JP3626913B2 - チップ取り除き装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多端子部品、集積回路等を内蔵する製品の解体によりプリント基板を取り出し、その後、このプリント基板に装着されているIC等の有価物とその他の装着部品を分別収集するために、プリント基板からチップを取り除くチップ取り除き装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板に装着されているIC等のチップを取り除く時は、プリント基板の裏面にICの端子を半田付けで固着している半田に熱を加えて熔融し、手でチップを引き取っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリント基板に装着されているIC等は一部に金等の有価物が使用されているため、集積回路を内蔵する製品を廃棄する場合は、製品を解体してプリント基板を取り出し、次にプリント基板からICを取り外し、その後で装着部品を分別収集し、有価物の再利用を図っている。
このようなプリント基板はICを実装する時、通常はICの配置されるべき導電性パターンのランドにIC端子を通す孔をベースに貫通して開け、導電性パターンと反対側にICチップを配置し、ICの端子を孔に通し、ICチップが配置される側とは反対面の導電性パターンに半田で接続している。
【0004】
したがって、このプリント基板からICチップを取り外す時は上記従来のように半田を加熱して熔融し、手作業により取り外しているので能率が悪く、時間が掛かり困難な作業であった。
上記点を考慮し、本発明は各種プリント基板に装着されているICチップ等の取り除きの効率化を図ることのできるチップ取り除き装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明チップ取り除き装置は、基板載置部を有するベースプレートの上方に、プレート面から間隔を於いて上部フレームが設けられ、この上部フレームの前記基板載置部の上方位置に基板又はチップの一部を上方から緩衝押圧し、基板の移動は可能であるけれど、浮き上がりを防止する押圧体が昇降可能に設けられ、前記ベースプレートと上部フレームの間に基板に装着されたチップを側方より押し起こし、チップを基板から分離する押起体が進退可能に設けられると共に、前記ベースプレートに基板の移動を阻止するストッパーが設けられ、前記押起体は前面にチップの側部に当接する横方向に長い刃引部を有し、かつこの刃引部と連続して上方に後方傾斜面が設けられていると共に、底面の前方部が先端に向けて上方傾斜していることを特徴とするものである。
【0006】
又、請求項1のチップ取り除き装置に於いて、押起体の底面の前方部が先端に向けて上方傾斜していることが好ましい。
又、請求項1又は2のチップ取り除き装置に於いて、押起体の刃引部は一方の側端部から他方の側端部にかけて、前進行方向に角度を有していることが好ましい。
【0007】
上記構成を有する本発明は、ベースプレートの基板載置部上にチップを装着した基板を載せた後、上部フレームに設けた押圧体を下降し、基板又はチップの一部を上方から緩衝押圧し、基板の浮き上がりを防止する。
次に、ベースプレートと上部フレームの間に設けた押起体を前進し、基板に装着されているチップを側方より押せば、基板はそれに伴い後方へ移動しストッパーに当たり、それ以上の移動を阻止される。
【0008】
この移動時に押圧体により基板は押圧されているが、この押圧は緩衝押圧で単に基板の浮き上がりを防止する程度の押圧力であるから、基板の移動に影響はない。そして、基板がストッパーに当たった状態で更に押起体が前進すると、端子が半田付けされた箇所から押圧力で引き離され、チップは起き上がり基板から分離される。このように、押起体が前進することによりチップは次々に押し起こされて基板から取り除かれる。
【0009】
そして、押起体はチップの側部に当接する刃引部は横方向に延長しているため、延長巾で一括してチップを効率よく取り除かれる。
又、押起体の刃引部と連続して上方に後方傾斜面が設けられているため、押し起こされ基板から離れた直後、チップは後方傾斜面に沿って上方に逃げるので、押起体の前面壁は次のチップの側部に確実に当たる。
【0010】
又、押起体は底面の前方部が先端に向けて上方傾斜しているので、チップを側方より押圧する時に上方への押圧力も働き、チップが起き易くなる。
又、押起体の刃引部は一方の側端部から他方の側端部にかけて前進方向に角度を有しているため、刃引部は横一列に並んでいるチップを刃引部の延長巾で一度に押し起こすのでなくて、片側から順番に押し起こして行けばよいので、押圧力が小さくて済むものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明チップ取り除き装置の一実施の形態を示す縦断正面図、図2は同上の平面図である。
