JP3629105B2 - 動圧流体軸受装置およびこれを備えたモータ - Google Patents

動圧流体軸受装置およびこれを備えたモータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸と、その軸に対して相対的に回転するようスリーブ嵌合するスリーブ部材との間の間隙に潤滑オイルのような流体(以下「潤滑流体」と言う)を充填し、軸とスリーブ部材とが相対的に回転するとき潤滑流体に圧力を生ぜしめ、その動圧により軸受けを行う動圧流体軸受装置を用いたモータに関し、特に、そのような動圧流体軸受装置において、温度変化に対して安定した動作が補償されるような温度補償に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、動圧流体軸受に使用される潤滑流体は、温度が上昇するとその粘度が低下し、温度が低下すると粘度が上昇するので、発生する動圧は、高温時に小さく、低温時に大きくなる。それゆえ、モータの使用温度範囲の上限付近で充分な剛性を確保しようとすれば、使用温度範囲の下限付近での剛性が過大となって負荷が大きくなる。また、常温時の軸受剛性が適正になるように動圧等を設定すれば、上記使用温度範囲の上限付近では剛性が小さくなり、充分な軸受けができなくなる。
【0003】
このような動圧流体軸受装置の温度依存性に対する対策として、軸部材の熱膨張係数がスリーブ部材の熱膨張係数よりも高くなるようにそれぞれの部材の材料を選び、高温時には、軸部材がより膨張して軸部材とスリーブ部材との間の間隙を狭くし、温度が低くなるに従って軸部材が相対的により収縮して間隙を広くし、潤滑流体の温度による粘度変化を補償する装置が提案されている。しかしながら、このような従来の装置では、高温時でも所望の間隙が確保され、しかも低温時も動圧流体軸受として必要な間隙の狭さを確保するため、軸部材とスリーブ部材とを高精度で加工しなければならず、製造の困難さとともに、コストが高くなる。さらに、予定以上の高温時には、軸部材の膨張によってスリーブ部材との間隙が非常に小さくなってスリーブ部材に圧接し、ロック状態になって相対的な回転ができなくなってしまい、軸部材の外周面およびスリーブ部材の内周面を損傷するおそれもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のような従来の装置の欠点を生ずることなく、所望使用温度範囲において潤滑流体の粘度を実質上均一に保持し、安定した所望の剛性が得られる動圧流体軸受を備えたモータを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の一局面によれば、軸部材と、該軸部材との間に所定間隔をもって配設され、軸部材に対して相対的に回転自在であるスリーブ部材と、該スリーブ部材と軸部材との間の間隙に充填された潤滑流体とを具備する動圧流体軸受装置を備えたモータにおいて、前記潤滑流体は、磁性を有する磁性微粒子を含み、前記磁性微粒子の移動を磁気的に拘束して保持するための磁気保持手段が設けられ、該磁気保持手段は、温度が上昇すると磁性が弱くなる磁性部材と、該磁性部材を磁化させるための界磁手段を有し、温度が上昇すると、界磁手段による磁性部材の磁化が弱くなり、これによって磁性部材による磁性微粒子の磁気的拘束が弱められ、動圧流体軸受装置における潤滑流体に含まれる磁性微粒子の濃度が高められる、ことを特徴とするモータが提供される。
【0006】
本発明の他の局面によれば、軸部材と、該軸部材との間に所定間隔をもって配設され、軸部材に対して相対的に回転自在であるスリーブ部材と、該スリーブ部材と軸部材との間の間隙に充填された潤滑流体を具備する動圧流体軸受装置において、前記潤滑流体は、磁性を有する磁性微粒子を含み、前記磁性微粒子の移動を磁気的に拘束して保持するための磁気保持手段が設けられ、磁気保持手段は、温度が上昇すると磁性が弱くなる磁性部材と、この磁性部材を磁化させるための界磁手段を有し、温度が上昇すると、界磁手段による磁性部材の磁化が弱くなり、これによって磁性部材による磁性微粒子の磁気的拘束が弱められ、潤滑流体に含まれる磁性微粒子の濃度が高められる、ことを特徴とする動圧流体軸受装置が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従うモータの一実施形態であるスピンドルモータの一例を示す断面図である。図2は、図1におけるII−II線による断面図である。
【0008】
