JP3626206B2 - Smad6及びその使用 - Google Patents
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Description
本発明は、TGF−βスーパーファミリーレセプターと相互作用し、そしてそれらのレセプターによるシグナル伝達のネガティブな調節体である、核酸及びコードされたタンパクに関する。本発明はまた、核酸又はポリペプチドを結合する薬剤に関する。本発明はさらに、疾病の治療及び/又は診断においてこのような核酸及びポリペプチドを使用する方法に関する。
発明の背景
哺乳動物胚発生及び成体組織ホメオスタシスの間に、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)は、細胞間伝達において中心的な役割を果たす(Roberts et al.,Growth Factors 8:1−9,1993)。この多面的な因子の細胞効果は、2つの遠縁の関係にあるタイプI及びタイプIIセリン/スレオニンキナーゼレセプター、それぞれ、TβR−I及びTβR−IIの、リガンド誘導性のヘテロオリゴマー形成によって行使される(Lin及びLodish,Trends Cell Biol.11:972−978,1993;Derynck,Trends Biochem.Sci.19−:548−553,1994;Massague及びWeis−Garcia、Cancer Surv.27:41−64,1996;ten Di jke et al.,Curr.Opin,Cell.Biol.8:139−145,1996)。2つのレセプターは、両方ともにシグナル伝達のために必要とされ、逐次作用する;TβR−Iは、構成的に活性なTβR−IIキナーゼについての基質である(Wranaら、Nature370:341−347,1994;Weiser et al.,EMBO J.14:2199−2208,1995)。
TGF−βは、種々の生物学的活性に関する構造的に関連するタンパクの大きなファミリーのプロトタイプである
Trends Cell Biol.7:187−192,1997;Roberts,A.B.,eds)pp.319−472,Springer−Verlag,Heidelberg(1990);Yingling et al.,Biochim.Biophys.Acta 1242:115−136,1995)。TGF−β“スーパーファミリー”は、同様の様式でシグナル伝達するアクチビン及び骨形態形成性タンパク(BMP)を含み、それぞれ、タイプIおよびタイプIIセリン/スレオニンキナーゼレセプターの異なる複合体を用いる(Lin及びLodish,1993;Derynck,1994;Massague及びWeis−Garcia,1996;ten Di jke et al.,1996)。TGF−β関連分子は、多数のシグナルが相互作用し、狭い局所的及び経時的調節下にあるような環境下で作用する。例えばアクチビン及びBMPは、アフリカツメガエル胚(Xenopus embryo)の発生において、拮抗的効果を示す(Graff et al.,Cell85:479−487,1996)。例えばCordin(Piccolo et al.,Cell86:589−598,1996)及びnoggin(Zimmerman et al.,Cell86:599−606,1996)は、リガンドに対して特異的に結合することにより、BMP4の腹側化効果(ventralizing effect)を阻害する。同様にフォリスタチン(follistatin)は、アクチビンの活性を無力化する(Hemmati−Brivalou et al.,Cell77:283−295,1994)。
ショウジョウバエ(Drosophila)及び線虫(Caenorhabditis elegans)のTGF−β様シグナル伝達経路の遺伝的研究により、それぞれ、mothers against dpp(Mad)(Sekelsky et al.,Genetics 139;1347−1358,1995)及びsma(Savage et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 93:790−794,1996)遺伝子の同定に至った。これらの関連の遺伝子の産物は、これらの生物体においてセリン/スレオニンキナーゼレセプターを介して作用するTGF−β様リガンドの下流で本質的な機能を果たす(Wiersdorf et al.,Development 122:2153:2163,1996;Newfeld et al.,Development 122:2099−2108,1996;Hoodless et al.,Cell85:489−500,1996)。Mad及びsmaの脊椎動物ホモログは、Smad(Derynck et al.,Cell87:173,1996)又はMADR遺伝子(Wrana及びAttisano,Trends Genet.12:493−496,1996)と呼ばれる。Smad2及びSmad4/DPC4における遺伝子変化は、特定の腫瘍サブセットで見出され、従ってSmadは、腫瘍抑制遺伝子として機能することができる(Hahn et al.,Science 271:350−353,1996;Riggins et al.,Nature Genet.13:347−349,1996;Eppert et al.,Cell86:543−552,1996)。Smadタンパクは、高い類似性を有する2つの領域(MH1及びMH2ドメインと呼ばれる)を有し、可変性のプロリン−リッチ配列で連結される(Massague,Cell85:947−950,1996;Derynck及びZhang,Curr.Biol.6:1226−1229,1996)。Smad2のC末端部分は、異種DNA結合ドメインに融合した場合、転写活性を有することが見出された(Liu et al.,Nature 381:620−623,1996;Meersseman et al.,Mech.Dev.61:127−1400,1997)。インタクトなSmad2タンパクは、DNA結合ドメインに融合される場合、潜在性であるが、転写活性がリガンドでの刺激後に現れた(Liu et al.,1996)。
アフリカツメガエル(Xenopus)での機能アッセイを用いると、異なるSmadは、異なる応答を特定する。Smad1は、腹側中胚葉を誘導する(BMP様応答)が、Smad2は、背側中胚葉を誘導する(アクチビン/TGF−β様応答)(Graff et al.,Cell85:479−487,1996;Baker及びHarland,Genes & Dev.10:1880−1889,1996;Thomsen,Development 122:2359−2366,1996)。リガンド刺激の際、Smadは、セリン及びスレオニン残基でリン酸化され;BMPはSmad1リン酸化を刺激するが、TGF−βは、Smad2及びSmad3リン酸化を誘導する(Hoodless et al.,Cell85;489−500,1996;Liu et al,1996;Eppert et al.,1996;Lechleider et al.,J.Biol.Chem.271:17617−17620,1996;Yingling et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8940−8944,1996;Zhang et al.,Nature 383:168−172,1996;
et al.,Cell87:1215−1224,1996;Nakao et al.,J.Biol.Chem.272:2896−2900,1996)。
Smad4は、TGF−β、アクチビン及びBMPシグナル伝達の共通のコンポーネントである(Lagna et al.,Nature 383:168−172,1996;Zhang et al.,Curr.Biol.7:270−276,1997;de Winter et al.,Oncogene 14:1891−1900,1997)1997)。従って、Smad4リン酸化は、トランスフェクトされた細胞のアクチビン刺激後にのみ報告された(Lagna et al.,1996)。TGF−β又はアクチビンでの刺激後、Smad4は、Smad2又はSmad3と相互作用し、そしてBMP投与の際に、Smad4及びSmad1のヘテロマーの複合体が、観察された(Lagna et al.,1996)。リガンド刺激の際、Smad複合体は、細胞質から核に移動し(Hoodless et al.,1996;Liu et al.,1996;Baker及びHarland,1996;
1996)、ここでは、DNA結合タンパクとの組合わせで、それらは遺伝子転写を調節することができる(Chen et al.,Nature 383:691−696,1996)。
発明の概要
本発明は、単離された核酸分子、それらの分子のユニークフラグメント、これらを含む発現ベクター、及びこれらの分子でトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。本発明は又、単離されたポリペプチド、及びこのようなポリペプチドを結合する、抗体を含む薬剤を提供する。これらは、Smad6核酸もしくはポリペプチドの発現、又はその欠損によって特徴付けられる症状の診断又は治療に使用することができる。本発明は又、このような症状の診断又は治療において有用な薬理学的薬剤を同定するための方法を提供する。本明細書中で、本発明者らは、Smad6の同定を示し、これは、Smad1、Smad2、及びSmad3を含む経路特異的Smadを阻害し、TGF−β及びBMPのようなTGF−βスーパーファミリーシグナル伝達経路を阻害する。
本発明の一側面によると、単離された核酸分子が提供される。該分子は、配列番号:1(SEQ ID NO:1)の核酸配列からなる分子に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。この単離された核酸分子は、TGF−β、アクチビン、又はBMPシグナル伝達を阻害するポリペプチドをコードする。本発明は、遺伝コードの縮重により、コドン配列において前記の単離された核酸分子とは異なる核酸分子をさらに包含する。
いくつかの態様では、単離された核酸分子は配列番号:3の核酸配列からなる分子、又は配列番号:1の核酸配列から本質的になる分子を含む。
本発明の他の側面によると、単離された核酸分子が提供される。この単離された核酸分子は、12個から1487個のヌクレオチド長である配列番号:3のユニークフラグメント及びその相補鎖からなる分子を含むが、該単離された核酸分子は、配列番号:4のみからなる配列を除外するものとする。一態様では、単離された核酸分子は配列番号:1の12個から32個の連続したヌクレオチド、又はそのような核酸分子の相補鎖からなる。好適な態様では、ユニークフラグメントは、配列番号:1、配列番号:3、又はそれらの相補鎖の少なくとも14、15、16、17、18、20又は22個の連続したヌクレオチドである。
本発明の他の側面によると、本発明は、上記の核酸分子を含む、発現ベクター、及びそのような発現ベクターでトランスフォーム又はトランスフェクトされた宿主細胞に関する。
本発明のさらに他の側面によると、トランスジェニック非−ヒト動物が提供される。この動物は、いくつかの態様において、前記発現ベクターを含む。いくつかの好適態様では、トランスジェニック非−ヒト動物は、組織特異的、発生段階特異的、又は誘導可能な方法で、Smad6の発現を増加させる発現ベクターのような条件的なSmad6発現ベクターを含む。他の態様では、トランスジェニック非−ヒト動物はSmad6核酸分子の発現を減少している。いくつかの態様では、トランスジェニック非−ヒト動物は、相同組み換えにより破壊されたSmad6遺伝子を含む。この破壊は、ホモ接合体的又はヘテロ接合体的であることができる。他の態様では、トランスジェニック非−ヒト動物は、例えば組織特異的、発生段階特異的、又は誘導可能な、リコンビナーゼの発現により仲介されるような破壊を含む。さらに他の態様では、トランスジェニック非−ヒト動物は、アンチセンスSmad6核酸分子、ドミナントネガティブSmad6タンパクをコードする核酸分子、Smad6指向性リボザイム等のような、Smad6発現のトランスアクティングネガティブレギュレーターを含む。
本発明の他の側面によると、単離されたポリペプチドが提供される。該単離されたポリペプチドは、請求項1、2、3、又は4のいずれかに記載の単離された核酸分子によりコードされ、この単離されたポリペプチドは、TGF−β、アクチビン、又はBMPシグナル伝達阻害活性を有する。好ましくは単離されたポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列からなる。
他の態様では、Smad6タンパク又はそのフラグメントを選択的に結合する単離されたポリペプチドを提供するが、単離されたポリペプチドはTGF−β、アクチビン又はBMPタイプIレセプターのようなTGF−βスーパーファミリーレセプターではないものとする。単離されたポリペプチドは、いくつかの態様では、請求項1、2、3、又は4のいずれかに記載の単離された核酸分子によりコードされるポリペプチドに結合する。好適な単離されたポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列からなるポリペプチドにより規定されるエピトープに結合する。好適な態様では、単離された結合ポリペプチドは抗体及び抗体のフラグメント(例えばFab、F(ab)2、Fd及び本発明のSmad6ポリペプチドに選択的に結合するCDR3領域を含む抗体フラグメント)を含む。さらに他の好適な態様では、単離されたポリペプチドは、モノクローナル抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。
本発明は、他の側面において、単離されたポリペプチドの複合体を提供する。該複合体は、TGF−βスーパーファミリーレセプター又は請求項16に記載のポリペプチドに結合するレセプター複合体を含む。好ましくは単離された複合体は、配列番号:2のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。他の好適な態様では、レセプター又はレセプター複合体は、TβR I、BMPR−I A、BMPR−I B、ActR−I A、TβR IとTβR IIとの複合体、BMPR−I AとActR−IIとの複合体、BMPR−I BとBMPR−IIとの複合体及びActR−I AとBMPR−IIとの複合体からなる群から選択される。
本発明のさらに他の側面では、哺乳動物細胞でTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションを減少させるための方法を提供する。該方法は、哺乳動物細胞を、哺乳動物細胞において、そのようなシグナルトランスダクションを減少させるために効果的なTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションの阻害剤の量と接触させる工程に関する。好ましくはTGFβスーパーファミリーシグナルトランスダクションは、TGF−βスーパーファミリーリガンド、特にTGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及び/又はBMP−7により仲介される。経路特異的Smad(例えばSmad1、Smad2、Smad3及び/又はSmad5)のリン酸化を調節するための、他の方法が提供される。哺乳動物細胞を、Smad1又はSmad2リン酸化それぞれを減少させる薬剤と接触させる工程により、哺乳動物細胞におけるSmad1又はSmad2リン酸化を減少させるための方法が提供される。哺乳動物細胞を、Smad3リン酸化を増加させる薬剤と接触させる工程により、哺乳動物細胞におけるSmad3のリン酸化を増加させるための方法が提供される。前記方法のいくつかの態様では、薬剤は、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸又は配列番号:1の核酸、又はそれらの縮重鎖又は相補鎖によりコードされるポリペプチドのような単離されたSmad6ポリペプチドである。
本発明のさらに他の側面によると、ガン細胞の増殖及び/又は分化を調節するための方法が提供される。該方法は、ガン細胞を、ガン細胞の増殖及び/又は分化を減少させるために効果的な上記の単離されたSmad6の量と接触させる工程に関する。
