JP3627119B2 - 多連式ギヤポンプ - Google Patents

多連式ギヤポンプ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相互に噛合するギヤ対の回転によりポンプ作用をなすギヤポンプに関し、特に、仕切り板により隔てられた複数のギヤ室の夫々に前記ギヤ対を備える多連式のギヤポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ギヤポンプは、長円形の軸断面を有するギヤ室の内部に互いに平行をなす軸回りに回転するギヤ対を配し、略中央位置にて相互に噛み合わせて、この噛み合い位置の両側に吸込室及び吐出室を形成してなり、吸込室内部の流体を前記ギヤ対の歯間に受け入れ、ギヤ室の内周面との間に封止して吐出室に送り出すポンプ作用をなすものであり、簡素な構成の安価なポンプとして、多くの産業分野において用いられている。
【0003】
ギヤポンプにおいては、前述した如く、ギヤ対の歯間に封止した流体が、該ギヤ対の回転に伴って吐出室に送り出されることから、ベーンポンプ、トロコイドポンプ等、他の回転容積形ポンプと同様、その吐出側に、前記ギヤ対の歯数及び回転速度に応じた周期を有する脈動圧が発生するという問題があり、この脈動圧を軽減する有効な対策として、例えば、実開平4−125689号公報等に開示されている如く、吸込室及び吐出室を共用する複数(一般的には2つ)のギヤ室を相互間を仕切り板により隔てて並設し、これらの内部に配した各別のギヤ対を、周方向に位相をずらせて噛み合わせてなる多連式(一般的には二連式)のギヤポンプが実用化されている。
【0004】
このような多連式のギヤポンプにおいては、各別のギヤ室内にて回転する複数のギヤ対からの流体の送り出しが前記噛み合わせ位置の位相ずれにより連続的に生じ、各ギヤ対による吐出量が全吐出量の一部となることから、吐出側の脈動圧は、その周期及び振幅を大幅に減じることとなる。
【0005】
図6は、二連式ギヤポンプによる脈動低減効果を、吐出流量の脈動率(脈動による変動流量の全吐出量に対する割合)を媒介として調べた結果を示す図であり、図中の破線は、単一のギヤ室を有するギヤポンプにおける脈動率を、同じく実線は、二連式ギヤポンプにおける脈動率を夫々示しており、これら両者の比較により、ギヤ対の歯数の如何に拘わらず、二連式ギヤポンプの脈動は単連式ギヤポンプの脈動の4分の1以下に低減することがわかる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、ギヤポンプにおける他の問題として、ギヤ対の噛み合わせ位置において歯間に閉じ込められた流体が吸込側に解放される際に耳障りな異音(コモリ音)が発生するという問題がある。図7は、コモリ音の発生挙動の説明のためのギヤ対の噛み合わせ位置近傍の拡大図である。
【0007】
図示の如く、ギヤ対を構成する駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い位置の両側は、低圧の吸込室(図の左側)と高圧の吐出室(図の右側)とに夫々臨ませてあり、吐出室から吸込室への流体の逆流は、駆動ギヤ3の歯3aと従動ギヤ4の歯4aとの接触部において封止されている。
【0008】
ギヤポンプにおいては、図示の如く、噛み合わない側の歯面の歯元部をアンダーカットして噛み合い干渉を逃れることにより、通常では用いられない高歯の歯型を採用し、駆動ギヤ3の歯3aと従動ギヤ4の歯4aとが、その接触状態を長く保つようになし、先行する歯3a,4aの接触点Aと、後続する歯3a,4aの接触点Bとの間に、図中にハッチングを施して示す閉じ込み空間Sを形成して、吐出室から吸込室への逆流を確実に防止する構成としてある。なおこのような高歯の採用は、脈動の防止のためにも有用である。
【0009】
閉じ込み空間Sには、噛み合い位置に至る前に吐出室を臨む歯3a,3a間、及び歯4a,4a間に流体が満たされ、該流体は、駆動ギヤ3及び従動ギヤ4の回転に伴って前記閉じ込み空間S内に閉じ込められて、更なる回転に応じた閉じ込み空間Sの変形に伴って圧縮され、その後、接触を解除した歯3a,3a間、及び歯4a,4a間から吸込室に解放されるが、この解放時点において閉じ込み空間S内部の流体は、吐出室での充満時点における高圧を保っており、前記解放に際して急減圧することになり、この急減圧が前記異音の発生の要因となる。
