JP3630181B2 - 防空システム及び防空ミサイル - Google Patents
防空システム及び防空ミサイルInfo
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、高速(例えばマッハ3〜マッハ10)で飛んで来たミサイル例えば弾道ミサイルを要撃できる防空システム及びこのような防空システムのための防空ミサイル即ち対ミサイル用ミサイル(AMM)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
防空システムは、既に周知であり(例えば特許FR−A−2,563,000参照)、固定式統制所及び複数基の防空ミサイルを含む。固定式統制所は、飛んで来たミサイルを探知するための手段と、この探知手段によって探知されたそのような飛んで来たミサイルの進入弾道及び速度を決定するための弾道計算手段と、前記探知されたミサイルを要撃するために前記複数基のうちのどれかの防空ミサイルが追従しなければならない要撃弾道を決定するための計算手段と、前記防空ミサイルを発射するための手段と、前記防空ミサイルを誘導するための手段と、前記防空ミサイルと連動するための手段とを備え、前記防空ミサイルの各々は、推進装置と、少なくとも1個の弾頭と、慣性ユニットと、ホーミング・ヘッドと、操向デバイスと、前記固定式統制所と連動するための手段と、前記固定式統制所中に設けられた前記誘導手段によって送信された情報から及び前記ホーミング・ヘッドによって供給された情報から操向指令を導出する操向指令発生器とを備えている。
【0003】
そのような防空システムでは、ホーミング・ヘッドは防空ミサイルの前部にてその頭部を形成するレードーム内に配置され、ホーミング・ヘッドの中心軸は防空ミサイルの縦方向軸と一致しているが、防空ミサイルによって追従される要撃弾道は防空ミサイルが飛んで来た目標を前方又は後方から攻撃するようなものである。しかしながら、もし飛んで来た目標が非常に速いと、正面攻撃のみが現実的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのような正面攻撃では要撃弾道が必然的に長くなり、要撃時間(防空ミサイルの発射と要撃時機の間)も長く且つ要撃が高高度で起るようになる。
要撃時間が長いので、射撃準備のために及び目標探知後に防空ミサイルを発射するために要する時間は極めて短く、そして防空ミサイルは飛んで来たミサイルに対して防衛されるべき場所にできるだけ近く配置されなければならない。その上、そのような要撃が高高度で行われるので、防空ミサイルの操縦性が低下する高い電離層中で要撃することになる。
【0005】
その上、防空ミサイルの正面衝突による飛んで来た目標の破壊は極めて難しく、従って防空ミサイルの縦方向軸と一致する軸を持つ回転面全体から防空ミサイルの周囲に拡がる破片のシャワーを放出できる慣用の弾頭が周知の防空ミサイルに搭載されている。
【0006】
超高速の目標の正面攻撃中、防空ミサイルと目標の相対速度が実際には目標の軸と平行であるので、目標に向けられた破片のシャワーの一部だけしか目標に当たらず、そのためこの場合には破片が目標に当たる方向は目標の軸に対して少し傾けられる。例えばもし飛んで来た目標が速度VB=2000m/sで飛行中である反面、防空ミサイルの速度VEが1000m/sに等しく且つ破片の速度VIが1500m/sに等しければ、目標に当たる破片の傾斜角は目標の軸に対して約26゜傾けられる。
【0007】
飛んで来た目標の軸に対する破片のシャワーのこの小さい傾斜から下記の結論が導かれる。即ち、
目標が最も重いものの場合にはその推進装置の負担のせいで、破片は長い目標の後部に当たる、
この目標が短ければ、破片は目標の後を通過して当たらない、
いずれにしても、破片は目標に到達してもはね返るか或は浅くしか貫通せず、致命的な損害を与えることはできない。
【0008】
飛んで来た目標の速度の関数として慣用の破片装薬の有効さが低下することによるこれら欠点を修正しようとするため、破片の速度を増大すること、防空ミサイルに搭載する破片のクラウドを開発すること、防空ミサイルの周囲に設ける頑丈な“アンブレラ”を開発すること、などの種々の手段が直視された。しかしながら、これら手段のどれも有効でないことが分かったので、既存の防空システムは一番速くてもマッハ4で飛んで来る目標だけに有効である。
