JP3630895B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム組成物に関し、詳しくは高いレベルで熱老化後の破壊特性を保持する、タイヤトレッド等に用いるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなるゴム組成物にとって、熱老化中の空気中の酸素による破壊物性の低下現象はある程度避けられない問題であり、これに対して種々の老化防止剤がこれまで開発されてきている。その中で、従来から加硫促進剤として用いられている2−メルカプト−ベンゾチアゾール化合物が老化防止剤としての効果があることもよく知られている。
【0003】
近年自動車の高馬力化、高速道路網の整備及びタイヤの偏平化が進むとともに走行中のタイヤ温度が上昇し、以前にも増して熱老化中の物性変化が大きくなってきている。これに対して一般老化防止剤を増加することが考えられるが、ブルームなどの問題があるため、これ以上の老化防止剤の増量は困難である。
【0004】
また、2−メルカプトベンゾチアゾール化合物、例えば2−メルカプトベンゾチアゾリルジスルフィドを増量すると当然ではあるが、加硫促進剤であるのでモジュラスが上昇し、十分な破壊特性を得ることができず、特に破壊伸びが著しく低下する。
【0005】
また、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾリルジスルフィド、4−エチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−エチル−2−メルカプトベンゾチアゾリルジスルフィドは特開昭56−139542号、特公平3−2183号に開示されているように熱老化後、タイヤ走行後の硬化を抑制する効果があるので老化後の破壊伸びを向上させることが期待される。実際にこれらの2−メルカプトベンゾチアゾール化合物はSBR主体配合では期待通りに熱老化後の破壊伸びを向上させることが可能である。しかしながらゴム100重量部中、天然ゴム又はポリイソプレンゴムが50重量部以上含まれる配合では、これらの2−メルカプトベンゾチアゾール化合物は熱老化後の破壊強力を著しく低下させるため十分目的を達成できない。また、これらの4−アルキル−2−メルカプトベンゾチアゾール化合物はSBR主体配合で熱老化後にモジュラス硬化を抑制し、破壊伸びは向上させるものの破壊強力を向上させることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事実に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、従来技術に対して、さらに高いレベルで熱老化後の破壊特性を保持するゴム組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述のように加硫促進剤として用いられるメルカプトベンゾチアゾール化合物は以前より老化防止剤としての役割があることは知られている。本発明者は、この老化防止剤としての効果に着目し、G.Scottらの提唱するメカニズムに立ち返り、より高い老化防止効果が得られるように検討を重ねた結果、下記の手段によって、課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、(1)本発明のゴム組成物は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種のゴム原料100重量部に対して、N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、及び、ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドからなる群より選択されるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を0.2〜10重量部含むことを特徴とする。
また、(2)本発明のゴム組成物は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種のゴム原料100重量部に対して、N−tert−ブチル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを0.2〜10重量部含むことを特徴とする。
【0024】
(3)本発明のゴム組成物は、前(1)又は(2)項において、前記ゴム原料がゴム原料100重量部中に、天然ゴム及び/又は合成ポリイソプレンゴムを50重量部以上含むことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるゴム原料は天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種である。すなわち、天然ゴム(NR)及び多くのジエン系合成ゴムの中から、これを単独で用いてもよいし、これらの二種以上のブレンドで使用してもよい。ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を挙げることができる。
【0026】
本発明では、これらのゴム原料のうち、例えばNR単独、SBR単独、NR/SBRブレンド物、NR/SBR/BRブレンド物等が効果の点から好適に使用される。二種以上のブレンドをゴム原料として用いる場合、ゴム原料100重量部中に、NR及び/又はIRを50重量部以上含むことが好ましい。
【0027】
本発明に用いられる加硫促進剤のアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物は前記一般式(I)、(II)又は(III)で表され、単独又は二種以上の混合物で用いられる。
【0028】
式中、R1 は炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表し、R2 は水素原子又は−N(R3 )R4 で表されるアミノ基を表し、R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数2〜4のアルキル基又はシクロヘキシル基を表す(ただし、R3 及びR4 が同時に水素原子である場合を除く)。R5 及びR6 はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表す。XはZn原子、Cu原子又は>N−R9 で表されるアミノ基を表し、R9 は炭素数2〜4のアルキル基又はシクロヘキシル基を表す。R7 及びR8 はR5 と同義である。
【0029】
これらの一般式において、アルコキシ基の−OR1 、−OR5 、−OR6 、−OR7 及び−OR8 の各基はそれぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基又はブトキシ基であることが効果の点から好ましく、さらにエトキシ基がより好ましい。
【0030】
一般式(I)で表されるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物としては、例えば、4−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、N−tert−ブチル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、等が挙げられる。
【0031】
