JP3628779B2 - 水素化ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマーを含むポリマーブレンド - Google Patents

水素化ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマーを含むポリマーブレンド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主成分として水素化ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマーを含むと共に他の成分としてポリ(オレフィン)ホモポリマーもしくはコポリマーを含むポリマーブレンドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第4,237,245号および第4,252,914号からα−オレフィンポリマーと水素化ジ−ブロックコポリマーとの配合物が公知であり、これらは15重量%以下の1,2−ミクロ構造を有するが主として1,4−ポリブタジエンの1つのブロックと、少なくとも95重量%の1,2−ミクロ構造を有する1,2−ポリブタジエンの第2ブロックとからなり、前記1,2−ポリブタジエンブロックの分子量は前記コポリマーの全分子量の少なくとも10%を示すと共に、原ジブロックコポリマーにおける不飽和は少なくとも85%水素化される。
【0003】
さらに、特に米国特許第4,252,914号の教示によれば10〜60重量%、好ましくは15〜48重量%のポリ(α−オレフィン)と90〜40重量%の水素化ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー(これは予め部分的に硬化させうる)からなるブレンドを主として使用することを意図した。
【0004】
前記ブレンドはたとえば低温度における衝撃強さ、高温での最小クリープ、引張強さ、および引裂強さのような向上した機械的性質を示すと述べられているが、この種のブレンドの耐薬品性については全く記載されていない。
【0005】
主成分としてポリ(オレフィン)を含むポリマーブレンドの耐薬品性は、この種のポリマーブレンドをボンネットの下に使用することが増え、たとえば炭化水素燃料、グリース、潤滑油、ポリオールおよび濃強無機酸(たとえば硫酸)のような化学薬品との接触および有機溶剤、グリース、オイル、脂肪、ポリオールおよび強無機酸を伴う工業処理を受ける潜在的危険性が増大しているため自動車にて特に重要となっている。
【0006】
現在、強力に汚染された環境であらゆる適切な機械的性質と耐薬品性との組合せを向上させうるようなポリ(オレフィン)と他のポリマーとのポリマーブレンドにつき強いニーズが存在することも了解されよう。より詳細には、芳香族型の鉱油に対するこれらブレンドの耐性を向上させねばならない、
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の課題は、機械的性質と耐薬品性との向上した組合せを示すと共に最終的に所望の成形物品まで容易に加工しうるようなポリマーブレンドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
鋭意研究および実験した結果、目的とするこの種のブレンドが驚くことに今回見出された。
【0009】
したがって本発明は、少なくとも:
(a)100重量部の水素化(ポリ)ブタジエンブロックコポリマーBDBもしくは[BE]X[ここでブロックBおよびBのそれぞれはは5,000〜250,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する実質的に線状かつ実質的に純粋なポリエチレンブロックからなり;DおよびEは実質的にオレフィン性不飽和を含まずかつ10,000〜400,000の範囲の数平均分子量を有する実質的に線状のエラストマー性ポリマーブロックであり、ブロックB、BD、BDB、BおよびBEの分子量分布(Mw/Mn)は≦2であり、Xはカップリング剤残基であり、nは≧2の整数である]と;
(b)20〜100重量部の主としてパラフィン系および/またはナフテン系のエキステンダー油と;
(c)20〜200重量部の2〜20個の炭素原子を有するオレフィンのホモポリマーもしくはコポリマーと
からなる耐薬品性組成物に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
より詳細には、本発明によるポリマーブレンドにおいて前記した各成分は全組成物の重量に対し
(a)10〜50重量%
(b)5〜40重量%
(c)10〜60重量%
に対応する量で存在し、ただし成分(a)、(b)および(c)の選択比率の合計は100でなければならない。
【0011】
