JP3629801B2 - 露光装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は露光装置に関し、特にフォトレジストが塗布された基板に対する照明光のドーズ量とフォトレジストの現像速度との関係を計測するために、当該基板上に異なる露光時間で複数の露光を行うフォトレジスト露光装置に関するものである。さらに詳しくは、フォトレジスト現像速度モニタ(Development Rate Monitor: DMR)に使用するフォトレジスト露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路の回路パターンは微細化が進でいる。集積回路の製造には、通常シリコンウェハを基板として用いる。基板上には感光剤であるフォトレジストが塗布されており、フォトレジスト上へ回路パターンを転写し、現像する工程を繰り返すことにより基板上に回路パターンを形成していく。
【0003】
回路パターンの微細化に伴い、フォトレジストの解像力の向上が望まれるとともに、露光の際にフォトレジストの性能を最大限に引き出す光量分布を求めることが要求されており、光量分布と解像度の関係を求めるシミュレーションが行われている。このシミュレーションを行うためには露光光のドーズ量とフォトレジストの現像速度との関係を求める必要がある。この関係を求める装置として、フォトレジストが塗布された基板上に異なる露光時間で複数の露光を行うレジスト露光装置、即ちフォトレジスト現像速度モニタ用露光装置(以下、DMR用露光装置と呼ぶ)が用いられている。
【0004】
従来のDMR用露光装置には、光源として水銀ランプが用いられている。水銀ランプから射出される光に含まれる輝線(g線、h線、i線等)のうち、任意の波長の光を、光源の射出側に配置された波長選択フィルターによって選択する。そして、所定形状のパターン基板上に投影し、基板をシフトしながら露光時間をかえて複数回露光し、各露光によって形成されるパターンの現像速度や、形成されるパターンの状態等の比較を行うものである。
【0005】
また、近年ではステッパー等の半導体製造装置に紫外線領域の光を発するエキシマレーザ光源が用いられるようになり、これに伴い、DMR用露光装置の光源にエキシマレーザ光源を用いたものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとき従来の技術においては、水銀ランプの輝線を用いるため、限られた波長(g線、h線、i線等)のデータしか得ることができず、波長を変更する際も波長選択フィルターを交換しなければならない。また、エキシマレーザ光源を用いたDMR用露光装置は、そのレーザ光源が発する波長の光のデータのみしか得られず、また、エキシマレーザ光源からの廃ガスの処理、フッ素ガスの供給等の付帯設備が必要であり、装置として高価なものになってしまう。また、フッ素ガスを用いるため、取扱が難しく、エキシマレーザ光源の取扱に慣れた人しか使用することが出来ないという問題もある。
【0007】
本発明は上述の如き従来の問題に鑑みてなされたもので、取扱いが比較的簡単で、かつ広範囲な波長域から任意の波長の光を選択して光量分布が均一な光を基板上に照射することができる露光装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題を解決するため、請求項1記載の本発明は、所定の波長域の光を感光基板(3)上に任意時間照射する露光装置において、連続スペクトルを発する複数の光源(11、21)と、複数の光源(11、21)からの光を分散する少なくとも1つの分散素子(15、25)と、分散素子(15、25)から射出される複数の光源の各々に対応する複数の分散光を、所定波長の光が感光基板上(3)の同一点に集光するように、かつ各分散光の波長による光量の違いを相殺するように、感光基板に合成して照射する照射光学系(6)と、所定波長の光が照射される点を中心として、分散光が感光基板上に照射される領域を制限する絞り部材(8)とを有することを特徴する。
【0009】
請求項2記載の本発明は、分散素子(15、25)は、複数の光源(11、21)の各々に対応して複数個設けられ、感光基板上で合成される複数の分散素子からの分散光の各々を、感光基板上で相対的に移動させるように、複数の分散素子のうちの少なくとも1つを駆動する駆動部材(16、26)を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の本発明は、光源(11、21)は重水素ランプであることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、複数の光源(11、21)からの光を各光源に対応する分散素子に導くための複数のリレー光学系(12、14、22、24)を有し、照射光学系は集光レンズ(6)を有し、複数のリレー光学系(12、14、22、24)及び複数の分散素子(15、25)からなる複数の光軸が、集光レンズ(6)の光軸に線対称となるように、リレー光学系(12、14、22、24)及び分散素子(15、25)が夫々配置されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の露光装置における第1の実施形態の概略構成図を示す。