さらなる側面における本発明は、哺乳動物細胞におけるTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションを増加させるための方法を提供する。哺乳動物細胞は、TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションを増加するのに効果的な量で、本発明の単離された核酸分子又はその発現産物に選択的に結合する薬剤と接触させる。好ましくはTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションは、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択されるTGFβスーパーファミリーリガンドにより仲介される。好適な薬剤は、修飾された核酸を含む、アンチセンスSmad6核酸、及び配列番号:2のアミノ酸を含むSmad6ポリペプチドに結合する抗体を含むポリペプチド、及び配列番号:2のポリペプチドのドミナントネガティブ変異体である。
本発明のさらに他の側面は、Smad6ポリペプチド及び医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。
本発明のさらなる側面は、対象におけるSmad6 TGF−βスーパーファミリー阻害活性を減少させる方法に関する。本発明の単離された核酸分子又はその発現産物に選択的に結合する薬剤は、そのような治療が必要な対象に、対象中のSmad6のTGF−βシグナルトランスダクションスーパーファミリー阻害活性を減少させるために効果的な量で、投与される。好ましくはこのTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションは、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択されるTGFβスーパーファミリーリガンドにより仲介される。好適な薬剤は、修飾された核酸を含むアンチセンス核酸、及び配列番号:2のアミノ酸を含むポリペプチドに結合する抗体を含むポリペプチド、配列番号:2のポリペプチドのドミナントネガティブ変異体である。
本発明のさらに他の側面によると、異常なBMP活性によって特徴付けられる症状を治療するための方法が提供される。該方法は、そのような治療が必要な対象に対して、BMP活性を正常に回復させるのに十分効果的なSmad6又はSmad6アゴニスト又はアンタゴニストの量を投与する工程を含む。いくつかの態様では、該症状とは、背部縦靱帯(posterior longitudinal ligament)の骨化及び黄色靱帯(ligament Flavum)の骨化からなる群から選択される。
本発明の他の側面によると、異常なTGF−β活性によって特徴付けられる症状を治療するための方法が提供される。該方法は、そのような治療が必要な対象に対して、TGF−β活性を正常に回復させるのに十分効果的なSmad6又はSmad6アゴニスト又はアンタゴニストの量を投与する工程を含む。いくつかの態様では、該症状は、硬変症及び血管閉塞症(veno−occlusive disease)を含む肝繊維症、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、同種移植片拒絶及びHIV腎症を含む腎繊維症、突発性繊維症、自己免疫性繊維症を含む肺繊維症、全身性硬化症(systemic sclerosis)、ケロイド、肥大性火傷瘢痕及び好酸球増加性−筋痛症候群を含む皮膚繊維症、血管性レステノーシス(vascular restenosis)及びアテローム性動脈硬化症を含む動脈繊維症、眼球内繊維症を含む中枢神経系繊維症、及び慢性関節リウマチ及び鼻性ポリポシス(nasal polyposis)を含む他の繊維性疾患からなる群から選択される。
本発明の他の側面によると、サイクリンAの発現を調節するための方法が提供される。該方法は、細胞を、サイクリンAの発現を調節するために効果的な量のSmad6又はアゴニスト又はそのアンタゴニストと接触させる工程を含む。いくつかの態様では、細胞をSmad6又はそのアゴニストと結合させ、サイクリンAの発現を増加させる。他の態様では、細胞をSmad6のアンタゴニストと接触させ、サイクリンAの発現を減少させる。好ましくはSmad6のアンタゴニストは、Smad6に対する抗体、Smad6のドミナントネガティブ変異体及びSmad6アンチセンス核酸からなる群から選択される。
本発明の他の側面によると、Smad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性と関連する疾病の診断及び治療に有用な薬理学的薬剤のためのリード化合物を同定するための方法を提供する。1セットの方法は、Smad6ポリペプチド、TGF−βスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体、及び候補薬理学的薬剤の混合物を形成する工程に関する。該混合物は、候補薬理学的薬剤の不存在下で、Smad6ポリペプチドによるTGF−βスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体の特異的結合の基準量を起こす条件下でインキュベートされる。そしてSmad6ポリペプチドによるTGF−βスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体の特異的結合の試験量が同定される。候補薬理学的薬剤の存在下での前記活性の増加の同定は、候補薬理学的薬剤がSmad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を増加させる候補薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示している。候補薬理学的薬剤の存在下での前記活性の減少の同定は、候補薬理学的薬剤がSmad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を減少させる候補薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示している。他のセットの方法は、上記のように混合物を形成する工程、さらに経路特異的Smadポリペプチドを添加する工程、そして経路特異的Smad6ポリペプチドのTGF−βスーパーファミリー誘導リン酸化の基準量及び試験量を同定する工程に関する。候補薬理学的薬剤の存在下でのリン酸化の増加の同定は、候補薬理学的薬剤がSmad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を減少させる候補薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示している。候補薬理学的薬剤の存在下でのリン酸化の減少の同定は、候補薬理学的薬剤がSmad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を増加させる候補薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示している。好適なSmad6ポリペプチドは、請求項16に記載のポリペプチドを含む。好ましくはTGFβスーパーファミリーレセプターは、TGFβスーパーファミリータイプIレセプター、TGFβスーパーファミリータイプIIレセプター及びTGFβスーパーファミリータイプIレセプターとTGFβスーパーファミリータイプIIレセプターとの複合体からなる群から選択される。好適な経路特異的Smadポリペプチドは、Smad1及びSmad2を含む。
本発明のさらに他の側面によると、哺乳動物細胞中でSmad3のリン酸化を増加させるための方法が提供される。該方法は、哺乳動物細胞を、哺乳動物細胞中でSmad3のリン酸化を増加させるために十分効果的な単離されたSmad6ポリペプチドの量と接触させる工程を含む。
本発明の他の側面によると、哺乳動物細胞中でSmad2とSmad3又はSmad4とのヘテロ結合を減少させるための方法を提供する。該方法は、哺乳動物細胞を、哺乳動物細胞中でのSmad2とSmad3又はSmad4とのヘテロ結合を減少させるために十分効果的な単離されたSmad6核酸又はポリペプチド又はそのアゴニストの量と接触させる工程を含む。
医薬品の製造における、前記組成物、核酸及びポリペプチドの使用も提供される。
前記組成物及び方法においては、TGF−βスーパーファミリーの好適なメンバーは、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及びBMP−7であり、そして好適な経路特異的Smadポリペプチドは、Smad1、Smad2、Smad3及びSmad5である。
本発明のこれら及び他の目的は、発明の詳細な説明においてさらに詳細に記述されるであろう。
【図面の簡単な説明】
図.1は、(A)Smad6(配列番号:2)のタンパク配列をSmad1−5(配列番号:6−10)と並記して示す写真図及び(B)ヒト(左)及びマウス(右)組織ブロットにおけるマウス及びヒトSmad6の組織局在を示す写真図を示したものである。
図.2は、タイプIレセプター;(A)TβR−1、(B)ActR−I B、(C)BMPR−I Bに対するSmad6の結合を示す写真図を示したものである。
図.3(パネルA−D)は、Smad1、Smad2及びSmad3のリン酸化に対するSmad6の効果を示した写真図を示したものである。
図.4(パネルA−C)は、Smad1、Smad2及びSmad3のヘテロ結合に対するSmad6の効果を示した写真図を示したものである。
図.5(パネルA−C)は、Smad1、Smad2及びSmad3のTGF−βの転写応答に対するSmad6の効果を示した写真図を示したものである。
図.6(パネルA−C)は、BMP−2(A)、BMP−7/OP−1(B)又はTGF−β1(C)での細胞の刺激の後のSmad6の発現を示した写真図を示したものである。
配列の簡単な説明
配列番号:1は、マウスSmad6 cDNAのヌクレオチド配列である。
配列番号:2は、マウスSmad6タンパクのアミノ酸配列である。
配列番号:3は、マウスSmad6 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列である。
配列番号:4は、GenBank受託番号U59914を有するSmad6関連cDNAのヌクレオチド配列である。
配列番号:5は、GenBank受託番号U59914を有するSmad6関連タンパクのアミノ酸配列である。
配列番号:6は、図.1に示したSmad1タンパクのアミノ酸配列である。
配列番号:7は、図.1に示したSmad2タンパクのアミノ酸配列である。
配列番号:8は、図.1に示したSmad3タンパクのアミノ酸配列である。
配列番号:9は、図.1に示したSmad4タンパクのアミノ酸配列である。
配列番号:10は、図.1に示したSmad5タンパクのアミノ酸配列である。
発明の詳細な説明
Smad1、Smad2、Smad3、及びSmad5がリガンド特異的シグナルを減少させることはすでに示した。加えて、Smad4は、これらのリガンド特異的Smadの本質的な共通のパートナーとして働く。本研究において、Smad6がSmadファミリーの第三のクラスに属するメンバーとして報告される。Smad6は、Smad1、Smad2、Smad3、Smad4及びSmad5とは全く異なる構造を有し、TGF−βスーパーファミリーのシグナル伝達のネガティブレギュレーターであると信じられている。正確なメカニズムにより関連づけることは望めないが、Smad6による調節機序は、Smad6がタイプIレセプターに安定に結合するので、レセプターレベルでのものであると信じられている。
本発明の一側面は、TGF−βスーパーファミリーレセプターと相互作用するSmad6タンパクをコードするcDNAのクローニングに関する。TGF−βスーパーファミリーメンバーは、当業者に周知であり、TGF−β類、アクチビン類、骨形成性タンパク類(BMPs)、Vg1、ミュラー管阻害物質(MIS)及び増殖/分化因子類(GDFs)を含む。マウスSmad6遺伝子の配列は、配列番号:1として示され、この遺伝子のタンパク産物の予想されるアミノ酸配列は、配列番号:2として示される。核酸及びタンパクデータベースとの比較による配列の解析は、Smad6が他のSmadタンパクに関連するC−末端ドメイン(MH2ドメイン)を有することを明らかにした(図.1)。
従って、本発明は、一側面において、Smad6ポリペプチド、これらのポリペプチドをコードする遺伝子、前記の機能的な修飾体及び変異体、前記の有用なフラグメント、並びにこれらに関連する治療に関する。
本発明のSmad6核酸のホモログ及び対立遺伝子は、慣用の技術により同定することができる。例えば、Smad6のヒトホモログは、ストリンジェントな条件下でヒトcDNAライブラリーを、配列番号:1から誘導されたプローブとハイブリダイズさせ、ポジティブクローンを選択することにより同定することができる。その存在、サイズ、及びヒトホモログの組織分布は、ノーザンブロットにより例として示される。従って、本発明の一側面は、Smad6をコードするこれらの核酸配列、及びストリンジェントな条件下で配列番号:1からなる核酸分子にハイブリダイズするこれらの核酸配列である。本明細書中で使用される、用語“ストリンジェントな条件”とは、当該分野でよく知られるパラメーターをいう。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、このような方法を編集する参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrook et al.,eds.,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York、1989,又はCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,John Wiley & Sons,Inc.,New York)に見出される。より具体的には、本明細書中で使用されるストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%Ficoll、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)での、65℃でのハイブリダイゼーションをいう。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり、及びEDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、その表面にDNAが転写されたメンブレンは、2×SSCで室温で洗浄し、次いで、0.1×SSC/0.1×SDSで、65℃までの温度にて洗浄される。
使用することが可能な他の条件、薬剤などが存在し、これは、同程度のストリンジェンシーを生じる。当業者はこのような条件に精通しているため、このような条件は本明細書中に示さない。しかし、当業者は、本発明のSmad6核酸のホモログ及び対立遺伝子がはっきり同定できる方法で、条件を操作し得ることが理解されよう。当業者は又、このような分子の発現について、細胞及びライブラリーをスクリーニングするための方法論に精通しており、これらno分子はルーチン的に単離され、続いて適切な核酸分子が単離され、そして配列決定される。
一般に、ホモログ及び対立遺伝子は、配列番号:1及び配列番号:2それぞれに、少なくとも40%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも50%のアミノ酸同一性を有し、いくつかの例では、少なくとも50%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも65%のアミノ酸同一性を有し、なお他の例では、少なくとも60%のヌクレオチド同一性及び/又は少なくとも75%のアミノ酸同一性を有する。上記の核酸のWatson−Crick相補鎖は又、本発明によって包含される。
Smad6タンパクのスクリーニングにおいては、サザンブロットを、放射性プローブとともに上記の条件を使用して行うことができる。DNAが最終的に転写されたメンブレンを洗浄した後、メンブレンを、放射活性なシグナルを検出するためにX線フィルムに置くことができる。