【0010】
特に、前述の如く構成された多連式のギヤポンプにおいては、吸込室への閉じ込み空間Sの解放が複数のギヤ対の夫々において連続的に生じることから、この解放に伴う前記異音の発生は顕著であり、該異音の低減対策が重要な課題となっている。
【0011】
そこで従来においては、駆動ギヤ3及び従動ギヤ4の側面に対向するギヤ室の側壁に、図7中に破線により示す如く、吸込室側に基端を有し前記閉じ込み空間Sの近傍にまで先端を延ばして逃げ溝Gを形成し、閉じ込み空間S内に閉じ込められた流体を、閉じ込みの発生直後にその先端を閉じ込み空間S内に開口する前記逃げ溝Gを経て吸込室に逃がし、該吸込室への解放時点における急減圧の発生を緩和して、前記異音を低減する対策が施されている。
【0012】
ところがこの対策は、前述した如く、前記逃げ溝Gの先端の閉じ込み空間S内への開口が、該閉じ込み空間Sが生じた直後の適正なタイミングにて生じたときに有効であり、実際の開口タイミングに前後のずれが生じた場合、前記異音の低減効果は小さいものとなる。
【0013】
前記逃げ溝Gは、平面であるギヤ室の側面に形成された凹溝であり、ギヤ室を構成するハウジングの成形時における一体成形、又は成形後の機械加工により形成し得るが、これらのいずれにおいても形状精度及び位置精度の向上に限界があり、更には、前記閉じ込み空間Sは、駆動ギヤ3及び従動ギヤ4の噛み合いにより生じる空間であって、両ギヤ3,4の取り付け誤差、歯型の成形誤差等、各部の寸法誤差の集積により、ギヤ室内での絶対位置が変化することから、逃げ溝Gの開口タイミングを適正に実現することは難しく、前記異音の十分な低減効果が得られないという問題があった。
【0014】
更に、前記タイミングが適正でない場合、前記適正化を逃げ溝Gの形状修正により実現することは難しく、運転音の低減を図るためには、ハウジング全体の取り換えを必要とし、製品歩留りの低下を招来するという不都合がある。
【0015】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数のギヤ室内に位相をずらせて噛み合わせた各一組のギヤ対を備える構成において、夫々のギヤ対による閉じ込み空間を閉じ込み直後の適正なタイミングにて吸込側に確実に解放させることができ、これに伴う異音の発生を有効に低減して、静粛性に優れた多連式ギヤポンプを、歩留りの低下を来すことなく提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多連式ギヤポンプは、仕切り板により隔てられた複数のギヤ室内に、相互に噛合して回転する各一組のギヤ対を配し、周方向に位相をずらせた夫々の噛み合い位置の両側に各ギヤ室に共通する吸込室及び吐出室を形成してなり、前記噛み合い位置を過ぎて吸込室を臨む各ギヤ対の歯間に流体を受け入れ、前記回転により吐出室に送り出す構成とした多連式ギヤポンプにおいて、前記仕切り板の両面に、夫々の側の前記噛み合い位置にて各別のギヤ対の歯間に生じる前記流体の閉じ込み空間を前記吸込室に連通すべく形成された逃がし溝と、該逃がし溝の前記閉じ込み空間側の端部を一部に含み、前記仕切り板を貫通して形成された貫通孔とを具備することを特徴とする。
【0017】
多連式ギヤポンプにおける複数のギヤ室内には、各別のギヤ対が位相をずらせて噛み合わせてあり、一のギヤ室内にて閉じ込み空間が生じたとき、このギヤ室に仕切り板を介して相隣する他のギヤ室においては、前記閉じ込み空間の両側に外れた位置に閉じ込み空間が夫々存在し、これらの内、吸込室側の閉じ込み空間は、仕切り板の該当面に形成された逃がし溝により吸込室に確実に連通した状態にあり、更に、この逃がし溝の先端は、仕切り板を貫通する貫通孔を経て一のギヤ室に連通しており、一のギヤ室内にて閉じ込み空間に閉じ込められた流体は、前記貫通孔を経て他のギヤ室に解放され、同側の逃がし溝を経て吸込側に確実に逃がされる。
【0018】