【0009】
この発明の目的は、上述した欠点を修正し且つ要撃弾道及び要撃時間が短い上述した型式の防空システムに関するので、要撃を低高度で行え且つ防空システムを保護されるべき場所から遠く離れて設置できる反面、防空ミサイルの発射準備及び発射に充分な時間をとれることである。その上、この発明に係る防空システムは、破片の横方向放出を用いる時に、目標の軸を横切る衝突方向を得ることを可能にする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、この発明によれば、高速で飛んで来たミサイルを要撃できる防空システムは下記の特徴を有する。即ち、飛んで来たミサイルの進入弾道と防空ミサイルの要撃弾道とに共通の点にて、前記要撃弾道が前記進入弾道を横断し、ホーミング・ヘッドの中心軸が前記防空ミサイルの軸に対して横に傾けられ、そして前記ホーミング・ヘッドの中心軸が前記飛んで来たミサイルの側に配置されるように、前記防空ミサイルの横転が安定化される。
【0011】
従って、この発明に係る防空システムでは、防空ミサイルが横から見て(そして既知の防空ミサイルのように前方から見るのではなく)飛んで来た目標を横から(そして既知の防空ミサイルのように前方又は後方からではなく)攻撃するので、要撃弾道及び要撃時間は大幅に短縮され、上述した利点を生じる。
【0012】
好都合なことには、前記計算手段は、まず前記要撃弾道と前記進入弾道とに共通の前記点を決定し、次に、前記共通の点及び地上の前記防空ミサイルの陣地を通る垂直平面において、下記の3つのパラメータ即ち、前記共通の点をその水平投射から分離する垂直距離、地上の前記防空ミサイルの陣地を前記共通の点の前記水平投射から分離する水平距離、及び前記垂直平面と前記ミサイルの前記進入弾道に垂直な平面との交差が前記共通の点にて水平となす角度から前記防空ミサイルの前記要撃弾道を決定するのである。
【0013】
その上、前記計算手段は、前記3つのパラメータの助けを借りて、地上の前記防空ミサイルの前記陣地と前記共通の点の間の前記要撃弾道を前記防空ミサイルがカバーするのに必要な要撃時間を決定し、前記ミサイルがその現在位置から前記進入弾道を追従して前記共通の点に到達するのに必要な飛行時間を連続的に計算し、そして前記飛行時間の値が前記要撃時間に等しくなる、前記進入弾道上の点に前記ミサイルが到達する時に、前記発射手段が前記防空ミサイルを発射するように、前記発射手段を作動させるという利点を持っている。
【0014】
その上、前記防空ミサイルが前記要撃弾道をたどりながらそのホーミング・ヘッドが前記飛んで来たミサイルにロックオンできるようにするため、遅くともロックオンの評価された瞬間に、前記ホーミング・ヘッドの中心軸がこの瞬間における前記防空ミサイルの位置、前記共通の点及びこの瞬間における前記ミサイルの位置に相当する前記点によって定められた平面に在り、そしてこの平面)が前記防空ミサイルの横転安定化基準平面として役立つようにされる。
【0015】
従って、この発明に係る防空ミサイルの主要な特色は、前記ホーミング・ヘッドの中心軸が前記防空ミサイルの軸に対して横に傾けられていることにある。
【0016】
望ましくは、前記ホーミング・ヘッドの中心軸の、前記防空ミサイルの軸に対する横傾斜角の値は、その正接が要撃されるべきミサイルの速度と前記防空ミサイルの速度との比に少なくともほゞ等しいような仕方で選ばれることである。前記防空ミサイルが超音速の弾道ミサイルを要撃しなければならない場合には、前記横傾斜角は60゜近くで良い。
【0017】
明らかに、ホーミング・ヘッドによる目標へのロックオンを容易にするため、前記ホーミング・ヘッドの中心軸が例えば円錐面内で上述した角に相当する中間位置を中心にしてその方位を変えれることが好都合であり、その頂点での半角が40゜にほゞ等しくて良い。
【0018】
この発明に係る防空ミサイルは、直接の衝突により或は前記目標に極めて接近した時に前記防空ミサイルの搭載する弾頭の爆発による爆風効果により飛んで来た目標を破壊することを意味し得る。
【0019】
しかしながら、通常且つ上述したように、防空ミサイルは破片の横への放出を伴う弾頭を含み得る。
