JP3625817B2 - 複合流動層炉および複合流動層炉の運転方法 - Google Patents

複合流動層炉および複合流動層炉の運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一つの炉でありながらガス化炉と酸化炉の二つの機能を有する複合流動層炉および複合流動層炉の運転方法に係り、特に、ガス化炉と酸化炉とを一体化した複合流動層炉および合流動層炉の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、地球環境保全の立場からCO削減対策が重要となっている。またエネルギー問題については原子力と石油には大きく頼れない現状を鑑みると、石炭に頼らざるを得なくなる時代がくると推測されている。このような観点から、CO削減対策と当面の石油代替エネルギーとして高効率でコンパクト、クリーンな石炭火力発電システムが期待されている。
一方、従来の微粉炭ボイラは炭種の制限や効率に限界があるなど問題があるため、常圧型流動床ボイラが多品種石炭用として開発されてきた。
ところが常圧型流動床ボイラ(AFBC)自体期待されたほどの機能を発揮出来ていないこと、また常圧型流動床ボイラでは蒸気タービンしか設置することが出来ないため高効率化、大出力化に限界があることから、ガスタービンを利用した複合発電システムが可能な加圧型流動床ボイラ(PFBC)へ移行しつつある。
【0003】
従来の加圧型流動床ボイラの内、最も開発が進み、80MWe級の実証機が運転されているのはバブリング式加圧流動床ボイラであるが、次のような課題がある。
(A)負荷制御方法における課題
現在は、流動層高を変化させて負荷制御する方法が採用されている。すなわち、燃焼器内部から流動媒体を抜きだして別の貯留容器に送給し、流動層内伝熱面を露出させることによって熱伝達率を低下させて、熱回収量を減少させ、スチームタービン出力を低下させる。また燃料供給量が低下した流動層から排出される燃焼ガスはさらに露出した伝熱面で冷却されるため、燃焼器出口温度すなわちガスタービン入口温度が低下し、その結果ガスタービン出力が低下するものである。一方、負荷を上げる時はこの逆の方法をとる。
【0004】
しかしながら、該層高変化方法には下記の問題がある。
▲1▼ 高温の流動媒体を燃焼器から出し入れする貯留容器が必要であり、しかも高温高圧下での操作は容易ではなく、さらに発熱密度が高い流動媒体を貯留容器内へ出し入れする際にはアグロメレーション(凝集灰)が発生する。
▲2▼ ボイラが加圧下にあるため、流動層内伝熱面を露出させたとき、スプラッシュゾーンでの摩耗の問題は常圧バブリング流動床ボイラ(AFBC)よりも大きな問題である。
▲3▼ 低負荷時流動層を出た燃焼排ガスが層内管に冷却されること、および層高が浅くなって燃焼ガスの層内滞留時間が減少することによって、一酸化炭素(CO)の発生量が増大する,又、NOx(窒素酸化物)排出量も増加する。
【0005】
(B)加圧容器の大型化
▲1▼ これまでのバブリング式加圧流動層ボイラは平面的に見て角型の燃焼器を円筒型の圧力容器に収納するようになっているため、どうしても無駄なスペースがあり、必然的に圧力容器が大型化しコストの上昇につながる。
それに対しては1993年5月サンディエゴにおける第12回ASME流動床国際会議において、
「PRINCIPLES AND DESIGN PHILOSOPHY FOR A 350 MWe PFBC MODULE」として A. B. B. Carbon, A. B. の Jim Anderson らによる発表によれば、350MWeのような大型化にあたっては従来は図14に示すように円形の圧力容器145に2基の矩形の燃焼器146を収容した平面構成であったバブリング式加圧流動層ボイラを図15に示すように1つの燃焼器147を菱形に変形させ、さらにそれを3基組み合わせて1基の炉としてまとめ、全体の平面形状を六角形としてできるだけ円形に近付けて円形の圧力容器145に収容し、圧力容器の小型化をはかるとしているが、これはバブリング式加圧流動層の場合、円筒形にすると層内伝熱管の配列構成が極めて困難となるからである。
▲2▼ 負荷制御を行うために流動媒体を出し入れする貯蔵容器および配管等が必要であり、これら貯蔵容器等を圧力容器内部に収納すると圧力容器が大型化する。
【0006】
(C)層内伝熱管の摩耗
従来のバブリング式加圧流動層ボイラは流動化速度の大きな層内に伝熱管を配置しているため伝熱管の摩耗が激しく、溶射等による表面硬化処理などの対策が必要である。
【0007】
(D)給炭機構の複雑化
従来のバブリング式加圧流動層ボイラは層内での石炭等燃料の水平方向への拡散が不十分なことから、燃焼の不均一を避けるため多数の給炭管を配置しなければならず、給炭機構が複雑化するばかりでなく、各給炭管への均等な石炭の分配は難しく、万一、不均等が生じた場合は層内燃焼の不均一からアグロメレーションの発生を招き、運転不能となる。
【0008】
(E)石灰石の消耗
従来の加圧流動床式発電システムにおいては、脱硫を行うために石灰石を流動媒体に混合させていたが、この石灰石は摩耗が激しく、脱硫反応に十分寄与することなく集塵装置から飛灰として飛散してしまっていた。そのため、火力発電所が要求する高い脱硫率は望めず、脱硫率を上げようとすると膨大な量の廃棄物(飛灰)を作ることになる。
【0009】
また、石炭ガス化複合発電も研究されており、そのシステムは石炭を全量ガス化し、ガス精製した後、ガスタービンに供給する複合発電システムであり、1300℃級空冷ガスタービンを用いた場合の目標効率は発電端で47.1%となっている。
一方、加圧型流動床ボイラについては海外で既に80MWe級の発電所が稼働していることや、脱硫装置不要などの利点があるものの、効率の点では石炭ガス化複合発電システムが優れているため、両者の特徴を合わせ持つ、より性能の優れたトッピングサイクル複合発電システムが検討されている。
本トッピングサイクル複合発電システムは基本的には、石炭をガス化炉において石炭ガスとチャーに分解し、チャーを流動床ボイラ(酸化炉)で燃焼させ、その燃焼排ガスと石炭ガスをガスタービン入口で混合燃焼させて高温ガスを発生させ、それによってガスタービンを高効率で運転するものである。
【0010】
また、トッピングサイクル複合発電システムにおいても酸化炉に用いる流動床ボイラについては、前記と同じ問題点があり、またガス化炉についても固定床ガス化炉にはタールの残留問題があり、また噴流床ガス化炉には灰のスティック問題がある。
これに対し、流動床ガス化炉はその中間温度で運転するため、タールの問題や、灰のスティックが避けられ、また炉内脱硫も可能であるなど様々な利点もあるが、バブリング型加圧流動床ボイラを採用した場合にはやはり上記の(A)〜(D)に掲げる問題点が残されている。
【0011】
上述したトッピングサイクル複合発電システムに用いられているガス化炉と酸化炉について着目すると、これらガス化炉と酸化炉とは個別の炉として構成されており、ガス化炉において生成されたチャーを酸化炉で燃焼させるために酸化炉に送り込むことが行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガス化炉と酸化炉とを一体化した複合流動層炉および合流動層炉の運転方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するため本発明の複合流動層炉の運転方法は、仕切壁によってガス化炉と酸化炉に仕切られた大気圧以上の圧力で運転される複合流動層炉の運転方法であって、前記ガス化炉の内部に、流動化ガス速度に差をつけることによって流動媒体が沈降する部分と上昇する部分からなる流動媒体の循環流を形成し、燃料を前記ガス化炉に供給し、該供給された燃料を該ガス化炉ガス化してガスとチャーを生成し、該ガス化炉より該生成されたガスを排出し、該生成されたチャーを、該流動媒体とともに前記ガス化炉から記酸化炉へ、前記仕切壁の連絡口を介して供給し、供給されたチャーを該酸化炉で燃焼し、前記酸化炉の該仕切壁側の流動媒体を、該仕切壁に沿って沈降させ、前記ガス化炉の流動媒体の上昇する部分は、前記酸化炉の仕切壁に沿って流動媒体が沈降する部分と前記仕切壁を介して相対向するように配置し、該酸化炉内の該沈降させた流動媒体を、該仕切壁の連絡口を通して該ガス化炉に還流させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記酸化炉内に流動媒体の循環流を形成することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記酸化炉におけるチャーの完全燃焼による燃焼ガスは、該酸化炉の燃焼ガス出口から排出されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記ガス化炉は、炉底を前記仕切壁に向かって低くすることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記ガス化炉は、炉底を傾斜させたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記酸化炉の流動層内に層内伝熱管を配置することを特徴とする。
【0014】
本発明の複合流動層炉は、仕切壁によってガス化炉と酸化炉に仕切られた大気圧以上の圧力で運転される複合流動層炉であって、流動化ガス速度に差をつけることによって流動媒体が沈降する部分と上昇する部分からなる流動媒体の循環流が内部に形成され、供給された燃料をガス化しガスチャーを生成し、該生成されたガスを排出するガス化炉と、前記ガス化炉で生成されたチャーを燃させ、内部に流動媒体が沈降する部分を有する酸化炉と、前記ガス化炉で生成されたチャーを流動媒体とともに前記ガス化炉から前記酸化炉へ供給する連絡口を具備し、該酸化炉内の該沈降させた流動媒体が該ガス化炉に還流される連絡口を具備する仕切壁とを備え、前記ガス化炉の流動媒体の上昇する部分は、前記酸化炉の仕切壁に沿って流動媒体が沈降する部分と前記仕切壁を介して相対向するように配置したことを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、前記ガス化炉あるいは前記酸化炉の炉床は、前記仕切壁に向けて傾斜していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記ガス化炉は、生成ガスを外部に取り出すガス出口を有し、前記酸化炉は、チャーの完全燃焼による燃焼ガスを外部に取り出す燃焼ガス出口を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記酸化炉の流動層内に層内伝熱管を配置することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記酸化炉内に流動媒体の循環流を形成することを特徴とする