本発明は又、天然材料に存在するコドンに対する代替のコドンを含む、縮重核酸を包含する。例えば、セリン残基は、コドンTCA、AGT、TCC、TCG,TCT、及びAGCによってコードされる。6つのコドンのそれぞれは、セリン残基をコードすることについては均等である。従って、セリンをコードするヌクレオチド3塩基のいずれもが、伸長するSmad6ポリペプチドにセリン残基を組込むために、インビトロ又はインビボで、タンパク合成装置に用いることができる。同様に、他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列3塩基としては:CCA、CCC、CCG、及びCCT(プロリンコドン);CGA、CGC、CGG、CGT、AGA、及びAGG(アルギニンコドン);ACA、ACC、ACG、及びACT(スレオニンコドン);AAC及びAAT(アスパラギンコドン);ならびにATA、ATC、及びATT(イソロイシンコドン)が挙げられるが、これらに制限されない。他のアミノ酸残基は、複数のヌクレオチド配列によって同様にコードされる。従って、本発明は、遺伝コードの縮重に起因して、コドン配列において生物学的に単離される核酸とは異なる縮重核酸を包含する。
本発明は又、配列番号:1又は配列番号:1の相補鎖の単離されたユニークフラグメントを提供する。ユニークフラグメントは、より大きな核酸についての“サイン”であるフラグメントである。例えば、フラグメントは、その正確な配列が、上述で規定されるSmad6核酸の外側の分子では見出せないことを保証するのに十分な長さである。ユニーク配列は、このような核酸を同定するために、サザンブロットアッセイにおいてプローブとして使用され得るか、又はPCRを用いるアッセイのような増幅アッセイにおいて使用され得る。当業者に公知であるように、200ヌクレオチド又はそれ以上の大きなプローブは、サザンブロットのようないくつかの使用において好ましく、一方、より小さなプローブは、PCRのような使用において好ましい。ユニークフラグメントは又、実施例に示したように、抗体を生成するため、もしくはポリペプチドフラグメントの結合を決定するため、又はイムノアッセイ成分を作製するための、融合タンパクを生成するために使用することもできる。同様に、ユニークフラグメントは、例えば、抗体の作製、イムノアッセイに有用であり、またTGF−β、アクチビン、BMPレセプター、及び/又はSmad6ポリペプチドに結合する他のポリペプチドの競合的な結合パートナーとして、例えば治療的用途において有用な、Smad6ポリペプチドの非融合フラグメントを作製するために使用することができる。ユニークフラグメントは、特に以下により詳細に記載されるような治療的目的のために、Smad6核酸及びポリペプチドの発現を阻害するためのアンチセンス分子として、さらに使用することができる。
当業者によって認識されるように、ユニークフラグメントのサイズは、遺伝コードにおけるその保存性に依存する。従って、配列番号:1及びその相補鎖のいくつかの領域は、ユニークであるためにより長いセグメントを必要とし、一方、その他は短いセグメント、典型的には、12個から32個の間のヌクレオチド(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31及び32塩基長)のみを必要とする。配列番号:4のヌクレオチド配列又は完全に、配列番号:1と重複するそのフラグメント(GenBank受託番号U59914)からなる核酸分子を除き、実際、配列番号:1、又はその相補鎖のいかなるセグメント、すなわち18又はそれ以上のヌクレオチド長は、ユニークであろう。配列番号:4の配列又はそのフラグメントから完全に構成されるフラグメントは、Smad6についてのいかなるユニークなヌクレオチドにも含まれないものである。好適なより長いユニークフラグメントは、少なくとも35、40、45、50、55、60、65、70、75、100、150、200、250、300、又は500ヌクレオチド長のものを含む。特に好適なものは、配列番号:4と重複しない配列番号:3の部分から完全に抜粋されているユニークフラグメントである。
本発明のユニークフラグメントは、いくつかの特定の先行技術による核酸又はそのフラグメントと同一であるものを除くものとする。先行技術に存在するそのような分子を請求項が含まないという意図である。例えば、本発明のSmad6配列と同一なGenBank受託番号AA451501、AA046702、W72479、AA131352、AA131266、W41111、N48277を有する先行技術のESTの一部、及びそれに類するものは、Smad6のユニークフラグメントではない。従って、これらの配列のみからなるか、これらの配列のフラグメントのみからなる核酸は、先行技術の範囲内にあると思料する。しかしながら、本発明の新規な配列のいかなる一部をも含む核酸は、本発明に包含され、これは新規な配列の連続した一部及び先行技術の配列を有するものを含む。そのような配列は、本明細書中に示すように、予期せぬ性質を有する。一態様では、ユニークフラグメントは、除外された先行技術の配列のいかなる一部をも含まない。当業者は、興味ある配列を非Smad6核酸から選択的に識別するために、典型的にはユニークフラグメントの能力に基づいて、そのような配列を選択するための方法に精通している。インビトロで確認的なハイブリダイゼーション及びシーケンス分析を行うこともできるが、典型的には当業者に周知のデータベースとそのフラグメントの配列の比較が、必要な全てである。
ユニークフラグメントは機能的フラグメントであることができる。本発明の核酸分子の機能的フラグメントは、機能的なポリペプチドをコードし、タンパクに結合し、作動的に結合されている核酸の転写を調節するというようなより大きな核酸分子のいくつかの機能的性質を保持するフラグメントである。ある通常の当業者は、ルーチン実験以上を使用することなく、フラグメントが核酸分子の機能的フラグメントであるかどうか、本明細書に記載されているアッセイを使用して、速やかに同定することが可能であり、そして当該技術について周知である。
上記のように、本発明は、Smad6の量を減少させることにより、TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達を増加させるために、Smad6ポリペプチドをコードする核酸分子に選択的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。これは、例えばTGF−βシグナル伝達を増加させるためにSmad6の減少が望ましい、実際にいかなる医学的症状においても望ましい。
本明細書中で使用される用語“アンチセンスオリゴヌクレオチド”又は“アンチセンス”とは、特定の遺伝子を含むDNAに、又はその遺伝子のmRNA転写産物に、生理学的な条件下でハイブリダイズし、それによって、その遺伝子の転写及び/又はそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシボヌクレオチド、修飾されたオリゴリボヌクレオチド、又は修飾されたオリゴデオキシボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを示す。アンチセンス分子は、標的遺伝子又は転写産物とのハイブリダイゼーションの際に、標的遺伝子の転写又は翻訳を妨げるように設計される。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さ、及びその標的とのその相補性の程度が、標的の配列、及びその配列を含む、特定の塩基を含む選択される特異的な標的に依存することを認識する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、生理学的な条件下で標的と選択的に結合するように、すなわち、生理学的な条件下で標的細胞における任意の他の配列に対してよりも、標的配列に対して、実質的にハイブリダイズするように、構築及び配列されることが好ましい。配列番号:1に基づいて、又は対立遺伝子もしくは相同なゲノム及び/又はcDNAの配列に基づいて、当業者は、本発明による使用のために適切な任意の多くのアンチセンス分子を、容易に選択及び合成することができる。阻害について十分に選択的であり、及び強力であるために、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的に対して相補的である少なくとも10個の、及びより好ましくは、少なくとも15個の保存的な塩基を含むべきであるが、ある場合において、7塩基長程の修飾されたオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして成功裡に使用されている(Wagner et al.,Nature Biotechnol.14:840−844、1996)。最も好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30塩基の相補的な配列を含む。遺伝子又はmRNA転写産物の任意の領域に対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳開始部位、転写開始部位、又はプロモーター部位のようなN末端又は5'上流部位に対応する。さらに、3'非翻訳領域を標的化することができる。mRNAスプライシング部位に対する標的化が又、当該分野において使用されてきたが、選択的なmRNAスプライシングが生じる場合には、あまり好ましくないかもしれない。さらにアンチセンスは、好ましくはmRNA二次構造が予測されない部位に対して(例えば、Sainio et al.,Cell Mol.Nurobilo.14(5):439−457、1994を参照されたい)及びタンパクが結合することが予測されない部位に対して標的化される。最後に、配列番号:1は、cDNA配列を開示するが、当業者は、配列番号:1のcDNAに対応するゲノムDNAを容易に引き出し得る。従って、本発明は又、配列番号:1に対応するゲノムDNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。同様に、対立遺伝子的又は相同的cDNA及びゲノムDNAに対するアンチセンスは、過度の実験を伴わないで入手可能である。
態様の1組において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、“天然の”デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はその任意の組合せから構成される。すなわち、一方のネイティブなヌクレオチドの5'末端及び他方のネイティブなヌクレオチドの3'末端は、天然の系におけるように、リン酸ジエステルヌクレオチド間結合を介して、共有結合的に連結される。これらのオリゴヌクレオチドは、手動で、又は自動シンセサイザーによって行われる当該分野で認識される方法によって作製され得る。これらは又、ベクターによって組換え的に生成することもできる。
しかし、好ましい態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは又、“修飾された”オリゴヌクレオチドを含むことができる。すなわち、オリゴヌクレオチドは、それらの標的にハイブリダイズすることを妨げないが、それらの安定性もしくは標的化を増強するか、又はそうでなければそれらの治療的有効性を増強する、多くの方法で修飾されることができる。
本明細書中で使用される用語“修飾されたオリゴヌクレオチド”とは、(1)そのヌクレオチドの少なくとも2つが、合成ヌクレオシド間の結合(すなわち、一方のヌクレオチドの5'末端と、他方のヌクレオチドの3'末端との間のリン酸ジエステル結合以外の結合)を介して共有結合的に連結され、及び/又は(2)核酸と通常結合しない化学基が、オリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されているオリゴヌクレオチドを示す。好適な合成ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデート、カルバメート、カルボネート、リン酸三エステル、アセタミデート、カルボキシメチルエステル及びペプチドである。
用語“修飾されたオリゴヌクレオチド”とは、共有結合的に修飾された塩基及び/又は糖を有するオリゴヌクレオチドをも包含する。例えば、修飾されたオリゴヌクレオチドは、3'位でヒドロキシル基以外の、及び5'位でリン酸基以外の、低分子量の有機基に共有結合的に結合される糖骨格を有するオリゴヌクレオチドを含む。従って、修飾されたオリゴヌクレオチドは、2'−0−アルキル化リボース基を含むことができる。加えて、修飾されたオリゴヌクレオチドは、リボースの代わりにアラビノースのような糖を含むことができる。従って、本発明は、Smad6ポリペプチドをコードする核酸に相補的であり、生理学的な条件下で、これとハイブリダイズ可能である修飾されたアンチセンス分子を、医薬的に許容される担体とともに含む医薬製剤を意図する。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物の一部として投与される。このような医薬組成物は、当該分野において公知である任意の標準的な生理学的に及び/又は薬理学的に許容される担体と組合わせて、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得る。組成物は、滅菌されるべきであり、及び治療学的に有効な量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、患者への投与に適切な重量又は容量の単位において含むべきである。用語“医薬的に許容される”とは、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げない非毒性の材料を意味する。用語“生理学的に許容される”とは、細胞、細胞培養物、組織又は生物体のような生物学的な系と適合性である非毒性の物質をいう。担体の特徴は、投与の経路に依存する。生理学的に及び医薬的に許容される担体としては、希釈剤、賦形剤、塩類、緩衝液、安定化剤、可溶化剤及び当該分野において周知である他の材料を含む。
本明細書中で使用される、“ベクター”とは、異なる遺伝子環境間の輸送のために、又は宿主細胞における発現のために、所望の配列が、制限及び連結によって挿入され得る任意の多くの核酸である。ベクターは、典型的には、DNAから構成されるが、RNAベクターが又利用可能である。ベクターとしては、プラスミド、ファージミド及びウイルスゲノムが挙げられるが、これらに制限されない。クローニングベクターは、宿主細胞において複製可能であるベクターであり、ならびにベクターが検出可能な形式で切断され、所望のDNA配列が、新規な組み換えベクターが宿主で複製するその能力を保持するように、連結される1又は2以上のエンドヌクレアーゼ制限部位によって、さらに特徴付けられる。プラスミドの場合には、所望の配列の複製は、宿主細菌内で、プラスミドはコピー数において増加するにつれて多数回生じ得るか、又は宿主が有糸分裂によって再生される前に、宿主当たり1回生じ得る。ファージの場合には、複製は、溶解期の間に能動的に生じるか、又は溶原期の間に受動的に生じる。発現ベクターは、所望のDNA配列が、調節配列に作動可能に結合され、RNA転写産物として発現されるように、所望のDNA配列が制限及び連結によって挿入され得るベクターである。ベクターはさらに、ベクターでトランスフォーム又はトランスフェクトされたか、又はされていない細胞の同定に使用するために適当である、1又は2以上のマーカー配列を含み得る。マーカーとしては、例えば、抗生物質又は他の化合物に対する抵抗性又は感受性のいずれかを増加又は減少するタンパクをコードする遺伝子、活性が当該分野において公知の標準的なアッセイによって検出可能である酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)をコードする遺伝子、及びトランスフォーム又はトランスフェクトされた細胞、宿主、コロニー、又はプラークの表現型を視覚的に表現する遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク)が挙げられる。好適なベクターは、自己複製できるもの、及び作動可能に結合されるDNAセグメントに存在する構造遺伝子産物を発現できるものである。
本明細書中で使用される、コード配列及び調節配列は、これらが、調節配列の影響及び制御下でコード配列の発現又は転写を行うように共有結合的に連結される場合に、“作動可能に”結合されるという。コード配列が機能的なタンパクに翻訳されることが所望される場合には、2つのDNA配列は、5'調節配列におけるプロモーターの誘導が、コード配列の転写を生じ、2つのDNA配列間の結合の性質が、(1)結果としてフレームシフト変異を導入しない、(2)プロモーター領域がコード配列の転写を指示する能力を妨げない、又は(3)タンパクに翻訳される対応するRNA転写産物の能力を妨げない場合に、作動可能に結合されるといわれる。従って、プロモーター領域は、得られる転写産物が所望のポリペプチド又はタンパクに翻訳されるようにそのDNA配列の転写を達成し得る場合に、コード配列に作動可能に結合されている。
