JP3630595B2 - 電磁波シールド成形品 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、無線機、計測器、コンピュータ、又は自動車用の制御機器等の各種電子機器に使用される電磁波シールド成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、無線機、又はコンピュータ等の各種電子機器はその動作時に信号発信部や電源部等が電磁波を輻射するが、この電磁波は、電子部品の誤作動を惹起したり、正常な機能を低下させるので、シールドする必要がある。
そこで従来においては、図9に示すように、プリント基板1の表面のグラウンド層2に、内面に導電層5を備えたシールド筺体4の接続リブ6をシールド用のガスケットや締結具16を介し螺着してグラウンドし、このシールド筺体4にプリント基板1の電子部品からなる電磁波発生源3を覆わせ、シールド筺体4の導電層5に矢印で示す不要な電磁波を反射吸収させたり、減衰させたりしてシールド筺体4内に封じ込め、電磁波、電波、又は磁場から電子部品を保護するという手段が採用されている。
【0003】
しかしながら、近年、電波が高周波化し、しかも、一電子機器内で複数種の電波を処理する必要性が生じているので、図9のシールド手段では不十分な場合がある。例えば同図に示すように、組立時の寸法公差や組付公差に基づき、プリント基板1とシールド筺体4との間に僅かな隙間Sが発生すると、この僅かな隙間Sがアンテナとして電波を受信するというアンテナ現象が生じる。このアンテナ現象は、使用電波の周波数が高周波になればなるほど、短い間隔で発生し、この結果、電磁波がシールド筺体4の外部に漏れて電子部品に悪影響を及ぼすこととなる。また、プリント基板1とシールド筺体4とが不連続に接触すると、雑音障害を招くおそれが少なくない。
【0004】
このような弊害を解消する方法としては、電子機器の完成後におけるテスト機の特性確認で認識・対処するという方法と、設計時からシールド筺体4に電磁波発生源3を完全にシールドさせるとともに、シールド筺体4をプリント基板1のグラウンド層2に確実にグラウンドするという方法があげられる。
前者の方法は、電子機器の機構形状や性能等に弊害が起因するので、弊害の発生を予め予測することが困難であることを考慮したものであるが、最善の方法とは言いがたい。これに対し、後者の方法は、弊害の発生することがないから、予測の必要がなく、最善の方法であるといえる。そこで、後者の方法について、様々な開発研究がなされている。
【0005】
後者の方法の具体例としては、以下の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)がある。先ず、(1)は、プレス加工した金属薄板を略パンタグラフ形に折曲加工して小さなばね部材を形成し、このばね部材をプリント基板1のグラウンド層2の所定箇所に複数実装溶着するとともに、この複数のばね部材を介してシールド筺体4の接続リブ6を接続し、ばね部材の弾性を利用して寸法公差や組付公差を吸収し、シールド筺体4を確実にグラウンドするという方法である。
【0006】
次いで(2)は、図10に示すように、シールド筺体4の接続リブ6の平面形状に対応させて0.1mm程度の厚さを有する金属薄板17をプレス加工して当該金属薄板17には導電塗装を施し、この金属薄板17の所定箇所を折曲加工して起伏揺動可能な複数のばね部材18を形成し、金属薄板17をプリント基板1のグラウンド層2に実装するとともに、この金属薄板17を介してシールド筺体4の接続リブ6を接続し、ばね部材18の弾性を利用して寸法公差や組付公差を吸収し、シールド筺体4を確実にグラウンドするという方法である。
【0007】
次いで(3)は、樹脂と導電性カーボンや金属粒子を配合した導電性エラストマーとを用いて導電性ゴム弾性体19をシート状に二色成形し、この導電性ゴム弾性体19をシールド筺体4の接続リブ6の平面形状に対応するよう打ち抜き加工(図11参照)してガスケットとし、この導電性ゴム弾性体19をプリント基板1のグラウンド層2に実装するとともに、この導電性ゴム弾性体19を介してシールド筺体4の接続リブ6を接続し、導電性ゴム弾性体19の弾性を利用して寸法公差や組付公差を吸収し、シールド筺体4を確実にグラウンドするという方法である。
【0008】
次いで(4)は、プラスチック製のシールド筺体4の接続リブ6と導電性ゴム弾性体とを一体成形し、この導電性ゴム弾性体の弾性を利用して寸法公差や組付公差を吸収し、シールド筺体4を確実にグラウンドするという方法である。そして(5)は、導電性カーボンや金属粒子を配合したゴム弾性体の原料をシールド筺体4の接続リブ6に塗布して乾燥硬化させ、形成した導電性ゴム弾性体の弾性を利用して寸法公差や組付公差を吸収し、シールド筺体4を確実にグラウンドするという方法である。
