JP3630683B2 - コーヒーアロマを処理する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、インスタントコーヒーあるいはレギュラーコーヒーの品質向上に関するものである。即ち、インスタントコーヒーあるいはレギュラーコーヒーの製造工程より発生するコーヒーアロマ含有ガスを処理することで、官能的に好ましくない揮発性物質を選択的に除去することにより、インスタントコーヒーあるいはレギュラーコーヒーに付与することで風味を向上させるものである。
発明の背景
焙煎コーヒーにおいては、加熱による化学反応によって、その特徴的な香りのもとになる揮発性物質を含む。これらの揮発性物質を総称して本記述明細では「アロマ」と呼ぶ。
本書に使用された「パーセント」という用語又は記号は特にことわりがなければ重量−重量%を意味する。
本書に使用されたコーヒー抽出液とはインスタントコーヒー又は液体コーヒーの製造中に得られた焙煎又は粉砕コーヒーの液体抽出液又はその抽出液の乾燥生成物を意味する。
本書に使用されたコーヒーの風味を持った食品とはコーヒー抽出物又はコーヒーアロマを含むミルク、チューインガム、キャンデー又は他の食品のような飲料を意味する。
インスタントコーヒーの品質を向上する方法として、アロマを吸収させたコーヒーオイルをコーヒーパウダーに添加することにより、コーヒーの香りを強化することは、一般的に実施されている。例えば、米国特許第3,077,405号(1963年)及び第3,769,032号(1973年)明細書に記載されている。
この様な香りの強化を目的とするコーヒーオイルの製造法においては、焙煎コーヒー豆の粉砕工程から液体窒素で冷却しフロスト(霜)として回収する米国特許第3,021,218号明細書記載の方法、あるいは焙煎豆粉砕工程にて発生するコーヒーアロマ含有ガス、あるいはインスタントコーヒー製造工程における抽出工程において最も新鮮な粉砕コーヒー豆を充填したカラムに温水又は水蒸気を通すことにより発生するコーヒーアロマ含有ガスを、液体窒素で冷却してアロマ含有ガスをフロスト(霜)として回収する米国特許第371,784号明細書記載の方法、さらにこれを圧力容器に入れ、加温してトリグリセライド好ましくはコーヒーオイルに吸収させる米国特許第4,556,575号明細書記載の方法がある。
上記の焙煎コーヒーからアロマの回収方法において、出来るだけコーヒーアロマを散逸させることなく、より高濃度のアロマ物質を得ることに主眼がおかれている。しかしながら実際に使用される焙煎コーヒー豆、特に低級コーヒー豆の粉砕中に発生したガスには粉砕ガス中には、官能上好ましくない香りを呈するアロマ成分が比較的多く含まれる。前述技術に基づいてアロマ付与されたオイルは刺激性の強いイオウ臭を呈し、焙煎コーヒーの香りとはかけはなれた匂いを呈する。
これは、上記の方法で回収されたアロマ含有ガス中に、メチルメルカプタン及び硫化水素のようなイオウ化合物のような大濃度の刺激的で不快臭を与える揮発性成分が存在することによるものである。全香り成分中の存在割合は数%以下と含有率は低いが、他の香り成分と比較して、官能上の閾値として非常に低く、これらイオウ化合物等が濃縮されると強烈な刺激臭を有する。この為、コーヒーアロマ含有ガス由来のアロマ吸収させたオイルは強い刺激臭的なイオウの様な匂いを有し、そしてコーヒー含有食品を使用しても消費者の受容性が悪く商品価値の低いものとなってしまう。
発明の要約
従って、アロマ含有ガスにおいて刺激性的で不快臭を与えるイオウ化合物等を減少しうる簡単な方法を提供することにある。
本発明者は上記の課題を解決する為、我々は、すなわち本発明者は、アロマ含有ガスを、特定の性質を有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属の結晶質アルミノ珪酸塩(以下、単にゼオライトと言う)と気相接触させた時、刺激性のある揮発性成分はもっぱらその吸着剤に選択的に吸着され、アロマ成分はほとんどその吸着剤に吸着されないことを研究し、そして発見した。本発明はこの発見に基づいている。