一般式(II)で表されるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物としては、例えばジ−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、等が挙げられる。
【0032】
一般式(III)で表されるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物としては、例えば、4−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、7−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、4−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、7−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、4−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、5−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、6−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、7−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、4−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、7−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、4−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、7−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、4−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、5−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、6−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、7−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、N−エチル−(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、等が挙げられる。
【0033】
これら加硫促進剤であるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物の中で、一般式(I)、(II)及び(III)に含まれるアルコキシ基の芳香族単環での位置が4位又は6位であることが好ましく、4位であることがさらに好ましい。さらに付記すれば、芳香族単環の4位又は6位にアルコキシ基を有するベンゾチアゾール化合物が原材料の入手の容易さ、合成の容易さの点で好ましい。また芳香族単環の4位又は6位にアルコキシ基を有するベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ベンゾチアゾリルジスルフィド、及びベンゾチアゾリルスルフェンイミドもスコーチ性の点で好ましい。さらに、芳香族単環の4位にアルコキシ基を有する化合物がゴム組成物の熱老化中の硬化を抑制するので、より好ましい。
【0034】
これらの加硫促進剤の製造方法は特に制限されないが、例えば特開昭49−93361公報等を用いて容易に製造することができる。
【0035】
本発明に用いられる加硫促進剤であるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物の配合量はゴム原料100重量部に対して0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部であり、配合量が0.2重量部未満では十分な効果が得られず、10重量部を越えると、それ以上の効果が得られないのみならず、スコーチ性などの作業性が低下する。
【0036】
本発明に用いられるこれらの加硫促進剤は、この他に汎用加硫促進剤である2−メルカプトベンゾチアゾリルジスルフィド、N−t−ブチルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミドのようなチアゾール類加硫促進剤やテトラ(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドのようなチウラム類加硫促進剤を適宜配合できる。
【0037】
本発明で使用できる補強充填材は特に限定されないが通常カーボンブラック及びシリカなど無機フィラーから選ばれる少なくとも一種が用いられる。このカーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF等が好ましい。またカーボンブラック量はゴム原料100重量部に対して20〜150重量部が好ましく用いられる。カーボンブラック量が20重量部未満ではカーボンブラックによる補強効果が不十分であり、150重量部を越えると作業性を著しく低下させるので好ましくない。
【0038】
本発明のゴム組成物には前記成分の他に、必要に応じて、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進助剤、シランカップリング剤等の通常ゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することが可能でる。
【0039】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド等に用いられる。
【0040】
メルカプトベンゾチアゾールの酸化防止剤としての反応機構はG.Scottらにより(Eur.Polym.J.,11(1975)783)詳しく調べられており、メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩がゴムの酸化により生成する過酸化物を分解する効果が非常に高いことがわかっている。本発明に用いられるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物は電子供与性が高いアルコキシ基を芳香族単環に導入することで、過酸化物との反応性が高まり、老化防止剤としての効果が高くなると推定される。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本実施例に限定されるものではない。
【0042】
ゴム組成物の調製及び評価
(実施例1〜13)、(参考例1〜6)、(比較例1〜14)
表1に示す基本配合処方及び表2〜6に示す個別の配合処方に従って、通常のバンバリーミキサーを用いて、混練し、ゴム組成物を調製した。このゴム組成物を、米国フレキシス社(旧モンサント社)製MDR2000にて、145℃測定により得られたT90値の1.5〜2.0倍に相当する時間で、145℃で加硫を行った。この加硫物について、初期の破壊特性及び熱老化後の破壊特性を下記の方法で測定した。結果を表2〜6に示す。
【0043】
・初期の破壊特性
熱老化前のサンプルについて、JIS K 6301(1975)に準拠して、引張試験を行い、引張強さ(Tb)、伸び(Eb)及び200%モジュラス(M200)を求めた。
【0044】
・熱老化後の破壊特性
