JP3629633B2 - 消火システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消火薬剤ユニットと消火ノズルとを備えた消火システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば給油所では専門の作業員が自動車を誘導して給油装置近傍の給油停車エリアに停車させ給油を行っている。そして、安全上、給油中のエンジン停止や禁煙などの措置により火災の発生を防止している。従来は、前述のように専門の作業員が給油作業を行っているので、作業ミスが少なく、また、万一給油中に火災が発生しても、作業員が即座に走り消火活動を開始するので、消火設備としては移動式のような大型の消火器を配備するだけで十分であった。
【0003】
ところが、近年セルフスタンド、すなわち給油作業を行う専門の作業員を置かず、ドライバ自身が給油作業を行う給油所が出現し、その給油システムが法律上認められるようになった。このセルフスタンドでは、エンジン停止や禁煙などの措置のみでは不十分であり、さらに、給油作業に不慣れなドライバの不注意による火災の発生、とくに、給油ノズルから漏れたガソリンが床面に落下してそのガソリンに引火するような事故が増加することが予想される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者はこの問題を解決するために次の発明をした。
【0005】
消火薬剤を供給するための消火薬剤ユニットと、該消火薬剤を放出する消火ノズルと、前記消火薬剤ユニットからの配管を分岐した分岐管によって消火ノズルへ選択的に供給できるバルブユニットと、これらを制御する操作盤と、を備えた給油所の消火システムであって、消火ノズルの消火区画は、給油装置が設置されるアイランドの側方に設定されるものである。
【0006】
ところが、ガソリンスタンドに設けるような消火システムでは、消火ノズルが野外に設けられることになり、消火ノズルの消火薬剤の放出口が開放していると、内部に水やごみが進入する可能性がある。そこで、消火ノズルの放出口に対して蓋を設けることとなるが、そのときには、消火活動を行うにあたり、蓋を取り除く必要がある。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみ、消火システムの設備状態を簡便に維持することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑み、この発明は、消火薬剤ユニットと、該消火薬剤ユニットにバルブユニットを介して接続される消火ノズルとを備えた消火システムにおいて、
前記消火薬剤ユニットから前記消火ノズルへの配管は常時空配管であり、前記消火薬剤ユニットおよび前記バルブユニットの間を加圧した後前記消火ノズルに気流を発生させるためのコンプレッサを設け、
さらに、前記バルブユニットを開放させるために前記コンプレッサによる配管内の加圧を圧力スイッチより検出することを特徴とし、消火ノズルには蓋が設けられ、コンプレッサによる配管内の加圧によって該蓋が開放されるものである。
【0009】
したがって、空配管内を加圧できることで不意のごみや水分を吐き出すことができ、蓋を有する場合には、蓋を外すことができ、消火薬剤の流入を検出する検出手段を有する場合には、検出手段を試験的に作動させることができ、これらのようなことはそれぞれ消火システムが火災時に正常に作動することを維持させることになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1により説明する。いわゆるセルフ式のガソリンスタンドにおいて、給油装置1、2を設置した複数のアイランド4、5が配設されている。このアイランド4、5の給油装置1、2のその周辺はいわゆる防爆エリアとなっている。アイランド4、5は、床面から突出した高台となっているが、この突出高さは例えば10〜20cmである。このアイランド4、5の両側部には消火ノズルとして複数の泡ヘッドSHが設けられている。この実施形態では、消火薬剤に適合する泡ヘッドSHが用いられるが、必ずしもこれに限定されず、使用する消火薬剤に適切なものであればよい。
【0011】
この泡ヘッドSHは、給油停車エリアSA向きに、水平状に配設されているが、この泡ヘッドSHの配設数、配設位置、配設方向等は必要に応じて適宜選択される。図2および図3に示されるように、この泡ヘッドSHが設けられる配管用凹部CPには、カバー板35が設けられている。このカバー板35は水平上面部35aと垂直側面部35bとからなり、配管用凹部CPの側面および上面に係止してアイランド4の側面および上面と一面に連続している。このカバー板35には泡ヘッドSHに対抗する位置に開口部WDが設けられているが、このカバー板35の材質や形状および開口部WDの大きさや形状等は消火ノズルからの薬剤放出の関係によって必要に応じて選択されればよく、ここでは、カバー板の開口部WDに泡ヘッドSHの先端部分がはめ込まれる形式となっている。