【0016】
【作用】
本発明によれば、ガス化炉に石炭と脱硫剤を供給して、流動層内で循環しながら、石炭は部分ガス化され、生成ガスはガス化炉上部のガス出口から外部に導出される。流動媒体の循環流の効果により投入した石炭や脱硫剤などがガス化炉流動層内全方位方向へ均一に分散し、簡素な給炭設備でありながら燃料の偏在が避けられ、クリンカ発生の恐れがない。
一方、ガス化されなかったチャーは酸化炉へ入り込み、流動層内で循環しながら完全燃焼される。そして、燃焼ガスは酸化炉の上部にある燃焼ガス出口から外部に取り出される。酸化炉に入る未燃チャー等が酸化炉流動層内を燃焼しつつ緩やかに沈降した後、仕切壁下部の連絡流路を通過してガス化炉流動層に還流する。流動媒体の循環流によって、酸化炉内で未燃チャー等が充分な滞留時間をとって完全燃焼をすることをより確実にする。
なお、酸化炉フリーボードに2次空気ノズルを設け、2段階燃焼させることも可能である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、圧力容器内に燃焼器を配置し、該燃焼器内の流動層内に伝熱管を有する加圧流動層で石炭、オイルコークス等の燃料を燃焼し燃焼ガスをガスタービンに導入するようにした複合発電システムにおける加圧流動床ボイラにおいて、燃焼器の底部には、上方に向けて少なくとも一側が他側より大きい質量速度で流動化用空気を噴出させる空気分散装置を備えるとともに、質量速度の大きい空気噴出部上方に該部分から噴出する流動化用空気の上向流をさえぎり、かつ該流動化用空気を質量速度の小さい空気噴出部上方に向けて反射転向せしめる傾斜仕切壁を設けて流動床主燃焼室を構成するとともに、該傾斜仕切壁によって前記主燃焼室と仕切られた熱回収室を形成せしめ、該熱回収室内には受熱流体を通じた伝熱面を配備するとともに、該熱回収室の底部に熱回収室散気装置を設け、また前記主燃焼室においては前記空気分散装置からの噴出空気量を制御して、質量速度の小さい空気噴出部上方には流動媒体が沈降拡散する移動層を形成し、質量速度の大きい空気噴出部上方においては流動媒体が活発に流動化し前記移動層上部に向かって旋回せしめることにより旋回流動床を形成せしめるとともに、前記熱回収室は前記仕切壁の上部及び下部にて前記主燃焼室と連絡せしめ、流動媒体の一部が前記傾斜仕切壁の上部を越えて前記熱回収室に入り込むようにし、前記熱回収室散気装置から噴出する散気量を制御して該熱回収室内の流動媒体を移動層の状態で沈降させたのち、前記傾斜仕切壁の下部連絡口から前記主燃焼室へ循環させるようにするとともに、該熱回収室の上方は前記主燃焼室の上方と一体となってフリーボードを形成し、該熱回収室からの燃焼ガスと前記主燃焼室からの燃焼ガスが混合するようにしてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、側面に単数もしくは複数の空気ノズルを設けて2次空気を吹き込み、前記主燃焼室および熱回収室からの燃焼ガスを混合攪拌し、該燃焼ガスに含まれる未燃物質を十分に燃焼させるように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、前記熱回収室と主燃焼室の間にはスクリーンを設け、粒径の大きな燃焼物が熱回収室へ飛び込むのを防止する一方、熱回収室からの燃焼ガスに整流効果を与えつつ通過させ、主燃焼室の燃焼ガスと十分に混合するように構成してもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、圧力容器内に燃焼器を配置し、該燃焼器内の流動層内に伝熱管を有する加圧流動層で石炭、オイルコークス等の燃料を燃焼し燃焼ガスをガスタービンに導入するようにした複合発電システムにおける加圧流動床ボイラにおいて、前記燃焼器を円筒形にするとともに該燃焼器の燃焼ガス出口部を前記圧力容器に接続し、該燃焼器の円筒外壁と同心の円筒状仕切壁を設け、該円筒状仕切壁によって内側に主燃焼室を形成するとともに外側に環状の熱回収室を形成し、前記主燃焼室の炉床は中心部が高く周辺に向かって低くなる円錐状をなし、前記主燃焼室の炉床には外周部の方が中心部よりも大きい質量速度で流動化用空気を噴出させるように構成した空気分散装置を設け、前記円筒状仕切壁に質量速度の大きい空気噴出部上方に該部分から噴出する流動化用空気の上向流をさえぎり、かつ該流動化用空気を質量速度の小さい空気噴出部上方に向けて反射転向せしめるように円錐状の傾斜仕切部を設け、前記熱回収室には受熱流体を通じた伝熱面を配備するとともに該熱回収室の底部に熱回収室散気装置を設け、前記主燃焼室においては前記空気分散装置からの噴出空気量を制御して、質量速度の小さい空気噴出部上方には流動媒体が沈降拡散する移動層を形成し、質量速度の大きい空気噴出部上方には流動媒体が活発に流動化し前記移動層上部に向かって旋回せしめることにより旋回流動床を形成せしめるとともに、前記熱回収室は前記仕切壁の上部及び下部にて前記主燃焼室と連絡せしめ、流動媒体の一部が前記仕切壁の上部から前記熱回収室に入り込むようにし、前記熱回収室散気装置から噴出する散気量を制御して該熱回収室内の流動媒体を移動層の状態で沈降させたのち、前記仕切壁の下部連絡口から前記主燃焼室へ循環させるようにしてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記熱回収室の上方は前記主燃焼室の上方と一体となってフリーボードを形成し、該熱回収室からの燃焼ガスと前記主燃焼室からの燃焼ガスが混合するようにしてもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、側面に単数もしくは複数の空気ノズルを設けて2次空気を吹き込み、前記主燃焼室および熱回収室からの燃焼ガスを混合攪拌し、該燃焼ガスに含まれる未燃物質を十分に燃焼させるように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、前記熱回収室と主燃焼室の間にはスクリーンを設け、粒径の大きな燃焼物が熱回収室へ飛び込むのを防止する一方、熱回収室からの燃焼ガスに整流効果を与えつつ通過させ、主燃焼室の燃焼ガスと十分に混合するように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記仕切壁の下部に設けられた前記主燃焼室と前記熱回収室との連絡口の下方の炉床部に散気装置を設け、連絡口を流動化するようにしてもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記熱回収室の伝熱面を放射状に配置された層内伝熱管で構成し、該層内伝熱管を用途別に蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックとして使用するため、平面的にみて数個の管群に分割してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記燃焼器から導出される燃焼排ガスの通路には集塵装置を設置し、該集塵装置で捕集した飛灰を、前記圧力容器側面の開口部を通して前記熱回収室へ戻すように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記燃焼器から導出される燃焼排ガスの通路には集塵装置を設置し、該集塵装置で捕集した飛灰を、前記圧力容器側面の開口部を通して前記主燃焼室およびまたはフリーボードへ戻すように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、ガス化炉で生成したチャーを酸化炉で燃焼させ、燃焼排ガスと前記ガス化炉からの発生ガスをガスタービン入口で混合燃焼し、高温ガスを発生させてガスタービンを駆動し、発電や燃焼用空気の圧縮などに利用するトッピングサイクル複合発電システムにおいて、前記ガス化炉及び/または酸化炉として加圧内部循環型流動床ボイラを利用してもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、加圧流動床複合発電システムにおける流動層炉において、該流動層炉を円筒形にするとともに該流動層炉の円筒外壁と同心に円筒状仕切壁を設け、該円筒状仕切壁によって内側にガス化炉を形成するとともに外側に環状の酸化炉を形成し、前記ガス化炉の炉床は中心部が高く周辺に向かって低くなる円錐状をなし、前記ガス化炉の炉床には外周部の方が中心部よりも大きい質量速度で流動化用空気を噴出させるように構成した空気分散装置を設け、前記円筒状仕切壁には質量速度の大きい空気噴出部上方に該部分から噴出する流動化用空気の上向流をさえぎり、かつ該流動化用空気を質量速度の小さい空気噴出部上方に向けて反射転向せしめるように円錐状の傾斜仕切部を設け、前記酸化炉の底部に酸化炉散気装置を設けるとともに前記仕切壁の中間部及び下部にて前記ガス化炉と連絡せしめ、前記ガス化炉においては前記空気分散装置からの噴出空気量を制御して、質量速度の小さい空気噴出部上方には流動媒体が沈降拡散する移動層を形成し、また質量速度の大きい空気噴出部上方には流動媒体が活発に流動化し前記移動層上部に向かって旋回せしめることにより旋回流動床を形成せしめるとともに、流動媒体の一部が前記仕切壁の中間部から前記酸化炉に入り込むようにし、前記酸化炉散気装置から噴出する散気量を制御して該酸化炉内の流動媒体を移動層の状態で沈降させたのち、前記仕切壁の下部連絡口から前記ガス化炉へ循環させるようにし、前記酸化炉の上方と前記ガス化炉の上方とは前記仕切壁によって仕切られてそれぞれ別のフリーボードを形成し、該酸化炉からの燃焼ガスと該ガス化炉からの発生ガスが混合しないようにし、それぞれ別のガス出口から外部に導出されるようにして、酸化炉とガス化炉を一体化してもよい。