本実施形態の露光装置は2つの光源11、21を有する。この光源11、21は連続スペクトルを発する光源である。ステッパー等の半導体製造装置に用いられる波長の光(例えばg線、h線、i線、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等)を射出することが必要であるため、可視領域から紫外領域に至る連続スペクトルを発する光源であることが望ましい。具体的には、本実施形態の光源は重水素ランプを用いる。この重水素ランプは約160nm〜400nmの波長域の光を発する。
【0012】
重水素ランプの波長と強度との関係を図2に示す。横軸は重水素ランプが発する光の波長、縦軸は強度である。図2に示すように、重水素ランプから発せられるスペクトル光は約160nm(紫外領域)から約400nm(可視領域)までの波長の光を発し、波長が長くなるに従って強度が緩やかに減少している。
図1に示すように、光源11からの光はレンズ12、開口絞り13を介してレンズ14によって平行光束となってプリズム15に入射する。光源21からの光も同様にレンズ22、開口絞り23を介してレンズ24によって平行光束となってプリズム25に入射する。
【0013】
プリズム15、及び25は入射光を分散して集光レンズ6に向けて射出する。プリズム15、及び25は、波長の長い光を集光レンズ6の光軸AXに近い側に、波長の短い光を光軸AXから離れた側に分散するように、かつ分散した光が集光レンズ6の光軸に対して点対称の関係で集光レンズ6に入射するように夫々配置されている。即ち、レンズ12、14を有するリレー光学系の光軸と、レンズ22、24を有するリレー光学系の光軸とが、対物レンズの光軸AXに対して線対称に配置されている。集光レンズに入射する光の配置を図3に示す。図3は便宜上、各プリズムから集光レンズに入射する連続スペクトル光のうちの任意の4個の波長の光について夫々図示する。31〜34はプリズム15からの光、35〜38はプリズム25からの光を示す。また、31と35、32と36、33と37、34と38は夫々同一波長の光を示す。
【0014】
図1に戻り、プリズム15、及び25は、駆動装置16、及び26によって回転可能となっている。駆動装置16、26は夫々主制御系MCSからの指令信号に基づいてプリズムを回転させる。プリズム15、25が回転することにより、光31〜34及び35〜38は集光レンズの光軸AXに近づく方向及び遠ざかる方向、即ち光の分散方向に移動する。
【0015】
集光レンズ6から射出した光は絞り8を介して基板3上に照射される。ここで、図3にしめしたプリズム15からの光31、34、及びプリズム25からの光35、38は、夫々絞り8によって遮光される。従って、基板3条に照射される光32(36)の波長と光33(37)の波長との間にある波長域の光である。絞り8は例えば2枚のL字状の板を対向して配置し正方形の開口部を形成した絞りであり、駆動装置4は2枚のうちの一方を正方形開口の対角線の方向に移動させることより、正方形の一辺の長さを変更させ、絞り8の開口部の大きさ(面積)を変更する。駆動装置4は主制御系MCSの指令により絞り8の開口部の大きさを変更する。絞り8はターレット板に設けられた複数の異なる大きさ(面積)の開口のうちの1つで、ターレット板を回転させることにより、異なる大きさの開口を光路中に配置するような構成であっても良い。また、開口部は正方形だけでなく、任意の形状で良い。
【0016】
絞り8の手前側(集光レンズ6側)には、シャッタ7が設けられており、このシャッタは制御装置5によって開閉される。また、基板3は表面にフォトレジストFRが塗布されており、集光レンズ6からの光によって感光する。基板3はステージ1上に配置されており、ステージ1は集光レンズ6の光軸AXに垂直な方向に2次元的(XY方向)に移動可能である。図1にはX方向のみ図示する。ステージ1は駆動装置2によって駆動される。主制御系MCSはプリズム15、25及び絞り8の駆動を制御する他、露光装置全体を統括制御する。
【0017】
次に、基板3上に照射される光について説明する。図4に示すように、基板3上には光源11からの光aと光源21からの光bとが重なって照射される。光源11及び21からの光は波長λ〜λの波長域の光(図3に示す光33、36の波長と光34、37の波長との間の波長域の光)が照射される。しかしながら、光源11からの波長λの光と光源21からの波長λの光、及び光源11からの波長λの光と光源21からの波長λの光とが基板3上で一致するように照射される。従って、図5に示すように、光源11からの光aと光源21からの光bとの夫々が有する分光強度特性が相殺されるように基板3上に照射されるため、基板3上に照射される光(a+b)の強度は照射領域内でほぼ均一となる。図5に示す表において、横軸はX方向の位置、縦軸は光の強度を表す。本実施形態においては、λとλとの波長域を4nmとする。すわなち、中心となる波長を193nmとし(図5におけるaとbとの交点の波長)、±2nmの範囲で基板3上に露光光を照射する。このとき、基板上のX、Xの位置には193nmの波長の光は照射されないが、露光光のドーズ量とフォトレジストの現像速度との関係を求める際、±2nmの範囲での波長誤差は測定精度に殆ど影響を及ぼさない。したがって、本実施形態の露光装置により、フォトレジストが塗布された基板上に、露光時間をかえて複数回露光を行い、露光光のドーズ量とフォトレジストの現像速度との関係を求めることにより、波長193nmの露光光によるフォトレジストの現像速度を求めることができる。