遺伝子発現のために必要とされる調節配列の正確な性質は、種又は細胞型の間で変化し得るが、一般に、必要に応じて、それぞれ、転写及び翻訳の開始と関連する例えば、TATAボックス、キャップ配列、CATT配列などの5'非転写配列及び5'非翻訳配列を含む。特に、このような5'非転写調節配列は、作動可能に結合される遺伝子の転写制御についてのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。調節配列は又、所望であれば、エンハンサー配列又は上流のアクチベーター配列を含むことができる。本発明のベクターは、5'リーダー配列又はシグナル配列を必要に応じて含むことができる。適切なベクターの選択及び設計は、当業者の能力及び裁量の範囲内である。
発現のための全ての必要なエレメントを含む発現ベクターは、市販されており、当業者に公知である。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照されたい。細胞は、一般に、Smad6ポリペプチド又はそのフラグメントもしくは変異体をコードする異種DNA(RNA)の、細胞への導入によって遺伝子操作される。異種DNA(RNA)は、宿主細胞で異種DNAの発現を許容する転写エレメントの操作可能な条件下に置かれる。
哺乳動物細胞におけるmRNA発現についての好ましい系は、G418耐性(これは、安定にトランスフェクトされたセルラインの選択を容易にする)を付与する遺伝子のような選択マーカー、及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー−プロモーター配列を含む、pRc/CMV(Invitrogen,Carlsbad,CAから入手可能)のような系である。さらに、霊長類又はイヌセルラインにおける発現について適切であるのは、pCEP4ベクター(Invitrogen)であり、これは、エプスタインバールウイルス(EBV)の複製開始点を含み、多重コピー染色体外エレメントとしてプラスミドの維持を容易にする。別の発現ベクターはpEF−BOSプラスミドであり、ポリペプチド伸長因子1αのプロモーターを含み、これはインビトロでの転写を効率的に刺激する。プラスミドは、Mishizuma及びNagata(Nuc.Acids Res.18:5322、1990)に記載され、トランスフェクション実験でのその使用は、例えば、Demoulin(Mol.Cell.Biol.16:4710−4716,1996)によって開示される。なお別の好ましい発現ベクターは、アデノウイルスであり、Stratford−Perricaudetによって記載され、これは、E1及びE3タンパクを欠損する(J.Clin.Invest.90:626−630,1992)。アデノ.P1A組換え体としてのアデノウイルスの使用は、P1Aに対する免疫化のために、マウスでの皮膚内注射において、Warnierらによって開示される(Int.J.Cancer,67:303−310,1996)。
本発明は又、いわゆる発現キットを包含し、これは当業者が所望の発現ベクターを作製することを許容する。このような発現キットは、少なくとも別々の部分の以前に考察されたコード配列のそれぞれを含む。必要とされる以前に記載された配列が含まれる限り、他の成分が、所望に応じて添加されていてもよい。
本発明は又、細胞及び動物におけるSmad6遺伝子“ノックアウト”の構築を許容し、TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションのある局面及びその細胞的、発生的及び生理学的効果を研究するための材料を提供する。
本発明は、配列番号:2及び配列番号:2のユニークフラグメントのポリペプチドを含む、単離されたポリペプチドをも提供する。そのようなポリペプチドは、例えば単独で、又は融合タンパクとして、免疫アッセイの成分として抗体を生成するために有用である。
一般に、Smad6ポリペプチドのユニークフラグメントは、核酸に関連する上記の議論のようなユニークフラグメントの性質及び特徴を有する。当業者により認識されるように、ユニークフラグメントのサイズは、そのフラグメントが保存されているタンパク領域を構成しているかどうかのような要因に依存するであろう。従って、配列番号:2のいくつかの領域は、ユニークであるためにより長いセグメント(例えば、20、30、50、75、及び100アミノ酸長)を必要とし、一方その他は典型的には5個から12個の間のアミノ酸(例えば5、6、7、8、9、10、11及び12アミノ酸長)のみの短いセグメントを必要とするであろう。実際、配列番号:5により重複されない配列番号:2のいかなるセグメントで、しかも10又は11以上のアミノ酸長であるものは、ユニークであろう。Smad6ポリペプチドのユニークフラグメントは、配列番号:2と重複する配列番号:5のアミノ酸配列から完全に構成されるフラグメントを含まない。配列番号:5の配列から完全に構成されるフラグメントは、Smad6についてユニークないかなるアミノ酸も含まないものである。
ポリペプチドのユニークフラグメントは、好ましくは明確なポリペプチドの機能的能力を保持するフラグメントである。ポリペプチドのユニークフラグメントに保持される機能的能力は、抗体との相互作用、他のポリペプチド(TGF−βスーパーファミリータイプIレセプターのような)又はそのフラグメントとの相互作用、核酸又はタンパクの選択的な結合、及び酵素活性を含む。当業者は、典型的には非−ファミリーメンバーから興味ある配列を選択的に識別するために、ユニークフラグメントの能力に基づいて、ユニークアミノ酸配列を選択するための方法に精通している。周知のデータベースとそのフラグメントとの配列の比較が、典型的には必要な全てである。
本発明は、上記のSmad6ポリペプチドの変異体を包含する。本明細書中で使用される、Smad6ポリペプチドの“変異体”とは、Smad6ポリペプチドの1次アミノ酸配列に対する1又は2以上の変異を含むポリペプチドである。Smad6変異体を作製する修飾は、1)例えば、TβR−Iへの結合のようなSmad6ポリペプチドの活性を減少し又は排除するために;2)例えば、発現系におけるタンパクの安定性もしくはタンパク−タンパク結合の安定性のようなSmad6ポリペプチドの特性を増強するために;又は3)Smad6ポリペプチドの例えば抗原性エピトープの付加又は検出可能な部分の添加といった、新規な活性又は特性を提供するために、Smad6ポリペプチドに対してなされ得る。Smad6ポリペプチドに対する修飾は、典型的には、Smad6ポリペプチドをコードする核酸に対してなされ、欠失、ポイントミューテーション、短縮、アミノ酸置換及びアミノ酸又は非アミノ酸部分の付加を含み得る。代わりに、修飾は、切断、リンカー分子の付加、検出可能な部分(例えば、ビオチン)の付加、脂肪酸の付加などによって、ポリペプチドに直接的に行うことができる。修飾はまた、Smad6アミノ酸配列の全て又は部分を含む融合タンパクをも包含する。
一般に、変異体は、その生理学的活性に関連しないポリペプチドの特徴を改変するために特異的に修飾されたSmad6ポリペプチドを含む。例えばシステイン残基は、非所望のジスルフィド結合を防止するために置換又は欠失されていてもよい。同様にいくつかのアミノ酸は、発現系におけるプロテアーゼによるタンパク分解を排除することにより、Smad6ポリペプチドの発現を増強するために変化されてもよい(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発現系におけるに塩基性アミノ酸残基)。
Smad6ポリペプチドをコードする核酸のミューテーションは、好ましくはコード配列のアミノ酸リーディングフレームを保持し、そして好ましくは、変異体ポリペプチドの発現に有害であり得る、例えばヘアピン又はループのような二次構造を形成する、ハイブリダイズしがちな核酸の領域を含まない。
ミューテーションは、アミノ酸置換を選択することにより、又はポリペプチドをコードする核酸で選択される部位のランダムな変異誘発により行うことができる。そして変異体ポリペプチドは発現され、どの変異が所望の特性を有する変異体ポリペプチドを提供するか決定するために、1又は2以上の活性について試験される。特定の宿主での翻訳に好ましいコドンを提供するさらなる変異を、変異体(又は非−変異体Smad6ポリペプチドに対して)行うことができる。例えばE.colでの核酸の翻訳に好ましいコドンは、当業者に周知である。さらに他の変異を、ポリペプチドの発現を増強するために、Smad6遺伝子又はcDNAクローンの非コード配列に行うことができる。Smad6ポリペプチド変異体の活性は、変異体Smad6ポリペプチドをコードする遺伝子を細菌又は哺乳動物発現ベクター中にクローニングし、ベクターを適切な宿主細胞に導入して、変異体Smad6ポリペプチドを発現させ、そして本明細書中に開示されるようなSmad6ポリペプチドの機能的能力を試験する工程により試験される。例えば、変異体Smad6ポリペプチドは、実施例にて開示されるようなTβR−I(及び/又はアクチビン又はBMPレセプター)シグナル伝達活性の阻害について、又は本明細書中に開示されるようにSmad1又はSmad2リン酸化の阻害について試験することができる。他の変異体ポリペプチドの作製は、当業者に周知であるように、他の活性の試験に好都合である。
当業者はまた、保存的なアミノ酸置換が、上述のポリペプチドの機能的に均等、すなわち、Smad6ポリペプチドの機能的な能力を保持する変異体を提供するためにSmad6ポリペプチドにおいてなされることを認識している。本明細書中で使用される、“保存的なアミノ酸置換”とは、アミノ酸置換がなされるタンパクの相対的な電荷及びサイズの特徴を変化させないアミノ酸の置換をいう。変異体は、例えば、このような方法を編集する参考文献、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual、J.Sambrook et al.,eds.,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989又はCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,eds.,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに見出されるような、当業者に公知のポリペプチド配列を変化するための方法に従って作製することができる。Smad6ポリペプチドの例示的で機能的に均等な変異体は、配列番号:2の保存的なアミノ酸置換を含む。アミノ酸の保存的な置換は、(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;及び(g)E、Dの群内でのアミノ酸間でなされる置換を含む。
例えば、当業者に周知の方法を使用して、Smad6ポリペプチドのアミノ酸配列に保存的アミノ酸置換を起こすことができる。結合ペプチドの機能的変異体を同定するための方法の例としては、Strominger及びWucherpfennigの公開されているPCT出願(PCT/US96/03182、HLAクラスII結合ペプチドの変異体の同定を記載する)がある。この記載されている方法は、TβR−I又はTβR−Iスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体に結合するSmad6変異体を同定するために使用することができる。これらの変異体は、例えば改善された安定性について試験することができ、とりわけ、TGF−βスーパーファミリーシグナル伝達の調節に有用である。
Smad6ポリペプチドの機能的に均等な変異体を生成するためのSmad6ポリペプチドのアミノ酸配列における保存的なアミノ酸置換は、典型的には、Smad6ポリペプチドをコードする核酸(配列番号:1)の改変によってなされる。このような置換は、当業者に公知の多様な方法によってなされる。例えば、アミノ酸置換は、Kunkel(Kunkel,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.82:488−492,1985)の方法によるPCR特異的変異、部位特異的変異誘発によって、又はSmad6ポリペプチドをコードする遺伝子の化学合成により行うことができる。アミノ酸置換が、Smad6ポリペプチドの小さなユニークフラグメント(TβR−I結合部位ペプチド)になされる場合には、置換はペプチドを直接的に合成することによりなされる。Smad6ポリペプチドの機能的に均等なフラグメントの活性は、改変されたSmad6ポリペプチドをコードする遺伝子を、細菌又は哺乳動物発現ベクターにクローニングし、適切な宿主にベクターを導入し、改変されたSmad6ポリペプチドを発現し、及び本明細書中に開示されるようなSmad6ポリペプチドの機能的な能力について試験することにより試験される。化学的に合成されるペプチドは、例えば、TβR−Iへの結合のような機能について直接的に試験することができる。
本明細書中に記載されるように、本発明は多くの使用を有し、そのうちのいくつかは、本明細書中の他の箇所に記載される。第一に、本発明はSmad6タンパク分子(配列番号:2)の単離を許容する。当業者に周知の多様な方法論が単離されたSmad6分子を得るために利用することができる。ポリペプチドは、クロマトグラフィー手段又は免疫学的認識により、天然に生成する細胞から精製される。代わりに、発現ベクターをポリペプチドの生成を引き起こすために細胞に導入することができる。別の方法において、mRNA転写産物は、コードされるポリペプチドの生成を引き起こすために、細胞にマイクロインジェクションするか、又は他の方法で導入することができる。網状赤血球溶解物系のような無細胞抽出物におけるmRNAの翻訳はまた、ポリペプチドを生成するために使用され得る。当業者はまた、Smad6ポリペプチドを単離するために、公知の方法に容易に従い得る。これらには、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び免疫アフィニティークロマトグラフィーが挙げられるが、これらに制限されない。
本発明は、本明細書中に開示されるSmad6に対するそのようなタンパクの結合により、TβR−I、ActR−I B及びBMPR−I Bのようなタンパクの単離を可能にする。この結合の同定は、TβR−Iのような他のタンパクに対するSmad6の結合を阻止することを当業者に可能にもする。例えばそのようなタンパクの結合は、Smad6とTβR−Iの結合を減少又は阻止さえするのに十分な量で、タンパクがSmad6 TβR−I結合部位を含むポリペプチドと結合するような、生物学的系(例えば細胞)に導入することにより影響を与えることができる。TGF−βスーパーファミリーレセプターに対するSmad6結合の同定は、そのようなレセプターに結合するSmad6アミノ酸配列を単離すること、及びTβR−I、Act−R I B及びBMPR−I Bのようなタンパクに結合することが可能な修飾されたタンパクを作製することも、標準的な組み換えDNA技術を使用して、当業者に可能にする。例えば、当業者があるタンパクをTβR−Iレセプター複合体に標的化することを所望する場合には、当業者はそのタンパクとSmad6 TβR−I結合部位との融合ポリペプチドを作製することができる。さらに他の使用が本明細書中にさらに記載される。
本発明はまた、いくつかの態様において、配列番号:2に由来する“ドミナントネガティブな”ポリペプチドを提供する。ドミナントネガティブなポリペプチドは、タンパクの不活性な変異体であり、これは細胞機構との相互作用によって、細胞機構との相互作用からその活性なタンパクを置き換えるか、又は活性タンパクと競合し、それによって活性なタンパクの効果を減少する。例えば、リガンドを結合するが、リガンドの結合に応答してシグナルを伝達しないドミナントネガティブなレセプターは、リガンドの発現の生物学的な効果を減少することができる。同様に、標的タンパクと通常相互作用するが、標的タンパクをリン酸化しないドミナントネガティブな触媒的に不活性なキナーゼは、細胞性のシグナルに応答する標的タンパクのリン酸化を減少させることができる。同様に、遺伝子の制御領域におけるプロモーター部位に結合するが、遺伝子転写を増加しないドミナントネガティブな転写因子は、転写を増加することなく、プロモーター結合部位を占有することによって、通常の転写因子の効果を減少することができる。