【0022】
上述の各実施形態によって以下に列挙する作用を奏する。
(1)燃焼室と熱回収室とを同一炉内にて機能的に分離したことにより、負荷制御は流動層高変化法によることなく、熱回収室の風量調節による層内伝熱管の総括熱伝達係数の変化により容易に行うことができるため、流動媒体の出し入れなどに伴う複雑な操作や設備が不要であり、また、流動媒体の出し入れの際に生ずるアグロメレーションの発生を防止できる。また、負荷変化時であっても流動層温度をほぼ一定に保持できることから、常にNOx,SOx等の抑制に最適な温度条件で運転することができる。しかも、層内伝熱管は緩やかな流動状態にある熱回収室にのみ存在するため、激しい流動状態にある流動層内に配置された場合に比べ摩耗が少ない。
また、流動層内部に旋回流が形成されるため、流動層内での流れの滞留が無く、石炭等の燃料が均一に分散燃焼するため、アグロメの発生を防止できる。そして、流動層を出たガスが層内管で冷却されることがないため、一酸化炭素(CO)の発生量を低く抑えることができるほか、ガスタービン効率の低下を防げる。
さらに熱回収室の上方は主燃焼室の上方と一体となって広い空間のフリーボードを形成し、このフリーボード内で熱回収室からの燃焼ガスと主燃焼室からの燃焼ガスとが混合される。したがって、フリーボードにおける燃焼ガス滞留時間を長くすることができ、可燃分をフリーボード内で十分に燃焼させることができる。また、フリーボードにおいて、2次空気を吹き込むことにより、主燃焼室および熱回収室からの燃焼ガスを混合攪拌し、燃焼ガスに含まれる燃焼物質を十分に燃焼させることができる。
【0023】
(2)大気圧以上の内部圧力を保持するように構成された圧力容器に収納された円筒形燃焼器の流動層内部に仕切壁を設けて、主燃焼室と熱回収室を分離し、該仕切壁は、円筒状仕切壁と円錐状仕切壁からなり、この円錐状仕切壁は流動化用空気の上向き流路をさえぎり、流動化用空気を炉内中央に向けて反射転向させる反射壁として機能させるとともに、主燃焼室には円錐状の炉床を設け、該炉床に配置した空気分散ノズルによって主燃焼室内を流動化するが、その際主燃焼室の約1/2程度の径の同心円の範囲内は最低流動化速度の1〜2.5倍程度の緩やかな流動化状態とし同心円の外側の環状部では最低流動化速度の4〜12倍程度の強い流動化状態となるように空気分散ノズルからの吹き出し空気量を調節することにより、主燃焼室流動層内部では、流動媒体が中央から円錐状炉床面に沿いながら全方位に向かって緩やかに分散移動したのち、前記仕切壁の内側に沿って吹き上がるが、次第に中心方向への凝集力が高まり、流動層表面で最高に達すると一転その反力で周方向および上方向へ爆発的に流動媒体が飛散し、その結果多量の流動媒体が仕切壁を越えて前記熱回収室へ入り込む。
【0024】
一方、流動層表面に残った流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降し、前記円錐状炉床中心付近に到達すると今度は再び水平周方向への移動に転じる循環流が生じる。この循環流によって、流動媒体が中央から円錐状炉床面に沿いながら、全方位に向かって緩やかに分散移動する拡散流が生じるため燃料や脱硫剤などの均一な拡散が行われることから、燃焼が均一となりアグロメレーションの発生がなく、また給炭口も少なくてすみ、給炭設備がきわめて簡素化されるなどの効果がある。流動層表面に残った流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降するため、燃料や脱硫剤などの層内滞留時間が長くとれ、燃焼効率の向上、脱硫効率の向上にきわめて効果的である。
【0025】
一方、多量の流動媒体が仕切壁を越えて、熱回収室に入り込むが、この時、主燃焼室と熱回収室上部のフリーボードには熱回収室を囲うようにクシ歯状などの形状をしたスクリーンを設けることによって粒径の粗い石炭など固形燃料の混入を防止できることから、熱回収室流動層は最低流動化速度の2倍以内の緩やかな流動状態であるにもかかわらず、アグロメレーションの形成を避けることができる。このスクリーンは、熱回収室から発生する燃焼ガスに対してはバッフルの作用を果たし、主燃焼室から発生する燃焼ガスと十分に混合攪拌する効果が得られる。
【0026】
特に、加圧流動床ボイラにおいては、燃焼排ガス中の未燃分が多いことは、燃焼効率の低下は当然であるが、さらに下流側に設けられた集塵装置、例えばサイクロン内で未燃分の燃焼が発生しアグロメレーションの形成が起きたり、またセラミックフィルタの場合にはフィルタ表面で燃焼しフィルタを破損するなどのトラブルが発生し、運転不能に立ち至るなど深刻な問題につながっている。そのため燃焼炉内で可燃分を完全に燃焼することが望ましく、前記スクリーンのバッフル作用による攪拌混合効果は、後述の2次空気の投入方法や、フリーボード高さ、フリーボードにおける燃焼ガス滞留時間などとも相乗的に作用し、燃料中の可燃分をフリーボード内で十分に燃焼させる上で大きな効果を発揮している。
【0027】
(3)本発明の内部循環流動床ボイラは主燃焼室には伝熱面を有しないため、主燃焼室を還元雰囲気で燃焼することが可能である。そのため、燃焼用空気の分配比率の設定によって、主燃焼室には燃焼に必要な理論空気量以下の空気を供給するほか、熱回収室には制御に必要な空気量を投入し、さらに完全燃焼に必要な残りの空気量は2次空気としてフリーボードに設けた複数の2次空気ノズルを用いて、供給する2段燃焼を行う。その結果主燃焼室を還元雰囲気で燃焼し、還元燃焼によって石炭の揮発分放出を活発に行い、気相反応においてCHなどの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi、HCNなど)等が燃焼によって生成した窒素酸化物を還元するとともに、N化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させる効果をもたらし、低NOx燃焼が可能となるものである。
【0028】
(4)仕切壁の下部、連絡流路の炉床に空気室と散気装置を設けたことによって連絡流路全体が流動化し、熱回収室を通って主燃焼室へ循環する流動媒体の量を増加することができる。前記空気室は熱回収制御用空気室と連通していてもよく、または該空気室とは独立して制御してもよく、独立制御の場合は熱回収室散気量とは無関係に流動媒体循環量を制御することができ、1種の調節弁のような作用を行わせることも可能である。その結果、矩形燃焼炉の場合よりも多量の流動媒体を潤滑することができ、矩形燃焼炉の場合と比較して熱回収室が大きくとれる円筒形の燃焼炉の特性を活かすことができる。
【0029】
(5)熱回収室流動槽の内部に層内伝熱管を放射状に配置し、しかも用途別に蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックとして使用するため、平面で見て数個の管群に機能別に分割して配置したことにより熱回収室炉床部からの散気量をそれぞれのブロック毎に調整し、各ブロックの収熱量を独立して制御することが可能である。また、各ブロックの間には、メンテナンススペースが取ってあり、層内伝熱管の点検等に効果的である。また、メンテナンススペースは必ずしも必要でなく、メンテナンススペースを設けない場合は、よりコンパクトになる。
【0030】
(6)燃焼排ガス系統に設けたサイクロンで捕集した飛灰を熱回収室に戻すように構成することにより、熱回収室内の平均粒子径および比重量が小さくなる。主燃焼室内の平均粒子径が0.6mm程度なのに対し、燃焼排ガスに同伴しサイクロンで捕集されリサイクルする粒子径ははるかに小さく、またチャーも含まれるため比重量も小さいからである。熱回収室においては、流動化ガス速度が最低流動化速度の2倍程度と小さいため、リサイクルした粒子が再飛散することなく、したがって熱回収室内の平均粒子径および比重量は主燃焼室に比べて小さくなる。
【0031】
最低流動化速度(Umf)は流動媒体の粒径の2乗に比例し、また比重量とも比例するため、熱回収室の流動化速度は主燃焼室と比較してかなり小さくなる。従って熱回収制御用空気量は、熱回収室にリサイクルしない場合と比較して、かなり少なくてすむことになり、結果として熱回収室内の流動化ガス速度(U0 )が小さくなる。熱回収室内に配置された層内伝熱管の摩耗速度は流動化ガス速度(U0 )の3乗に比例することから、U0 が小さくなることにより、摩耗は大きく低減することになる。また、熱回収制御用空気は、主燃焼室の流動層温度をコントロールするため常に変動しているが、この空気量が少なくてすむことは、熱回収空気量の変動が燃焼に及ぼす影響を少なくすることであり、安定燃焼にきわめて効果的である。
【0032】
(7)円筒形内部循環流動床ボイラから導出される燃焼排ガスの通路には集塵装置を設置し、かつ捕集した飛灰から未反応脱硫剤と未燃炭素分を回収するための分級装置を設け、該飛灰を粒径別に大中小3段階に分級し、中間の粒径の飛灰のみ主燃焼室およびまたはフリーボードおよびまたは燃料供給系統に戻すように構成したことにより、チャー濃度が最も高い通常10〜60μm程度の範囲の粒子のみ円筒形燃焼器へ戻すことができるため、最少の循環灰量でNOx低減、燃焼ガス系統の摩耗の低減、燃焼効率上昇などの効果を上げることが可能となる。
【0033】