【0009】
なお、シールド筺体4に電磁波を封じ込めるためには、特定の体積固有抵抗値(周波数により異なるものの、一般的には体積固有抵抗値5Ω・cm以下)を有する導電体でシールド筺体4を囲み、プリント基板1のグラウンド層2に確実にグラウンドして少なくとも平均である30〜60dB以上のシールド効果(10〜30dBは最小限のシールド、60〜90dBは平均以上、90dB以上は最高のシールド)を得る必要がある(図12参照)。これを受け、金属薄板17、ばね部材18、又は導電性ゴム弾性体19の体積固有抵抗値は、5Ω・cm以下とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)、(2)の方法では、運搬時や使用時にばね部材や金属薄板が他の部品との接触で容易に変形し、簡単に損傷してしまうという問題がある。また、ばね部材の弾性には限界があり、しかも、一定寸法間隔の部分接続なので、高周波に十分対応することができないおそれがある。
また、 ( ) の方法では、導電性ゴム弾性体19の厚さが通常0.5〜2.5mmなので、平面的な形の保持性が悪く、組み込み時に導電性ゴム弾性体19を適切な位置に実装することができないおそれがある。また、導電性ゴム弾性体19には、体積固有抵抗値及び弾性と、圧縮永久歪み特性(圧縮開放時の形状復元性)という相反する物性が要求されるので、導電性カーボンや金属粒子の選定、配合比率の設定がきわめて困難であり、導電性カーボンや金属粒子の配合比率いかんでは形状の復元性が悪化し、使用が不可能になることもある。
【0011】
また、(4)の方法では、シールド筺体4の接続リブ6と導電性ゴム弾性体とを一体成形するので、理想的ではあるものの、一体成形用の材料(熱可塑性、熱硬化性ゴム弾性体)の特性により、圧縮永久歪みが悪化したり、弾性度に欠けるおそれが考えられる。また、硬度が高く、コスト的にも問題である。さらに(5)の方法では、簡便ではあるものの、シールド筺体4の接続リブ6にゴム弾性体の原料を吐出機器等を用いて塗布し、乾燥硬化させるので、作業や設備が大がかりになり、材料管理や品質管理等にも大きな問題がある。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、部品との接触等で簡単に変形することがなく、高周波に十分対応することができ、組み込み時に適切な位置にセットすることができるとともに、十分な形状の復元性、圧縮永久歪み、弾性度、又は硬度を得ることができ、大がかりな作業や設備を特に必要としない電磁波シールド成形品を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記課題を達成するため、基板のグラウンド層に取り付けられて電磁波発生源を覆うシールド筺体と、このシールド筺体に設けられるシールド成形品とを含んでなるものであって、
シールド成形品を、0.025〜1mmの厚さを有する貫通孔付きの基材と、この基材の両面にそれぞれ積層され、体積固有抵抗値が0.01〜5Ω・cmで導電性の高分子弾性体とから構成し、この一対の高分子弾性体を基材の貫通孔を介して接続するとともに、高分子弾性体のショアA硬度を20〜70Hsとし、
シールド成形品を断面略U字形に形成してシールド筺体のグラウンド層用の接続リブに嵌合可能としたことを特徴としている。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における基板としては、プリント基板、電磁波シールドプリント配線板、フレキシブル基板、又はビルドアップ配線板等があげられる。シールド筺体は、プラスチック製でも良いし、そうでなくても良い。シールド成形品の横断面形状、換言すれば、平面形状は、グラウンド層やシールド筺体の形に応じ、適宜変更することができる。また、基材の貫通孔は、単数複数いずれでも良く、丸孔でも良いし、幅1mm以下の直線的なスリット等からなる溝孔等とすることもできる。さらに、断面略U字形には、C字形、U字形、コ字形、又はこれらに類似する形が含まれる。
【0015】