図1および図2において、モータの一例としてのスピンドルモータは、ベースプレート2と、回転部材としてのロータ4から構成されている。ベースプレート2は、アルミニウムまたはアルミ合金から形成されるプレート本体6を有し、このプレート本体6の中央部に、ステンレス鋼から形成された軸部材8の一端部が圧入によって固定されている。プレート本体6は、円形状の底壁部10と、底壁部10の外周部から上方に延びる側壁部12と、側壁部12の上端部から半径方向外方に延びるフランジ部14を有し、ベースプレート2のフランジ部14が、磁気ディスクの如き記録ディスクを回転駆動する駆動装置のベースプレート(図示せず)に固定される。軸部材8は、プレート本体6から実質上垂直上方に延びる軸部16と、軸部16の他端部、すなわち先端部に設けられたスラストプレート部18を有し、軸部16およびスラストプレート部18が一体に形成されている。
【0009】
ロータ4は、記録ディスク(図示せず)が間隔を置いて装着されるハブ本体20と、ハブ本体20の下端部に装着されたロータヨーク22を備えている。ハブ本体20は、アルミニウムまたはアルミ合金から形成され、またロータヨーク22は、鉄の如き磁性材料から形成されている。ロータヨーク22は、ハブ本体20の外周部から下方にハウジング本体10に向けて延びており、その内周面には環状のマグネット24が装着されている。ハブ本体20の内周面には、銅合金から形成されたスリーブ部材本体26が圧入によって固定されている。スリーブ部材本体26の上端部を除く大部分は、その内径が小さく、この小内径部28に軸部材8の軸部16がスリーブ嵌合(軸方向の比較的長い領域において嵌合されている)されている。また、スリーブ部材本体26の上端開口部には、その内径が大きい大内径部30が設けられており、この大内径部30には、軸部材8のスラストプレート部18を覆うカバー部材34がカシメによって固定される。スリーブ部材本体26の小内径部28と大内径部30との間には、その内径が中程度である中内径部32が設けれており、この中内径部32に軸部材8のスラストプレート部18が収容されている。カバー部材34およびスリーブ部材本体26はスリーブ部材35を構成し、スリーブ部材本体26の肩部52(後述する)、中内径部32およびカバー部材34は軸部材8のスラストプレート部18を囲繞する。
【0010】
軸部材8とスリーブ部材35は動圧流体軸受装置を構成し、この動圧流体軸受装置については後述する。
【0011】
ロータヨーク22に装着されたマグネット24に対向してアマチュアコイル手段44が配設されており、アマチュアコイル手段44はハウジング本体10に取付けられたステータコア46に所要のとおりに巻かれている。
【0012】
上述した構成のスピンドルモータにおいては、アマチュアコイル手段44に電流が供給されると、ステータコア46に生じる磁極とロータヨーク22に装着されたマグネット24の相互磁気作用によって、ハブ本体20、すなわちロータ4が所定方向に回転駆動される。
【0013】
主として図3を参照して動圧流体軸受装置について説明すると、図示の動圧流体軸受装置は、スラストプレート部18の外側面に設けられたへリングボーン状のスラスト動圧溝50と、スラストプレート部18の内側面に設けられたへリングボーン状のスラスト動圧溝54を含んでいる。これらスラスト動圧溝50,54は、スラスト動圧軸受手段を構成し、スラスト荷重、すなわち軸部材8の軸線方向の荷重を支持する。なお、本実施の形態では、スラスト動圧溝50,54をスラストプレート部18に設けているが、これに代えて、スリーブ部材35のスラストプレート部18と対向する対向面(第2の対向面を構成する)に、すなわちカバー部材34およびスリーブ部材本体26の肩部52(小内径部28と中内径部32との間に介在する肩部)に、あるいはカバー部材34およびスリーブ部材本体26の肩部53とスラストプレート部18の双方に設けてもよい。
【0014】
動圧流体軸受装置は、スリーブ部材本体26の小内径部28、すなわち軸部16とスリーブ嵌合する部分に軸線方向に間隙をおいて配設された一対のへリングボーン状の動圧溝56,58を含んでいる。ラジアル動圧溝56,58は、ラジアル動圧軸受手段を構成し、ラジアル荷重、すなわち軸部材8の軸線方向に実質上垂直な半径方向の荷重を支持する。なお、本実施の形態では、ラジアル動圧溝56,58をスリーブ部材本体26のスリーブ嵌合部、すなわち軸部16と対向する対向面(第1の対向面を構成する)に設けているが、これに代えて、軸部材8の軸部28のスリーブ嵌合部に、あるいは軸部材8の軸部16とスリーブ部材本体26の双方に設けてもよい。