(8)トッピングサイクル複合発電システムにおいて、ガス化炉および/または酸化炉に加圧内部循環型流動床ボイラを用い、ガス化炉から排出される未燃チャーは全量生成ガスと同伴させ、600℃以下に冷却され、その後段に設置した集塵装置で捕集したあと、酸化炉に導入して完全燃焼させ、その燃焼排ガスは酸化炉を出たあと600℃以下に冷却され、後段に設置した集塵装置によりNa,Kを含んだ粒子を捕集排出し、清浄になった燃焼ガスと前記ガス化炉を出たあと集塵されてNa,Kを含んだ粒子を捕集排出し清浄になった生成ガスをトッピングサイクル燃焼器で混合燃焼し、発生した高温の燃焼ガスをガスタービンに導入するように構成したことにより、ガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,K等のアルカリ金属が燃焼ガス中に含まれないため、ガスタービンの材質、設計が従来技術で対応することが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る加圧内部循環型流動床ボイラの実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は本発明の加圧円筒形内部循環型流動床ボイラの縦断面図を示し、図2(a)は図1のII(a)−II(a)線断面図である。
図1に示す実施例は、円筒形の圧力容器に円筒形内部循環型流動床ボイラを内蔵した実施例であり、これを用いて本発明の概略の構成を説明する。
【0035】
圧力容器1は円筒形状をなし、上面が燃焼ガス出口4を有する鏡板であり、下面は流動用空気入口3、熱回収室制御用空気入口5などを有する鏡板となっており、大気圧以上の内部圧力を保持できるように構成されている。なお、図1に示す圧力容器1は円筒形状をなすが、球形であっても良い。
【0036】
圧力容器1の内部には円筒形燃焼器2が配置されており、該円筒形燃焼器2は水管を連結して構成された円筒外壁11を有する1つの密閉容器になっており、その内部に燃焼室流動層が形成されている。円筒形燃焼器2の上端部には燃焼ガス出口2aが設けてあり、この燃焼ガス出口2aは圧力容器1の燃焼ガス出口4と接合されている。また円筒形燃焼器2の底部周囲は圧力容器1の下部鏡板の上に取り付けられた円筒形サポート7によって支持されている。
【0037】
円筒形燃焼器2の流動層内部には仕切壁8が設けられ、この仕切壁8によって主燃焼室9と熱回収室10とを分離している。仕切壁8は円筒外壁11から取り出された水管によって構成され、この水管はさらに耐火耐熱材料によって被覆されている。仕切壁8は円筒形仕切壁8aとこの円筒形仕切壁8の上部に形成された円錐状仕切壁8bとからなり、この円錐状仕切壁8bは流動化用空気の上向き流路をさえぎり、流動化用空気を炉内中央に向けて反射転向させる反射壁として機能し、その結果主燃焼室9の内部に矢印で示すような旋回流が生じる。また主燃焼室9及び熱回収室10の上方は一体となってフリーボード31を形成している。熱回収室10の上部のフリーボードと主燃焼室9の上部のフリーボードの間には、仕切壁などはなく一体の空間のフリーボード31となっており、双方の燃焼ガスが相互に自由に行き交うように構成されている。
【0038】
また熱回収室10内には、円筒外壁11の外側に設けた層内管用上部ヘッダー13と層内管用下部ヘッダー14とから分岐した層内伝熱管15が配置されており、この層内伝熱管15は図2(a)に示されるように平面的にみて放射状に配置されている。
圧力容器1の下部には給水入口16が設置されており、給水入口16から導入されたボイラ水は前記円筒外壁11を経由したあと、連絡管16aを経由して層内管用下部ヘッダー14に導入され、この層内管用下部ヘッダー管14から層内伝熱管15に分配される。そして、層内伝熱管15で発生した蒸気は層内管用上部ヘッダー13に集合し蒸気出口17から外部に導出される。
【0039】
一方、圧力容器1には均圧ノズル18が設けられており、流動用空気入口3に連結する高圧の流動用空気系統19から均圧空気系統19aを分岐して、該均圧ノズル18に接続し、圧力容器1内部と円筒形燃焼器2内部が流動層の圧力損失分を除きほぼ均一な圧力とし、該燃焼器2が非耐圧構造となるように工夫している。ただし、この場合円筒形燃焼器2のフリーボード31においては、流動層圧力損失分の外圧は受けることになる。また、均圧ノズル18の手前で減圧弁等を設けて、圧力容器1と円筒形燃焼器2の間の空間36とフリーボード31が均圧になるようにする場合には円筒形燃焼器2の内、流動層より下部は流動層圧力損失分の内圧を受けることになる。また圧力容器1には給炭入口6が設けられ、この給炭入口6は給炭ノズル22に連なっている。
【0040】
主燃焼室9には、中心部が高く外周側へ向かうにつれて低くなった円錐状の炉床20が設置され、該炉床20に空気分散ノズル21が設置されている。そして、流動化用空気入口3に連通した空気分散ノズル21から流動化用空気を噴出し主燃焼室9内で流動媒体を流動化するようになっている。また、前記給炭ノズル22は主燃焼室9の炉床20近傍でかつ仕切壁8の近傍に開口している。空気分散ノズル21の外周環状部から噴出する流動化用空気の質量速度は、炉内の流動媒体の流動層を形成するのに十分な速度とするが、空気分散ノズル21の中央部から噴出する流動化用空気の質量速度は外周環状部よりも小さく選ばれている。これによって、主燃焼室9の約1/2程度の径の同心円の範囲内は最低流動化速度の1〜2.5倍程度の緩やかな流動化状態とし、同心円の外側の環状部では最低流動化速度の4〜12倍程度の強い流動化状態となるようにし、主燃焼室流動層内部では、流動媒体が中央から円錐状炉床面に沿いながら全方位に向かって緩やかに分散移動したのち、前記外周環状部に至るとそこでは、流動化速度が大きいために移動方向は上向きに転じ、前記仕切壁8の内側に沿って吹き上がるが、次第に中心方向への凝集力が高まり、流動層表面で最高に達すると一転その反力で周方向および上方向へ爆発的に流動媒体が飛散する。
【0041】
その結果多量の流動媒体が仕切壁8を越えて前記熱回収室10へ入り込む。このとき熱回収室流動層は最低流動化速度の2倍以内の緩やかな流動状態であるのでアグロメレーションが発生しやすい状態にあり、粒径の粗い石炭など固形燃料の混入は避ける必要がある。そのためフリーボード31には熱回収室10を囲うようにクシ歯状の形状をした水管及びプロテクターからなるスクリーン12が設けられており、このスクリーン12により粗粒固形燃料の流入を防止するとともとに熱回収室10から発生する燃焼ガスに対してはバッフルの効果を果たし、主燃焼室9から発生する燃焼ガスと十分に混合攪拌するようにしている。
【0042】
特に加圧流動床ボイラにおいては、燃焼排ガス中の未燃分が多いことは、燃焼効率の低下は当然であるが、さらに下流側に設けられた集塵装置、例えばサイクロン内で未燃分の燃焼が発生しアグロメレーションの形成が起きたり、またセラミックフィルタの場合にはフィルタ表面で燃焼しフィルタを破損するなどのトラブルが発生し、運転不能に立ち至るなど深刻な問題につながってくる。
そのため、燃焼炉内で可燃分を完全に燃焼することが望ましく、前記スクリーン12のバッフル作用による攪拌混合効果は、後述の2次空気の投入方法や、フリーボード高さ、フリーボードにおける燃焼ガス滞留時間などとも相乗的に作用し、燃焼中の可燃分をフリーボード内で十分に燃焼させる上で大きな効果を発揮している。
【0043】
一方流動層表面に残った流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降し、前記円錐状炉床中心付近に到達すると今度は再び水平全周方向への移動に転じる循環流が生じる。この循環流の効果により炉床付近に設けた給炭ノズル22から投入したCWP(Coal Water Paste)などが主燃焼室内全方位方向へ均一に分散し、簡素な給炭設備でありながら燃料の偏在が避けられ、クリンカ発生の恐れがない。
【0044】
また熱回収室10には、内周側より外周側に向かうにつれて高くなった逆円錐状の炉床23が設置され、この炉床23に空気分散ノズル24が設置されている。熱回収室制御用空気入口5に連通した空気分散ノズル24から空気を噴出し、熱回収室10内を緩やかに流動させることにより、仕切壁8を越えて熱回収室10に入る流動媒体が層内伝熱管15で冷却されつつ熱回収室流動層内を緩やかに沈降した後、傾斜した炉床に沿って、前記仕切壁8の下部の連絡流路27を通過し て主燃焼室流動層に還流する。その結果、主燃焼室9で発生した熱量が熱回収室10の層内伝熱管15を通じて有効に熱回収されることになる。
また円錐状仕切壁8bの背面にも空気導入パイプ25、背面散気ノズル26を設け、熱回収室10に入ってきた流動媒体を流動化させ、部分的に燃焼させることが可能であるが、円錐状仕切壁8bの角度を大きくした場合には設けなくてもよい。
【0045】
主燃焼室炉床20の下方には流動燃焼用空気室28が形成され、この流動燃焼用空気室28は仕切壁8を支える水管29に囲まれ、流動用空気入口3につながっている。また熱回収室炉床23の下方には、熱回収制御用空気室30が形成され、この熱回収制御用空気室30は熱回収制御用空気入口5によって外部と接続している。
【0046】
熱回収室10の上方は主燃焼室9の上方と一体となって広い空間のフリーボード31を形成し、このフリーボード31内で熱回収室10からの燃焼ガスと主燃焼室9からの燃焼ガスとが混合される。したがって、フリーボード31における燃焼ガス滞留時間を長くすることができ、可燃分をフリーボード31内で十分に燃焼させることができる。
またフリーボード31には複数の2次空気ノズル33が設置されており、二段燃焼方式の採用が可能になっている。なお、符号34は2次空気入口である。本出願の内部循環流動床ボイラは主燃焼室9には伝熱面を有しないため、主燃焼室を還元雰囲気で燃焼することが可能である。還元燃焼によって石炭の揮発分放出を活発に行い、気相反応においてCH などの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi、HCNなど)等が燃焼によって生成した窒素酸化物を還元するとともにN化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させることから、低NOx燃焼が可能である。
したがって主燃焼室9には燃焼に必要な理論空気量以下の空気を供給するほか、熱回収室10には制御に必要な空気量を投入し、さらに完全燃焼に必要な残りの空気量は2次空気として2次空気ノズル33からフリーボード31に供給する2段燃焼方式を採用している。