細胞におけるドミナントネガティブなポリペプチドの発現の最終結果は、活性なタンパクの機能の減少である。当業者は、タンパクのドミナントネガティブな変異体についての能力を評価でき、標準的な変異誘発技術を使用して、1又は2以上のドミナントネガティブな変異体ポリペプチドを作製することができる。例えば、Smad6ポリペプチドの本明細書中に含まれる技術を考慮して、当業者は、部位特異的変異誘発、変異誘発の探知、部分的な遺伝子欠失、又は短縮などによってSmad6ポリペプチドの配列を修飾し得る。例えば、米国特許第5,580,723号及びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照されたい。そして当業者は、選択された活性の減少(例えば、Smad6のTGF−βシグナル伝達活性の減少)について、及び/又はこのような活性の保持について、変異誘発ポリペプチドの集団を試験し得る。タンパクのドミナントネガティブな変異体を作製及び試験するための他の類似の方法は、当業者に明白である。
ドミナントネガティブSmad6タンパクは、TGF−βスーパーファミリーレセプターのSmad6の結合部位の一部がTGF−βレセプター複合体とのSmad6相互作用を減少させるか、阻止するために変異又は欠失されている変異体を含む。他の例には、Smad1、Smad2及び/又はSmad3のリン酸化を阻害するための能力が減少しているSmad6が含まれる。当業者は、C−末端ドメイン(例えばMH2ドメインで)において、又はN−末端ドメイン(例えばグリシン/グルタミン酸残基リッチ領域)において、変異又は欠失を生じるSmad6変異体を速やかに作製することができる。
本発明はまた、Smad6ポリペプチド及びSmad6ポリペプチドと例えば、TβR−Iのような結合パートナーとの複合体に結合するポリペプチドのような薬剤を含む。このような結合剤は、例えば、Smad6ポリペプチド及びSmad6ポリペプチドとその結合パートナーとの複合体の存在又は不存在を検出するためのスクリーニングアッセイにおいて、及びSmad6ポリペプチド及びSmad6ポリペプチドとその結合パートナーとの複合体を単離するための精製プロトコルにおいて使用することができる。このような薬剤はまた、Smad6ポリペプチド又はその結合パートナーのネイティブな活性を、例えば、このようなポリペプチド又はそれらの結合パートナー又はその両方に結合することにより阻害するために使用することができる。
従って本発明は、例えば、Smad6ポリペプチドに選択的に結合する能力を有する抗体又は抗体のフラグメントであり得るペプチド結合剤を包含する。抗体は、慣用の方法論に従って作製されるポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む。
実際、当該分野において周知であるように、抗体分子の小部分のみのパラトープが、そのエピトープに対する抗体の結合に関与する(例えば、一般に、Clark、W.R.(1986)The Experimental Foundations of Modern Imm unologyWiley & Sons,Inc.、New York;Roitt,I.(1991)Essential Immunology.,第7版,Blackwell Scientific Publications,Oxfordを参照されたい)。pFc'及びFc領域は、例えば、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与しない。pFc'領域が、酵素的に切断されたか、又はpFc'領域を伴わずに生成された抗体は、F(ab')2フラグメントと称され、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素的に切断されたか、又はFc領域を伴わずに生成された抗体は、Fabフラグメントと称され、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の1つを保持する。さらにFabフラグメントは、共有結合される抗体L鎖と、Fdと記される抗体H鎖の部分からなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定基であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化することなく、10個までの異なるL鎖と結合させることができる)、及びFdフラグメントは、単離におけるエピトープ結合能力を保持する。
抗体の抗原結合部分内で、当該分野において周知であるように、相補性決定領域(complementarity determining region)(CDR)(これは、抗原のエピトープと直接的に相互作用する)、及びフレームワーク領域(FR)(これは、パラトープの三次構造を維持する)が存在する(一般には、Clark,1986;Roitt,1991を参照されたい)。IgG免疫グロブリンのH鎖Fdフラグメント及びL鎖の両方において、3つの相補性決定領域(CDR1からCDR3)によってそれぞれ分けられる、4つのフレームワーク領域(FR1からFR4)が存在する。CDR、特にCDR3領域、とりわけH鎖CDR3は、主に、抗体特異性を担う。
哺乳動物抗体の非CDR領域は、元来の抗体のエピトープ特異性を保持しながら、同種特異的又は異種特異的な抗体の類似の領域で置き換えることが当該技術で確立されている。これは、機能的な抗体を生成するために、非ヒトCDRがヒトFR及び/又はFc/pFc'領域に共有結合的に結合される“ヒト化”抗体の開発及び使用において、最も明らかに示されている。従って、例えば、PCT国際公開番号WO92/04381は、マウスFR領域の少なくとも部分が、ヒト起源のFR領域によって置き換えられているヒト化マウスRSV抗体の生成及び使用を教示する。このような抗体は、抗体結合能力を有するインタクトな抗体のフラグメントを含み、通常、“キメラ”抗体と呼ばれる。
従って、当業者に明らかであるように、本発明はまた、F(ab')2、Fab、Fv及びFdフラグメント;Fc及び/又はFR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖CDR3領域が、相同なヒト又は非ヒト配列によって置き換えられているキメラ抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖CDR3領域が、相同なヒト又は非ヒト配列によって置き換えられているキメラF(ab')2フラグメント抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又はL鎖CDR3領域が、相同なヒト又は非ヒト配列によって置き換えられているキメラFabフラグメント抗体;及びFR及び/又はCDR1及び/又はCDR2領域が、相同なヒト又は非ヒト配列によって置き換えられているキメラFdフラグメント抗体を提供する。本発明はいわゆる単鎖抗体をも含む。
従って、本発明は、Smad6ポリペプチド及びSmad6ポリペプチドと、それらの結合パートナーとの両方の複合体に特異的に結合する、多数のサイズ及びタイプのポリペプチドを含む。これらのポリペプチドはまた、抗体技術以外の供給源に由来することができる。例えば、このようなポリペプチド結合剤は、溶液中に、固定化形態において、又はファージディスプレイライブラリーとして容易に作成することができる変性ペプチドライブラリーによって提供される。コンビナトリアルライブラリーがまた、1又は2以上のアミノ酸を含有するペプチドから合成することができる。ライブラリーはさらに、ペプトイド及び非ペプチド合成部分(例えば擬似ペプチド)から合成することができる。
ファージディスプレイは、本発明による有用な結合ペプチドを同定するのに特に有効である。要するに、従来の手順を使用して4個〜約80個のアミノ酸残基のインサートをディスプレイするファージライブラリー(例えば、m13、fd、またはλファージを使用して)を作製する。インサートは、例えば、完全に変性のまたは偏向されるアレイを示す。そしてSmad6ポリペプチドに結合するインサートを保有するファージを選択することができる。このプロセスは、Smad6ポリペプチドに結合するファージの、数サイクルの再選択を通じて反復することができる。反復することは、特定の配列を保有するファージの富化となる。DNA配列分析が、発現されるポリペプチドの配列を同定するために行われる。Smad6ポリペプチドに結合する配列の最小直線状部分(minimal linear portion)が、決定される。最小直線状の一部又は全体及びその上流又は下流の1又は2以上のさらなる変性残基を含有するインサートを含む、偏向化ライブラリーを使用してこの手順を反復することができる。酵母ツーハイブリッドスクリーニング法はまた、Smad6ポリペプチドに結合するポリペプチドを同定するために使用される。従って、本発明のSmad6ポリペプチド又はそのフラグメントは、ペプチドライブラリー(ファージディスプレイライブラリーを含む)をスクリーニングするために、本発明のSmad6ポリペプチドのペプチド結合パートナーを同定及び選択するために、使用される。このような分子は、記載されるように、スクリーニングアッセイのために、精製プロトコルのために、Smad6の機能を直接的に妨げるために、及び当業者に明らかである他の目的のために使用することができる。
Smad6ポリペプチド、またはそのフラグメントはまた、例えば、TGF−β複合体を含むそれらのネイティブな結合パートナーを単離するために使用することができる。このような結合パートナーの単離は、周知の方法に従って行われる。例えば、単離されたSmad6ポリペプチドは、基質(例えば、ポリスチレンビーズのようなクロマトグラフィー媒体、またはフィルター)に付着され、次いでTGF−βレセプター複合体を含むことが予測される溶液を基質にアプライする。Smad6ポリペプチドと相互作用し得るTGF−βレセプター複合体が溶液中に存在する場合には、これは基質結合化Smad6ポリペプチドに結合するであろう。そしてTGF−βレセプター複合体を単離することができる。他のSmad、アクチビンレセプター複合体、及びBMPレセプター複合体のようなSmad6の結合パートナーである他のタンパクは、過度の実験を伴わないで、類似の方法によって単離することができる。
本発明は、発現ベクター、ならびにトランスフェクト宿主細胞及びセルライン(これらは原核生物(例えば、E.coli)、又は真核生物(例えば、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系及び昆虫細胞における組換えバキュロウイルス発現である)におけるSmad6 cDNA配列の使用を包含する。特に有用なものは、ヒト、マウス、ハムスター、ブタ、ヤギ、霊長類などのような哺乳動物細胞である。これらは、種々の組織タイプであり、一次細胞及びセルラインを含むことができる。特定の例としては、ケラチノサイト、抹消血白血球、骨髄幹細胞、胚幹細胞を含む。発現ベクターには、適切な配列、すなわち前出に記載されるそれらの核酸がプロモーターに作動可能に連結されることを必要とする。
Smad6遺伝子の単離は、当業者に、Smad6の異常発現により特徴付けられる疾病を診断することを可能にする。これらの方法は、Smad6遺伝子、及び/又はそれから誘導されるSmad6ポリペプチドの発現を同定する工程に関する。前者の状況では、そのような同定は、ポリメラーゼ連鎖反応、又はラベルされたハイブリダイゼーションプローブでのアッセイを含む、いかなる標準的な核酸同定アッセイによっても行うことができる。
本発明はさらに、細胞におけるTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションを減少又は増加させるための方法を提供する。そのような方法は、例えば異常なTGF−βシグナルトランスダクションを阻止するため又は欠損TGF−βシグナルトランスダクションを増加させるための潜在能力について化合物を試験するような場合において、TGF−βシグナルトランスダクションをインビトロで改変するために有用である。インビボでは、そのような方法は、例えばガン及び繊維症を治療する場合のように、増殖を調節するために有用である。そのような方法は、過剰又は欠損TGF−βシグナルトランスダクションの結果として引き起こされる症状の治療にも有用である。TGF−βシグナルトランスダクションは、例えば例に記載されているレポーター系のような当業者に公知の種々の方法により、測定することができる。Smad6活性の様々な調節体が、本明細書中に開示された方法を使用して、TGF−βシグナルトランスダクションにおける効果についてスクリーニングされ得る。まず当業者は、TGF−βシグナル伝達活性のようなSmad6活性の調節を同定し、そのような調節体を標的細胞又は対象に供して、標的細胞又は対象での効果を評価する。例えばガンの治療に有用なSmad6の調節体のスクリーニングでは、培養の細胞をSmad6調節体と接触させ、細胞の増殖又は病巣形成の増加又は減少を標準的な方法により同定することができる。Smad6活性調節体の他のTGF−βシグナルトランスダクション下流の効果に対する効果は、多くの細胞タイプで同様の方法により、評価することができる。
従って、異常なTGF−βスーパーファミリー活性により特徴付けられるいくつかの症状においてTGF−βスーパーファミリーを調節するために、Smad6タンパク又はSmad6タンパクをコードする核酸、又はSmad6のアゴニスト又はアンタゴニストを投与することの治療的利益が存在する。異常に上昇したBMP活性に関する症状の特定の例には、背部縦靱帯の骨化(Yonemori et al.,Am.J.Pathol.150:1335−1347,1997)及び黄色靱帯の骨化(Hayashi et al.,Bone21:23−30,1997)が含まれる。異常なTGF−β活性に関する症状の特定の例には、硬変症及び血管閉塞症(veno−occlusive disease)を含む肝繊維症、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、同種移植片拒絶及びHIV腎症を含む腎繊維症、突発性繊維症、自己免疫性繊維症を含む肺繊維症、全身性硬化症(systemic sclerosis)、ケロイド、肥大性火傷瘢痕及び好酸球増加性−筋痛症候群を含む皮膚繊維症、血管性レステノーシス(vascular restenosis)及びアテローム性動脈硬化症を含む動脈繊維症、眼球内繊維症を含む中枢神経系繊維症、及び慢性関節リウマチ及び鼻性ポリポシス(nasal polyposis)を含む他の繊維性疾患が含まれる(例えばBorder及びNoble,N.Engl.J.Med.331:1286−1292,1994を参照されたい)。
Smad6、又はそのアゴニスト又はアンタゴニストの有効量が、症状を治療するために対象に投与され、その量はルーチン実験で当業者により決定される。例えば骨化の治療のためのSmad6の有効量を決定するために、Smad6を投与し、そして骨化の進行を、標準的な医学的診断方法を使用して、モニターすることができる。骨化の進行を遅らせるか、又は骨化の進行を停止さえさせるSmad6の量が、有効量である。当業者はそのような方法に精通しているであろう。TGF−βスーパーファミリー活性の異常な上昇又は減少に関連する他の症状は、必要とされる正常範囲にTGF−βスーパーファミリー活性を減少又は上昇させるために、Smad6又はそのアゴニスト、又はSmad6アンタゴニストそれぞれを投与することにより、同様にして治療することができる。Smad6アンタゴニストには、上記のようなSmad6に対する抗体、Smad6のドミナントネガティブ変異体及びアンチセンスSmad6核酸が含まれる。Smad6アゴニストには、Smad6発現、結合又は活性を増加させる薬剤が含まれる。
投与時には、本発明の治療的組成物は、医薬的に許容される製剤で投与される。このような製剤は、通常、医薬的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、アジュバント及びサイトカインのような補充的な免疫増強剤ならびに必要に応じて他の治療的薬剤を含むことができる。
