セル18の吸収特性を用いており、吸収特性を得るための方法としては、線形吸収分光法と飽和吸収分光法とがある。初めに線形吸収分光法について説明する。
LD11から出射されたレーザ光の光路をビームスプリッタ19aで分岐し、基準セル18にレーザ光を入射し、基準セル18の透過光を光検出器17で受光する。光検出器17の出力は、増幅器16を介して電圧出力信号となる。レーザ制御器12は、LD11への注入電流の制御を行う。ここで、レーザ制御器12にて注入電流を変化させることによってレーザ光の出力波長をスイープし、その出力波長を横軸にとり、前述の電圧出力信号を縦軸にとると、図6の(a)に示すような線形吸収スペクトルが観測される。
基準セル18で得られた線形吸収スペクトルの光吸収ピークにLD11の出力波長を安定化させるには、吸収スペクトルのピークにおける変調信号のレベルを基準にして、レーザ光の波長がこのピークからのずれを検出し、それを誤差信号として位相同期ループにより出力波長を制御する。図5を用いて具体的に説明すると、変調信号発生器15から出力された変調信号を、LD11に加わる注入電流に加算器13を介して重畳し、レーザ光を周波数変調する。光検出器17は、基準セル18を透過したレーザ光に含まれた変調信号成分を検出し、増幅器16を介して制御手段14に入力される。制御手段14は、増幅器16からの電圧出力信号に含まれた変調信号成分を変調信号発生器15から出力された変調信号により同期検波し、その同期検波出力がゼロとなるようレーザ制御器12へ帰還を行う。なお、異なる変調方式として、基準セル18に変調磁場を発生させ、ガスの吸収スペクトル自体を変調しても同様の効果が得られる。
【0010】
次に、飽和吸収分光法について、図5を用いて説明する。この方法は、前述の線形吸収分光法による出力波長の短期安定度をさらに向上させるものである。
LD11から出射されたレーザ光の光路をビームスプリッタ19aで分岐し、一方の分岐光は基準セル18を透過し光検出器17に入射される。もう一方の分岐光はビームスプリッタ19b、ミラー19c、ビームスプリッタ19dを介して基準セル18へ入射される。この入射光とビームスプリッタ19aで分岐された前記一方の分岐光とは、基準セル18の中において、進行方向は互いに反対向きで、かつ、ほぼ重なり合うようにする。この場合、上記入射光および分岐光のどちらか一方のレーザ光で分子の吸収が飽和状態となると、他方のレーザ光(この場合プローブ光となる)による光の吸収量が減少する。このプローブ光にもたらされる飽和吸収特性を光検出器17で受光し、増幅器16より電圧出力信号を得る。レーザ制御器12にてLD11の注入電流を変化させることによってレーザ光の出力波長をスイープして、その出力波長を横軸にとり、前述の電圧出力信号を縦軸にとると、図6の(b)に示すような線形吸収成分を含んだ飽和吸収スペクトルが観測される。一つの飽和吸収スペクトルの半値全幅は線形吸収スペクトルの半値全幅の約1/100である。このため、LD11の出力波長を制御する際、飽和吸収スペクトルを用いると狭線幅化により安定度が大幅に改善できる。
一般に知られているCsのD2線の飽和吸収スペクトルは、基底状態(6S1/2 ,F=3)から励起状態(6P3/2 )への励起波長では、波長の短い方から順にF線,E線,D線の3本と、それらのクロスオーバとしてm線、l線、k線の3本の計6本がある。また、基底状態(6S1/2 ,F=4)から励起状態(6P3/2 )への励起波長では、波長の短い方から順にC線,B線,A線の3本と、それらのクロスオーバとしてc線,b線,a線の計6本がある。「THEORETICAL ANALYSIS OF Rb AND Cs D2 LINES IN SATURATION SPECTROCOPY WITH OPTICAL PUMPING,S.Nakayama,JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,Vol.23,No.7,pp.879−883,1984. 」に詳細な記述がある。
【0011】
