JP3627461B2 - 渦電流式減速装置の制動ドラム - Google Patents

渦電流式減速装置の制動ドラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄製の制動ドラムの一端部から内周面の一部分までの領域に銅などの良導電材を設けて制動力を大きくするものであり、特に制動ドラム本体と良導電材との接合強度を十分確保するとともに、良導電材の熱劣化を防ぐようにした渦電流式減速装置の制動ドラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄と銅などの異種金属を接合する方法には、例えばろう付け、溶射、肉盛溶接、圧接、拡散接合などがある。図3に示すように、制動ドラムとしての鉄製円筒体14の端面14cと内周面14aに銅材をろう付けまたは拡散接合する場合、図4に示すように、銅製円板12に円筒部13をバーリング加工した一体物を作成したうえ、鉄製円筒体14に接合していた。
【0003】
しかし、銅製円板12の板厚が薄くバーリング加工部が小さい場合に、ろう付けまたは拡散接合を行うのは以下のような問題がある。
【0004】
(a) 生産数が少いとプレス成形では製造単価が高くなるので、銅製円板12をしごいて円筒部13をバーリング加工するが、鉄製円筒体14に対する円筒部13の嵌合部の寸法精度の管理が困難である。
【0005】
(b) 銅製円板12をしごいて円筒部13をバーリング加工する場合に、円筒部13の寸法精度の管理が困難である。
【0006】
(c) 銅製円板12の板厚が薄いと円筒部13を切削加工することは不可能である。
【0007】
(d) 鉄製円筒体14に円筒部13をろう付けする場合に、銅製円板12の円筒部13と鉄製円筒体14の逃げ部に隙間12a,13aが生じるので、接合面積が減少し、強度が低下し、熱伝達率が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上述の問題に鑑み、制動ドラム本体に対する良導電材の結合部に隙間がなく機械的結合強度が高い、渦電流式減速装置の制動ドラムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の構成は鉄製の制動ドラム本体の少くとも一方の端面から内周面の一部分までの領域に良導電材を備えた制動ドラムに対して、永久磁石または電磁石を用いて渦電流により制動力を発生させる渦電流式減速装置において、前記良導電材は銅製の円筒体と銅製の環状板とからなり、前記銅製の円筒体は前記制動ドラム本体の端部の大径円筒部に嵌合され、前記銅製の環状板は制動ドラム本体の端面に結合されていることを特徴とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の構成は鉄製の制動ドラム本体の少くとも一方の端面から内周面の一部分までの領域に良導電材を備えた制動ドラムに対して、永久磁石または電磁石を用いて渦電流により制動力を発生させる渦電流式減速装置において、前記良導電材は銅製の円筒体と銅製の環状板とからなり、前記制動ドラム本体の端面と該制動ドラム本体の内周面の大径円筒部とにろう材を被覆し、前記銅製の円筒体を前記大径円筒部に嵌合し、前記銅製の環状板を前記制動ドラム本体の端面と前記銅製の円筒体の端面とに同心に重ね合せて、前記良導電材のろう付けと同時に該良導電材の熱膨張を利用して銅の拡散接合を行うことを特徴とする。
【0011】
【実施例】
図1は本発明による渦電流式減速装置の制動ドラムの側面断面図であり、特に図2の線1A−1Aによる側面断面図である。図2は同渦電流式減速装置の制動ドラムの正面図である。図1に示すように、本発明は制動ドラムの少くとも一方の端部に環状の導電部材を結合することにより、制動ドラムの制動能力を高めるものである。詳しくは、鉄製の制動ドラム本体4の端面と該端面付近の内周面に、銅製の環状板2と銅製の円筒体3とからなる良導電材Aを正確かつ確実に結合することにより、制動ドラムの内部の渦電流の流れを改善し、制動能力を高めようとするものである。
【0012】
図1に示すように、本発明によれば鉄製の制動ドラム本体4の端面に銅製の環状板2を、制動ドラム本体4の端部に形成した大径円筒部4aに銅製の円筒体3を、それぞれろう付けすることにより、機械加工が簡単であり、銅製の環状板2と銅製の円筒体3とが鉄製の制動ドラム本体4に対し、隙間のない密着した電気的・化学的な結合が得られる。
【0013】
図1に示すように、鉄製の制動ドラム本体4には少くとも一方の端部に機械加工により大径円筒部4aを形成し、該大径円筒部4aに銅製の円筒体3を嵌合したうえ、ろう付けにより一体的に結合するとともに、制動ドラム本体4の端面4cと円筒体3の端面3bに銅製の環状板2を一体的に結合するものである。銅製の環状板2と制動ドラム本体4とは、複数の位置決めピン5により同心に結合される。