図1及び図2に於いて、1は左右方向に長い長方形のベースプレートであり、このベースプレート1はベースプレート1の天板1Aの下面の周囲及び中央部に溝形鋼で台枠1Bが構成されている。
そして、天板1Aの中央部が基板載置部1Cとされ、この基板載置部1Cの両側にチップ排出孔1Dが設けられている。
【0012】
2Aは天板1A上の左右の一方の側の中央部に設けた門形の上部フレーム取り付け台、2Bは天板1A上の他方の側の中央部に設けた上部フレーム取り付け台であり、この上部フレーム取り付け台2A、2B間上に上部フレーム3が固定されている。
【0013】
上部フレーム3はベースプレート1より前後巾が狭く、かつベースプレート1より左右方向に長い底板4と、この底板4上に設けた取り付け枠5及び取り付け枠5上設けた取り付け板6から構成されている。
【0014】
取り付け枠5は、底板4の前後に底板4の長手方向に立設した2枚の横板5Aと、横板5Aの長手方向に所定の間隔を於いて2枚の横板5Aと直交して立設した縦板5Bから構成され、横板5Aの上端面はベースプレート1の基板載置部1Cの上方に該当する位置が水平に形成され、その両側は下方傾斜している。
そして、2枚の横板5Aの上端面の水平位置に取り付け板6が水平に渡設され、取り付け枠5と一体に固定されている。
【0015】
取り付け板6はその板面の前部及び後部の中央に孔6Aが穿設されている。 又、取り付け板6の前部及び後部の両側に孔6Aと一直線上の位置に筒体7が垂設されている。
8は取り付け板6上の前部及び後部の中央に下向きに設けたエアーシリンダーであり、取り付け板6の孔6Aからシリンダーロッド9が挿通される。
尚、孔6A及び筒体7の下方部分の底板4は、巾が狭く形成されて底板4が存在しない。
【0016】
10はシリンダーロッド9の先方部に設けた雄側ジョイント、11は雄側ジョイント10とピン12で連結している雌側ジョイントである。この雌側ジョイント11の下部にガイドプレート13が固定されている。
又、ガイドプレート13は左右方向に細長い上部側ガイドプレート13Aと下部側ガイドプレート13Bから成り、上部側ガイドプレート13Aの前記筒体7の下方位置にシャフト挿通孔14が穿設されると共に、このシャフト挿通孔14に連続してシャフト挿通筒部14Aが垂設されている。
【0017】
このシャフト挿通筒部14Aの下部に上部側ガイドプレート13Aと同様に左右方向に長い細巾の下部側ガイドプレート13Bが固定されている。
そして、上部側ガイドプレート13Aと下部側ガイドプレート13B間に両ガイドプレートの長手方向に所定の間隔て緩衝用スプリング15を周囲に介して、鍔付ピン16が挿通されている。鍔付ピン16と緩衝用スプリング15とガイドプレート13で押圧体が構成されている。
尚、緩衝用スプリング15は弱いもので基板の浮き上がりを防止できる程度のものである。
【0018】
17は筒体7からシャフト挿通孔14を通り、シャフト挿通筒部14Aに挿通されたガイドシャフトであり、ガイドシャフト17の下端は下部側ガイドプレート13Bに固定されている。
18は筒体7に設けたブッシュである。
【0019】
19は上部フレーム3の底板4の門形の上部フレーム取り付け台2Aから突出した裏面にブラケット20により内側に向け横設した油圧シリンダーであり、この油圧シリンダー19のシリンダーロッド21の先端にジョイント22が固定され、このジョイント22の前方部に下面に押起体23をボルト24で着脱可能に取り付けたスライドプレート25が固定されている。
【0020】
26は上部フレーム3の底板4の裏面に底板4の長手方向に向け平行に設けた前後2本のガイドレールであり、このガイドレール26の前後面に一方の端部から他方の端部に凹溝26Aが設けられ、この凹溝26Aに嵌合し摺動する摺動体27がスライドプレート25の上面に固定されている。
尚、摺動体27の嵌合状態は図5に示している。
【0021】
図3及び図4は押起体を示し、押起体23は前面に横方向に水平に延長し細長い平滑な垂直面から成る刃引部23Aと、この刃引部23Aと連続して上方に設けた後方傾斜面23Bと、後方傾斜面23Bと連続して後方に設けた水平段部23Cと、水平段部23Cの後方上部の水平な上面部23Dと、垂直な後壁部23Eと、前方部が先端に向けて上方傾斜した底部23Fから構成されている。
【0022】
28はベースプレート1の天板1Aの基板載置部1C上で押起体23の前進方向の先方側のチップ排出孔1Dの手前に押起体23の進行方向と直交して設けた角棒状のストッパーである。
尚、図中29は基板載置部1C上に載置した基板、30は基板29に装着されたICチップである。
基板29には各種基板に対応し、ICチップ30以外に装着された抵抗、コネクター、コンデンサー等の各種実装部品にも対応し得ることは当然である。
【0023】
次に、本発明装置の機能を図面に基づき説明する。