【0018】
また、測定対象の露光光の波長を変更したい場合は、例えばプリズム16と26とを同じ量だけ回転し、露光光を基板3で相対的に移動させる。このことにより、図5に示す光aと光bとのクロスする点が異なる波長にシフトすることになる。また、一方のプリズムを移動させることによっても露光光を基板3で相対的に移動させることができる。このとき、測定対象となる波長の光が絞り8に対してずれてしまうため、このずれ量に応じて絞り8の位置をずらし、絞りの中心に測定対象の波長の光を配置すればよい。
【0019】
また、基板上に照射する露光光の波長域を測定波長±2nmとしたが、特にこれに限らず、例えば±4nm程度であっても良い。この波長域を変えるときは、絞り8の開口の大きさ、あるいはスリット13、23の幅を変更すれば良い。
また、上述の実施形態においては、光源とプリズムを2つ配置したが、4つにしても構わない。このとき、4つの光源、プリズムからの露光光が集光レンズ6の光軸を中心として対称に集光レンズ6に照射されるように、各光源、プリズムを配置することが必要である。また、分散素子はプリズム以外に回折格子であっても良い。また複数の光源に対応して複数の分散素子を設ける必要はなく、例えば図6に示すように、1つの分散素子(回折格子)60によって光源11及び光源21からの光を分散させて集光レンズ6に照射させてもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のような本発明によれば、取扱いが比較的簡単で、かつ広範囲な波長域から任意の波長の光を選択して光量分布が均一な光を基板上に照射することができる。
また、請求項2記載の発明においては、分散素子を駆動することにより分散素子からの分散光の各々を、感光基板上で相対的に移動させることができるため、簡単な構成で任意の波長の光を基板上に照射することができる。
【0021】
また、請求項3記載の発明においては、光源は重水素ランプであるため、ステッパー等の半導体製造装置に用いられる光源の波長域、特に可視領域から紫外領域までを射出するため、半導体製造装置に用いる光源の波長に合わせて光源を変更する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置における実施形態の概略構成図を示す。
【図2】重水素ランプが射出する光の波長と強度の関係を示す表である。
【図3】集光レンズ6上に照射される分散光を示す。
【図4】基板上に照射される光を説明する図である。
【図5】基板上に照射される光の強度を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ステージ
2、4、16、26・・・駆動装置
3・・・基板
5・・・シャッタ制御装置
6・・・集光レンズ
11、21・・・光源
15、25・・・プリズム
MCS・・・主制御系

Claims (4)

  1. 所定の波長域の光を感光基板上に任意時間照射する露光装置において、
    連続スペクトルを発する複数の光源と、
    前記複数の光源からの光を分散する少なくとも1つの分散素子と、
    前記分散素子から射出される前記複数の光源の各々に対応する複数の分散光を、所定波長の光が前記感光基板上の同一点に集光するように、かつ各分散光の波長による光量の違いを相殺するように、前記感光基板に合成して照射する照射光学系と、
    前記所定波長の光が照射される点を中心として、前記分散光が前記感光基板上に照射される領域を制限する絞り部材と、
    を有することを特徴する露光装置。
  2. 前記分散素子は、前記複数の光源の各々に対応して複数個設けられ、
    前記感光基板上で合成される前記複数の分散素子からの分散光の各々を、前記感光基板上で相対的に移動させるように、前記複数の分散素子のうちの少なくとも1つを駆動する駆動部材を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記光源は重水素ランプであることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
  4. 前記複数の光源からの光を前記各光源に対応する分散素子に導くための複数のリレー光学系を有し、
    前記照射光学系は集光レンズを有し、
    前記複数のリレー光学系及び前記複数の分散素子からなる複数の光軸が、前記集光レンズの光軸に線対称となるように、前記リレー光学系及び分散素子が夫々配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
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