JP3626690B2 - 色補正回路及び色補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は色補正回路及び色補正方法に関し、特に高価で複雑な色補正のための装置を用いることなく、表示装置の色表示特性に合わせた色補正を簡単に行うことができる色補正回路及び色補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶プロジェクタやデジタル・ライト・プロセッシング(DLP)プロジェクタなどにおいては、光源であるランプの色の特性や、ランプの色をR(赤)、G(緑)、B(青)に分離するダイクロイックミラーまたはカラーホイールの特性などの光学系の理由により、表示画面上の色バランスに誤差が生じ色ズレを生じるという問題があり、色再現性を改善するには、表示画面上の色バランスを補正する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プロジェクタタイプの表示装置においては、表示画面が大きいことなどの理由から、色バランスを補正する際に、基準信号発生器や種々の計測器など大がかりな装置を使用して補正する際の補正係数を算出しなければならず、プロジェクタ及び色バランスの補正に関する専門知識をもたない人が色補正のための調整を行うのは困難である。
【0004】
このため本発明の目的は、表示装置または色バランスの補正に関する高度な専門知識を持たない人であっても、表示画面を参照しながら容易に色バランスの補正を行うことが可能な色補正回路及び色補正方法を提供することにある。
【0005】
また本発明の目的は、表示画面上に表示された色サンプルと色サンプルに近い色から、マウスなどのポインティングデバイスを用いて本来の色サンプルに最も近い色を選択し、こうして選択した色の色データから色バランスを補正する際の補正係数を算出することにより、高価な基準信号発生器や種々の計測器を用いずかつ色バランスの調整工数を大幅に短縮することができる色補正回路及び色補正方法を提供することにある。
【0006】
さらに本発明の目的は、種々の色再現特性を有する表示装置に合わせて、容易に色バランスの補正を行うことができる色補正回路及び色補正方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明による色補正方法は、CPU制御の色補正手段を有する表示装置上で、ユーザーのポインティングデバイス操作に応じて前記CPUが前記色補正手段を制御することにより色サンプルの近傍色である補正色を補正する色補正方法において、最も赤の原色に近い赤補正色、最も緑の原色に近い緑補正色および最も青の原色に近い青補正色それぞれの周辺に、それぞれの補正色に近い色の色相および明度を変えた色サンプルを予め連続的に多数表示画面上に配色させる工程と、前記連続的に多数配色させた配色結果に基づき、ユーザーが所望の前記補正色を前記ポインティングデバイスでポイントして選択する際に、前記連続的に多数配色させた色サンプルのうち最も原色に近い補正色と判断した任意の箇所をポイントする工程と、前記ポイント結果に基づき前記補正色と前記原色とのずれを前記色補正手段に補正させる工程とを前記CPUに実行させることを特徴としている。また、前記連続的に多数配色させた色サンプルを示す前記表示画面は、彩度を最大にし色相をX軸の白方向に変化させた第1の色サンプル、その第1の色サンプルに対してY軸の黒方向に順次明度を変化させた第2、第3および第4の色サンプルに対応する画像信号と、これら第1、第2、第3および第4の色サンプル間をなめらかに色相および明度が変化していくグラディエーション状の色に対応する赤色信号、緑色信号、青色信号と、XY平面上の色を選択するための前記ポイントに対応するカーソルデータとをビデオメモリに書き込む工程を経て構成した画面を用いることができる。
【0008】