本発明の治療薬は、注射を含む任意の慣用の経路によって、又は経時的な徐々の注入によって、投与することができる。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、又は経皮的であり得る。抗体が治療学的に使用される場合、投与の好ましい経路は、肺エアロゾルによってである。抗体を含有するエアロゾル送達システムを製造するための技術は、当業者に周知である。一般的には、このようなシステムは、抗体の生物学的な特性(例えば、パラトープ結合能力)を全く損なわない成分を利用するべきである(例えば、Sciarra及びCutie,“Aerosols"Remington's Pharmaceutical Science s,第18版,1990,1694−1712を参照されたい;引用により取り込まれる)。当業者は容易に、過度の実験に頼ることなく、抗体エアロゾルを製造するための、種々のパラメーター及び条件を決定し得る。本発明のアンチセンス製剤を使用する場合、ゆっくりとした静脈内投与が好ましい。
非経口投与のための製剤は、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む。非水性溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エチルオレエートのような注射可能な有機エステルが挙げられる。水性の担体には、食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液又は固定油を含む。血管内ビヒクルには、溶液及び塩類補給剤、電解質補給剤(リンゲルブドウ糖液を基本にして)等が含まれる。保存剤及び他の添加物は、例えば抗細菌剤、抗酸化剤、キレート試薬、及び不活性ガス等が存在してもよい。
本発明の製剤は適用量で投与される。適用量とは、所望の応答を引き出す単独又はさらなる量を伴う医薬製剤の量である。例えばガン治療の場合には、所望の応答はガンの進行を阻害する。黄色靱帯の骨化を治療する場合には、所望の応答は骨化の進行を阻害する。これは、一時的に疾病の進行を鈍化することのみを含むが、より好ましくは永久に疾病の進行を止めることを含む。これは通常の方法でモニターすることができるか、本明細書中で論じた本発明の治療方法によりモニターすることができる。
本発明はまた、遺伝子治療を意図する。エクスビボ遺伝子治療を行うための手順は、米国特許第5,399,346号において、及びこの特許の経緯において提出された証拠文書において概説され、これらの全ては公式に利用可能な書類である。要するに、これは、遺伝子の欠陥コピーを含む対象の細胞に、遺伝子の機能的なコピーをインビトロで導入する工程、及び対象に遺伝子操作された細胞を戻す工程に関する。遺伝子の機能的なコピーは、遺伝子操作された細胞における遺伝子の発現を許容する調節エレメントの作動可能な制御下にある。多数のトランスフェクション及び形質導入技術並びに適切な発現ベクターが、当業者に周知であり、そのいくつかは、PCT出願WO95/00654に記載されている。アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスのようなベクター、及び標的化リポソームを使用するインビボ遺伝子治療がまた、本発明により意図される。
本発明はさらに、Smad6又はSmad6フラグメントの調節可能な細胞機能のレベルで活性な、薬理学的薬剤または薬剤についてのリード化合物を同定する、効率的な方法を提供する。特に、このような機能は、TGF−β、アクチビン及びBMPシグナルトランスダクション及びTGF−βスーパーファミリーレセプター−Smad6タンパク複合体の形成を含む。一般に、スクリーニング法は、TGF−βレセプター−Smad6結合等のようなSmad6活性を阻害する化合物についてアッセイする工程を包含する。このような方法は、化合物の自動化された、高処理量のスクリーニングに適用可能である。スクリーニング法によって検出される薬理学的薬剤についての標的治療指標は、標的細胞機能が、Smad6ポリペプチド又はそのフラグメントと、1又は2以上の天然の、TGF−βレセプターのような、Smad6細胞内結合標的とを含有する複合体の形成の変化による調節を受ける点においてのみ制限される。標的指標は、レセプター−リガンド結合後の、TGF−β、アクチビン及びBMPシグナルトランスダクションによって調節される細胞プロセスを含む。
薬理学的薬剤についての非常に多様なアッセイが提供され、標識化インビトロタンパク−タンパク結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、イムノアッセイ、ツー−又はスリー−ハイブリッドスクリーニングのような細胞ベースのアッセイ、発現アッセイなどを含む。例えば、スリー−ハイブリッドスクリーニングは、特異的な細胞内標的へのSmad6又はSmad6フラグメントの細胞内結合に対するトランスフェクトされた核酸分子の効果を迅速に実験するために使用される。トランスフェクトされた核酸は、例えば、コンビナトリアルペプチドライブラリー又はアンチセンス部分をコードし得る。このようなアッセイについての利便な薬剤、例えばGAL4融合タンパクは、当該分野において周知である。例示的な細胞ベースのアッセイは、GAL4 DNA結合ドメインに融合されるSmad6ポリペプチドをコードする核酸、及びVP16のような転写活性化ドメインに融合されるSmad6と相互作用するTGF−βレセプタードメインをコードする核酸で、細胞をトランスフェクトする工程を包含する。細胞はまた、1又は2以上のGAL4結合部位のような遺伝子発現調節領域に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含む。レポーター遺伝子転写の活性化は、GAL4 DNA結合ドメイン及びV16転写活性化ドメインが、近位になり、レポーター遺伝子の転写を可能にするように、Smad6及びTGF−βレセプター融合ポリペプチドが、結合する場合に生じる。そしてSmad6ポリペプチド仲介性の細胞機能を調節する薬剤が、レポーター遺伝子の発現の変化を介して検出される。レポーター遺伝子の発現の変化を決定するための方法は、当該技術において公知である。
この方法で使用されるSmad6フラグメントは、トランスフェクトされた核酸によって生成されない場合、単離されたポリペプチドとしてアッセイ混合物に添加される。Smad6ポリペプチドは、好ましくは組換え的に生成されるが、このようなポリペプチドは、生物学的抽出物から単離することができる。タンパク−タンパク結合、配列特異的核酸結合を提供もしくは増強し得る(GAL4のような)、組換え的に生成されるSmad6ポリペプチドは、Smad6タンパクと他のポリペプチド、例えば、アッセイ条件下でのSmad6ポリペプチドの安定性を増強し得る、又は以下の実施例において提供されるような、緑色蛍光タンパク又はFlagエピトープ検出可能な部分を提供し得るポリペプチドとの融合物を含むキメラタンパクを含む。
アッセイ混合物は、Smad6と相互作用し得るTGF−βレセプター又はそのフラグメントのような、天然の細胞内Smad6結合標的から構成される。天然のSmad6結合標的が使用され得るが、Smad6結合標的の部分(例えば、ペプチド又は核酸フラグメント)又はアナログ(すなわち、アッセイの目的のために天然の結合標的のSmad6結合特性を模倣する薬剤)を、この部分またはアナログが、アッセイにおいて測定可能な、Smad6フラグメントに対する結合親和性及び結合活性を提供する限り、使用することが非常に好ましい。
アッセイ混合物はまた、候補薬理学的薬剤を含む。典型的には、複数のアッセイ混合物が、種々の濃度に対する異なる応答を得るために、異なる薬剤濃度を用いて、平行してアッセイされる。典型的には、これらの濃度のうちの1つが、ネガティブなコントロールとして(すなわち、薬剤の0濃度で、またはアッセイ検出の限界を下回る薬剤の濃度で)、使用される。候補薬剤は、多数の化学クラスを含むが典型的には、これらは有機化合物である。好ましくは、候補薬理学的薬剤は、小さな有機化合物(すなわち、50を超えて、約2500未満の、好ましくは、約1000未満の、及びより好ましくは、約500未満の分子量を有する化合物)である。候補薬剤は、ポリペプチド及び/又は核酸との構造学的な相互作用に必要な官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル又はカルボキシ基、好ましくは、少なくとも2つの官能基及び好ましくは少なくとも3つの官能基を含む。候補薬剤は、環式炭素もしくは複素環式炭素、及び/又は芳香族もしくは1又は2以上の上記の官能基で置換された多芳香族構造を含み得る。候補薬剤また、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上述の誘導体もしくは構造学的なアナログ、またはそれらの組合わせなどのような生体分子であり得る。薬剤が核酸である場合、薬剤は、典型的には、DNA又はRNA分子であるが、本明細書中で規定されるように、修飾された核酸がまた意図される。
候補薬剤は、合成又は天然の化合物のライブラリーを含む非常に多様な供給源から得られる。例えば、多数の手段が、非常に多様な有機化合物及び生体分子のランダムな及び指向性の合成のために利用可能であり、ランダム化オリゴヌクレオチド、合成有機コンビナトリアルライブラリー、ランダムなペプチドのファージディスプレイライブラリーなどの発現を含む。代わりに細菌、真菌、植物、及び動物抽出物の形態における天然の化合物のライブラリーが利用可能であるか、または容易に作成される。さらに、天然の、及び合成的に作製されたライブラリー及び化合物は、慣用の化学的、物理学的、及び生化学的手段を介して容易に修飾され得る。さらに、公知の薬理学的薬剤は、薬剤の構造学的アナログを作製するために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)などのような指向性又はランダムな化学修飾を行うことができる。
多様な他の薬剤がまた、混合物中に含まれる。これらとしては、塩、緩衝液、中性タンパク(例えば、アルブミン)、洗浄剤などのような薬剤が挙げられ、至適なタンパク−タンパク及び/又はタンパク−核酸結合を促進するために使用することができる。このような薬剤はまた、薬剤成分の非特異的な又はバックグラウンド相互作用を減少することができる。アッセイの効力を改善し得るプロテアーゼ、インヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、殺菌剤などのような他の薬剤がまた、使用される。
上述のアッセイ材料の混合物は、候補薬理学的薬剤の存在がなければ、Smad6ポリペプチドが、細胞結合標的、その部分又はそのアナログを特異的に結合する条件下で、インキュベートされる。成分の添加の順番、インキュベーション温度、インキュベーションの時間、及びアッセイの他のパラメーターは、容易に決定することができる。このような実験は、アッセイのパラメーターの至適化を含むのみで、アッセイの基本的な組成は含まない。インキュベーション温度は、典型的には4℃と40℃との間である。インキュベーション時間は、好ましくは、迅速で、高処理量のスクリーニングを促進するために最小化され、典型的には、0.1時間から10時間の間である。
インキュベーション後、Smad6ポリペプチドと、1又は2以上の結合標的との特異的な結合の存在又は不存在が、使用者に利用可能な任意の簡便な方法によって検出される。無細胞結合型アッセイについて、分離工程がしばしば、未結合の成分から結合成分を分離するために使用される。分離工程は、多様な方法によって達成される。簡便には、少なくとも1つの成分が、固相基質上に固定化され、そこから未結合の成分が容易に分離される。固相基質は、広範に多様な材料から、広範に多様な形状(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、樹脂、粒子など)において、作製される。好ましくは、基質は、最大のシグナル対ノイズの比率に対して、主にバックグラウンド結合を最小にするために、ならびに分離及び費用の容易さについて、選択される。
分離は、例えば、貯留槽からのビーズ又はディスクチップの除去によって、マイクロタイタープレートウェルのような貯留槽を、空にするか、または希釈することによって、ビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラム、又はフィルターを、洗浄溶液又は溶媒でリンスすることによって、達成することができる。分離工程は、好ましくは、複数のリンス及び洗浄を含む。例えば、固体基質がマイクロタイタープレートである場合、ウェルは、洗浄溶液で数回洗浄され、洗浄溶液は、典型的に特異的な結合において関わらない塩、緩衝液、洗浄剤、非特異的タンパクなどのようなインキュベーション混合物の成分を含む。固体基質が磁性ビーズである場合、ビーズは、洗浄溶液で1回又は2回以上洗浄され、そして磁石を使用して単離することができる。
検出は、ツー−又はスリー−ハイブリッドスクリーニングのような細胞ベースのアッセイについての多くの簡便な方法で達成することができる。標的分子と相互作用するSmad6ポリペプチドのレポーター遺伝子転写アッセイから生じる転写物は、典型的には例えば、β−ガラクトシダーゼ活性、ルシフェラーゼ活性などの検出可能な産物を直接的または間接的にコードする。無細胞結合アッセイについて、成分の1つは、通常、検出可能な標識を含むか、又はこれに結合される。直接的な検出(例えば、放射活性、ルミネッセンス、光学密度又は電子密度など)、又は間接的な検出(例えば、FLAGエピトープのようなエピトープタグ、西洋ワサビペルオキシダーゼのような酸素タグなど)を提供する標識のような非常に多様な標識が使用される。標識は、Smad6結合パートナーに結合されるか、又は結合パートナーの構造に組込むことができる。
多様な方法が、標識を検出するために使用され得るが、標識及び他のアッセイ成分の性質に依存する。例えば、標識は、固相基質に結合したままで、又は引き続いて固相基質から分離されて、検出することができる。標識は、光学密度もしくは電子密度、放射活性発光、非放射性エネルギー伝達などを介して直接的に検出され得るか、または抗体結合体、ストレプトアビジン−ビオチン結合体などで間接的に検出することができる。標識を検出するための方法は、当該技術において周知である。
本発明は、Smad6特異的結合剤、このような薬剤を同定及び作製する方法、ならびに診断、治療、及び医薬的な開発におけるそれらの使用を提供する。例えば、Smad6特異的薬理学的薬剤は、多様な診断及び治療の用途、特に疾病または疾病の予後が、例えば、Smad1又はSmad2のTGF−β誘導性のリン酸化、TGF−βスーパーファミリーレセプター−Smad6複合体形成などのSmad6に関わる経路の不正確な利用と関連する場合において有用である。新規なSmad6特異的結合剤は、Smad6特異的抗体及びツーハイブリッドスクリーニングのようなアッセイで同定される他の天然の細胞内結合剤及び化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定される非天然の細胞内結合剤などを含む。
一般に、結合剤に結合するSmad6の特異性は、結合平衡定数によって示される。Smad6ポリペプチドを選択的に結合し得る標的は、好ましくは、少なくとも約107M-1、より好ましくは、少なくとも約108M-1、及び最も好ましくは少なくとも約109M-1の結合平衡定数を有する。非常に多様な細胞ベースのアッセイ及び無細胞アッセイは、Smad6特異的結合を実証するために使用される。細胞ベースのアッセイは、ワン、ツー、及びスリーハイブリッドスクリーニング、Smad6仲介性の転写が阻害されるかまたは増加されるアッセイなどを含む。無細胞アッセイは、Smad6−タンパク結合アッセイ、イムノアッセイなどを含む。Smad6ポリペプチドを結合する薬剤をスクリーニングするために有用な他のアッセイは、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)、及び電気泳動移動度シフト分析(EMSA)を含む。