Csをガスセル型原子発振器として使用するとき、通常、TE011 あるいはTE111 モードの二重共鳴共振器が使用され、この中にセルを入れる。光源部1から出力される励起光の波長(励起光周波数)は、前述の飽和吸収スペクトルの一つに安定化されているが、ガスセル21にはCsと緩衝気体が封入されているため、ガスセル21の吸収量最大の光周波数位置は励起光周波数と一致しない。このため、周波数がずれた励起光の強度変化により、吸収線のエネルギ状態が変化し、共鳴マイクロ波周波数がシフトされてしまう現象がある。これを光パワーシフトと呼ぶ。図7は従来のガスセルの光パワーシフト特性を測定したグラフを示し、横軸にB線を基準値ゼロとした励起光周波数、縦軸に共鳴マイクロ波周波数相対値をとっている。3つの飽和吸収スペクトルc線、a線およびA線に励起光周波数をそれぞれ順に安定化して、光強度を3ポイント変えた時のそれぞれの共鳴マイクロ波周波数をプロットした。図中、●,○,◆で示した点は光強度の違いを表し、実線は同じ光強度の点を結んでいる。
図7のグラフから、飽和吸収線のいずれに安定化しても、励起光の強度変動による共鳴マイクロ波周波数の光パワーシフトが生じてしまうことが判る。
【0012】
図7において、B線とa線とのほぼ中間位置に光強度を変えても共鳴マイクロ波周波数が変化しない特異点が存在している。この特異点は光パワーシフトゼロ点と呼ばれているが、この光周波数位置に励起光周波数が安定化出来れば、光パワーシフトが生じず、光強度が変化しても原子発振器の安定度には影響しない。
【0013】
特開平7−50580号公報に記載の発明では、2台のLDを用いた方式によりこの問題点を解決している。この場合、光パワーシフトがゼロになる光周波数は、飽和吸収線a線からプラスの方向に50MHzずれているので、例えば2台の内一つのLDを飽和吸収線a線に安定化するマスタ光源とし、残りの1台をa線から+50MHz程度オフセットしたスレーブ光源とし、2台の光源のビート信号(周波数差)を観測する。この周波数差が常に+50MHzとなるように、スレーブ光源をマスタ光源にオフセットロックし、波長制御されたスレーブ光源の出力光を励起光とすればよい。
【0014】
光パワーシフトゼロ点の光周波数位置と励起光周波数を一致させる他の手法としては、ゼーマン現象を利用することが考えられる。光源部の基準セルに強磁場を加えて、吸収線位置を光パワーシフトゼロ点まで周波数シフトさせればよい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ガスセル型原子発振器の利点としては、高い周波数安定度が得られると共に、小型で低消費電力であることが挙げられる。しかし、特開平7−50580号公報に記載の光パワーシフトゼロ点に励起光周波数を安定化する方式では、光学系および電気系が複雑になり、装置の小型化が図れない。
また、ゼーマン現象を利用した方式では、飽和吸収線によって磁場に対する周波数シフト量が違うが、磁界の大きさをHとすると、シフト量が大きいものでも≦1/H[MHz/100 μT]である。例えば、吸収線を50[MHz]周波数シフトさせようとすると、その時の磁界の大きさHは、H≧5[mT]となる。この値は、日本における地磁気の強さがほぼ30[μT]であることを考えると、その170倍となってしまい、基準セルだけでなく、共鳴セルもゼーマンシフトを生じる恐れがあるため、磁気シールドを今以上に施さなくてはならない。このことは、装置の大型化を招く。また、磁界を定量的に発生させるには、ソレノイドコイルに一定電流を流す方法が容易であるが、電流変動が直接原子発振器の周波数安定度に影響を及ぼすため、周波数の不安定要因になる。
この発明の目的は、周波数安定度が向上するとともに装置の小型化も図れるガスセル型原子発振器を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、従来は光パワーシフトゼロ点の光周波数位置と励起光周波数を一致させるために、励起光周波数をシフトさせていたが、本発明では光パワーシフトゼロ点の光周波数位置をシフトさせることとした。すなわち、本発明の請求項1のガスセル型原子発振器は、アルカリ金属原子と緩衝気体とを封入したガスセルに半導体レーザから出射される該アルカリ金属原子の励起光と共鳴マイクロ波を照射して、光・マイクロ波二重共鳴を起こさせ、その際に生じる共鳴周波数を周波数の基準に用いるガスセル型原子発振器において、