【0015】
図示の実施形態では、動圧流体軸受装置の潤滑流体60は、図3に示すとおりに充填されている。すなわち、潤滑流体60は、スリーブ部材35と軸部材8の軸部16とのスリーブ嵌合部およびスリーブ部材35と軸部材8のスラストプレート部18の囲繞部にわたって実質上全域に連続して充填されている。
【0016】
本実施の形態では、軸部材8には、潤滑流体60を循環させるための連通孔62が形成されている。連通孔62は、軸部材8の軸部16を径方向に貫通する第1の部分64と第1の部分64から軸線方向に延びる第2の部分66を有し、第1の部分64の両端が一対のラジアル動圧溝56,58間の領域に開口し、第2の部分66の一端が軸部材8の先端面の中央部に開口している。そして、この連通孔62が設けられていることに関連して、スラスト動圧溝50,52およびラジアル動圧溝56がアンバランスに形成され、ロータ4が所定方向に回転駆動されたとき、スラスト動圧溝50においては、潤滑流体60が半径方向外方に、スラスト動圧溝54においては、潤滑流体60が半径方向内方に、またラジアル動圧溝56においては、潤滑流体60が軸線方向下方に向けて流動するように構成されている。したがって、ロータ4が所定方向に回転されると、潤滑流体60は、スラスト動圧溝50から他方のスラスト動圧溝54およびラジアル動圧溝56を通って一対のラジアル動圧溝56,58間の領域に送給され、さらに連通孔62を通ってスラスト動圧溝50に戻され、潤滑流体60は動圧溝50,54,56のアンバランスによって連通孔62を通して循環される。なお、潤滑流体60を循環させるためのアンバランスは、スラスト動圧溝50,54ならびにラジアル動圧溝56のいずれか1つまたは2つに設けることによって所望の効果が達成される。
【0017】
潤滑流体60としては、磁性を有する磁性微粒子を含む磁性流体が使用される。磁性微粒子としては、たとえば鉄系化合物の粒子でよい。
【0018】
本実施形態では、潤滑流体60に含まれている磁性微粒子の移動を磁気的に拘束して保持するための磁気保持手段70が設けられ、この磁気保持手段70が永久磁石72(界磁手段を構成する)と永久磁石72によって磁化される磁性部材74から構成されている。永久磁石72は、円弧状に形成され、その一端部がN極に着磁され、その他端部がS極に着磁されている。永久磁石72は、実施形態では、軸部材8を中心として相互に対向して2個配設され、スリーブ部材本体26に形成された凹部に挿入され、接着剤によって固定されている。磁性部材74は、各永久磁石72に対応してその内側に配設され、スリーブ部材本体26の中内径部32の内周面に接着剤によって固定されている。実施の形態では、各永久磁石72の内側に周方向に間隔を置いて2個の磁性部材74が配設され、隣接する磁性部材74の間には、合成樹脂から形成された非磁性部材76が介在されている。かく構成されているので、図2に示すとおり、永久磁石72のN極に対向する磁性部材74の一端部はS極に磁化され、その他端部はN極に磁化され、また永久磁石72のS極に対向する磁性部材74の一端部はN極に磁化され、その他端部はS極に磁化される。永久磁石72によって磁化された磁性部材74からの磁界は、軸部材8のスラストプレート部18の外周面外側に存在する潤滑流体60に作用する。磁性部材74間に存在する非磁性部材76は、磁性部材74間の間隔を長くし、磁性部材74からの磁界を外方に拡がらせるために設けられており、このように磁界を拡がらせることによって磁性部材74による潤滑流体60中の磁性微粒子の保持量が増大する。なお、磁性微粒子を充分に保持することができる場合には、この非磁性部材76を省略することができ、また磁性微粒子の滞留が問題とならない場合には、隣接する磁性部材74間に空間を設けるのみでよい。また、本実施形態では、永久磁石72を周方向に間隔を置いて2個設けているが、1個または3個以上設けてもよく、また磁性部材74についても1個の永久磁石72に対して1個または3個以上設けるようにしてもよい。
【0019】
磁性部材74は、温度が上昇すると磁性が弱くなる材料から形成される。このような材料は、例えば混合比が調整されたフェライトでよく、モータの使用温度範囲の上限付近で磁性が低下する。このようなフェライトから形成された磁性部材74は、温度が低いときにはその磁性は大きいが、温度が上昇するとその磁性は低下し、同じ永久磁石72からの磁界を受けても磁化される程度は小さくなる。
【0020】