また、本発明による色補正回路は、CPU制御の色補正手段を有する表示装置上で、ユーザーのポインティングデバイス操作に応じて前記CPUが前記色補正手段を制御することにより色サンプルの近傍色である補正色を補正する色補正回路において、前記CPUが、最も赤の原色に近い赤補正色、最も緑の原色に近い緑補正色および最も青の原色に近い青補正色それぞれの周辺に、それぞれの補正色に近い色の色相および明度を変えた色サンプルを予め連続的に多数表示画面上に配色させ、前記連続的に多数配色させた配色結果に基づき、ユーザーが所望の前記補正色を前記ポインティングデバイスでポイントして選択する際に、前記連続的に多数配色させた色サンプルのうち最も原色に近い補正色と判断した任意の箇所をポイントすると、前記ポイント結果に基づき、前記CPUが前記補正色と前記原色とのずれを前記色補正手段に補正させる補正機能を備えたことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の色補正回路を含む画像表示装置のブロック図であり、本発明による色補正回路1と、画像を表示する画像表示手段2と、マウス、レーザポインタ、キースイッチなどのポインティングデバイスを用いて、表示手段2を構成する表示画面上のカーソルなどの操作を行う外部入力手段3と、外部入力手段3からの制御信号を受けて、色補正回路1を制御するCPU4とを備えている。
【0011】
また色補正回路1は、表示画面上に発色可能な全ての色を格納できるビデオメモリ10と、色補正回路1に印加され通常の画像信号を構成するR,G,Bの各信号であるR1信号,G1信号,B1信号と、ビデオメモリ10から出力する画像信号すなわちR2信号,G2信号,B2信号とを切り替えて、(R1,G1,B1)と(R2,G2,B2)のいずれか一方の出力信号である(R,G,B)を出力するセレクタ11と、セレクタ11から出力されたR,G,B各信号に対して係数を乗算し、R,G,B各信号に対する補正画像信号であるR’信号,G’信号,B’信号を生成するマトリクス回路12とを備えている。
【0012】
次に図1に示す画像表示装置の動作について図1,2、3を参照して説明する。
【0013】
ここでR1信号,G1信号,B1信号とR2信号,G2信号,B2信号およびR’信号,G’信号,B’信号は各8ビットとして説明するが、8ビットに限らず同一ビット幅であれば良い。
【0014】
最初に図2について説明すると、図2は彩度が最大となる図3に示す色立体の表面を展開し、X軸方向を色相としY軸方向を明度とした色を平面的に表現している。
【0015】
初めにCPU4は、図2に示すように彩度を最大にし色相をX軸方向に変化させた色サンプルP31〜P37、色サンプルP31〜P37に対してY軸方向に明度を変化させた色サンプルP11〜P17,P21〜P27,P41〜P47,P51〜P57に対応する画像信号と、これらの色サンプルP11〜P57間をなめらかに色相及び明度が変化していくグラディエーション状の色に対応するR2信号,G2信号,B2信号と、XY平面上の色を選択するためのカーソル21に対応するカーソルデータとをビデオメモリ10に書き込む。
【0016】
ここで色サンプルとは、表示画面の色バランスを補正する際に用いる代表的な色を意味している。色サンプルの最大数は表示画面の画素数で制限を受けるが、表示画面の画素数の範囲内で色サンプル数を多くすることにより、広範囲な色に対して良好な色再現性で色バランスを調整することができる。
【0017】
図2において、色サンプルP11〜P17の各R2,G2,B2信号は、全て明度の最大値すなわち8ビットの最大値255であり、色としては白に対応する。同様に、色サンプルP51〜P57の各R2,G2,B2信号は、全て明度の最小値すなわち8ビットの最小値0であり、色としては黒に対応する。
【0018】
また色サンプルP31〜P37は、それぞれ色バランスの誤差がない場合の赤色、黄色、緑色、水色、青色、マゼンダ色、赤色を表す。ここで例えば色サンプルP31の(255,0,0)は、ビデオメモリ10に書き込まれたR信号が255であり、B信号、G信号が共に0であることを示している。
【0019】
次にCPU4は切替信号S1により、色補正回路1及び表示手段2の同期信号に同期して、ビデオメモリ10からR2信号、G2信号、B2信号が出力するようにセレクタ11を制御すると共に、マトリクス回路12の係数aijを次の(1)式のように設定する。
【0020】
i=jのときaij=1,i≠jのときaij=0 ・・・(1)
ここでi,j=1〜3である。
【0021】
一般にマトリクス回路12では入力したR信号、G信号、B信号すなわち(R,G,B)に対して次のようなマトリクス演算が行われ、R’信号,G’信号,B’信号が出力される。
【0022】
(2)式中の(R,G,B)は、R信号、B信号、G信号の各大きさ0〜255を表し、(R’,G’,B’)は、R’信号、B’信号、G’信号の各大きさ0〜255を表わす。
【0023】