本発明は下記の工程
3Å〜10Åの孔径を有するゼオライトとコーヒーアロマ含有ガスとを接触させる、
その処理されたコーヒーアロマ含有ガスを植物油、コーヒー抽出液、エタノール、プロピレングリコールおよびそれの混合物からなる群から選ばれた吸収剤中に吸収させ、それによってコーヒーアロマを回収する、及び
そのコーヒーアロマ含有ガス吸収剤をコーヒー又はコーヒーの風味を持った食品に添加する
を含む芳香化コーヒー又はコーヒーの風味を持った食品を製造する方法に関する。本発明は下記の工程
3Å〜10Åの孔径を有するゼオライトとコーヒーアロマ含有ガスとを接触させる、
得られた処理コーヒーアロマ含有ガスを、液体ガス冷却剤、好ましくは液体窒素の手段によって冷却されたスクレープド壁熱交換機によって冷却して、フロストの形に凝縮される、
その処理されたフロストを植物油、コーヒー抽出液、エタノール、プロピレングリコールおよびそれの混合物からなる群から選ばれた吸収剤中に吸収させ、それによってコーヒーアロマを回収する、及び
そのコーヒーアロマ含有ガス吸収剤をコーヒー又はコーヒーの風味を持った食品に添加する
を含む芳香化コーヒー又はコーヒーの風味を持った食品を製造する方法に関する。
発明の詳細な説明
コーヒーアロマ含有ガスの例は、生豆の焙煎中に発生した排ガス、焙煎コーヒー豆の粉砕中に発生したコーヒーアロマ含有ガス及びインスタントコーヒーの製造における抽出中最も新鮮な粉砕コーヒー豆で充填されたカラムの上部又は底部からそのカラムを通して80〜100℃の熱水又は200〜400kPaの圧力の蒸気を通すことによって発生したアロマを含む。
そのコーヒーアロマ含有吸収剤はビンに詰める前のインスタントコーヒー粉末にスプレーするか又はその吸収剤はインスタントコーヒー又はコーヒーの風味を持った食品と一緒にびんに加えることが好ましい。
本発明は、
1) コーヒー豆の焙煎時に発生するガス、焙煎コーヒー豆を粉砕する時に発生するガス、あるいは抽出工程において新鮮な粉砕コーヒー豆を充填したカラムに温水又は水蒸気を通すことにより発生するコーヒーアロマ含有ガスを、
2) 分子篩ゼオライト成型体を充填したカラムに通過させることにより、
3) ゼオライトに硫化水素、メルカプタン類、アルデヒド類等の揮発性の刺激臭成分をもっぱら気相吸着させることでそれらの割合を減少させる、ことで達成出来る。
使用に供する吸着剤の選定においては、3ないし10Åの有効細孔径を有するもの、より好ましくは4ないし5Åの有効細孔径を有する分子篩い効果を示すものが好ましい。ここで言う有効細孔径とは、例えば5Åの場合ある分子径を有するガスの吸着の有無により規定される。即ち、4.5Åのガスを吸着し、5.6Åのガスを吸着しなければ有効細孔径5Åと規定されるものである。
細孔径の選定においては、対象とする被吸着分子よりも細孔径が小さければ、その分子をトラップ出来ないし、大きすぎると目的以外の分子もトラップされ、コーヒーの芳香そのものを失ってしまう。更に吸着剤の持つべき特性として、アロマ含有ガス中に多く含まれるN2ガスやCO2ガスといった非極性の気体分子に対する吸着能が低く、硫化水素やメルカプタン類、アルデヒド類といった極性分子に対して強い吸着能を持つものが望ましい。こうした特性をもつ吸着剤として、結晶内部にNaやCa等のアルカリ金属を有するUHP−A又はAタイプおよびXタイプ、すなわちUHP−Pの合成ゼオライト及びモルデナイト、シャバサイト、エリオナイト等の天然ゼオライトが典型的な例として挙げられる。但し、Si/Alモル比が高いと表面の極性効果がなくなる為、出来るだけ低い方、具体的には10以下が好ましい。