前記半導体レーザは前記アルカリ金属原子の光吸収線の内の所定の光吸収線の波長に安定化された励起光を出射し、かつ、前記緩衝気体は複数種類の不活性ガスより成り、前記ガスセルを使用する温度での該温度に対する前記共鳴周波数の微分係数及び前記波長安定化された励起光の光強度の変化に対する前記共鳴周波数の変化がゼロに近い値となるように、前記緩衝気体の分圧比と全圧力とがそれぞれ所定の値とされている。
また、本発明の請求項2のガスセル型原子発振器は、請求項1のガスセル型原子発振器において、前記アルカリ金属原子がセシウム原子であり、前記所定の光吸収線がセシウム原子の光吸収線の内のa線の波長及びk線の波長のいずれかであり、かつ、前記緩衝気体がアルゴン及び窒素である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のガスセル型原子発振器は前述のようにガスセル、特に該ガスセルに封入する緩衝気体について特徴があり、その他については図1及び図2を参照して説明したガスセル型原子発振器と同様であるので、主としてガスセルについて説明し、その他の説明は省略する。
本実施の形態では、従来使われているRbより共振器を小さくすることが可能であるCsを使用した。また、光源として、LDを使用し、該LDの出射光の波長はCsのD2線の飽和吸収線の1本であるa線に安定化する。
Csと共にガスセル21に封入するガスとしては、窒素(N)とアルゴン(Ar)を使用した。Nは化学的に安定であると同時に、光励起されたNが緩和するときに非発光で緩和する確率が高いために、発光緩和によって再度Csを励起する確率が低く、安定したCsの光励起ができる。Nと組み合わせるもう一つのガスとしては、温度シフト係数を小さくするために、Nと反対の符号の温度係数を持つガスが必要であるが、多くの希ガスがこのような性質を持っている。その中で、Csと衝突したときに、その基底状態(6S1/2 )の2つの超微細準位間の緩和に対して最も小さな非弾性散乱確率を持ち、原子発振器の本質的な精度を高めるために必須である長い寿命を達成できるのはArであるため、本実施の形態では、NとArを緩衝気体として使用した。
【0018】
本実施の形態に用いるガスセルは、室温が25℃のもとで作製した。この状態で、Nに対するArの分圧比をkとし、NとArの圧力を加えた全圧をPとする。分圧比kと全圧Pについては後述する。このようなガスセルを他の温度で作製したり、評価したりすれば、分圧比kは一定であるが、全圧Pはボイル・シャルルの法則によって変化することは自明である。ここで、温度や圧力によるガスセル自体の体積の変化は、実質的に無視できる。試作したガスセル中に実際に入っているNとArの量は、既知の内容積と温度の真空系内でガスセルを割って、マススペクトロメータで分析することができる。
【0019】
上記のような条件でガスセルを作製し、励起する光の波長をCsの飽和吸収線の1本であるa線の波長としたときに、光の強度の変動によってマイクロ波周波数が変化しないという条件と、そのとき、ある温度において、温度による共鳴マイクロ波周波数の変化がゼロになるという条件を、共に満足させることができる分圧比kと全圧Pを求めることが必要となる。このために、分圧比k及び全圧Pが異なる複数のガスセルを試作した。それらを測定して、温度シフト係数がゼロになる温度において、a線で励起したときの光パワーシフト係数がそれぞれ、正および負のものを、それぞれ◯および●で表すこととして、ガスセルの全圧Pと圧力比kを2次元座標軸の横軸と縦軸にとったグラフに示すと、図8のようになる。このグラフ上で、◯および●の境界を実線で示してある。この実線上の全圧Pと圧力比kで、温度シフト係数と光パワーシフト係数が共にほぼゼロになる。これを式で表すと次のようになる。