【0047】
また、フリーボード31において燃焼ガスが燃焼ガス出口4に短絡して流れることを防ぎ、フリーボード内部で十分攪拌混合燃焼するようにバッフル32を設けることも一つの選択である。ただ、2次空気による混合攪拌が十分な場合や空塔速度が遅くまたフリーボード高さが十分あり、燃焼ガスの短絡流れの可能性がない場合はバッフルの必要はない。
【0048】
図2(b)は図2(a)の変形例を示す図であり、図2(b)に示すように、層内伝熱管群は、蒸発管ブロック40、No.1蒸気過熱管ブロック41、No.2蒸気過熱管ブロック42、No.3蒸気過熱管ブロック43、さらに蒸気再熱管ブロック44と、機能別に分割して配置されており、貫流型の場合、図示はしないがそれぞれ連絡管を経由しながら、蒸発管ブロック40、No.1蒸気過熱管ブロック41、No.2蒸気過熱管ブロック42、No.3蒸気過熱管ブロック43の順に蒸気が流れる。
発生した過熱蒸気は高圧蒸気タービンに導かれたあと、再び蒸気再熱管ブロック44に戻って加熱され、次に中圧蒸気タービンへ導入される。
【0049】
このように機能別に分割して配置した結果、熱回収室炉床部からの散気量をそれぞれのブロック毎に制御することによって、各ブロックの収熱量を独立して制御することが可能である。また、各ブロックの間には、メンテナンススペース45が取ってあり、層内伝熱管の点検等に効果的である。また、メンテナンススペースは必ずしも必要でなく、メンテナンススペースを設けない場合は本図よりももう少しコンパクトになる。
【0050】
図3は負荷変化に応じた空気系統の制御方式を説明する説明図であり、負荷が変化したとき、蒸気出口(タービン入口蒸気系統)17の蒸気流量が変化し、それに伴い流量計F31の蒸気流量信号が変化する。演算器Y0では、流量計F31からの流量信号のほか、蒸気圧力調節計P31の出力信号を合わせて演算し、出力信号を出力する。この出力信号は燃料系統に送られ、負荷に応じた燃料供給を行うようにするとともに、空気系統の演算器Y0′に入力される。
【0051】
演算器Y0′では、Y0からの入力信号のほか、燃焼排ガス系統50に設けられた酸素濃度調節計A25の出力信号と熱回収制御用空気流量調節計F21からの空気流量信号を組み合わせて演算し、酸素濃度調節計A25における酸素濃度が一定になるよう燃焼空気量を調節する。その結果、該燃焼空気量から熱回収室空気量を差し引いた残りの空気量を指示する信号を出力する。演算器Y1,Y2では該出力信号をもとに流動空気量と2次空気量が一定の比率で供給されるように演算が行われ、それぞれY1,Y2からの出力信号によって流動空気流量調節計F22、2次空気流量調節計F24をコントロールする。
【0052】
該比率の設定によって主燃焼室9には燃焼に必要な理論空気量以下の空気を供給するほか、熱回収室10には制御に必要な空気量を投入し、さらに完全燃焼に必要な残りの空気量は2次空気としてフリーボード31に供給する2段燃焼が可能となる。
したがって、主燃焼室9を還元雰囲気で燃焼することが出来、還元燃焼によって石炭の揮発分放出を活発に行い、気相反応においてCHなどの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi,HCNなど)等が生成した窒素酸化物を還元するとともに、N化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させる結果、低NOx燃焼が可能となるものである。
【0053】
一方、蒸気圧力調節計P31の出力信号は演算器Y31を経て流動層温度調節計T58をコントロールする。すなわち、蒸気圧力が少し低下したときはY31からの出力信号によってT58の層温度設定値を少し低下させる。それに伴って流動層温度調節計T58からの操作信号が変化し、演算器Y21を経由して熱回収空気流量調節計F21に作用する結果、熱回収空気量を増加させる。
熱回収室における層内伝熱管の総括伝熱係数は図4に示すように熱回収室流動層内の流動化ガス速度(fluidizing gas velocity)とほぼ比例するので熱回収空気量すなわち流動化ガス速度の増加によって収熱量が増加し、蒸気圧力が回復する。蒸気圧力が設定値より増加した時はこの逆動作となり、熱回収空気量を減少させることにより蒸気圧力を低下させる。
このように主たる操作して燃料供給量の調整、副次的な操作として熱回収空気量の調整を行うことによって、負荷変化に伴う影響を最小限に抑え、素早く安定した制御を可能とするものである。
【0054】
また、ガスタービン38の出口ガスとコンプレッサ39の空気取り入れ口を連結し、弁49によって供給空気への燃焼排ガス混入量を調節することにより、NOxの低減や、低負荷時における流動化速度の増加による流動の安定をはかることが可能であるため、図3中には一応記載してあるが、基本的には設けないでシステムを構成することもできる。
【0055】
図5は図1に示す円筒形燃焼器2の詳細構造を示す説明図である。図1のような円筒形の燃焼炉とした場合、熱回収室10は仕切壁8の外側に環状となって広がり、矩形燃焼炉の場合と比較して熱回収室が大きくとれるため多数の伝熱管を配置することが可能である。したがってその特性を活かすためには矩形燃焼炉の場合よりも多量の流動媒体を循環する必要がある。
しかしながら、従来は仕切壁8の下部、連絡流路27には散気装置がないため、熱回収室空気分散ノズル24、主燃焼室空気分散ノズル21からの流動空気によって副次的に流動化しているだけであり、図の符号27aのように流動が活発でない部分が存在した。それを解消するため仕切壁8の下部、連絡流路27の炉床に空気室30′と空気分散ノズル24′を設けたものである。これによって連絡流路27全体が流動化し、熱回収室10を通って主燃焼室9へ循環する流動媒体の量を増加させることができる。
空気室30′は熱回収制御用空気室30と連通してもよく、または該空気室30とは独立して制御してもよい。独立制御の場合は熱回収室散気量とは無関係に流動媒体循環量を制御することができ、1種の調節弁のような作用を行わせることも可能である。
【0056】
(実施例2)
図6は燃焼排ガスの処理系統まで含めた本発明の第2実施例を示す説明図である。
図6に示されるように、圧力容器1から排出された燃焼排ガスは排ガス系統50に導かれ、サイクロン51に導入される。サイクロン51で捕集された飛灰は重力で落下し、シール機構52に貯留されつつ灰リサイクル空気53によって、圧力容器1および円筒形燃焼器2の側面を貫通するリサイクル灰導入管54を経由して熱回収室10に戻される。
【0057】
飛灰を熱回収室10にリサイクルすることにより、熱回収室内の平均粒子径および比重量が小さくなる。主燃焼室9内の平均粒子径が0.6mm程度なのに対し、燃焼排ガスに同伴しサイクロンで捕集されリサイクルする粒子径ははるかに小さく、またチャーも含まれるため比重量も小さい。
熱回収室10においては流動化ガス速度が最低流動化速度の2倍程度と小さいため、リサイクルした粒子が再飛散することなく、したがって熱回収室10内の平均粒子径および比重量は主燃焼室9に比べて小さくなる。
【0058】
最低流動化速度(Umf)は流動媒体の粒径の2乗に比例し、また比重量とも比例するため、熱回収室の最低流動化速度は主燃焼室と比較してかなり小さくなる。従って熱回収制御用空気量は、熱回収室にリサイクルしない場合と比較して、かなり少なくてすむことになり、結果として熱回収室内の流動化ガス速度(UO )が小さくなる。
熱回収室内に配置された層内伝熱管の摩耗速度は流動化ガス速度(UO )の3乗に比例することから、UO が小さくなることにより、摩耗は大きく低減することになる。
また、熱回収制御用空気量は、図3に示すように主燃焼室9の流動層温度をコントロールするため常に変動しているが、この空気量が少なくてすむことは、熱回収空気量の変動が燃焼に及ぼす影響を少なくすることになり、安定燃焼にきわめて効果的である。
【0059】
また、図6に示されるように排ガスはサイクロン51を経由してさらに集塵装置55に導入される。該集塵装置55は例えばセラミックフィルタや高温バグフィルタで構成される。そこで捕集された飛灰は灰クーラー56で冷却された後にロックホッパ57を通って大気圧下に放出される。一方、集塵され清浄になった高温の排ガスはガスタービン58に導入される。
燃料については、原炭バンカ59に貯留された石炭は破砕機60によって粉砕されて攪拌槽61に送られ、脱硫剤バンカ62から投入される脱硫剤と水64を攪拌混合してスラリー状の燃料を作り、スラリーポンプ65によって燃焼器2に送られ、給炭ノズル22から主燃焼室流動層内に供給される。
【0060】
また、リサイクル灰導入管54aによりフリーボード31に飛灰をリサイクルすることも可能である。この時、フリーボード内の粒子濃度が増加し、燃焼ガスの撹拌効果を増すとともに未燃チャーや未反応脱硫剤と燃焼ガスの接触効果を上げる。
その結果、燃焼効率の上昇、脱硫脱硝性能の向上につながる。
また、リサイクル灰導入官54aを延長して主燃焼室9の中央付近、移動層の層表面もしくは層中に飛灰をリサイクルC、下降する流動媒体に同伴させることにより主燃焼室流動層内で十分な滞留時間をとって未燃分の燃焼や、脱硫脱硝反応の向上に寄与させることも可能である。
【0061】
図1に示す加圧内部循環型流動床ボイラは貫流型であるが、図6乃至図8においては強制循環型ボイラとして示す。強制循環型ボイラにおいては、汽水胴71を設け、そこにボイラ給水系70にて給水する一方、強制循環ポンプ72によって強制循環配管73を経由して水管壁や熱回収室層内の蒸発管に缶水を循環させる。
一方、汽水胴71で発生した蒸気74は、特に図示しないが連絡管によって熱回収室層内に設けた過熱管に送られ、そこで発生した過熱蒸気74′は高圧蒸気タービンへと供給される。
【0062】
(実施例3)
図7は、燃焼排ガスの処理系統まで含めた本発明の第3実施例を示す説明図である。