【0014】
本発明による渦電流式減速装置の制動ドラム本体の具体的製造方法を説明すると、まず鉄製の制動ドラム本体4には少くとも一方の端部の内周面を切削して大径円筒部4aを形成する。そして、銅製の円筒体3を大径円筒部4aへ嵌合し、銅製の円筒体3の内周面と制動ドラム本体4の内周面4bとが平滑な連続した内周面を形成するようにする。また、制動ドラム本体4の端面4cと銅製の円筒体3の端面3bとが連続した平面をなすように加工し、制動ドラム本体4の端面4cと銅製の円筒体3の端面3bとに、複数の位置決めピン5を用いて銅製の環状板2を同心に重ね合せ、後述するろう付けにより銅製の環状板2と、銅製の円筒体3と、鉄製の制動ドラム本体4との各内周面が連続した円筒面を形成するように構成する。
【0015】
このため、銅製の環状板2の鉄製の制動ドラム本体4に対向する内面2aに、予めニツケル、黄銅、銀などのろう材を被覆する。また、銅製の円筒体3の両端面3bと外周面3aにもろう材を被覆する。さらに、鉄製の制動ドラム本体4の端面4cと大径円筒部4aにもろう材を被覆する。
【0016】
こうして、ろう材を被覆した銅製の円筒体3を制動ドラム本体4の大径円筒部4aへ嵌合し、次いで位置決めピン5を用いて、鉄製の制動ドラム本体4の端面4cと銅製の円筒体3の端面3bとに、ろう材を被覆した銅製の環状板2を重ね合せる。1対の締付工具6により鉄製の制動ドラム本体4に対し、銅製の円筒体3の端面3bと銅製の環状板2の内面2aを強く押し付け状態に維持し、真空室へ装入し、ろう付け温度(ニツケルろうの場合で1030〜1080℃、銅が溶けない温度)に加熱すると、鉄製の制動ドラム本体4に対し、銅製の円筒体3の外周面3aと端面3bと、銅製の環状板2の内面2aの各ろう材が溶け込み、機械的強度の高い結合が得られる。
【0017】
特に、互いに接合される鉄製の制動ドラム本体4に対し銅製の環状板2の内面2aと銅製の円筒体3の両端面3bとが強く押し付けられ、鉄製の制動ドラム本体4と銅製の円筒体3と銅製の環状板2の軸方向への熱膨張が1対の治具6により抑えられるので、銅製の環状板2と銅製の円筒体3との銅がろう材を介して鉄製の制動ドラム本体4へ拡散し、接合部に隙間のない機械的結合強度の高い溶着が得られる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は上述のように、鉄製の制動ドラム本体の少くとも一方の端面から内周面の一部分までの領域に良導電材を備えた制動ドラムに対して、永久磁石または電磁石を用いて渦電流により制動力を発生させる渦電流式減速装置において、前記良導電材は銅製の円筒体と銅製の環状板とからなり、前記制動ドラム本体の端面と該制動ドラム本体の内周面の大径円筒部とにろう材を被覆し、前記銅製の円筒体を前記大径円筒部に嵌合し、前記銅製の環状板を前記制動ドラム本体の端面と前記銅製の円筒体の端面とに同心に重ね合せて、前記良導電材のろう付けと同時に該良導電材の熱膨張を利用して銅の拡散接合を行うものであるから、母材である鉄製の制動ドラム本体の機械加工部分が少く、接合する銅製の円筒体と銅製の環状板の肉厚が薄くても問題がなく、接合面積が損なわれない。
【0019】
ろう付け部分に隙間が発生しないので、熱伝達率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る渦電流式減速装置の制動ドラムを示す図2の線1A−1Aによる側面断面図である。
【図2】同渦電流式減速装置の制動ドラムの正面図である。
【図3】従来の制動ドラム本体と良導電材の結合部を示す側面断面図である。
【図4】従来の制動ドラム本体に結合する良導電材の斜視図である。
【符号の説明】
A:良導電材 2:銅製の環状板 2a:内面 3:銅製の円筒体 3a:外周面 3b:端面 4:制動ドラム本体 4a:大径円筒部 4b:内周面 4c:端面 4d:端面 5:位置決めピン 6:治具 12,13:隙間

Claims (1)

  1. 鉄製の制動ドラム本体の少くとも一方の端面から内周面の一部分までの領域に良導電材を備えた制動ドラムに対して、永久磁石または電磁石を用いて渦電流により制動力を発生させる渦電流式減速装置において、前記良導電材は銅製の円筒体と銅製の環状板とからなり、前記制動ドラム本体の端面と該制動ドラム本体の内周面の大径円筒部とにろう材を被覆し、前記銅製の円筒体を前記大径円筒部に嵌合し、前記銅製の環状板を前記制動ドラム本体の端面と前記銅製の円筒体の端面とに同心に重ね合せて、前記良導電材のろう付けと同時に該良導電材の熱膨張を利用して銅の拡散接合を行うことを特徴とする、渦電流式減速装置の制動ドラム。
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