ブロックBおよびBは好ましくは20,000〜60,000、より好ましくは30,000〜50,000の範囲の数平均分子量を有し、全ブロックコポリマーにおけるブロックBおよびBの重量分率は一般に20〜80重量%の範囲である。
【0012】
適用される完成ブロックコポリマーにおけるブロックBおよびBの好適な重量分率は30〜50重量%の範囲である。
【0013】
ブロックDおよびEは好ましくは80,000〜180,000、より好ましくは100,000〜160,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0014】
特定ブレンドの成分(a)として使用すべきブロックコポリマーをもたらすのに適する先駆体ブロックコポリマーは、公知プロセスの水素化前に最高10%の末端ブロックにおけるビニル含有量を有すると共に30〜70%、好ましくは30〜50%の中間ブロックにおけるビニル含有量を有する。
【0015】
本明細書の全体で用いる「主としてパラフィン系もしくはナフテン系のエックステンダー油」と言う用語は、主成分としてパラフィン系および/またはナフテン系の油を含むと共に任意の少量成分(全油重量に対し<5重量%)として芳香族油を含むエキステンダー油を意味する。
【0016】
エキステンダー油の選択は、少量の芳香族油の使用をブレンド特性の予想される劣化のため厳密に回避せねばならなかった従来技術の対応するポリマーブレンドと対比し、大して重要でないと判明したことが了解されよう。
【0017】
種々の可塑化油が、本発明により使用すべき組成物にエキステンダーとして有用である。
【0018】
有用であると判明した可塑化油は石油系オイル、オレフィンオリゴマーおよび低分子量ポリマー並びに植物油および動物油(これらは比較的高沸点の物質として使用することができる)を包含し、少割合の芳香族炭化水素、好ましくは20%未満、より好ましくは10重量%未満の芳香族炭化水素を含有する。特に好ましくは、油は全て非芳香族とすることができる。
【0019】
オリゴマーはたとえばポリ(プロピレン)、ポリ(ブチレン)、ポリ(ドデセン)、水素化ポリ(イソプレン)、水素化ポリ(ブタジエン)、水素化ポリ(ピペリレン)およびピペリレンとイソプレンとの水素化コポリマーのようなポリ(α−オレフィン)とすることができ、350〜10,000の平均分子量を有する。
【0020】
植物油および動物油は通常の脂肪酸のグリセリルエステルおよびその重合生成物を包含する。
【0021】
好適なパラフィン系油の例はプリモール(PRIMOL)352およびオンジナ(ONDINA)100(プリモールおよびオンジナは登録商標である)、並びにナプビス(NAPVIS)、ハイビス(HYVIS)およびエチルフロ(ETHYLFLO)ポリオレフィン(ナプビス、ハイビスおよびエチルフロは登録商標である)であって、500〜6,000の範囲の分子量を有する。
【0022】
好ましくはパラフィン系油およびポリ(α−オレフィン)を成分(b)として使用する。
【0023】
本発明のブレンドにおける成分(c)として使用すべきポリ(オレフィン)は2〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンモノマーのホモポリマー、さらに前記α−オレフィンの2種もしくはそれ以上のコポリマーからなり、前記ポリマーは少なくとも90℃の融点を有する。
【0024】
ブレンド中のポリ(α−オレフィン)ポリマー成分(c)の含有量は好ましくは3種の成分の全重量に対し15〜50重量%である。
【0025】
α−オレフィンポリマーの製造に使用しうる典型的なα−オレフィンモノマーはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ヘキセン、4−エチル−ヘキセンまたは6−メチル−1−ヘプタンなどを包含する。
【0026】
使用すべき一層好適なポリ(α−オレフィン)ポリマーはポリエチレン(HDPE、LLDPE)、ポリプロピレン ホモポリマーおよびプロピレンとエチレンとのコポリマーである。
【0027】
主成分(a)、(b)および(c)からなるポリマーブレンドはさらに1種もしくはそれ以上の助剤、たとえば充填剤および安定剤をも含みうることが了解されよう。
【0028】
一般に無機繊維もしくは粉末よりなる充填剤は、全組成物の重量に対し10〜50重量%までの量にて使用することができる。好ましくは、炭酸カルシウムもしくはタルクを充填剤として使用する。
【0029】
通常の安定剤を全組成物の重量に対し1重量%までの量にて使用することができる。
【0030】
本発明のポリマーブレンドは驚くほど向上した耐薬品性、特に芳香族型の鉱油および無機強酸に対する向上した耐性を有すると判明したが、アルコール、カルボン酸、動物もしくは植物源の脂肪および最も工業的に用いられる洗剤に対する耐性は末端ポリ(ビニル芳香族)ブロックを有する水素化ブロックコポリマー、より特定的には成分としてポリ(スチレン)たとえばクラトン(KRATON)1651Gブロックコポリマー(SEBS)を含む慣用の従来技術によるブレンドと比較して維持され或いは僅かに向上することが了解されよう。芳香族エキステンダー油フラクションに対する向上した耐性は、一般に少量のこの種の芳香族成分を含有することが知られた工業用ナフテン油の使用が大して臨界的でなくかつ一層安全であることをも意味する。