種々の技術が、本発明の核酸を、細胞に導入するために用いられるが、核酸が宿主においてインビトロでまたはインビボで導入されるのかに依存する。このような技術は、核酸−CaPO4沈殿のトランスフェクション、DEAEと会合される核酸のトランスフェクション、目的の核酸を含むレトロウイルスでのトランスフェクション、イポソーム仲介性のトランスフェクションなどを含む、いくつかの使用では、特定の細胞よりも核酸を標的にすることが好ましい。このような例において、本発明の核酸を細胞に送達するために使用されるビヒクル(例えば、レトロウイルス、又は他のウイルス;イポソーム)は、それに付着される標的化分子を有していてもよい。例えば、標的細胞における表面膜タンパクに特異的な抗体、または標識細胞におけるレセプターについてのリガンドのような分子はまた、核酸送達ビヒクルに結合され得るか、又はビヒクル内に取込まれる。例えば、リポソームが、本発明の核酸を送達するために用いられる場合には、エンドサイトーシスと関連する表面膜タンパクに結合するタンパクは、標的化のために及び/又は取込みを促進するために、リポソーム処方物中に組込まれる。このようなタンパクは、特定の細胞型について指向性があるカプシドタンパク又はそのフラグメント、周期的に内在化されるタンパクについての抗体、細胞内局在化を標的し、及び細胞内半減期を増強するタンパクなどを含む。ポリマー送達系はまた、当業者によって知られるように、核酸を細胞に送達するために成功裡に使用されてきた。このような系は、核酸の経口送達さえも許容する。
実施例
方法
マウスSmad6のクローニング及びノーザンブロット
マウス肺cDNAライブラリー(Stratagene)を、プローブとしてESTクローン(クローンID 429356)を用いてスクリーニングした。クローンの1つは、マウスSmad6の完全なコード領域を含んでおり、そしてALFredシーケンサー(Pharmacia Biotech)及びSequenase sequencing kit(USB)を使用して、シーケンスされた。配列分析は、DNASTAR(DNASTAR,Inc.)で行った。ヒト及びマウス組織ブロット(Clontech)は、ESTクローンで行った。
プラスミド
アミノ末端タグ(FLAG又はMyc)を含む哺乳動物発現ベクターは、pcDNA3(Invitrogen)中にエピトープタグ配列をコードするオリゴヌクレオチドをインサートすることにより構築された。マウスSmad6のコード領域をPCRにより増幅し、Myc−pcDNA3又はFLAG−pcDNA3中にサブクローンした。産物の正否をシーケンスにより確認した。Smad1、Smad2、Smad3及びSmad4発現プラスミドを同様に構築した。
アフィニティー架橋及び免疫沈降
TGF−β1(R&D Systems)、アクチビンA(Y.Etoより贈与)、及びOP1/BMP−7(T.K.Smpathより贈与)のヨウ素化に引き続き、記載されているとおり(Okadome et al.,J.Biol.Chem.271:21687−21690,1996)に行った。
ウエスタンブロット及びインビボリン酸化
COS−7細胞を、DMRIE−C(Gibco/BRL)を使用して一過性トランスフェクトした。[32P]オルトフォスフェート−又は[32S]メチオニン/システイン−ラベリング及び免疫沈降をNakaoらにより記載されている(J.Biol.Chem.272:2896−2900,1997)ように行った。免疫沈降されたタンパクのウエスタンブロットについては、タグされたタンパクを化学蛍光(ECL,Amersham)により検出した。
シルフェラーゼアッセイ
ミンクRミュータント細胞を、レポーター、発現プラスミド、及びTfx−50(Promega)を使用するpcDNA3の適切な組み合わせで一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされたDNAの総量はそれぞれの実験において同一であり、値はチミジンキナーゼプロモーター(pRL−TK,Toyo Ink)の制御下でウミシイタケ(sea pansy)ルシフェラーゼ活性を使用して標準化した。
細胞培養
C1C12細胞、F9細胞、及びST2細胞は、理研細胞銀行(筑波、日本)より入手した。10T1/2細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Bethesda,MD,USA)より入手した。C1C12細胞及び10T1/2は、10%FBS、ペニシリン100単位及び1ミリリットルあたり50μgのストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養された。F9細胞は、15%FBS及び抗生物質を含むDMEMで培養された。ST2細胞は、10%FBS及び抗生物質を含むRPMI1640で培養された。細胞は、37℃で5%CO2雰囲気下で維持された。
poly(A+)RNA単離及びノーザンブロッティング
Poly(A+)RNAは、Oligotex dT−30 Super latex beads(宝酒造株式会社)を使用して、製造者の方法に従って得た。様々な時間でBMP−2(300ng/ml)、BMP−7/OP−1(300g/ml)、又はTGF−β1(25ng/ml)で処理した細胞から得られたPoly(A)+RNA(3μg)を、2.2Mホルムアルデヒドの存在下、1%ゲルで電気泳動し、そしてHybondNメンブラン(Amersham)にブロットした。マウスSmad6 cDNAの完全なコード領域を、Random Primer Labeling Kit(宝酒造株式会社)を使用して、[α−32P]dCTPによりラベルした。ハイブリダイゼーションは、65℃で5xSSC、1%SDS、5xデンハルト溶液及び10μg/mlサケ精子DNAを含む溶液中で行い、2xSSC、1%SDSで10分間、0.5xSSC、1%SDSで30分間を2回、0.2xSSC、1%SDSで10分間行った。フィルターを0.1%SDSを含む沸騰蒸留水によりストリップし、再ハイブリダイズした。
例1:Smad6の識別及びその発現の同定
Smadファミリーの新たなメンバーのサーチにおいて、すでに特徴付けられている5個の哺乳動物Smad
に属さないいくつかの発現配列タグ(EST)配列を同定した。我々は、プローブとしてESTクローンの1つ(クローンID 429256)を使用して、53.7kDaの予測された分子量を有する495アミノ酸の同一タンパク(図.1a、配列番号:2;GenBank受託番号AF010133)をコードする重複クローンを同定した。同一の残基を囲った。タンパクのC−末端アミノ酸配列は、ヒトSmad6として寄託されているGenBankクローン(235アミノ酸、受託番号U59914)の全タンパク配列とほとんど同一であった。従って、我々のクローンは全長マウスSmad6であると結論した。ヒトSmad6(JV15−1)のクロモソーム位置が報告されている(Riggins et al.,Nature Genet.13:347−349,1996)。ヒトSmad6を除き、ショウジョウバエ及び線虫を含む全てのSmadは、可変長及び可変配列のプロリン−リッチ領域に分断された保存的N−末端及びC−末端領域(それぞれ、MH1及びMH2)を含むが、Smad4はそのMH2領域にユニークインサートを含む
et al.,1997)。Smad6のC−末端の三分の一は他のSmadのMH2領域で保存された配列を占めるが、そのN−末端領域は保存的MH1配列とははっきり異なり(図.1a)、この分子の新規な機能を示唆している。
種々のヒト及びマウス組織のノーザンブロット分析は、プローブとしてヒトESTクローン429356を使用して、肺で最も高度に発現する3.0kbのmRNA種の相対的な遍在発現を明らかにした(図.1b;ヒト(左)及びマウス(右))。
例2:Smad6のレセプター結合
TGF−βスーパーファミリーのメンバーは、セリン−スレオニンキナーゼ活性を有する2種のレセプターへの結合を通じて種々の効果を発揮する(Yingling et al.,Biochem.Biophys.Acta 1242:115−136,1995)。まず、リガンドは、タイプIIレセプターに結合し、次いで直接的リン酸化によりタイプIレセプターを活性化する。そして活性化されたタイプIレセプターは、Smad1、Smad2及びSmad3のようなリガンド特異的Smadをリン酸化する
1997;Zhang et al.,Nature 383:168−172,1996;Lagna et al.,Nature 383:832−836,
Silva et al.,Cell 87:1215−1224,1996)。Smad2とTβR−Iとの結合は、タイプIIレセプター(TβR−II)によるTβR−Iの活性化を必要とするTβR−Iの活性化を必要とする
しかしながら、Smad2は、レセプターによるリン酸化後にTβR−Iから解離するので、生理学的条件下では一過性にのみTβR−Iと相互作用する。従って、Smad2とTβR−Iとの相互作用は、TβR−1のキナーゼ−欠損体が使用される場合のみに観察された
Smad4は、そのレセプターとは結合しないことに注意すべきである(Zhang et al.,1996)。
Smad6とタイプIレセプターの相互作用は、アフィニティー架橋アッセイで試験される。COS−7細胞をFLAG−タグしたSmad6(F−Smad6)又はFLAG−タグしたSmad2(F−Smad2)とワイルドタイプ(wt)又はキナーゼ欠損(KR)HA−タグしたTβR−I及びヘキサヒスチジン−タグしたTβR−IIを組み合わせてトランスフェクトした。細胞を125I−TGF−β1でアフィニティーラベルし、リゼートを抗−HA抗体又は抗−FLAG M2抗体で免疫沈降した。免疫複合体は、SDS−PAGE及びオートラジオグラフィー処理した。Smad6は、TβR−IIキナーゼ活性に依存して、ワイルドタイプとキナーゼ欠損TβR−Iの両方に結合した。対照的に、Smad2は、キナーゼ欠損TβR−Iに結合したが、ワイルドタイプTβR−Iには結合しなかった。Smad6は、Smad6とレセプター複合体の共沈降により明らかなように、TGF−βレセプター複合体に結合する(図.2a)。Smad2と同様に、TβR−IへのSmad6の結合は、TβR−IIのキナーゼ活性を必要とした(図.2a)。しかしながら、Smad6は、ワイルドタイプTβR Iには安定に結合した。
同様の結果が、125I−アクチビンAを使用して、アクチビンタイプI Bレセプターについて、また125I−OP−1/BMP−7を使用して、BMPタイプI Bレセプター(BMPR−I B)について得られ、ここではSmad6がワイルドタイプとキナーゼ欠損タイプIレセプターの両方に結合した。これらの結果は、Smad6がリガンド依存的にタイプIレセプターに結合するが、他のSmadのそれとは異なる役割を果たすことを示唆している。
例3:Smad類のリン酸化におけるSmad6の効果
Smad2は、活性化されたTβR−Iによりそのカルボキシ末端の終末でリン酸化される
リン酸化は標的遺伝子の転写活性を最高にする、以降の下流シグナル伝達に必要不可欠であるので、リン酸化部位の破壊は、TGF−β誘導応答を阻止する
従って、Smad2のリン酸化におけるSmad6の効果が試験された(図.3)。COS−7細胞は、構造的に活性な(TD)TβR−I、FLAG−Smad2(F−Smad2)及び/又はMyc−Smad6(M−Smad6)で一過性にトランスフェクトした。細胞は、[32P]オルトリン酸でラベルし、リゼートを抗−Myc抗体で免疫沈降した。リン酸化されたSmad6はSDS−PAGEとオートラジオグラフィーで検出した。リン酸化されたSmad6のダブレットのバンドが検出された。Smad2リン酸化を検出するために、細胞リゼートも抗−FLAG−抗体で免疫沈降した。Smad6(パネルA)、Smad2及びTβR−I(TD)(パネルB)の発現レベルは、[35S]メチオニン/システインで細胞をラベルすることによりモニターした。
TβR−I(TD)又はFLAG−Smad2どちらも、Smad6のリン酸化に影響しなかった。構造的に活性なTβR−Iにより誘導されるSmad2のリン酸化はSmad6により抑制されるが(35S−ラベルバンドに対しての標準化して39%の減少)、Smad2はSmad6の構造的なリン酸化には影響しなかった(図.3A、B)。
Smad3及びSmad2は、アミノ酸配列において91%同一性を有し、TGF−βシグナルの仲介を独立して示す(Eppert et al.Cell86:543−552,1996;Zhang et al.,1996)が、2つの分子の機能的な差異はいまだ知られていない。Smad3について、同様の実験が行われた。Smad6は、Smad3のレセプター誘導リン酸化をむしろ増強し(図.3C)、これらの緊密に関連する分子に対するSmad6の異なる効果を示唆している。
次いで、Smad1におけるSmad6の効果が研究された(図.3D)。Smad1は、構造的に活性なBMPタイプI Aレセプター(BMPR−I A)並びにBMPR−I Bによりリン酸化された。Smad6は、後者によるリン酸化を阻害したが(60%減少)、前者によるものはしなかった。これらの結果は、Smad6がSmadファミリーのいくつかのメンバーに対する阻害剤として作用することを示唆する。
例4:Smad複合体形成におけるSmad6の効果
Smad2は、TβR−Iによるリン酸化においてSmad4とヘテロ結合する(Lagna et al.,1996)。TGF−βも、Smad2とSmad3の結合を誘導することが、最近示された(Nakao et al.,EMBO.J.16:5353−5362,1997)。これらのSmadのヘテロ結合におけるSmad6の効果を試験した(図.4)。COS−7細胞を、プラスミドの指示した組み合わせでトランスフェクトし、免疫沈降に続いてウエスタンブロット検出を行った。Smad2(下)、Smad4(中)、及びSmad6(中)の発現レベルをモニターした。Smad6はこれらの条件下ではSmad2と相互作用しないことに注意されたい。
Smad2は、Smad4とSmad2の共沈降により示されるように構造的に活性なTβR−Iの存在下で、Smad4と複合体を形成する。この複合体形成は、Smad6により阻止される(図.4A、上パネル)。しかしながら、Smad3とSmad4のTβR−I誘導相互作用は、Smad4がSmad6の存在及び不存在の両方でSmad3と共沈降されるように(上)、Smad6により影響されない(図.4B)。これは、Smad6がSmad3リン酸化を阻害しないという結果と一致する(図.3C)。さらにSmad2とSmad3のヘテロ結合は、Smad6により阻害され(図.4C)、両方のタンパクのリン酸化はこの相互作用を必要とすることを示唆している。これらの結果は、Smad6がTGF−βシグナル伝達において、Smad2の活性化を特異的に阻害していることを示唆する。
例5:TGF−βシグナル伝達におけるSmad6の効果
TGF−βシグナル伝達におけるSmad6の役割を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイによる実験で、試験した。TGF−βの鋭敏なレポーターである、P3TP−LuxをTβR−IのRミュータントミンク細胞欠陥で使用した。TβR−IのRミュータントミンク細胞欠陥は、p3TP−Luxレポーター、TβR−I、及びSmad6 DNAを増加させた量(μg)でトランスフェクトされた。細胞を、24時間、5ng/ml TGF−β1あり(黒バー)又はなし(白バー)で処理した。Smad6は、用量依存的にレポーター遺伝子の活性を抑制した(図.5a)。構造的に活性なTβR−Iによる転写活性は、同様に抑制された(図.5b)。
サイクリンA発現は、細胞周期の進行に必須であり、TGF−βにより抑制される(Feng et al.,J.Biol.Chem.270:4237−24245,1995)。サイクリンAルシフェラーゼレポーター、pCAL2を、TGF−βシグナル伝達におけるSmad6の効果を試験するために使用した。TβR−I(構造的に活性)は、サイクリンAルシフェラーゼ活性をダウンレギュレートするが、Smad6の量を増加するとサイクリンAルシフェラーゼアッセイにおいてTβR−Iの効果を中和した(図.5c)。これらの結果は、Smad6が、2つの異なる応答でTGF−βを阻害したことを示している。
例6:TGF−β1及びBMPによるSmad6発現の調節
Smad6の発現が制御される機構を解明するために、Smad6 mRNA発現におけるTGF−β及び他のファミリーメンバーの効果を試験した。BMP−2の効果を同定するために、BMP−2を、いくつかのBMP−2応答性セルライン:C3H10T1/2、ST2及びC2C12の培養培地に300ng/mlで添加した。6時間後、polyA+mRNAを、上記のように細胞から単離した。mRNAのサンプルを電気泳動し、ブロットし、そして32−PラベルSmad6コード領域でプローブした。ノーザンブロットの結果を図.6Aに示す。Smad6の発現は、BMP処理後、BMP−2応答性セルラインの全てにおいて誘導された。