【0020】
この場合に、もし要撃されるべきミサイルの速度が超高速ならば、ホーミング・ヘッドの中心軸と反対側で破片の前記シャワーを横に放出するだけで充分である。事実、この場合には、防空ミサイルと飛んで来た目標との相対速度は、防空ミサイルの軸とは垂直でなく、この軸を横切るので、ホーミング・ヘッドから反対側に放出された破片のシャワーは前記目標の軸に対して大きな角度で目標に到達する。VB=2000m/s、VE=1000m/s及びVI=1500m/sの上例をここでもとりあげると、前記破片のシャワーが(上述した26゜の値と比較して)60゜よりも大きな角度で飛んで来たミサイルに到達するのは容易である。
【0021】
従って、既知の防空システムについて上述した破壊の非有効さの欠点は避けられる。横方向シャワーの破片は、従って前記目標にその中心部で到達し且つその内部に深く貫通して目標を破壊する。いずれにしても、要撃されるべきミサイルの速度が高くなればなる程、破片は増々破壊的になることがこの点で容易に理解されよう。
【0022】
その上、この発明により、防空ミサイルの全周に前記シャワーを散らすことは無意味であり、逆にホーミング・ヘッドと反対方向に前記シャワーを集中できることが理解される。
【0023】
既知の方法では、この発明に係る防空ミサイルは、進入弾道と要撃弾道に共通の点の近くで飛んで来たミサイルを探知するための且つ前記弾頭を制御するための近接信管を含み得る。そのような近接信管は、普通のように、防空ミサイルの軸に中心が置かれた円錐状探知フロントを生じ得る。しかしながら、本例では、前記近接信管は、平面層の形態をしており、前記防空ミサイルの軸に対して横に傾けられ、前記ホーミング・ヘッドの中心軸と同一側に在る探知フロントを形成するだけで充分である。
【0024】
前記探知フロントの横傾斜角は大体30゜に等しくて良い。
【0025】
望ましくは、前記ホーミング・ヘッドの前記防空ミサイルの中間部に配置される。従って、前記防空ミサイルがフロント・レードームを含まなくても良いので、その前端部は、前記防空ミサイルに良好な空気力学的特性を与えるために、尖らされ、細長くされ且つ先細にされ得る。
【0026】
【実施例】
添付図面は、この発明をどのように構成できるかを理解するのを容易にし、また同一符号は同一物を示す。
この発明に係る防空システムは、図1の概略図に示すように、地上Gに構築された監視統制所1及び複数基の防空ミサイル2を含む。飛んで来た敵のミサイル3、特に高速の弾道ミサイルが監視統制所1によって探知且つ識別される(矢印E)と、監視統制所1は、これに設けられたレーダ及びコンピュータの助けを借りて、ミサイル3を要撃する機会及び状況を決定する。
【0027】
もし要撃すると決定されたときには、監視統制所1は、射ち落とされるべき目標となる敵のミサイル3の速度VB及びその進入弾道Tを決定し、且つ陣地Aにて発射準備中の防空ミサイル2が点Fでミサイル3を要撃するために追従しなければならない要撃弾道tを計算する。要撃点Fにて、進入弾道Tと要撃弾道tが少なくとも90゜に事実上等しい角度で交差する。防空ミサイル2の速度性能に関し、防空ミサイル2とミサイル3が要撃点F又は少なくともその近くで同一瞬間に出会うように、監視統制所1は或る瞬間に防空ミサイル2を発射するための手続きをとる。
【0028】
このことから理解されるように、各防空ミサイル2には、監視統制所1と協同できる電子的誘導手段及び慣性ユニットと関連付けられたホーミング・ヘッドが装備されている。
【0029】
第1に、防空ミサイル2は、監視統制所1と防空ミサイル2に搭載された電子的誘導手段との協同動作によって完全に決定された発射弾道(要撃弾道tと一致していなくても良い)を追従する。次に、矢印fで記号化された無線周波伝送によるこの協同動作のせいで、監視統制所1は防空ミサイル2に要撃点Fへの要撃弾道tを追従させる。最後に、防空ミサイル2がミサイル3に充分に接近してそのホーミング・ヘッドがミサイル3をロック・オンする即ち絶えず追随すると、防空ミサイル2はホーミング・ヘッドの作用によってミサイル3に誘導される。
【0030】
防空ミサイル2によるミサイルの破壊は、防空ミサイル2に搭載された弾頭21に指令を発することで行われる。
【0031】
