JPS5844875B2 - 歯車ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は歯車ポンプに関するものである。

従来、この種のポンプでは、中高圧低流量のものが主で
、小型で低圧大流量のは存在しなかった。

すなわち、大流量を得るには径の大きな歯車を用いるか
歯車の広い歯車を用いるかすればよいが、前者のように
径を大きくすると強度上や内接歯車式のものでは内歯車
外周の周速が速くなりすぎる等の理由で限度があり、ま
た後者のように歯幅を広くするのも製作上歯面に勾配が
ついてしまうので限度があり、大流量のものを得るのは
技術的に難しく高価格になるなど事実上不可能であった
。

また、正確な量の流れを作るため内歯車と外歯車との間
にシールピースを配置したものがあるが、シールピース
は内歯車と外歯車との咬合わない箇所に配置されるため
相互の位置関係が重要であり、シールピースはケーシン
グに対し不動に固定されるものであった。

従って組立時において内・外歯車との調整は一切不可能
であった。

） 本発明はこのような事情を勘案して小型で低圧大
流量で、しかもシールピースの位置を調整することによ
って洩れを防止し、正確な流量を確保することのできる
歯車ポンプを提供することを目的とするもので、ケーシ
ング内に互いに噛合う一対で１−組となる歯車を複数組
収納し、しかもシールピースを有する仕切板をその仕切
方向において調節自在に設けたことをその基本的構成と
するものである。

以下に本発明を図示実施例につき説明する。

第１図ないし第３図において、１はケーシングで、これ
は円筒体２とその両端を閉塞するように該円筒体２ヘボ
ルト３，３・・・・・・にて固定されたフランジ４，５
とから構成されている。

このケーシング１内には、仕切板６を配設することによ
り２つの歯車室γ、８が形成され、この仕切板６は、第
２図に示すように、その上下端部に形成された凹所６ａ
、６ａ内に、ケーシング１より仕切板６の仕切方向へね
じ込んだ止めピン９，９の先端を挿入することにより支
持される。

これによって仕切板６は、後述のシールピース１４，１
４と共にその仕切方向において調節自在に設けられる。

各歯車室７，８には、互いに噛合う一対の歯車すなわち
内歯車１０と外歯車１１とがそれぞれ収容され、内歯車
１０はケーシング１に対して回転自在に嵌合する一方、
外歯車１１はその歯数が内歯車１０よりも少なくて該内
歯車１０に対して偏心している。

そして、軸受１２を介してケーシング１に回転自在に軸
支された駆動軸１３が、外歯車１１の軸心部分、仕切板
６を貫通し、該駆動軸１３と外歯車１１とはスプライン
係合によって一体回転するようになっている。

勿論、駆動軸１３の一端部はケーシング１外へ突出して
、ここから駆動力を得るようになっている。

前記仕切板６には、第４図にも示すようにその両側部に
断面三ケ月形のシールピース１４がそれぞれ一体化され
、このシールピース１４により両歯車１０と１１との大
きな間隙部分がシールされている。

これにより、ケーシング１内には、内歯車１０、外歯車
１１．仕切板６、シールピース１４により外殻を構成さ
れた吸込室１５と吐出室１６とが、対となる歯車の組数
（実施例では２組）だけそれぞれ形成されている。

そして、ケーシング１には、吸込室１５に連通する吸込
口１７及び吐出室１６に連通ずる吐出口１８がそれぞれ
１つづつ開口されている。

このようにして、吸込室１５及び吐出室１６は各２つづ
つ形成されることとなるが、２つの吸込室１５及び２つ
の吐出室１６は（実施例においては）、仕切板６に設け
た切欠き部分を介してそれぞれ連通されている。

実施例において、駆動軸１３を第３図時計方向に回転さ
せると、外歯車１１及びこれに噛合う内歯車１０も同一
方向に回転する。

内歯車１０と外歯車１１の各歯間に流入している油は、
各歯車ｉｏ、１ｉの回転に伴い、吸入室１５よりシール
ピース１４０個所へ移動し、シールピース１４０個所で
は各歯車間の連通が断たれているので、この間では油を
保持した状態で、吐出室１６へ導かれる。

吐出室１６を過ぎた各歯車１０，１１は互いに噛合うの
で、各歯車ｉｏ、１ｉ間の油は吐出室１６に吐出され、
その後、吐出口１８より外部へ排出される。

ここで、第３図一点鎖線で示すとおり、一方の対となる
内歯車１０、外歯車１１と他方の対となる内歯車１０、
外歯車１１とを、その噛合部分の位相が１／２ピツチず
れるように配設しておくと、吐出される流体の脈動が平
均化されて極めて小さくなる。