図7に示されるように、排ガス系統50の途中に設けたサイクロン51で捕集した飛灰を灰クーラ77で冷却する。特に図示はしないが、この冷却用の媒体としてはボイラへの給水や、流動用空気などを用い、有効に熱回収をはかることが可能である。
冷却された飛灰はロックホッパ78を介して分級槽79に導入され、同じく集塵装置55から、灰クーラー56、ロックホッパ57を介して得られた飛灰と混合して、分級される。本図では分級用空気80を散気パイプ81から投入して行う流動層分級の例を示すが、かならずしもこれに限定されるものではない。
【0063】
分級槽79で選択的に分離された通常60μm以下の粒径の未反応脱硫剤や未燃炭素などは空気によってサイクロン83に運ばれる。ここでさらに分級され、約10μm以下の粒子は、集塵装置84へ導入されて、移送空気と分離されたあと外部へ排出される。一方サイクロン83から排出される粒径が10〜60μmの飛灰は、シール弁85、ロックホッパ86、ロータリーバルブ87を経てリサイクル灰圧送空気88によって円筒形燃焼器2に投入される。
燃焼器2に戻すにあたり、リサイクル灰導入管54によって、熱回収室に戻す方法をとる場合、図6の詳細説明に述べたような特徴が発揮出来るほかまた、リサイクル灰導入管54aによりフリーボード31に飛灰をリサイクルすることの可能である。この時、フリーボード内の粒子濃度が増加し、燃焼ガスの撹拌効果を増すとともに未燃チャーや未反応脱硫剤と燃焼ガスの接触効率を上げる。
その結果、燃焼効率の上昇、脱硫脱硝性能の向上につながる。
【0064】
また、リサイクル灰導入管54aを延長して主燃焼室9の中央付近、移動層の層表面もしくは層中に飛灰をリサイクルし、下降する流動媒体に同伴させることにより主燃焼室流動層内で十分な滞留時間をとって未燃分の燃焼や、脱硫脱硝反応の向上に寄与させることも可能である。
このように粒径別に3段階に分級し、チャー濃度が最も高い通常10〜60μm程度の範囲の粒子のみ円筒形燃焼器2へ戻すことにより、最少の循環灰量でNOx低減、燃焼ガス系統の摩耗の低減、燃焼効率上昇などの効果を上げることが可能となる。
【0065】
また、本図ではサイクロン51、集塵装置55の2段集塵となっているが、サイクロン51、灰クーラ77、ロックホッパ78を廃し、集塵装置55単独とすることも可能である。また、その際灰クーラ56、 ロックホッパ57を介さないで加圧下で分級してもよい。集塵装置55は通常セラミックフィルタが使用される。
【0066】
図8は分級した飛灰を処理する他の例を示す図である。
分級槽79で選択的に分離された通常60μm以下の粒径の未反応脱硫剤や未燃炭素などは空気によってサイクロン83に運ばれる。ここでさらに分級され、約10μm以下の粒子は、集塵装置84へ導入されて、移送空気と分離されたあと外部へ排出される。
一方サイクロン83から排出される粒径が10〜60μmの飛灰は、シール弁85、ロックホッパ86、ロータリーバルブ87を経てから、ホッパ89に貯留したあと、混合装置90で石炭や脱硫剤と一緒に粒子状の燃料に混合され、燃料圧送空気によって円筒形燃焼器2に供給される。
一方、ロータリーバルブ87から排出される10〜60μmの飛灰を燃焼系ではなく2次空気34によって空気輸送し、2次空気ノズル33からフリーボード31へ投入することも可能である。
【0067】
(実施例4)
図9は本発明の実施例の一つであるとともに加圧流動床ボイラとしての全体系統図の一例を示す。
図9に示した系統を概略説明する。本図に示すボイラは貫流型ボイラとして構成されており、運転中はスラリー状の燃料をスラリーポンプ65で燃焼器2に送り、主燃焼室9の流動層内に供給、燃焼する。燃焼排ガスは排ガス系統50を通って、集塵装置55によって除塵されたあと高圧ガスタービン100、低圧ガスタービン101を駆動したあと、さらに排ガスクーラ102でボイラ給水を加熱し、煙突103から大気放出される。
【0068】
一方、流動燃焼用空気はガスタービンで駆動される低圧コンプレッサー104、高圧コンプレッサー106によって昇圧され、一部は熱回収制御用空気として分岐し、熱回収制御用空気室30に導入され、残りは流動燃焼用空気室28に導入され、主燃焼室9内の流動媒体を旋回流動させながら燃焼を行う。
蒸気系統に関しては、給水はボイラ給水ポンプ107によって、途中排ガスクーラ102で加熱されつつ、ボイラに送られ、円筒壁を構成する水管を経由した後、熱回収室層内の蒸発管108、蒸気過熱管109を通って過熱蒸気となる。発生した過熱蒸気は高圧蒸気タービン110を駆動した後、再び燃焼器2に戻り、再熱用層内伝熱管111で加熱された後、中圧タービン112、低圧タービン113を駆動し、発電機114で発電した後、復水器115で復水となり、再びボイラ給水として使用される。
【0069】
(実施例5)
図10は本発明の実施例の1つとして内部循環型流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムの酸化炉として組み込んだ実施例を示す。
また、特に図示はしないが図10に示すトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉として本発明による加圧円筒形流動床ボイラを使用することも可能である。
ガス化炉への応用については以下のように説明できる。すなわち、図1及び図3で詳述したように本願の加圧型内部循環型流動床ボイラの主燃焼室9には伝熱面が配置されていない。そのためNOx低減を目的として2段燃焼を行い、その結果主燃焼室9は空気比0.8程度の還元雰囲気での燃焼となっている。しかも主燃焼室9の内部では流動化ガス速度に差をつけるように構成しているため、主燃焼室移動層部では実質空気比は約0.5とガス化炉に近い運転となっている。そのため、トッピングサイクルのガス化炉に転換するのはきわめて容易であり、熱バランス上、層内熱回収が不要であれば熱回収制御用空気を停止すればよく、また層内伝熱管を除去してもよい。
【0070】
ここでは、図10に沿って概略系統を説明する。
まず、ガス化炉120に石炭121と脱硫剤122が供給されガス化炉120内部で空気124によって石炭ガスとチャー及び、CaSなどに分解する。
チャー及び、CaSなどはガス化炉120からと、および石炭ガス通路に設けられた集塵器123から排出され、通路125を通って、内部循環形流動床ボイラからなる酸化炉126に導入され、円筒形燃焼器2の炉床付近に供給される。供給先は必ずしも炉床付近でなくてもよく流動層層上でもよい。
【0071】
酸化炉126には、石炭121、脱硫剤122を供給することも可能であり、給炭ノズル22を通って主燃焼室9内に投入され前記チャーと一緒に燃焼する。一方、酸化炉126で発生した燃焼ガスは集塵器127で除塵されたあと、ガスタービン128入口の燃焼器129に導入され、そこでガス化炉120から排出され、集塵器123、集塵器130で除塵された石炭ガスと混合燃焼して高温ガスとなり、ガスタービン128を高効率で駆動する。
【0072】
また、ガスタービン128はコンプレッサー131、発電機132を駆動する。ガスタービン128を出た排ガスは熱回収装置133で冷却されたのち大気放出される。
一方、ボイラで発生した過熱蒸気74′は、蒸気タービン134と該タービン134に連結された発電機135を駆動したあと、復水器136で復水に戻り、ボイラ給水ポンプ137で再びボイラに給水される。なお、酸化炉126内部での加圧円筒形流動床ボイラの作動は実施例1乃至4の場合と同様である。
【0073】
(実施例6)
図11は本発明の実施例の1つとして加圧円筒形流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉120および酸化炉126として組み込んだ実施例を示す。
図11においては、ガス化炉120に石炭121、脱硫剤122を供給し、空気19を供給することによって部分燃焼ガス化させる。酸化剤として空気のほか酸素150、あるいは水蒸気151を投入することも可能である。
【0074】
ガス化炉120で発生する未燃チャー等は全量生成ガスと同伴させ、その後段に設置したガス冷却装置140で600℃以下に冷却し、ガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,K等のアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵装置141で捕集したあと、酸化炉126に導入して完全燃焼させる。酸化炉126の燃焼排ガスは酸化炉126を出たあと、後段に設置したガス冷却装置142で600℃以下に冷却され、この冷却によって固化したNa,Kなどのアルカリ金属粒子は粒子集塵装置143で捕集排出される。集塵装置141,143には通常セラミックフィルタを使用する。
【0075】
高温腐食の原因となるNa,Kを取り除いて清浄になった燃焼ガスと前記ガス化炉120を出たあと集塵されて清浄になった生成ガスを燃焼器129で混合燃焼するが、それぞれのガスを冷却した分、燃焼器129での燃焼温度が若干低下するので、燃焼温度の低下を防ぐためには、酸化炉126でなるべく空気過剰率を低くして運転することによって燃焼排ガス量を低減する。そのため燃焼器129で必要な酸素量は別途、酸素150として該燃焼器に供給する。
【0076】
燃焼器129で発生した高温の燃焼ガスはガスタービン128を高効率で駆動する。そして、ガスタービン128はコンプレッサ131、発電機132を駆動する。ガスタービン128を出た排ガスは熱回収装置133で冷却されたのち大気放出される。なお、本実施例において、タービンブレードの材質が向上すれば、ガス冷却装置140,142を省略してもよい。
【0077】
(実施例7)
図12は、本発明の実施例の1つとして加圧円筒形流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉と酸化炉とを一体化した炉として構成した例である。
加圧流動床複合発電システムにおける円筒形流動層炉201において、該流動層内に円筒外壁202と同心の仕切壁203を設け、該仕切壁203は円筒状仕切壁203aおよび円錐状仕切壁203bからなり、該仕切壁203の中間部及び下部に空隙204,205を設けて連絡口とするほか、上端部は円筒外壁202の天井面と接続され、ガス出口206を形成している。