植物油の例は、コーヒー油、ヤシ油、パーム油、大豆油及び中鎖トリグリセライド(MCT)を含む。
工業的な実施においては、そのゼオライトと亜炭のような天然の粘土と混合・焼成することにより、球状あるいはペレット状に成型した4〜14メッシュの球状あるいは直径1.5〜3mmのペレット状のものをカラムに充填して使用することが、連続通気操作として好ましい。これはカラム内の圧力損失を抑えるであろう。
この様な吸着操作においては、上記の様にゼオライトは極性分子である水を吸着しやすく、アロマ含有ガス中に数%の水分が含まれる為、これによるゼオライトの吸着能の低下を防ぐことが必要である。この為、アロマ含有ガスを0−5℃のプロピレングリコール使用の冷却器を通すことで凝縮させて、水分を取り除いた後、アロマ含有ガスを送り込むことが好ましい。
また、相当する吸着熱が発生する為、吸着効率を高める点から、供給するガスの温度を上記プロピレングリコール冷却凝縮器を通すことにより低くしたり、カラム全体を常温以下の冷媒で冷却することが好ましい。また、供給するガスのカラム内の線速度は5〜30m/分の範囲が望ましい。
一方、コストの観点からゼオライトを再使用することも可能であり、250〜300℃に加熱された空気あるいは不活性ガスで1〜2時間接触させた後冷却することで、容易に再生できる。
対象とする刺激臭成分の除去度合いの確認は、ガスクロマトグラフィーにて定量的に検出可能であり、処理したアロマ含有ガスのアロマを吸収したオイルにおける官能上の香りの強さや好ましさに応じて回収するガスの処理量を設定することが出来る。
実施例
本発明は実施例を参照して詳細に記載される。
[実施例1]
A型合成ゼオライト(東ソー(株)製、ゼオラムA5、有効細孔径5Å、球形、8−10メッシュ)100gを内径45mm、高さ190mmのガラスカラムに充填した。この充填カラムに下部より、新鮮な焙煎コーヒー豆を粉砕機で粉砕しながら、発生するガスを隔膜式真空ポンプで5リットル/分の流量で通気した。カラムより排出されたガスを、通気開始直後より50リットルのテドラーバッグに回収した。このガスを専門パネルによる官能において、ゼオライト充填カラムを通す前のガスと比較した結果、イオウに似た刺激臭が有意に減少し、官能的に好ましいやわらかい香りと評価された。
[実施例2]
A型合成ゼオライト(東ソー(株)製、ゼオラムA5、有効細孔径5Å、球形、8−10メッシュ)100gを内径45mm、高さ190mmのガラスカラムに充填した。新鮮な焙煎コーヒー豆を粉砕機で粉砕しながら、発生するガスを隔膜式真空ポンプでゼオライト充填カラムに5リットル/分の流量で通気した。カラムより排出されたガスを、150−250μmのガラスフィルターを通して、250mlのガス洗浄瓶に入れた50gのコーヒーオイルに吹き込んだ。この操作を最初から90分連続して行った。回収したオイルを凍結乾燥コーヒー粉末に0.25%の割合で噴霧し、200mlガラス容器にパウダー50gを密閉した。常温放置後、専門パネルによるガラス容器のシールを最初に開封した時の、香りの官能評価を行った。ゼオライト充填カラムを通さないで同様に調製したサンプルではイオウに似た刺激臭が認められ、本発明による方法で調製されたものではイオウに似た刺激臭が有意に減少し、官能的に好ましいやわらかい香りとなった。
[実施例3]
A型合成ゼオライト(東ソー(株)製、ゼオラムA4、有効細孔径4Å、球形、8−10メッシュ)100gを内径16.5mm、高さ1000mmのステンレスカラムに充填した。250kgの焙煎粉砕コーヒーから、減圧下で90℃の温水あるいは水蒸気で上方より加湿することにより、アロマ含有ガスを発生させた。このガスを、隔膜式真空ポンプにより5℃のプロピレングリコール冷却凝縮器に15分間通した。ガス中の水分は956g凝縮させた。除湿したアロマ含有ガスをカラム下部より5リットル/分の流量で1時間通気した。カラムより排出されたガスを実施例2と同様の方法にてオイルにて回収した。一方でゼオライト充填カラムに通さない場合の香り強化されたオイルも比較として、同様にして調製した。