先ず、ICチップ30が装着されている基板29をベースプレート1の基板載置部1C上に載置した後、エアーシリンダー8を作動し、シリンダーロッド9を下降すれば、シリンダーロッド9と雄側ジョイント10及び雌側ジョイント11を介して連絡しているガイドプレート13が下降し、上部側ガイドプレート13Aと下部側ガイドプレート13B間に設けられている鍔付ピン16が基板29とICチップ30の一部を上方より緩衝押圧する。押圧は緩衝用スプリング15により、夫々の鍔付ピン16は平均した押圧力となる。
又、ガイドプレート13の下降はガイドシャフト17が筒体7内を摺動することによりスムーズに行われる。
【0024】
次いで、油圧シリンダー19を作動し、シリンダーロッド21を前進すれば、ジョイント22を介して連絡しているスライドプレート25が前進し、スライドプレート25に設けた押起体23がICチップ30の側面に当接し押圧する。
スライドプレート25の前進は、スライドプレート25の上面に固定した摺動体27がガイドレール26に嵌合し摺動することによりスムーズに行われる。
【0025】
押起体23によりICチップ30の側面が押圧を受けると、基板29は押されて後方のストッパー28に当たる。勿論、基板29を基板載置部1Cに載置する時、予めストッパー28に当てて置いてもよい。
そして、基板29が後部をストッパー28で移動を阻止されていることと、上部から基板29が鍔付ピン16で浮き上がりを防止されていることにより、押起体23が前進を続けると端子が半田付け部より外れ、ICチップ30は押し起こされ、基板29から分離される。
押し起こしに際しては、押起体23の底面の前方部が先端に向け上方傾斜しているので、上方への押圧力が働き、起き易くなる。
【0026】
又、押起体23は前面が横方向に水平に延長し、細長い平滑な垂直面を有する刃引部23Aとなっているため、基板29上に配置されたICチップ30を刃引部23Aの延長巾で一括して押し起こし取り除く。
尚、刃引部23Aは一方の側端部から他方の側端部にかけて前進方向に角度を有しているため、刃引部23Aは横一列に並んでいるICチップ30を片側から順番に押し起こす。
そして、刃引部23Aと連続して上方に後方傾斜面23Bを有するため押し起こされ、基板29から分離されたICチップ30は後方傾斜面23Bに沿って後部上方へ逃げ、押起体23の刃引部23Aは次のICチップ30の前面に当接し押し起こし、以下同様に順次ICチップ30を取り除く。
ICチップ30はチップ排出孔1Dから排出される。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、基板に多数装着されているICチップ等を一括して基板から取り除くことができるので、従来の手作業によるものと異なり、効率的で手を傷付けることもなく、安全でかつ衛生的である。
又、チップの取り除きは全面的又は部分的にも可能で、装着数に関係なく処理できる。
又、ICチップ以外に装着された、鉄、非鉄金属及びその他の付属物にも対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明チップ取り除き装置の一実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】本発明 チップ取り除き装置の一実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明チップ取り除き装置の押起体の部分側面図である。
【図4】本発明チップ取り除き装置の押起体の部分平面図である。
【図5】本発明チップ取り除き装置のガイドレールの嵌合状態を示す部分正面図である。
【図6】本発明チップ取り除き装置の作用を示す部分縦断正面図である。
【符号の説明】
1 ベースプレート
1C 基板載置部
3 上部フレーム
8 エアーシリンダー
13 ガイドプレート
15 緩衝用スプリング
16 鍔付ピン
19 油圧シリンダー
23 押起体
23A 押起体の刃引部
23B 押起体の後方傾斜面
23F 押起体の底部
28 ストッパー
29 基板
30 ICチップ

Claims (2)

  1. 基板載置部を有するベースプレートの上方に、プレート面から間隔を於いて上部フレームが設けられ、この上部フレームの前記基板載置部の上方位置に基板又はチップの一部を上方から緩衝押圧し、基板の移動は可能であるけれど、浮き上がりを防止する押圧体が昇降可能に設けられ、前記ベースプレートと上部フレームの間に基板に装着されたチップを側方より押し起こし、チップを基板から分離する押起体が進退可能に設けられると共に、前記ベースプレートに基板の移動を阻止するストッパーが設けられ、前記押起体は前面にチップの側部に当接する横方向に長い刃引部を有し、かつこの刃引部と連続して上方に後方傾斜面が設けられていると共に、底面の前方部が先端に向けて上方傾斜していることを特徴とするチップ取り除き装置。
  2. 押起体の刃引部は一方の側端部から他方の側端部にかけて、前進行方向に角度を有していることを特徴とする請求項1記載のチップ取り除き装置。
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