上述した構成のスピンドルモータにおいては、スリーブ部材本体26の中内径部32に、永久磁石72によって磁化される磁性部材74が設けられているので、潤滑流体60に含まれている磁性微粒子は、スラストプレート部18の外側の環状空間にて磁性部材74の磁界の影響を受ける。それ故に、スラスト動圧溝50から他方のスラスト動圧溝54に向けて流れる際に、潤滑流体60の磁性微粒子は磁性部材74に磁気的に吸引され、その移動が拘束されて上記環状空間に磁気的に保持される。環状空間に保持される磁性微粒子の保持量は、磁性部材74の磁性特性に大きく影響され、磁性部材74の磁性特性が強いときには永久磁石72によって強く磁化されるのでその保持量が多くなり、その磁性特性が弱くなると永久磁石72によって磁化される程度が弱くなるのでその保持量が少なくなる。したがって、周囲の温度が比較的低いときには、磁性部材74の作用によって上記環状空間に保持される磁性微粒子が多くなり、その結果、潤滑流体60(スラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56を通って循環される潤滑流体60)に分散される磁性微粒子の濃度が小さくなり、潤滑流体60の粘性が補正されて小さくなる。一方、周囲の温度が比較的高いときには、磁性部材74の作用によって上記環状空間に保持される磁性微粒子が少なくなり、その結果、潤滑流体60(スラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56を通って循環される潤滑流体60)に分散される磁性微粒子の濃度が大きくなり、潤滑流体60の粘性が補正されて大きくなる。上述のとおりであるので、温度が比較的低いときには、潤滑流体60自体の特性によってその粘性が大きくなるが、スラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56における潤滑流体60に含まれる磁性微粒子が少なくなり、その粘性が小さくなるように補償される。また、温度が比較的高いときには、潤滑流体60自体の特性によってその粘性が小さくなるが、スラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56における潤滑流体60に含まれる磁性微粒子が多くなり、その粘性が大きくなるように補償される。なお、温度が上昇すると、周囲からの熱エネルギーを受けて磁性微粒子の活性化が促進されるので、このことによっても磁性微粒子は磁気的拘束から脱して循環されるようになる。したがって、潤滑流体60に含まれる磁性微粒子の量を温度に応じて制御することによって潤滑流体60の粘度を調整することができ、広い温度範囲に渡って潤滑流体60の粘度をほぼ一定に保持することができ、これによってモータの動圧流体軸受装置の剛性を一定に保持することができる。また、磁性部材74がスラストプレート部18の外周面の外側に設けられているので、磁性部材74からの磁界がスラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56,58における潤滑流体に実質上作用せず、潤滑流体60に悪影響を及ぼすことはない。永久磁石72は、磁性部材74のさらに外側に配設されているので、この磁界も動圧溝50,54,56,58の潤滑流体60に実質上作用することはない。
【0021】
なお、実施の形態では、潤滑流体60は、スラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56を通して循環し、他方のラジアル動圧溝58を循環しないが、スラスト動圧溝50,54およびラジアル動圧溝56,58の全てを通して循環するようにすることもでき、この場合には、連通孔62の一方の開口を他方のラジアル動圧溝58の外側に配設するようにすればよい。
【0022】
図4は、他の例の磁性保持手段を備えたモータの一部を示す要部拡大断面図である。図4において、図1〜図3に示す部材と実質上同一の部材は、同一の参照番号を付してその説明を省略する。図4において、図示の磁性保持手段82は、軸線方向(図4において上下方向)に間隔を置いて配設された一対の環状磁性部材84,86から構成され、一対の磁性部材84,86の間には非磁性材料から形成されたスペーサ88が配設されている。一対の環状永久磁石84,86の外側には、界磁手段を構成する永久磁石90が配設される。永久磁石90は環状であり、スリーブ部材本体26に形成された環状凹部に挿入固定される。永久磁石90は軸線方向に着磁され、例えば図4において上端部がN極に、下端部がS極に着磁される。永久磁石90および磁性部材84,86がこのように配置されるので、上側の磁性部材84においては、図4において上端部がS極に、下端部がN極に磁化され、また下側の磁性部材86においては、図4において上端部がS極に、下端部がN極に磁化され、両磁性部材84,86間に非磁性部材88が介在されているので、磁性部材84,86間に生じる磁界は外方に拡がるようになる。なお、非磁性部材88は必ずしも必要なものではなく、省略することもできる。図4のモータのその他の構成は、図1〜図3のモータと実質上同一である。
