JP3630538B2 - 洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の被洗浄物を保持しつつ回転させて、この表面または裏面を洗浄するのに使用して最適な洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつあり、半導体基板の平坦化の方法としてメカノケミカルポリッシングが用いられる場合がある。このような半導体基板上に配線間距離より大きなダストが存在すると、配線がショートする等の不具合が生じるため、半導体ウエハ上に許容される残留ダストの大きさも配線間距離に比べて十分に小さいものでなければならない。
【0003】
ポリッシングの終了した半導体ウエハを洗浄する方法としては、ナイロン、モヘア等のブラシやPVA(ポリビニルアルコール)等からなるスポンジで半導体ウエハの表面を擦って洗浄する、いわゆるスクラビング洗浄、超音波の振動エネルギーを与えた水をウエハ表面に噴射して洗浄する超音波洗浄、またはキャビテーションを有する高圧水をウエハに噴射して洗浄する方法等が一般に知られており、これらの洗浄方法を複数段に組み合わせた洗浄が広く行われている。
【0004】
スクラビング洗浄装置の一つとして、図6に示すような洗浄装置が知られている。これは、略円筒状の複数(図6では6個)の回転子10を円周上に配置し、この回転子10の外周面に設けたV字状の溝12に半導体ウエハ等の被洗浄物Wの外周縁部を差し込んで該被洗浄物Wを保持し、回転子10を回転駆動して被洗浄物Wを回転させつつ、ロールブラシ等の洗浄部材14を被洗浄物Wの表面及び/又は裏面に摺接させるようにしたものである。
【0005】
前記各回転子10は、各回転軸16の上端にこれと一体に回転するように連結され、また、図示では、各3個の回転子10からなる回転子群18a,18bが、互いに閉じる方向または開く方向に一体となって同時に水平に移動し、これによって、被洗浄物Wの保持及び洗浄後の開放を行う(または被洗浄物を本装置にセットするときに両回転子群が互いに開く方向に移動する)ようになっている。
【0006】
この洗浄装置には、前記各回転子群18a,18b毎に、図7に示すような駆動機構20が備えられている。すなわち、中央に位置する回転子10の回転軸16の下端に駆動モータ22が連結され、この駆動モータ22の駆動に伴って、この中央に位置する回転子10の回転軸16が回転し、更にこの回転軸16に固着したプーリ24と他の回転軸16に固着したプーリ26及びベルト28を介して他の回転軸16が回転するようになっている。
【0007】
この種の洗浄装置にあっては、被洗浄物Wの洗浄の際における前記駆動機構20側への漏水を防止する必要があり、このため、例えば図7及び図8に示すような構成が備えられている。
【0008】
すなわち、前記各回転軸16の周囲には、レール30に沿って図8の上下方向に走行自在な基台32の上面に固着されたスリーブ34が配置され、これらのスリーブ34の上部にはフランジ36が連結され、このフランジ36を介して防水板38が取り付けられている。防水板38は、平板部40と該平板部40の周縁部から下方に延出して3本の回転軸16の周囲を囲繞する薄肉で扁平な筒状の側壁部42とから構成され、前記平板部40に設けられた開口40a内に前記フランジ36の上部を挿通させた状態で各フランジ36にビス止めされている。
【0009】
更に、洗浄の際に被洗浄物Wの周囲を覆う上下動自在な薄肉略円筒状の移動カップ44が備えられ、この移動カップ44の下端には、各回転子群18a,18bを囲む位置に開口部46aが設けられた底板46が取り付けられている。さらに、この開口部46aの縁部には前記防水板38の側壁部42の内側に入り込む形状及び大きさに形成された薄肉で扁平筒状の入り子板48が3本の回転軸16の周囲を囲むように上方に延びて取り付けられている。
【0010】
これによって、被洗浄物Wの洗浄の際に、回転軸16の周囲をスリーブ34で包囲するとともに、スリーブ34の上部外周を防水板38で包囲し、更にこの防水板38の側壁部42の内部に入り子板48が入り込むようにして、前記駆動機構20側へ湿気が行かないようになっている。
【0011】