本発明によれば、シールド筺体の接続リブにシールド成形品を嵌め入れ、このシールド成形品をプリント基板のグラウンド層に固定して接地すれば、シールド筺体の導電層が不要な電磁波を反射吸収したり、減衰させたりしてシールド筺体内に封じ込め、電磁波等から電子部品等を有効に保護できる。この際、基板とシールド筺体との間に弾性を有するシールド成形品が介在し、隙間がある場合にはそれを埋める。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における電磁波シールド成形品は、図1ないし図4に示すように、プリント基板1のグラウンド層2に接続されて複数の電磁波発生源3を覆うシールド筺体4と、このシールド筺体4の接続リブ6に嵌合するシールド成形品7とを備え、このシールド成形品7を、屈曲可能な基材8と、この基材8の表裏両面にそれぞれ積層接着して一体化される導電性の高分子弾性体10とから構成している。
【0017】
プリント基板1は、図1に示すように、表面の外周にグラウンド層2が所定の回路パターンでパターニングされ、電子部品からなる複数の電磁波発生源3が実装されている。
シールド筺体4は、図1に示すように、例えば衝撃強度、耐熱性、意匠性等に優れるABS、PC、PA、PES、TPEI等の成形材料や金属板を使用して断面略E字形の箱形に区画成形され、全内面に電磁波シールド材料からなる薄い導電層5が蒸着法、スパッタリング法、又はめっき法等により成膜されている。このシールド筺体4の区画壁は接続リブ6とされ、この接続リブ6は、一般に0.2〜2mm程度の幅に成形されている。
また、シールド成形品7は、図2に示すように、例えば平面略日字形に区画成形されるとともに、下向きに開口した断面略U字形に成形されている。
【0018】
基材8は、例えば寸法安定性、電気的性質、軽量性等に優れるPEN等の成形材料を用いて0.025〜0.2mmの厚さを有する加圧加熱可能なフィルム状に成形され、直径1mm以下の貫通孔9が規則的に複数並べて穿孔形成されている。基材8の成形材料としては、PENの他に、電子機器の発熱に耐えられるPET、PC、PP、PA、PPS等を用いることもできるが、汎用性やコスト等の観点からPENが最適である。また、これ以外に基材8の材料として、0.025〜1mm、好ましくは0.3〜1mmの厚さを有し、シールド筺体4の接続リブ6に対応する形の金属薄板を用いることも可能である。
【0019】
高分子弾性体10は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーと導電性粒子とを混合して用いることにより0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.8mmの厚さを有する屈曲可能な断面板形に成形され、基材8の複数の貫通孔9を介して一体的に導通接続されている。熱可塑性樹脂としては、EPDM、IIR、BR、NBR、U、F、IR等があげられ、熱硬化性樹脂としては、スチレン系やポリエスエテル系樹脂等が該当する。但し、耐熱性、圧縮永久歪み特性、硬度範囲、導電性の付与等を考慮すると、シリコーンゴムが好適である。
【0020】
導電性粒子としては、銀粒子、ニッケル粒子、炭素繊維粒子等を使用することができる。但し、酸化による抵抗値の変化の観点から、各種の低抵抗炭素繊維粒子と金属系粒子とを併用することが望ましい。代表的な例としては、炭素繊維粒子,ケッチンブラックEC−DJ500(ライオン株式会社製)があげられる。
【0021】
各高分子弾性体10は、十分なシールド効果を得るために体積固有抵抗値が0.01〜5Ω・cmに設定され、ショアA硬度が20〜70Hsの範囲とされる。この高分子弾性体10に弾性を付与する手段としては、各種エラストマーの発泡や導電材の配合重量部数の調整等があげられる。ショアA硬度は、20〜70Hsの範囲なら自由であるが、安定性を向上させるため、30〜50Hsの範囲が最適である。
【0022】
次に、図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)に基づいてシールド成形品7の製造方法等について説明すると、先ず、0.025〜1mmの厚さを有する基材8を用意し、この基材8の厚さ方向に複数の貫通孔9を打ち抜き金型や針等を使用して並べ設ける(図4(a)参照)。こうして基材8に貫通孔9を設けたら、基材8の両面に導電性の高分子弾性体10の原材料をラミネートや接着等によりそれぞれ重ね設け(図4(b)参照)、これらを加圧加熱成形機(プレス成形機)の金型12に型締めして加圧加熱(図4(c)参照)し、基材8と一対の高分子弾性体10とを一体化して基材8の複数の貫通孔9と各高分子弾性体10の一部11とを一体形成する(図4(d)参照)。
【0023】