【0012】
各アイランド4の両側には、給油停車エリアSAが形成されているが、各給油停車エリアSAを各々消火区画としている。この消火区画は、給油時においてガソリンの漏れる可能性のある場所であるが、必要に応じてその範囲を拡大または縮小されるものである。
【0013】
各泡ヘッドSHは、バルブユニット10を介して消火薬剤ユニット20に接続されている。バルブユニット10は、その一次側に消火薬剤ユニット20が接続され、その一次側の配管15を各消火区画に対する必要数分岐するようそれぞれ電動ボール弁10a〜10dを設け、各電動ボール弁10a〜10dの二次側が各泡ヘッドSHに接続される。
【0014】
消火薬剤ユニット20は、消火薬剤としての泡水溶液を蓄える泡水溶液タンク25と、圧力調整器26を介して泡水溶液タンク25に連通する窒素加圧容器27と、タンク25とバルブユニット10の一次側の配管15との間に設けられた圧力スイッチ28と、を備えている。
【0015】
両ユニット10、20の間の配管には、加圧手段としてのコンプレッサ70が配管71により接続されて、コンプレッサ70により各泡ヘッドSHまでの配管をバルブユニット10により選択的に加圧することができる。これらの各ユニット10、20、70は、操作盤31により制御されるが、この操作盤31は監視員のいる建屋のオペレータ室30に設けられている。
【0016】
次に、本実施形態の作動につき説明する。ドライバが自動車3を運転してアイランド4の給油停車エリアSA1に入り、自動車3を止めてエンジンを切る。その後、ドライバは自動車3から降り、給油装置1の側面に係止されている図示しない給油ノズルを外し、自動車3のガソリンタンクに給油を行う。このとき、給油ノズルから漏れたガソリンが給油停車エリアSA1に落下し発火するときは、オペレータ室30内にいる監視員に気付いたドライバが連絡する、あるいは、直接監視員が気付くことになる。
【0017】
監視員は、操作盤31を操作、例えば詳細に示さないディスプレイに表示される消火区画のうちの火災の発生した区画を選択すると、操作盤31は消火薬剤放出のための信号を出力することになる。
【0018】
まず、操作盤31からコンプレッサ70に起動信号を入力させ、配管71を介して消火薬剤ユニット10およびバルブユニット20の間を加圧する。そして、ある程度内圧が高まってくると、消火薬剤ユニット10の配管に接続されている圧力スイッチ28が作動して、操作盤31に検出信号が入力される。
【0019】
この検出信号を受けて、操作盤31は、バルブユニット20の上記の火災の区画に該当する電動ボール弁10dの開放信号を出力する。そうすると、泡ヘッドSH1、SH2までの配管に蓄えられた空気圧が流れ、泡ヘッドSH1、SH2に気流が発生する。この気流は、各泡ヘッドSH1、SH2の詳細に示さない放出口から配管内に入り込んだごみや水分があるときにそれらを吹き飛ばすことができる。
【0020】
そして、空気圧の放出により配管内の圧力は大気圧になるので、圧力スイッチ28が作動を停止して、操作盤31への検出信号が停止される。これにより、操作盤31は、配管内の経路が通じていると判断して消火薬剤ユニット10へ信号を出力し、窒素加圧容器27のソレノイドSを開放する。そうすると、窒素加圧容器27内の加圧窒素が圧力調整器26によって調圧されて泡水溶液タンク25内の泡水溶液を押し出し、その押し出された泡水溶液は圧力スイッチ28を作動させて操作盤31へ起動信号を出力する。
【0021】
そうすると、泡ヘッドSH1、SH2に泡消火液が供給され、消火泡が開口部WDを通って給油停車エリアSA1に噴出される。そのため、そのエリアSA1は消火泡により覆われて火源は消滅する。
【0022】
このとき、泡ヘッドSHからの泡は、自動車3の下部3に向け放出され、車輪の位置に関係なく給油停車エリアSA1全体に広がることになる。このとき、泡の性質として、液容量に対して泡体積の多い高発泡のものを用いてもよいが、発泡倍率よりも表面に幕を形成する性質の強いものを用いることが好ましく、泡の幕の広がりが素早いことが好ましい。そのため、極めて消火効率が良いので初期消火が容易となる。
【0023】
この実施形態では、泡ヘッドSH1、SH2までの配管の加圧を消火薬剤の放出時に行う動作について示したが、定期的に点検を兼ねて配管の加圧を行っておけば、緊急時である消火薬剤放出時には、即座に消火薬剤ユニット10に起動信号を出力してもよい。