熱老化は100℃ギヤオーブンで所定時間(24時間及び72時間)行い、オーブンから取り出し後、室温で6時間放置後に、引張試験を行い、Tb、Eb及びM200を求めた。また、初期のTb、Eb及びM200に対する、熱老化24時間後、及び72時間後のTb、Eb及びM200の変化率も求めた。
【0045】
次に、実施例2、参考例2及び比較例2のゴム組成物をトレッドに用いて、サイズ205/50R16のタイヤを試作し、使用内圧2kg/cm2 におけるチャンク性を下記の方法で測定した。結果を表2〜3に示す。
【0046】
・チャンク性
ブリヂストン社テストコースにて実車走行を行い、15ラップ後のタイヤトレッド部の欠けを目視で測定した。数値は比較例2の新品タイヤを100として指数で表示した。なお、走行タイヤは一般市場を走行させ、トレッド部分が50%摩耗したタイヤを評価に供した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
表2〜6のゴム原料及び配合剤の説明。
1)SBR:SBR1500(日本合成ゴム社製)
2)BR:BR01(日本合成ゴム社製)
3)促進剤X:2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
4)促進剤Y:4−メチル−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
5)促進剤A:ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
6)促進剤B:ジ−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
7)促進剤C:ジ−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
8)促進剤Z:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
9)促進剤D:N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
10)促進剤E:N−tert−ブチル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
11)促進剤F:N,N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド
比較例1〜4に従来の2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを変量した結果、実施例1〜4にジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドをそれぞれ変量した時の結果を示す。エトキシ基がベンゾチアゾール環に導入されることで熱老化後(特に老化時間が長い条件で)の破壊強力(Tb)低下が抑制されていることがわかる。ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドは熱老化中のモジュラス上昇も抑制するので熱老化後の破壊伸び(Eb)の改良が著しい。また効果は減少するものの従来の2−ベンゾチアゾリルジスルフィドとジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの併用も可能である(実施例5)。比較例5に従来のN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを用いた結果、実施例6にN−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを用いた結果を示す。スルフェンアミド化した場合はジスルフィドの場合よりエトキシ基の効果は小さくなるけれども優位性は保たれている。
【0054】
次にゴム原料をNR100重量部にした場合の結果を示す。従来の2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(比較例6)から従来の4−メチル−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(比較例7)に等量置換すると熱老化後の硬化は抑制されるものの、特に100°C72時間老化後では破壊強力の著しい低下のために破壊伸びも低下してしまう。これに対してジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(実施例7)は破壊強力の低下が小さく比較例6より優れた老化後物性が得られる。NR/SBR=50/50の配合でもジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの優位性は明らかである(比較例8、9と実施例8)。
【0055】
NR配合で従来のN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(比較例10)に対してN−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(実施例9)を等量置換した場合も同様に熱老化後の破壊特性が向上した。カーボンブラック量を変化させても(比較例11、12と実施例10、11)、NR/SBR=30/70の配合でも(比較例13と実施例12)、NR/SBR/BRブレンド(比較例14と実施例13)に変更した場合にも従来の2−ベンゾチアゾリルジスルフィド対比ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが熱老化後の破壊特性に優れていることがわかる。
【0056】
上記のように、本発明のゴム組成物は、熱老化後の破壊特性に優れていることがわかる。このことは実施例のゴム組成物を使用したタイヤが走行後でも比較例タイヤに対してチャンク発生量が少なく走行後の破壊特性に優れていることからも確認される。
【0057】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、上記のような構成としたので、高いレベルで熱老化後の破壊特性を保持するという優れた効果を奏する。
Claims (3)
- 天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種のゴム原料100重量部に対して、N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、及び、ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドからなる群より選択されるアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物より選ばれる少なくとも一種の化合物を0.2〜10重量部含むことを特徴とするゴム組成物。
- 天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種のゴム原料100重量部に対して、N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミドを0.2〜10重量部含むことを特徴とするゴム組成物。
- 前記ゴム原料がゴム原料100重量部中に、天然ゴム及び/又は合成ポリイソプレンゴムを50重量部以上含むことを特徴とする請求項1又は2記載のゴム組成物。
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