【0078】
前記仕切壁203の内側をガス化炉207とし、外側の環状空間は酸化炉208として使用する。前記流動層炉の炉床は、ガス化炉207の炉床209では中心が高く、前記仕切壁203に向かって低くなる円錐状である。
酸化炉208の炉床212は内側に向かって傾斜しており、流動層炉全体では炉床断面がどの方向においても全体でW字形を形成している。また前記ガス化炉207の炉床209および酸化炉208の炉床212の下方には、それぞれ独立した空気室214〜217(後述)が設置されている。
【0079】
ガス化炉207の炉床209に配置した空気分散ノズル210によってガス化炉流動層を流動化するが、その際ガス化炉207の約1/2程度の径の同心円の範囲内は最低流動化速度の1〜2.5倍程度の緩やかな流動化状態とし同心円の外側の環状部では最低流動化速度の4〜12倍程度の強い流動化状態となるように空気分散ノズル210からの吹き出し空気量を調節する。その結果、ガス化炉流動層内部では、流動媒体が中央から円錐状炉床面に沿いながら全方位に向かって緩やかに分散移動し、その後前記外周環状部に至るとそこでは流動化速度が大きいため移動方向は上向きに転じる。すなわち流動媒体は前記仕切壁203の内側に沿って吹き上がるが、円錘状仕切壁203bの傾斜に従って次第に中心方向への凝集力が高まり、流動層表面で最高に達すると一転その反力で周方向および上方向へ爆発的に飛散する。
【0080】
その結果、未燃チャー等多量の流動媒体が仕切壁203に設けられた連絡流路204を通過し、酸化炉208へ入り込む。
一方流動層表面に残った流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降し、前記円錐状炉床中心付近に到達すると今度は再び水平全周方向への移動に転じる循環流が生じる。この循環流の効果により炉床付近に設けた給炭ノズル211から投入した石炭や脱硫剤などがガス化炉流動層内全方位方向へ均一に分散し、簡素な給炭設備でありながら燃料の偏在が避けられ、クリンカ発生の恐れがない。
【0081】
また酸化炉208の炉床212に空気分散ノズル213を設け、酸化炉208内を緩やかに流動させることにより、空隙204を通過して酸化炉208に入る未燃チャー等が酸化炉流動層内を燃焼しつつ緩やかに沈降した後、傾斜した炉床に沿って、前記仕切壁203下部の連絡流路205を通過してガス化炉流動層に還流する。なお、円錐状仕切壁203bの背面にも流動化用の空気導入パイプ、背面散気ノズルを設けることが可能であるが、円錐状仕切壁203bの角度を大きくした場合には設けなくてもよい。
【0082】
また、酸化炉208の炉床212に設けた空気分散ノズルから吹き出す空気量を、円筒外壁202に沿った環状部分を大きな流動化速度、仕切壁203に沿った環状部分を小さな流動化速度になるように調節することによって、酸化炉の流動層内部に、仕切壁203に沿って沈降し円筒外壁202に沿って上昇する循環流を生じさせることも可能である。この循環流によって、酸化炉208内で未燃チャー等が十分な滞留時間をとって完全燃焼することをより確実とする。
【0083】
したがって、それぞれの炉床に設けられた空気分散ノズルに空気を供給する空気室については、ガス化炉207の炉床209の下方には中央に少量の空気を供給する移動層空気室214があり、そのまわりは大きな流動化速度を与えるための流動層空気室215に囲まれ、それぞれ空気入口につながっている。
また、酸化炉208の炉床212の下部には、円錐状内壁側に空気室216が設けられ、円筒外壁側に空気室217が設けられ、それぞれ流動化空気量を制御できるようになっている。酸化炉208上部の円筒外壁202には燃焼ガス出口218が設けられている。
【0084】
このようにして、中央のガス化炉207に石炭と脱硫剤を供給して、流動層内で循環しながら、石炭は部分ガス化され、生成ガスはガス化炉上部のガス出口206から外部へ導出される。一方ガス化されなかったチャーは空隙204から酸化炉208へ入り込み、流動層内で循環しながら完全燃焼される。そして、燃焼ガスは酸化炉208の上部にある燃焼ガス出口218から外部へ取り出される。なお、酸化炉フリーボードに2次空気ノズル219を設け、2段階燃焼させることも可能である。
【0085】
(実施例8)
図13はガスの処理系統まで含めた本発明の一例を示す実施例を示す系統図である。ガス化炉207に石炭251,脱硫剤252を供給し、空気253によって部分燃焼ガス化させる。酸化剤として空気のほか酸素150、あるいは水蒸気151を投入することも可能である。
【0086】
ガス化炉207で発生する未燃チャー等は、全量生成ガスと同伴させ、その後段に設置したガス冷却装置254で600℃以下に冷却し、ガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵装置255で捕集する。
一方、空隙204を通過してガス化炉207から酸化炉208に導入された未燃チャーは酸化炉208内で完全燃焼し、その燃焼排ガスは燃焼ガス出口218を出たあと、後段に設置したガス冷却装置256で600℃以下に冷却され、この冷却によって固化したNa,Kなどのアルカリ金属粒子は集塵装置257で捕集され、系外に排出される。
【0087】
集塵装置255からの捕集粒子は空気輸送で酸化炉208へ供給する。集塵装置255,257には通常セラミックフィルタを使用し、高温腐食の原因となるNa,Kを取り除いて清浄になった生成ガスおよび燃焼排ガスは燃焼器258で混合燃焼され、発生した高温の燃焼ガスはガスタービン261を高効率で駆動する。そして、ガスタービン261はコンプレッサ262、発電機263を駆動する。ガスタービン261を出た排ガスは熱回収装置264で冷却されたのち大気放出される。なお、本実施例において、タービンブレードの材質が向上すれば、ガス冷却装置254,256を省略してもよい。
また、酸化炉208の流動層内に層内伝熱管265を配置することも可能である。さらに、流動層炉の外側に圧力容器266を設けて、流動層炉を非耐圧構造とすることも可能である。
【0088】
上述した各実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)燃焼室と熱回収室を同一燃焼容器内部で機能的に分離したことにより、負荷制御は流動層高変化方法によることなく、熱回収室の風量調節による層内伝熱管の総括伝熱係数の変化により容易に行うことができるため、流動媒体の出し入れに伴う複雑な操作や設備(ベッド材貯蔵容器等)が不要であり、また流動媒体の出し入れの際に生じるアグロメの発生を防止できる。また、負荷変化時であって流動層温度の変化が少ないことから、常にNOx,SOx等の抑制に最適な温度条件で運転することが可能である。しかも層内伝熱管は緩やかな流動状態にある熱回収室にのみ存在するため、激しい流動状態にある流動層内に配置された場合に比べ、摩耗が少ない。
(2)流動媒体が中央から円錐状炉床面に沿いながら全方位に向かって緩やかに分散移動する拡散流が生じるため燃料や脱硫剤などの均一な拡散が行われるため、燃焼が均一となりアグロメの発生がなく、また給炭口も中央付近に設けるだけでよく、給炭設備がきわめて簡素化されるなどの効果がある。
(3)流動層表面の流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降するため、燃料や脱硫剤などの層内滞留時間が長くとれ、燃焼効率の向上、脱硫効率の向上にきわめて効果的である。
(4)従来の矩形内部循環流動床ボイラの場合は長方形の相対する2辺に層内伝熱管が配置されているのに比べ、本発明の場合は全周を利用できるため、より多くの伝熱管が配置できることから、さらにコンパクトな構造となる。
(5)従来の加圧流動床ボイラは水管構造の矩形燃焼容器を圧力容器の中に納めているが、燃焼器内部と圧力容器内部の圧力変動が発生した場合に備えて、燃焼器を保護するため充分な補強が必要であるのに対し、本発明においては燃焼器が円筒であるため充分な強度をもっており、補強も簡便でよい。また、圧力容器と燃焼器が円と円の組み合わせであることから無駄なスペースが無く、コンパクトな配置となる。
(6)フリーボードに熱回収室を覆うように、クシ歯状などの形状をしたスクリーンを設けることによって、熱回収室への粒径の粗い石炭などの固形燃料の混入を避け、熱回収室におけるアグロメレーションの形成を防ぐほか、熱回収室から発生する燃焼ガスに対してバッフル作用を果たし、主燃焼室燃焼ガスと十分に混合攪拌する効果が得られる。
(7)加圧内部循環流動床ボイラは主燃焼室に伝熱面を有しないため、還元雰囲気で燃焼することができる。その結果、石炭の揮発分放出が活発に行われ、気相反応においてCHなどの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi,HCNなど)等が、生成した窒素化合物を還元するとともに、N化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させる効果をもたらし、低NOx燃焼が可能となる。
(8)熱回収室流動層内部に層内伝熱管を放射状に配置し、しかも用途別に蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックとして使用するため、平面で見て数個の管群に機能別に分割して配置したことにより、それぞれのブロック毎に熱回収空気量を調節することにより、蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックそれぞれの収熱量を独立して制御することが可能である。
(9)燃焼排ガス系統に設けたサイクロンで捕集した飛灰を熱回収室に戻すように構成することにより、熱回収室内の平均粒子径および比重量が小さくなる。その結果、最低流動化速度が小さくなり、熱回収空気量が少なくて済む。そのため、層内伝熱管の摩耗が大幅に低減するほか、熱回収空気量の変動が燃焼に及ぼす影響も小さくなり、安定燃焼にきわめて効果的である。