各芳香化油1gは20ミリリットルのサンプルガラスびんに入れそしてシールされた。40℃での30分間平衡の後、100ミクロンリットルを気密注射器によりびんのヘッドスペースから取出した。そのヘッドスペースサンプルのガスクロマトグラフ分離は参考文献1に記載された方法により実施された。表1に与えられた値は下記の式に従って総ピーク面積に対するガスクロマトグラフ的に記録されたピーク面積のパーセントとして計算される。
ピーク面積(%)=[成分のピーク面積]×100/[積算器によって記録された全ピーク面積の合計]
硫化水素は、上記と同様の試料調製後、Holscher,W.;Vitzthum,O.G.;Steienhart.H,;Identification and sensorial evaluation of aroma−impact−compounds in roasted Colombian coffee,
Cacao,The 34,205−212,1990[参考文献(2)]に記載されている、比質量m/z 34と、同クロマトグラフィ条件を使用して、質量選択的検出を経て測定した。
入れ立ての焙煎ひき割りコーヒーから発散される軽質の揮発性アロマの化学組成は、過去において、広範に調査研究されてきた。Holscher W.,Steinhart H.;Investigation of Roasted Coffee Freshness with an Improved Headspace Technique.Z.Lebensm.Unters.Fersch.,195,33−38,1992[参考文献(1)]。この文献は、ガスクロマトグラフィと嗅覚測定法とを組み合わせて使用して、焙煎ひき割りコーヒーの上方のヘッドスペースのアロマ組成のシステマチックな研究を記載している。官能測定の間に、約16種の臭気基本成分が認められた。したがって、焙煎ひき割りコーヒーのヘッドスペースで検出されるアロマの基本成分の数は、水蒸気蒸留によって単離される総アロマ抽出物と比較して少なく、水蒸気蒸留によって単離する場合には、60種を上回る臭気基本成分が、参考文献(2)に記載されているように、検出可能であった。したがって、入れ立ての焙煎ひき割りコーヒーから発散される嗅覚を刺激する効果は、総アロマ含有物の一定のサブフラクションのみ、すなわち、低沸点で、かつ、低分子量の硫黄化合物類(ジメチルスルフィドおよびメタンチオール)、さらには、ストレッカーのアルデヒド類(アセトアルデヒド、2−メチルプロパナール、3−メチルプロパナールまたは2−メチルブタナール)、および、α−ジカルボニル類(ジアセチル、2,3−ペンタンジオン)からなる。適用されるヘッドスペース法の手順は、文献において十分に確立されており、コーヒー油のアロマ評価を可能とする。この方法手順は、重要なほぼ全てのアロマ関連軽質揮発物をカバーし、それによって、高度の官能検査相関が保証される。この方法の精度は、内部標準を使用しなくとも、極めて良好である。標準偏差は、典型的には、3−メチルブタナールの場合に、3%の範囲内であり、参考文献(1)に記載されたジメチルスルフィドに対しては、最大7%である。
参考文献(1)に記載されたガスクロマトグラフィー嗅覚測定研究は、グラインダーガスタイプのアロマの微妙な腐敗硫黄臭の大半の元は、メチルメルカプタンであり、特に、硫化水素であることを明らかにしている。刺激性のつんとくるアロマ基本成分は、主として、短鎖のストレッカーアルデヒド類によって形成され、最も刺激性のものは、アセトアルデヒドである。したがって、本発明のポテンシャル向上を示すために、硫化水素、メチルメルカプタンおよびアセトアルデヒドをキー指示体として選択した。先に記載したように、これら化合物の官能検査の妥当性は、科学的なコーヒーに関する文献において十分に確立されている。メチルメルカプタンおよびアセトアルデヒドならびにさらに軽質の揮発性芳香類は、ヘッドスペース技術を適用することにより、容易に測定可能である。
