JP3631028B2 - 金属ベース回路基板とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高発熱性電子部品或いは高発熱性電子部品と制御回路電子部品とが高密度に実装される混成集積回路に適した、高い放熱性と耐熱衝撃性に優れ、それ故に信頼性に優れる高密度混成集積回路を得ることができる混成集積回路用の金属ベース回路基板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高発熱性電子部品を実装する回路基板として、熱伝導性の良好な金属、例えば、アルミニウム、銅等の金属板を基材に用い、該金属板上に数十μm程度の厚さの無機フィラー含有樹脂からなる絶縁層を設け、更に前記絶縁層上に導電箔からなる回路が積層された金属ベース回路基板が用いられている。金属ベース回路基板は、高い熱伝導性を有し、発熱量の大きな電子部品を搭載し利用できることから、ハイパワー分野の用途等に好ましく用いられている。
【0003】
しかし、前記用途分野向け金属ベース回路基板に関しては、機能の高度化と共に、基板内に実装される素子数及び入出力数が増大し、これに伴って入出力及び素子間の配線数が増加している。そのために、回路基板内の配線数の増大に伴って、配線に必要な面積が増大化していて、回路基板の大型化とコストアップが産業上の解決するべき課題となってきている。
【0004】
金属ベース回路基板において、その回路形成するための方法の一つとして、金属板上の絶縁層上に設けた導体箔をエッチングして回路形成する方法が知られているが、この方法においては、スクリーン印刷法によりエッチングレジストインクを所望の回路となる部分の導体箔表面に印刷し、前記インクを硬化した後、前記導体箔を可溶なエッチング液に浸漬することでエッチングを行うが、スクリーン印刷におけるインク量の調整が容易でなく、容易に回路間隔のせまいものが得られなかった(特開平7−44087号公報参照)。即ち、前記インク量を少なくしようとすると、断線や、導体欠損が生じ、満足な製品を得ることが出来ないという問題があり、従来は最小回路間隔は250μm程度のものしか得られなかった。
【0005】
また、前記技術的な問題のために、回路基板における回路の機能に応じた設計が行われず、微小信号のみが流れる回路に関しても、比較的大きな電流を流す回路と同様な形状(一般的には回路断面が台形又は矩形)とせざるをえず、回路のピッチが小さくできず、その結果、回路基板の小型化と高密度化を図る上での障害となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導体間隔を細くする事により、回路基板の小型化と高密度化を図るものである。また、本発明の他の目的は、更に微小信号回路の導体幅を小さくし、回路基板の一層の小型化と高密度化を達成することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、金属板上に絶縁層を塗布し、更に銅層とアルミニウム層とからなる複合箔を前記絶縁層上に前記銅層を面するように貼着し、加熱硬化させ、しかる後に前記複合箔上にスクリーン印刷法にてエッチングレジストインクを塗布し、該エッチングレジストインクを硬化し、該エッチングレジストに覆われていない前記複合箔をエッチングして回路形成する金属ベース基板の製造方法であって、前記複合箔の厚みが20〜85μmであり、前記アルミニウム層の厚みが10〜50μmであり、しかも前記複合箔のアルミニウム層の表面が消失するまでエッチングした後、前記レジストを除去後、銅層の部分にレジストを再度塗布し銅層をエッチングし回路形成することを特徴とする金属ベース回路基板の製造方法である。
【0008】
また、本発明は、前記の製造方法で得られた金属ベース回路基板であって、隣接する回路同士の距離の最小値が50〜240μmであることを特徴とする金属ベース回路基板である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき図をもって説明する。図1は、本発明の金属ベース回路基板の一例を示す回路の断面拡大図である。本発明の金属ベース回路基板は、後述する本発明の製造方法により得られるものであり、アルミニウム、銅、ステンレス等の厚さ0.5〜4.0mm程度の金属板1上に無機充填材を含有する樹脂からなる絶縁層2を介してアルミニウム4と銅5との複合層からなる回路3が形成されている。図1においてはアルミニウムと銅の複合層からなる回路3の銅面が絶縁層2に接して設けられている。本発明において、銅層が絶縁層2に接して設けることにより、絶縁層2と回路3との接合強度を大きくすることが容易である。然るに、銅層上に無電解或いは電解メッキで針状或いは粒状の銅粒子からなる層を設けたり、化学薬品による処理で前記表面を粗化する公知技術を容易に適用できるからである。
【0011】
本発明の金属ベース回路基板は、前記アルミニウムと銅とからなる複合層で構成された回路のアルミニウム層の一部が三角形の断面形状の上層部分を有していることを特徴とする。従来の混成集積回路では回路が一般に台形状(図2参照)あるいは矩形状の断面を有するのに対して、本発明の金属ベース回路基板は、前記特定の製造方法で得られ、しかも隣接する回路同士の距離の最小値が50〜240μmであるという構成を有しているので、回路に流す電流値が比較的に小さく、しかも電流値が同じ場合には、断面積を大きくとれることから、導体幅を小さく、また導体間隔を小さくすることができる。その結果、本発明の金属ベース回路用基板では、回路を高密度にする事が出来、更に高発熱性電子部品を搭載することができるという特徴を有する。
【0012】
本発明の金属ベース回路基板は、隣接する回路同士の距離の最小値が50〜240μmであり、好ましくは、回路が50〜240μmの回路幅の部分を有することを特徴とする。回路同士の距離の最小値が50μm未満では、時として、実使用時に前記隣接回路同士の電気絶縁性が満足できなくなる用途があるし、240μmを超える場合には、本発明を適用するべき理由がなくなり、従来公知のもので充分であるからである。また、同じ理由で、本発明においては、回路が50〜240μmの回路幅の部分を有することが好ましい。