上記作業の際、ポリエステルフィルムとウレタン系ゴム等のように、基材8と高分子弾性体10との一体成形が困難な場合には、予め基材8にプライマ処理を施すと作業の効率化を図ることができる。また、金型12を用いた加圧加熱法により、基材8と一対の高分子弾性体10とを180℃程度で一体化しても良いが、何らこれに限定されるものではない。例えば、基材8と一対の高分子弾性体10とを射出成形機の金型12Aで一体化し、生産性、品質安定性、及び応用性等を向上させるようにしても良い(図5参照)。また、図示しないバンバリーミキサ等で一体化することも可能である。
【0024】
次いで、シールド筺体4の接続リブ6の平面形状に対応するよう凹凸に切削加工された絞り金型13に、上記作業で得られた一応のシールド成形品7を型締めしてセットし、このシールド成形品7を加圧加熱しながら平面日字形で断面略U字形に絞り成形(図4(e)参照)し、その後、このシールド成形品7の不要な端部や縁等を打ち抜き法等で適宜除去すれば、所定の形に屈曲したシールド成形品7を得ることができる(図4(f)参照)。この際、シールド成形品7は、シールド筺体4の接続リブ6の寸法の100%〜130%の寸法範囲で断面略U字形に絞り成形される。
【0025】
シールド成形品7を製造したら、このシールド成形品7をシールド筺体4の全接続リブ6に跨ぐよう嵌入(図4(g)参照)し、シールド成形品7をプリント基板1のグラウンド層2に抵抗値が低くなるよう面接触状態に固定してグラウンドすれば、シールド筺体4の導電層5が不要な電磁波を反射吸収したり、減衰させたりしてシールド筺体4内に漏れなく封じ込め、電磁波、電波、又は磁場から電子部品をきわめて有効に保護することができる。シールド筺体4の固定には、図示しない締結具16やクランプ部材等を用いることができる。
この際、プリント基板1とシールド筺体4との間に弾性を有するシールド成形品7が安定した状態で介在し、隙間Sを吸収して埋めるので、僅かな隙間Sが発生したり、プリント基板1とシールド筺体4とが不連続に接触したりするのを有効に防止することが可能になる。
【0026】
上記構成によれば、他の部品との接触で容易に変形するばね部材や金属薄板を省略したり、露出させることがないので、位置ずれ、変形、損傷を有効に抑制防止することができるとともに、低い圧接力で安定した導通性を得ることができる。また、高分子弾性体10を使用するので、弾性を著しく向上させることができ、しかも、組み込み時に屈曲した高分子弾性体10の体積固有抵抗値が0.01〜5Ω・cmであり、一定寸法間隔の部分接続ではなく、接触面積が大幅に拡大しているので、携帯電話等で使用する高周波に十分対応することが可能になる。また、シールド筺体4の接続リブ6にシールド成形品7を小スペースで嵌入するので、実装性、作業の効率化、及び取扱の容易化を図ることが可能になる。
【0027】
また、基材8に高分子弾性体10を重ね設けるので、平面的な形の保持性も良く、組み込み時におけるシールド成形品7の適切な実装が大いに期待できる。また、高分子弾性体10としてシリコーンゴム等を使用すれば、圧縮永久歪み、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐候性、耐オゾン性、電気的性質、硬度、及びコストの点で実に良好な結果を得ることができる。さらに、シールド筺体4の接続リブ6にゴム弾性体の原料を吐出機器等で塗布して乾燥硬化する必要性もないから、作業や設備が大幅に簡素化し、大がかりになることもない。さらにまた、二色成形法やディスペンス法により導電性ゴム弾性体19を製造する場合とは異なり、製品製造時の部品搬送を伴わない高品質で安価なシールド成形品7を提案することができる。
【0028】
次に、図6及び図7は本発明の他の実施形態を示すもので、この場合には、シールド成形品7を、屈曲可能な基材8と、この基材8の片面に積層される導電性の高分子弾性体10とから構成し、基材8の複数の貫通孔9に高分子弾性体10の一部11をそれぞれ嵌め入れて一体成形し、金属製のシールド筺体4の全導電層5にシールド成形品7を対応するよう屈曲させて一体成形するとともに、導電層5に高分子弾性体10の一部11を接触させて導通性を確保するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0029】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、シールド筺体4の接続リブ6にシールド成形品7を嵌入する必要性が全くないので、実装性、作業の効率化、及び取扱の容易化をさらに向上させることができるのは明らかである。また、シールド筺体4の軽量化も期待できる。
【0030】