【0024】
また、上記実施形態において、各泡ヘッドSH1、SH2の詳細に示さない放出口にごみの付着等を防止のための蓋を設けてある場合についても、同様の動作とすることができる。すなわち、まず、操作盤31からコンプレッサ70を起動してある程度内圧が高まってくると、消火薬剤ユニット10の圧力スイッチ28が作動して、操作盤31に検出信号が入力される。そして、バルブユニット20に開放信号を出力する。そうすると、泡ヘッドSH1、SH2までの配管に蓄えられた空気圧が流れて加圧され、泡ヘッドSH1、SH2の蓋の開放により内圧が低下する。そして、圧力スイッチ28が作動を停止して、消火薬剤ユニット10へ信号を出力し、泡ヘッドSH1、SH2に泡消火液が供給され、消火泡が噴出されて火源は消滅する。
【0025】
次に、本発明の別の実施形態について図3により説明する。上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付記する。上記実施形態と同様に、給油装置1、2を設置した複数のアイランド4、5が配設され、このアイランド4、5の両側部には消火ノズルとして複数の泡ヘッドSHが設けられている。この泡ヘッドSHは、給油停車エリアSA向きに水平状に配設され、各アイランド4の両側には、給油停車エリアSAが形成されている。 各泡ヘッドSHは、上記実施形態同様、バルブユニット10を介して消火薬剤ユニット20に接続されている。バルブユニット10は、その一次側に消火薬剤ユニット20が接続され、その一次側の配管15を各消火区画に対する必要数分岐するようそれぞれ電動ボール弁10a〜10dを設け、各電動ボール弁10a〜10dの二次側が各泡ヘッドSHに接続される。
【0026】
消火薬剤ユニット20は、上記実施形態と同様に、泡水溶液タンク25と、圧力調整器26と、窒素加圧容器27と、圧力スイッチ28とを備えているが、さらに、窒素加圧容器27のソレノイドSと圧力スイッチ28が接続されている配管との間をつなぐバイパス管21に、常時開放状態で一次側が加圧されるときに閉止する自動遮断弁29が設けられている。そして、両ユニット10、20は、操作盤31により制御されるが、この操作盤31は監視員のいる建屋のオペレータ室30に設けられている。
【0027】
次に、この実施形態の作動につき説明する。ドライバが自動車3を運転してアイランド4の給油停車エリアSA1に入り、自動車3を止めてエンジンを切る。その後、ドライバは自動車3から降り、給油装置1の側面に係止されている図示しない給油ノズルを外し、自動車3のガソリンタンクに給油を行う。このとき、給油ノズルから漏れたガソリンが給油停車エリアSA1に落下し発火するときは、オペレータ室30内にいる監視員に気付いたドライバが連絡する、あるいは、直接監視員が気付くことになる。
【0028】
監視員は、操作盤31を操作、例えば詳細に示さないディスプレイに表示される消火区画のうちの火災の発生した区画を選択すると、操作盤31は消火薬剤放出のための信号を出力することになる。
【0029】
まず、操作盤31から消火薬剤ユニット10に信号を入力させ、窒素加圧容器27のソレノイドSを開放させる。すると、自動遮断弁29を介してバイパス管21を通り、配管71を介して消火薬剤ユニット10およびバルブユニット20の間が加圧される。そして、操作盤31は、同時にバルブユニット20の上記の火災の区画に該当する電動ボール弁10dの開放信号を出力して、泡ヘッドSH1、SH2までの配管に蓄えられた空気圧が流れ、泡ヘッドSH1、SH2に気流が発生する。この窒素加圧容器27の初期の高圧による気流は、各泡ヘッドSH1、SH2の詳細に示さない放出口から配管内に入り込んだごみや水分があるときにそれらを吹き飛ばすことができる。
【0030】
そして、自動遮断弁29は、窒素加圧容器27からの気流によって詳細に示さない弁体を遮断して、圧力調整器26を介して泡水溶液タンク25を適正に加圧する。ここで、泡水溶液タンク25の加圧は、窒素加圧容器27の開放当初に圧力調整器26によって調整されてから加圧されるので、その間にバルブユニット10までの配管にはバイパス管21を介した加圧が行われ、その後、自動遮断弁29が閉止するので、バイパス管21が遮断されて、圧力調整器26を介してタンク25内が加圧されて泡水溶液が流出する。
【0031】