最初にCPU4は、マトリクス回路12に対して(1)式に示す係数を設定するので、R’信号、B’信号、G’信号は、それぞれR信号、B信号、G信号と等しくなり、ビデオメモリ10に格納された色信号とカーソルデータがそのまま表示画面上に表示される。
【0024】
次に使用者は図2の表示画面を見ながら、外部入力手段3を操作することによりカーソル21を移動させ、最も赤の原色に近いと判定した赤補正色H(R)と、最も緑の原色に近いと判定した緑補正色H(G)と、最も青の原色に近いと判定した青補正色H(B)とを選択する。
【0025】
このとき色サンプルP31の周囲の表示画面上には、色サンプルP31に近い色が色相および明度を変えて連続的に多数配色されているので、使用者は最も赤の原色に近い色を赤補正色として容易に選択することができる。同様に、色サンプルP33,P35の周囲の表示画面上には、色サンプルP33,P35にそれぞれ近い色が多数配色されているので、使用者は最も緑または青の原色に近い色を緑補正色及び青補正色として容易に選択することができる。
【0026】
そしてCPU4は、選択された補正色H(R),H(G),H(B)のそれぞれ対応しビデオメモリ10に書き込まれたR信号、B信号、G信号を所得する。
【0027】
すなわち図2に示すように、赤補正色H(R)に対応するR信号、B信号、G信号であるRhR,RhG,RhBと、緑補正色H(G)に対応するR信号、B信号、G信号であるGhR,GhG,GhBと、青補正色H(B)に対応するR信号、B信号、G信号であるBhR,BhG,BhBとの各信号データを所得する。
【0028】
本来、表示手段2の色再現性に誤差がなければ、H(R)=(255,0,0)、H(G)=(0,255,0)、H(B)=(0,0,255)になるはずであるが、表示手段2の色再現性に誤差があった場合や、使用者の色順応性の違いにより、図2に示すように、(255,0,0)→(RhR,RhG,RhB)、(0,255,0)→(GhR,GhG,GhB)、(0,0,255)→(BhR,BhG,BhB)のようにずれることがある。
【0029】
本発明による色補正回路1は、ビデオメモリ10に書き込まれたこのズレに対応する色データから、マトリクス回路12の係数をズレに応じて自動的に補正することにより色再現性を改善する。
【0030】
より具体的に説明すると、CPU4は選択されたH(R)=(RhR,RhG,RhB)、H(G)=(GhR,GhG,GhB)、H(B)=(BhR,BhG,BhB)のデータに基づき、(2)式に示す係数マトリクスをAhとして(3)式のように算出し、算出した値をマトリクス回路に設定する。
【0031】
nは色データのビット数を表し、上記においてはn=8であるから2n−1=255である。
【0032】
次にセレクタ11がCPU4からの切替信号S1により、ビデオメモリ10から出力するR2信号,G2信号,B2信号から、通常の画像信号を構成するR1信号,G1信号,B1信号に切り替えて、この信号を(3)式に示す係数を有するマトリクス回路12で演算し、演算結果である補正画像信号すなわちR’信号,G’信号,B’信号を表示手段2に出力する。
【0033】
このようにしてマトリクス回路で色信号が補正され、良好な色再現性を有する画像が表示手段2に表示される。
【0034】
具体的に(R1,G1,B1)として本来的には純粋な赤(255,0,0)が色補正回路1に入力した場合について説明すると、(2)式および(3)式から(R’,G’,B’)=(RhR,RhG,RhB)となることがわかる。
【0035】
すなわち、本来的には純粋な赤(255,0,0)の色データが補正され、表示画面上の純粋な赤である図2のH(R)=(RhR,RhG,RhB)に対応する色データに変換され表示画面に表示される。
【0036】
同様に(R1,G1,B1)として本来的には純粋な緑(0,255,0)が色補正回路1に入力した場合について説明すると、(2)式および(3)式から(R’,G’,B’)=(GhR,GhG,GhB)となることがわかる。
【0037】
すなわち、本来的には純粋な緑(0,255,0)の色データが補正され、表示画面上の純粋な緑である図2のH(G)=(GhR,GhG,GhB)に対応する色データに変換され表示画面に表示される。
【0038】
なお上記において、色サンプルとして純粋なR、G、Bを選択する場合について説明したが、他の色の組み合わせであっても良い。
【0039】