【0013】
本発明の金属ベース回路基板において、絶縁層2に用いる樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン等が用いられるが、金属板1或いは回路3との接合強度が高いことからエポキシ樹脂が好ましい。また、絶縁層2に含有される無機充填材としては、電気絶縁性で熱伝導性のものが用いられ、例えばシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素等のセラミックス粉末が用いられる。また、絶縁層2の厚さは40〜300μmが一般的である。
【0014】
本発明に用いるアルミニウムと銅とからなる複合層は、圧延法、メッキ法等の従来公知の方法で得られるいずれの方法のもので構わない。その厚みについては、全体厚みが20〜85μmが好ましく、そのうちアルミニウム厚みは10〜50μmが好ましい。全体厚みが20μm未満では、充分な電流値を回路に流すことができないし、85μmを超えるものは50〜240μmの回路幅や回路間隔の製造が困難であるからである。また、アルミニウム厚さが10μm未満では、安定したワイヤーボンディング性が確保できないことがあるし、50μmを超えてはアルミのエッチング時にエッチングレジストの剥離が発生し、回路の製造が困難であるからである。
【0015】
以下、実施例、比較例をもって、本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
【実施例】
〔実施例1〕
厚さ1.5mmのアルミニウム板上に、酸化アルミニウム(昭和電工社製;SRW)を55体積%含有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製;EP828)を絶縁層の厚さが50μmになるように塗布し、更にアルミニウム層と銅層との複合層からなる金属箔を銅層が前記絶縁層に接するように配置し、加圧下で加熱することで前記絶縁層を硬化して金属ベース基板を作製した。このとき、アルミニウム層の厚さが40μmであり、銅層の厚さは10μmであった。
【0017】
前記金属ベース基板のアルミニウム板の裏面にポリプロピレンからなる保護シートを貼った後、アルミニウムと銅の複合層からなる金属箔のアルミニウム上に、スクリーン印刷法を用いて所望の位置にエッチングレジストをマスクした後、苛性ソーダ水溶液を用いてアルミニウムをエッチングした。
【0018】
前記スクリーン印刷法においては、レジストインクをスコッパー方式(前回の印刷を終了したときにスクリーン上に残っているインクを、すくい上げて、スクリーンに触れることなく、空中を通過させることで印刷前の位置に戻し、しかる後次回の印刷を行う方式)により、スクリーンからのインク量を限定し、制御した。
【0019】
次に、前記レジストを除去後、銅層の所望部分にレジストを再度塗布し、また、前記のアルミニウムを用いて、エッチングレジストとし、硫酸120g/lと過酸化水素45g/lとの混液により銅層をエッチングした。その後、エッチングレジスト並びに保護シートを除去することで金属ベース回路基板を得た。
【0020】
この金属ベース回路基板は、信号回路部分において、最小の回路幅100μmで、最小の導体間隔が100μmであった。また、信号回路部分については、その面積を、従来の金属ベース回路基板の場合に要した面積の2.5分の1に縮小することができ、その結果として、金属ベース回路基板の全体面積が従来のものの約50%に縮小され、高密度化が達成された。
【0021】
【発明の効果】
本発明の金属ベース回路基板の製造方法は、金属板上に絶縁層を塗布し、更に銅層とアルミニウム層とからなる複合箔を前記絶縁層上に前記銅層を面するように貼着し、加熱硬化させ、しかる後に前記複合箔上にスクリーン印刷法にてエッチングレジストインクを塗布し、該エッチングレジストインクを硬化し、該エッチングレジストに覆われていない前記複合箔をエッチングした後、前記レジストを除去後、銅層の部分にレジストを再度塗布し銅層をエッチングして回路形成する金属ベース基板の製造方法であって、前記複合箔の厚みが20〜85μmであり、前記アルミニウム層の厚みが10〜50μmであり、しかも前記複合箔のアルミニウム層の表面が消失するまでエッチングし回路形成しているので、得られる金属ベース回路基板は、その回路の少なくとも一部の上層部を三角形の断面形状を有し、高密度に回路形成ができ、比較的小さな電流を流す回路を効率よく搭載できる特徴があるので、信号回路を要する混成集積回路用基板の製造方法として好適である。
【0022】
また、本発明の方法によれば、前記断面形状を有し、回路同士の距離の最小値が50〜240μm、更に、回路が50〜240μmの回路幅の部分を有する金属ベース回路基板を安定して得ることができ、産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属ベース回路基板の回路の断面拡大図。
【図2】従来公知の金属ベース回路基板の回路の断面拡大図。
【符号の説明】
1 金属板
2 絶縁層
3 回路
4 アルミニウム
5 銅

Claims (2)

  1. 金属板上に絶縁層を塗布し、更に銅層とアルミニウム層とからなる複合箔を前記絶縁層上に前記銅層を面するように貼着し、加熱硬化させ、しかる後に前記複合箔上にスクリーン印刷法にてエッチングレジストインクを塗布し、該エッチングレジストインクを硬化し、該エッチングレジストに覆われていない前記複合箔をエッチングして回路形成する金属ベース基板の製造方法であって、前記複合箔の厚みが20〜85μmであり、前記アルミニウム層の厚みが10〜50μmであり、しかも前記複合箔のアルミニウム層の表面が消失するまでエッチングした後、前記レジストを除去後、銅層の部分にレジストを再度塗布し銅層をエッチングし回路形成することを特徴とする金属ベース回路基板の製造方法。
  2. 請求項1記載の金属ベース回路基板の製造方法で得られる金属ベース回路基板であって、隣接する回路同士の距離の最小値が50〜240μmであることを特徴とする金属ベース回路基板。
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