図2に示すように、監視統制所1は、通常、下記のデバイスを備えている。
アンテナ5が設けられ、保護されるべき空間を監視するための且つ飛んで来たミサイル3を探知して識別するための監視探知デバイス4。この監視探知デバイス4は監視用レーダ又はこれと等価な光/電子的モニタ装置を含んでいても良い。監視探知デバイス4は要撃の効果的な可能性を条件付けること、並びにこの要撃のために利用できる時間はミサイル3の探知及び識別を行う距離が長くなればなる程大きくなることは極めて明らかである。
【0032】
監視探知デバイス4から受けた情報により目標のミサイル3の特性(位置及び速度)を測定して進入弾道Tを計算する弾道計算デバイス6。この弾道計算デバイス6は普通の弾道計算用レーダを含んでいても良い。
【0033】
弾道計算デバイス6から受けた情報により且つ特に防空ミサイル2の特性に依存して防空ミサイル2のための最適の要撃弾道t及び発射射撃の瞬間を決定する要撃弾道計算デバイス7。
【0034】
アンテナ9が設けられ、飛行中の防空ミサイル2を要撃点Fに向けて誘導するための誘導デバイス8。
【0035】
防空ミサイル2を発射し、これをリンク11により制御し、監視探知デバイス4からリンク12を介して送られて来た、防空ミサイル2の発射準備に関する情報を受け、そして要撃弾道計算デバイス7からリンク13を介して送られて来た、射撃命令及び発射状態を受けるための発射デバイス10。
【0036】
軸L−Lを有する防空ミサイル2の実施例が図3の概略図に示されている。この防空ミサイル2は、その後部に配置された推進装置20と、少なくとも1個の破片弾頭21と、慣性ユニット、コンピュータ及び無線周波送信機を有する機器ベイ22と、翼24の端部にて可動であるように装架された空気力学的操向翼23と、この可動空気力学的操向翼23の制御用操向指令発生器25と、方位が調節可能なホーミング・ヘッド26と、このホーミング・ヘッド26に関連付けられた電子部品27と、ホーミング・ヘッド26からのビームを通すための横窓28と、近接信管29と、細くなって尖った前端30とを備えている。
【0037】
防空ミサイル2には、操向翼23の代わりに、制御可能なガス・ジェットが供給される横ノズルを周知の仕方で有する力操向系を設けれることは明らかである。
【0038】
その上、図3では、方位が調節可能なホーミング・ヘッド26は図示の通り可動アンテナを有するホーミング・ヘッドの形態をしている。電子的に制御される静止型アンテナを使用することは明らかに可能であり、この静止型アンテナは、横窓28の位置にて防空ミサイル2の側壁に押し付けられる。横窓28にはこれ以外の目的は無い。
【0039】
少なくとも1個のアンテナを有するホーミング・ヘッド26の実例がどうであれ、この発明の主要な特徴によれば、下記のことに注目されたい。
ホーミング・ヘッド26は、防空ミサイル2の前部には配置されず、前端30と後部の推進装置20との間の縦方向の中間位置に配置される。従って、周知の防空ミサイルの前部に通常、設けられて丸味を帯びたレードームは先細の前端即ち頭部で置き換えられることができ、こうすることにより防空ミサイル2を細長くし且つ防空ミサイル2の空気力学的性能を増大する。こうすることにより防空ミサイル2はより高速になり且つ高性能にもなり得る。
【0040】
ホーミング・ヘッド26の中心軸ADは、周知の防空ミサイルの場合と違って、防空ミサイル2の軸L−Lとは一致せず、防空ミサイル2の一側にて防空ミサイル2の軸L−Lに対して角θ1だけ横に傾いている。この角θ1は、防空ミサイル2の速度VE及び要撃されるべきミサイル3の速度VBの関数である。もっと正確に云えば、tgθ1=VB/VE(図7参照)である。もしVB=2000m/sそしてVE=1000m/sならば、θ1は63.5゜に等しい。その上、ホーミング・ヘッド26の可動アンテナの回転により或はホーミング・ヘッド26の静止型アンテナの制御により、中心軸ADは角θ1に対応する中間位置の両側に行程Δθを持ち得る。要撃されるべきミサイル3に対して広い速度範囲をカバーできるようにするため、中心軸ADは約60゜の角θ1沿いに構造上方位付けられ、行程Δθは上述した中間位置の周囲の全方向で40゜程度である。
【0041】