閉じ込み空間と吸込室との連通は、閉じ込み空間内に貫通孔が開口するタイミングにて生じるから、仕切り板の両面の逃がし溝は、夫々の側にて閉じ込み空間となると考えられる位置にまで大まかに延長してあればよく、高い位置精度及び形状精度を必要としない。仕切り板を貫通する貫通孔は、高い位置精度を有して形成でき、閉じ込み空間の解放タイミングの適正化が容易であり、解放に伴う異音の発生を有効に低減し得る。また前記貫通孔は、形成後の位置の修正が可能であり、更に、修正が不可能であったとしても、仕切り板の取り換えのみを行えばよく、製品歩留りの向上が図れる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る多連式ギヤポンプの一例としての二連式ギヤポンプの側断面図、図2は、図1のII−II線による横断面図である。
【0020】
図示のギヤポンプは、その中央部を貫通する長円形断面の空洞を有し、図2に示す如き横断面形状を有する本体筒10の両側を、これの全面を覆う態様にねじ止め固定された蓋板11,11により塞いで構成されたハウジング1を備えている。ハウジング1の内部は、前記空洞部の両側に嵌挿された一対のサイドプレート12,12と、これらの間に嵌挿された仕切り板13とにより分割して軸長方向に並設された一対のギヤ室14,14となしてあり、これらの内部に、駆動ギヤ3と従動ギヤ4とからなる各一対のギヤ対が配してある。
【0021】
ギヤ室14,14の内部には、サイドプレート12,12に形成された軸受孔により両持ち支持された一対の回転軸30,40が、長円形断面を有するギヤ室14の両側の半円部の中心上に夫々位置し、互いに平行をなして架設されている。一方の回転軸30は、一側の蓋板11を貫通して外部に延長され、この延長端に伝達される図示しない駆動源からの駆動力により回転駆動される駆動軸であり、該回転軸30には、ギヤ室14,14の内部において駆動ギヤ3,3が夫々嵌着されている。
【0022】
他方の回転軸40は、サイドプレート12,12の軸受孔内に軸端を有する従動軸であり、該回転軸40には、ギヤ室14,14の内部において従動ギヤ4,4が夫々装着され、これらは、回転軸30と回転軸40との軸心を含む面内において前記駆動ギヤ3,3の夫々と噛合せしめてあり、前記回転軸30により駆動される駆動ギヤ3,3の回転に伴って回転軸40の軸回りに回転するようになしてある。
【0023】
夫々のギヤ室14,14における駆動ギヤ3及び従動ギヤ4の噛み合い位置は、これらの外周における歯の形成ピッチの半長分だけ周方向に位相をずらせて設定してある。この設定は、回転軸30上での駆動ギヤ3,3の嵌着位置を周方向にずらせて達成されている。回転軸40への従動ギヤ4,4の装着は、軸回りの回転を拘束しての嵌着、及び軸回りの回転を許容しての嵌挿のいずれであってもよい。
【0024】
図2には、駆動ギヤ3,3、及びこれに連動する従動ギヤ4,4の回転方向が矢符により示してあり、両ギヤ3,4の噛み合い位置を挾んだ両側には、前記回転方向の下流側に吸込室5が、同じく上流側に吐出室6が形成されている。ギヤ室14,14間の隔壁となる仕切り板13には、図2に示す如く、駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い位置の両側に、両ギヤ3,4の回転領域を避けるように切欠き部5a,6aが形成されており、吸込室5及び吐出室6は、これらの切欠き部5a,6aにより両ギヤ室14,14を連通する態様に形成され、本体筒10の対応位置に開口する吸込口15及び吐出口16を介して、ハウジング1外の図示しない吸込先及び吐出先に夫々接続されるようになしてある。
【0025】
このような構成により、吸込口15を経て吸込室5に導入される流体は、該吸込室5を臨む駆動ギヤ3及び従動ギヤ4の歯間に受け入れられ、両ギヤ3,4の回転により、夫々の歯間と本体筒10の内周面との間に封止された状態で搬送され、吐出室6に送り出される。吐出室6への送り出しを終えた駆動ギヤ3と従動ギヤ4とは、仕切り板13の中央での噛み合いを経て吸込室5側に向き、該吸込室5内の流体を再度受け入れて吐出室6に送り出す作用をなす。
【0026】
この送り出しは、仕切り板13により隔てられたギヤ室14,14において、前述の如く、噛み合い位相をずらせた駆動ギヤ3及び従動ギヤ4により交互に行われるから、吐出室6における脈動圧の発生を軽減することができる。また、前記噛み合い位置にて駆動ギヤ3と従動ギヤ4との間に閉じ込められた流体が吸込室5に解放される際、前述した如く、コモリ音と称される異音が発生するが、本発明においてこの異音は、仕切り板13に後述の如く形成された逃がし溝7及び貫通孔9の作用により低減される。