k=0.565 P−1.64 ( 4.09 kPa>P> 3.36 kPa :Pの単位は kPa )…(1) 前記全圧Pの範囲は、ガスセルを使用する温度が30℃〜70℃の範囲において該ガスセルが有すべき全圧Pの範囲である。ガスセルを使用する温度が30℃の場合は全圧Pが3.36 kPaあたり、70℃の場合は4.09 kPaあたりを用いる。
本実施の形態に用いるガスセルの分圧比kと全圧Pは式(1) を満足するものとする。
本実施の形態では、励起する光の波長をCsのD2線のa線の波長としたが、実験の結果、式(1) を満足する分圧比kと全圧Pを有するガスセルは、励起する光の波長をCsのD2線の飽和吸収線k線の波長としたときにも、光の強度の変動によってマイクロ波周波数が変化しないという条件と、そのとき、温度による共鳴マイクロ波周波数の変化がゼロになるという条件を、共に満足することが確かめられた。a線もk線も、飽和吸収線の中では、他の吸収線から比較的離れた波長にあり、かつ、鋭い光吸収ピークを示す線であるために、LDの波長を安定化しやすい。この様な飽和吸収線が利用できることも、式(1) を満足する条件で作製されたガスセルの実用性を高める。一方、CsのD2線の他の飽和吸収線については、上記のような条件を満足する分圧比kと全圧Pは存在しないことも確認された。
【0020】
ここで、分圧比kの許容範囲について検討する。
ガスセル型原子発振器の二重共鳴部を作製して、温度の安定化を図ると、実際に装置が使用されると想定される周囲温度が10℃から50℃で、ガスセルの温度を周囲温度より高い一定温度に0.01℃程度の温度の安定化を図ることは比較的容易であるが、それ以上の温度安定化を図ることは、実用装置としては、大きさやコストを考慮すると困難である。一方、LDの出射光の強度は、LDに注入する電流と温度で制御することが可能であるが、その相対安定度は、10−3程度までは容易に制御可能である。しかし、その光をガスセルに照射する段階で、実環境の振動や温度変化によって、実際にガスセルに到達する光の強度の相対安定度は10−2程度になる。
一般に、ガスセル型原子発振器に要求されているアラン分散で定義される周波数の相対安定度は、1秒で10−11 、100秒で10−12 程度以下である。従って、実際のガスセル型原子発振器において、上記のような温度変動や光強度の変動があった場合にも、ガスセル型原子発振器に要求される安定度を満足するためには、分圧比kと全圧Pは、図7の実線で示される値に完全に一致する必要はなく、温度が0.01℃、相対光強度が10−2変動しても1秒で10−11 、100秒で10−12 のマイクロ波周波数の相対安定度が保たれていれば十分である。このため、作製したガスセルの光パワーシフト係数と温度シフト係数が、現実に容易に達成される前記の範囲で変動しても、上記の安定度を示せば、実用的に問題のない原子発振器を実現することができる。このような条件を、kとPの許容範囲として示すと、図8のようになり、式(1) において、kの値が20%変動しても、十分、1秒で10−11 、100秒で10−12 のマイクロ波周波数の相対安定度が保たれることに対応している。
以上の実験では温度範囲を30℃から70℃までに限定している。その理由は、Csの周波数で使用するTE011 あるいはTE111 モードの二重共鳴共振器を想定するとき、その共振器とガスセルとの相対的な大きさから、30℃以下ではガスセル内でのCsの飽和蒸気圧が小さいためにCsのa線に安定化された励起光の吸収係数が小さくて十分な信号対雑音比がとれず、70℃以上ではCsのa線に安定化された励起光の吸収係数が大きすぎてセルの透過光に対する散乱光の強度が大きく十分な信号対雑音比がとれず、一方、セルを小型にするとCsとガスセル内壁との相互作用が大きくなり、やはり、十分な信号対雑音比がとれないためである。
この実験で使用した光の強度は、原子発振器として高い安定度を達成するために必須である大きな信号対雑音比を得るために、ガスセルへの入射光量に対する透過光量が約1/2から1/10となるような条件で行った。
【0021】