近接信管29は、防空ミサイル2の前部において前端30と機器ベイ22の間に配置される。近接信管29は、ホーミング・ヘッド26の中心軸ADと同じ側で防空ミサイル2の軸L−Lに対して角θ2だけ横に傾けられた探知フロントFPを生じる。角θ2は30゜程度で良く且つ積極的に変えられる。以下のことから容易に理解されるように、近接信管29の探知フロントFPは、軸L−L上に中心がある角θ2の普通の形態の円錐の代わりに、平面層の形態を呈し得る。ホーミング・ヘッド26について上述したように、近接信管29は、角θ2を変えれるために且つ傾けることにより探知フロントFPの方位を変えて飛んで来たミサイル3を探知する状態を増大するために、回転アンテナ又は電子的に制御される静止型アンテナを含み得る。
【0042】
破片弾頭21は、ホーミング・ヘッド26の中心軸ADの反対側及び近接信管29の探知フロントFPの反対側で、防空ミサイル2の軸L−Lに少なくともほゞ垂直な平均方向I沿いに破片のシャワーを放出できる。
【0043】
監視統制所1(図2)の監視探知デバイス4、弾道計算デバイス6及び発射デバイス10は、既知のデバイスと同様なデバイスで良く且つ既知のデバイスと同じ仕方で作動する。
【0044】
他方、要撃弾道計算デバイス7及び誘導デバイス8は図4及び図5に示した特色を呈する。上述したように、弾道計算デバイス6は、進入弾道T、この進入弾道T上の飛んで来たミサイル3の次々の位置及びこのミサイル3の速度VBに関する情報を要撃弾道計算デバイス7に送る。この情報から並びに防空ミサイル2の操縦性能から及び陣地Aから(そして要撃されたミサイル3から落下する破片の衝突点のような他の要因から)、要撃弾道計算デバイス7は進入弾道Tの、要撃に都合の良い点Fを決定する。
【0045】
点A及びFを通る垂直平面AHF(Hは地上Gへの要撃点Fの水平投射である)を考えると、要撃弾道tが平らであり且つこの平面に在る(図4参照)ことが好都合である。
【0046】
その上、この発明の主要な特色によれば、防空ミサイル2が飛んで来たミサイル3を真横で要撃しなければならないので、要撃点Fにて要撃弾道tに対する正接tgは進入弾道Tと直交する。従って、要撃弾道tは進入弾道Tに対し要撃点Fにて垂直な平面πに在る。正接tgは従って垂直平面AHFと平面πの交差であることが分かる。
【0047】
平面AHFにおける要撃弾道t(図5参照)を調べると、この要撃弾道tは、例えば点Aで垂直な初期正接tiにより、点AとHを分離する水平距離Xにより、点FとHを分離する垂直距離Zにより、及び要撃点Fにおいて正接tgが水平となす角度αにより、完全に定められる。防空ミサイル2の固有の特性を考慮すれば、要撃時間DI(発射射撃から要撃弾道tを追従する防空ミサイル2が要撃点Fに到達するまでの時間)は従って3つのパラメータX,Z及びαによって定められる。これらパラメータは順位をつけて表にすることができるので、射撃パラメータ(防空ミサイル2の発射瞬間及び誘導デバイス8による誘導指令)は非常に短い時間に確立される。
【0048】
従って、要撃弾道計算デバイス7のアルゴリズムは下記のように行われる。
都合の好い要撃点Fを決定し、
この都合の好い要撃点Fを通過すると共に防空ミサイル2の陣地Aを通過する垂直平面AHFを決定し、
都合の好い要撃点Fの水平投射Hを決定し、
陣地Aと点Hの水平距離Xを決定し、
都合の良い要撃点Fと点Hの垂直距離Zを決定し、
飛んで来たミサイル3の進入弾道Tに対して要撃点Fで垂直な平面πを決定し、
垂直平面AHFと平面πの交差である正接tgの水平に対する傾斜角αを決定し、
垂直平面AHFにおいてパラメータX,Z及びαから防空ミサイル2の要撃弾道tを決定し、そして
要撃弾道tを追従する防空ミサイル2の要撃時間DIを決定するのである。
【0049】
その上、このアルゴリズムは、要撃弾道上の点C(ここから防空ミサイル2のホーミング・ヘッド26は飛んで来たミサイル3をロックオンするための位置にあり、そして進入弾道T上の点Dはロックオンの瞬間に飛んで来たミサイル3が推定された位置に相当する。)(図4参照)を決定する。
【0050】