【0023】
この変形例の磁性保持手段82を用いた場合にも、潤滑流体60に含まれた磁性微粒子は、永久磁石90によって磁化される一対の磁性部材84,86の磁気的作用によってその移動が拘束され、軸部材8のスラストプレート部18の外周空間にて磁気的に保持され、その保持量は、磁性微粒子の温度変化に伴う磁性特性の変化によって増減し、したがってこの磁性保持手段82を用いた場合にも上述したのと同様の効果が達成される。
【0024】
上述した軸部材8とスリーブ部材35から構成される動圧流体軸受装置は、軸受装置として単体でも用いることができ、この場合には、その使用範囲はモータに限定されることなく広く適用することができる。
【0025】
図5は動圧流体軸受装置の他の実施形態を示しており、この実施形態ではラジアル軸受手段のみが動圧流体軸受手段から構成されている。図5において、図示の動圧流体軸受手段は、軸部材102とスリーブ部材104から構成され、軸部材102とスリーブ部材104がスリーブ嵌合され、軸部材102の外周面とスリーブ部材104の内周面との間には、潤滑流体106のための間隙が設けられている。この実施形態においては、スリーブ部材104の内周面に、軸線方向に間隔をおいて一対のラジアル動圧軸受手段のラジアル動圧溝108,110が設けられており、一対のラジアル動圧溝108,110間の部位には、環状凹部112が形成されている。スリーブ部材104の一端部にはキャップ部材114が圧入によって固定されている。このキャップ部材114は、セラミック材料または合成樹脂材料から形成される。一方、軸部材102の一端部には半球状部116が設けられており、この半球状部116は点接触部として機能してキャップ部材114の内面と点接触する。キャップ部材114および軸部材102の半球状部116は接触式のスラスト軸受手段を構成し、スリーブ部材104と軸部材102との間に作用するスラスト荷重を支持する。
【0026】
このような軸受装置においては、潤滑流体106は、軸部材102の半球状部116からスリーブ部材104とのスリーブ嵌合部までにわたって実質上連続して充填される。軸部材102には、その他端面から半球状部106に向けて直線状に延びる第1の孔118が形成され、第1の孔118の先端およびその中間部には、それぞれ半径方向に延びる第2の孔120および第3の孔122が形成されている。潤滑流体106は、第1の孔118を通して注入され、かく注入された潤滑流体106は、第2の孔120および第3の孔122を通して軸部材102とスリーブ部材104との間の間隙に流入し、かくして図5に示すとおりに充填される。潤滑流体106を注入した後には、第1の孔118の開口部が、たとえばゴム材料から形成される閉塞部材124によって閉塞され、これによって潤滑流体106の第1の孔118を通しての漏れが防止される。
【0027】
第1〜第3の孔118,120,122は潤滑流体106を循環させるための連通孔を構成し、実施形態では、第2の孔120の両端が動圧溝108の外側に開口し、第3の孔122の両端が他方の動圧溝110の外側に開口し、この第3の孔122のさらに外側に、潤滑流体106の漏れを防止するためのテーパ部126が設けられている。また、動圧溝108,110は幾分アンバランスに形成され、動圧溝108,110においては、潤滑流体106が図5において下方に強制的に流れるように構成されている。かくのとおりであるので、軸部材102とスリーブ部材104との間隙においては潤滑流体106は動圧溝108から動圧溝110に向けて流れ、かく下方に流れた潤滑流体106は第3の孔122、第1の孔118および第2の孔120を通って動圧溝108の外側に流れて所要のとおり循環される。
【0028】