本実施の形態では、CsのD2線の場合を示したが、D1線を使用した場合にも、いずれかの飽和吸収線を使うことによって、実用的なガスセル型原子発振器を実現するために十分な程度、温度シフト係数と光パワーシフト係数が小さなガスセルを、適当な分圧比kと全圧Pで実現できることは、容易に推定される。
また、本実施の形態はCsを使用した場合を示したが、Rbでも実現可能である。
【0022】
【発明の効果】
本発明のガスセル型原子発振器は、ガスセルに例えばCsと共に封入する緩衝気体の分圧比及び全圧力を調整することにより、ガスセルの設定温度における温度係数をゼロにし、かつ、励起光周波数の基準となる飽和吸収線例えばCsのa線若しくはk線と光パワーシフトゼロ点とを一致させている。このことは、周囲温度が変化し、ガスセルの設定温度が変動を受けた場合でも、周波数安定度は影響を受けず、また、波長安定化された励起光の光強度が変動した場合でも、周波数安定度は影響を受けないことから、周波数安定度を向上させることができる。
本発明のガスセル型原子発振器は、2種類の緩衝気体の分圧比及び全圧力を精密に調整するだけで、小型化の妨げとなる追加部材も無く、従来のものと構成がほとんど同じであるために、安価に周波数安定度の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスセル型原子発振器の基本構成図である。
【図2】二重共鳴共振器の構成を示す断面模式図である。
【図3】Csのエネルギ状態の3準位原子系モデルを示す図であり、(a)は熱平衡状態、(b)は反転分布状態、(c)は誘導放出現象を示す図である。
【図4】光マイクロ二重共鳴現象による吸収特性を示す図である。
【図5】光源部の光学系および制御系のブロック図である。
【図6】基準セルの吸収特性を示す図であり、(a)は線形吸収スペクトル、(b)は線形吸収成分を含んだ飽和吸収スペクトルを示す図である。
【図7】従来のガスセル型原子発振器に用いるガスセルの光パワーシフト特性を示す図である。
【図8】本発明のガスセル型原子発振器に用いるガスセルの緩衝気体の圧力比kと全圧力Pとの関係を示す図である。
【図9】本発明のガスセル型原子発振器に用いるガスセルの緩衝気体の圧力比kと全圧力Pの許容範囲を示す図である。
【符号の説明】
1 光源部
2 二重共鳴部
2a 温度制御回路
2b 静磁場発生回路
2c 二重共鳴共振器
3 信号処理制御装置
4 周波数合成・逓倍回路
5 電圧制御水晶発振器
11 LD(半導体レーザ,レーザ光源)
12 レーザ制御器
13 加算器
14 制御手段
15 変調信号発生器
16 増幅器
17 光検出器
18 基準セル
19a ビームスプリッタ
19b ビームスプリッタ
19c ミラー
19d ビームスプリッタ
21 ガスセル
22 空洞共振器
23 光検出器
24 マイクロ波アンテナ
25 磁気シールド槽
26 ヒータ
27 静磁場コイル
28 光入力窓
29 温度センサ

Claims (2)

  1. アルカリ金属原子と緩衝気体とを封入したガスセル(21)に半導体レーザ(11)から出射される該アルカリ金属原子の励起光と共鳴マイクロ波を照射して、光・マイクロ波二重共鳴を起こさせ、その際に生じる共鳴周波数を周波数の基準に用いるガスセル型原子発振器において、
    前記半導体レーザは前記アルカリ金属原子の光吸収線の内の所定の光吸収線の波長に安定化された励起光を出射し、かつ、前記緩衝気体は複数種類の不活性ガスより成り、前記ガスセルを使用する温度での該温度に対する前記共鳴周波数の微分係数及び前記波長安定化された励起光の光強度の変化に対する前記共鳴周波数の変化がゼロに近い値となるように、前記緩衝気体の分圧比と全圧力とがそれぞれ所定の値とされていることを特徴とするガスセル型原子発振器。
  2. 前記アルカリ金属原子がセシウム原子であり、前記所定の光吸収線がセシウム原子の光吸収線の内のa線の波長及びk線の波長のいずれかであり、かつ、前記緩衝気体がアルゴン及び窒素である請求項1記載のガスセル型原子発振器。
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