その上、弾道計算デバイス6によって供給された情報から、要撃弾道計算デバイス即ちコンピュータ7は、飛んで来たミサイル3が進入弾道Tを追従して要撃点Fに到達するのに必要な飛行時間DVをあらゆる瞬間に計算する。要撃が可能となるためには、明らかに、要撃時間DIの決定瞬間に、ミサイル3の飛行時間DVが要撃時間DIよりも長くなることが必要である。しかしながら、飛行時間DVは定期的に短くなっており、そしてその値がDIに等しくなるや否や、要撃弾道計算デバイス7によって(リンク13を介し)制御された発射デバイス10は防空ミサイル2を発射する。
【0051】
従って、要撃されるべきミサイル3が監視探知デバイス4及びアンテナ5によって探知されて識別されるや否や、監視探知デバイス4は発射デバイス10へ(リンク12を介して)且つ弾道計算デバイス6へ知らせる。その結果、防空ミサイル2は発射デバイス10により(リンク11を介して)発射の用意がされる一方、要撃弾道計算デバイス7は上述した仕方で進入弾道T、要撃点F、要撃弾道t、要撃時間DI及び飛行時間DVを決定する
【0052】
飛んで来たミサイル3が点Bに到達した瞬間に、発射デバイス10は防空ミサイル2を例えば垂直に発射する。
【0053】
誘導デバイス8及びアンテナ9と防空ミサイル2との間の無線周波リンク(矢印f)を通して防空ミサイル2は、既知の技術と同様な仕方で要撃弾道tに誘導される。誘導デバイス8及びアンテナ9は、防空ミサイル2の弾道計算を確かめ且つ飛んで来たミサイル3の弾道の計算及び防空ミサイル2の弾道の計算に関する最新のデータに依存して要撃弾道tについての防空ミサイル2の加速を積極的に変更するので、飛んで来たミサイル3は要撃弾道計算デバイス7によって再特定される要撃点Fにて要撃され得る。少なくとも防空ミサイル2が点Cに到達した瞬間からホーミング・ヘッド26の中心軸ADが要撃点F並びに防空ミサイル2及び飛んで来たミサイル3の位置を通過する平面に維持されるような仕方で、誘導デバイス8及びアンテナ9は横転飛行中の防空ミサイル2に従属する。
【0054】
飛行中、ホーミング・ヘッド26は、頂角Δθを有する円錐面中で中心軸ADを変位させることにより、飛んで来たミサイル3に向けられた空間を走査する。
【0055】
ホーミング・ヘッド26が飛んで来たミサイル3にロック・オンするや否や、防空ミサイル2の誘導はホーミング・ヘッド26及びその関連電子部品によって引き継がれ、これは防空ミサイル2を要撃弾道t上に維持する。
【0056】
要撃の最終段階では、防空ミサイル2の近接信管29の探知フロントFPは飛んで来たミサイル3の前端の点Qを探知する。この点Qを探知した時に、近接信管29は弾頭21に点火して方向I(防空ミサイル2の軸L−Lと実質的に垂直であり且つ探知フロントFPとは反対側に向けられている)沿いに破片のシャワーを放出する(図6参照)。
【0057】
もし図7に示すように、破片のシャワーの放出瞬間における速度がプロットされるならば、防空ミサイル2と飛んで来たミサイル3との相対速度VRは、一方では防空ミサイル2の速度VE及び飛んで来たミサイル3の速度VBのそれぞれの値のために且つ他方では要撃点Fの近くでのこれら速度VE及びVBのほゞ直交性のために、飛んで来たミサイル3の速度VBに対して且つ弾頭21によって放出された破片のシャワーの速度VIに対して傾けられる。その理由は、この時に速度VIが速度VBとほゞ平行であるためである。
【0058】
その結果、速度VI及びVBの組み合わせによる破片の相対速度VIRは速度VBに対して有意角θjだけ傾けられる。
【0059】
この結果、破片は方向IRをたどって有意角θj(ミサイル3を破壊するのに好都合である)を越えてミサイル3内に貫通する(図8参照)。その上、破片は有意角θj(上述した例では約60゜)の大きな値のせいでミサイル3の頭部に衝突する。明らかに、ミサイル3の点Qの探知後弾頭21の点火が少し遅れるなら、IRにほゞ平行であるがミサイル3のもっと後部に方向IR’沿いに破片はミサイル3に到達する(図8参照)。
【0060】
【発明の効果】
従って、この発明によれば、装薬を点火させる時間窓が比較的大きいので、最終段階での有効さが大きくて制御が極めて簡単であるのに、既知の正面攻撃式のものよりも速い目標を攻撃することが可能である。その上、この発明の防空ミサイル2の速度VEが増すので装薬の有効さには都合の良い(図7ではVEが増せば増す程θjは大きくなることが分かる)反面、正面攻撃は都合悪いことが注目される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る防空システムの実施を例示する一般的な概略図である。