被洗浄物Wの洗浄の際には、移動カップ44上端は図7のL1の高さ、底板46はL3の高さにあり、移動カップ44により洗浄中の水が洗浄装置外へ飛散しないようになっている。非洗浄時は移動カップ44上端は図7のL2の高さ、底板46はL4の高さに位置する。非洗浄時においても、入り子板48上端と、側壁部42下端とはオーバーラップし、駆動機構20側へ湿気が行かないようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、スリーブ34の外周の遮蔽が十分ではなく、例えば薬液を使って被洗浄物Wの表面側や裏面側を洗浄する際に、この薬液の雰囲気が、図7に矢印Aで示すように、移動カップ44と防水板38の側壁部42との間から該側壁部42と入り子板48との間を通ってスリーブ34の周囲に達してしまっていた。しかも、回転子10は、防水板38の上方に完全に露出した状態で配置されているとともに、回転子10と回転軸16の周囲を覆うスリーブ34の上部に取付けたフランジ36との間に隙間Bがあり、このため、例えば薬液洗浄の際の薬液雰囲気がこの隙間Bから回転軸16の周囲を伝わり駆動機構20側に達してしまうといった問題があった。
【0013】
本発明は上記に鑑み、シール性能を向上させて薬液洗浄の雰囲気が駆動機構側に達してしまうことがないようにした洗浄装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、防水パンの底板の挿通孔を挿通して複数の回転軸が設けられ、前記回転軸に基板を回転自在に把持する把持部が設けられた洗浄装置において、前記回転軸は、基台に立設されたスリーブにより囲繞され、該スリーブの上端に取付部材が形成され、該取付部材の内側に前記回転軸を支持する軸受が取り付けられ、前記把持部に固定されたシールリングが前記取付部材のシール面に接するようになっていて、前記防水パンの内部空間と前記スリーブの内部空間とを水密的に遮蔽し、前記取付部材にベローズの上端が取り付けられ、該ベローズの下端が前記防水パンの底板に固定され、前記防水パンの内部空間と防水パン底板下部の駆動機構がある空間とを水密的に遮蔽したことを特徴とする洗浄装置である。これにより、防水パンの内側の洗浄空間と取付部材とが被覆部材により仕切られ、回転軸の駆動機構等に洗浄空間からのミストが浸入しない。
【0015】
また、本発明は、前記基台が水平方向に移動可能であり、前記ベローズが柔軟性のある筒状部材であることを特徴とするものである。これにより、柔軟性のある筒状ベローズを介して防水パンと回転軸との相対的な移動を吸収し、基板の把持動作を安定に行なうことができる。
【0016】
また、本発明は、防水パンの底板の挿通孔を挿通して複数の回転軸が設けられ、前記回転軸に基板を回転自在に把持する把持部が設けられた洗浄装置において、前記複数の回転軸の取り付けてある取付部材と、前記回転軸との間にはシール部材が設けられていることを特徴とする洗浄装置である。これにより、防水パンの内側の洗浄空間と回転軸とがシール部材により仕切られ、回転軸の駆動機構等に洗浄空間からのミストが浸入しない。
【0017】
また、本発明は、前記シールリングが、下端が前記取付部材のシール面に接する舌片を有することを特徴とするものである。これにより、把持部と取付部材との間を塞いで、この間での漏れを有効に防止することができる。
【0018】
また、本発明は、前記防水パンが、前記底板に一体に設けた筒状壁と、該筒状壁に対して軸方向移動自在な筒状の内側カバーとを有することを特徴とするものである。これにより、被洗浄物の周囲を内側カバーで包囲して、洗浄液が外方に飛び散ってしまうことを防止するとともに、内側カバーを下降させて、被洗浄物の回転子との受け渡しの便を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、ポリッシング装置で研磨された半導体ウエハを被洗浄物として洗浄するのに適した本発明の実施の形態を図1乃至図4を参照して説明する。なお、前記図6乃至図8に示す従来例と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0020】
図2に示すように各回転軸16は上端が小径に形成され、これには中心孔が形成された固定部材11がボルトにより取り付けられ、さらにこの固定部材の外周に嵌合するように回転子10がボルト等により取り付けられている。回転子10の下部内側及び固定部材下部外側にはそれぞれ段差面が形成され、これにより横断面矩形の環状凹部10aが設けられ、この凹部10a内にシールリング50が収納されている。