【0031】
さらに、上記に特定した成分(a)と(b)と(c)とからなるポリマーブレンドにおいて引張強さ、破断点伸び率および引裂強さに関し、従来のブロックコポリマー成分からなるブレンドとは異なり、異方性が存在せず、しかも成分(a)と(b)と(c)とからなるブレンドのメルトフローも顕著に向上することが驚くことに判明した。
【0032】
本発明のブレンドに成分(a)として使用すべきポリマーは主としてヨーロッパ特許出願第0,387,947号から公知であるが、今回見出された特定ブレンドの耐薬品性に関し当業者には如何なる引例も見出しえない。
【0033】
【実施例】
以下、限定はしないが実施例により本発明をさらに説明する。
【0034】
(a)100重量部の水素化(ポリ)ブタジエン トリブロックコポリマーBDB(これは40%の末端ブロック含有量と、水素化前に<10%の末端ブロックビニル含有量と、水素化前に40%の中間ブロックビニル含有量と、40,000の末端ブロック分子量と、120,000の中間ブロック見掛け分子量と、200,000の全分子量と、>80%のカップリング効率とを有する)および100重量部のスチレンとブタジエンとの選択水素化されたブロック トリブロックコポリマー(クラトンG1651)(これは29,000のポリスチレン末端ブロック見掛け分子量)と33%のポリスチレン含有量とを有する)と、
(b)100重量部のパラフィン油(プリモール352)と、
(c)34重量部のポリプロピレンホモポリマーと
からブレンドを作成した。
【0035】
初期試験の時点における該当する性質(初期特性)並びにそれぞれ23℃および70℃にて168時間にわたり老化させた後の性質を下表Iに示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003628779
【0037】
【表2】
Figure 0003628779

Claims (7)

  1. 少なくとも:
    (a)全組成物の重量に対し10〜50重量%の水素化(ポリ)ブタジエンブロックコポリマーBDBもしくは[BE]nX[ここでブロックBおよびBのそれぞれは20,000〜60,000の数平均分子量(Mn)を有する実質的に線状かつ実質的に純粋なポリエチレンブロックからなり;DおよびEは実質的にオレフィン性不飽和を含まずかつ80,000〜180,000の範囲の数平均分子量を有する実質的に線状のエラストマー性ポリマーブロックであり、ブロックB、BD、BDB、BおよびBEの分子量分布(Mw/Mn)は≦2であり、Xはカップリング剤残基であり、nは>2の整数であり、水素化前の先駆体ブロックコポリマーにおけるブロックBおよびBが最高10%のビニル含有量を示すと共に、ブロックDおよびEが30〜70%のビニル含有量を示す]と;
    (b)全組成物の重量に対し5〜40重量%のパラフィン油またはポリ(α−オレフィン)と;
    (c)全組成物の重量に対し15〜50重量%の少なくとも90℃の融点を有するポリ(α−オレフィン)
    [ただし成分(a)と(b)と(c)の選択比率の合計は100%でなければならない]
    とからなる組成物の耐薬品組成物としての使用。
  2. ブロックBおよびBのそれぞれが30,000〜50,000の範囲の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の使用。
  3. 全ブロックコポリマーにおけるブロックBおよびBの重量分率が20〜80重量%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
  4. 全ブロックコポリマーにおけるブロックBおよびBの重量分率が30〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の使用。
  5. ブロックDおよびEのそれぞれが100,000〜160,000の範囲の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 成分(c)がポリエチレン、ポリ(プロピレン)ホモポリマーおよびプロピレンとエチレンとのコポリマーから選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
  7. 自動車における請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
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