そうすると、泡ヘッドSH1、SH2に泡消火液が供給され、消火泡が開口部WDを通って給油停車エリアSA1に噴出される。そのため、そのエリアSA1は消火泡により覆われて火源は消滅する。このとき、上記実施形態と同様、泡ヘッドSHからの泡は、自動車3の下部3に向け放出され、車輪の位置に関係なく給油停車エリアSA1全体に広がることになる。このとき、泡の性質として、液容量に対して泡体積の多い高発泡のものを用いてもよいが、発泡倍率よりも表面に幕を形成する性質の強いものを用いることが好ましく、泡の幕の広がりが素早いことが好ましい。そのため、極めて消火効率が良いので初期消火が容易となる。
【0032】
また、泡水溶液の放出は、消火薬剤ユニット10の配管に接続されている圧力スイッチ28が作動して、操作盤31に検出信号が入力され、操作盤31において確認することができる。
【0033】
さらに、自動遮断弁29は、二次側の加圧により閉止する弁でもよく、バルブユニット10までを一旦加圧して電動ボール弁10a〜dを開放してもよく、また、ソレノイドSの開放後所定時間で閉鎖するように、タイミングをとった電気的な電動弁や電磁弁であってもよい。
【0034】
この実施形態では、泡ヘッドSH1、SH2までの配管の加圧を消火薬剤の放出時に行う動作について示したが、定期的に点検を兼ねて加圧してもよく、例えば、自動遮断弁29を常時閉鎖する開閉弁とするとともに、圧力調整器26の部分に常時開放の開放弁を追加しておき、その常時閉鎖の開放弁を開放して常時開放の開放弁を閉鎖することによって、窒素加圧容器27の圧力はバイパス管21を介してすべて泡ヘッド側へ流れ、泡水溶液タンク25を加圧しない。したがって、配管の加圧の後、各開閉弁を元の状態に戻すとともに、窒素加圧容器27を取り換えることで、簡便に監視状態とすることができる。
【0035】
なお、上記システムでは、各アイランドの周辺に対してのみ示したが、ガソリンスタンド全体をエリア分けしてバルブユニットをさらに分岐して消火区画を構成することができ、車両自体に対してのノズルや従来のシステムを組みあわせて全体的な消火システムを構成してもよい。
【0036】
また、上記システムでは、オペレータ室30の監視員が発火の確認とともに手動で操作するマニュアル方式であるが、各エリアごとの熱や炎等を検出するセンサまたは全体的に監視可能なカメラ装置などによって監視して、発火時には自動的に起動されて必要なエリアに放出する自動方式であってもよい。さらに、手動と自動を切り替え可能として、監視員の有無によって切り替えてもよい。
【0037】
以上のように、消火薬剤ユニット20と消火ノズルとしての泡ヘッドSHとを備えた消火システムにおいて、消火薬剤ユニット20から泡ヘッドSHへの配管は常時空配管であり、その配管内を加圧するためのコンプレッサ70を設け、さらに、コンプレッサ70による配管内の加圧を圧力スイッチ28により検出することができ、空配管内を加圧できることで不意のごみや水分を吐き出すことができ、圧力スイッチ28によって配管の内圧の高まりを検出して試験的作動とすることができる。また、空気圧の放出によって配管内の圧力が大気圧となり、圧力スイッチ28が作動を停止するので、配管内の経路が通じていると判断することができる。
また、泡ヘッドSHに蓋が設けられる場合には、コンプレッサ70による配管内の加圧によって蓋を開放することができ、さらに、圧力スイッチ28が作動を停止することで、配管内の経路が通じていると判断することができる。
また、消火薬剤ユニット20の起動に基づく消火薬剤の流入を検出する圧力スイッチ28がコンプレッサ70による配管内の加圧を検出することで、試験的に作動させることとなり、火災時に正常に動作することを維持させることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示すシステム構成図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の正面図。
【図4】この発明の他の実施形態を示すシステム構成図。
【符号の説明】
1 給油装置
20 消火薬剤ユニット
70 コンプレッサ
SH 泡ヘッド
Claims (2)
- 消火薬剤ユニットと、該消火薬剤ユニットにバルブユニットを介して接続される消火ノズルとを備えた消火システムにおいて、
前記消火薬剤ユニットから前記消火ノズルへの配管は常時空配管であり、前記消火薬剤ユニットおよび前記バルブユニットの間を加圧した後前記消火ノズルに気流を発生させるためのコンプレッサを設け、
さらに、前記バルブユニットを開放させるために前記コンプレッサによる配管内の加圧を圧力スイッチより検出することを特徴とする消火システム。 - 消火ノズルには蓋が設けられ、コンプレッサによる配管内の加圧によって該蓋が開放される請求項1の消火システム。
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