【図2】この発明の防空システムの固定式監視統制所を示すブロック図である。
【図3】この発明に係る防空ミサイルを示す概略図である。
【図4】防空ミサイルによって追従された要撃弾道の決定を例示する斜視図である。
【図5】要撃弾道を定めるパラメータを示す図である。
【図6】防空ミサイルの近接信管による飛んで来たミサイルの探知瞬間での要撃の最終段階の開始を例示する概略図である。
【図7】図6で例示された探知瞬間での速度図である。
【図8】破片のシャワーが飛んで来たミサイルに衝突するのを例示する概略図である。
【符号の説明】
1 監視統制所
2 防空ミサイル
3 飛んで来たミサイル
4 監視探知デバイス
5,9 アンテナ
6 弾道計算デバイス
7 要撃弾道計算デバイス
8 誘導デバイス
10 発射デバイス
A 陣地
F 要撃点
G 地上
T 進入弾道
t 要撃弾道
11,12,13 リンク
20 推進装置
21 弾頭
22 慣性ユニット
23 操向翼
24 翼
25 操向指令発生器
26 ホーミング・ヘッド
27 電子部品
28 横窓
29 近接信管
30 前端
L−L 防空ミサイルの軸
AD ホーミング・ヘッドの中心軸
FP 探知フロント
H 水平投射
AHF 垂直平面
Z 垂直距離
X 水平距離
α 傾斜角
Claims (15)
- 固定式監視統制所(1)及び複数基の防空ミサイル(2)を含み、高速で飛んで来たミサイル(3)を要撃できる防空システムであって、
前記監視統制所(1)は、
前記ミサイル(3)を探知するための手段(4,5)と、
この探知手段(4,5)によって探知されたそのようなミサイル(3)の進入弾道(T)及び速度を決定するための弾道計算手段(6)と、
前記探知されたミサイル(3)を要撃するために前記複数基のうちのどれかの防空ミサイル(2)が追従しなければならない要撃弾道(t)を決定するための計算手段(7)と、
前記防空ミサイル(2)を発射するための手段(10)と、
前記防空ミサイル(2)を誘導するための手段(8)と、
前記防空ミサイル(2)と連動するための手段(9,11)と、
を備え、
前記防空ミサイル(2)の各々は、
推進装置(20)と、
少なくとも1個の弾頭(21)と、
慣性ユニット(22)と、
ホーミング・ヘッド(26)と、
操向デバイス(23)と、
前記慣性ユニット(22)を前記監視統制所(1)に連動させるための手段と、
前記監視統制所(1)中に設けられた前記誘導手段(8)によって送信された情報から及び前記ホーミング・ヘッド(26)によって供給された情報から操向指令を導出する操向指令発生器(25)と、
を備えた防空システムにおいて、
前記ミサイル(3)の進入弾道(T)と前記防空ミサイル(2)の要撃弾道(t)とに共通の点(F)にて、前記要撃弾道(t)が前記進入弾道(T)を横断し、
前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)が前記防空ミサイル(2)の軸(L-L)に対して横に傾けられ、
前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)が前記ミサイル(3)の側に配置されるように、前記防空ミサイル(2)の横転が安定化される、
ことを特徴とする防空システム。 - 前記計算手段(7)は、
まず前記要撃弾道(t)と前記進入弾道(T)とに共通の前記点(F)を決定し、
次に、前記共通の点(F)及び地上の前記防空ミサイル(2)の陣地(A)を通る垂直平面(AHF)において、下記の3つのパラメータ即ち、
前記共通の点(F)をその水平投射(H)から分離する垂直距離(Z)、
地上の前記防空ミサイル(2)の陣地(A)を前記共通の点(F)の前記水平投射(H)から分離する水平距離(X)、及び
前記垂直平面(AHF)と前記ミサイル(3)の前記進入弾道(T)に垂直な平面(π)との交差(tg)が前記共通の点(F)にて水平となす角度(α)
から前記防空ミサイル(2)の前記要撃弾道を決定する、
ことを特徴とする請求項1の防空システム。 - 前記計算手段(7)は、