(10)燃焼器から排出された燃焼ガスから回収した飛灰、未燃炭素分、未反応脱硫剤などを分級して、粒径が10〜60μmの範囲の飛灰のみ主燃焼室もしくは熱回収室へ戻すことにより、最少の循環灰量でNOx低減、燃焼ガス系統の摩耗の低減、燃焼効率上昇などの効果を上げることが可能となる。従って、脱硝装置を省略できる可能性があり、また炉内脱硫において脱硫剤利用率の向上が期待できるとともに脱硫率を上げることが可能である。
(11)集塵装置で捕集した飛灰を、冷却したあと大気圧下で分級し、未燃炭素分や未反応脱硫剤を選択的に燃焼器に戻すようにしたことにより、高温の粒子を高圧下で取り扱うことに伴うスラッギングなどの問題を避けることができるほか、分級することによって有用な物質のみを戻すことになり取り扱う量が少なくなるなどの効果が生じる。また燃料系統にリサイクルし、スラリー状燃料に混練して燃焼器に供給することにより、燃焼器へのリサイクル系統を省略できるほか、未反応脱硫剤と燃料との接触も良好となり脱硫率の向上にも効果的である。
(12)トッピングサイクル複合発電システムにおいて、ガス化炉およびまたは酸化炉に本願の加圧円筒形内部循環型流動床ボイラを用い、ガス化炉から排出される未燃チャーは全量生成ガスと同伴させ、600℃以下に冷却され、その後段に設置した集塵装置で捕集したあと酸化炉に導入して完全燃焼させ、その燃焼排ガスは酸化炉を出たあと、600℃以下に冷却され、後段に設置した集塵装置によりNa,Kを含んだ粒子を捕集排出し、清浄になった燃焼ガスと前記ガス化炉を出たあと集塵されてNa,Kを含んだ粒子を捕集排出し、清浄になった生成ガスをトッピング燃焼器で混合燃焼し、発生した高温の燃焼ガスをガスタービンに導入するように構成したことにより、ガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,K等のアルカリ金属が燃焼ガス中に含まれないため、ガスタービンの材質、構造が従来技術で対応可能である。
(13)加圧流動床複合発電システムにおける円筒形流動層炉において該流動層内に円筒外壁と同心の仕切壁を設け、該仕切壁の中間部および下部に空隙を設けて連絡口とするほか、上端部は円筒外壁の天井面と接し、ガス出口を形成しており、該仕切壁の内側をガス化炉とし、該仕切壁の外側の環状空間は酸化炉として使用することにより、1つの炉でありながら、ガス化炉と酸化炉の2つの機能を有する複合炉として高効率で運転することができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、ガス化炉に石炭と脱硫剤を供給して、流動層内で循環しながら、石炭は部分ガス化され、生成ガスはガス化炉上部のガス出口から外部に導出される。流動媒体の循環流の効果により投入した石炭や脱硫剤などがガス化炉流動層内全方位方向へ均一に分散し、簡素な給炭設備でありながら燃料の偏在が避けられ、クリンカ発生の恐れがない。
一方、ガス化されなかったチャーは酸化炉へ入り込み、流動層内で循環しながら完全燃焼される。そして、燃焼ガスは酸化炉の上部にある燃焼ガス出口から外部に取り出される。酸化炉に入る未燃チャー等が酸化炉流動層内を燃焼しつつ緩やかに沈降した後、仕切壁下部の連絡流路を通過してガス化炉流動層に還流する。流動媒体の循環流によって、酸化炉内で未燃チャー等が充分な滞留時間をとって完全燃焼をすることをより確実にする。
なお、酸化炉フリーボードに2次空気ノズルを設け、2段階燃焼させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧内部循環型流動床ボイラの一実施例を示す断面図である。
【図2】図2(a)は図1のII(a)−II(a)線断面図であり、図2(b)は図2(a)の変形例である。
【図3】負荷変化に応じた空気系統の制御方式を説明する説明図である。
【図4】層内管総括伝熱係数と空塔速度の関係を示す図である。
【図5】図1の円筒形燃焼器の詳細構造を示す説明図である。
【図6】本発明の燃焼排ガス処理系統を含めた一例を示す系統図である。
【図7】本発明の燃焼排ガス処理系統を含めた他の例を示す系統図である。
【図8】本発明の燃焼排ガス処理系統を含めた更に他の例を示す系統図である。
【図9】本発明の加圧内部循環型流動床ボイラの全体系統図である。
【図10】本発明の内部循環型流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムの酸化炉として組み込んだ例を示す系統図である。
【図11】本発明の内部循環型流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉および酸化炉として組み込んだ例を示す系統図である。
【図12】本発明の内部循環型流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉および酸化炉を一体化した炉を示す断面図である。
【図13】本発明の燃焼排ガス処理系統を含めた1例を示す系統図である。
【図14】従来のバブリング式加圧流動床ボイラを示す平面図である。
【図15】従来のバブリング式加圧流動床ボイラを示す平面図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
2 円筒形燃焼器
3 流動用空気入口
4 燃焼ガス出口
5 熱回収制御用空気入口
6 給炭入口
7 円筒形サポート
8 仕切壁
9 主燃焼室
10 熱回収室
11 円筒外壁
12 スクリーン
13 層内管用上部ヘッダー
14 層内管用下部ヘッダー
15 層内伝熱管
16 給水入口
18 均圧ノズル
19 流動用空気系統
20 主燃焼室炉床
21 主燃焼室空気分散ノズル
22 給炭ノズル
23 熱回収室炉床
24 熱回収室空気分散ノズル
27 連絡流路
28 流動燃焼用空気室
30 熱回収制御用空気室
31 フリーボード
33 2次空気ノズル
51 サイクロン
55 集塵装置
58 ガスタービン
100 高圧ガスタービン
101 低圧ガスタービン
120,207 ガス化炉
126,208 酸化炉
201 流動層炉

Claims (11)

  1. 仕切壁によってガス化炉と酸化炉に仕切られた大気圧以上の圧力で運転される複合流動層炉の運転方法であって、
    前記ガス化炉の内部に、流動化ガス速度に差をつけることによって流動媒体が沈降する部分と上昇する部分からなる流動媒体の循環流を形成し、
    燃料を前記ガス化炉に供給し、
    供給された燃料を該ガス化炉ガス化してガスとチャーを生成し、
    該ガス化炉より該生成されたガスを排出し、
    生成されたチャーを、該流動媒体とともに前記ガス化炉から記酸化炉へ、前記仕切壁の連絡口を介して供給し、
    供給されたチャーを該酸化炉で燃焼し、
    前記酸化炉の該仕切壁側の流動媒体を、該仕切壁に沿って沈降させ、
    前記ガス化炉の流動媒体の上昇する部分は、前記酸化炉の仕切壁に沿って流動媒体が沈降する部分と前記仕切壁を介して相対向するように配置し、
    該酸化炉内の該沈降させた流動媒体を、該仕切壁の連絡口を通して該ガス化炉に還流させることを特徴とする複合流動層炉の運転方法。
  2. 記酸炉内に流動媒体の循環流を形成ることを特徴とする請求項1に記載の複合流動層炉の運転方法。
  3. 記酸化炉におけるチャーの完全燃焼による燃焼ガスは、該酸化炉の燃焼ガス出口から排出されることを特徴とする請求項1または2に記載の複合流動層炉の運転方法。
  4. 記ガス化炉は、炉底を前記仕切壁に向かって低くすることを特徴とする請求項乃至3のいずれか1項に記載の複合流動層炉の運転方法。
  5. 記ガス化炉は、炉底を傾斜させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合流動層炉の運転方法。
  6. 記酸化炉流動層内に層内伝熱管を配置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合流動層炉の運転方法。
  7. 仕切壁によってガス化炉と酸化炉に仕切られた大気圧以上の圧力で運転される複合流動層炉であって、
    流動化ガス速度に差をつけることによって流動媒体が沈降する部分と上昇する部分からなる流動媒体の循環流が内部に形成され、供給された燃料をガス化してガスとチャーを生成し、該生成されたガスを排出するガス化炉と、
    前記ガス化炉で生成されたチャーを燃焼させ、内部に流動媒体が沈降する部分を有する酸化炉と、
    前記ガス化炉で生成されたチャーを流動媒体とともに前記ガス化炉から前記酸化炉へ供給する連絡口を具備し、該酸化炉内の該沈降させた流動媒体が該ガス化炉に還流される連絡口を具備する仕切壁とを備え、
    前記ガス化炉の流動媒体の上昇する部分は、前記酸化炉の仕切壁に沿って流動媒体が沈降する部分と前記仕切壁を介して相対向するように配置したことを特徴とする複合流動層炉。
  8. 前記ガス化炉あるいは前記酸化炉の炉床は、前記仕切壁に向けて傾斜していることを特徴とする請求項7に記載の複合流動層炉。
  9. 前記ガス化炉は、生成ガスを外部に取り出すガス出口を有し、前記酸化炉は、チャーの完全燃焼による燃焼ガスを外部に取り出す燃焼ガス出口を有することを特徴とする請求項7または8に記載の複合流動層炉。
  10. 前記酸化炉の流動層内に層内伝熱管を配置することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の複合流動層炉。
  11. 前記酸化炉内に流動媒体の循環流を形成することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の複合流動層炉。
JP2003062188A 1993-03-03 2003-03-07 複合流動層炉および複合流動層炉の運転方法 Expired - Fee Related JP3625817B2 (ja)

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