この実施形態においても、上述したと同様に、潤滑流体106は磁性微粒子を含んでおり、そしてこのことに関連して、スリーブ部材104の環状凹部112に磁性部材128が設けられ、またスリーブ部材104の外周面に設けられた環状凹部に、界磁手段を構成する永久磁石130が配設されている。磁性部材128およびその外側に配設された永久磁性130の装着を可能にするために、これらをセグメント状の部材から形成される。
【0029】
このような動圧流体軸受装置においても、潤滑流体の循環経路に、磁性微粒子の磁気的保持を制御するための磁性部材128が配設されるので、上述と同様の作用効果が達成される。なお、この動圧流体軸受装置を用いる場合には、図1から理解されるとおり、その軸部材102の他端部(スリーブ部材104から突出する端部)がモータのベースプレート132に固定される。
【0030】
以上、本発明に従うモータの実施形態について説明したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形ないし修正が可能である。
【0031】
たとえば、図示の実施形態では、軸固定型もモータに適用して説明したが、これに限定されることなく、軸回転型のモータにも同様に適用することができる。かかる場合には、スリーブ部材がプレート本体に固定され、軸部材がロータに固定され、軸部材がロータと一体にスリーブ部材に対して相対的に回転される。
【0032】
また、実施形態では、磁気ディスクを回転駆動するスピンドルモータに適用して説明したが、この種のモータに限定されることなく、その他の種類のモータ、たとえば光ディスクを回転するためのモータ、一般の直流モータ、ステップピングモータ、サーボモータ等にも適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項1のモータおよび請求項7の動圧流体軸受装置によれば、潤滑流体に含まれる磁性微粒子を磁気的に保持するための磁気保持手段は、温度が上昇すると磁化が弱くなる磁性部材を含んでいるので、この磁性部材の磁性は、温度が低い時には比較的強いが、温度が上昇すると比較的弱くなる。したがって、温度が低い時には、界磁手段によって磁性部材が比較的強く磁化され、潤滑流体中の磁性微粒子は磁化された磁性部材からの磁界の作用を受けて磁気的に拘束され易く、それ故に、動圧流体軸受装置における潤滑流体に含まれる磁性微粒子の濃度が薄くなり、その粘度が補償されて低くなる。一方、温度が上昇すると、界磁手段による磁性部材の磁化が弱くなり、これによって磁性部材による磁性微粒子の磁気的拘束が弱くなり、それ故に、動圧流体軸受装置における潤滑流体に含まれる磁性微粒子の濃度が濃くなり、その粘性が補償されて高くなる。
【0034】
本発明の請求項2のモータによれば、磁気保持手段の磁性部材は、スラスト動圧溝およびラジアル動圧溝が形成された領域以外の領域にて、潤滑流体の磁性微粒子に作用するので、動圧溝以外の領域にて磁性微粒子の流れが拘束され、動圧溝の領域においては実質上拘束されない磁性微粒子が実質上均一に分散される。
【0035】
本発明の請求項3のモータによれば、界磁手段が永久磁石から構成されるので、比較的簡単な構成でもって磁性部材を磁化することができる。また、永久磁石が磁性部材の外側に配設されるので、永久磁石による潤滑流体への影響を少なくすることができる。
【0036】
本発明の請求項4のモータによれば、スラスト動圧溝およびラジアル動圧溝を通して潤滑流体を循環させるための連通孔が設けられているので、磁性部材は循環して流れる潤滑流体の磁性微粒子を磁気的に保持し、潤滑流体内の磁性微粒子の濃度の均一化を図ることができる。
【0037】
本発明の請求項5のモータによれば、スリーブ部材に設けられたキャップ部材と軸部材の点接触部とが点接触するので、ラジアル動圧軸受手段と接触式スラスト軸受手段の組合わせの動圧流体軸受装置を備えたモータにも同様に適用することができる。
【0038】
本発明の請求項6のモータによれば、隣接する磁性部材間に非磁性部材が介在されているので、磁性部材間に生じる磁界は外方に拡がるようになり、これによって潤滑液体中の磁性微粒子の保持量を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うモータの一例としてのスピンドルモータの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1におけるII−II線による断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線による断面図である。