【0027】
図3は、本発明の特徴部分となる仕切り板13の平面図である。本図に示す如く仕切り板13の一面には、吸込室5の形成のための前記切欠き部5aに基端を発し、駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い位置となる仕切り板13の中心に向けて逃がし溝7が形成されており、同様に、吐出室6の形成のための前記切欠き部6aに基端を発し、中心に向けて連通溝8が形成されている。逃がし溝7及び連通溝8は、所定の幅を有する凹溝であり、仕切り板13の中心を挾んで対向する両溝7,8の先端部は、図示の如く、幅方向の中央を窪ませたM字形の形状を有している。
【0028】
逃がし溝7の先端部には、前記M字の一方の頂点の近傍を一部に含み、仕切り板13の表裏を貫通する態様に貫通孔9が形成されている。同様の形状を有する逃がし溝7及び連通溝8は、図示されていない仕切り板13の他面にも、夫々と整合するように形成してあり、前記貫通孔9は、仕切り板13の両面における逃がし溝7,7の先端部同士を前述した位置にて連通するように形成されている。
【0029】
図4は、逃がし溝7及び連通溝8、並びに貫通孔9と共に示す駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い位置近傍の拡大図である。駆動ギヤ3と従動ギヤ4とは、図7に示す従来のギヤポンプにおけると同様、歯元のアンダーカットにより噛み合い干渉を逃れた高歯のインボリュート歯型を採用した歯3a,4aを夫々有し、先行する歯3a,4aの接触点Aと、後続する歯3a,4aの接触点Bとの間に、図中にハッチングを施して示す閉じ込み空間Sを形成して、噛み合い位置の一側の低圧の吸込室5と高圧の吐出室6との間を封止して、吐出室6から吸込室5への逆流を確実に防止する構成としてある。
【0030】
逃がし溝7及び連通溝8の先端のM字形の窪みは、図示の如く、駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い中心に前記閉じ込み空間Sが位置したとき、該閉じ込み空間Sの両側を縁取るように形状を定め、吐出室6側にて閉じ込み空間Sに取り込まれた流体を、図示の位置にて連通溝8との連通を断たれた直後に逃がし溝7を介して吸込室5に解放せしめ、前述した異音の発生を軽減すべく設けたものである。
【0031】
前記仕切り板13は、切欠き部5a及び切欠き部6aを含め、図3に示す平面形状を有して焼結法により成形された板材であり、逃がし溝7及び連通溝8は、仕切り板13の成形に際し、その両面の所定位置に前述した形状を有して一体成形することができ、容易に形成し得る反面、高い位置精度及び形状精度を得ることはできず、これらの精度に頼って前記閉じ込み空間Sの形成直後の解放を実現しようとした場合、閉じ込み空間Sの生成前に逃がし溝7による解放が生じ、吐出室6から吸込室5への逆流が防ぎ得なくなる場合があり、また逆に、閉じ込み空間Sが形成された後、逃がし溝7による解放タイミングが遅れ、異音の十分な低減効果が得られなくなる場合がある。
【0032】
逃がし溝7の先端部に形成された前記貫通孔9は、逃がし溝7の精度不足を補い、閉じ込み空間Sの解放を適正なタイミングにて行わせる作用をなすものである。図5は、一方のギヤ室14内にて図4に示す噛み合い状態にあるとき、仕切り板13を介して相隣する他方のギヤ室14内に生じている噛み合い状態を示す拡大図である。
【0033】
前述した如く、駆動ギヤ3と従動ギヤ4の噛み合い位置は、仕切り板13の両側のギヤ室14,14において半ピッチ分だけずらせてあるから、図4に示すギヤ室14内において駆動ギヤ3と従動ギヤ4との噛み合い中心に前記閉じ込み空間Sが位置するとき、他のギヤ室14内においては、図5に示す如く、前記噛み合い中心に駆動ギヤ3の歯3aと従動ギヤ4の歯4aとの接触点Aが位置し、この接触点Aの両側に閉じ込み空間S,Sが生じており、吸込室5側(図の左側)の閉じ込み空間Sには、図示の位置にある同側の逃がし溝7が開口した状態にある。
【0034】
前記貫通孔9は、図5に示すギヤ室14内においても、逃がし溝7の先端部分を一部に含む位置にあるから、図4に示す如く、貫通孔9が閉じ込み空間S内に開口したとき、該閉じ込み空間S内の流体は、貫通孔9を経て他方のギヤ室14内に流れ込み、同側の逃がし溝7を経て吸込室5に解放される。即ち、閉じ込み空間Sは、貫通孔9の開口タイミングにおいて仕切り板13の両面に形成された逃がし溝7,7を経て吸込室5に解放されることになる。