【0021】
回転軸16は、基台32に立設されたスリーブ34により囲繞され、このスリーブ34の上端には、やや大径のフランジ51が形成されており、これの内側に上部軸受52が取り付けられている。フランジ51の上側には、上面に凸面53aを有する軸カバー53がボルトにより取り付けられ、前記シールリング50の下部に形成された薄肉の舌片54の下端が軸カバー53の凸面53aに接するようになっている。基台32は、レール30上を走行自在にされ、その下側に各回転軸16を回転駆動する駆動機構20が設けられている点は従来と同様である。
【0022】
一方、図1のように、この基台32とは別体として、外部に固定された防水パン60が設けられている。これは、円板状の底板部56と該底板部56の外周端面に下端内周面を連結した薄肉円筒状の円筒部58とを有して上方に開口しており、この底板部56の所定の位置には各スリーブ34が挿通可能な合計6個の挿通孔56aが形成されている。これらの挿通孔56aは、被洗浄物を着脱するためにスリーブ34が前後移動してもこれが当接しないような大きさを有している。
【0023】
また、底板部56と軸カバー53の間には、スリーブ34を取り囲むように、ベローズ62が、それぞれ取付リング68,70を介して取り付けられている。すなわち、本実施例では、ベローズ62を係止するところの取付部材(回転軸16を取付ける部材)として軸カバー53を設けている。これは、図3に示す回転子群18a,18bの水平移動を許容しつつ防水パン60の内部空間と駆動機構20がある下側の空間とを遮蔽して、被洗浄物Wの洗浄の際に、薬液雰囲気等が駆動機構20側に達してしまうことを防止する。
なお、ベローズ62は、回転軸16を取付ける部材と底板部56との間に設ければよく、軸カバー53の代わりにフランジ51にベローズ62の一端を取付けてもよい。
【0024】
防水パン60の円筒部58の内側には、被洗浄物Wの周囲を覆う薄肉略円筒状の内側カバー72が上下動自在に配置されている。例えば内側カバーの突部72aにシリンダの一部が取付けてあり、シリンダに気体を吸気、排気することにより内側カバー72が昇降する。この内側カバー72の外径は、防水パン60の円筒部58の内径より僅かに小さく設定され、また、内側カバー72の昇降は、これが下降した時に、防水パン60の内部に完全に収まり、被洗浄物Wを回転子10へ渡すことを可能とし、上昇した時に、この下部が防水パン60の円筒部58の上部で所定距離重なり合うように設定され洗浄中の洗浄液が、洗浄装置外に飛散しないようになっている。
【0025】
次に、上記のように構成した洗浄装置の作用を説明する。まず、被洗浄物Wを受け取る場合には、駆動装置20を停止し、洗浄液の供給を停止して内側カバー72を下降させ、また、回転子群18a,18bを互いに開いた状態で被洗浄物Wをロボットハンド等を用いて所定位置に運ぶ。そして、回転子群18a,18bを閉じて被洗浄物を受け取り、この周囲を包囲する如く内側カバー72を上昇させる。そして、駆動装置を動作させて回転子を回転して被洗浄物を回転させながら洗浄液を供給し、洗浄部材によるスクラブ洗浄を行なう。
【0026】
ここにおいて、回転側である回転子10の下面と、固定側の軸カバー53の上面との間は舌片54を有するシールリング50で完全に塞いでおり、従って、被洗浄物Wの洗浄の際の防水パン60の内側の薬液雰囲気等がスリーブ34の内部に達することなく、さらには駆動装置20側に到達することが防止される。また、軸カバー53と底板56の間にはベローズが配置されているので、防水パン60の内部空間と駆動装置20がある下側の空間とは遮蔽され、挿通孔56aを経由して薬液雰囲気等が駆動機構20側に達することも防止される。勿論、内側カバー72によって薬液等が外方に飛び散ってしまうことも防止される。被洗浄物とは半導体ウエハ、LCD等種々考えられる。
【0027】
図1では底板部56に、3本の回転軸16のための挿通孔を個別に設けたが、本発明はこれに限られず、例えば前述の従来技術のように3本の回転軸16に対して共通の挿通孔を1つ設けてもよい(図5参照)。
【0028】
以下、図5を参照して説明すると、従来技術と同様に、防水板38aは、平板部40aと、平板部40aの周縁部から下方に延出して3本の回転軸16の周囲を囲む筒状の側壁部42aとから構成されている。なお、図1と同様の部分には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0029】