次に、図8は第二の発明の実施形態を示すもので、この場合には、一対のプリント基板1間に介在されて複数の電磁波発生源3を包囲するプラスチック製で平面枠形のフレーム15と、このフレーム15の前後左右にそれぞれ嵌合されて一対のプリント基板1を電気的に導通させる断面略U字形のシールド成形品7とを備え、各シールド成形品7を、0.025〜1mmの厚さを有し、フレーム15に接触する複数の貫通孔9付きの基材8と、この基材8の片面に積層接着して一体化され、一対のプリント基板1のグラウンド層2や電極部等の導通部に圧接する導電性の高分子弾性体10とから構成する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0031】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、プリント基板1を複数枚使用する場合でも、変形や損傷を有効に抑制防止することができるとともに、低い圧接力で安定した電気的接続を得ることができる。また、一定寸法間隔の部分接続ではないから、十分高周波に対処することが可能になる。さらに、フレーム15に小さなシールド成形品7を嵌入するので、実装性、作業の効率化、及び取扱の容易化が大いに期待できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明に係る電磁波シールド成形品の実施例を比較例と共に説明し、評価検討する。
実施例1
先ず、0.1mmの厚さを有する基材8を用意し、この基材8に直径0.5mmの貫通孔9と位置合わせ孔とを打ち抜き金型で複数並べ設けた。基材8としては、厚さ0.1mmのポリエスエルフィルムシート,ルミラー(東レ株式会社製)を使用した。また、複数の貫通孔9は3mm間隔とした。こうして基材8に貫通孔9を設けたら、射出成形機の金型12Aに基材8をインサートして型締めし、液状反応型シリコーンゴムKE1940−30(信越化学工業株式会社製)に導電性カーボンケッチンブラック(ライオン株式会社製)を20材料部数含有させた導電性の高分子弾性体10の原材料を射出し、基材8と一対の高分子弾性体10とを一体成形して基材8の複数の貫通孔9と各高分子弾性体10の一部11とを一体形成した。この際の成形条件は、射出圧15MPa、射出温度120℃、射出時間40sとした。
【0033】
次いで、シールド筺体4の接続リブ6の平面形に対応するよう凹凸に切削加工された深さ1.5mmの絞り金型13に、上記作業で得られた一応のシールド成形品7を型締めしてセットし、このシールド成形品7を加圧加熱しながら断面略U字形に絞り成形した。成形条件は、成形温度120℃、成形時間20sとした。そしてその後、シールド成形品7の不要な端部や縁等を打ち抜き法等で適宜除去して仕上げ、所定の形に屈曲したシールド成形品7を得た。このシールド成形品7は、全体の厚さが0.7mm、各高分子弾性体10の厚さが0.3mmであり、プリント基板1とシールド筺体4との間で0.3mm加圧組み込みを想定した場合の抵抗値が2Ωである。
【0034】
実施例2
先ず、0.1mmの厚さを有する上記基材8を用意し、この基材8にプライマーC(信越化学工業株式会社製)を使用してプライマ処理を施し、室温下で30分間風乾させた後、直径0.7mmの貫通孔9を打ち抜き金型で複数並べ設けた。この際、複数の貫通孔9は5mm間隔とした。基材8に貫通孔9を設けたら、基材8の両面に導電性の高分子弾性体10の原材料をそれぞれ重ね設け、これらを加圧加熱成形機の金型12に型締めして加圧加熱し、基材8と一対の高分子弾性体10とを一体化して基材8の複数の貫通孔9と各高分子弾性体10の一部11とを一体形成した。
【0035】
高分子弾性体10としては、シリコーンゴムコンパウンドKE941U銀粒子とカーボンEC−DJ50(ライオンアクゾ株式会社製)を3対7の比率でシリコーンゴムコンパウンドに対し、5材料部数混練し、規定の厚さにシーティング裁断したものを用いた。成形条件は、成形温度180℃、成形時間4minである。
【0036】
次いで、シールド筺体4の接続リブ6の平面形に対応するよう凹凸に切削加工された深さ1.3mmの絞り金型13に、上記作業で得られた一応のシールド成形品7を型締めしてセットし、このシールド成形品7を加圧加熱しながら断面略U字形に絞り成形した。成形条件は、成形温度130℃、成形時間30sとした。そしてその後、シールド成形品7の不要な端部や縁等を打ち抜き法等で適宜除去して仕上げ、所定の形に屈曲したシールド成形品7を得た。
実施例1、実施例2で得られたシールド成形品7と、図10、図11に示す比較例とを試験し、その結果を表1にまとめた。