この脈動の様子を示したのが第５図であり、図中Ａ線が
一方の対となる歯車１０，１１かもの吐出流体の状態を
、Ｂ線が他方の対となる歯車１０．１１からの吐出流体
の状態を、Ｃ線が吐出口１８から吐出されて脈動が平均
化された全体の吐出流体の状態を示す。

以上実施例について説明したが、本発明はこれに限るも
のでなく、例えば次のような場合をも含むものである。

■ シールピース１４は仕切板６と一体成形してもよく
、あるいは該両者１４と６とを別途形成した後一体化し
てもよく、さらにはシールピース１４をケーシング１へ
一体化するようにしてもよい。

なお、シールピース１４と仕切板６とを一体成形するに
は、例えば合成樹脂を型成形するとよい。

また、別体に形成するには、仕切板に貫通孔に長いシー
ルピース部材を圧入してその両端部を該仕切板の両側部
より突出させるようにすると、シールピース部材１本で
複数個のシールピースを形成することができる。

■ 対となる歯車は３組以上設けてもよい。

■ 吸入口１７と吐出口１８とはそれぞれ対となる歯車
の組数外だけ設けてもよく、あるいは吸入口１７は一つ
として吐出口１８を該組数外だけ設ける等適宜の数に設
定することができる。

■ 吸入口１７を１つのみとする場合、複数の吸込室１
５を仕切板６に形成した切欠き等を介して互いに連通さ
せることなく、吸入口１７を途中から吸込室１５の数分
だけ分岐させ、この分岐部分をそれぞれ吸込室１５に開
口させるようにしてもよい。

勿論このことは、吐出口１８を１つのみとする場合にも
同じである。

本発明は以上述べたように、ケーシング内に互いに噛合
う対となる歯車を複数組設けたので、対なる歯車を１組
だけ有する従来のものに比して、この組数の分たけ流量
が倍加された大流量のものを得ることができ、また、シ
ールピースを突設した仕切板を、その仕切方向において
調節自在に設けたので、シールピースを内・外歯車との
間の最適な接触状態位置に配置させるために調節できる
ので、仕切板の作用と相俟って洩れを防止し、正確な流
量を確保することができる。

また、各歯車は１つのケーシングに収容されているので
小型に製作することができる。

勿論、各歯車は、従来のものに比して格別径を大きくし
たり歯幅な広くするわげではないので、強度上あるいは
製作上等の面で何等問題を生じることがなく、かつ安価
に提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による歯車ポンプの外観を示す斜視図、
第２図は駆動軸の軸線方向に沿つ本発明による歯車ポン
プの断面図、第３図は第２図ｍ−■線断面図、第４図は
シールピースが一体化された仕切板の斜視図、第５図は
駆動軸の回転角と流量との関係を示すグラフである。 １・・・・・・ケーシング、６・・・・・・仕切板、７
，８・・・・・・歯車室、１０・・・・・・内歯車（対
となる歯車）、１１・・・・・・外歯車（対となる歯車
）、１３・・・・・・駆動軸、１５・・・・・・吸込室
、１６・・・・・・吐出室、１７・・・・・・吸込口、
１８・・・・・・吐出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケーシング内にシールピースを突設した仕切板を配
   設して複数の歯車室を形成し、該各歯車室に互いに噛合
   う一対の歯車をそれぞれ収容して該各歯車室をそれぞれ
   吸込室と吐出室との二室に画成し、前記ケーシングに前
   記各吸込室に連通する吸込口及び前記各吐出室に連通ず
   る吐出口をそれぞれ開口し、前記各々の対となる歯車の
   一方に一体回転するように取付けた駆動軸を前記ケーシ
   ング外へ突出させてなる歯車ポンプにおいて、前記仕切
   板を、前記仕切板の仕切方向へケーシングからねじ込ん
   だ止めピンにより支持し、前記仕切板の位置を仕切板の
   仕切方向において調節自在としてなる歯車ポンプ。 ２ 対となる歯車は、それぞれ他の対となる歯車に対し
   て、その噛合部分の位相がずれてなる特許請求の範囲第
   １項に記載の歯車ポンプ。 ３ 駆動軸とこれに連結される歯車との結合をスプライ
   ン結合としてなる特許請求の範囲第１項に記載の歯車ポ
   ンプ。 ４ それぞれ対となる歯車の一方を内歯車とし、他方を
   該内歯車の歯数よりも歯数の少ない外歯車とし、該両歯
   車間に形成される大きな間隙にシールピースを介挿して
   なる特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の歯車ポン
   プ。 ５ シールピースを仕切板と一体成形してなる特許請求
   の範囲第４項に記載の歯車ポンプ。 ６ 仕切板とシールピースとを別体に形成してなる特許
   請求の範囲第４項に記載の歯車ポンプ。