他方、硫化水素は、鼻先で、単一の基本成分として臭いが感じられるが、それは、水素炎イオン化検出によって、適当なシグナルを与えない。したがって、定量は、選択性の度合いが最も高い質量分析法を介して行った。
表1に示したように、硫化水素は、対照油と比較して、ゼオライト4Åで処理した油において、実質的に減少することが明らかである。さらに、表1のデータより、ゼオライト4Åで処理した油は、かなり低いパーセンテージの刺激性基本成分アセトアルデヒドと若干低いパーセンテージの腐敗硫黄臭のメチルメルカプタンとを含有すると結論づけることができる。他方、ジメチルスルフィドの占有率は、ゼオライト4Å処理した油で幾分高い。これは、ジメチルスルフィドが弱いコーヒー様のアロマ効果を示すので、ポジテイブであると評価される。ジャー中のヘッドスペースのアロマのさらに大半の元、例えば、2−メチルプロパナール、ジアセチル、3−メチルプロパナール、2−メチルブタナールおよび2,3−ペンタンジオンは、特に、対照油およびゼオライト4Åで処理された油のデータを互いに比較する時、多少とも、変化しないままであることに留意することが重要である。
実施例 4
実施例3におけると同様にして得られた芳香性を有する油をコーヒー油で3倍に希釈し、0.20%の比率で凍結乾燥したコーヒー粉末に噴霧し、しかる後、噴霧されたコーヒー粉末をガラス容器に閉じ込めた。ガラス容器を開封した時のその嗅覚評価は、6人のエキスパートのパネルによって行った。この試験の結果は、以下の表に示す。
上記結果は、本発明が焙煎ひき割りコーヒー(R&G)の特性を高め、硫黄に似た刺激臭を低くすることができることを示す。
実施例 5
100グラムのXタイプの合成ゼオライト(ZEOLAM F9,Toso Kabushiki kaisha,孔径10Å、球形、8〜10メッシュ)を用いて、実施例3および4におけると同様に、アロマ含有ガスを処理した。得られた芳香性を有する油を凍結乾燥したコーヒー粉末に噴霧し、噴霧されたコーヒー粉末をガラス容器内に閉じ込めた。実施例3におけるよりもより大きな芳香成分の減少が観測され、得られた生成物は、刺激性がより少なく、香りがまろやかであることが官能的に判明した。
実施例 6
100グラムの天然産のゼオライト(MORDENITE、有効孔径7Å、3.0mm径および8mm長さを有するペレット)を用いて、実施例4におけると同様に、アロマ含有ガスを処理した。得られた芳香性の油を凍結乾燥したコーヒー粉末に噴霧し、噴霧されたコーヒー粉末をガラス容器内に閉じ込めた。エキスパートのパネルによって、実施例4に記載したものと比較して、硫黄に似た刺激臭が同程度に減少することが認められ、香りは、官能的に望ましく、まろやかであると評価された。
実施例 7
内径16.5mmと高さ1.000mmとを有するガラスカラムに100gのAタイプ合成ゼオライト(ZEOLAM A5、Toso Kabushiki Kaisha、孔径5Å、球形、8〜10メッシュ)を充填した。実施例3におけると同様に、脱水したアロマ含有ガスをカラムにその底部から流速5リットル/分で通した。カラムの頂部より排出されるガスを、直接150〜250μmのガラス繊維を介して、35%の固形物を含有し、水ジャケット温度4℃に2時間冷却された5.0kgのコーヒー抽出液に吹き込んだ。エキスパートのパネルによる官能試験において、沸騰水で濃度1.2%に希釈したコーヒー抽出液は、ガラスカラムにゼオライトを充填しない同様の対照として調製したものに匹敵した。対照において認められる腐敗したような不快風味は、本発明によって教示される方法に従い処理されたコーヒー抽出液においては観測されなかった。コーヒー通のエキスパートは、明らかに、ゼオライト処理したアロマ含有コーヒー抽出液の官能的に望ましい、まろやかな香りを好んだ。