【0037】
【表1】
Figure 0003630595
【0038】
表1からも明らかなように、北米向けモデル(デジタルTDMA/アナログ デュアルバンド)に組み込み、組み込み作業性や通信障害を確認したところ、実施例1、2で得られたシールド成形品7は、ばね部材18や導電性ゴム弾性体19に比べ、きわめて良好な組み込み作業性と輸送時の形状保持性とを得ることができた。さらに、電磁波の障害も発生せず、良好な通信結果を得ることもできた。
これに対し、テスト機に組み込んだ比較例はばね部材18と二色成形した導電性ゴム弾性体19であるが、導電性ゴム弾性体19は、組み込み時にねじれが発生したと見られ、しかも、プリント基板1からの開放時には変形した。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シールド成形品が他部品等との接触等で簡単に変形することがなく、高周波に十分対応することもでき、しかも、組み込み時にシールド成形品を適切な位置にセットすることができるという効果がある。また、十分な形状復元性、圧縮永久歪み、弾性度、又は硬度を得ることもでき、大がかりな作業や設備を省略することが可能になる。また、基板とシールド筺体との間に弾性を有するシールド成形品が介在し、隙間がある場合にはそれを埋めることができる。さらに、シールド筺体の接続リブにシールド成形品を小スペースで嵌め入れるので、実装性、作業の効率化、及び取扱の容易化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電磁波シールド成形品の実施形態を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る電磁波シールド成形品の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る電磁波シールド成形品の実施形態を示す部分断面説明図である。
【図4】本発明に係る電磁波シールド成形品の製造方法の実施形態を示す説明図で、(a)図は基材に貫通孔を並設した状態を示す断面説明図、(b)図は基材の両面に導電性の高分子弾性体の原材料をそれぞれ重ね設けた状態を示す断面説明図、(c)図は金型に型締めして加圧加熱した状態を示す断面説明図、(d)図は基材と高分子弾性体とを一体化した状態を示す断面説明図、(e)図はシールド成形品を加圧加熱しながら断面略U字形に絞り成形した状態を示す断面説明図、(f)図は所定の形に屈曲したシールド成形品を示す断面説明図、(g)図はシールド筺体の接続リブにシールド成形品を嵌入する状態を示す断面説明図である。
【図5】本発明に係る電磁波シールド成形品の実施形態における基材と高分子弾性体とを射出成形法で一体化する状態を示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る電磁波シールド成形品の他の実施形態を示す部分断面説明図である。
【図7】本発明に係る電磁波シールド成形品の他の実施形態を示す断面説明図である。
【図8】本発明の第二の発明に係る電磁波シールド成形品の実施形態を示す斜視説明図である。
【図9】従来の電磁波シールド手段を示す断面図である。
【図10】従来の電磁波シールド用の金属薄板を示す斜視説明図である。
【図11】従来の電磁波シールド用の導電性ゴム弾性体を示す斜視説明図である。
【図12】シールド効果と体積固有抵抗値との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プリント基板(基板)
2 グラウンド層
3 電磁波発生源
4 シールド筺体
5 導電層
6 接続リブ
7 シールド成形品
8 基材
9 貫通孔
10 高分子弾性体
11 高分子弾性体の一部
S 隙間

Claims (1)

  1. 基板のグラウンド層に取り付けられて電磁波発生源を覆うシールド筺体と、このシールド筺体に設けられるシールド成形品とを含んでなる電磁波シールド成形品であって、
    シールド成形品を、0.025〜1mmの厚さを有する貫通孔付きの基材と、この基材の両面にそれぞれ積層され、体積固有抵抗値が0.01〜5Ω・cmで導電性の高分子弾性体とから構成し、この一対の高分子弾性体を基材の貫通孔を介して接続するとともに、高分子弾性体のショアA硬度を20〜70Hsとし、
    シールド成形品を断面略U字形に形成してシールド筺体のグラウンド層用の接続リブに嵌合可能としたことを特徴とする電磁波シールド成形品。
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