底板部56と側壁部42aとの間には、スリーブ34をとり囲むようにベローズ62aが取り付けられている。すなわち、本実施例では、ベローズ62aを係止するところの取付部材(回転軸16を取付ける部材)として防水板38aを設けている。側壁部42aを設けず、ベローズ62aを、平板部40aと底板部56との間に設けてもよい。作用、効果は図1の場合と同様である。また、図5では各回転軸16用に個別のスリーブ34を設けているが、これのかわりに3本の回転軸を支持する部材(各回転軸の両端を支持する都合6個の軸受を取り付ける部材)を1つ設けるようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の回転軸の取付けてある取付部材と回転軸との間をシール部材でシールし、または取付部材と挿通孔との間の隙間を被覆部材で覆うことにより、防水パンの内側の洗浄空間と取付部材または回転軸とを仕切り、その結果該洗浄空間と防水パンの下側の駆動機構を収容する空間とを仕切り、洗浄空間からの液体やミストが駆動機構に浸入するのを防止して駆動機構の寿命を伸ばし、また、装置の安定な稼動を促す。また、柔軟性のある筒状被覆部材を介して防水パンと回転軸との相対的な移動を吸収し、基板の把持動作を安定に行わせる。従って、シール性能を向上させて薬液洗浄の雰囲気が駆動機構側に達してしまうことがないようにした洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の洗浄装置を示す断面図(図3のA−A線断面図)である。
【図2】図1の洗浄装置の一部を拡大して拡大して示す拡大図である。
【図3】図1の洗浄装置の平面図である。
【図4】図1の洗浄装置の断面図(図3のB−B線断面図)である。
【図5】この発明の他の実施の形態の洗浄装置を示す断面図である。
【図6】洗浄装置の全体を示す概要図である。
【図7】従来の洗浄装置を示す断面図である。
【図8】図7の洗浄装置の平面図である。
【符号の説明】
10 回転子
10a 同凹部
12 溝
16 回転軸
18a,18b 回転子群
20 駆動機構
38a,53 取付部材
50 シールリング
51 フランジ
52 上部軸受
54 舌片
56 底板部
58 円筒部
60 防水パン
62 防水装置
66 蛇腹部
72 内側カバー
Claims (4)
- 防水パンの底板の挿通孔を挿通して複数の回転軸が設けられ、前記回転軸に基板を回転自在に把持する把持部が設けられた洗浄装置において、
前記回転軸は、基台に立設されたスリーブにより囲繞され、該スリーブの上端に取付部材が形成され、該取付部材の内側に前記回転軸を支持する軸受が取り付けられ、前記把持部に固定されたシールリングが前記取付部材のシール面に接するようになっていて、前記防水パンの内部空間と前記スリーブの内部空間とを水密的に遮蔽し、
前記取付部材にベローズの上端が取り付けられ、該ベローズの下端が前記防水パンの底板に固定され、前記防水パンの内部空間と防水パン底板下部の駆動機構がある空間とを水密的に遮蔽したことを特徴とする洗浄装置。 - 前記基台は水平方向に移動可能であり、前記ベローズは柔軟性のある筒状部材であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
- 前記シールリングは、下端が前記取付部材のシール面に接する舌片を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
- 前記防水パンは、前記底板に一体に設けた筒状壁と、該筒状壁に対して軸方向移動自在な筒状の内側カバーとを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の洗浄装置。
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JP27806997A Expired - Lifetime JP3630538B2 (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 洗浄装置 |
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