【0035】
貫通孔9は、板材である仕切り板13の穿孔により、高い位置精度及び形状精度を有して形成されるから、前記閉じ込み空間Sをその形成の直後に解放するという適正な解放タイミングを確実に実現することができ、この解放に伴う異音の発生を効果的に低減することが可能である。また、前記解放タイミングに遅れが生じ、運転音のレベルが大となった場合においても、貫通孔9の拡径加工により解放タイミングの適正化を図る等、運転音の低減のための修正が可能である。前記拡径による適正化は、解放タイミングが早い場合には不可能であるが、この場合においても、仕切り板13のみの取り換えにより不良品の発生を防ぐことができ、製品歩留りの低下を最小限に押さえることができる。
【0036】
なお、吐出室6の側から仕切り板13に設けた連通溝8は、閉じ込み空間Sの形成位置を、駆動ギヤ3と従動ギヤ4との軸線上に確定するために設けられたものであり、本発明に必須の構成要件ではない。また逃がし溝7の平面形状は、図2〜図5に示す形状に限るものではない。
【0037】
更に、以上の実施の形態においては、2つのギヤ室を並設してなる二連式ギヤポンプについて述べたが、本発明は、複数のギヤ室を備える多連式ギヤポンプ全般への適用が可能であり、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る多連式ギヤポンプにおいては、複数のギヤ室間を隔てる仕切り板の両面に、夫々の側のギヤ室内にて噛み合う各別のギヤ対の歯間に生じる閉じ込み空間を吸込室に連通する逃がし溝を形成し、更に、これらの逃がし溝の先端を含む位置に仕切り板を貫通する貫通孔を形成したから、仕切り板の一側に生じる閉じ込み空間が、該空間内への前記貫通孔の開口タイミングにて仕切り板の他側に連通し、前記閉じ込み空間に閉じ込められた流体が、吸込室に確実に連通した状態にある他側の逃がし溝を経て解放され、この解放タイミングは、位置精度及び形状精度に優れた前記貫通孔に支配されるから、閉じ込み空間の解放に伴う異音の発生を有効に低減し得る。
【0039】
また、十分な音の低減効果が得られなかった場合の修正が、前記貫通孔の拡径加工により容易に行え、更に、この修正が不可能な場合においても、仕切り板の取り換えにより対応できるから、製品歩留りの低下を最小限に防ぎ得る等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多連式ギヤポンプの側断面図である。
【図2】図1のII−II線による横断面図である。
【図3】本発明の特徴部分となる仕切り板の平面図である。
【図4】本発明に係る多連式ギヤポンプにおける一のギヤ室内部でのギヤ対の噛み合い位置近傍の拡大図である。
【図5】本発明に係る多連式ギヤポンプにおける他のギヤ室内部でのギヤ対の噛み合い位置近傍の拡大図である。
【図6】二連式ギヤポンプによる脈動低減効果を示す図である。
【図7】ギヤポンプにおけるコモリ音の発生挙動の説明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
3 駆動ギヤ
4 従動ギヤ
5 吸込室
6 吐出室
7 逃がし溝
8 連通溝
9 貫通孔
12 サイドプレート
13 仕切り板
14 ギヤ室
S 閉じ込み空間

Claims (1)

  1. 仕切り板により隔てられた複数のギヤ室内に、相互に噛合して回転する各一組のギヤ対を配し、周方向に位相をずらせた夫々の噛み合い位置の両側に各ギヤ室に共通する吸込室及び吐出室を形成してなり、前記噛み合い位置を過ぎて吸込室を臨む各ギヤ対の歯間に流体を受け入れ、前記回転により吐出室に送り出す構成とした多連式ギヤポンプにおいて、前記仕切り板の両面に、夫々の側の前記噛み合い位置にて各別のギヤ対の歯間に生じる前記流体の閉じ込み空間を前記吸込室に連通すべく形成された逃がし溝と、該逃がし溝の前記閉じ込み空間側の端部を一部に含み、前記仕切り板を貫通して形成された貫通孔とを具備することを特徴とする多連式ギヤポンプ。
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