【図4】磁性保持手段の他の例を備えたスピンドルモータの一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明に従う動圧流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 ベースプレート
4 ロータ
6 ベース本体
8,102 軸部材
16 軸部
18 スラストプレート部
20 ハブ本体
24 マグネット
26 スリーブ部材本体
35,104 スリーブ部材
50,54 スラスト動圧溝
56,58,108,110 ラジアル動圧溝
60,106 潤滑流体
62 連通孔
70,82 磁性保持手段
72,90,130 永久磁石
74,84,86,128 磁性部材
88 非磁性部材
118,120,122 孔

Claims (7)

  1. 軸部材と、該軸部材との間に所定間隔をもって配設され、軸部材に対して相対的に回転自在であるスリーブ部材と、該スリーブ部材と軸部材との間の間隙に充填された潤滑流体とを具備する動圧流体軸受装置を備えたモータにおいて、
    前記潤滑流体は、磁性を有する磁性微粒子を含み、
    前記磁性微粒子の移動を磁気的に拘束して保持するための磁気保持手段が設けられ、
    該磁気保持手段は、温度が上昇すると磁性が弱くなる磁性部材と、該磁性部材を磁化させるための界磁手段を有し、
    温度が上昇すると、界磁手段による磁性部材の磁化が弱くなり、これによって磁性部材による磁性微粒子の磁気的拘束が弱められ、動圧流体軸受装置における潤滑流体に含まれる磁性微粒子の濃度が高められる、
    ことを特徴とするモータ。
  2. 前記軸部材は、軸部と該軸部から半径方向外方に突出するスラストプレート部を有し、前記スリーブ部材は軸部材の軸部とスリーブ嵌合するとともに、スラストプレート部を囲繞し、軸部材の軸部とこの軸部に対向するスリーブ部材の第1の対向面との一方または両方にはラジアル動圧溝が設けられ、軸部材のスラストプレート部の両面とこの両面に対向するスリーブ部材の第2の対向面との一方または両方にはスラスト動圧溝が設けられ、前記磁性部材はラジアル動圧溝およびスラスト動圧溝が設けられた領域以外の領域にて潤滑流体の磁性微粒子に磁界を作用させることを特徴とする請求項1記載のモータ。
  3. 前記磁性部材は、軸部材のスラストプレート部の外周面の外側に配設され、前記界磁手段は永久磁石から構成され、該永久磁石が磁性部材の外側に配設されていることを特徴とする請求項2記載のモータ。
  4. 前記ラジアル動圧溝は、軸部材の軸部とスリーブ部材の第1の対向面との一方または両方に軸線方向に間隔をおいて設けられ、前記スラストプレート部は軸部材の軸部の一端部に設けられ、軸部材には、一端が一対のラジアル動圧溝の間の領域に開口し、他端が軸部の一端面に開口する連通孔が設けられ、前記潤滑流体は軸部材とスリーブ部材の間の間隙および前記連通孔を通して循環されることを特徴とする請求項3記載のモータ。
  5. 前記スリーブ部材の一端部にはキャップ部材が設けられ、軸部材の一端には前記キャップ部材に接触する点接触部が設けられ、また軸部材の外周面とスリーブ部材の内周面との一方または両方には、軸線方向に間隔をおいて一対のラジアル動圧溝が設けられ、スリーブ部材における、一対のラジアル動圧溝間の部位には、前記磁性部材が配設され、この磁性部材の外側に界磁手段が配設されていることを特徴とする請求項1記載のモータ。
  6. 前記磁性部材は上下方向または周方向に間隔をおいて複数個設けられ、隣接する磁性部材間に非磁性部材が介在されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のモータ。
  7. 軸部材と、該軸部材との間に所定間隔をもって配設され、軸部材に対して相対的に回転自在であるスリーブ部材と、該スリーブ部材と軸部材との間の間隙に充填された潤滑流体を具備する動圧流体軸受装置において、
    前記潤滑流体は、磁性を有する磁性微粒子を含み、
    前記磁性微粒子の移動を磁気的に拘束して保持するための磁気保持手段が設けられ、
    磁気保持手段は、温度が上昇すると磁性が弱くなる磁性部材と、この磁性部材を磁化させるための界磁手段を有し、
    温度が上昇すると、界磁手段による磁性部材の磁化が弱くなり、これによって磁性部材による磁性微粒子の磁気的拘束が弱められ、潤滑流体に含まれる磁性微粒子の濃度が高められる、
    ことを特徴とする動圧流体軸受装置。
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