比較実施例
100グラムの合成ゼオライト(MOLECULAR SIEVE 13X,Nakarai Tesk Kabushiki Kaisha,孔径11Å、球形、8〜10メッシュ)を用いて、実施例4におけると同様に、アロマ含有ガスを処理した。得られた芳香性を有する油を凍結乾燥したコーヒー粉末に噴霧し、噴霧されたコーヒー粉末をガラス容器内に閉じ込めた。この場合、予備処理したアロマ含有ガス中に存在する芳香成分の57%は、吸着された。ガラス容器の開口における官能評価は、芳香性を有する成分が実施例3におけるよりも大きく減少することを示した。
Claims (10)
- 芳香性を有するコーヒーまたはコーヒーの風味を持った食品を製造するための方法であって、
孔径3Å〜10Åを有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の結晶アルミノシリケートとコーヒーアロマ含有ガスとを接触させ;
植物油、コーヒー抽出液、エタノール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される吸収剤に処理されたコーヒーアロマ含有ガスを吸収させ、それによって、コーヒーアロマを回収し;
コーヒーまたはコーヒーの風味を持った食品にそのコーヒーアロマ含有吸収剤を添加する;
各工程を含む方法。 - 前記吸収剤が、植物油を含む、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 前記植物油が、コーヒー油である、請求の範囲第2項に記載の方法。
- 前記コーヒーアロマ含有吸収剤が、前記コーヒーまたは前記コーヒー風味を持った食品に噴霧される、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 前記コーヒーアロマ含有ガスが、コーヒー豆の焙煎間に発生されるガス、もしくは、焙煎コーヒー豆をひき割りにする間に発生されるガス、または、ひき割りされた焙煎コーヒーの抽出の間に発生するガスである、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 芳香性を有するコーヒーまたはコーヒーの風味を持った食品を製造するための方法であって、
孔径3Å〜10Åを有するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の結晶アルミノシリケートとコーヒーアロマ含有ガスとを接触させ;
液体ガス冷媒を用いて冷却されるスクレープド壁熱交換器で、得られた処理コーヒーアロマ含有ガスを冷却し、それによって、前記ガスをフロストの形態に凝縮し;
植物油、コーヒー抽出液、エタノール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物からなる群より選択される吸収剤に得られたフロストを吸収させ、それによって、コーヒーアロマを回収し;
そのコーヒーアロマ含有吸収剤をコーヒーまたはコーヒーの風味を持った食品に添加する;
各工程を含む方法。 - 前記液体ガスの冷媒が、液体窒素である、請求の範囲第6項に記載の方法。
- 前記吸収剤が、植物油を含む、請求の範囲第7項に記載の方法。
- 前記植物油が、コーヒー油である、請求の範囲第8項に記載の方法。
- 前記コーヒーアロマ含有吸収剤が、前記コーヒーまたは前記コーヒーの風味を持った食品に噴霧される、請求の範囲第7項に記載の方法。
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