OP−1/BMP−7の効果を同定するために、300ng/ml OP−1/BMP−7で刺激後、C2C12ミオブラストでSmad6 mRNAの発現を試験した。polyA+mRNAを、OP−1/BMP−7刺激に引き続き、示した時間で単離した。図.6Bに示したように、Smad6発現は刺激後6時間でOP−1/BMP−7により誘導され、刺激後少なくとも48時間、すなわち実験の継続時間までは誘導が維持された。
TGF−β1の効果を同定するために、25ng/ml TGF−β1で刺激後、C2C12ミオブラストでSmad6 mRNAの発現を試験した。polyA+mRNAを、TGF−β1刺激に引き続き、示した時間で単離した。図.6Cに示したように、Smad6発現は刺激後1時間でTGF−β1により誘導されるが、その後減少する。12時間後、Smad6 mRNAの発現は発現の基本レベル以下であった。
要するに、試験されたBMP(BMP−2及びBMP−7/OP−1)は、Smad6 mRNAの発現を誘導した。対照的に、TGF−β1はSmad6の発現を初期には誘導するが、次いでSmad6レベルは基本レベル以下に減少する。従って、TGFスーパーファミリーの異なるメンバーは、Smad6の発現において、効果を反対に発揮する。
均等物
当業者は、本明細書中に記載された特定の態様に対する多くの均等物を認識するか、ルーチン実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の請求項により包含されるものと意図する。
本明細書中に開示された参考文献は、その全体が引用により取り込まれる。
配列表の後に請求項が続く:
配列表
Claims (51)
- (a)配列番号:1に記載の核酸配列からな る分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ し、TGF−βスーパーファミリーシグナルを選択的に阻 害するポリペプチドをコードする核酸分子、
(b)遺伝コードの縮重により、コドン配列において(a)の核酸分子とは異なる核酸分子、並びに
(c)(a)及び(b)の相補鎖、
からなる群から選択される、単離された核酸分子(但 し、配列番号:4、特表2001−521365の配列番号2及びPC T/US96/01883のクローンrchd534を除く)。 - 配列番号:3の核酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 配列番号:3の核酸配列からなる、請求項2に記載の単離された核酸分子。
- 配列番号:1の核酸配列からなる、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- (a)長さが20ヌクレオチドから1487ヌク レオチドの間の配列番号:3のユニークフラグメント、 (b)(a)の相補鎖からなる群から選択される、単離 された核酸分子(但し、配列番号:4、特表2001−521365 の配列番号2及びPCT/US96/01883のクローンrchd534、 及びこれらのフラグメントからのみなる配列を除く)。
- 単離された核酸分子が、少なくとも22個の連続したヌクレオチド、少なくとも24個の連続したヌクレオチド、少なくとも26個の連続したヌクレオチド、少なくとも28個の連続したヌクレオチド、少なくとも30個の連続したヌクレオチド、少なくとも35個の連続したヌクレオチド、少なくとも40個の連続したヌクレオチドからなる群から選択される配列番号:3のユニークフラグメントである、請求項5に記載の単離された核酸分子。
- 20個から32個の間の連続ヌクレオチドからなる、請求項5に記載の単離された核酸分子。
- プロモーターに作動的に連結されている、請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
- 請求項8に記載の発現ベクターで、トランスフォーム又はトランスフェクトされた宿主細胞。
- 請求項8に記載の発現ベクターを含む、トランスジェニック非−ヒト動物。
- 条件的なSmad6発現ベクターを含む、請求項10に記載のトランスジェニック非−ヒト動物。
- TGF−βスーパーファミリーシグナルを選択的に阻害するポリペプチドをコードする、請求項1 に記載の核酸分子の発現を減少させた、トランスジェニック非−ヒト動物。
- 相同組み換えにより破壊されたSmad6遺伝子を含む、請求項12に記載のトランスジェニック非−ヒト動物。
- 条件的なSmad6遺伝子破壊を含む、請求項12に記載のトランスジェニック非−ヒト動物。
- Smad6発現のトランス−アクティングネガティブレギュレータを含む、請求項12に記載のトランスジェニック非−ヒト動物。
- TGF−βスーパーファミリーシグナル阻害活性を有する、請求項1、2、3又は4に記載の単離された核酸分子によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 配列番号:2のアミノ酸配列からなる、請求項16に記載の単離されたポリペプチド。
- 機能的なフラグメント又は変異体からなる、請求項16に記載の単離されたポリペプチド。
- 単離されたポリペプチドがTGF−βレセプター、アクチビンレセプター及びBMPレセプターからなる群より選択したポリペプチドではないことを条件として、請求項1、2、3、又は4に記載の単離された核酸分子によりコードされるポリペプチドを選択的に結合する抗体または該ポリペプチドを選択的に結合するそのフラグメントである、単離されたポリペプチド。
- 配列番号:2のアミノ酸配列からなるポリペプチドにより規定されるエピトープに結合する、請求項19に記載の単離されたポリペプチド。
- Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント又は請求項16に記載のポリペプチドについて選択的なCDR3領域を含むフラグメントからなる群から選択される抗体フラグメントである、請求項19に記載の単離されたポリペプチド。
- モノクローナル抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項19に記載の単離されたポリペプチド。
- 請求項16に記載のポリペプチドに結合した、TGF−βスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体を含む、単離されたポリペプチドの複合体。
- 請求項16に記載のポリペプチドが、配列番号:2のアミノ酸配列からなる、請求項23に記載の単離されたポリペプチドの複合体。
- レセプター又はレセプター複合体が、TβR I、BMPR−I A、BMPR−I B、ActR−I A、TβR IとTβR IIとの複合体、BMPR−I AとBMPR−IIとの複合体、BMPR−I BとBMPR−IIとの複合体、ActR−I AとBMPR−IIとの複合体及びActR−I AとActR−IIとの複合体からなる群から選択される、請求項23に記載の単離された複合体。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子又はその発現産物の、哺乳動物細胞中のTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションを減少させるための医薬の製造への使用。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子又はその発現産物の、哺乳動物細胞中の経路制限的なSmadポリペプチドのリン酸化を減少させる医薬の製造への使用。
- 経路特異的Smadポリペプチドが、Smad1及びSmad2からなる群から選択される、請求項27に記載の使用。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子又はその発現産物の、その増殖が、TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションにより変動する、ガン細胞の増殖を調節するための医薬の製造への使用。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子の アンチセンス核酸、又は請求項1に記載の単離された核 酸分子の単離された発現産物に選択的に結合する抗体の、細胞中でのTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションを増加させる医薬の製造への使用。
- TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションが、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択されるTGFβスーパーファミリーリガンドにより仲介される、請求項30に記載の使用。
- 抗体が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドにより規定されるエピトープを結合する、請求項31に記載の使用。
- 請求項16に記載のポリペプチド、及び医薬的に許容される担体を含む、組成物。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子の 発現産物に選択的に結合する抗体、及び請求項1に記載 の単離された核酸分子のアンチセンス核酸からなる群から選択される薬剤の、対象中のSmad6 TGF−βスーパーファミリー阻害活性を減少させるための医薬の製造への使用。
- TGF−βスーパーファミリー阻害活性が、TGF−β1、アクチビン、Vg1、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択されるTGFβスーパーファミリーリガンドにより仲介される、TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクションの阻害である、請求項34に記載の使用。
- 薬剤が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドにより規定されるエピトープを結合する抗体である、請求項35に記載の使用。
- 請求項16に記載のポリペプチド、又は該 ポリペプチドに対する抗体、及び請求項1に記載の核酸 分子のアンチセンス核酸からなる群から選択されるSmad6のアンタゴニストの、異常なBMP活性により特徴付けられる症状を治療するための医薬の製造への使用。
- 症状が、背部縦靱帯(posterior longitudinal ligament)の骨化及び黄色靱帯(ligament Flavum)の骨化からなる群から選択される、請求項37に記載の使用。
- 請求項16に記載のポリペプチド、又は該 ポリペプチドに対する抗体及び請求項1に記載の核酸分 子のアンチセンス核酸からなる群から選択されるSmad6のアンタゴニストの、異常なTGF−β活性により特徴付けられる症状を治療するための医薬の製造への使用。
- 症状が、肝繊維症、腎繊維症、肺繊維症、皮膚繊維症、動脈繊維症、中枢神経系繊維症、及び他の繊維性疾患からなる群から選択される繊維症である、請求項39に記載の使用。
- 繊維症が、硬変症、血管閉塞症(veno−occlusive disease)、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、同種移植片拒絶、HIV腎症、突発性繊維症、自己免疫性繊維症、全身性硬化症(systemic sclerosis)、ケロイド、肥大性火傷瘢痕、好酸球増加性−筋痛症候群、血管性レステノーシス(vascular restenosis)、アテローム性動脈硬化症、眼球内繊維症、慢性関節リウマチ、鼻性ポリポシス(nasal polyposis)からなる群から選択される、請求項40に記載の使用。
- 請求項16に記載のポリペプチド、又は該 ポリペプチドに対する抗体及び請求項1に記載の核酸分 子のアンチセンス核酸からなる群から選択されるSmad6のアンタゴニストの、サイクリンAの発現を調節するための医薬の製造への使用。
- 請求項16に記載のポリペプチドの、サイクリンAの発現を増加させるための医薬の製造への使用。
- 請求項16に記載のポリペプチドに対する抗体及び請求項1に記載の核酸分子のアンチセンス核酸からなる群から選択されるSmad6のアンタゴニストの、サイクリンAの発現を減少させる医薬の製造への使用。
- Smad6 TGF−βスーパーファミリー阻害活性に関連する疾病の診断又は治療に有用な薬理学的薬剤のためのリード化合物(lead compound)を同定するための方法であって、
請求項16に記載のポリペプチド、TGF−βスーパーファミリーメンバーのレセプター又はレセプター複合体、及び候補薬理学的薬剤(candidate pharmacological agent)を含む混合物を形成する工程、
候補薬理学的薬剤の不存在下において、該ポリペプチドによるTGF−βスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体との特異的な結合の基準量を起こす条件下で混合物をインキュベートする工程、及び
該ポリペプチドによるTGF−βスーパーファミリーレセプター又はレセプター複合体との特異的な結合の試験量を同定する工程であって、特異的結合の基準量に対する特異的結合の試験量の減少が、候補薬理学的薬剤はSmad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を阻害する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示し、特異的結合の基準量に対する特異的結合の試験量の増加は、候補薬理学的薬剤がSmad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を増強する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示す前記工程を含む、前記方法。 - TGF−βスーパーファミリーのメンバーが、TGF−β1、アクチビン、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
- Smad6 TGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性に関連する疾病の診断又は治療に有用な薬理学的薬剤のためのリード化合物を同定するための方法であって、
請求項16に記載のポリペプチド、TGF−βスーパーファミリーメンバーのレセプター又はレセプター複合体、経路制限的Smadポリペプチド及び候補薬理学的薬剤を含む混合物を形成する工程、
候補薬理学的薬剤の不存在下において、TGF−βスーパーファミリーメンバーにより惹起される経路制限的Smadポリペプチドのリン酸化の基準量を起こす条件下で混合物をインキュベートする工程、
TGF−βスーパーファミリーにより惹起される経路制限的Smadポリペプチドのリン酸化の試験量を同定する工程であって、経路制限的Smadポリペプチドのリン酸化の基準量に対する経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の試験量の減少が、候補薬理学的薬剤はSmad6のTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を増強する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示し、経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の基準量に対する経路特異的Smadポリペプチドのリン酸化の試験量の増加は、候補薬理学的薬剤がSmad6のTGF−βスーパーファミリーシグナルトランスダクション阻害活性を阻害する、薬理学的薬剤のためのリード化合物であることを示す前記工程を含む、前記方法。 - 経路制限的Smadポリペプチドが、Smad1及びSmad2からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
- TGF−βスーパーファミリーのメンバーが、TGF−β1、アクチビン、BMP−4及びBMP−7からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子又はその発現産物の、哺乳動物細胞中のSmad3のリン酸化を増加させるための医薬の製造への使用。
- 請求項1に記載の単離された核酸分子又はその発現産物の、哺乳動物細胞中のSmad2と、Smad3又はSmad4のヘテロ体形成(heteromerization)を減少させるための医薬の製造への使用。
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