また、マウスなどの外部入力手段により表示画面上にカーソルを表示させて補正色を選択する場合について説明したが、カーソル表示によらずレーザポインタなどで画面上の補正色を選択するようにしても良い。
【0040】
また色サンプル間をなめらかに色相及び明度が変化していくグラディエーション状の色データを配置する場合について説明したが、色サンプルに色が近い色サンプル近傍色を色サンプルの近傍に配置するようにしても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による色補正回路及び色補正方法は、表示装置または色バランスの補正に関する高度な専門知識を持たない人であっても、表示画面を参照しながら容易に色バランスの補正を行うことが可能である。
【0042】
また、表示画面上に表示された色サンプルと色サンプルに近い色から、マウスなどのポインティングデバイスを用いて本来の色サンプルに最も近い色を選択し、こうして選択した色サンプルの色データから色バランスを補正する際の補正係数を算出することにより、高価な基準信号発生器や種々の計測器を用いず、かつ色バランスの調整工数を大幅に短縮して、色バランスの補正を行うことができる。
【0043】
さらに、種々の色再現特性を有する表示装置に合わせて、容易に色バランスの補正を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色補正回路を含む画像表示装置のブロック図である。
【図2】図1のビデオメモリ10に格納された色サンプルと、色サンプル間をなめらかに色相及び明度が変化していくグラディエーション状の色データとを、表示手段2を構成する表示画面に表示した一例である。
【図3】色相、明度、彩度の三属性を立体として表現した色立体である。
【符号の説明】
1 色補正回路
2 表示手段
3 外部入力手段
4 CPU
10 ビデオメモリ
11 セレクタ
12 マトリクス回路
Claims (3)
- CPU制御の色補正手段を有する表示装置上で、ユーザーのポインティングデバイス操作に応じて前記CPUが前記色補正手段を制御することにより色サンプルの近傍色である補正色を補正する色補正方法において、最も赤の原色に近い赤補正色、最も緑の原色に近い緑補正色および最も青の原色に近い青補正色それぞれの周辺に、それぞれの補正色に近い色の色相および明度を変えた色サンプルを予め連続的に多数表示画面上に配色させる工程と、前記連続的に多数配色させた配色結果に基づき、ユーザーが所望の前記補正色を前記ポインティングデバイスでポイントして選択する際に、前記連続的に多数配色させた色サンプルのうち最も原色に近い補正色と判断した任意の箇所をポイントする工程と、前記ポイント結果に基づき前記補正色と前記原色とのずれを前記色補正手段に補正させる工程とを前記CPUに実行させることを特徴とする色補正方法。
- 前記連続的に多数配色させた色サンプルを示す前記表示画面は、彩度を最大にし色相をX軸の白方向に変化させた第1の色サンプル、その第1の色サンプルに対してY軸の黒方向に順次明度を変化させた第2、第3および第4の色サンプルに対応する画像信号と、これら第1、第2、第3および第4の色サンプル間をなめらかに色相および明度が変化していくグラディエーション状の色に対応する赤色信号、緑色信号、青色信号と、XY平面上の色を選択するための前記ポイントに対応するカーソルデータとをビデオメモリに書き込む工程を経て構成した画面を用いる請求項1記載の色補正方法。
- CPU制御の色補正手段を有する表示装置上で、ユーザーのポインティングデバイス操作に応じて前記CPUが前記色補正手段を制御することにより色サンプルの近傍色である補正色を補正する色補正回路において、前記CPUが、最も赤の原色に近い赤補正色、最も緑の原色に近い緑補正色および最も青の原色に近い青補正色それぞれの周辺に、それぞれの補正色に近い色の色相および明度を変えた色サンプルを予め連続的に多数表示画面上に配色させ、前記連続的に多数配色させた配色結果に基づき、ユーザーが所望の前記補正色を前記ポインティングデバイスでポイントして選択する際に、前記連続的に多数配色させた色サンプルのうち最も原色に近い補正色と判断した任意の箇所をポイントすると、前記ポイント結果に基づき、前記CPUが前記補正色と前記原色とのずれを前記色補正手段に補正させる補正機能を備えたことを特徴とする色補正回路。
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