前記3つのパラメータ(Z,X,α)の助けを借りて、地上の前記防空ミサイル(2)の前記陣地(A)と前記共通の点(F)の間の前記要撃弾道(t)を前記防空ミサイル(2)がカバーするのに必要な要撃時間(DI)を決定し、
前記ミサイル(3)がその現在位置から前記進入弾道(T)を追従して前記共通の点(F)に到達するのに必要な飛行時間(DV)を連続的に計算し、そして
前記飛行時間(DV)の値が前記要撃時間(DI)に等しくなる、前記進入弾道(T)上の点(B)に前記ミサイル(3)が到達する時に、前記発射手段(10)が前記防空ミサイル(2)を発射するように、前記発射手段(10)を作動させる、
ことを特徴とする請求項2の防空システム。 - 遅くとも前記防空ミサイル(2)のホーミング・ヘッド(26)によって前記ミサイル(3)へのロックオンの評価された瞬間に、前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)がこの瞬間における前記防空ミサイル(2)の位置(C)、前記共通の点(F)及びこの瞬間における前記ミサイル(3)の位置に相当する前記点(D)によって定められた平面(CFD)に在り、そして
この平面(CFD)が前記防空ミサイル(2)の横転安定化基準平面として役立つ、
ことを特徴とする請求項3の防空システム。 - 高速で飛んで来たミサイルを真横に要撃でき、推進モータ(20)、少なくとも1個の弾頭(21)、慣性ユニット(22)、ホーミング・ヘッド(26)、操向デバイス(23)及び操向指令発生器(25)を含む防空ミサイル(2)において、
前記ホーミング・ヘッド (26) は上記防空ミサイル (2) の中程にあり、防空ミサイルの側面 (28) に向くように方向付けられ、前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)が真横からの高速の前記ミサイル (3) がやってくる側面板を横目で見るように前記防空ミサイル(2)の軸(L-L)に対して横に傾けられていることを特徴とする防空ミサイル。 - 前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)の、前記防空ミサイル(2)の軸(L-L)に対する横傾斜角の値(θ1)は、その正接が要撃されるべきミサイルの速度と前記防空ミサイル(2)の速度との比に少なくともほゞ等しいような仕方で選ばれることを特徴とする請求項5の防空ミサイル。
- 前記ホーミング・ヘッドの中心軸(AD)の横傾斜角の前記値(θ1)が60°に少なくともほゞ等しいことを特徴とする請求項6の防空ミサイル。
- 前記ホーミング・ヘッドの前記中心軸(AD)が前記値(θ1)に相当する中間位置を中心にしてその方位を決定し得ることを特徴とする請求項6の防空ミサイル。
- 前記ホーミング・ヘッド(26)の前記中心軸(AD)が円錐面内にてその方位を決定でき、前記円錐面の軸が前記中間位置によって形成されることを特徴とする請求項8の防空ミサイル。
- 前記弾頭(21)は、前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)とは反対側で破片のシャワーを横に放出することを特徴とする請求項5の防空ミサイル。
- 前記破片のシャワーの中心方向(I)が前記防空ミサイルの軸に対して少なくともほゞ垂直である請求項10の防空システム。
- そのようなミサイルを探知し且つ前記弾頭を制御するための近接信管(29)を更に備えた請求項5の防空ミサイルにおいて、
前記近接信管(29)は、平面層の形態をしており、前記防空ミサイルの軸(L-L)に対して横に傾けられ、前記ホーミング・ヘッド(26)の中心軸(AD)と同一側に在る探知フロント(FP)を形成することを特徴とする防空ミサイル。 - 前記近接信管の探知フロント(FP)の、前記防空ミサイルの軸に対する前記横傾斜角(θ2)は30°に少なくともほゞ等しいことを特徴とする請求項12の防空ミサイル。
- 前記ホーミング・ヘッド(26)が前記防空ミサイル(2)の中間部に配置されることを特徴とする請求項5の防空ミサイル。
- フロント・レードームを含まず、その前端部が先細に尖っていることを特徴とする請求項14の防空ミサイル。
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